説明

コンテクスト情報に基づいたモバイルネットワークにおけるモビリティ管理

モバイルネットワークのサービスについてコンテクストに基づいて判断をするための方法であって、前記モバイルネットワークの異なる場所に分布しているコンテクスト情報を収集するステップと、コンテクスト情報を含むコンテクストデータを構成して、前記コンテクストデータ構造の評価に基づいて前記モバイルネットワークのサービスについての判断を下すステップであって、前記コンテクストデータ構造は最小化されるステップとを備えている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテクスト情報に基づいたモバイルネットワークのモビリティ管理に関する。特に、コンテクスト情報に基づいたモバイル環境におけるネットワークサービスについての判断に関する。
【背景技術】
【0002】
将来のネットワークにおいて、コンテクストの理解がユーザに提供されることになる。コンテクストの理解に基づいて、ネットワークでなされる判断を変化するコンテクストや変化する環境に適応可能になる。従って、ユーザに提供されるサービスレベルを改良することが可能となる。
【0003】
コンテクストの理解は次世代(4G)モバイルネットワークにとって特に重要である。これらのネットワークは異機種(サブ)ネットワークを含み、且つこのようなネットワークにおけるサービスをシームレスに提供することになる。このために、「いずれのサービス」、「いずれのアクセスポイント」、「いずれの(サブ)ネットワーク」というような、サービスに関してなされるネットワークサービス判断が、コンテクスト情報を考慮に入れることが可能となるはずである。
【0004】
このようなコンテクストの理解を提供するために、ネットワークサービス判断がなされる根拠となるコンテクスト情報が管理されなければならない。これは、異なるロケーションからの情報を含んでもよいコンテクスト情報が収集されるべきであることを意味している。収集は、コンテクスト情報に基づいた最終的判断がなされた場所とは異なるロケーションで生じることがあるため、いくらかのコンタクト情報の交換であるべきかもしれない。最終的に、収集されたコンテクスト情報は処理または評価されなければならない。
【0005】
例えば2001年12月のIEEE Communications MagazineのP.Chan et al.の「Mobility management incorporating fuzzy logic of a heterogeneous IP environment」において、異機種モバイルアクセスネットワークから検索された情報の複雑さに対応するために、ファジー理論を使用することが提案された。ここで、ハンドオーバ手順用のアルゴリズム、およびこの問題へのファジー理論の適用方法が開示されている。
【0006】
2001年9月のACM Journal of Mobile Networks and Applications 6,vol.6,no.5の、Michel KounavisおよびAndrew Campbellによる「Design,implementation and evaluation of programmable handoff」は、プログラマブルハンドオーバ用のフレームワークを開示している。しかしながら、コンテクスト情報を含むことには関連していない。
【0007】
これらの環境に鑑みると、変化する環境に適切に適応可能な柔軟且つ効率的な方法でコンテクスト情報の管理を実行することが望ましい。
【発明の開示】
【0008】
本発明は独立請求項に定義されている。独立請求項は本発明の具体的な実施形態を定義する。
【0009】
好ましい実施形態によると、モバイルネットワークにおけるサービスについてコンテクストに基づく判断をするための方法が提供されており、前記モバイルネットワークの異なるロケーションに分布しているコンテクスト情報を収集するステップと、コンテクスト情報を含むコンテクストデータ構造を構成して、前記コンテクストデータ構造の評価に基づいて前記サービスに関する判断を下すステップであって、前記コンテクストデータ構造が最小化されるステップとを備えている。
【0010】
収集されたコンテクスト情報を、最小化されたコンテクストデータ構造に構成することによって、変化する環境に従ってコンテクスト情報の取り扱いを適応的且つ効率的に管理することができる。
【0011】
好ましい実施形態によると、前記コンテクストデータ構造は行列の形態をとっており、前記方法は、最小化形態で前記行列を構成するステップおよび/または最初に前記行列を構成した後に前記行列を最小化するステップを備えている。行列構造の使用は、計算および評価に関して簡単に処理可能であるように定義された構造ゆえに、コンテクスト情報を処理するのに特に適している。
【0012】
好ましい実施形態によると、前記コンテクストデータ構造の前記最小化は、いずれのコンテクスト情報が関連しているかを判断して、前記コンテクストデータ構造を構成する際に関連コンテクスト情報のみを含むように初期のコンテクスト情報に基づいた判断を下すステップおよび/または前記コンテクストデータ構造を構成する際に動的コンテクスト情報を排除するステップを含んでいる。
【0013】
関連コンテクスト情報のみを含むステップと、コンテクストデータ構造を構成する際に動的コンテクスト情報を排除するステップは両方とも、最小化コンテクストデータ構造につながり、これによって、変化する環境においてコンテクスト情報の効率的な処理が可能となる。
【0014】
好ましい実施形態によると、前記コンテクストデータ構造の前記最小化は、初期コンテクスト情報に基づいて、前記モバイルネットワークの複数のアクセスポイントのうちのいずれのアクセスポイントが予測アクセスポイントとみなされるべきかを判断するステップと、前記判断に基づいて考慮されるべきアクセスポイントに対応する要素のみをコンテクストデータ構造に含めるステップと、を含んでいる。
【0015】
コンテクストデータ構造に含まれる予測アクセスポイント数を制限することによって、データ構造の最小化が達成されて、分布環境における送信および計算のニーズを削減することができる。
【0016】
好ましい実施形態によると、現在モバイル端末があるセルに隣接する隣接セルのアクセスポイントに対応する要素のみが関連ありとみなされ、コンテクストデータ構造に含まれる。隣接アクセスポイントのみを含むことは、コンテクストデータ構造を「現実的な」アクセスポイントに制限する。
【0017】
好ましい実施形態によると、前記コンテクストデータ構造の前記最小化は、サービス関連コンテクスト情報に基づいて、前記モバイルネットワークにおけるいずれのサービスが関連ありとみなされるべきかを判断するステップと、前記判断に基づいて関連ありとみなされるべきサービスに対応する要素のみをコンテクストデータ構造に含めるステップとを備えている。これは、効率的なコンテクストデータ処理に対する最小化コンテクストデータ構造をも取得する。
【0018】
好ましい実施形態によると、前記コンテクストデータ構造の前記最小化は利用可能な静的コンテクスト情報に基づいて前記コンテクストデータ構造を部分的に評価するステップを備えている。部分的評価は、効率的なコンテクストデータ処理をするための最小化コンテクストデータ構造を達成するためのもう1つの方法である。
【0019】
好ましい実施形態によると、静的コンテクスト情報に基づいて前記コンテクストデータ構造を最初に構成する際に動的コンテクスト情報が排除されており、また前記動的コンテクスト情報は、前記静的コンテクスト情報の後に前記コンテクストデータ構造に含められる。これは動的コンテクスト情報を最新に維持する。
【0020】
好ましい実施形態によると、前記モバイルネットワークは、コンテクストサーバと、複数のコンテクストリポジトリと、コンテクストクライアントである複数のモバイルノードとを含み、前記コンテクストサーバは前記コンテクストリポジトリから前記コンテクスト情報を収集し、前記コンテクスト評価行列を構成し、前記コンテクストデータ構造は前記コンテクストサーバから前記コンテクストクライアントのうちの1つに送信されて評価される。このようなフレームワークは、分布環境でのコンテクストデータ処理のための効率的且つ柔軟なアプローチを提供する。
【0021】
好ましい実施形態によると、前記コンテクストデータ構造は第1のロケーションから第2のロケーションに送信され、動的コンテクスト情報は前記コンテクストデータ構造とは別に送信される。これはまた、動的コンテクスト情報を最新に維持しつつ必要トラフィックを削減する。
【0022】
好ましい実施形態によると、コンテクスト情報は、モバイル端末およびネットワークからの、静的情報および動的情報を含み、前記コンテクストデータ構造は、静的コンテクスト情報に基づいて最初に構成され、前記ネットワークサイドからの前記動的コンテクスト情報は、前記コンテクストデータ構造を最初に構成した後に挿入され、また前記モバイル端末からの動的情報は、前記コンテクストデータ構造の評価直前に、前記コンテクストデータ構造に最後に挿入される。これはコンテクスト情報をタイミングよく提供することによって、動的コンテクスト情報が期限切れになる可能性を最小限にすることができる。
【0023】
好ましい実施形態によると、コンテクストデータ構造を構成する際に利用可能でないコンテクスト情報要素について、デフォルト値がコンテクストデータ構造を構成するために使用される。これは、あるときに一部の必要な情報が利用可能でないことがある可能性を考慮する。
【0024】
好ましい実施形態によると、前記コンテクストデータ構造を構成する際に、コンテクストデータ構造に含まれる要素の値のうち1つ以上は1セットのルールに応じて可変的に選択される。これはコンテクストに基づく判断手順に高い柔軟性を付与する。
【0025】
好ましい実施形態によると、コンテクストデータ構造の合成は、リクエストに応じてまたはコンテクストが変化する場合に更新される。これによって変化する環境に適応することができる。ネットワークポリシーおよび環境に応じて、いずれかのオプションが好ましい。動的コンテクスト情報の連続的な更新は、最新の動的コンテクスト情報が継続して利用可能であることを確認する。対応する必要トラフィックは、方程式の評価直前のリクエストに応じてのみ動的コンテクスト情報を更新することによって削減可能である。
【0026】
好ましい実施形態によると、前記コンテクスト情報は、ユーザプロファイル、ユーザ履歴、ネットワークロケーションおよび/またはネットワークトポロジー、ネットワーク性能、ネットワークサービス、料金モデル、潜在的な次のアクセスポイント、ロケーション情報、ロケーション予測のうちの1つ以上に関する。
【0027】
好ましい実施形態によると、モバイルネットワークにおけるサービスについてコンテクストに基づく判断をするための装置が提供されており、該装置は、前記モバイルネットワークの異なるロケーションに分布しているコンテクスト情報を収集するためのコレクタコンポーネントと、コンテクスト情報を含むコンテクスデータ構造を構成して、前記コンテクストデータ構造の評価に基づいて前記サービスについて判断を下すための構成コンポーネントとを備え、前記コンテクストデータ構造は、初期コンテクスト情報に基づいて、または前記コンテクストデータ構造が構成される時期に基づいて最小化される。
【0028】
前記装置は、ネットワークの他の要素、特にコンテクストリポジトリと接触しているサーバであってもよい。これに適切なソフトウェアおよびハードウェアをインストールすることによって、本発明の実施形態と関連して説明された他の機能性を実現することもできる。
【0029】
好ましい実施形態によると、モバイルネットワーク用のモバイル端末が提供されており、該モバイル端末は、本発明の実施形態と関連して定義された装置によって構成されたコンテクストデータ構造を受信するための受信コンポーネントと、前記装置から受信されたコンテクストデータ構造を評価して、前記オプションのうちの1つを選択するための計算コンポーネントと、を備える。
【0030】
モバイル端末は好ましい実施形態に従って、本発明の実施形態と関連し説明されたさらなる機能性を実行するための適切なソフトウェアおよびハードウェアをインストールしている。
【0031】
モバイル端末は例えばコンピュータ、モバイル電話、PDA(携帯情報端末)、またはモバイルネットワークへの無線リンクを介して接続可能なものであってもよい。
【0032】
さらなる実施形態によると、コンピュータ上で実行される場合に、本発明の実施形態のうち1つに従った方法をコンピュータが実行できるようにするプログラムコードを備えているコンピュータプログラムが提供される。このようなコンピュータプログラムはモバイル端末やコンテクストサーバに配置されてもよく、あるいはモバイルネットワークのコンポーネント上に分配されてもよい。
【0033】
さらなる実施形態によると、本発明の実施形態のうちの1つに従った方法を実行することによって得られたデータ構造が提供される。
【0034】
本発明は次に、添付の図面を参照してより詳細にさらに説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以後説明される実施形態は、特定のサービスの、変化するコンテクストに自体を適応させる能力を意味する「コンテクストの理解」の提供に関する。
【0036】
本発明の実施形態に従ったコンテクスト情報の管理について詳細に説明する前に、まず以後使用される用語について説明する。
【0037】
コンテクスト情報はコンテクスト情報の個々のピースまたは要素からなり、これらはネットワークの現在のステータスと、モバイルノードやアクセスポイントなどのコンポーネントと、ユーザとを(部分的または全体的に)説明または定義する。コンテクスト情報は部分的にモバイルノード内に配置されてもよく、また部分的にネットワークサイドに配置されてもよい。図1に概略的に示されるように、4タイプのコンテクスト情報を区別することができる。
【0038】
1.ネットワークサイドに配置された静的コンテクスト情報(例えば、ユーザプロファイルや履歴、ネットワークロケーションまたはネットワークトポロジー、ネットワーク性能やサービス、料金モデル)。セル(例えば、潜在的な次のアクセスポイント)に対して静的なコンテクスト情報がいくらかあり、ここで、これはまた静的コンテクスト情報であるとみなされる。ユーザプロファイルは例えば、ユーザに付与されるサービスのプールなどの、ユーザに任意の固有のデータを含んでもよい。ユーザ履歴は、ユーザが使用したサービスの履歴についての情報を含んでもよく、さらに、例えばユーザの前のロケーションについての情報を含んでもよい。ネットワークロケーションまたはネットワークトポロジー情報は、アクセスポイントのロケーションや特定のアクセスポイントに対する隣接アクセスポイントのロケーションなどのロケーションに関するネットワーク構成についての情報を含んでもよい。ネットワーク性能およびサービス情報は、いずれのサービスがネットワークによって提供可能であるか、いずれのサービス性質が利用可能であるか(例えば帯域幅など)などについての情報を含んでもよい。さらに、料金モデルは、特定のサービスおよび特定の時間に対して、場合によっては特定のユーザに対してもいくら課金されたかについての情報を含む料金情報を含んでもよい。
【0039】
2.ネットワークサイドに配置された動的コンテクスト情報(例えば、ネットワークステータス、ネットワーク負荷)。
【0040】
3.モバイルノードに配置された静的コンテクスト情報(例えば、ユーザ設定&プロファイル、アプリケーション設定、端末のハードウェア性能、サポートされているサービスなど)。セル(例えば現在のロケーション)に対して静的なコンテクスト情報がいくらかある。ここではこれを静的コンテクスト情報とみなす。ユーザ設定およびユーザプロファイルはモバイルモードで配置された静的コンテクスト情報を有し、これは、例えば(コスト、サービス品質、サービスの種類などの)いずれの基準が、コンテクストを理解した判断を根拠とするのにユーザによって好まれるかについての情報を含んでもよい。ユーザプロファイルは、モバイルノードを特定のユーザにカスタマイズする、この特定のユーザに関する一般的な情報を含んでもよい。アプリケーション設定は、いずれのアプリケーションが利用可能であり、またはモバイルノードによって提供可能であるかについての情報を含んでもよい。端末のハードウェア性能は例えば、モバイルノードによって提供可能な(帯域幅などの)サービス性質を定義してもよい。最後に、サポートされているサービス(いずれのサービスがモバイルノードによってサポートされているかいないか)は、モバイルノードに配置された静的コンテクスト情報とみなされてもよい。
【0041】
4.モバイルノードに配置された動的コンテクスト情報(例えば、(複数の)現在必要とされているまたは操作されているサービス、無線測定(フィールド強度)、デバイスステータス(バッテリ、インタフェースステータスなど))。
【0042】
図1に概略的に示されるように、コンテクスト情報は収集され、収集されたコンテクスト情報を評価するある種の判断アルゴリズムに供給され、この判断アルゴリズムに基づいて、最終的にネットワークのサービスについての判断が下される。コンテクスト情報の収集および評価の手順は本発明の実施形態と関連して以下により詳細に説明される。
【0043】
次に図2を参照して、本発明の実施形態が適用可能なモバイル環境について説明する。図2は、モバイルノード220および230が接続可能なルーター200およびアクセスルーター210(アクセスポイント)などのネットワークノードを備えるネットワークを示している。モバイルノード220および230はモバイル電話、ノートブックまたはラップトップ、PDAあるいはこのようなものであってもよい。
【0044】
ネットワークはさらに種々のコンテクストリポジトリ240を備え、これらはネットワークに分布しており、種々のコンテクスト情報を記憶する。これらは、現在のネットワークトラフィックまたはネットワーク負荷についての情報を記憶するトラフィックモニタを含んでもよく、またモバイルノードの現在のロケーションについての情報を記憶するロケーション情報リポジトリを備えてもよい。さらに、いずれの方向に(いずれのアクセスノードに)モバイルノードが移動するかまたは移動しやすいかという可能性についての情報を含むロケーション予測情報を備えてもよい。
【0045】
ネットワークに配置されたコンテクストサーバ250は関連コンテクスト情報をコンテクストリポジトリ240から収集してもよい。またコンテクスト情報の合成(compilation)を、以下により詳細に説明されるように、コンテクスト情報を評価するために評価されてもよいコンテクスト評価行列などのコンテクストデータ構造に作成してもよい。モバイルノードは、評価されるべき方程式をコンテクストサーバからリクエストして判断するためのコンテクストクライアントとみなされてもよい。
【0046】
図3は、本発明の実施形態に従った手順の簡単な例を示している。動作300において、コンテクスト情報が収集される。コンテクスト情報は、モバイル端末から、およびコンテクストリポジトリからなど、ネットワークの異なるロケーションから収集される。
【0047】
次いで、縮小化または最小化形態のコンテクストデータ構造が構成される。これは特定の要素をコンテクストデータに含めることによって実行可能であるのに対して、他の要素、例えば所与の現在のコンテクストにおいて(特定の所与の状況において)いずれが関連ありとみなされるかについては含まれない。得られるコンテクストデータ構造は、コンテクスト情報を考慮するネットワーク判断をするための根拠を付与することによって、コンテクストを理解した判断をすることができる。
【0048】
いずれのコンテクスト情報要素が含まれるべきか、およびいずれが含まれないかを動作310で判断するために、初期コンテクスト情報が評価される。初期コンテクスト情報は動作310で収集されたコンテクスト情報であってもよい。初期コンテクスト情報は例えば、モバイル端末からの静的コンテクスト情報ならびにネットワークサイドからの静的コンテクスト情報であってもよい。この初期コンテクスト情報はコンテクストサーバによって収集されて、次いで1セットのルールが、いずれのコンテクスト情報要素が構成されるコンテクストデータ構造に含まれるべきかを判断するために適用される。従って、1セットのルールを適用するために使用される初期コンテクスト情報がステップ300で収集されたコンテクスト情報の一部にすぎないということがあり得る。例えば図2のコンテクストサーバが連続して多量のコンテクスト情報を収集する場合、(前記1セットのルールに応じて)この収集されたコンテクスト情報の一部のみが、コンテクストデータ構造を構成する関連コンテクスト情報要素を判断するために評価を必要とする、初期コンテクスト情報として使用されてもよい。初期コンテクスト情報は例えば、モバイル端末および/またはネットワークからの静的コンテクスト情報であってもよい。
【0049】
動作310での評価によって判断された「関連」コンテクスト情報のみを含めることによって、原則として利用可能な全コンテクスト情報(例えば、コンテクストサーバが収集する全コンテクスト情報)ではなく、所与の環境下で関連する情報のみを含む「最小化」または「縮小化」コンテクストデータ構造が構成されるのに対して、所与の環境は初期コンテクスト情報の評価から用いられてもよい。
【0050】
従って、動作320において、動作320で判断されたような関連コンテクスト情報のみを含む「最小化」または縮小化コンテクストデータ構造が構成される。
【0051】
次に、動作330において、このように構成されたコンテクストデータ構造は、ネットワークサービスについての判断をするために評価される。この評価は、好ましくはデータ構造に含まれる要素を数学的に連結して評価する方法に関するある所定のルールに従った前記データ構造のコンテンツに基づいている。
【0052】
評価に必要な全ての値を含むコンテクストデータ構造が構成されると、例えばコンテクストデータ構造に含まれるデータに基づいて1つ以上の結果値を計算することによって評価されてもよい。これらの(複数の)結果値に基づいて判断がなされる。
【0053】
コンテクストデータ構造の評価を実行するために、コンテクストデータ構造に含まれる要素を数学的に連結して評価する方法が既知である。これは例えば、規約によって、またはデータ構造の要素上で数学的に動作して評価する方法を定義する所定のルールによって既知であってもよい。コンテクストデータ構造に含まれる値が既知である場合、ひとたび構成されると、評価は実行可能である。
【0054】
上記の通り、コンテクストデータ構造の要素を連結する数学的動作は所定であってもよい。例えば、コンテクストデータ構造は1セットの方程式を表し、各方程式は特定の判断を表し、また各方程式は(所定の)形態を有する。
【数1】

この方程式において、Xkは、関連ありとみなされ、且つ方程式に含まれるべきパラメータ(コンテクスト情報要素)であってもよい。関連パラメータを選択する1セットのルールに基づいて、いずれの要素Xkが方程式に含まれるべきかが判断される。このようにして選択されたパラメータXkについて、次に係数Ckが選択されてもよい。この選択について、これらの係数の値について判断する1つの(別個の)セットのルールが適用されてもよい。これらは例えばパラメータXkに依存してもよいが、これらはまた、あるいは代替的に、特定のパラメータXkが対応する係数Ckによって重み付けされる方法を判断可能なユーザ設定に依存してもよい。最終合計要素Mは、方程式に含まれるべき他の特定のコンテクスト情報要素であってもよい。
【0055】
この方程式は、パラメータXk、係数Ckおよび定数Mが初期コンテクスト情報に基づいて選択されると、「暗黙のうちに」構成される。言い換えると、上記付与された所定の方程式は、つまり選択されたパラメータXk、係数Ckおよび定数M上で動作して結果値Rを計算するためにこの式を適用することによって、パラメータXk、係数Ckおよび定数値Mを含むコンテクストデータ構造が評価される方法を定義する。そしてこのような結果値Rは可能なオプションごとに計算されて、そして結果値Rに基づいていずれのオプション(最高結果値Rを有するもの)が選択されるかが判断される。
【0056】
従って上記に基づいて、コンテクストデータ構造が構成された動作320はまた(暗黙のうちにあるいは明確に)、コンテクストデータ構造を評価する方法に関する1つ以上の方程式の合成を含む。1つ以上の方程式のこの合成は上記例のように所定のルールに従ってもよいが、方程式を構成するためのより複雑な方法が想定可能である。例えば、方程式の合成は、乗算されたパラメータおよび係数の合計としてあらかじめ定義されていないこともあるが、むしろ方程式は、初期パラメータの評価および対応するセットのルールの適用に応じてより複雑な形態をとってもよい。
【0057】
コンテクストデータ構造におけるコンテクスト情報要素(パラメータXk、または係数Ckまたは定数M)の1つ以上の値がコンテクストデータ構造を構成する際には、まだ既知でないということがさらに生じることがある。これは、例えばコンテクストデータ構造が静的コンテクスト情報だけでなく、ネットワーク負荷や動作時のサービスなどの経時的に変化することがある動的コンテクスト情報をも含む場合に生じることがある。一実施形態によると、動的コンテクスト情報のようなコンテクスト情報は、構成される場合にはまだコンテクストデータ構造には含まれていないが、例えば判断がなされる場合、あるいは動的情報が利用可能である場合には後者の段階で含まれる。
【0058】
この場合、最初に構成されたコンテクストデータ構造はまた所与の環境に基づいて、つまり動的コンテクスト情報(特定のパラメータや係数)を排除することによって「最小化」される。コンテクストデータ構造の合成の時期に基づいて、つまり動的コンテクストデータ構造をまだ含んでいない初期コンテクストデータ構造のみを構成する場合に、このように構成されたコンテクストデータ構造はまた「最小化」あるいは「縮小化形態で構成」される。コンテクストデータ構造の(完全)合成はより多くのコンテクスト情報、つまり動的コンテクスト情報をも含むことになり、この動的コンテクスト情報は、(最小化または縮小化)コンテクストデータ構造を最初に構成する際にはまだ含まれていない。
【0059】
「コンテクストデータ構造を構成する」という用語は本明細書では二重の意味で使用されていることに言及すべきである。一方ではコンテクストデータ構造の合成が、関連ありと実際にみなされ、且つコンテクストを理解した判断をするために含まれるべきコンテクスト情報要素の選択を含む。上記例において、これらのコンテクスト要素はパラメータXk、係数Ckおよび定数値Mである。この選択は「変数」、つまりコンテクストデータ構造に含まれるべきコンテクスト情報要素の選択とみなされることがある。他方で、「合成」という用語はまた、これらの変数間の上述の(数学的)連結に関するものであり、コンテクストデータ構造を上述のような方程式によって所定のものであると評価するためのものである。関連コンテクストパラメータが選択されて、上記のような方程式が構成されると、これらは、方程式の変数を実際値と置き換えることによって「終了」されてもよい。これは、方程式(または方程式を表すコンテクストデータ構造)を構成する最終ステップとみなされてもよい。
【0060】
しかしながら、「関連」コンテクスト情報および対応するデータ構造のこの選択は、コンテクストデータ構造に含まれるべき値の一部が動的コンテクスト情報であるために、収集され且つ初期コンテクストデータ構造に挿入されて最終コンテクストデータ構造を後で形成する場合には、「ボイド」つまり「空」であってもよい。
【0061】
そして動的コンテクスト情報要素は、例えば2通りの方法で初期コンテクストデータ構造に含まれてもよい。1つの可能性は、初期コンテクストデータ構造が最初は知られていなかった要素をいくつか含み、これによってまずデフォルト値を推定し、そして欠落している動的コンテクスト情報が利用可能になるとこのデフォルト値と置き換えることによって(初期)コンテクストデータ構造に入れられるということである。これは、例えばコンテクストデータ構造またはその対応する方程式のパラメータや係数がデフォルト値と置き換えられることがあることを意味している。
【0062】
別の可能性は、(複数の)欠落している動的コンテクスト情報要素が、いくつかの(数学的)ルールやレシピに従ってすでに用意されている最初に構成されたコンテクストデータ構造と合成されることであり、この合成に基づいて、最終コンテクストデータ構造が得られる。
【0063】
上記手順が図4に概略的に示されている。動作400において、最小化(初期)コンテクストデータ構造が構成される。例えば動的コンテクスト情報が依然として欠落しているように、いくつかの情報を除く全必要情報をまだ含んでいないため「最小化」つまり縮小化される。これは例えば、パラメータXkや係数Ckが、1セットの方程式を表すコンテクストデータ構造にまだ含まれていないことを意味する。むしろこの欠落しているパラメータや係数はコンテクストデータ構造に後に挿入されることになる。そのために、最初に構成されたデータ構造において、いくつかの要素が欠落しているという定義、およびこれらは後に検索されて、最初に構成されたデータ構造に挿入されて最終コンテクストデータ構造を構成する方法によって定義されるべきであることが明らかである。
【0064】
動作410において、1つまたは複数の欠落しているコンテクスト情報要素が(例えばコンテクストリポジトリや任意の他のロケーションから)得られ、そして得られた欠落情報および最初に構成されたコンテクストデータ構造に基づいて、最終コンテクストデータ構造が構成される。
【0065】
次にデータ構造は最終的に自体が含む値に基づいて、さらに結果を得るためにこれらの値を数学的に連結する方法についてのレシピや手順に基づいて評価されてもよい。このレシピや手順は(上記のように)所定であるが、コンテクストデータ構造が少なくとも部分的に、且つ暗黙のうちに、または明確に(要素のいくつかによって)コンテクストデータ構造が評価される方法についてのルールを定義するように、いくらかの柔軟性を含んでもよい。
【0066】
コンテクストデータ構造は例えば、1セットの方程式を表し、各方程式は用いられてもよい特定の判断やオプションを表している行列の形態を採ってもよい。そして所定のルールは、行列に含まれた値に基づいて評価される方程式を構成する方法に関する手順を定義してもよく、言い換えると所定のルールは、行列によって表される方程式を評価するために行列に含まれた個々の値を数学的に連結する方法を定義する。
【0067】
上記の通り、コンテクストデータ構造の合成は、コンテクスト情報の一部の値がまだ含まれていない「初期コンテクストデータ構造」につながることがある。しかしながら、環境に応じて、初期コンテクストデータ構造は十分なコンテクスト情報要素を含むことができ、初期コンテクストデータ構造の少なくとも部分的な評価は可能である。従って、すでに利用可能なコンテクスト情報に基づいて、一実施形態に従った初期コンテクストデータ構造は部分的に評価されてもよく、これによって、この値がすでに利用可能であるコンテクスト情報要素間の数学的演算の結果を計算することによって「最小化」される。この部分的な評価は、コンテクストデータ構造に含まれるコンテクスト情報要素を削減つまり「最小化」する。
【0068】
コンテクストデータ構造のコンテンツは、ネットワーク(コンテクストリポジトリ)において収集されたコンテクスト情報およびモバイルコンテクストクライアントからの(初期)コンテクスト情報に基づいた1セットの方程式を表す行列の形態をとってもよい。(これはまたセキュリティポリシーを組み込むこともでき、例えば異なるユーザがコンテクスト情報を得るために異なる認証範囲を有してもよく、また一部のコンテクスト情報は認証および認証済みユーザについてのみ利用可能である。)
【0069】
(複数の)モバイルコンテクストクライアント(例えばモバイル端末やモバイルノード)220および230は一実施形態において、コンテクスト情報の評価を担っている。そしてコンテクスト情報に基づいて構成されたコンテクストデータ構造を評価する。本実施形態において、コンテクストデータ構造はコンテクストサーバから送信される必要があるため、コンテクストクライアントに対して構成される場合(評価される場合)、コンテクストデータ構造の最小化は、必要トラフィックを削減するがゆえに特に好都合である。
【0070】
上記の通り、関連コンテクスト情報の選択は初期コンテクスト情報に基づいて実行される。この初期コンテクスト情報は、例えばモバイル端末からの静的コンテクスト情報を含んでもよい。この初期コンテクスト情報はコンテクストサーバに送信される。これは例えば、モバイルノードで利用可能なサービス、ユーザの設定および選択、セキュリティポリシー(例えば異なるユーザがサービスおよびコンテクスト情報への異なるアクセス権限を有してもよい)などについての情報を含んでもよい。そしてコンテクストサーバは、例えば利用可能なサービス、料金情報、ネットワークのローカル配置についてのロケーション情報(アクセスポイントや隣接アクセスポイントなどのロケーション)などのコンテクスト情報をネットワークから検索するか、すでに検索している。本実施形態において静的コンテクスト情報であるこの(初期)コンテクスト情報に基づいて、コンテクストデータ構造に含まれるべき関連パラメータについての判断がなされる。この判断は、システム、例えばコンテクストサーバに設定または事前定義されてもよい1セットのルールに基づいてなされる。いずれのコンテクスト要素が含まれるべきかというルールは、環境に応じて、ネットワークのオペレータに応じて、あるいは利用可能なコンテクスト情報に応じて変化してもよい。以後の説明において、このようなルールについての例が提供されるが、このようなルールはネットワークおよびここで実現されたポリシーに応じて変化してもよい。
【0071】
しかしながら、一具体的実施形態によると、いずれの要素がコンテクストデータ構造に含まれるべきかという選択が(初期)コンテクスト情報に依存しているだけでなく、コンテクストデータ構造に含まれるコンテクスト情報要素によって推定された値もコンテクストデータ構造の他の要素に依存していることがある。これはまた、「要素xが「1」の場合、要素yは「0」である」などの対応するルールによって実現されてもよい。
【0072】
初期コンテクスト情報に基づいて構成されたコンテクストデータ構造は、例えば選択されるべき特定のユーザサービスや特定のアクセスポイントなどのオプションの実行可能性や予測品質を表している。これは、コンテクストデータ構造は実際に、判断がなされる根拠となる結果を得るために、コンテクストデータ構造を評価する方法についての対応するルールと共に、変化する環境に応じて特定の判断をして、それ自体も変化することがある一定の基準に適応し、且つこれを考慮するためのフレームワークであることを意味している。
【0073】
この適応する特徴は、例えばデータ構造に表された一態様において、個々の係数の値が選択される根拠となるユーザの好みを考慮することによるパラメータおよびその係数の線形合計から成っている。ユーザの好みが、特定のパラメータがより大きく重み付けされることであれば、選択された対応する重み係数はユーザの好みに従ってより大きく設定されるべきである。これはまた、例えばサービスのコストを表すパラメータの重み付けに関することがある。
【0074】
しかしながら、ユーザの好みだけでなく、より良好またはより効率的な方法でネットワークを利用するために設定されるオペレータの好みもまた考慮されることがある。例えば、オペレータは、現在ネットワークがそれほど高くないアクセスポイントが選択されることを好んでもよい。その場合、1つのパラメータが特定のアクセスポイントのネットワーク負荷であってもよく、またネットワーク負荷がオペレータにとって非常に重要なパラメータである場合、このパラメータに重みを付与する重み係数は高く設定されることになる。
【0075】
これは、パラメータおよび係数の積の線形合計を表すコンテクストデータ構造について、係数のより大きな値はより高い優先度を示すことを意味する。係数の値を安定して選択することによって、フレームワーク全体が、判断全体に影響を与えることがあるオペレータ、ユーザまたは他の要因に応じて変化する要件に適合することができる。係数およびパラメータの具体的な値の実際の選択は、ユーザおよびオペレータなどの要件全体に依存し、従ってこれらが環境に応じて適切に選択可能である。
【0076】
パラメータに係数が乗算され且つ線形に加算された線形アプローチが適切なソリューションを付与しない場合もあることにさらに注目すべきである。例えば、無線品質が特定の閾値よりも大きいことが必要または望ましいことがある。そして、無線品質を重み付けする重み係数は、無線品質を反映するパラメータが閾値より下になるとゼロに設定されることがある。このために、特定のルールが実行され、初期コンテクスト情報の評価に適用されることがある。無線品質の重み係数のみをゼロに設定するのではなく、方程式全体もまた、極めて重要なパラメータが特定の閾値を超えない場合にはゼロに設定されてもよい。
【0077】
このようなルールに加えて、非線形係数もまた適用されてもよい。例えば、コストに関する優先度は、価格が線形に上昇すると非線形に下降することがある。特定のパラメータへの係数のこのような依存はまた、初期コンテクスト情報を評価してコンテクストデータ構造を構成している時に対応するルールを適用することによって実現されてもよい。
【0078】
さらに、優先度および性能間の対立が起きる場合がある。例えば、係数が相互に依存する場合がある。例えば、ユーザは常に一番安いオファーを好む。従ってコストパラメータXkに対する重み係数Ckは高く設定されるべきである。しかしながら、ユーザが自分のオフィスに話をする場合には、常に最良の品質を好むことがある。これは、このような非線形依存性を表す余分なルールを適用することによって保証されてもよい。
【0079】
図5を参照して、次に本発明に従った具体的な実施形態を説明する。本発明の本実施形態において、コンテクスト情報に基づいてなされるべきネットワークサービスの判断は、モバイルノードが使用可能なサービスに最も適した予測アクセスポイントの選択である。これはまたしばしば「ハンドオーバ」と称される、つまりモバイルノードがそのロケーションをセル間で変更すると、特定のアクセスポイントを有する一つのセルから別のアクセスポイントを有する別のセルに「ハンドオーバ」されるべきである。本実施形態は、図2に概略的に示されるようなネットワークアーキテクチャに関する。
【0080】
動作510において、初期コンテクスト情報X1、X2、・・・、Xiはコンテクストサーバによって受信される。この初期コンテクスト情報は1セットのルールに供給されて、動作520において関連コンテクスト情報XR1、・・・、XRnを取得する。これは例えば、上記実施形態において言及されたパラメータである。しかしながら、関連コンテクスト情報の選択は、これらの関連コンテクスト情報に基づいたさらなるコンテクスト情報がコンテクストデータ構造を完成させるのに必要となる場合があるために、コンテクストデータ構造を完成させるのには十分でないこともある。これは例えば、上記実施形態のパラメータの係数であってもよい。
【0081】
動作530においてこのさらなるコンテクスト情報を取得するために、別の(またはさらなる)セットのルールが求められた関連コンテクスト情報XR1、・・・XRnに適用されることによって、コンテクストデータ構造を完成させるのに必要な対応するさらなるコンテクスト情報を求める。これは例えば、動作520で求められたパラメータの係数であってもよい。
【0082】
動作540において、コンテクストデータ構造を完成させるのに必要な全コンテクスト情報が取得されたか否かがチェックされる。そうでなければ、さらなるルールが、欠落しているコンテクスト情報を取得するために適用されてもよい。動作540においてコンテクスト情報が完全であると判断されると、動作550において1セットのルールが、取得されたコンテクスト情報に基づいて1セットの方程式を構成するために適用されてもよい。このセットのルールは所定であってもよく、あるいはコンテクストデータ構造を構成するために取得されたコンテクスト情報に依存してもよい。方程式550で構成された1セットの方程式によって、取得されたコンテクスト情報は原則として判断をするために評価可能である。
【0083】
動作560において、1セットの方程式は対応する行列によって表される。この行列は1セットの方程式を表すコンテクストデータ構造とみなされてもよく、また例えば、実際のセットの方程式を行列に基づいて検索することによって別のロケーションに送信されて、そこで評価されてもよい。
【0084】
動作565において、行列に含まれたコンテクスト情報の実際値は、少なくともこれらが利用可能である限り、行列に入れられる。一部の値は、対応するコンテクストリポジトリはこれらを供給しないために利用可能ではない場合があり、他の値は、例えば最新に維持されるべき動的コンテクスト情報の場合のように後にこれらを含むのが好ましいために、含まれないことがある。
【0085】
値が入れられた行列は動作570において、すでに入れられた値に基づいて可能な限り部分的に評価されてもよい。これは、後に別のロケーションに送信されるべき行列のサイズを縮小することができる。
【0086】
動作575において、部分的に評価された行列は別のロケーションに、ここではモバイルノードに送信される。
【0087】
動作580において、まだコンテクストデータ構造に挿入されていない欠落している値が検索される。これらは例えば、コンテクストサーバによってリポジトリから検索されて、且つモバイルノードに送信される動的コンテクスト情報である。
【0088】
動作585において、これらはモバイルノードにおいて部分的に評価された行列に入れられる。これは行列サイドからの(コンテクストサーバからの)動的コンテクスト情報に関するが、モバイルノード自体からの動的コンテクスト情報に関連してもよい。
【0089】
動作590において、このようにして完成された最終行列が評価される。これは、対応するセットの方程式の結果値が計算されて、且つ結果値に基づいてネットワーク判断がなされることを意味している。
【0090】
以下において、この手順に関するより具体的な例がさらなる実施形態と関連して説明される。本実施形態において、コンテクストデータ構造は、各方程式が選択可能な1つの考え得るオプションに対応している(行列で表された)1セットの方程式である。ここで各個々の方程式は、モバイルモードの予測アクセスポイントとして選択され得る特定のアクセスポイントに対応している。このようなセットの方程式は以下のように表すことがある。
AP1=S1*((C1_1*P1+C2*P2)*Service1+(C3_1*P3+...)*Service2+......)
AP2=S2*((C1_2*P1+C2*P2)*Service1+(C3_2*P3+...)*Service2+......)
【0091】
このセットの方程式において、AP1、AP2・・・は選択されるかもしれないアクセスポイントである。各APは、ユーザおよびネットワーク優先度と、場合によってはネットワークのステータスおよび/またはそのコンポーネント(関連コンテクスト情報)をも反映する数字(つまりランク)を計算することによって評価される。最高値が得られるアクセスポイントは予測アクセスポイントとして選択される。
【0092】
方程式は多様なコンテクスト情報を含む。service1、service2・・・は、両方ともネットワークおよびモバイルノードによってサポートされているサービスに対応するコンテクスト情報である。これは、関連コンテクスト情報が選択される根拠となる1セットのルールが、いずれのサービスが利用可能であるかについての情報を含むサービス関連コンテクスト情報がモバイル端末およびネットワークについて評価されるべきであるというルールを含むことを意味している。そして、これらのサービスのみに関するこのルールによると、ネットワークおよびモバイル端末においてサービスが利用可能であるという評価が結論付けられると、対応するコンテクスト情報要素がコンテクストデータ構造に含まれる。本実施形態において、これは、サービスパラメータService1、Service2などを、対応するサービスがネットワークおよびモバイル端末の両方で利用可能であるか否かに応じて、0または1のいずれかに設定することによって実行される。
【0093】
これらのコンテクスト情報に加えて、これもまたコンテクスト情報要素である複数の種類のパラメータP1、P2、P3・・・がある。高い値をとるこれらのパラメータにおいて、対応する方程式はより高い値がつけられ、これは対応する判断(つまりアクセスポイント)についてのより高い優先度に対応する。
【0094】
・P1、P2・・・は判断に影響を与えるパラメータである。例えば、P1は異なるアクセスポイント(AP)の現在利用可能な帯域幅であり、P2は(例えばある移動予測リポジトリから取得可能な)モバイルノードの移動予測に基づいた優先度番号であり、P3は異なるAPの信号強度であってもよい。サービス料金情報を表すさらなるパラメータP4があってもよい。例えば、サービス料金はあるAPのネットワークにおいて高いことがあり、それゆえにコストパラメータP4は低くなる。その結果、このAPは、他のパラメータがこのAPの最終ランキングを変更することがある点を考慮して、サービス料金パラメータP4が関連する限り他のものよりも低くランキングされることになる。
【0095】
・さらなるコンテクスト情報はC1_1、C2・・・である。これらは異なるパラメータの係数である。これらはサービス固有(例えばユーザ優先度)またはサービスおよびオペレータ固有(例えば価格)であってもよい。これらの係数は異なるパラメータの重みである。
【0096】
・S1、S2は、サービスに依存せず、且つAPのみに関連する、例えば特定のアクセスポイント(または好ましい対応するオペレータ)に優先度を付与する係数である。
【0097】
本実施形態の上記方程式の合成ならびに対応するコンテクスト情報の収集は初期コンテクスト情報に基づいている。この初期コンテクスト情報は本明細書では、モバイルノードからコンテクストサーバに送信される静的コンテクスト情報である。この静的コンテクスト情報に基づいて、且つコンテクストサーバに記憶された1セットのルールを参照して、コンテクストサーバは個々の方程式の構成方法および、いずれのコンテクスト情報がこれらの方程式を構成するのに収集されるべきかを判断する。方程式が完成すると、これらは、いずれのAPが選択されるべきかという判断を最終的に下すために評価されてもよい。以下より詳細に説明されるように、これはコンテクストサーバにおいて、あるいはさらなる実施形態に従ってモバイルノードにおいて実行されてもよい。
【0098】
次にコンテクスト収集および評価の手順について本発明のさらなる実施形態と関連してより詳細に説明する。本実施形態もまたモバイルノードの予測アクセスポイントの選択に関する。
【0099】
本実施形態のコンテクスト収集および評価の手順は以下の通りである。
1.初期コンテクスト情報を伴うリクエストの送信
モバイルノードはコンテクストサーバに、次に評価されるべき1セットの方程式を問うリクエストを送信する。このリクエストはモバイルノードからの静的コンテクスト、例えばサポートされているサービス、ユーザプロファイル、ユーザの好みなどを含んでいる。上記実施形態と同様に、この静的コンテクスト情報は、さらなる処理が実行される根拠となる「初期コンテクスト情報」とみなされることが可能である。
【0100】
2.関連コンテクスト情報の収集
受信された静的コンテクスト情報(初期コンテクスト情報)に基づいて、コンテクストサーバはネットワークにおける関連コンテクスト情報を種々のコンテクストリポジトリから収集する。それによって、潜在的に利用可能な多量のコンテクスト情報に関して、収集されたコンテクスト情報が「関連」コンテクスト情報に制限されるならば、これは好ましい。本実施形態によると、「関連コンテクスト情報」は、コンテクストクライアントの(モバイルノードの)サポートされているサービスに関連するコンテクスト情報のみである。例えば、モバイルノードによってサポートされていないサービスの価格に関連するコンテクスト情報(例えば、モバイルノードに応じたビデオなど)は関連性がないため収集される必要がない。「関連」コンテクスト情報のみを選択して、1セットの方程式にこれらを構成することによって、最終的に得られる1セットの方程式は、上記セットの方程式におけるオペランドおよび計算ステップ数が関連するものに制限されているために、ある意味で「最小化」されている。
【0101】
関連コンテクスト情報の選択はまた、実際に利用可能なこのようなコンテクスト情報のみが関連ありとみなされることを意味する点について本明細書で言及すべきである。(例えば、対応するリポジトリがシャットダウンされたり、利用可能でないために)原則としてコンテクストデータ構造に含まれてもよいコンテクスト情報が利用可能でない場合、関連ありとはみなされない。あるいはまた、デフォルト値は、利用可能でないこのようなコンテクスト情報に使用されてもよい。
【0102】
3.1セットの方程式の構成
コンテクストサーバは評価されるべき1セットの方程式を構成する。1セットの方程式を表すのではなく、コンテクストデータ構造が構成されてもよい。1セットの方程式(またはこれを表すコンテクストデータ構造)を構成する場合、これは、得られる1セットの方程式が所与のコンテクストで実際に関連しているオペランドおよびパラメータに制限されるように実行される。これは以下のステップからなってもよい。
a)1セットの方程式の構成。例えば、コンテクストを理解したハンドオーバの場合、1セットの方程式は以下の通りであってもよい。
AP1=S1*((C1*P1+C2*P2)*Service1+(C3*P3+・・・)*Service2+・・・・・・)
AP2=S2*((C1*P1+C2*P2)*Service1+(C3*P3+・・・)*Service2+・・・・・・)
【0103】
ここで各方程式は選択できる1つの可能なアクセスポイントに対応する。この評価されるべき1セットの方程式において、潜在的なアクセスポイントAP1、AP2・・・のみが、モバイルノードの現在の位置についての情報に基づいて含まれる。従って、この1セットの方程式は、構成されて評価されるべき方程式の総数が制限されるという意味において「最小化」される。このために、例えば、モバイル端末が現在(いずれのセルの)どこにあるかがまず判断される。この情報に基づいて、現在のセルに基づいて隣接セルを判断するコンテクストリポジトリを参照する。隣接するセルまたはこの対応するアクセスポイントのみが実際に、実際の予測アクセスポイントとして選択されてもよい。従って、1セットの方程式を構成する場合に、このような実際の予測アクセスポイントに対応する方程式のみにこのセットを制限することで十分である。従って、上記のような1セットの方程式(コンテクストデータ構造)は垂直次元において制限つまり「最小化」される(つまり、方程式数が最小化される)。上記最小化について、モバイルノードの現在のロケーションに基づいた(隣接アクセスポイントなどの)予測可能なアクセスポイントについての情報を付与するロケーション情報を参照する。
【0104】
この「初期」コンテクスト情報に基づいて、予測可能なアクセスポイント、ひいては評価されるべき方程式の数が、初期コンテクスト情報に基づいて選択された1セットの「さらなるコンテクスト情報」として判断される。1セットの方程式に含まれるべき予測アクセスポイントの判断はまた、隣接アクセスポイントだけでなく他のまたは追加の「初期」コンテクスト情報に基づいてもよい。例えば、さらなる制約として、特定のアクセスポイントは認証されたユーザのみにアクセス可能であると特定のセキュリティポリシーが判断し、ユーザが対応する認証を有していれば、1セットの方程式に含まれることになる。あるいは、移動予測サーバから得られた移動情報に基づいて、特定のアクセスポイントが実際の予測アクセスポイントではないために排除されると結論付けられることもあり得る。しかしながら、これは、移動予測が十分信頼できる場合にのみ実行されるべきである。あるいは、例えば追加のコンテクスト情報が、ユーザがある方向に移動中の電車内に座っているということであれば、この情報は、列車の移動と反対方向にあるこのようなアクセスポイントを、たとえこれらが隣接アクセスポイントであっても排除するために使用されてもよい。
【0105】
垂直次元の最小化に加えて(あるいはこれと代替的に)、水平次元の最小化は1セットの方程式(コンテクストデータ構造)を構成する場合に実行可能である。このために、ネットワークおよびモバイルノード双方によってサポートされる特定のサービス(Service1、Service2、Service3・・・)の有無を定義するコンテクスト情報のみが含まれる。このように、利用可能なサービスを定義する(初期)コンテクスト情報は、水平方向に構成されるべき1セットの方程式を最小化するために使用される。ネットワークおよびモバイルノード双方で利用可能でないサービスについて、特定のサービス(Service1、Service2、Service3など)の利用可能性を定義するコンテクスト情報は「0」に設定される。従って、上記1セットの方程式において、モバイルノードおよびネットワーク双方で利用可能でないサービスに関する合計要素は含まれず、これによって1セットの方程式を水平次元に最小化することができる。
【0106】
垂直および水平次元において1セットの方程式を最小化する上記方法によって、評価されるべき1セットの方程式の柔軟な合成が達成される。さらに、方程式の最終的評価および合成が異なるロケーションで実行される、例えば、方程式の合成はコンテクストサーバで実行され、その評価はモバイルノードで実行されることによって、コンテクストサーバからモバイルノードに構成済み方程式を送信することを必要とする場合、上記1セットの方程式の最小化はコンテクストサーバおよびモバイルノード間の必要トラフィックを削減する。
【0107】
b)1セットの方程式に含まれるべきサービスおよびアクセスポイントの上記判断に加えて、いずれのパラメータ(P1、P2など)が使用されるべきかがさらに判断されるべきであり、さらに係数(C1、C2など)の値もまた1セットの方程式を構成するために判断される必要がある。従って、本実施形態のこの判断はネットワークおよびモバイルノードからの静的コンテクスト情報(例えば、ユーザ設定、料金情報、ユーザプロファイルおよび履歴・・・)に依存している。この判断をするために、静的コンテクスト情報は、もしまだ利用可能でないならば、まず適切なコンテクストリポジトリを参照して収集される。静的コンテクスト情報が利用可能になると、入力としての上記静的コンテクスト情報に基づいて含まれるべきパラメータ(P1、P2、・・・)および係数(C1、C2、・・・)の値を定義する1セットのルールを参照する。
【0108】
c)1セットの方程式が構成され、ネットワークの静的コンテクスト情報から引き出されることが可能なパラメータの既知の値が1セットの方程式に入れられると、コンテクストサーバは可能な限り得られる1セットの方程式を評価する。
【0109】
4.部分的に評価された方程式の送信
次にコンテクストサーバは部分的に評価された1セットの方程式をモバイルノードに送信する。1セットの方程式が上記のような形態をとる場合には、部分的に評価された1セットの方程式は以下の形態を有することになる。
AP=(C1*X1+C2*X2・・・+k)*Service1+(Cm*Xm+Cn*Xn・・・+1)*Service2・・・
【0110】
ここで係数C1〜Cnならびに定数kおよびlは、1セットの方程式の部分的評価によって既知の明確な値である。本実施形態のX1〜Xnは、この時点ではまだ利用可能でなく、後に収集されることになる動的コンテクスト情報である。次に、各々が上記形態をとる部分的に評価された方程式は、欠落している動的コンテクスト情報を受信すると最終的に評価することになるモバイルノードに送信される。
【0111】
これらの部分的に評価された方程式の送信は、例えば行列の形態のパラメータC1〜Cnおよび定数kおよびlのみを、その意味(行列要素の意味)についての情報と共に(1セットの方程式の方程式ごとに)送信することによって実行可能である。意味についてのこの情報は例えば、これもまた行列と共にモバイルノードに送信されるヘッダーに含まれることが可能である。ヘッダーにおけるこの情報に基づいて、次にモバイルノードは方程式の構成方法、いずれのパラメータが依然として欠落しているか、および方程式への挿入方法を知ることになる。ヘッダーは例えば以下の情報を含んでもよい。行列の垂直および水平次元、行列のいずれの行がいずれの可能なアクセスポイントに関連しているかの識別、利用可能なサービスの識別(これによって行列の水平方向要素Service1、Serivice2などを識別できる)およびいくつの動的パラメータが方程式を完成させるのに依然として欠落しているかの識別。この情報に基づいて、次にモバイルノードは、依然として欠落している動的情報が受信されると、欠落している動的コンテクスト情報を、事前に(部分的に評価されたコンテクストデータ構造として)送信されている部分的に評価された1セットの方程式に入れる方法を知ることになる。
【0112】
5.動的ネットワークパラメータの送信
次にコンテクストサーバは、ネットワークの動的コンテクスト情報から引き出されたパラメータの値をモバイルノードに送信する。これらは、ステップ4で送信された方程式を完成させるために必要とされる欠落しているコンテクスト情報である。この情報は動的であるために、最初に送信された方程式には統合されず別個に送信される点に注目すべきである。この動的情報は(例えば、ネットワーク負荷を)迅速に変更してもよく、従って、あまりに早く収集および送信されるとすぐに期限切れとなってしまうことがある。この情報を後に送信することによって、最新であることを確認可能である。例えば、判断がなされる直前にモバイルノードからの具体的なリクエストに応じて送信されてもよい。別の代替例は、動的コンテクスト情報を連続的に収集してモバイルノードに送信することである。次に動的コンテクスト情報は、事前にモバイルノードに送信されている部分的に評価された1セットの方程式に入れられる。
【0113】
6.モバイルノードからの動的コンテクストに入れること
ネットワークサイドからの動的コンテクスト情報を方程式に入れた後に、モバイルノードはモバイルノード自体からの動的コンテクスト情報を入れ、得られる方程式を評価して判断する。ここでモバイルノードからの動的コンテクスト情報は、モバイルノードにおいて現在稼働中のサービスに関連している。ユーザにハンドオーバが実行されるまでに現在使用されているサービスを変更する機会を付与するために、モバイルからのこの動的コンテクスト情報は、1セットの方程式を完成させるために最後に入れられるコンテクスト情報である。このために、特定のサービス(例えば、Service1、Service2、・・・)の利用可能性または非利用可能性に対応する1セットの方程式のコンテクスト情報に関して、現在稼働中のサービスに対応するコンテクスト情報ServiceXは「1」に設定され、他のすべて(ServiceXを除くService1、Service2、・・・)は「0」に設定される。
【0114】
7.方程式の評価
最終的に完成された、評価されるべき1セットの方程式によって、モバイルノードは、1セットの方程式(コンテクストデータ構造)の計算結果に基づいて判断する。
上記手順に関連して以下に注目すべきである。
1)モバイルノードの静的コンテクスト情報が変化する場合(例えば、ユーザが新たなサービスをインストールしたり、ユーザがプロファイルを変更したりする場合)、ステップ1〜ステップ7が反復されるべきである。
2)ネットワークの静的コンテクスト情報が変化する場合(例えば、新たなアクセスポイントが利用可能になったり、ネットワーク性能が変化したりする場合)、ステップ2〜ステップ7が反復されるべきである。
3)ネットワークの動的コンテクスト情報が変化する場合(例えばAPにおけるトラフィック負荷の変化が閾値を超える場合)、ステップ5〜ステップ7が反復されるべきである。
4)モバイルノードの動的コンテクスト情報が変化する場合(例えば、モバイルノードがあるサービスから別のサービスに、例えばオーディオ通信からビデオ会議に切り替わったり、APにおける信号強度が閾値を超えたりする場合)、ステップ6〜ステップ7が反復されるべきである。
【0115】
上記実施形態によると、初期コンテクスト情報に基づいて1セットの方程式が構成される。この1セットの方程式は(「さらなるコンテクスト情報」とみなされてもよい)パラメータおよびオペランドに関して初期コンテクスト情報に依存している。さらに、ステップ3aと関連して説明されたように、初期コンテクスト情報に基づいて、例えば利用可能なサービスおよび隣接するアクセスポイントに基づいて「関連」コンテクスト情報に「最小化」つまり制限される。最小化は、1セットの方程式がコンテクストサーバからモバイルノードに送信されるべき場合の必要トラフィックを削減する。無線リンクはモバイルモード、ネットワークおよびその要素間の情報交換のボトルネックであるためにこれは好都合であり、それゆえにこのようなトラフィックは最小化されるべきである。さらに、関連コンテクスト情報への制限はまた、方程式の評価のためのモバイルノードサイドでの必要な計算を削減する。従って、コンテクストを理解したネットワークサービス判断をすべきコンテクスト情報の合成および評価は特に柔軟になり、変化する環境にうまく適応できる。
【0116】
評価されるべき1セットの方程式は、評価されるべき1セットの方程式を構成するために使用されるコンテクスト情報からなる行列によって表されることが可能である。そしてこの行列はコンテクストサーバからモバイルノードに送信されてもよい。1セットの方程式が行列で表され、且つこのような行列の形態でモバイルノードに送信されると、コンテクスト情報からなるこの行列によって表される実際の方程式を構成または検索するために、この行列に基づいて評価されるべき1セットの方程式の構成方法を定義する追加情報も提供される。これは、行列要素の意味を定義する(且つこれについてモバイルノードに通知する)追加情報(例えばヘッダー)によって実現可能である。代替案は、コンテクストサーバからモバイルノードに送信された行列要素の解釈方法についてモバイルノードおよびコンテクストサーバ間で同意または規約があるために、方程式は正しく検索可能であり、また動的情報は正しい位置に入れられることが可能であるということである。さらなる代替案は、ヘッダーおよび同意された規約の両方の組み合わせを使用してもよい。
【0117】
静的コンテクスト情報に基づいた1セットの方程式の部分的評価はモバイルノードとコンテクストサーバ間の必要トラフィックを削減する。さらに、後に動的コンテクスト情報を送信することは、コンテクスト情報が、(最終)評価が実行される場合に最新であることを確認する。これはモバイルノードからの具体的なリクエストに応じて実行可能であり、あるいは更新は継続的に実行可能である。
【0118】
動的および静的コンテクスト情報の別個の収集は、収集されて、評価すべき1セットの方程式を構成するために使用される実際のコンテクスト情報のセットが状況および環境に応じて適応的に変化するという効果を有する。特定の実施形態に従った動的コンテクスト情報を含むコンテクスト情報の場合、この動的コンテクスト情報は、(初期)コンテクストデータ構造を構成する際には含まれず、むしろ排除される。従って、(初期)コンテクストデータ構造は状況に基づいて、つまり、最新であることを確認するために後で含むことが望ましい動的コンテクスト情報が考慮されるべきであるという点に基づいて最小化される。
【0119】
例えば、(例えば判断の直前に)動的コンテクスト情報が必要とされる場合、対応するセットの動的コンテクスト情報が収集されて、コンテクストデータ構造に挿入されることによって、(最終)コンテクストデータ構造を取得することができる。従って動的コンテクスト情報はコンテクストサーバによって継続的に収集されてもよく(且つリクエストに応じてコンテクストクライアントに送信される)、あるいはコンテクストクライアントからのリクエストに応じてコンテクストサーバによって収集されてもよい。
【0120】
上記具体的な実施形態に関して、複数の変形例が想定されてもよい。
【0121】
上記実施形態においてコンテクストクライアントが手順をトリガすると、一変形例に従って、上記ステップ1においてコンテクストサーバまたは他のエンティティが手順全体をトリガしてもよい。
【0122】
さらなる変形例従って、且つ動的コンテクスト情報に関して上述されたように、ステップ2において、コンテクストサーバは連続してコンテクスト情報を収集する。
【0123】
さらに別の変形例によると、パラメータに値を割り当てる追加ルールまたは条件が考慮される。いくつかのパラメータ(P1、P2など)は状況識別に依存することがある。例えば、「Service1=0ならばP1=0」の場合である。これは、Service1は他のサービスパラメータに影響を与えるということを表すことができる。これらのルールは方程式を構成する前に評価されるべきである。
【0124】
さらなる変形例によると、1セットの方程式は、一般的にロケーションコンテクストが変化すると、APに対する方程式を追加または除去することによって更新されてもよい。
【0125】
さらなる変形例によると、判断をすべき場合にいくつかのパラメータが利用可能でない場合、デフォルト値を未知のパラメータに対して用いることができる。
【0126】
以下において、本発明に従ったさらなる実施形態がより詳細に説明される。特に、以下の実施形態において、1セットの方程式を構成し、これを評価して判断するために使用されるコンテクスト情報およびその値について明確な例が用いられる。
【0127】
以下に説明される実施形態はまたコンテクストを理解したハンドオーバのフレームワークに関する。上記実施形態と同様に、モバイルノードにハンドオーバをコントロールさせるとする。モバイルノードは、ネットワークおよびモバイルノード双方からのコンテクスト情報に基づいて最適APにハンドオーバしようとする。以下2つの異なるシナリオを説明する。
【0128】
シナリオ1:
モバイルノードにおいて、静的コンテクスト情報とは以下の通りである。ハードウェアは2つのサービス、ビデオ会議およびデータ通信をサポート可能なノートパソコンである(これはハードウェア依存静的コンテクスト情報である)。さらなるコンテクスト情報は以下の通りであってもよい。常に最高品質の通信を好み、価格については気にしない(これはユーザ設定およびユーザの好みによる静的コンテクスト情報である)。本例におけるさらなるコンテクスト情報は以下の通りである。「現在電車で移動中です」。これはロケーションサーバまたはこのコンテクスト情報を提供するロケーションリポジトリから生じることがある。
【0129】
さらに、現在モバイルノードがあるサブネットワークはビデオ会議とデータ通信の両方をサポートするとする。さらに、ロケーション予測サーバはロケーション予測情報を提供するために利用可能である。さらに、トラフィックモニタが異なるAPのトラフィック負荷をモニタするために利用可能であるとする。
【0130】
以下コンテクストを理解したハンドオーバの詳細な手順について説明する。
【0131】
1.モバイルノードはコンテクストを理解したハンドオーバに対するリクエストをコンテクストサーバに送信する。リクエストはその静的コンテクスト情報を含んでいる。
【0132】
2.コンテクストサーバはリクエストを受信する。コンテクストを理解したハンドオーバをサポートするために、関連コンテクスト情報をコンテクストリポジトリから取り出す。モバイルノードMNの現在のアクセスポイントAP(例えばAP1)および「今電車の中です」というプロファイルをロケーション予測サーバに送信することによって、ロケーション予測に基づいてAP(AP2=2;AP3=1)の優先度リストを得る。このロケーション予測情報は、モバイルノードが特定の次のアクセスポイントに移動する可能性を示す。この種の情報を提供するロケーション予測情報サーバは当業において既知であるため、ここでは詳細に説明しない。
【0133】
3.次にコンテクストサーバは以下のように1セットの方程式を構成する。
a)APx=(C1*P1+C2*P2+C3*P3)*video+(C4*P1+C5*P2+C6*P3)*data
ここでP1は利用可能な帯域幅であり、P2はこのAPからの受信信号強度であり、P3はアクセスポイントAPxのロケーション選択である。対応する方程式が、上記説明されたように予測可能な(実際の)アクセスポイントごとに構成される。ここで、(隣接する)ゆえに実際の将来のアクセスポイントはAP2およびAP3であるとする。
【0134】
b)係数C1、C2、C3、C4、C5、C6の値はネットワークおよびユーザの好みによって判断可能である。本例のユーザは通信品質をより優先しているため、C1およびC4はC2、C3、C5およびC6よりも大きくなければならないとする。ビデオサービスについて帯域幅はより重要であるため、C1はC4よりも大きくなければならない。本例において、C1=1.2、C4=1.1、C2=C3=C5=C6=1とする。実際値は、モバイルノードに設定されたユーザの好みに基づいて、且つネットワークポリシーに基づいてルックアップテーブルを参照して用いられてもよい。最終セットの方程式は以下の通りである。
AP2=(1.2*P1+P2+P3)*video+(1.1*P1+P2+P3)*data
AP3=(1.2*P1+P2+P3)*video+(1.1*P1+P2+P3)*data
【0135】
c)AP2およびAP3双方の帯域幅性能は3であるとすると、結果行列は以下の通りである。
AP2=(1.2*(3−load2)+P2+1)*video+(1.1*(3−load2)+P2+1)*data
AP3=(1.2*(3−load3)+P2+2)*video+(1.1*(3−load3)+P2+2)*data
ここでload2およびload3はそれぞれAP2およびAP3の負荷である。パラメータは方程式に入力される前に正規化されるべきである点に注目すべきである。
【0136】
4.コンテクストサーバは1セットの方程式をモバイルノード送信する。
【0137】
5.AP1(AP2、AP3)の隣接するAPを意識して、コンテクストサーバはトラフィックモニタからの隣接AP(load1=1、load2=2)のトラフィック負荷情報を、ネットワークサイドからの欠落している動的コンテクスト情報として必要とする。コンテクストサーバはload2=1、load3=2を、評価行列を送信した後に、モバイルノードに送信する。(この情報の更新はネットワーク負荷が変化するたびに送信されることになる点に注意する)
【0138】
6.モバイルノードがそのときビデオ会議中であるとすると、video=1、data=0である。信号強度がAP2について2、AP3について1であるとする。得られる方程式は以下の通りである。
AP2=(1.2*(3−1)+2+1)*1+(1.1*(3−1)+2+1)*0=5.4
AP3=(1.2*(3−2)+1+2)*1+(1.1*(3−2)+1+2)*0=4.2
【0139】
7.計算結果から、モバイルノードは、AP2を次のアクセスポイントとする判断をする。
【0140】
シナリオ2:
次に第2の例を説明する。上記例との主な違いは以下の通りである。
・端末性能が異なる
・モバイルノードおよびネットワークでサポートされているサービスが異なる
・ユーザの好みが異なり、低料金により重点を置いている
・異なるパラメータが考慮される
【0141】
モバイルノードにおいて、静的コンテクスト情報は「私のハードウェアはモバイル電話です」「オーディオ通信およびSMSのみサポート可能です」、「可能な限りコストを少なくしたい」である。
【0142】
モバイルノードがあるサブネットワークはビデオ通信、オーディオ通信およびデータ通信をサポートする。料金サーバは異なるサービスの価格情報を提供するために利用可能である。さらに、トラフィックモニタは異なるAPのトラフィック負荷をモニタするために利用可能である。
【0143】
以下コンテクストを理解したハンドオーバの詳細な手順について説明する。
【0144】
1.モバイルノードはコンテクストを理解したハンドオーバに対するリクエストをコンテクストサーバに送信する。リクエストはその静的コンテクスト情報を含む。
【0145】
2.コンテクストサーバはリクエストを受信する。コンテクストを理解したハンドオーバをサポートするために、関連コンテクスト情報をコンテクストリポジトリから取り出す。料金サーバに必要なサービスを問い合わせることによって、APの選択リストを得る(オーディオ通信についてはAP2=2、AP3=3;SMSについてはAP2=AP3=1)。
【0146】
3.次にコンテクストサーバは(アクセスポイントApxについて)1セットの方程式を以下のように構成する。
a)APx=(C1*P1+C2*P2+C3*P3)*audio+(C4*P1+C5*P2+C6*P3)*SMS
ここでP1は利用可能な帯域幅であり、P2はこのAPからの受信信号強度であり、P3は価格選択である。
【0147】
b)係数C1、C2、C3、C4、C5、C6はネットワークポリシーおよびユーザの好みによって判断可能である。この場合ユーザは低コストをより優先しているため、本例においてC3およびC6はC1、C2、C4およびC5よりも大きくなければならない。オーディオ通信について帯域幅はより重要であるため、C1はC4よりも大きくなければならない。これに基づいて、係数値はC1=1.2、C4=1.1、C2=C5=1、C3=C6=2であるとする。そして最終セットの方程式は以下の通りである。
AP2=(1.2*P1+P2+2*P3)*audio+(1.1*P1+P2+2*P3)*SMS
AP3=(1.2*P1+P2+2*P3)*audio+(1.1*P1+P2+2*P3)*SMS
【0148】
c)AP2およびAP3双方における帯域幅性能は3であるとすると、結果行列は以下の通りである。
AP2=(1.2*(3−load2)+P2+2*2)*audio+(1.1*(3−load2)+P2+2*1)*SMS
AP3=(1.2*(3−load3)+P2+2*3)*audio+(1.1*(3−load3)+P2+2*1)*SMS
【0149】
4.コンテクストサーバは評価する方程式をモバイルノードに送信する。
【0150】
5.隣接AP(AP2、AP3)を意識して、コンテクストサーバはトラフィックモニタからの隣接AP(load2=2、load3=1)のトラフィック負荷情報を必要とする。コンテクストサーバは、評価行列を送信した後に、load2=2、load3=1をモバイルノードに送信する。
【0151】
6.モバイルノードが現在オーディオ通信中であるとすると、audio=1、SMS=0である。さらに信号強度をAP2については2、AP3については1であるとする。得られる方程式は以下の通りである。
AP2=(1.2*(3−2)+2+4)*1=7.2
AP3=(1.2*(3−1)+1+6)*1=9.4
【0152】
7.計算結果から、モバイルノードは、AP3を次のアクセスポイントとして用いるという判断をする。
【0153】
以下、本発明に従ったさらなる実施形態について説明する。本実施形態はコンテクストを理解したページングに関する。
【0154】
原則としてページングプロセスについて2つの戦略がある。1つはいわゆるブランケットポーリングであり、ネットワークが1つのページングエリアの全セルにページング信号を同時に送信することである。もう1つのページング戦略は、シーケンシャルページングと称される。この場合ネットワークは、モバイルノードのロケーションが特定のセルにあるという可能性または確率に応じて降順に順次、1つのページングエリアのセルにページング信号を送信する。第2の戦略において、ネットワークはページングエリアのいずれのセルが最初にページングされるべきかを判断する必要がある。従って、先行の実施形態と関連して説明されたのと類似の判断手順が実行される必要がある。本実施形態において、構成される各方程式はユーザが特定のセルにいるという可能性を定義する。従って、例えば、1セットの方程式は以下のように構成可能である。
APx=C1*P1+C2*P2+C3*P3
【0155】
ここでP1はこのAP(APx)からの受信信号強度であり、P2はユーザ履歴を反映するパラメータであり(例えば、ユーザがこのセルにいる頻度であり、このパラメータは例えば、コンテクストリポジトリから検索されてもよい)、P3は(例えば、ロケーション予測サーバによって実行され且つこれから検索される)移動予測に基づいたロケーション選択を反映するパラメータである。C1、C2、C3は、先行実施形態と関連して説明された方法でネットワークポリシーおよび/またはユーザの好みによって判断可能な係数である。
【0156】
ページングプロセスはサービスに依存していないため、方程式は、先行実施形態と関連して説明されたサービス依存方程式と比較して簡略化されている。しかしながら、判断するためのコンテクスト情報の収集、および評価する1セットの方程式への合成は他の実施形態と関連して説明された手順と類似しているため、詳細な説明はここでは省略する。コンテクストデータ構造の最小化は先行実施形態と同様に実行されてもよく、例えば特定のアクセスポイントは、例えばユーザ履歴などに基づいて非現実的であるとして排除されてもよい。従って、初期コンテクスト情報に応じてコンテクスト情報要素が含まれてもよく、また含まれなくてもよく、先行実施形態において説明されたようにコンテクストデータ構造を最小化することができる。
【0157】
例えば1セットのコンテクスト方程式やコンテクスト行列であってもよいコンテクスト管理フレームワークおよびコンテクストデータ構造のアーキテクチャを特定化するアプローチが説明されている。フレームワークは、アクセスポイントAPの選択やページング用セルの選択などの特定のネットワークサービスについて最適な選択をすることを意図している。さらに特定の実施形態においては最小情報交換を達成する。フレームワークはネットワークおよびモバイルノードにおける静的コンテクスト情報だけでなく、ネットワークおよびモバイルノードにおける動的コンテクスト情報をも含んでもよい。効果的且つ柔軟なコンテクスト処理が達成可能なコンテクスト収集、コンテクストデータ構造の合成、コンテクスト情報の更新、交換および処理についての詳細な手順が説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の実施形態に関連して使用されたコンテクスト情報のタイプを概略的に示している。
【図2】本発明の実施形態が適用可能なモバイル環境のコンポーネントを概略的に示している。
【図3】本発明の実施形態に従った方法のフローチャートを概略的に示している。
【図4】本発明の実施形態に従ったさらなる方法のフローチャートを概略的に示している。
【図5】本発明の実施形態に従ったさらなる方法のフローチャートを概略的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルネットワークの異なるロケーションに分布しているコンテクスト情報を収集するステップと、
コンテクスト情報を含むコンテクストデータ構造を構成して、前記コンテクストデータ構造の評価に基づいて前記モバイルネットワークのサービスについての判断を下すステップであって、前記コンテクストデータ構造が最小化されるステップと
を備えている、モバイルネットワークのサービスについてコンテクストに基づく判断をするための方法。
【請求項2】
前記コンテクストデータ構造が最小化され、前記コンテクストデータ構造が行列の形態をとっており、
前記行列を最小化形態で構成するステップまたは前記行列を最初に構成した後に前記行列を最小化するステップ、あるいは前記ステップの両方を備えている請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンテクストデータ構造の前記最小化が、
いずれのコンテクスト情報が関連しているかを判断して、前記コンテクストデータ構造を構成する際に関連コンテクスト情報のみを含めるように初期コンテクスト情報に基づいて判断を下すステップ、または前記コンテクストデータ構造を構成する場合に動的コンテクスト情報を排除するステップ、あるいは前記ステップの両方を備えている請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンテクストデータ構造の前記最小化が、
前記モバイルネットワークの複数のアクセスポイントのうちのいずれのアクセスポイントが予測アクセスポイントとみなされるべきかを初期コンテクスト情報に基づいて判断するステップと、
前記判断に基づいて考慮されるべきアクセスポイントに対応する要素のみをコンテクストデータ構造に含めるステップと
を備えている、先行請求項の一項に記載の方法。
【請求項5】
現在モバイル端末が存在しているセルに隣接する隣接セルのアクセスポイントに対応する要素のみが、関連ありとみなされ、コンテクストデータ構造に含まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コンテクストデータ構造の前記最小化が、
前記モバイルネットワークのいずれのサービスが関連ありとみなされるべきかをサービス関連コンテクスト情報に基づいて判断するステップと、
前記判断に基づいて関連ありとみなされるべきサービスに対応する要素のみをコンテクストデータ構造に含めるステップと
を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
特定のモバイル端末およびその対応するネットワークで利用可能なサービスについての情報である前記サービス関連コンテクスト情報に基づいて、前記利用可能なサービスに対応するコンテクスト情報要素のみが前記コンテクストデータ構造を構成するのに使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテクストデータ構造の前記最小化が、
利用可能な静的コンテクスト情報に基づいて前記コンテクストデータ構造を部分的に評価するステップを備えている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記最小化が、静的コンテクスト情報に基づいて前記コンテクストデータ構造を最初に構成する場合に動的コンテクスト情報を排除するステップを備え、
前記動的コンテクスト情報が前記静的コンテクスト情報の後に前記コンテクストデータ構造に含まれる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記モバイル環境が、コンテクストサーバと、複数のコンテクストリポジトリと、コンテクストクライアントとして複数のモバイルノードとを含んでおり、
前記コンテクストサーバが前記コンテクスト情報を前記コンテクストリポジトリから収集して、前記コンテクスト評価行列を構成し、
前記コンテクストデータ構造が、前記コンテクストサーバから、評価を行う前記コンテクストクライアントのうちの1つに送信される、先行請求項の一項に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテクストデータ構造を第1のロケーションから第2のロケーションに送信するステップを備え、
動的コンテクスト情報が前記コンテクストデータ構造とは別に送信される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コンテクスト情報が、モバイル端末およびネットワークからの静的情報および動的情報を含み、
前記コンテクストデータ構造は静的コンテクスト情報に基づいて最初に構成され、
前記ネットワークサイドからの動的コンテクスト情報が、前記コンテクストデータ構造を最初に構成した後に挿入され、
前記モバイル端末からの動的情報が、前記コンテクストデータ構造の評価直前に、前記コンテクストデータ構造に最後に挿入される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
コンテクストデータ構造を構成する場合に、利用可能でないコンテクスト情報要素について、デフォルト値がコンテクストデータ構造を構成するために使用される、先行請求項の一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コンテクストデータ構造を構成する場合に、コンテクストデータ構造に含まれる要素の値のうちの1つ以上が1セットのルールに応じて可変的に選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
リクエストに応じて、またはコンテクストが変化する場合にコンテクストデータ構造の合成を更新するステップをさらに備えている請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記コンテクストデータ構造に含まれるべき動的コンテクスト情報が連続的に更新されるか、あるいは前記コンテクストデータ構造の評価直前のリクエストに応じて更新される、先行請求項の一項に記載の方法。
【請求項17】
前記コンテクスト情報が、前記ネットワークの現在のステータスの態様、コンポーネント、及びユーザの少なくとも1つについて記述しており、
前記コンテクストデータ構造が1セットn個の方程式を表す行列であり、前記n個の方程式はそれぞれ、1つのオプションOnが異なる可能なオプションから選択されるべき優先度を定義するランクRnを計算するためのものである、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記コンテクスト情報が、
ユーザプロファイル、
ユーザ履歴、
ネットワークロケーションおよび/またはネットワークトポロジー、
ネットワーク性能、
ネットワークサービス、
料金モデル、
潜在的な次のアクセスポイント、
ロケーション情報、
ロケーション予測
のうちの1つ以上に関する、先行請求項の一項に記載の方法。
【請求項19】
判断がなされるべきネットワークサービスがページングであり、判断は、いずれの1つまたは複数のセルが次にページングされるかという事柄に関するものである、先行請求項の一項に記載の方法。
【請求項20】
モバイルネットワークの異なるロケーションに分布しているコンテクスト情報を収集するためのコレクタコンポーネントと、
コンテクスト情報を含むコンテクストデータ構造を構成して、前記コンテクストデータ構造の評価に基づいて前記モバイルネットワークのサービスについての判断を下すための構成コンポーネントであって、前記コンテクストデータ構造が初期コンテクスト情報に基づいて、または前記コンテクストデータ構造が構成される時期に基づいて最小化される構成コンポーネントと
を備えている、モバイルネットワークのサービスについてコンテクストに基づく判断をするための装置。
【請求項21】
前記コンテクストデータ構造が行列の形態をとっており、
前記構成コンポーネントが、前記行列を最小化形態で構成するように、あるいは前記行列を最初に構成した後に前記行列を最小化するように構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記最小化コンポーネントが、
いずれのコンテクスト情報が関連しているかを判断して判断を下すための、且つ前記コンテクストデータ構造に関連コンテクスト情報のみを含めるための判断コンポーネントと、
前記コンテクストデータ構造を構成する場合に動的コンテクスト情報を排除するための排除コンポーネントと
を備えている、請求項20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記最小化コンポーネントが、前記モバイルネットワークの複数のアクセスポイントのうちいずれのアクセスポイントが予測アクセスポイントとみなされるべきかを初期コンテクスト情報に基づいて判断するための、且つ前記判断に基づいて考慮されるべきアクセスポイントに対応する要素のみをコンテクストデータ構造に含めるための判断コンポーネントを備えている、請求項20から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
現在モバイル端末があるセルに隣接する隣接セルのアクセスポイントに対応する要素のみが関連ありとみなされ、コンテクストデータ構造に含まれる、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記コンテクストデータ構造を最小化するための前記最小化コンポーネントが、
前記モバイルネットワークにおけるいずれのサービスが関連ありとみなされるべきかをサービス関連コンテクスト情報に基づいて判断するための、且つ前記判断に基づいて関連ありとみなされるべきサービスに対応する要素のみをコンテクストデータ構造に含めるための判断コンポーネントを備えている、請求項20から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
特定のモバイル端末およびその対応するネットワークで利用可能なサービスについての情報である前記サービス関連コンテクスト情報に基づいて、前記利用可能なサービスに対応するコンテクスト情報要素のみが前記コンテクストデータ構造を構成するのに使用される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記コンテクストデータ構造を最小化するための前記最小化コンポーネントが、利用可能な静的コンテクスト情報に基づいて前記コンテクストデータ構造を部分的に評価するための評価コンポーネントを備えている、請求項20から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記コンテクストデータ構造を最小化するための前記最小化コンポーネントが、前記コンテクストデータ構造を最初に構成する場合に動的コンテクスト情報を排除するための排除コンポーネントを備え、
前記動的コンテクスト情報が前記コンテクストデータ構造に後で含まれる、請求項20から27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記モバイル環境が、コンテクストサーバとしての前記装置と、複数のコンテクストリポジトリと、コンテクストクライアントとしての複数のモバイルノードとを含み、
前記コンテクストサーバが、前記コンテクスト情報を前記コンテクストリポジトリから収集して、前記コンテクストデータ構造を構成し、前記コンテクストサーバがさらに、前記コンテクストデータ構造を前記コンテクストサーバから前記コンテクストクライアントのうちの1つに送信して評価するための送信コンポーネントを備えている、請求項20から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記コンテクストデータ構造を第1のロケーションから第2のロケーションに送信するための送信コンポーネントを備え、
動的コンテクスト情報が前記コンテクストデータ構造とは別に送信される、請求項20から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
コンテクスト情報が、モバイル端末およびネットワークからの静的情報および動的情報を含み、
前記コンテクストデータ構造が、静的コンテクスト情報に基づいて最初に構成され、
前記ネットワークサイドからの動的コンテクスト情報が、前記コンテクストデータ構造を最初に構成した後に挿入され、
前記モバイル端末からの動的情報が、前記コンテクストデータ構造の評価直前に前記コンテクストデータ構造に挿入される、請求項20から30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
コンテクストデータ構造を構成する場合に利用可能でないコンテクスト情報要素について、デフォルト値がコンテクストデータ構造を構成するために使用される、先行請求項の一項に記載の装置。
【請求項33】
前記コンテクストデータ構造を構成する場合に、コンテクストデータ構造に含まれる要素の値の1つ以上が1セットのルールに応じて可変的に選択される、請求項20から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
リクエストに応じて、またはコンテクストが変更する場合にコンテクストデータ構造の合成を更新するステップをさらに備える、請求項20から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記コンテクストデータ構造に含まれるべき動的コンテクスト情報が連続して更新されるか、あるいは前記コンテクストデータ構造の評価直前にリクエストに応じて更新される、請求項20から34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記コンテクスト情報が、前記ネットワークの現在のステータスの態様、コンポーネント及びユーザの少なくとも1つについて記述しており、
前記コンテクストデータ構造が1セットn個の方程式を表す行列であり、前記n個の方程式はそれぞれ、オプションOnが異なる可能なオプションから選択されるべき優先度を定義するランクRnを計算するためのものである、請求項20から35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記コンテクスト情報が、
ユーザプロファイル、
ユーザ履歴、
ネットワークロケーションおよび/またはネットワークトポロジー、
ネットワーク性能、
ネットワークサービス、
料金モデル、
潜在的な次のアクセスポイント、
ロケーション情報、
ロケーション予測
のうちの1つ以上に関する、請求項20から36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
判断がなされるべきネットワークサービスがページングであり、判断は、いずれの1つまたは複数のセルが次にページングされるかという質問に関する、請求項20から37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
モバイルネットワーク用のモバイル端末であって、前記モバイル端末が、
請求項20から38のいずれか一項に記載の装置によって構成されたコンテクストデータ構造を受信するための受信コンポーネントと、
前記装置から受信されたコンテクストデータ構造を評価して、前記オプションのうちの1つを選択するための計算コンポーネントと
を備えている、モバイル端末。
【請求項40】
請求項20から38のいずれか一項に記載の装置が、コンテクストデータ構造を構成して、前記モバイル端末に送信するようにリクエストするためのリクエストコンポーネントをさらに備えている、請求項39に記載のモバイル端末。
【請求項41】
前記受信コンポーネントが、
静的コンテクスト情報を含むコンテクストデータ構造を受信するためのコンポーネントと、
動的コンテクスト情報を受信するためのコンポーネントと、
前記動的コンテクスト情報を前記受信コンテクストデータ構造に入れるためのコンポーネントと
を備えている、請求項39から40のいずれか一項に記載のモバイル端末。
【請求項42】
請求項20から38のいずれか一項に記載の装置と、
請求項39から41のいずれか一項に記載のモバイル端末と
を備えているモバイルネットワーク。
【請求項43】
コンピュータ上で実行される場合に、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータが実行できるようにするプログラムコードを備えている、コンピュータプログラム。
【請求項44】
1セットのコンテクスト情報要素であって、
前記コンテクスト情報要素は、コンテクストデータ構造の評価に基づいてモバイルネットワークのサービスについての判断を下すために前記コンテクストデータ構造に配列されており、前記コンテクストデータ構造は請求項1から19のいずれか一項に記載の方法を実行することによって構成された1セットのコンテクスト情報要素を備えている、データ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−515824(P2007−515824A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508683(P2005−508683)
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009880
【国際公開番号】WO2005/025260
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】