説明

コンタクトピンホルダ

【課題】各コンタクトピンにおける特性インピーダンスを所望の値に維持しつつ、高機能化を図ることが容易なコンタクトピンホルダを提供する。
【解決手段】コンタクトピンホルダ2は、絶縁性の基材21と、基材21に挿入され保持された複数のコンタクトピン3a−3dとを有する。コンタクトピン3b、3dは、ホルダ2を構成する基材21に形成された、第1のピン用孔24より大径の第2のピン用孔25内に挿入され、ピン用孔25の内面にも銅、金又は銀等の導電性材料251がメッキ等により形成されている。コンタクトピン3b、3dは、導電性材料251とは接触せず、導電性材料251と協働して同軸線路を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPUやメモリ等の電子デバイスの検査に使用されるコンタクトピンホルダに関し、特には、同軸線路を具備した半導体パッケージテスト用のコンタクトピンホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
BGA(ボールグリッドアレイ)デバイス等の電子デバイスの信号伝送特性等の評価試験を行う際には、その電子デバイスの端子の各々に導通接続可能な接触子すなわちコンタクトピンを備えたコンタクトピンホルダが使用される。近年、電子デバイスではその処理速度の高速化に伴い、扱う信号が高周波化している。信号の高速化に対応して、コンタクトピンホルダも高速信号を伝送できることが求められている。
【0003】
信号の伝送、特に高速信号の伝送に際しては、該信号を伝送する伝送線路の特性インピーダンスを安定に保つことが重要である。このため、従来、金属ブロックに同軸線路構造を設けて所定の特性インピーダンスを得る構造が提唱されている。
【0004】
例えば特許文献1には、「コンタクトプローブ10の外周に第2金属膜16を介して誘電体層15が設けられ、誘電体層15の外周面に第1金属膜17が設けられることにより、第2金属膜16(可動ピン11、12)と第1金属膜17(金属スリーブ9)との間にキャパシタ18が形成され」と記載されている。
【0005】
また特許文献2には、「高周波信号用のコンタクトプローブ21は、その外周の2箇所に環状プローブホルダ31が固着され、この環状プローブホルダ31が金属ブロック2の上面部及び下面部に位置するように金属ブロック2の貫通孔3に嵌合されている。これにより、高周波信号用のコンタクトプローブ21と金属ブロック2との間に中空部が形成され、高周波信号用のコンタクトプローブ21を中心導体とするとともに金属ブロック2を外部導体とし、所望の特性インピーダンスの同軸線路とされる」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−49163号公報
【特許文献2】特開2007−198835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は、コンタクトピンを保持するブロック等が金属製であったため、コンタクトピン間の導通接続は容易になるものの、比較的重量が大きく扱いにくいことに加え、複数系統のグラウンドをブロック内に設ける等の高機能化を図ることはできなかった。
【0008】
そこで本発明は、内部の伝送線路の特性インピーダンスを所望の値に維持しつつ、高機能化を図ることが容易なコンタクトピンホルダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、電子デバイスが有する複数の端子のそれぞれを、回路基板の対応する接点に電気的に接続するように構成されたコンタクトピンホルダであって、絶縁性の基材と、前記基材に形成された複数の孔の各々の内表面に形成された導電体と、前記導電体と電気的に絶縁されるように、前記複数の孔にそれぞれ挿入され保持された複数の導電性のコンタクトピンと、前記複数のコンタクトピンの少なくとも1つと、該少なくとも1つのコンタクトピンが挿入される孔に形成された導電体とが同軸線路を構成する、コンタクトピンホルダを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るコンタクトピンホルダによれば、基材を絶縁性材料で形成することにより、軽量化が図られるとともに、複数系統のグラウンドを含む等の高機能化を容易に図ることが可能となる。またコンタクトピンを挿入する孔の内面に導電体を形成する際、該内面の一部にのみ導電体を形成する等、自由度の高い設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るコンタクトピンホルダに、ガイドを設けた例を示す斜視図である。
【図2】図1のコンタクトピンホルダの斜視図である。
【図3】図2のホルダの変形例の斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係るホルダの断面図である。
【図5】図1のコンタクトピンの構造例を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係るホルダの断面図である。
【図7】第3の実施形態に係るホルダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るガイド付コンタクトピンホルダ1を示す斜視図である。ガイド付コンタクトピンホルダ1は、コンタクトピンホルダ(以降、ホルダと称する)2と、ホルダ2に保持された複数の導電性のコンタクトピン3と、ホルダ2を支持するガイドボディ4とを有する。ガイドボディ4は、検査すべき電子デバイス(図示せず)をホルダ2上の所定位置に配置するためのガイド部又はガイド壁41を有し、さらにホルダ1を該電子デバイスを検査する検査装置(図示せず)の所定位置に配置するための位置決め部(本実施形態では図1に示す位置決め孔42)を有することが好ましい。なお位置決め孔42の代わりに、位置決めピンや切欠き等を設けてもよい。
【0013】
図2は、図1のホルダ2の斜視図である。ホルダ2は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性材料から作製される板状又は層状の基材21を有し、各コンタクトピン3は基材21の表面22に略垂直に延びるように、基材21に圧入等により保持される。図2の例では、ホルダ2はボルト5及びナット6等の連結手段により連結された2枚の板状基材21からなり、両基材の間には後述する導電体層(接続部)が配置される。またホルダ2は、ガイドボディ4に対する位置決めを容易にするために、ガイドボディ4に形成された位置決め孔(図示せず)に係合する位置決めピン7を有してもよい。なおホルダ2は、実質一体の基材から構成されてもよいし、後述するようにコンタクトピン3の組立性向上等のために、適宜分割してもよい。
【0014】
図3は、図2のホルダ2の変形例の斜視図である。該変形例では、基材21の面が実質1つの平面ではなく、段差等を設けることによって複数(図示例では2つ)の平面22、23を備える。このようにホルダは、コンタクトピンや検査すべき電子デバイス(図示せず)の形状に応じて、適宜好適な形状を具備することができる。
【0015】
図4は、図2のホルダ2の第1の実施形態の断面図であって、コンタクトピンの延びる方向に平行な断面を示している。ホルダ2は、絶縁性の基材21と、基材21に挿入され保持された複数(図示例では4つ)のコンタクトピン3a−3dとを有する。なお第1の実施形態では、コンタクトピン3a、3cがグラウンドピンであり、コンタクトピン3b、3dが信号ピンであるものとする。
【0016】
図5は、各コンタクトピンの具体的構造例を示す図である。コンタクトピン3aは、ホルダ2に形成されたピン用孔(後述)に挿入される略円筒状の中空の導電性外殻31と、外殻31内に配置されて外殻31の軸方向に伸縮可能な弾性部材(図示例ではコイルばね)32と、コイルばね32の一端(図示例では下端)に配置されかつピンボディ31の一端(図示例では下端)から突出し、図示しない検査装置に電気的に接続可能に構成された導電性の第1プランジャ33と、コイルばね32の他端(図示例では上端)に配置されかつピンボディ31の他端(図示例では上端)から突出し、図示しない電子デバイスに電気的に接続可能な導電性の第2プランジャ34とを有する。また第1プランジャ33及び第2プランジャはそれぞれ外殻31に当接するので、コンタクトピン3aにおいて、第1プランジャ33から外殻31を経由して第2プランジャ34に至る導電路が形成される。或いは又はそれに加え、コイルばね32を導電性材料にて構成し、第1プランジャ33からコイルばね32を経由して第2プランジャ34に至る導電路を形成してもよい。なお図5はコンタクトピン3aを示しているが、他のコンタクトピン3b−3dも同様の構造を具備することができる。
【0017】
各コンタクトピンは、ホルダ2の面22に略垂直に延びてホルダ2を貫通する。詳細には、コンタクトピン3a、3cは、ホルダ2を構成する基材21に形成された第1のピン用孔24内に圧入等により保持され、一方ピン用孔24の内面には銅、金又は銀等の導電性材料241がメッキ等により形成されている。従ってコンタクトピン3a、3cは、少なくとも部分的に導電性材料241に電気的に接続される。一方コンタクトピン3b、3dは、ホルダ2を構成する基材21に形成された第2のピン用孔25内に挿入され保持される。図示例では、各コンタクトピンの外殻31が、外殻31の外径より小さい径の孔を有する板状の基材27、28によって保持されている。またピン用孔25の内面にも銅、金又は銀等の導電性材料251がメッキ等により形成されているが、第2のピン用孔は第1のピン用孔24より大径となっている。従ってコンタクトピン3b、3dと導電性材料251とは接触せず、互いに絶縁されており、コンタクトピン3b、3dと導電性材料251とは協働して同軸線路を構成する。なお本願明細書における「同軸線路」は、コンタクトピンの外殻31と導電性材料251とが接触せずに互いに絶縁され、かつ外殻31が導電性材料に覆われた(電磁シールドされた)形態を意味し、図示例のようにコンタクトピン及び導電性材料の各々が同一軸を中心とする円筒である場合のみを意味するものではない。従って例えば、コンタクトピンの外表面と導電性材料の内表面とが互いに偏心した円筒面であってもよい。
【0018】
コンタクトピン3b、3dについて、同軸線路を構成する外殻31の外表面と導電体251の内表面との間には、樹脂又はセラミック等の誘電体35を配置又は充填することができる。或いは、外殻31の外表面と導電体251の内表面との間に誘電体等を充填せずに、空気、窒素又は酸素等の気相とすることもでき、或いは真空とすることもできる。
【0019】
上記同軸線路は、所定の特性インピーダンスを有するように構成される。例えば、コンタクトピン3b又は3dの外殻31が直径dの円筒であり、導電性材料251が内径Dの中空円筒であって、両円筒が互いに同軸である場合、該同軸線路の特性インピーダンスZ0は以下の式で表される。なおεは、コンタクトピンと導電性材料との間の誘電体(本実施形態では誘電体又は空気)の誘電率である。D、d及びεを適宜選定することにより、各信号ピンについて所望の特性インピーダンスを得ることができる。
0 = 60/ε1/2・ln(D/d)
【0020】
図4に示すように、ホルダ2は、基材21に積層又は包埋されかつ導電体241及び251を互いに電気的に接続する接続部26を有する。図4の例では、接続部26は2つの板状基材21の間に積層された層状の導電体である。導電性材料241及び251が層状導電体26によって互いに電気的に接続されることにより、貫通孔24内に圧入されたコンタクトピン3a、3cは、導電性材料241を介して層状導電体26に電気的に接続される。
【0021】
ホルダ2は、実質一体物として形成されてもよいが、コンタクトピンの組立性や上記接続部の配置等を考慮して、いくつかの部材を組み合わせて作製することもできる。例えば図4の例では、層状の接続部26をホルダ内に配置するために、板状の基材21をその厚さ方向に積層された複数層(図示例では2層)から形成し、該層間に接続部26(図示例では導電層)を挟むことができるようにしている。さらに、ピン用孔の内面への導電体の形成(例えばコーティング)を考慮し、基材21の厚さを各コンタクトピンの外殻31の長さと略等しくし、該導電体をピン用孔の内面に形成した後に板状の基材27、28を基材21に接合することもできる。
【0022】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るコンタクトピンホルダに使用されるホルダ2′の断面図である。ホルダ2′は2つの接続部26a′、26b′を有し、これにより2系統のグラウンドを含むコンタクトピンホルダを構成することができる。具体的には、第1の接続部26a′が、コンタクトピン3a′が挿入されるピン用孔24a′の内面に形成された導電体241a′とコンタクトピン3b′が挿入されるピン用孔24b′の内面に形成された導電体241b′とを電気的に接続し、第2の接続部26b′が、コンタクトピン3c′が挿入されるピン用孔24c′の内面に形成された導電体241c′とコンタクトピン3d′が挿入されるピン用孔24d′の内面に形成された導電体241d′とを電気的に接続しており、さらに第1の接続部26a′と第2の接続部26b′とは互いに絶縁されている。同様に、接続部を3つ以上設け、3系統以上のグラウンドを含むコンタクトピンホルダを構成することもできる。また第2の実施形態においても、各接続部を層状の導電体として構成することができる。なお第2の実施形態では、コンタクトピン3a′、3c′がグラウンドピンであり、コンタクトピン3b′、3d′が信号ピンであるものとする。
【0023】
第2の実施形態では、ホルダ2′の基材21′が金属等の導電体ではなく誘電体から構成されているので、上述のような構成により、複数系統のグラウンドを基材に容易に設けることができる。グラウンドが複数系統であると、アナログ信号とデジタル信号、高周波信号と低周波信号、又は振幅の大きい信号と振幅の小さい信号等、種類の異なる信号が混在している場合であっても、異なる信号のそれぞれに対応して独立したグラウンドの設定が可能となり、伝送線路を通る信号の安定化を図ることができる。
【0024】
図7は、本発明の第3の実施形態に係るコンタクトピンホルダに使用されるホルダ2″の断面図である。ホルダ2″は、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁性材料から作製される基材21″に積層(好ましくは包埋)された少なくとも1つ(図示例では2つ)の層状の誘電体211″、212″を有してもよく、層状誘電体211″の両側には銅等の導電層213″、214″が形成され、層状誘電体212″の両側には銅等の導電層215″、216″が形成される。従って各層状誘電体とその両面の導電層は、協働してコンデンサを構成する。つまりホルダ2″は、基材を構成する絶縁体と、導電層と、層状誘電体とを積層して構成されている。またコンデンサの容量を高めるためには各層状誘電体の誘電率は高い程好ましく、各層状誘電体は基材21″の誘電率よりも高い誘電率を有する高誘電体であることが好ましい。例えば高誘電体としてスリーエム社製のEmbedded Capacitor Material(ECM)が使用可能である。ECMは、高誘電材料を柔軟性のあるシート状に形成したものである。このようなホルダは、印刷回路板を作製する方法によって、作製することができる。
【0025】
層状誘電体は、ポリマーを含むことができる。好ましくは、層状誘電体はポリマーと複数の粒子とを含み、具体的には樹脂と粒子とを混合することによって作製される。好適な樹脂としては、エポキシ、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ベンゾシクロブテン、ポリノルボルネン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。粒子は、誘電性(又は絶縁性)粒子を含み、その代表例としては、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、酸化チタン、チタン酸鉛ジルコニウム、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
各誘電体層の厚みは、例えば0.5マイクロメートル以上とすることができ、20マイクロメートル以下とすることができる。該厚みはより薄い方が、キャパシタの静電容量を高くできるので好ましく、例えば15マイクロメートル以下、或いは10マイクロメートル以下とすることができる。但し該厚みはより厚い方が、接着強度の点からは好ましく、例えば1マイクロメートル以上とすることができる。
【0027】
また誘電体の比誘電率は高い程好ましく、例えば10以上、或いは12以上とすることができる。比誘電率の上限には特に制限はないが、例えば30以下、20以下、或いは16以下とすることができる。
【0028】
また、層状誘電体として高誘電率を有する材料を使用すると、隣接する2つのコンデンサ間の距離を小さくできるというメリットを有する。2つのコンデンサが隣接すると、1つのコンデンサを構成するGND層と隣接する他のコンデンサを構成するGND層との間でも静電容量が構成される。静電容量を構成したい導電層間に高誘電体を使用すると、1つのコンデンサを構成する導電層間の距離と、2つのコンデンサの隣接距離とを同じくしても、1つのコンデンサが生じる静電容量が大きくなる。そのため、隣接するコンデンサ間の距離を相対的に短くすることができ、ホルダの薄型化に貢献する。
【0029】
各高誘電体の両面に形成された導電層は、グラウンドピンと電気的に接続されたグラウンド(GND)層を構成する。詳細には、ホルダ2の図示しない電子デバイス側の面(図7では上面)271″に近い第1の高誘電体211″の上側の導電層213″及び下側の導電層214″がGND層として作用する。また、ホルダ2の図示しない検査装置側の面(図7では下面)281″に近い第2の高誘電体212″の上側の導電層215″及び下側の導電層216″がGND層として作用する。従って図7の実施形態では、GND層214″、215″に接続されたコンタクトピン3a″、3c″と、GND層213″、216″に接続されたコンタクトピン3d″とがグラウンドピンとして作用する。さらに、いずれのGND層にも接続されておらず、同軸線路を構成するコンタクトピン3b″が、信号ピンとして作用する。
【0030】
なお各層状高誘電体及びその両面の導電層は、ホルダ2に全面的に配置されてもよい。その場合、ホルダ2の面積と略等しい面積のコンデンサが形成可能である。
【0031】
図7に示すように、ホルダ2″は高誘電体とそれを挟むGND層とで構成されるコンデンサを、ホルダ2″の上面271″及び下面281″に成るべく近い位置(すなわち表層側)に具備することが好ましい。この理由は、ホルダ2″の表面と導電層との距離が小さい方が、電子デバイス検査時において良好な信号伝送特性が得られるからである。より具体的に言えば、ホルダ2″の上面271″と高誘電体211″との距離が短い程検査対象である電子デバイスの入力感度が上昇し、一方ホルダ2″の下面281″と高誘電体212″との距離は短い程該電子デバイスの出力感度が上昇する。本発明では、絶縁性材料から作製されるホルダが、GND層間に挟まれた高誘電体を内包した実質一体物として構成されているので、コンデンサをホルダの表面近傍に配置した構成を容易に実現することができ、より正確な電子デバイスの検査ができるようになる。
【0032】
以上、本願発明の3つの実施形態を説明したが、それぞれの特徴を複数含む実施形態とすることも可能である。例えば、図6の第2の実施形態に図4の第1の実施形態の接続部(層状導電体)26を付与してもよいし、さらにその接続部を図7の第3の実施形態のように複数層とすることもできる。また各実施形態は、電源ピンを別途有することができる。
【0033】
上述の各実施形態において、ホルダ2、2′又は2″を構成する材料は、ガラス繊維の代わりに紙を含んでいてもよいし、エポキシ樹脂の代わりにフェノール樹脂やポリアミド樹脂を含んでもよい。また導電層又は導電体を構成する材料として、銅以外に銀や金を使用してもよい。
【0034】
本願発明では、ホルダが誘電体から形成され、信号ピンの少なくとも1つは所定の特性インピーダンスを有する同軸線路を構成する。従ってホルダを金属等の導電性材料で形成する場合に比べ、軽量化が図られているとともに、信号ピンの特性インピーダンスを所望の値に維持しつつ、接続部を複数設けて複数系統のグラウンドを設けたり、誘電体層及び導電体層からなるキャパシタを設けたりする等、高機能のコンタクトピンホルダを実現することができる。またコンタクトピンを挿入するピン用孔の内面に導電体を形成する際、該内面の一部にのみ導電体を形成する等、自由度の高い設計が可能となる。
【0035】
なお上述の実施形態ではいずれも、各コンタクトピンがホルダを貫通しているが、コンタクトピンがホルダの厚さ方向に部分的に延びる(すなわちコンタクトピンがホルダ内で終端する)構成とすることもできる。その場合、ホルダ内で終端しているコンタクトピンの端部と他のコンタクトピンとを、上述の接続部24に類似する手段で電気的に接続することができる。このようにすれば、ホルダの上面側と下面側とで、コンタクトピンのピッチが異なる構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ガイド付コンタクトピンホルダ
2 コンタクトピンホルダ
21 基材
24、25 ピン用孔
26、26a′、26b′ 接続部
211″、212″ 誘電体層
213″、214″、215″、216″ 導電体層
3a、3b、3c、3d コンタクトピン
31 外殻
32 コイルばね
33 第1プランジャ
34 第2プランジャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスが有する複数の端子のそれぞれを、回路基板の対応する接点に電気的に接続するように構成されたコンタクトピンホルダであって、
絶縁性の基材と、
前記基材に形成された複数の孔の各々の内表面に形成された導電体と、
前記導電体と電気的に絶縁されるように、前記複数の孔にそれぞれ挿入され保持された複数の導電性のコンタクトピンと、
前記複数のコンタクトピンの少なくとも1つと、該少なくとも1つのコンタクトピンが挿入される孔に形成された導電体とが同軸線路を構成する、コンタクトピンホルダ。
【請求項2】
前記基材内に設けられ、前記導電体の各々を互いに電気的に接続する接続部をさらに有する、請求項1に記載のコンタクトピンホルダ。
【請求項3】
前記接続部が少なくとも1つの層状導電体を有する、請求項2に記載のコンタクトピンホルダ。
【請求項4】
前記基材に積層され、該基材よりも高い誘電率を有する少なくとも1つの層状誘電体と、
前記基材に積層され、前記層状誘電体の両側に形成された導電層とを有し、
前記基材に形成された複数の孔の各々の内表面に形成された導電体の少なくとも1つは前記導電層のいずれか1つに電気的に接続されている、請求項1又は2に記載のコンタクトピンホルダ。
【請求項5】
前記同軸線路を構成するコンタクトピンの外表面と、該コンタクトピンが挿入される前記基材の孔の内表面に形成された導電体との間隙に誘電体が配置される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンタクトピンホルダ。
【請求項6】
前記同軸線路を構成するコンタクトピンの外表面と、該コンタクトピンが挿入される前記基材の孔の内表面に形成された導電体との間隙が気相又は真空である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンタクトピンホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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