説明

コンクリート充填管理装置及び方法

【課題】鋼管へのコンクリート圧入速度を視覚的に確認しながら調節可能にし、コンクリートの充填状況を視覚的に確認できるコンクリート充填管理装置を提供する。
【解決手段】鋼管12の内部空間12a内にコンクリート14が圧入充填されることにより内部空間12a内を上昇するコンクリート天端14aの高さをレベル計測器16で計測し、内部空間14a内を上昇するコンクリート天端14aを撮像カメラ18で撮像する。レベル計測器16で計測された計測値をコンクリート天端14aの上昇に伴い時間軸に沿い二次元的に変化する線グラフとして管理用モニタ22に表示し、撮像カメラ18で撮像されたコンクリート天端14aの打設状況を管理用モニタ22に表示し、鋼管12に相似な鋼管画像を生成して管理用モニタ22に表示するとともに計測値をコンクリート天端14aの上昇に伴い一次元的に変化する棒グラフとして鋼管画像の表示箇所に重畳表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管内に圧入工法によりコンクリートを下方から圧入充填して柱部材を構築する際のコンクリート充填管理装置及びコンクリート充填管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,鋼管の中にコンクリートを充填して鋼管及びコンクリートのそれぞれの特性を活かしたCFT(コンクリート充填鋼管)構造の柱部材が広く用いられている。
このCFT構造の柱部材の施工には、バケット及びトレミー管などからなる道具を用いてコンクリートを鋼管の上部から下部まで落とし込み、順次道具を引き上げて鋼管内部にコンクリートを充填させる工法(落とし込み充填工法)と、鋼管の下部よりコンクリートを圧入充填させる工法(圧入工法)がある。ここでは、主に後者の圧入工法を対象としている(特許文献1,2参照)。
【0003】
圧入工法は、コンクリートの圧入速度を低く設定することにより、鋼管にコンクリートの圧入に伴う過大な負荷をかけることなく、ダイヤフラム板の下面に確実にコンクリートを充填することができる。その反面、施工時間が長くなり、打設中のコンクリートの流動性の低下が課題となる。また、コンクリートの圧入速度を速くすると施工時間を短縮できるが、鋼管に過大な負荷がかかり、ダイヤフラム板の下面にコンクリートが充填されず、空隙が生じやすい。また,ダイヤフラム板の打設孔を通過する際にコンクリートの高粘性と自重が影響してコンクリートがスムーズに押し上げられず、コンクリート内の高圧力が鋼管の内壁に作用して、鋼管を部分的に膨らませたり、破裂させたりすることがある。
【0004】
したがって、コンクリートの圧入速度の管理が極めて重要となる。その管理基準として(社)新都市ハウジング協会のCFT構造技術指針・同解説では1m/分以下とされている。この圧入速度は,ポンプ車のストローク数および蒸気抜き孔からのモルタルの流出などにより確認されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3089995号
【特許文献2】特許第3225011号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、鋼管にコンクリートを圧入しているときには外部から鋼管内のコンクリートの圧入レベルを正確に確認できない。確認方法としては、鋼管側面にある蒸気抜き孔からのモルタルの流出状況や鋼管の上部開口からの目視確認、またはレーザ距離計で管理する方法がある。
従来の目視確認では、コンクリート圧入中に高所となる鋼管上部での確認作業が困難になる。特に、圧入高さが10mを超えるような場合、コンクリート天端の確認は不可能であった。また、レーザ距離計では、コンクリートの圧入速度を数値で確認できないため、目安程度にしかならず、管理が不十分であった。
【0007】
一方、平均圧入速度を圧入開始から圧入終了時刻で算出する場合は、その圧入速度の算出が圧入後になされるため、事後確認となり、タイムリーな施工管理ができなかった。さらに、生コン車の段取り替えや中断等がある場合は、圧入速度が目標値を満足しているかをタイムリーに確認することができなかった。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであって、鋼管へのコンクリート圧入速度を視覚的に確認しながら調節可能にし、併せてコンクリートの充填状況を視覚的に確認できるようにしたコンクリート充填管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明は、複数階に亘り延在する鋼管の内部空間に圧入工法によりコンクリートを下方から圧入充填して柱部材を構築する際のコンクリート充填管理装置であって、前記内部空間内にコンクリートが圧入充填されることにより前記内部空間内を上昇するコンクリート天端の高さを計測するレベル計測器と、前記内部空間内に昇降可能に設けられ前記コンクリート天端を撮像する第1の撮像カメラと、前記レベル計測器で計測された計測値及び前記第1の撮像カメラで撮像された映像信号を基に前記コンクリート天端の上昇に伴い変化する前記コンクリート天端の高さ及び前記コンクリート天端の打設状況を表示するための施工管理画面情報として生成する信号処理部と、前記信号処理部に信号伝送手段を介して接続され前記信号処理部から伝送されてくる前記施工管理画面情報に基づいて施工管理画面を表示する管理用モニタとを備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、複数階に亘り延在する鋼管の内部空間に圧入工法によりコンクリートを下方から圧入充填して柱部材を構築する際のコンクリート充填管理方法であって、前記内部空間にコンクリートが圧入充填されることにより前記内部空間内を上昇するコンクリート天端の高さをレベル計測器で計測し、前記内部空間内を上昇する前記コンクリート天端を撮像カメラで撮像し、前記レベル計測器で計測された計測値を一定の時間ごとに取り込み前記コンクリート天端の上昇に伴い変化する線グラフとして管理用モニタに表示し、前記撮像カメラで撮像された前記コンクリート天端の打設状況を前記管理用モニタに表示し、前記鋼管に相似な鋼管画像を生成して前記管理用モニタに表示するとともに前記計測値を一定の時間ごとに取り込み前記コンクリート天端の上昇に変化する棒グラフとして前記鋼管画像の表示箇所に前記鋼管画像と異なる形態で重畳表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンクリート充填管理装置及び方法によれば、鋼管へのコンクリート圧入速度を視覚的に確認しながら調節することが可能になり、さらにコンクリートの充填状況を視覚的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明にかかるコンクリート充填管理装置及び方法の一例を示す全体の構成図である。
【図2】本発明のコンクリート充填管理装置に適用されるレベル計測器及び撮像カメラの支持用治具を示す構成図である。
【図3】本発明のコンクリート充填管理装置を構成する信号処理部及び管理用モニタの機能ブロック図である。
【図4】本発明にかかるコンクリート充填管理装置の計測階における表示部に表示される施工管理画面の一例を示す説明図である。
【図5】本発明にかかるコンクリート充填管理装置の管理用モニタに表示される施工管理画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかるコンクリート充填管理装置及び方法の実施の形態について図1乃至図5を参照して詳細に説明する。
本発明のコンクリート充填管理装置に適用されるコンクリートを圧入工法は、建築構造物の柱部材を構築する工法であって、図1に示すように、鋼管12の内部空間12aにコンクリート14を圧入充填し、固化することで柱部材が構築される。ここで使用される鋼管12は四角筒で複数階に亘り延在する長さを有し、この鋼管12の内部には、打設孔及び蒸気抜き孔を有する複数のダイヤフラム板1202が鋼管12の全長に亘り一定の間隔で固設されている。さらに、鋼管12の側壁には、例えば各階床に対応してコンクリート圧入口1204が設けられている。このコンクリート圧入口1204は、コンクリート14が圧入充填された後に塞ぎ鋼板1206により閉塞されるものである。
このような鋼管12は、地上に構築された基礎部52上に立設される。そして、鋼管12内には、建築構造物の地上階に相当する搬入階F1に搬入されたコンクリート圧送用ポンプ車60からコンクリートがコンクリート圧入口1204を通して圧入充填される。また、鋼管12の各階床に対応する箇所には梁部材1208が連結されている。
【0014】
本実施の形態にかかる鋼管12へのコンクリートの充填管理装置の構成について、以下に述べる。
本実施の形態において、鋼管12に対してコンクリート圧送用ポンプ車60などが搬入される階床を搬入階F1とし、鋼管12のコンクリート圧入口1204にコンクリート圧送用ポンプ車60のコンクリート輸送管6002が接続される階床を圧入階F2とし、また、鋼管12に対してレベル計測器16が配置される階床を計測階F3として説明する。
【0015】
本実施の形態に示すコンクリートの充填管理装置は、レーザ距離計などから構成されるレベル計測器16と、CCD等の固体撮像素子を含む第1の撮像カメラ18と、圧入階F2に設置されたノート型またはディスクトップ型のパーソナルコンピュータから構成される信号処理部20と、ノート型またはディスクトップ型のパーソナルコンピュータから構成される管理用モニタ22と、搬入階F1に設置されたノート型またはディスクトップ型のパーソナルコンピュータから構成される状況確認モニタ24と、企業の本店または支店に設置されたディスクトップ型等のパーソナルコンピュータから構成される主表示装置26と、CCD等の固体撮像素子を含む第2の撮像カメラ64と等を含んで構成される。
【0016】
レベル計測器16は、鋼管12の内部空間12a内にコンクリート14が圧入充填されることにより内部空間12a内を上昇するコンクリート14の天端14aの高さをリアルタイムに計測し、当該計測値をデジタル信号に変換して出力するもので、図1に示すように、鋼管12の内部空間12aで鋼管12の上端寄りの箇所に設置されている。具体的には、レベル計測器16は、図2に示すように、細長形状を呈する治具28の一端寄りに保持部材2802により支持され、レベル計測器16を含めた治具28の一端部を、図1及び図2に示すように計測階F3にあるコンクリート圧入口1204から鋼管12の内部空間12a内に挿入することで、レベル計測器16を鋼管12の内部空間12a内にコンクリート14の天端14aに対向させて配置する。これにより、レベル計測器16から発する測距用のレーザ光をコンクリート14の天端14aに向けて照射し、レーザ光が天端14aに反射して戻ってくるまでの時間から距離を測定するようになっている。
【0017】
第1の撮像カメラ18は、コンクリート14の天端14aを撮像するもので、図1に示すように、鋼管12の上端寄り内部空間12a内に昇降可能に設けられている。具体的には、図2に示すように、治具28の一端に設けられた滑車2804と、治具28の他端寄りに設けられた滑車2806に巻き掛けられた通信ケーブル1802の一端に撮像カメラ18が接続され、この第1の撮像カメラ18及び滑車2804を含めた治具28の一端部を、図1及び図2に示すように計測階F3にあるコンクリート圧入口1204から鋼管12の内部空間12a内に挿入することにより、第1の撮像カメラ18を内部空間12a内に通信ケーブル1802で吊り下げ状態に配置する。そして、通信ケーブル1802の他端側は図2に示すようにリール30に巻回され、このリール30を回転操作して、通信ケーブル1802を巻取りまたは巻戻すことにより第1の撮像カメラ18をコンクリート14の天端14aに対して昇降させるようになっている。また、通信ケーブル1802のリール30への巻始め端及びレベル計測器16の信号線16aは後述する信号処理部20に接続される。
また、治具28は、図2に示すように、鋼管12の内壁面に係合される支持プレート2808と取付具2810とによって鋼管12に着脱可能に取着される構成になっている。
【0018】
第1の撮像カメラ18で撮像された映像信号は画像処理部1802に出力される。画像処理部1802は、第1の撮像カメラ18からの映像信号を相関2重サンプリングし、次いで適当なレベルにゲインアップし、さらにA−D変換してデジタル信号に変換する。そして、A−D変換された映像信号はLANケーブル18aを通して信号処理部20に出力される。
【0019】
第2の撮像カメラ64は、図1に示すように、搬入階F1において、コンクリート圧送用ポンプ車60のポンプ稼動状況及びコンクリート圧送用ポンプ車60にコンクリートを供給するコンクリートミキサー車62のミキサー段取り替え状況を撮像するもので、支柱66により搬入階F1に設置される。また、第2の撮像カメラ64で撮像されたポンプ稼動状況及びミキサー段取り替え状況の映像信号は画像処理部6402に出力される。画像処理部6402は、第2の撮像カメラ64からの映像信号を相関2重サンプリングし、次いで適当なレベルにゲインアップし、さらにA−D変換してデジタル信号に変換する。そして、A−D変換された映像信号はLANケーブル64aを通して信号処理部20に出力される。
【0020】
信号処理部20は、レベル計測器16で計測された計測値及び第1の撮像カメラ18で撮像された映像信号を基にコンクリート天端14aの上昇に伴い変化するコンクリート天端14aの高さ及びコンクリート天端14aの打設状況を表示するための施工管理画面情報を生成するもので、図1に示すように計測階F3に設置される。
信号処理部20は、図3に示すように、データ受信部2002、圧入速度算出手段2004、第1の描画処理手段2006、コンクリート天端高さ算出手段2008、第2の描画処理手段2010、打設画像生成手段2012、鋼管画像生成手段2014、施工状況画像生成手段2016と、施工管理画面生成手段2018、液晶からなる表示部2020を備える。
【0021】
データ受信部2002は、レベル計測器16で計測された計測値をA−D変換した後のデジタル信号を受信するもので、シリアルケーブル16aを介してレベル計測器16に接続されている。
圧入速度算出手段2004は、データ受信部2002で受信された計測値を一定の時間ごとに取り込み該取り込んだ複数回分の計測値の平均値からコンクリートの圧入速度を算出するものである。
第1の描画処理手段2006は、圧入速度算出手段2004で算出された圧入速度に基づいて、コンクリート天端14aの高さをコンクリート天端14aの上昇に伴い時間軸に沿って二次元的に変化する線グラフ用の描画信号に変換するものであり、この線グラフ用の描画信号は施工管理画面生成手段2018に出力される。
コンクリート天端高さ算出手段2008は、データ受信部2002で受信された計測値を一定の時間ごとに取り込んでコンクリート天端14aの高さを算出するものである。
第2の描画処理手段2010は、コンクリート天端高さ算出手段2008で算出されたコンクリート天端14aの高さをコンクリート天端14aの上昇に伴い一次元的に変化する棒グラフ用の描画信号に変換するものであり、この棒グラフ用の描画信号は施工管理画面生成手段2018に出力される。
【0022】
打設画像生成手段2012は、第1の撮像カメラ18の画像処理部1802で処理された映像信号を基にコンクリート天端14aの打設状況を表す打設画像信号を生成するものであり、この打設画像信号は施工管理画面生成手段2018に出力される。
鋼管画像生成手段2014は、鋼管12に相似な鋼管描画信号を生成するものであり、この鋼管描画信号は施工管理画面生成手段2018に出力される。
施工状況画像生成手段2016は、第2の撮像カメラ64の画像処理部6402で処理された映像信号に基づいて、コンクリート圧送用ポンプ車60のポンプ稼動状況及びコンクリートミキサー車62のミキサー段取り替え状況を表す画像として生成するものであり、この画像信号は施工管理画面生成手段2018に出力される。
表示部2020は、施工管理画面生成手段2018で生成された施工管理画面情報に基づいて、図4に示すような施工管理画面を表示する。
【0023】
施工管理画面生成手段2018は、第1の描画処理手段2006からの線グラフ用描画信号、第2の描画処理手段2010からの棒グラフ用描画信号、打設画像生成手段2012からの打設画像信号、鋼管画像生成手段2014からの鋼管描画信号及び施工状況画像生成手段2016からの画像信号に基づいてそれぞれを線グラフ、棒グラフ、コンクリート天端の打設画像、鋼管画像及び施工状況画像を表示するための施工管理画面情報を生成するものである。施工管理画面生成手段2018で生成された施工管理画面情報は、画面配信アダプタ32及びLANケーブル36aを通して第1の中継通信機(無線LAN)36に出力される。
第1の中継通信機36は、信号処理部20から管理用モニタ22へ施工管理画面情報が支障なく無線伝送できるように計測階F3の箇所に設置される。
【0024】
信号処理部20を構成するパーソナルコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成される。ROMはCPUが実行する処理または制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。CPUが前記処理または制御プログラムを実行することにより、圧入速度算出手段2004、第1の描画処理手段2006、コンクリート天端高さ算出手段2008、第2の描画処理手段2010、打設画像生成手段2012、鋼管画像生成手段2014、施工状況画像生成手段2016及び施工管理画面生成手段2018が実現される。
【0025】
圧入階F2には、図1に示すように、第1の中継通信機36からの施工管理画面情報の受信を行う第2の中継通信機38が設置されている。この第2の中継通信機38には、LANケーブル40を介して管理用モニタ22の画面受信アダプタ2204が接続されている。管理用モニタ22の表示部2202には、信号処理部20から第1の中継通信機36及び第2の中継通信機38を通して伝送されてくる施工管理画面情報の内容が表示される。この表示内容を見ながら、圧入階F2に待機する管理者50がリモートコントローラ52を操作してコンクリート圧送用ポンプ車60を制御することで鋼管12内へのコンクリート14の圧入充填をコントロールできるようになっている。
【0026】
搬入階F1には、図1に示すように、管理用モニタ22に示す場合と同様な内容の施工管理画面を表示する状況確認モニタ24が設置されている。この状況確認モニタ24はLANアダプタ2404を介して第2の中継通信機38に接続されている。状況確認モニタ24の表示部2402には、信号処理部20から第1の中継通信機36及び第2の中継通信機38を通して伝送されてくる施工管理画面情報の内容が表示される。
さらに、第2の中継通信機38には、インターネット68を介して、企業の本店または支店に設置された主表示装置26が接続されている。この主表示装置26は、管理用モニタ22に示す場合と同様な内容の施工管理画面が表示されるように構成されている。
なお、第1の中継通信機36及び第2の中継通信機38は、特許請求の範囲に記載した信号伝送手段を構成している。また、この信号伝送手段は無線LAN方式に限らず、従来公知の信号ケーブル等の有線を利用することもできる。
【0027】
次に、本実施の形態に示すコンクリートの充填管理装置の動作について説明する。
搬入階F1に乗り入れたコンクリートミキサー車62から生コンクリートをコンクリート圧送用ポンプ車60の投入口6004に順次投入する。同時にコンクリート圧送用ポンプ車60を起動することにより、生コンクリートをコンクリート輸送管6002を通して鋼管12のコンクリート圧入口1204から鋼管12の内部空間12a内に圧入する。この時のコンクリート圧送用ポンプ車60及びコンクリート圧送用ポンプ車60のポンプ稼動状況またはコンクリート圧送用ポンプ車60のミキサー段取り替え状況は第2の撮像カメラ64で撮像される。この映像信号は画像処理部6402でデジタル信号に変換された後、信号処理部20に入力される。
【0028】
コンクリート14が鋼管12の内部空間12a内に圧入充填され続けると、その天端14aは内部空間12a内を図1の矢印に示すように上昇する。ここで、レベル計測器16から発するレーザ光がコンクリート14の天端14aに照射されているため、レベル計測器16はレーザ光が天端14aに反射して戻ってくるまでの時間から天端14aまでの距離をリアルタイムに計測する。その計測値を信号処理部20のデータ受信部2002を通して圧入速度算出手段2004に取り込むことにより、コンクリート天端14aの上昇に伴うコンクリート14の圧入速度がリアルタイムに算出され、第1の描画処理手段2006に出力される。第1の描画処理手段2006では、算出された圧入速度に基づいて、コンクリート天端14aの高さをコンクリート天端14aの上昇に伴い二次元的に変化する線グラフ用の描画信号に変換して施工管理画面生成手段2018に出力する。
また、計測値がデータ受信部2002を通してコンクリート天端高さ算出手段2004に取り込まれることにより、コンクリート天端14aの上昇に伴うコンクリート天端14aの高さがリアルタイムに算出され、第2の描画処理手段2010に出力される。第2の描画処理手段2010では、コンクリート天端14aの高さをコンクリート天端14aの上昇に伴い一次元的に変化する棒グラフ用の描画信号に変換して、施工管理画面生成手段2018に出力する。
【0029】
さらに、第1の撮像カメラ18で撮像された映像信号は画像処理部1802でデジタル信号に変換された後、打設画像生成手段2012に出力される。打設画像生成手段2012では、画像処理部1802からの映像信号を基にコンクリート天端14aの打設状況を表す打設画像信号を生成し、施工管理画面生成手段2018に出力する。
さらにまた、第2の撮像カメラ64で撮像された映像信号は画像処理部6402でデジタル信号に変換された後、施工状況画像生成手段2016に出力される。施工状況画像生成手段2016では、画像処理部6402からの映像信号に基づいて、コンクリート圧送用ポンプ車60のポンプ稼動状況及びコンクリートミキサー車62のミキサー段取り替え状況を表す画像を生成し、施工管理画面生成手段2018に出力する。
さらに、鋼管画像生成手段2014で生成された鋼管描画信号は施工管理画面生成手段2018に出力される。
【0030】
施工管理画面生成手段2018では、線グラフ用描画信号、棒グラフ用描画信号、打設画像信号、鋼管描画信号及び施工状況画像生成手段2016からの画像信号に基づいてそれぞれを線グラフ、棒グラフ、コンクリート天端の打設画像、鋼管画像及び施工状況画像を表示するための施工管理画面情報を生成して、表示部2020及び画面配信アダプタ32を通して第1の中継通信機36に出力する。
【0031】
表示部2020では、施工管理画面生成手段2018からの施工管理画面情報に基づいて施工管理画面を表示する。
すなわち、図4に示すように、施工管理画面生成手段2018からの線グラフ描画用の画面情報に基づいてコンクリート天端14aの高さを横軸の時間に沿い二次元的に変化する線グラフ71が表示部2020の予め決められた表示領域2020Aにリアルタイムに表示される。さらに、鋼管描画用の画面情報に基づいて鋼管画像72が表示部2020の予め決められた表示領域2020Bに表示されるとともに、棒グラフ描画用の画面情報に基づいてコンクリート天端14aの高さを一次元的に変化する棒グラフ73が鋼管画像と異なる形態で表示領域2020Bに重畳表示される。
【0032】
さらに、図4に示すように、施工管理画面生成手段2018からの圧入速度描画用の画面情報に基づいてコンクリート圧入速度をグラフ74が表示部2020の予め決められた表示領域2020Cにリアルタイムに表示される。さらに、打設状況描画用の画面情報に基づいてコンクリート天端14aの打設状況画像75が表示部2020の予め決められた表示領域2020Dにリアルタイムに表示される。さらに、ポンプ稼動状況及びミキサー段取り替え状況描画用の画面情報に基づいてコンクリート圧送用ポンプ車60の稼動状況画像及びコンクリート圧送用ポンプ車60の段取り替え状況画像76が表示部2020の予め決められた表示領域2020Eにリアルタイムに表示される。
図4において、破線で示すグラフは圧入レベルの目標値であり、実線で示す線グラフ71は圧入レベルの実測値である。また、線グラフ71において、圧入レベルが変化しない段部分はコンクリートミキサー車62が段取り替えされている時間帯を表している。
【0033】
一方、第1の中継通信機36からの施工管理画面情報を受信した第2の中継通信機38では、その施工管理画面情報をそれぞれのLANケーブル40,42を通して管理用モニタ22及び状況確認モニタ24にそれぞれ伝送する。
管理用モニタ22では、その表示部2020に施工管理画面生成手段2018からの施工管理画面情報に基づいて施工管理画面を表示する。
すなわち、図5に示すように、施工管理画面生成手段2018からの線グラフ描画用の画面情報に基づいてコンクリート天端14aの高さを横軸の時間に沿い二次元的に変化する線グラフ81が表示部2202の予め決められた表示領域2202Aにリアルタイムに表示される。さらに、鋼管描画用の画面情報に基づいて鋼管画像82が表示部2202の予め決められた表示領域2202Bに表示されるとともに、棒グラフ描画用の画面情報に基づいてコンクリート天端14aの高さを一次元的に変化する棒グラフ83が鋼管画像と異なる形態で表示領域2202Bに重畳表示される。
【0034】
さらに、図5に示すように、施工管理画面生成手段2018からの圧入速度描画用の画面情報に基づいてコンクリート圧入速度をグラフ84が表示部2202の予め決められた表示領域2202Cにリアルタイムに表示される。さらに、打設状況描画用の画面情報に基づいてコンクリート天端14aの打設状況画像85が表示部2020の予め決められた表示領域2202Dにリアルタイムに表示される。さらに、ポンプ稼動状況及びミキサー段取り替え状況描画用の画面情報に基づいてコンクリート圧送用ポンプ車60の稼動状況画像及びコンクリート圧送用ポンプ車60の段取り替え状況画像86が表示部2202の予め決められた表示領域2202Eにリアルタイムに表示される。
図5において、破線で示すグラフは圧入レベルの目標値であり、実線で示す線グラフ81は圧入レベルの実測値である。また、線グラフ81において、圧入レベルが変化しない段部分はコンクリートミキサー車62が段取り替えされている時間帯を表している。
【0035】
他方、搬入階F1の状況確認モニタ24においても、第2の中継通信機38で受信された施工管理画面情報が伝送されるため、状況確認モニタ24の表示部2402には、図5に示す場合と同様な施工管理画面が表示される。
【0036】
企業の本店または支店に設置された主表示装置26には、第2の中継通信機38で受信された施工管理画面情報がインターネット68を通して伝送されるため、主表示装置の表示画面には、図5に示す場合と同様な画像が表示される。
【0037】
このような本実施の形態に示すコンクリート充填管理装置によれば、鋼管12の内部空間12a内にコンクリート14が圧入充填されることにより内部空間12a内を上昇するコンクリート天端14aの高さをレベル計測器16でリアルタイムに計測し、内部空間14a内を上昇するコンクリート天端14aを撮像カメラ18で撮像し、レベル計測器16で計測された計測値を一定の時間ごとに取り込み、コンクリート天端14aの上昇に伴い時間軸に沿い二次元的に変化する線グラフとして管理用モニタ22に表示し、第1の撮像カメラ18で撮像されたコンクリート天端14aの打設状況を管理用モニタ22に表示し、鋼管12に相似な鋼管画像を生成して管理用モニタ22に表示するとともに計測値をコンクリート天端14aの上昇に伴い一次元的に変化する棒グラフとして鋼管画像の表示箇所に重畳表示するようにしたので、コンクリート天端14aの高さをコンクリート天端14aの上昇に伴い変化する線グラフ及び棒グラフとして管理用モニタ22にリアルタイムに表示できるともに、コンクリート天端14aの打設状況を管理用モニタ22にリアルタイムに表示することができる。これにより、コンクリート天端14aのレベルを管理用モニタ22の画面から確認できるとともに、鋼管12の内部空間12aへのコンクリートの圧入速度を管理することができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、圧入速度算出手段2008からの圧入速度信号に基づいてコンクリート圧入速度をグラフとして管理用モニタ22にリアルタイムに表示する構成にしたので、鋼管12の内部空間12aへのコンクリートの圧入速度を目標ラインとの比較によりリアルタイムに調節することができる。これにより、鋼管12が部分的に膨らんだり、破裂するのを未然に防止できる。
また、本実施の形態によれば、インターネットを通して現場から離れた本社・支店に設置されたパソコンからなる主表示装置26にてコンクリートの圧入速度やコンクリート天端14aの打設状況を遠隔地から確認することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、レベル計測器にレーザ距離計を用いることで、遠く離れた場所にあってもコンクリート天端14aのレベルを容易に計測でき、しかも、レーザ特有の周波数の安定性利用することで高精度な計測が可能となり、正確な圧入速度計測が可能になる。
また、本実施の形態によれば、鋼管12に着脱可能に装着される治具28にレベル計測器16を保持部材2802で支持し、さらに、撮像カメラ18を治具28に設けられた滑車2804、2806に巻き掛けられた通信ケーブル1802で昇降可能に吊り下げる構成にしたので、コンクリート圧入口1204を利用してレベル計測器16及び撮像カメラ18を鋼管12に装着することができる。
また、本実施の形態によれば、コンクリート天端14aの打設状況を撮像カメラで撮像し、その画像を管理用モニタ及び計測階、搬入階等に設置された表示装置の画面に表示してので、コンクリートの打設状況を画面から視覚的に観察できる。これにより、コンクリートがダイヤフラム板周辺を通過する際に打設速度を落とすことによって密実なコンクリート充填が可能なる。
【符号の説明】
【0040】
12…鋼管、12a…内部空間、14…コンクリート、14a…天端、16…レベル計測器、18…第1の撮像カメラ、20…信号処理部、2002…データ受信部、2004…圧入速度算出手段、2006…第1の描画処理手段、2008…コンクリート天端高さ算出手段、2010…第2の描画処理手段、2012…打設画像生成手段、2014…鋼管画像生成手段、2016…施工状況画像生成手段、2018…施工管理画面生成手段、2020…表示部、22…管理用モニタ、24…状況確認モニタ、26…主表示装置、28…治具、36…第1の中継通信機、52…リモートコントローラ、60…コンクリート圧送用ポンプ車、62…コンクリートミキサー車、64…第2の撮像カメラ、68…インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階に亘り延在する鋼管の内部空間に圧入工法によりコンクリートを下方から圧入充填して柱部材を構築する際のコンクリート充填管理装置であって、
前記内部空間内にコンクリートが圧入充填されることにより前記内部空間内を上昇するコンクリート天端の高さを計測するレベル計測器と、
前記内部空間内に昇降可能に設けられ前記コンクリート天端を撮像する第1の撮像カメラと、
前記レベル計測器で計測された計測値及び前記第1の撮像カメラで撮像された映像信号を基に前記コンクリート天端の上昇に伴い変化する前記コンクリート天端の高さ及び前記コンクリート天端の打設状況を表示するための施工管理画面情報として生成する信号処理部と、
前記信号処理部に信号伝送手段を介して接続され前記信号処理部から伝送されてくる前記施工管理画面情報に基づいて施工管理画面を表示する管理用モニタと、
を備えることを特徴とするコンクリート充填管理装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、前記レベル計測器で計測された計測値を一定の時間ごとに取り込み該取り込んだ複数回分の計測値の平均値からコンクリートの圧入速度を算出する圧入速度算出手段と、前記圧入速度算出手段で算出された圧入速度を前記コンクリート天端の上昇に伴い変化する線グラフ用の描画信号に変換するする第1の描画処理手段と、前記レベル計測器で計測された計測値を一定の時間ごとに取り込んで前記コンクリート天端の高さを算出するコンクリート天端高さ算出手段と、前記コンクリート天端高さ算出手段で算出されたコンクリート天端の高さを前記コンクリート天端の上昇に伴い変化する棒グラフ用の描画信号に変換する第2の描画処理手段と、前記鋼管に相似な鋼管描画信号を生成する鋼管画像生成手段と、前記第1の撮像カメラで撮像された映像信号を基に前記コンクリート天端の打設状況を表す打設画像信号を生成する打設画像生成手段と、前記第1の描画処理手段からの線グラフ用描画信号、前記第2の描画処理手段からの棒グラフ用描画信号、前記鋼管画像生成手段からの鋼管描画信号及び前記打設画像生成手段からの打設画像信号に基づきそれぞれを線グラフ、棒グラフ、鋼管画像及び打設画像として表示するための施工管理画面情報を生成する施工管理画面生成手段とを有し、
前記管理用モニタは、前記施工管理画面情報に基づいて前記コンクリート天端の高さを線グラフとして表示し、前記打設画像を表示し、前記鋼管画像を表示するとともに該鋼管画像の表示箇所に前記棒グラフを前記鋼管画像と異なる形態で重畳表示することを特徴とする請求項1記載のコンクリート充填管理装置。
【請求項3】
前記第1の描画処理手段は、前記圧入速度算出手段で算出された圧入速度を時間軸に沿うグラフとして描画する処理機能を備え、前記施工管理画面生成手段は前記処理機能で処理されたグラフ描画信号に基づき施工管理画面として前記管理用モニタに表示することを特徴とする請求項2記載のコンクリート充填管理装置。
【請求項4】
前記施工管理画面生成手段で生成された施工管理画面情報に基づいて施工管理画面を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載のコンクリート充填管理装置。
【請求項5】
コンクリート圧送用ポンプ車及び該コンクリート圧送用ポンプ車にコンクリートを供給するコンクリートミキサー車が搬入される搬入階に前記コンクリート圧送用ポンプ車の稼動状況及び前記コンクリートミキサー車の段取り替え状況を撮像する第2の撮像カメラが配設され、前記第2の撮像カメラで撮像された前記ポンプ稼動状況及び段取り替え状況の画像信号を前記信号処理部で処理した後、前記信号伝送手段を通して前記管理用モニタに伝送され、該ポンプ稼動状況及び段取り替え状況を前記管理用モニタに表示することを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のコンクリート充填管理装置。
【請求項6】
前記搬入階に状況確認モニタが設置され、前記状況確認モニタは、前記線グラフ用描画信号に基づいてコンクリート天端の高さを線グラフとして表示し、前記画像信号に基づいて前記コンクリート天端の打設状況を表示し、前記鋼管描画信号に基づいて前記鋼管画像を表示するとともに該鋼管画像の表示箇所に前記棒グラフ用描画信号に基づいてコンクリート天端の高さを棒グラフとして前記鋼管画像と異なる形態で重畳表示することを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載のコンクリート充填管理装置。
【請求項7】
前記管理用モニタに表示された線グラフもしくは棒グラフを見ながらリモートコントローラを操作することにより前記コンクリート圧送用ポンプ車から前記鋼管の内部空間に圧入充填されるコンクリート圧送速度をコントロールできるように構成したことを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のコンクリート充填管理装置。
【請求項8】
前記信号伝送手段にインターネットを介して接続された主表示手段を備え、前記主表示手段は、前記管理用モニタに表示された内容と同一の前記施工管理画面を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至7に何れか1項記載のコンクリート充填管理装置。
【請求項9】
複数階に亘り延在する鋼管の内部空間に圧入工法によりコンクリートを下方から圧入充填して柱部材を構築する際のコンクリート充填管理方法であって、
前記内部空間にコンクリートが圧入充填されることにより前記内部空間内を上昇するコンクリート天端の高さをレベル計測器で計測し、
前記内部空間内を上昇する前記コンクリート天端を撮像カメラで撮像し、
前記レベル計測器で計測された計測値を一定の時間ごとに取り込み前記コンクリート天端の上昇に伴いに変化する線グラフとして管理用モニタに表示し、
前記撮像カメラで撮像された前記コンクリート天端の打設状況を前記管理用モニタに表示し、
前記鋼管に相似な鋼管画像を生成して前記管理用モニタに表示するとともに前記計測値を一定の時間ごとに取り込み前記コンクリート天端の上昇に伴い変化する棒グラフとして前記鋼管画像の表示箇所に前記鋼管画像と異なる形態で重畳表示する、
ことを特徴とするコンクリート充填管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−196019(P2011−196019A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60799(P2010−60799)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】