説明

コリスチンの精製方法および精製コリスチン成分

本発明は、酢酸および高エタノール濃度中のコリスチン塩基をカラムに装填する工程と低エタノール濃度で溶出する工程とが行われる、逆相クロマトグラフィーを用いるコリスチンの精製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗生物質の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラム陰性菌、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)における増大する多剤耐性は重大問題を提起している。制限された治療選択肢は、感染病臨床医および微生物学者にコリスチン(ポリミキシンEとも呼ばれる)、ポリミキシンBと似ているが、それと同一ではないポリミキシン抗生物質の臨床応用を再評価するように強いている。コリスチンは、そのより幅広い治療指数のためにポリミキシンBよりも明らかな利点を有する可能性がある。
【0003】
コリスチンは、バチルス・ポリミキサ・バル.コリスチヌス(Bacillus polymyxa var.colistinus)から1947年に初めて単離され、発酵によって産生されるポリペプチドの混合物からなる。主成分はポリミキシンE、E、EおよびE−Ileである(図1)。
【0004】
商業的には、コリスチンは、腸除染のために経口で、皮膚感染症のために粉末として局所的に使用される、硫酸コリスチンとして、ならびに非経口でおよび吸入によって使用される、コリスチメタン酸ナトリウムとして世に出ている。コリスチメタン酸ナトリウムは毒性が少なく、そして望ましくない副作用がコリスチンより少ないことが分かっているが、効能もまた弱い(Falagas and KasiokouによるCritical
Care 2006,10:R27(doi:10.1186/cc3995を参照されたい)。
【0005】
硫酸コリスチンは多くの場合、軟膏、耳科用懸濁液ならびに耳科用液および点眼剤に調合される。硫酸コリスチンはまた、腸感染症を治療するために、または結腸細菌叢を抑えるために懸濁液または錠剤として経口で投与される。
【0006】
コリスチメタン酸ナトリウムは、包嚢性線維症患者において緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染症を治療するために使用されてもよいコリスチンの半合成プロドラッグであり、それは多剤耐性アシネトバクター(Acinetobacter)感染症を治療するために最近使われるようになってきた。コリスチメタン酸ナトリウムはまた、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)髄膜炎/脳室炎において髄腔内におよび脳室内に投与されている。コリスチメタン酸ナトリウムは、水溶液中で容易に加水分解されて様々なメタンスルホン化誘導体になり、分析するのが非常に困難である。
【0007】
コリスチンは50数年前に臨床診療へ導入されたので、その特性は、たとえば薬理学、毒物学、不純物の内容などに関連した特有の要件で、決して最新薬ほどには完全に文書に記録されなかった。
【0008】
このため、商業的に入手可能なコリスチン製品は、主成分ポリミキシンEに加えて、大部分は発酵プロセスに由来する、多くの関連の活性および不活性の物質/不純物を含有する。コリスチンの典型的なHPLCクロマトグラムが図2に示される。
【0009】
市販コリスチンの主成分、ポリミキシンEは、典型的には乾燥製品の約60%を構成する。コリスチン製品中の関連物質の幾つかは特性化されているが(図1)、ほとんどの不純物は依然として知られていない。硫酸コリスチンの最小効能は、USP(米国薬局方(United States Pharmacopoeia))によって規定されているように「500μg/mg以上」であるが、各成分の明確な抗菌活性はほとんど知られていない。
【0010】
この製品は50年を超える間使用されてきたが、コリスチンの標準化投薬も、薬理学または薬物動態学に関して公表された詳細な試行もまったくない。ほとんどの感染症に対する最適投薬は、それ故知られていない。同様に、各製剤に対する推奨「最大」用量は異なる。各国は、コリスチンの異なるジェネリック製剤を有し、推奨用量は製造業者に依存するであろう。
【0011】
硫酸コリスチンおよびコリスチメタン酸ナトリウムは両方とも静脈内におよびエアゾールとして投与されてもよいが、投薬は複雑である。幾つかの製造業者からのコリスチメタン酸ナトリウムは、国際単位で処方されているが、他の製造業者からの同じ製品は、コリスチン塩基のミリグラム単位で処方されている。用量の規制または標準化がこのように完全に不在であることにより、静脈内コリスチン投薬はあらゆる医師にとって悪夢となる。
【0012】
静脈内治療で記載される主毒性は、肝臓毒性(肝臓への損傷)および神経毒性(神経への損傷)であるが、これは、以前に投与された非常に高い用量が、現在あらゆる製造業者によって推奨されている用量よりはるかに高く、そして腎疾患に対して調整がまったく行われなかったことを反映している可能性がある。噴霧治療で記載されている主毒性は気管支痙攣である。
【0013】
支持データの不在下に、コリスチンの毒性の幾つかは現在の市販製品中に存在する関連物質および不純物のせいである可能性があると推測し得る。そしてさらに、「不純な」コリスチンを出発原料として使用してコリスチメタン酸塩プロドラッグを合成するときに、各関連物質および不純物は、幾つかのメタンスルホン酸塩誘導体の基盤を形成し、それによって非常に複雑な最終製品を生み出すであろうが−個々の物質それぞれの毒物学的特性は不明である。
【0014】
上記の毒物学的および薬理学的考察に基づき、「モノ成分」の各種のコリスチンを医療目的のために使用することに大きな利点が見出され得る。かかるモノ成分コリスチンは、非常に高い割合(現在の60%に比べて、>90%)の主成分ポリミキシンEを含有し、すべての主な不純物が同定され、特性化された状態であろう。
【0015】
モノ成分コリスチンは、幾つかの利点:
1)主成分(PE)、関連物質および不純物の毒物学的寄与を明らかにする可能性
2)新たなおよびより正確な薬理学的なおよび薬物動態学的な研究に適した製品
3)様々な不明確な物質を生み出すことなく、明確な誘導体、たとえばコリスチメタン酸塩を合成する可能性
4)規制手順を簡略化する、コリスチンおよびコリスチメタン酸塩の両方についてのより良好なおよびより正確な分析方法を開発する可能性
5)明らかな薬理学的および毒物学的データに基づく一義的な投薬推奨
6)大きい需要のある、「現代的」抗生物質へのコリスチンのアップグレード
を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
モノ成分コリスチンの工業的に拡大可能な製造方法は、特許文献にもまたはパブリックドメインの他のどこにも記載されていないので、かかる製品の製造方法を開発することが本発明者の目標であった。
【0017】
第2のより長期の目標は、以前のポリミキシン群の研究と比較するために、精製PEをインビトロおよびインビボ有効性の新たな研究にならびに毒物学的研究にかけることであろう。かかるランダム化されかつ管理された試行は、ポリミキシンの有効性および安全性に関する様々な問題(MicholopoulosおよびFalagasによる、Crit Care Clin.2008 Apr;24(2):377−91)をさらに明らかにするために早急に必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、コリスチン成分、特に主成分、ポリミキシンEの精製方法に関する。
本発明は、コリスチンの主成分であるポリミキシンEの実質的に純粋な(90〜98%純度)、コリスチンモノ成分と呼ばれる製剤の製造方法に関する。
【0019】
本方法は、低毒性の溶媒を用いる簡単なクロマトグラフ法である。本方法は、ポリミキシンEの精製を90%超の純度まで可能にする、逆相(RP)クロマトグラフィー、引き続く疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を含む。
【0020】
本方法は、
・ 酢酸および高(4M)エタノール濃度中のコリスチン塩基をRPカラムに装填する工程
・ 低(1.6〜2M)エタノール濃度で溶出する工程
によって特徴づけられる。
【0021】
意外にも、本方法は、他の主なコリスチン成分からポリミキシンEを効率的に分離するために用いることができる。
好適なRP材料の特定を含む作業は、10×250mmスチールカラムでの実験室規模で行われた。
【0022】
Merck LiChrospher 60 RP−select B、15μm(C8)が、実験室規模でのコリスチン塩基からのPEの精製のための好適な樹脂であることが分かり、この実験室方法は、1グラムから50×850mmスチールカラムでの50グラムレベルへとスケールアップされた。
【0023】
コリスチン塩基が24%(4M)エタノールおよび0.1M酢酸に溶解され、そしてポリミキシンE分画へと分離される方法が開発された。主成分、PEは、60%の典型的な回収率および94〜98%の相対クロマトグラフ純度で単離された。
【0024】
欧州薬局方(EP)では、硫酸コリスチンのバッチ/ロットの効能は、「そのままで」HPLCによって測定される、ポリミキシン因子PE、PE、PE、PE−IleおよびPE−7MOAの合計の%含有率と定義されている。これらの因子の全体効能は77.0%以上を構成するべきである。さらに、EPは、次のように具体的な因子の最大限度(NMT(not more than);以下)を明確に提示している:PE−Ile(NMT 10%)、PE−7MOA(NMT 10%)、PE(NMT 10%)、および主要不純物 NMT 4%。
【0025】
記載される精製方法を用いて、最終製品は次のような典型的な組成を有する:PE
94〜98%)、PE(0〜0.1)、PE(0.0)、PE−Ile(0.2〜1.0%)、PE−7MOA(0.5〜2.0%)、および総残存不純物 0.5〜2.0%。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】硫酸コリスチンの主成分、硫酸ポリミキシンEおよび関連物質の分子構造。
【図2】コリスチン欧州薬局方標準品のHPLCクロマトグラム
【図3】コリスチン塩基の精製中の分画番号の関数としての相対クロマトグラフ純度を示すグラフ(グラフ中のf1−E1およびf2−E1は、本出願の説明部分ではfとまとめて言われ;eE1はe/eと等しく、eeE1はeと等しく、一方eee…は微量の未知不純物の合計である)。
【図4】コリスチン塩基の精製中の分画番号の関数としての様々な成分のピーク面積を示すグラフ(グラフ中のf1−E1およびf2−E1は、本出願の明細書部分ではfとまとめて言われ;eE1はe/eと等しく、eeE1はeと等しく、一方eee…は微量の未知不純物の合計である)。
【図5】主な不純物と一緒のコリスチンモノ成分(PE)のHPLCクロマトグラム。
【発明を実施するための形態】
【0027】
「コリスチン」は、主成分がポリミキシンEまたはその塩である抗生物質ペプチド成分のあらゆる混合物をカバーすることが意図される。
「ポリミキシンE」は、以前はコリスチンAと称された化合物、ならびに
Chemical Abstractsによって7722−44−3と指定された化合物、
ならびに
N2−(6−メチル−1−オキソオクチル)−L−2,4−ジアミノブタノイル−L−スレオニル−L−2,4−ジアミノブタノイル−L−2,4−ジアミノブタノイル−L−2,4−ジアミノブタノイル−D−ロイシル−L−ロイシル−L−2,4−ジアミノブタノイル−L−2,4−ジアミノブタノイル−L−スレオニン環状(10−4)−ペプチド、
ならびに
コリスチンIV
を包含することが意図される。
【0028】
「コリスチン塩基」は、30〜70%のポリミキシンEを含むあらゆるコリスチンを包含することが意図される。
「硫酸コリスチン」は、コリスチンのあらゆる硫酸塩を包含することが意図される。
【0029】
「コリスチメタン酸塩」は、コリスチンのあらゆるメタンスルホン化誘導体を包含することが意図される。
「組成物」は、3つ以上の異なる化合物を含むあらゆる混合物、たとえば2つの活性医薬原料の混合物、または1つの活性医薬原料と1つ以上の医薬賦形剤との混合物である。
【0030】
本出願に用いられる用語「成分」または「いくつかの成分」は、組成物中の具体的な化合物を意味している。したがって、「微量の成分」は組成物中に比較的少量で見いだされる化合物である。
【0031】
「医薬組成物」は、インビボで使用するのに好適なあらゆる組成物である。かかる組成物はしたがって、皮膚に、皮下に、静脈内に、非経口で、経口でなどで投与することがで
きる。
【0032】
「分離」は、所望の化合物が別の化合物から(分析上または分取上)分割されるあらゆる方法である。
「精製」は、所望の化合物の濃度が上げられるあらゆる分離方法である。
【0033】
「クロマトグラフィー」は、固定相と移動相とを含むあらゆる精製技法である。
「固定相」は、化合物を保持することができるリガンドを含むあらゆる表面である。
「リガンド」は、化合物の結合が起こる、固定相の部分である。
【0034】
「移動相」は、一定の方向に固定相を通ってまたは固定相に沿って浸透することができるあらゆる流体、溶媒、液体または混合物である。
「逆相クロマトグラフィー」は、より極性のまたは帯電した成分が、極性の少ない成分より先に溶出されるあらゆるクロマトグラフィーである。
【0035】
「疎水性相互作用クロマトグラフィー」は、固定相の非極性リガンドと非極性化合物または化合物の非極性部分との間の相互作用に基づくあらゆるクロマトグラフィーである。
「高エタノール濃度」は、容積の20%以上、典型的には20%〜30%のエタノール濃度を意味する。
【0036】
「低エタノール濃度」は、容積の20%未満、典型的には10%〜15%のエタノール濃度を意味する。
「%v/v」は容積百分率を意味する。
【0037】
市販のコリスチン塩基は、ポリミキシンE、ポリミキシンE、ポリミキシンE、およびポリミキシンE−イソロイシンを含む、多くの密接に関係したデカペプチド−脂肪酸アミドの混合物である(図1)。
【0038】
コリスチン塩基から主成分ポリミキシンE(PE)を単離したいという熱望は、高い相対クロマトグラフ純度(>90%)のPEの単離、および取得のために逆相(RP)HPLC法が、好適であるかどうかの研究につながった。
【0039】
文献はRP分離法をほんのわずかしか提供せず、使用される主な有機溶媒は、アセトニトリルおよびメタノールである。これらの溶媒は毒性があり、パイロットおよび大規模生産では回避されるべきである。しかし、0〜60%のエタノールグラジエントを用いる硫酸コリスチンでのマイクログラムレベルのC18−HPLC分離試行は、ポリミキシンE用の工業的に有用な精製方法のために比較的非毒性の溶媒エタノールを使用することが可能であるかもしれないことを全く意外にも示唆した。
【0040】
出発原料、コリスチン塩基は、発酵および精製によって製造され、バルク物質硫酸コリスチンの製造における中間体である。出発原料は、バッチ間で数パーセント変動して、約60%のPEを含有する。当初の目標は、90%超の硫酸ポリミキシンEの相対クロマトグラフ純度を達成することであった。これを目標として、様々なカラム材料が、エタノールをベースとする溶出系で選別された。
【0041】
ポリミキシンE(図1)は、極性のデカペプチド部分および非極性の脂肪酸部分のためにイオン性洗剤特質を有する。この分子は、6−メチル−オクタンアシル化線状トリペプチドに結合した環状ヘプタペプチドからなる。この分子は、1,4−ジアミノ酪酸(DAB)の6つの部分を含有し、そのうちの1つが3つのペプチド結合に関与するので、それらの相当するアンモニア(NH)基と平衡にある5つの第一級アミノ基が存在し、
分子の強い極性部分を構成する。
【0042】
RP−樹脂とこの分子との間の分子相互作用は、脂肪酸部分とペプチド部分の非極性領域とで起こると予測される。
HPLC分画およびHPCLプールを監視するために、分析HPLC法が標準方法をベースとして開発された。改良された方法は、従来のHPLC法を用いたときには目に見えなかった、PE主ピーク下の少量の関連成分(f、e、e)を明らかに見えるようにした。
実験の部
分取HPLC
10×250カラム:ミリグラム規模でカラム材料を選別するために、スチールカラム10×250mmを使用した。このカラムに、96%エタノールに懸濁された様々な被験樹脂を充填した。
【0043】
50×830カラム:グラム規模での分取精製のために、50×850mmスチールカラムを以下に記載されるように使用した。選択されたカラム材料、約1kgのMerck
LiChrosphere 60 RP select B(15μm)を96%エタノールに懸濁させ、カラムに充填した。上部フランジを取り付け、すべての過剰のエタノールが除去されるまでピストンを50バールで上向きに押し進めた。1mlの0.1mg/mlのヨウ化カリウム溶液を適用することによってカラムを試験し、吸収を227nm、AUFS=0.05および流量55.5ml/分で測定した。記録されたピークは、満足のいく対称的な狭いガウス(Gauss)曲線であった。
【0044】
分取HPLCシステムは、
カラム:Dan Process A/Sによって生み出される動的軸圧縮ありの10×250mmステンレススチールMerckカラムおよび50×850mmステンレススチールカラム
ポンプ:低圧側に混合バルブ付きの4つの異なる溶媒入口を持った、0.5〜150ml/分の流量間隔のWaters Delta Prep 4000
検出器:Waters 486調節可能な吸光度検出器(Waters 486 Tunable Absorbance Detector)
積分器:Merck−Hitachi D−2000 Chomato−Integrator
分画収集器:Waters分画収集器(Waters Fraction Collector)
からなった。
【0045】
溶出液の吸光度は、酢酸についてカット−オフされる、230nmで検出した。より短い波長では、溶出液は余りにも多い干渉を示した。ミリグラム規模での分画は25ml試験管に集め、一方グラム規模での分画は250mlのBluecapボトルに集めた。
【0046】
各HPLCラン後の10×250mmおよび50×850mmカラムの再生は、0.1MのCHCOOH中に24%エタノールおよび50%の1,2−プロピレングリコールを含有する混合物を使用した。時々、高い逆圧が50×850mmカラムで観察され、そのカラムはそのとき充填し直すかまたは圧力が正常になるまで96%エタノールでフラッシュした。
分析HPLC:
用いられるカラムは、移動相としてアセトニトリルを使ってNovapak 4,6×150、4μm、C18であった。CHCN溶液の濃度を21%から(10分の定組成ラン後に)30%まで5分の時間間隔の間に上げた。カラムは温度自動調節しなかったが
、周囲温度(23±2℃)でランを行った。
【0047】
分析HPLCシステムは、
カラム:Waters Novapak 4,6×150、4μ C18および等価の4,6×250カラム
ポンプ:Watersポンプ制御モジュール(Waters Pump Control
Module)付き2psc.Waters 510
検出器:Waters 490 Eプログラム可能な多波長検出器(Waters 490 E Programmable Mlti−wavelength Detector)
分画収集器:Waters 717 プラス オートサンプラー(Waters 717
plus Autosampler)
からなった。
【0048】
このシステムは、WatersソフトウェアMilleniumによって制御された。試験される樹脂の総覧:
1)Merck No.9303 LiChroprep RP−18、25〜40μm、バッチ:L 275703 614。
【0049】
2)Merck No.9324 LiChroprep RP−8、25〜40μm、バッチ:L 240124 541。
3)Merck No.11023 LiChrospher 60 RP−select B、15μm、(C8)、バッチ:L 139923 633.
4)Merck No.150385 Hibar Fertigsaeule RT
LiChrospher、RP−18、15μm、Cat.50014。
【0050】
5)Eka Nobel Kromasil−100Å、C8、16μm、バッチ:DT0026。
6)ToosoHaas Amberchrom CG 71 S、35μm、Lot
No.23770319。
【0051】
7)ToosoHaas No.22227 Toyopearl MD−P Ether、35μm、弱疎水性
8)ToosoHaas No.22225 Toyopearl MD−P Butyl、35μm、強疎水性
10×250カラム試行のための化学薬品:
硫酸コリスチン、バッチ:A4660314、Axellia ApS、Copenhagen DK
コリスチン塩基、バッチ:A1551701、Axellia ApS、Copenhagen DK
エタノール、96%、「Danisco Distillers」、Danisco A/S
メタノール、Merck LiChrosolv no.6018
ジメチルスルホキシド、Merck Uvasol No.2950
1,2−プロパンジオール reinst、Merck no.7478
2−プロパノール、LiChrosolvグラジエントグレード、Merck No.1040
酢酸、100% G.R.Merck No.63
1−メチルピロリドン−(2)z.s.、Merck No.806072
トリエチルアミン、Pierce No.25108
テトラヒドロフラン、Fluka No.87367
酢酸アンモニウム p.a.Merck No.1116
硫酸アンモニウム p.a.Merck No.1217
硫酸98%p.a.
水酸化ナトリウムペレット、GR、Merck No.6498
Mili−Q水、Purification lab.、R & D、FCD、Axellia ApS、Copenhagen DK
Millipore、タイプHV膜フィルター、0,45μm。
50×825カラム試行のための化学薬品:
Danisco Distillers、Danisco A/S製のエタノール 96%および99,9%
酢酸、100% G.R.Merck No.63
水酸化ナトリウムペレット、GR、Merck No.6498
NaOH、27% Production dept.
水酸化カリウム、USP XIX、Ferak Berlin No.20907
10×250カラム試行:
次のクロマトグラフ樹脂は、樹脂への強い結合、顕著な尾引き、低いクロマトグラフ純度または低い回収率のいずれかのために、分離目的には不適当であることが分かった:ToosoHaas Amberchrom CG 71 S;ToosoHaas Toyopearl MD−Pエーテル、35μm、ToosoHaas Toyopearl MD−Pブチル、35μm;Merck LiChroprep RP−8、25〜40μm;Merck Hibar Fertigsaeule RT LiChrospher、RP−18、15μm;Eka Nobel Kromasil−100Å、C8、16μm
11mgの硫酸コリスチンを適用された、pH約3,5(50mMのHAc)で60分の間に0%〜60%のエタノールグラジエントでのLichroprep C18、25〜40μmを使った1回目の10×250カラム試行については、良好な収率で約90%の相対クロマトグラフ純度(RCP)が得られた。しかし、同じ条件で45分の間に10〜25%エタノールグラジエントを適用することによってエタノール濃度を下げようと試みたとき、分離はまったく観察されず、顕著な尾引きが観察された。
【0052】
pH=2.5で5mMのNHHSOでの同様な試行は、カラムへの化合物の完全な結合をもたらした。この実験、および同様の実験は、選択された条件でのPE精製のためには、硫酸コリスチンよりもむしろ、コリスチン塩基が使用されるべきであることを強く示唆した。
【0053】
1,2−プロピレングリコール(1,2−PG)をエタノールの一部の代用として、たとえば24%エタノールおよび20%の1,2−PGの濃度レベルで添加し、そして酢酸レベル(pH=3)を約1%に上げた場合、これは、意外にも、70%収率で約90%のRCPでPE生成物を与えた。
【0054】
これらの初期実験に基づき、酢酸が樹脂(LiChroprep C18)と溶出液との間の化合物平衡にプラスの影響を及ぼすこと、そして硫酸コリスチンの代わりに希酢酸に溶解されたコリスチン塩基をむしろ使用すべきであることが結論づけられた。しかし、1,2−プロピレングリコール/エタノール混合物の使用は、このカラム材料で顕著な圧力降下をもたらし、この特定の樹脂および溶媒混合物はそれ故スケールアップのために不適当であると考えられた。
【0055】
脂肪酸部分および非極性アミノ酸がカラム結合に関与するだけでなく、アミノ基およびアンモニウム基もまた関与することが明らかになった。
上記の実験は、幾つかの意外な結果、たとえばa)EHSにやさしい溶媒エタノールがコリスチンの逆相(RP)HPLC分離のための溶出液として有用であること、およびb)分離は、さらなる精製のために硫酸コリスチンを使用する代わりに酢酸の存在下にコリスチン塩基で行うべきであることを与えた。樹脂LiChroprep C18は有望な分離特性を示したが、それがスケールアップに好適であると分かったわけでない。
【0056】
商業的に入手可能なクロマトグラフ媒体のリストは広範囲に及ぶが、徹底的な選別および選択によって我々は、Merck製の好適な候補、すなわちLiChrospher 60 RP−select B 15μm(C8)を特定することに成功した。
【0057】
0.1M酢酸中5〜24%エタノールの直線的グラジエントの使用は、尾引きがほとんどない有望な分離を与えた。0.1M酢酸中(pH=3)5〜15%エタノールのグラジエントはうまくいくが、85〜90%PEにすぎないRCPであり、かつ低収率である。
【0058】
逆エタノールグラジエント(すなわち、高濃度での適用およびより低濃度での溶出)を試してみたときに大きな飛躍的前進が実現した。以下のパラメータでの第1試行は、90〜95%PEおよび約70%収率でプールを与えることが判明した:
平衡:0,1M酢酸中5%エタノール
適用:0,1M酢酸中4mlの30%エタノールに溶解させた110mgのコリスチン塩基
溶出液:60℃の温度での0,1M酢酸中15%エタノール
温度:40℃
溶出液流量:2.22ml/分
固相と溶出液との間のコリスチン成分の平衡をより速く達成させるために、より高い温度を選択したが、実験は、より高い温度が結果にいかなる著しい影響も及ぼさないことを示した。カラムオーブンおよび溶出液相の両方の温度をそれ故、プール純度および収率のいかなる有意な変化もなしに40°/60°から35°/50°に下げた。最後に、0.1M酢酸中5〜15%エタノールグラジエントは30°/40°でランが実行されて良好な結果であり、逆グラジエントが相対クロマトグラフ純度、収率および尾引きプロフィールの大きいプラスの変化に実際に関与することを確認した。
【0059】
修正された分析HPLC法が開発作業中に実行されたこと、ならびにこの新しい方法が以前には主なEピークに隠されていた、幾つかの関連物質、fおよびe/eを明らかに見えるようにしたことが指摘されるべきである。
【0060】
関連物質fはPEピークの前に溶出し、一方物質e/eはPEピークの尾部に2つの、多かれ少なかれ分裂した最大部を持つ二重ピークとして溶出する。これらの2つの物質はPEから分離するのが特に困難であり、分取HPLC法の将来の最適化における精製課題を構成する。PEと関連物質との分離が、HPLC分画の関数として成分の分布を示す略図で例示されている、特に図3および図4を参照されたい。
【0061】
図3でポリミキシンEの相対クロマトグラフ純度を、分画番号の関数として関連物質と比較する。PEから分離するのが最も困難である関連物質はe/eであり、一方E−イソロイシン、fおよびe(e/eの後に溶出する)は除去するのがより容易である。図4は収率視点からの結果を示しており、ここでは、成分ピークの積分が分画番号の関数としてプロットされている。主なプールは典型的には分画7〜12に及んでいるが、純度は、分画選択を狭くすることによって上げることができる。
【実施例】
【0062】
コリスチン塩基からのポリムキシン(polymuxin)E1の精製手順
実施例1−RP−HPLC精製;ミニ分取規模
機器:スチールカラム 10×250mm(φ=10mm)
Waters Delta Prep 4000 Prep.Chrom.System
Waters 4000 System Controller
Waters 486 Tunable Absorbance Detector
Waters Fraction Collector
Merck Hitachi D−2000 Chromato−Integrator
樹脂:LiChrospher 60 RP−select B Merck No:11023.
流量:2.22ml/分(300×700mmへのスケールアップ時は約2L/分)
λ:230nm
AUFS:2(検出器感度 ほぼ最低レベル)
A緩衝液:Mili−Q水中の0.10MのCHCOOH中12%エタノール(96%)
適用溶液:5酸当量のCHCOOH 約2,5ミリモル 約0,15mlの100%CHCOOH(17M)の添加による0.10MのCHCOOH中15mlの24%エタノール(96%からの)に溶解されたコリスチン塩基、600mg 約0,5ミリモル;2MのNaOHでpH=7.5に調整された;溶液は膜濾過される(0.45μm)
1)カラムの平衡:A緩衝液で平衡にされる
2)適用:供給管を通して酢酸コリスチン溶液(40mg/ml)を2.22ml/分で適用し、これに1mlのA緩衝液が続く
3)溶出:カラムをA緩衝液で直ちに溶出し、溶出液を1ml分画 約2.22mlにて集める。
【0063】
4)カラムの洗浄:5mlの96%エタノールを適用し、これに吸収がゼロレベルまで低下してしまうまでA緩衝液が続く
5)HPLC分析:Eの面積が20〜30×10AUに達するまで試料を希釈する;高コリスチン標準は典型的には20×10AUに達する;Colistin NovaSを用いて試料を分析する(30分ラン)。
実施例2−RP−HPLC精製;パイロット規模:
機器:スチールカラム 50×830mm(φ=50mm)、「Dan−プロセス」
Waters Delta Prep 4000 Prep.Chrom.System
Waters 4000 System Controller
Waters 486 Tunable Absorbance Detector
Waters Fraction Collector
Merck Hitachi D−2000 Chromato−Integrator

樹脂:LiChrospher 60 RP−select B、Merck No:11023、1Kg
流量:65ml/分(300×700mmへのスケールアップ時は約2L/分)
λ:230nm
AUFS:2(検出器感度 ほぼ最低レベル)
A緩衝液:Mili−Q水中の0.10MのCHCOOH中12%エタノール(96%

適用溶液:コリスチン塩基、50g約42ミリモル(そのままで)を、5.83酸当量のCHCOOH 約245ミリモル 約14,5mlの100%CHCOOH(17M)の添加による1000mlの24%エタノール(96%)に溶解させる;pHを2MのNaOHでpH=7.5に調整する;溶液を、フィルター助剤としてCeliteを使用して膜濾過する(0.45)
イオン強度:4〜6mS/cm
1)カラムの平衡:A緩衝液で平衡させる
2)適用:酢酸コリスチン溶液(48mg/ml)を14分の間65ml/分で適用し、引き続きA緩衝液を0.1分の間約43.5g適用する
3)溶出:カラムをA緩衝液で、吸収が漸近線0.010V±10mVに降下してしまうまで溶出し、溶出液を3分間で約585ml、18分画に集める
4)カラムの洗浄:24%エタノールと50%の1,2−プロパンジオールとの混合物200ml(50ml/分で4分)を適用し、これに吸収がゼロレベルまで低下してしまうまでA緩衝液が続く
5)HPLC分析:Eの面積が20〜30×10AUに達するまで試料を希釈する(5×);高コリスチン標準は典型的には20×10AUに達する;Colistin
NovaSを用いて試料を分析する(30分ラン)。
実施例3−全精製および最終ハンドリング;大規模
硫酸コリスチンモノ成分(ポリミキシンE)は発酵産物であり、それは、その初登場が発酵したブロス中であることを暗示する。ポリミキシンEを、多種多様な不純物と1リットル当たりたったの2、3グラムのポリミキシンEおよび関連物質とを含有するブロスから回収し、精製する。
【0064】
発酵ブロスからの回収は、コリスチン(ポリミキシンE)および関連物質の沈澱と遠心分離による一次分離とを含む。二次精製は、逆相クロマトグラフィーおよび沈澱からなり、ポリミキシンEに関してより純粋な生成物をもたらす。硫酸コリスチンモノ成分生成物中に存在する関連物質および不純物は、主として共発酵物質である。
【0065】
コリスチンの発酵中に、構造上関連した成分の複雑な混合物が、各バシラス・ポリミクサ(Bacillus polymyxa)株に特有の比で生成する。例えば、
− たとえばポリミキシンE(6−メチルオクタン酸の)か、ポリミキシンE(7−メチルオクタン酸の)かのどちらかを生み出す、脂肪酸鎖の変化であり、
− 分子中のアミノ酸の置換、たとえばコリスチン中のD−ロイシンがD−フェニルアラニンで置き換えられる場合には、関連抗生物質ポリミキシンBの生成である。ポリミキシンE中のL−ロイシンがイソロイシンで置き換えられる場合には、ポリミキシンE−イソロイシンが生成される。
分取HPLCによる精製
次の緩衝液を調製する:
緩衝液I:1.6〜2Mエタノールおよび0.1〜0.15M酢酸。この緩衝液を、使用直前に0.45μmフィルターを通して濾過する。
緩衝液II:約6.8Mの1,2−プロパンジオール、約4Mエタノールおよび約0.1M酢酸。この緩衝液を、使用直前に0.45μmフィルターを通して濾過する。
【0066】
約48リットルの容積のHPLCカラム(直径30cm)を、約40リットルの緩衝液Iと平衡させる。流量は0.8〜1.2 l/分である(同じ流量をすべてのHPLC工程について用いる)。カラムを、約8リットルの緩衝液II、引き続き約50リットルの緩衝液IでまたはUV信号が基線に戻るまで再生する。
【0067】
真空乾燥したコリスチン塩基バッチ、1000〜1500gを秤量し、20〜30リッ
トルの4Mエタノールに懸濁させる。この懸濁液を、30分間撹拌しながら0.3M酢酸を加えることによって溶解させる。pHを水酸化ナトリウムで約7.5に調整し、この溶液を膜フィルター、0.45μmを通して濾過する。酢酸コリスチン溶液をHPLCカラムに通し、樹脂に結合させる。HPLCカラムを約160リットルの緩衝液Iで溶出する。溶出液を分画にて集める。あらかじめ設定した規格に適合する分画を集め、一方分画の残りを捨てる。ポリミキシンEに関して少なくとも92%の純度のバッチを分画からプールする。ポリミキシンEの濃縮および過剰のエタノールの除去を逆浸透によって行う。プールを約50g/lに濃縮し、その後DI水(約8容積)で透析する。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)による精製
次の緩衝液を調製する:
較正緩衝液:約200mMの(NHSO;pHを希アンモニアで約7に調整する溶出緩衝液:約200mMの(NHSO;pHを酢酸で約3.7に調整する
約90リットルの容積のHICカラム(直径35cm)を、250リットルの較正緩衝液、流量約1.7 l/分、引き続き約200リットルの溶出緩衝液、流量約1.0 l/分で平衡させる。
【0068】
逆浸透からの酢酸コリスチン溶液中の塩含有率を、(NHSOを加えることによって約200mMに調整し、pHを希アンモニアで約7に調整する。酢酸コリスチン溶液の濃度は15〜20g/lである。この溶液を流量950〜1050ml/分でHICカラムに通す。溶出は床容積の10倍で進行する。溶出液分画の収集はPLCによって自動的に行われる。試料を各分画から抜き出し、分析する。あらかじめ設定した規格に適合する分画をプールし、ポリミキシンEに関して94〜98%の純度のバッチをもたらす。ポリミキシンEの濃縮および硫酸アンモニウムの除去を、10〜20g/lの濃度まで限外濾過によって行う。
コリスチン塩基モノ成分の沈澱
この溶液をDI水で10g/lに希釈し、それが均質になるまで撹拌する。pHを水酸化ナトリウムで9.6〜9.8に調整し、撹拌を続行し、その間にコリスチン塩基モノ成分が沈澱する。この沈澱をフィルタープレス上での濾過によって回収する。濾過が完了したとき、ケーキを約800リットルのDI水で洗浄し、DI水を空気で置き換える、コリスチンモノ成分ケーキをフィルタープレスから取り出し、冷凍機に貯蔵する。
硫酸コリスチンモノ成分への変換
コリスチン塩基モノ成分を、撹拌しながらDI水に懸濁させ、溶解させる。pHを希硫酸で5.0に調整する。この溶液を0.45μmフィルターを通して濾過する。
凍結乾燥、ミリングおよび貯蔵
濾過した溶液をステンレススチール冷凍乾燥トレーに満たし、範囲−25℃→+45℃のPIC制御温度分布を用いて約70時間凍結乾燥させる。乾燥品を凍結乾燥機から取り出し、所望の粒子分布を得るためにミルにかける。
分析HPLC法
方法1:発酵からコリスチン塩基までの製造過程管理のためのHPLC
機器:
ポンプ:Model 6000A/510
注入器:WISP 712 A
検出器:Model 441
プレフィルター:Guard Pak、Resolve C18(除外してもよい)
カラム:Resolve C18、10×8.5ミクロンまたはNova−Pak、4ミクロン
カラム付属品:RCM 8×10
からなる、Waters自動HPLC機器
方法:定組成法
移動相:
緩衝液:硫酸ナトリウム十水和物、16.1g(0.05M)濃度、酢酸、0.56ml(0.01M)トリエチルアミン 20ml(0.15M)、水で1000mlにする。pHをリン酸で2.5に調整する。
【0069】
代わりの緩衝液:硫酸ナトリウム 0.04M、メタンスルホン酸 0.56M、トリエチルアミン 0.087M、pHを3.0に。
使用前に、アセトニトリル、170gを緩衝液に溶解させて1000mlにする。
【0070】
この溶液をヘリウムで15分間脱気する。
アッセイ手順:
流量:1.5ml/分、あるいは1.0ml/分。
【0071】
温度:周囲温度。
注入量:20マイクロL、あるいは25。
検出:214nm、0.1 AUFSまたは1.0 AUFS。
【0072】
ランニング時間:30分。
標準品:1mg/mlにするために水に溶解された、硫酸コリスチンの基準標準品
標準品:コリスチン塩基、0.1M塩酸中1.0mg/ml
分析試料:0.5〜1mg/mlを含有するように希釈する。希釈剤:3%リン酸、40ml、およびアセトニトリル、60ml。濁っている場合は遠心分離。
方法2:最終バルク製品までのコリスチン塩基についてのHPLC
機器:
ポンプ:Model 510
注入器:717プラス自動サンプラー
検出器:490E
プレフィルター:Guard Pak、Nova−Pak、C18
カラム:Nova−Pak、C18、60Å、4μm、150×4.6mm
カラムオーブン:Jones Chromatography
Model 7955
からなる、Waters自動HPLC機器
試薬:
硫酸ナトリウム、無水、プロ分析
トリエチルアミン、HPLCグレード
メタンスルホン酸、≧99%
Mili−Q水
緩衝液:硫酸ナトリウム、無水、28.4g(0.10M)、トリエチルアミン 14.0ml(0.55M)、メタンスルホン酸 10.0ml(0.06M)、Milli−Q水で2000mlにする。
【0073】
緩衝液を、0.45μmフィルターを通して真空濾過する。
A溶出液:50%緩衝液、35%Milli−Q水、15%アセトニトリル。pHをメタンスルホン酸で2.0に調整する。
【0074】
B溶出液:50%緩衝液、20%Milli−Q水、30%アセトニトリル。pHをメタンスルホン酸で2.0に調整する。
試料調製:
酢酸コリスチン:0.05M酢酸中1〜2g/l。30分間撹拌し、0.45μm膜フィルターを通して濾過する。
標準品:
2つの工場内標準品、高活性(2000μg/mg)の1つおよび低活性(400μg/mg)の1つを調製する。
【0075】
アッセイ手順:
流量:0.8ml/分
カラムの温度:25℃
検出:214nm
時定数:1.0秒
AUFS:1.000AU
Auto zero:オン
Wisp温度:25℃
注入量:20μl/ラン
グラジエントプログラム:
【0076】
【表1】

【0077】
溶出液Aをブラインドとして使用し、標準品および試料から差し引く。
方法3:硫酸コリスチンモノ成分についてのHPLC
機器:
ポンプ:Model 510
注入器:717プラス自動サンプラー
検出器:490E
カラム:Nova−Pak、C18、60Å、4μm、250×4,6mm
カラムオーブン:Jones Chromatography
Model 7955
からなる、Waters自動HPLC機器
試薬:
Milli−Q水
アセトニトリル、HPLCグレード
メタンスルホン酸、≧99%
トリエチルアミン、HPLCグレード
硫酸ナトリウム、無水、プロ分析
緩衝液:硫酸ナトリウム、無水、28.4g(0.10M)、トリエチルアミン 14.0ml(0.55M)、メタンスルホン酸 10.0ml(0.06M)、Milli−Q水で2000mlにする。
【0078】
緩衝液を、0.45μmフィルターを通して真空濾過する。
A溶出液:50%緩衝液、35%Milli−Q水、15%アセトニトリル。pHをメタンスルホン酸で2.0に調整する。
【0079】
B溶出液:50%緩衝液、20%Milli−Q水、30%アセトニトリル。pHをメタンスルホン酸で2.0に調整する。
試料調製:
硫酸コリスチンモノ成分:Milli−Q水中2.8mg/ml。15分間撹拌し、0.45μm膜フィルターを通して濾過する。
【0080】
アッセイ手順:
流量:1.0ml/分
検出波長:214nm
カラム温度:25℃
注入量:40μl
オートサンプラー温度:25℃
グラジエントプログラム:
【0081】
【表2】

【0082】
参考文献
1)Suzuki,T.,Hayashi,K.,Fujikawa,K.(1963)Studies on the Chemical Structure of Colostin:III.Enzymatic Hydrolysis of Colistin A,J Biochem 54:412−418
2)Elverdam,I.,P.Larsen and E.Lund(1981)Isolation and characterization of three new polymyxins in polymyxin B and E by high−performance liquid chromatography.J.Chrom.(218)653−661

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸および高エタノール濃度中のコリスチン塩基をカラムに装填する工程と
低エタノール濃度で溶出する工程と
を備える、逆相クロマトグラフィーによるコリスチンの精製方法。
【請求項2】
前記高エタノール濃度が20%〜30%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高エタノール濃度が20%〜24%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高エタノール濃度が24%である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記低エタノール濃度が10〜15%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記低エタノール濃度が12%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酢酸濃度が0,1Mである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
疎水性相互作用クロマトグラフィーの工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
移動相のpHが7〜8である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記移動相のpHが7,5である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記高エタノール濃度が24%であり、
前記低エタノール濃度が12%であり、
前記酢酸濃度は0.1Mであり、
前記移動相のpHが7.5であり、そして
前記固定相がC8−樹脂である、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法によって製造される製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509365(P2013−509365A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535718(P2012−535718)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064472
【国際公開番号】WO2011/051070
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(505371232)クセリア ファーマシューティカルズ エーピーエス (13)
【氏名又は名称原語表記】Xellia Pharmaceuticals ApS
【住所又は居所原語表記】11 Dalslandsgade,DK−2300 Copenhagen S,DENMARK
【Fターム(参考)】