説明

コルゲートマシンおよびこれに用いる生産管理装置

【課題】ブリッジ部に滞留する片面段ボールの長さを正確に検出して、運転を制御できるコルゲートマシンを提供する。
【解決手段】シングルフェーサと、ブリッジ部7と、ダブルフェーサ11と、処理装置と、滞留長算出部83を有し、装置全体の動作を制御する生産管理装置21と、を備えるコルゲートマシンであって、滞留長算出部83には、ブリッジ部7に入る片面段ボールの段山を検出する入口段山センサ75およびブリッジ部7から出る片面段ボールの段山を検出する出口段山センサ77を用いてブリッジ部7に滞留する片面段ボールの段山数を算出する段山数算出部93と、出口段山センサ77が所定数の段山数を検出する間に処理装置の近傍における両面段ボールが搬送される距離を所定数で除算して段山ピッチを算出する段山ピッチ算出部95と、段山数に段山ピッチを乗算して滞留長を演算する滞留長演算部97と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲートマシンおよびこれに用いる生産管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コルゲートマシンは、片面段ボールを形成するシングルフェーサと、片面段ボールに表ライナ紙を貼合せて両面段ボールを形成するダブルフェーサとを少なくとも備えている。
シングルフェーサでは、ミルロールスタンドから供給された中芯を波形に加工し、別のミルロールスタンドから供給される裏ライナを貼合せて片面段ボールが形成される。
シングルフェーサで形成された片面段ボールは下流側に設けられるブリッジ部へ送られ、そこで貯留されながら下流のダブルフェーサにその速度に合わせて送られる。
ダブルフェーサでは、ブリッジ部から送られる片面段ボールに別途設けられているミルロールスタンドから送られる表ライナが貼合わされて両面段ボールが形成される。
【0003】
ダブルフェーサを通過した両面段ボールはスリッタスコアラにより搬送方向に所定のスリットや罫線を入れられた後、カットオフ装置により幅方向に切断されて段ボールシートとされ、スタッカに積上げられ、順次排出される。
各ミルロールスタンドにはそれぞれ2つのロール紙が装着可能で、一方のロール紙から他方のロール紙へ紙継ぎすることにより連続して段ボールシートは生産される。
ユーザの注文により1オーダ当りの生産長さは数拾mから数千mまでの範囲でまちまちであり、さらに各オーダ毎に段ボールシートの種類(大きさ、紙質)が異なる。このため、コルゲータマシンでは、1日当り数百種類の異なるオーダの段ボールシートが連続生産されている。
生産される段ボールシートの所定長さと所要枚数は、各オーダ毎に予め生産管理装置にセットされ、生産管理装置が各オーダに対応したダンボールシートを生産するように各部の運転を管理(制御)している。
【0004】
コルゲートマシンはミルロールスタンドからカットオフ装置までに種々の工程を含む長大な設備であり、各工程におけるオーダ替えのタイミングは当然異なる。
例えば、ミルロールスタンドにおいて、次オーダのために紙継ぎを行なう場合、ミルロールスタンドからカットオフ装置までに存在する片面段ボール、両面段ボール等の長さが現オーダの残生産長さまたは残生産枚数を確保できるものでなければならない。
このため、オーダ通りの生産枚数を確保し、かつ、余分な生産枚数を増加させないためには、コルゲートマシンの途中に存在する片面段ボール、両面段ボール等の長さを正確かつ確実に把握することが求められる。
【0005】
コルゲートマシン中に存在する片面段ボール、両面段ボール等の長さはブリッジ部に滞留したものを除けばコルゲートマシンの機器寸法から直ちに判るが、ブリッジ部における滞留量はその構造寸法などが判っていても知ることができないのであり、このため従来これを測定するために、例えば、特許文献1に記載されているように種々の方法が実施され、また提案されている。
特許文献1では、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数を検出し、それに1山の基準ピッチを乗算して滞留長さを算出する従来方法1は、実際のピッチは常に変動するので、それに対応する誤差が生じる。また、裏ライナと接触する計測ローラおよび両面段ボールに接触する計測ローラによる出入りをカウントして滞留長さを算出する従来方法2は、熱膨張やスリップによる誤差が、走行長さが長くなるに連れて増大するため、少なからぬ誤差を生じる。
【0006】
特許文献1に示される発明は、従来方法1と同様にブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数を検出し、かつ、裏ライナに当接して回転されるローラの回転量に応じた数の比較的パルスピッチの小さい長さ算出用パルスを発生する長さ算出用パルス発生器を設けられている。そして、滞留する段山毎に発生する長さ算出用パルスを記憶しておき、ブリッジ部に滞留した片面段ボールの全山数に対応した長さ算出用パルスの数を算出し、この算出値に長さ算出用パルスのピッチを乗じるものである。
これにより、各段山毎に発生する長さ算出用パルスを記憶するので、1回毎の算出用パルス発生器の回転量が少なくなる。このため、算出用パルス発生器の誤差の累積が少なくなるので、測定精度が向上するというものである。
【0007】
【特許文献1】特開平7−47622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示される発明では、シングルフェーサへ供給される裏ライナの移動量を測定してシングルフェーサから出る段山ピッチを算出しているが、この裏ライナはシングルフェーサで中芯と貼合される際、糊等によって水分を与えられ、さらに、ブリッジ部で乾燥される等の処理を受け変形するので、製品としての両面段ボールの長さとは誤差を生じる。
また、シングルフェーサから繰り出される片面段ボールの段山ピッチはブリッジ部で変わるので、製品としての両面段ボールの長さとは誤差を生じる。
さらに、長さ算出用パルス発生器は段山ピッチに対応する裏ライナの移動量を測定するものである。段山ピッチは、Aフルートで約8.5mm、Bフルートで約6mmと短い距離である。高速で、かつ振動しながら移動する裏ライナで、この短い距離を精度良く測定するのは現実問題と困難である。
したがって、特許文献1に示される発明では、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの長さを十分な精度で算出するのは難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの長さを正確に検出して、それに応じて運転を制御できる生産管理装置およびこれを用いたコルゲートマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるコルゲートマシンは、段付き加工された中芯に裏ライナを貼合させて片面段ボールを製造する少なくとも一台のシングルフェーサと、該シングルフェーサからの片面段ボールを貯留しつつ次工程へ供給するブリッジ部と、該ブリッジ部から供給される片面段ボールの前記中芯側に表ライナを貼合して少なくとも両面段ボールを製造するダブルフェーサと、前記ダブルフェーサから搬送される前記両面段ボールを段ボールシートに切断処理する処理装置と、少なくとも前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を算出する滞留長算出部を有し、装置全体の動作を制御する生産管理装置と、を備えるコルゲートマシンであって、前記滞留長算出部には、前記ブリッジ部に入る片面段ボールの段山を検出する入口段山センサおよび前記ブリッジ部から出る片面段ボールの段山を検出する出口段山センサを用いて前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数を算出する段山数算出部と、前記出口段山センサが所定数の段山を検出する間に前記処理装置の近傍における前記両面段ボールが搬送される距離を検出し、該距離を前記所定数で除算して前記段山ピッチを算出する段山ピッチ算出部と、前記段山数算出部で算出された前記段山数に前記段山ピッチ算出部で算出された前記段山ピッチを乗算して前記滞留長を演算する滞留長演算部と、が備えられていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、段山数算出部では、例えば、片面段ボールの所定点が、例えば、入口段山センサを通過した時点から入口段山センサが段山を検出する毎に加算カウントする。また、入口段山センサは、例えば、中芯が段繰りされる、あるいはそれに相当する数をカウントするようにしてもよい。
片面段ボールの所定点が、例えば、出口段山センサを通過した時点から、入口段山センサが段山を検出する毎に加算カウントし、出口段山センサが段山を検出する毎に減算カウントする。
なお、入口段山センサの加算カウント開始タイミングは片面段ボールがブリッジ部に到るまでの間の任意の位置に、出口段山センサの減算カウント開始タイミングは、ブリッジ部とダブルフェーサとの間の任意の位置に設定できる。
これにより任意時における入口段山センサから出口段山センサまでの間にある、すなわち、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数が正確に算出される。
また、段山ピッチ算出部では、出口段山センサが所定数の段山を検出する間に処理装置の近傍における両面段ボールが搬送される距離を検出し、この距離を所定数で除算して段山ピッチを算出する。
滞留長演算部では、この算出された段山数に段山ピッチを乗算してブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を算出する。
【0012】
このように、段山ピッチを算出するのに、処理装置の近傍で両面段ボールが搬送される距離を用いているので、略製品自体の長さを用いていることになる。
また、所定数の段山が通過する距離を検出しているので、検出する距離はある程度の長さを持つことになり、その検出を精度よく行なうことができる。
さらに、両面段ボールは強度が高く安定して搬送されているので、裏ライナでの検出に比べて一層精度よく検出できる。
なお、所定数は、検出精度、累積誤差の影響および検出タイミング等の観点から数十ないし数百が好適である。
また、出口段山センサの設置場所、すなわち、ブリッジ部から出る場所における片面段ボールの段山を対象にして段山ピッチが算出されるので、片面ダンボールの乾燥処理が略完了し、段山ピッチの変動がより少ない部分で算出されることになる。
これらにより、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を正確に算出することができる。
【0013】
この滞留長が正確に求められると、コルゲートマシン内に存在するシート類の全長さが正確に求められるので、これに基づいて制御される制御動作、例えば、紙継タイミングを正確に行なうことができる。
紙継タイミングが正確になると、裏ライナ、中芯および表ライナの紙継位置の同期精度の向上および仕上がり枚数精度の向上を図ることができる。
紙継位置の同期精度および仕上がり枚数精度が向上すると、紙継部分での不良部分長さが減少するので、不良として廃棄される量が減少し、段ボールシートの製造コストを低減させることができる。
また、出口段山センサは、段山数算出部における段山数の算出および段山ピッチ算出部における段山ピッチの算出に共に用いられているので、個別にセンサを設けるのに比べてコストを低減させることができる。
【0014】
また、本発明にかかるコルゲートマシンでは、前記両面段ボールが搬送される距離は、前記両面段ボールの生産長を測定する計測車を用いて検出していることを特徴とする。
【0015】
このように、両面段ボールが搬送される距離は、両面段ボールの生産長を測定する計測車を用いて検出しているので、段山ピッチ算出用に別途距離測定用の検出器を備える必要がなく、その分安価とすることができる。
【0016】
また、本発明にかかるコルゲートマシンは、前記滞留長演算部は、演算に用いる前記段山ピッチが所定範囲を外れている場合、前に演算に用いた前記段山ピッチあるいは基準段山ピッチを用いて前記滞留量を演算することを特徴とする。
【0017】
例えば、片面段ボールの一部に貼合不良があると、その部分では段付きされた中芯が自由に移動できるので、段山ピッチは大きく変動する。
本発明では、演算に用いる段山ピッチが所定範囲内にあるかをチェックし、それが所定範囲を外れている場合には、異常と判断し、その段山ピッチを演算に用いずに、前に演算に用いた段山ピッチあるいは基準段山ピッチを用いて滞留量を演算するようにしている。
これにより、貼合不良等により大きな誤差が発生することを防止することができる。
【0018】
本発明にかかる生産管理装置は、段付き加工された中芯に裏ライナを貼合させて片面段ボールを製造する少なくとも一台のシングルフェーサと、該シングルフェーサからの片面段ボールを貯留しつつ次工程へ供給するブリッジ部と、該ブリッジ部から供給される片面段ボールの前記中芯側に表ライナを貼合して少なくとも両面段ボールを製造するダブルフェーサと、前記ダブルフェーサから搬送される前記両面段ボールを段ボールシートに切断処理する処理装置と、を備えるコルゲートマシンの運転を制御する生産管理装置であって、前記ブリッジ部に入る片面段ボールの段山を検出する入口段山センサおよび前記ブリッジ部から出る片面段ボールの段山を検出する出口段山センサを用いて前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数を算出する段山数算出部と、前記出口段山センサが所定数の段山を検出する間に前記処理装置の近傍における前記両面段ボールが搬送される距離を検出し、該距離を前記所定数で除算して段山ピッチを算出する段山ピッチ算出部と、前記段山数算出部で算出された前記段山数に前記段山ピッチ算出部で算出された前記段山ピッチを乗算して前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を算出する滞留長演算部と、が備えられていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、段山数算出部では、片面段ボールの所定点が、例えば、入口段山センサを通過した時点から入口段山センサが段山を検出する毎に加算カウントする。片面段ボールの所定点が、例えば、出口段山センサを通過した時点から、入口段山センサが段山を検出する毎に加算カウントし、出口段山センサが段山を検出する毎に減算カウントする。
これにより任意時における入口段山センサから出口段山センサまでの間にある、すなわち、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数が正確に算出される。
なお、入口段山センサの加算カウント開始タイミングは片面段ボールの所定点がシングルフェーサとブリッジ部との間の任意の位置に、出口段山センサの減算カウント開始タイミングは、ブリッジ部とダブルフェーサとの間の任意の位置に設定できる。
また、段山ピッチ算出部では、出口段山センサが所定数の段山を検出する間に処理装置の近傍における両面段ボールが搬送される距離を検出し、この距離を所定数で除算して段山ピッチを算出する。
滞留長演算部では、この算出された段山数に段山ピッチを乗算してブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を算出する。
【0020】
このように、段山ピッチを算出するのに、処理装置の近傍における両面段ボールが搬送される距離を用いているので、略製品自体の長さを用いていることになる。
また、所定数の段山が通過する距離を検出しているので、検出する距離はある程度の長さを持つことになり、その検出を精度よく行なうことができる。
なお、所定数は、検出精度、累積誤差の影響および検出タイミング等の観点から数十ないし数百が好適である。
さらに、出口段山センサの設置場所、すなわち、ブリッジ部から出る場所における片面段ボールの段山を対象にして段山ピッチが算出されるので、片面ダンボールの乾燥処理が略完了し、段山ピッチの変動がより少ない部分で算出されることになる。
これらにより、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を正確に算出することができる。
【0021】
この滞留長が正確に求められると、コルゲートマシン内に存在するシート類の全長さが正確に求められるので、これに基づいて制御される制御動作、例えば、紙継タイミングを正確に行なうことができる。
紙継タイミングが正確になると、裏ライナ、中芯および表ライナの紙継位置の同期精度の向上および仕上がり枚数精度の向上を図ることができる。
紙継位置の同期精度および仕上がり枚数精度が向上すると、紙継部分での不良部分長さが減少するので、不良として廃棄される量が減少し、段ボールシートの製造コストを低減させることができる。
また、出口段山センサは、段山数算出部における段山数の算出および段山ピッチ算出部における段山ピッチの算出に共に用いられているので、個別にセンサを設けるのに比べてコストを低減させることができる。
【0022】
また、本発明にかかる生産管理装置は、前記両面段ボールが搬送される距離は、前記両面段ボールの生産長を測定する計測車を用いて検出していることを特徴とする。
【0023】
このように、両面段ボールが搬送される距離は、両面段ボールの生産長を測定する計測車を用いて検出しているので、段山ピッチ算出用に別途距離測定用の検出器を備える必要がなく、その分安価とすることができる。
【0024】
また、本発明にかかる生産管理装置は、前記滞留長演算部は、演算に用いる前記段山ピッチが所定範囲を外れている場合、前に演算に用いた前記段山ピッチあるいは基準段山ピッチを用いて前記滞留量を演算することを特徴とする。
【0025】
例えば、片面段ボールの一部に貼合不良があると、その部分では段付きされた中芯が自由に移動できるので、段山ピッチは大きく変動する。
本発明では、演算に用いる段山ピッチが所定範囲内にあるかをチェックし、それが所定範囲を外れている場合には、異常と判断し、その段山ピッチを演算に用いずに、前に演算に用いた段山ピッチあるいは基準段山ピッチを用いて滞留量を演算するようにしている。
これにより、貼合不良等により大きな誤差が発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、段山ピッチを算出するのに、処理装置の近傍で両面段ボールが搬送される距離を用いているので、ブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を正確に算出することができる。
これにより、裏ライナ、中芯および表ライナの紙継位置の同期精度の向上および仕上がり枚数精度の向上を図ることができるので、不良部分が減少し段ボールシートの製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
本実施形態は、本発明を両面段ボールシートを製造する両面段ボール製造用のコルゲートマシン1に適用したものである。
図1は、コルゲートマシン1を示す模式的な構成図である。
コルゲートマシン1には、ミルロールスタンド3と、シングルフェーサ5と、ブリッジ部7と、グルーマシン9と、ダブルフェーサ11と、ロータリシャ13と、スリッタスコアラ(処理装置)15と、カットオフ(処理装置)17と、スタッカ19と、生産管理装置21とが備えられている。
これらの機器は、同一床面FL上に設置されている。
【0028】
ミルロールスタンド3は、前後方向両側にそれぞれ原紙がロール状に巻かれたロール紙23が装着されるように構成されている。
ミルロールスタンド3の上部には、紙継ぎを行なうスプライサ25が備えられている。
一方の紙ロール23から給紙されている場合に、他方の紙ロール23が装着され、紙継ぎ準備がなされる。一方の紙ロール23の原紙が残り少なくなると、スプライサ25によって他方の紙ロール23の原紙に紙継ぎされる。そして、他方の紙ロール23から原紙が供給されている間に一方の紙ロール23が装着され紙継ぎ準備がなされる。
このようにして、原紙は順次紙継ぎされミルロールスタンド3から下流側へ向けて連続的に繰り出されることになる。
【0029】
各原紙は、用途に応じて裏ライナ、中芯および表ライナとよばれている。
ミルロールスタンド3は、供給する紙の用途に応じて裏ライナ用ミルロールスタンド3a、中芯用ミルロードスタンド3bおよび表ライナ用ミルロードスタンド3cが備えられている。
裏ライナ用ミルロールスタンド3aは、シングルフェーサ5に対して裏ライナ27を供給するものである。
中芯用ミルロードスタンド3bは、シングルフェーサ5に対して段繰り加工される中芯29を供給するものである。
表ライナ用ミルロールスタンド3cは、ダブルフェーサ11に対して表ライナ31を供給するものである。
【0030】
シングルフェーサ5には、上段ロール33と、下段ロール35と、糊付装置37と、加圧ベルト39と、が備えられている。
上段ロール33および下段ロール35の周面には、軸線方向に延在する凹部と凸部とが交互に形成されている。
上段ロール33および下段ロール35は、それぞれの凹部と凸部とが相互に噛合うように設置され、両者の噛合い部で中芯用ミルロードスタンド3bから両者の間に供給される中芯29を段繰りして波状に加工するように構成されている。
【0031】
糊付装置37は、上段ロール33の周面における上段ロール33と下段ロール35との噛合い部の回転方向下流側に設置され、中芯29の頂部に糊を付ける機能を有している。
加圧ベルト39は、上段ロール33の上方に設置され、上段ロール33に対して接離するように設けられている。
加圧ベルト39は、裏ライナ用ミルロールスタンド3aから供給される裏ライナ27を上段ロール33の周面に沿って運ばれている波加工された中芯29に押圧し、貼り合わせて片面段ボール41を形成する機能を有している。
片面段ボール41は、裏ライナ25の片面に幅方向に延在する段山42(図2参照)が搬送方向に並設された形状をしている。
【0032】
シングルフェーサ5の搬送方向下流側の斜め上方には、取上げコンベア43が設置されている。取上げコンベア43は、一対の無端ベルトで構成され、シングルフェーサ5において形成された片面段ボール41を挟持してブリッジ部7に搬送する機能を有している。
ブリッジ部7は、シングルフェーサ5とダブルフェーサ11以降の機器との速度差を吸収するために片面段ボール41を一次的に滞留させるものである。
グルーマシン9は、ブリッジ部7とダフルフェーサ11との間に介装されており、片面段ボール41の段山42の頂部に糊を付ける糊付装置45が備えられている。
【0033】
ダブルフェーサ11は、片面段ボール41と表ライナ31とを貼り合わせて両面段ボール47を形成するものである。
ダブルフェーサ11には、熱板49と、ウェイトロール51と、上部コンベア53と、下部コンベア55とが備えられている。
熱板49は、金属製の中空の箱であり、内部の加熱源によって上面は高温に維持されている。
熱板49は、両面ダンボール47の搬送方向に複数並置され、それらの上面が両面ダンボール47の下面を案内するとともに加熱するように構成されている。
【0034】
ウェイトロール51は、熱板49の上方に軸線が搬送方向に直交するように設置されている。
ウェイトロール51は、両面ダンボール47の搬送方向に複数並置され、両面ダンボール47を上側から熱板49に向けて押圧するものである。
上部コンベア53および下部コンベア55は、両面段ボール47を上下から挟持して搬送するものである。
【0035】
ロータリシャ13は、ダブルフェーサ11の下流側に設置されており、両面段ボール47を幅方向に全幅切断あるいは部分切断するものである。
ロータリシャ13には、例えば、それぞれ軸線が幅方向に延在し、対向配置されたナイフシリンダ57とアンビルシリンダ59と備えられている。
ナイフシリンダ57の周面には幅方向に延設されたナイフが備えられている。
アンビルシリンダ59は、ナイフシリンダ57のナイフを受けるもので、例えば、ナイフの受部は軸方向に分割され、切断に要する部分を選択的にナイフに係合させることができるように構成されている。
【0036】
スリッタスコアラ15は、幅広の両面段ボール47を搬送方向に所定の幅を持つように切断し、かつ搬送方向に延在する罫線を加工するものである。
スリッタスコアラ15は、両面段ボール47の搬送方向に沿って配列された略同一構造をした第一スリッタスコアラユニット15aと第二スリッタスコアラユニット15bとから構成されている。以下、第一スリッタスコアラユニット15aで構造を説明する。
第一スリッタスコアラユニット15aには、搬送方向の上流側に両面段ボール47を挟んで対向配置される上罫線ロール61と下罫線ロール63との組が幅方向に複数組備えられている。上罫線ロール61および下罫線ロール63はそれぞれ幅方向および上下方向に移動可能にされている。
【0037】
上罫線ロール61の円周面の略中央部には、周方向に連続した凸部が形成されている。下罫線ロール9の円周面の略中央部には、周方向に連続した凹部が形成されている。
上罫線ロール61および下罫線ロール63の下流側には、両面段ボール47を挟んで対向配置される上スリッタナイフ65と下スリッタナイフ67との組が幅方向に複数組備えられている。上スリッタナイフ65および下スリッタナイフ67はそれぞれ幅方向および上下方向に移動可能にされている。
上スリッタナイフ65および下スリッタナイフ67は、それぞれ円板状で、外周部が鋭利な刃物であり、高速で回転させられるように構成されている。
【0038】
カットオフ装置17は、スリッタスコアラ15によって搬送方向に切断された両面段ボール47を幅方向に切断し、板状の段ボールシート71を形成するものである。
カットオフ装置17には、両面段ボール47を挟んで対向配置され、相互に反対方向に回転される一対のナイフシリンダ69,69が備えられている。
ナイフシリンダ69の周面には幅方向に延設されたナイフが備えられている。
一対のナイフシリンダ69,69が回転してナイフが噛合うことにより両面段ボール47は幅方向に切断されるように構成されている。
カットオフ装置17の下流側には、不良段ボールシート71を下方に排出する排出手段が備えられている。
スタッカ19は、搬送コンベア73によって搬送される段ボールシート71を積み上げ、製品として機外に排出するものである。
【0039】
生産管理装置21は、オーダ通りの生産枚数を生産する生産枚数管理、オーダの変更に対応するオーダ替えおよび品質管理を行なうためにコルゲートマシン1の各部を制御するものである。
生産管理装置21に生産状況等の情報を提供するためにコルゲートマシン1の各部に種々のセンサ類が備えられている。
本発明に関連するとして、図2に示されるように、入口段山センサ75と、出口段山センサ77と、計測車79と、計測車エンコーダ81とが備えられている。
【0040】
入口段山センサ75は、シングルフェーサ5とブリッジ部7との間の位置で、片面段ボール41の段山42に対向するように設置されている。
出口段山センサ77は、ブリッジ部7とグルーマシン9との間の位置で、片面段ボール41の段山42に対向するように設置されている。
入口段山センサ75および出口段山センサ77は、例えば、片面段ボール41に向けてレーザ光を発射し、その反射光によって段山42の頂部を検出するものである。
入口段山センサ75および出口段山センサ77は段山42の頂部を検出すると検出信号(入口段山信号および出口段山信号)を発信するように構成されている。
なお、入口段山センサ75は、シングルフェーサ5の上段ロール33と噛合って回転する段ロールギアに対向して配置された電磁近接スイッチとし、段ロールギアの段(上段ロール33周面の凹部に噛合う凸部)の数を検出して検出信号を発信するようにしてもよい。これは、中芯29が段繰りされて波状に加工される(あるいはそれに相当する)数をカウントすることとなる。
【0041】
計測車79は、ロータリシャ13のダブルフェーサ側に、回転可能に取り付けられている。
計測車79は、その軸線は両面ダンボール47の搬送方向に直交するように、かつ、両面段ボール47に接触してその搬送に伴い回転するように設置されている。
計測車エンコーダ81は、計測車79が所定量回転する毎にパルス(計測車パルス)を発信するように構成されている。
計測車79の所定量回転に対応する計測車79の周長がレートであり、パルス間に移動する両面段ボール47の距離を示すこととなる。
【0042】
生産管理装置21には、滞留長算出部83と、生産長算出部85と、原紙設定長記憶部87と、供給残長算出部89と、動作制御部91とが備えられている。
滞留長算出部83は、入口段山センサ75と出口段山センサ77との間、すなわち、ブリッジ部7に滞留している片面段ボール41の長さ(滞留長L)を算出するものである。
滞留長算出部83には、段山数算出部93と、段山ピッチ算出部95と、滞留長演算部97と、が備えられている。
段山数算出部93は、入口段山信号分配器99を経由して入口段山センサ75の入口段山信号を、出口段山信号分配器101を経由して出口段山センサ77の出口段山信号を、それぞれ受取り、これらに基づいてブリッジ部に滞留している片面段ボール41の段山数Nを算出するものである。
【0043】
段山ピッチ算出部95は、出口段山信号分配器101を経由して出口段山センサ77の出口段山信号を、計測車パルス分配器103を経由して計測車エンコーダ81の計測車パルスを、それぞれ受取り、これらに基づいて段山ピッチP(図2参照)を算出するものである。
滞留長演算部97は、段山数算出部93で算出された段山数Nに、段山ピッチ算出部95で算出された段山ピッチPを乗算して滞留長Lを算出するものである。
滞留長演算部97には、演算に用いた段山ピッチPを順次上書き記憶する機能が備えられている。
【0044】
生産長算出部85は、計測車パルス分配器103を経由して計測車エンコーダ81の計測車パルスを受取るように構成されている。
生産長算出部85は、例えば、現オーダの始端部が計測車79を通過するタイミングで受取る計測車パルスを加算カウントし、カウントされた計測車パルス数にレートを乗算して計測車79を通過した現オーダの両面段ボール47の長さ(生産長S)を算出する。
なお、生産長Sは、例えば、カットオフ装置17のナイフシリンダ69の回転数に、段ボールシート71の長さを乗算して算出されるようにしてもよい。
原紙設定長記憶部87は、現オーダで生産される段ボールシート71の、例えば、長さと生産枚数の情報を得て、それを製造するに必要な原紙長S0を算出して記憶するものである。
【0045】
供給残長算出部89は、滞留長演算部97から滞留長Lを受取り、ミルロールスタンド3から計測車79までに存在する原紙、片面段ボールおよび両面段ボール等の長さ(全滞留長La)を算出し、これに生産長算出部85からの生産長Sを加え現オーダの生産のためにミルロールスタンド3から給紙された長さを算出する。そして、供給残長算出部89は原紙設定長記憶部87から受取る現オーダを製造するのに必要な原紙長S0からこの既に給紙された長さを除算することで、現オーダの生産を行なうために今後必要なミルロールスタンド3から給紙する長さ(供給残長Lz)を算出するものである。
【0046】
動作制御部91は、コルゲートマシン1の各部の動作を制御するものである。
動作制御部91では、例えば、供給残長算出部89で算出された供給残長Lzを受取り、供給残長Lzが所定値となる前に紙継準備を行ない、供給残長Lzが0になったタイミングでスプライサ25に紙継ぎするように指示し、紙継ぎを行なわせる。
【0047】
以上、説明した本実施形態にかかるコルゲートマシン1の動作について説明する。
まず、段ボールシート71の製造動作について図1に基づいて説明する。
中芯用ミルロールスタンド3bから中芯29がシングルフェーサ5の上段ロール33と下段ロール35との間に供給される。
裏ライナ用ミルロールスタンド3aから裏ライナ27が、上段ロール33と加圧ベルト39との間に供給される。
供給された中芯29は上段ロール33と下段ロール35との噛合い部で波状に段繰り加工される。
波状に加工された中芯29は、上段ロール33の周面に沿って運ばれる途中で、その段頂部に糊付装置37によって糊が付けられる。
【0048】
この状態で運ばれる中芯29が加圧ベルト39との係合部に到ると、加圧ベルト39が裏ライナ27を中芯29側に押圧し、中芯29の段頂部と裏ライナ27とを貼り合せて、片面段ボール41を形成する。
このようにして形成された片面段ボール41は、取上げコンベア43によって取上げられ、ブリッジ部7に搬送される。
片面段ボール41はブリッジ部7からダブルフェーサ11へ搬送されるが、ダブルフェーサへの搬送速度がシングルフェーサ5からの搬送速度よりも小さいので、片面段ボール41はブリッジ部7に複数の湾曲状を形成して滞留することとなる。
片面段ボール41は、ブリッジ部7に滞留している間に、糊が裏ライナ27および中芯29に十分に浸透し、さらに乾燥するので、強固に貼合された片面段ボール41となる。
【0049】
ブリッジ部7からダブルフェーサ11へ供給される片面段ボール41は、グルーマシン9の糊付装置45によって段頂部に糊を付けられる。
糊を付けられた片面段ボール41は、表ライナ用ミルロールスタンド3cから供給される表ライナ31と貼り合わされてダブルフェーサ11に導入される。
【0050】
ダブルフェーサ11に導入された片面段ボール41と表ライナ31とは、中芯29の段頂部に付着された糊を介して接合された状態になり、ウェイトロール51によって熱板49に押付けられつつ熱板49上を摺動しながら走行する。
この時、熱板49に接する表ライナ31は、熱板49から熱を受けて昇温され、片面段ボール66と表ライナ64との間の糊が乾燥固化されて両面段ボール47が形成される。
両面段ボール47は熱板49を通過してもしばらく上部コンベア53および下部コンベア55に挟持されて搬送され、この間に冷却される。
【0051】
ダブルフェーサ11から搬出された両面段ボール47は、スリッタスコアラ15に導入される。
両面段ボール47は、第一スリッタスコアラユニット15aの上罫線ロール61および下罫線ロール63によって折り曲げ易くするための罫線が搬送方向に沿って加工され、次いで、上スリッタナイフ65および下スリッタナイフ67によって搬送方向に沿って断裁される。
この時、動作制御部91の指示によって第二スリッタスコアラユニット15bは待機状態とされ、上罫線ロール61および下罫線ロール63と上スリッタナイフ65および下スリッタナイフ67との幅方向位置を次オーダの加工位置に移動させる等のオーダ替え準備を行なっている。
【0052】
スリッタスコアラ15を通過した両面段ボール47は、カットオフ装置のナイフシリンダ69,69によって幅方向に切断され、所定長さの段ボールシート71となる。
段ボールシート71は、搬送コンベア73によって搬送され、スタッカ19に積み上げられ、機外に排出される。
【0053】
次に、原紙の種類が変わるオーダ替えを例としてオーダ替えについて説明する。
このようなオーダ替えでは、裏ライナ用ミルロールスタンド3a、中芯用ミルロールスタンド3bおよび表ライナ用ミルロールスタンドにおいてオーダの切換位置で紙継ぎが行なわれる。
このように原紙の種類が変わる時の紙継ぎを特に「紙替え」と称し、通常の一方のロール紙がなくなり、他方の同一種類のロール紙からの原紙に「紙継ぎ」することと区別している。
紙継部分が含まれる段ボールシート71は製品にならず、不良段ボールシート71として廃棄されるので、不良を少なくするためには、紙替えの場合、裏ライナ27、中芯29および表ライナ31の紙継ぎ位置が同期することが重要となる。
【0054】
このため、現オーダの終了位置を正確に把握することが必要になる。
現オーダの終了位置を把握する方法について説明する。
現オーダの終了までに、供給する必要のある供給残長Lzは、現オーダを生産するのに必要な原紙長S0から、既に生産された生産長Sおよびミルロールスタンド3から計測車79までに滞留している全滞留長Laを除算したものとなる。
原紙長S0は、原紙設定長記憶部87によって現オーダで生産される段ボールシート71の、例えば、長さと生産枚数の情報に基づいて算出され、原紙設定長記憶部87に記憶される。
【0055】
生産長Sは、生産長算出部85によって算出される。
生産長算出部85では、例えば、現オーダの始端部が計測車79を通過する時点から計測車エンコーダ81より受取る計測車パルスが加算カウントされ、このカウントされた計測車パルス数にレートが乗算される。
このようにして、計測車79を通過した両面段ボール47の長さが生産長Sとして算出される。
【0056】
次に、全滞留長Laの算出について説明する。全滞留長Laには、機器寸法から直ちに分る部分と、分らない部分とが含まれている。
機器寸法から分らないブリッジ部7に滞留している片面段ボール41の長さの算出方法について説明する。
段山数算出部93は、シングルフェーサ5から搬送される片面段ボール41の所定点、例えば、現オーダの始端部分が、シングルフェーサ5とブリッジ部7との間の第一所定位置を通過した時点から入口段山センサ75より受取る入口段山信号の加算カウント(第一カウント)を開始する。
段山数算出部93は、ブリッジ7から搬送される片面段ボール41の現オーダの始端部分が、ブリッジ部7とダブルフェーサとの間の第二所定位置を通過した時点から出口段山センサ77より受取る出口段山信号の加算カウント(第二カウント)を開始する。
段山数算出部93は、第一カウントから第二カウントを減算して段山数Nを算出する。
【0057】
これらの開始タイミングは、例えば、片面段ボール41の所定点にマークを付けておき、そのマークを第一所定位置および第二所定位置に設置した検出器で検知させることで計られる。
第一カウントは、片面ダンボール41の所定点が第一所定位置を通過した段山をカウントしていることになる。
第二カウントは、片面ダンボール41の所定点が第二所定位置を通過した段山をカウントしていることになる。
したがって、第一カウントから第二カウントを減算すると、第一所定位置から第二所定位置までに存在する、すなわち、ブリッジ部に滞留する片面段ボール41の全ての段山数Nが算出されることになる。
【0058】
段山ピッチ算出部95での段山ピッチPの算出について、図3により説明する。
段山ピッチ算出部95は、算出指示によって段山ピッチPの算出を開始する(ステップS1)
段山ピッチ算出部95では、所定のカウンタで、出口段山センサ77から送られる出口段山信号のカウントを開始する(ステップS2)。出口段山信号は、段山42が出口段山センサ77を通る毎に発信されるので、ステップS2では出口段山センサ77を通過する段山数をカウントしていることになる。
【0059】
同時に、別のカウンタで、計測車エンコーダ81から送られる計測車パルスのカウントを開始する(ステップS3)。計測車パルスは計測車が所定角度回転、すなわち、両面段ボール47が所定距離移動する毎に発信されるので、カウント開始からの両面段ボール47の移動量に相当するものをカウントしていることになる。
ステップS2でカウントを開始した段山数が所定数、例えば、100になったかを判定する(ステップS4)。
なお、所定数は、検出精度、累積誤差の影響および検出タイミング等の観点から数十ないし数百の範囲で適宜選択される。
【0060】
段山数が100に達していない場合(NO)には、出口段山信号および計測車パルスのカウントを継続する。
段山数が100に達した場合(YES)には、段山ピッチ算出部95はカウントされた計測車パルス数にレート(計測車パルス1個当たりの両面段ボール47の移動距離)を乗算して、この間の両面段ボール47の移動距離(走行長)を算出する(ステップS5)。
その後、この走行長を対応する段山数である100で除算して段山ピッチPを算出する(ステップS6)。
【0061】
このように、段山ピッチPを算出するのに、計測車79で検出される両面段ボールの走行長を用いているので、製品自体の長さを用いて算出していることになる。
また、100個の段山が通過する距離を検出しているので、この間の走行長はAフルートでは約85cm、Bフルートでは約60cmとなる。さらに、両面段ボール47は強度が高く安定して搬送されていることもあり、通常の計測車79でも精度よく検出することができる。
また、出口段山センサ77は、ブリッジ部7とダブルフェーサ11との間に設置されているので、片面ダンボール41の乾燥処理が略完了し、段山ピッチPの変動がより少ない部分で算出されることになる。
【0062】
これらにより、段山ピッチPを、実際の製品である両面段ボール47に即して、かつ、精度よく算出することができる。
また、段山数算出部95における段山数の算出および走行長の算出には、段山数算出部93で用いられる出口段山センサ77および生産長算出部85で用いられる計測車79の信号が用いられているので、段山ピッチ算出用に別途検出器を備える必要がなく、その分安価とすることができる。
【0063】
なお、段山数算出部95では、図3に示される上述の段山ピッチPの算出を、例えば、10山ずつずらしながら行い、それぞれで算出された段山ピッチPを平均し、この平均した段山ピッチPを滞留長演算部97へ提供するようにしてもよい。
このようにすると、段山ピッチの変動が大きいような場合にも、より正確な段山ピッチPを滞留長演算部97へ提供することができる。
【0064】
滞留長演算部97での滞留長Lの算出について、図4により説明する。
滞留長演算部97は、算出指示によって滞留長Lの算出を開始する(ステップS11)。
滞留長演算部97は、段山数算出部93で算出された段山数Nを受取り、入力する(ステップS12)。
次いで、滞留長演算部97は、段山ピッチ算出部93で算出された段山ピッチPを受取り、入力する(ステップS13)。
【0065】
滞留長演算部97は、入力された段山ピッチPが所定範囲に納まっているか判定する(ステップS14)。
なお、所定範囲としては、例えば、基準段山ピッチ(理論上の段山ピッチ)の±1%としている。
段山ピッチPが所定範囲内に納まっている場合(YES)には、滞留長演算部97は入力された段山数Nに入力された段山ピッチPを乗算して、滞留長Lを算出する(ステップS15)。
この算出に用いた段山ピッチPは、記憶される。この記憶は、順次上書きされるように行なわれる。したがって、算出に用いられた最新の段山ピッチPが記憶されていることになる。
【0066】
段山ピッチPが所定範囲内に納まっていない場合(NO)には、貼合不良等の不良部分を含むものと判断し、入力された段山ピッチに替えて、記憶されている前回算出に用いられた段山ピッチPを演算部に供給し(ステップS16)、この段山ピッチPと段山数Nとを乗算して滞留長Lを算出する。
なお、この場合前回算出に用いられた段山ピッチPを用いる換わりに基準段山ピッチを用いるようにしてもよい。
【0067】
このように、滞留長Lは実際の製品に即して正確に算出される段山ピッチPを用いて算出されるので、滞留長Lを誤差が少なく正確に算出することができる。
また、誤差の多い貼合不良等の不良部分を含む部分の段山ピッチPは、算出に用いないようにしているので、貼合不良等により大きな誤差が発生することを防止することができる。
【0068】
供給残長算出部89は、滞留長演算部97から滞留長Lを受取り、ミルロールスタンド3から計測車79までに存在する原紙、片面段ボールおよび両面段ボール等の長さ(全滞留長La)を算出する。
これに生産長算出部85からの生産長Sを加え現オーダの生産のためにミルロールスタンド3から既に給紙された長さを算出する。
そして、供給残長算出部89は原紙設定長記憶部87から受取る原紙長S0からこの既に給紙された長さを除算することで、供給残長Lzを算出する。
これは、裏ライナ、中芯、表ライナの各原紙について行われる。
【0069】
動作制御部91は、供給残長算出部89で算出された各原紙の供給残長Lzを受取り、各原紙の供給残長Lzが使用中の紙ロール23の残紙長よりも小さくなると、次オーダで用いる各原紙の紙ロール23を各ミルロールスタンド3に装着し、紙継準備を行なう。
動作制御部91は、各原紙毎にその供給残長Lzが0−αになったタイミングでスプライサ25に紙継ぎするように指示し、紙継ぎを行なわせる。
αは、供給残長Lzの算出誤差およびそれ以外の要因による誤差を考慮し、現オーダの生産長を確保するために余裕を持たすものである。
【0070】
図5に、紙替えをした紙継ぎ部が両面段ボール47となった状態が示されている。
現オーダの最終切断位置105の上流側に、裏ライナ紙継位置107、中芯紙継位置109および表ライナ紙継位置111が存在している。
裏ライナ紙継位置107、中芯紙継位置109および表ライナ紙継位置111の下流側端部から上流側端部までの距離を紙継同期長113といい、この前後が製品として活用できない不良として除去される不良除去長115である。
この不良除去長115に続く部分が次オーダの製品となる。
【0071】
上述のように、滞留長Lが正確に算出できるので、供給残長Lzが正確に算出できる。供給長Lzが正確に算出できると、現オーダの仕上り枚数精度を向上させることができるし、余裕αを小さくできるし、各原紙の紙継タイミングを正確とできる。
紙継タイミングが正確になると、裏ライナ、中芯および表ライナの紙継位置の同期精度が向上するので、紙継同期長113を短くすることができる。
紙継同期長113が短くなると、不良除去長115が減少するので、不良として廃棄される量が減少し、段ボールシート71の製造コストを低減させることができる。
【0072】
なお、本実施形態では両面段ボールシートを製造するコルゲートマシン1について説明したが、本発明は、その他のコルゲートマシン1、例えば、複両面段ボールシートを製造するコルゲートマシン1に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコルゲートマシンの全体概略構成を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる生産管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる段山ピッチ算出方法を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる滞留長算出方法を示すフロー図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる紙替えをした紙継ぎ部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 コルゲートマシン
5 シングルフェーサ
7 ブリッジ部
11 ダブルフェーサ
15 スリッタスコアラ
17 カットオフ装置
21 生産管理装置
27 裏ライナ
29 中芯
31 表ライナ
41 片面段ボール
47 両面段ボール
75 入口段山センサ
77 出口段山センサ
79 計測車
83 滞留長算出部
93 段山数算出部
95 段山ピッチ算出部
97 滞留長演算部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
段付き加工された中芯に裏ライナを貼合させて片面段ボールを製造する少なくとも一台のシングルフェーサと、
該シングルフェーサからの片面段ボールを貯留しつつ次工程へ供給するブリッジ部と、
該ブリッジ部から供給される片面段ボールの前記中芯側に表ライナを貼合して少なくとも両面段ボールを製造するダブルフェーサと、
前記ダブルフェーサから搬送される前記両面段ボールを段ボールシートに切断処理する処理装置と、
少なくとも前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を算出する滞留長算出部を有し、装置全体の動作を制御する生産管理装置と、を備えるコルゲートマシンであって、
前記滞留長算出部には、前記ブリッジ部に入る片面段ボールの段山を検出する入口段山センサおよび前記ブリッジ部から出る片面段ボールの段山を検出する出口段山センサを用いて前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数を算出する段山数算出部と、
前記出口段山センサが所定数の段山を検出する間に前記処理装置の近傍における前記両面段ボールが搬送される距離を検出し、該距離を前記所定数で除算して前記段山ピッチを算出する段山ピッチ算出部と、
前記段山数算出部で算出された前記段山数に前記段山ピッチ算出部で算出された前記段山ピッチを乗算して前記滞留長を演算する滞留長演算部と、が備えられていることを特徴とするコルゲートマシン
【請求項2】
前記両面段ボールが搬送される距離は、前記両面段ボールの生産長を測定する計測車を用いて検出していることを特徴とする請求項1に記載のコルゲートマシン。
【請求項3】
前記滞留長演算部は、演算に用いる前記段山ピッチが所定範囲を外れている場合、前に演算に用いた前記段山ピッチあるいは基準段山ピッチを用いて前記滞留量を演算することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコルゲートマシン。
【請求項4】
段付き加工された中芯に裏ライナを貼合させて片面段ボールを製造する少なくとも一台のシングルフェーサと、
該シングルフェーサからの片面段ボールを貯留しつつ次工程へ供給するブリッジ部と、
該ブリッジ部から供給される片面段ボールの前記中芯側に表ライナを貼合して少なくとも両面段ボールを製造するダブルフェーサと、
前記ダブルフェーサから搬送される前記両面段ボールを段ボールシートに切断処理する処理装置と、を備えるコルゲートマシンの運転を制御する生産管理装置であって、
前記ブリッジ部に入る片面段ボールの段山を検出する入口段山センサおよび前記ブリッジ部から出る片面段ボールの段山を検出する出口段山センサを用いて前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの段山数を算出する段山数算出部と、
前記出口段山センサが所定数の段山を検出する間に前記処理装置の近傍における前記両面段ボールが搬送される距離を検出し、該距離を前記所定数で除算して段山ピッチを算出する段山ピッチ算出部と、
前記段山数算出部で算出された前記段山数に前記段山ピッチ算出部で算出された前記段山ピッチを乗算して前記ブリッジ部に滞留する片面段ボールの滞留長を算出する滞留長演算部と、が備えられていることを特徴とする生産管理装置。
【請求項5】
前記両面段ボールが搬送される距離は、前記両面段ボールの生産長を測定する計測車を用いて検出していることを特徴とする請求項5に記載の生産管理装置。
【請求項6】
前記滞留長演算部は、演算に用いる前記段山ピッチが所定範囲を外れている場合、前に演算に用いた前記段山ピッチあるいは基準段山ピッチを用いて前記滞留量を演算することを特徴とすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の生産管理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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