説明

コンテナの緊締装置

【課題】ハンドルの延出方向を制限することなく支持フレームの強度の低下を抑制する。
【解決手段】ツイストロック21は、ロックピンとロック回転軸23と連結軸28とを有する。連結軸28は、ロック回転軸23から離間した所定位置でロック回転軸23と一体的に回転する。ハンドル31は、ロック回転軸23から離間して上下方向に延びるハンドル回転軸心90を中心としてボルスタ11に対して回転自在に支持される中間板部33と、操作者に操作される一端側の操作部32と、ツイストロック21の連結軸23と係合する他端側のスライド係合溝34とを有する。連結軸28とスライド係合溝34との係合によって、ハンドル31の回転に連動してツイストロック21が回転する。ハンドル回転軸心90から連結軸28までの距離は、ロック回転軸23の中心91から連結軸28までの距離よりも長く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナを車体側に緊締するための緊締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンテナシャシの支持フレームの端部を中空の角管で構成し、支持フレームの内側端部にツイストロックの下部の軸部を回転自在に枢着し、この軸部にハンドルの一端を固着し、このハンドルを支持フレームの側面に開設した窓を通して外部からコンテナシャシの幅方向に操作する構造が記載されている。
【0003】
また、特許文献1には、窓の開設による支持フレームの強度の低下を防止するため、支持フレームの端部角管の開口端面から前後方向に操作できるように取り付けた構造も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−106174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているように、ハンドルを車幅方向に延ばして支持フレームの端部角管の開口端面から延出させた構造では、支持フレームに窓を形成する必要がないため、支持フレームの強度の低下を防止することが可能である。
【0006】
しかし、ハンドルの延出方向が車幅方向に制限されるため、コンテナシャシのレイアウト上の制約から適用不可能な場合や、走行中のハンドルを保護することが困難な場合がある。
【0007】
また、ツイストロックの軸部が支持フレームの開口端面から離間していると、開口端面だけではハンドルに必要な回転範囲を確保することができない場合がある。このような場合には、支持フレームに切り欠き溝などを形成してハンドルの回転範囲を確保する必要があり、支持フレームの強度の低下を招いてしまう。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑み、ハンドルの延出方向を制限することなく支持フレームの強度の低下を抑制することが可能な緊締装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、車体の支持フレームにコンテナを緊締するための緊締装置であって、ツイストロックとハンドルとを備える。
【0010】
ツイストロックは、支持フレームに対して回転自在に支持されて上下方向へ延びるロック回転軸と、ロック回転軸の上端に設けられロック回転軸と一体的に回転する係止部と、ロック回転軸から離間した所定位置でロック回転軸と一体的に回転する作用部とを有する。ツイストロックは、係止部がコンテナを緊締する緊締位置と緊締を解除する開放位置とを含む範囲内で回転する。
【0011】
ハンドルは、ロック回転軸から離間して上下方向に延びるハンドル回転軸心を中心として支持フレームに対して回転自在に支持される中間部と、操作者に操作される一端側の操作部と、ツイストロックの作用部と係合する他端側の係合部とを有する。係合部と係合する作用部からハンドル回転軸心までの距離は、作用部からロック回転軸の中心までの距離よりも長くなるように設定される。係合部と作用部との係合によって、ハンドルの回転に連動してツイストロックが回転する。
【0012】
上記構成では、ハンドルの他端側の係合部とツイストロックの作用部との係合により、操作者がハンドルの一端側の操作部を操作してハンドルを回転させると、これに連動してツイストロック(ロック回転軸)が回転する。
【0013】
また、係合部と係合する作用部からハンドル回転軸心までの距離は、作用部からロック回転軸の中心までの距離よりも長くなるように設定されているので、ハンドルの回転に連動してツイストロックが回転する際のハンドルの回転量とツイストロックの回転量とを比較すると、ツイストロックの回転量よりもハンドルの回転量の方が少ない。このため、ツイストロックを開放位置から締結位置まで回転する際のハンドルの回転量を、ツイストロックを直接回転させる場合に比べて少なく抑えることができる。従って、例えば支持フレームの側壁にハンドルを挿通する開口窓を形成する場合、その開口窓の形成範囲を狭くすることができ、支持フレームの強度の低下を抑制することができる。また、ハンドルを支持フレームの開口端面から延出させる構造において、ロック回転軸が支持フレームの開口端面から離間している場合であっても、ツイストロックを緊締位置と開放位置とに回転操作するためのハンドルの回転範囲を開口端面によって許容される範囲内に設定することができ、支持フレームの強度の低下を抑制することができる。
【0014】
なお、係合部からハンドル回転軸心までの距離と係合部からロック回転軸の中心までの距離との差が増大するほど、ツイストロックの回転量に対するハンドルの回転量の割合は減少するので、ハンドル回転軸心から係合部までの距離とロック回転軸の中心から作用部までの距離とは、ハンドルに許容される回転量に応じて適宜設定すればよい。
【0015】
また、上記緊締装置は、ツイストロックが緊締位置と開放位置との間の所定の中立位置にあるときに付勢力が最大となり、緊締位置と中立位置との間のツイストロックを緊締位置に向かって付勢し、開放位置と中立位置との間のツイストロックを開放位置に向かって付勢する付勢手段を備えてもよい。
【0016】
上記構成では、ツイストロックを緊締位置に回転させる際に、中立位置から緊締位置までの間は付勢手段の付勢力がツイストロックの回転を補助するので、操作性が向上する。また、付勢手段の付勢力は中立位置で最大となるので、ハンドルを操作する操作者に対して節度感を与えることができる。さらに、付勢手段の付勢力によってツイストロックを緊締位置及び開放位置にそれぞれ保持させることができる。
【0017】
また、上記緊締装置は、ツイストロックに固定され、ツイストロックが緊締位置及び開放位置に設定されていることを外部からそれぞれ視認可能に表示する表示部を備えてもよい。
【0018】
上記構成では、操作者は、表示部を外部から視認することによって、ツイストロックが緊締位置に設定されているか開放位置に設定されているかを瞬時に判別することができ、緊締が解除された状態での走行を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハンドルの延出方向を制限することなく支持フレームの強度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の緊締装置が装着されるトレーラを示す側面図である。
【図2】図1のトレーラのフレーム構造を示す平面図である。
【図3】第1実施形態の緊締装置を示す分解斜視図である。
【図4】図3の緊締装置を車体側に組み立付けた状態を示す図であり、(a)は車幅方向外側から視た側面図、(b)は(a)のVIb−VIb矢視断面図である。
【図5】ツイストロックが開放位置に設定された状態の緊締装置を斜め下方から視た斜視図である。
【図6】ツイストロックが緊締位置に設定された状態の緊締装置を斜め下方から視た斜視図である。
【図7】ハンドルの回転範囲とツイストロックの回転範囲との関係を模式的に示す平面図である。
【図8】第2実施形態の緊締装置においてツイストロックが緊締位置に設定された状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図9】図8の緊締装置においてツイストロックが開放位置に設定された状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態のトレーラ2は、そのシャシフレーム(車体)3に箱型のコンテナ7が積載され、トラクタ1によって牽引される。
【0023】
シャシフレーム3は、車両前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビーム4と、車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる複数の直線状のクロスフレーム5とを有する。各クロスフレーム5は、メインフレーム4に対して略直交し、クロスフレーム5の両端は、メインビーム4に結合される。シャシフレーム3には、懸架装置(図示省略)を介して車輪(タイヤ)6が装着される。
【0024】
シャシフレーム3の前端部には、トラクタ1に連結されるキングピン17が設けられる。キングピン17をトラクタ1の連結部に対応した高さに合わせて配置するため、メインビーム4の前端部は、通称グースネックと称する段差12によって嵩上げされている。
【0025】
左右のメインビーム4には、車幅方向に延びる前側及び後側のボルスタ(支持フレーム)10,11が固着されている。ボルスタ10,11の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延びる。各ボルスタ10,11の左右両端の中空内部のうち一端側(本実施形態では左側)には駆動側の緊締装置20が装着され、他端側(本実施形態では右側)には従動側の緊締装置40が装着されている。駆動側の緊締装置20は、操作者によって操作されて回転するハンドル31と、ハンドル31の回転に連動して回転するツイストロック21とを有する。前後の従動側の緊締装置40は、連結シャフト50(図3参照)を介して前後の駆動側のツイストロック21にそれぞれ連結されるツイストロック41を有し、この従動側のツイストロック41は、駆動側のツイストロック21の回転に連動して従動回転する。コンテナ7の前下端隅部と後下端隅部とには、隅金具(図示省略)が設けられ、緊締装置20,40は、シャシフレーム3に載置されたコンテナ7の隅金具の直ぐ下方に位置する。各緊締装置20,40のツイストロック21,41は、緊締位置と開放位置との間で回転自在であり、各ツイストロック21,41のロックピン(係止部)22,42は、ボルスタ10,11の上面から上方に突出する。ツイストロック21,41が開放位置に設定された状態でコンテナ7をシャシフレーム3の所定位置に載置すると、ロックピン22,42が隅金具の孔に進入する。この状態でハンドル31を回転操作し、ツイストロック21,41を開放位置から緊締位置に回転させると、ロックピン22,42が隅金具と係合し、コンテナ7の前縁及び後縁がシャシフレーム3に着脱自在に固定(緊締)される。
【0026】
次に、図3〜図7を参照して、駆動側の緊締装置20について詳細に説明する。なお、前後の駆動側の緊締装置20はほぼ同様の構成であるため、以下では後側(左後側)について説明し、前側(左前側)についてはその説明を省略する。
【0027】
ボルスタ11は、底板部13と前板部14と後板部15とを有するU状断面のフレーム材と、前壁部14の上端縁と後壁部15の上端縁とに固着されてフレーム材の上部開口を閉止する上板16とを備える。前板部14には、ハンドル31が挿通される開口窓18が形成されている。開口窓18は、車幅方向が上下方向よりも長い矩形状に設定されている。なお、ボルスタを角パイプ材など他の形状のフレーム材によって構成してもよい。
【0028】
緊締装置20は、上記ツイストロック21と、上記ハンドル31と、ベース体60と、コイルスプリング(付勢手段)65と、ハンドル支持体70とを備える。
【0029】
ベース体60は、ボルスタ11の上面(上板16の上面)に固定される補強板61と、補強板61の上面に固定される支持台62とを有する。支持台62は、前後方向が車幅方向よりも長い直方体状である。支持台62の中央下部62aは、部分的に下方へ突出し、上板16と補強板61とを連通する孔(図示省略)を挿通する。支持台62の中央には、上下方向に貫通する回転軸挿通孔63が形成されている。
【0030】
ツイストロック21は、上記ロックピン22とロック回転軸23とを一体的に有する。ロックピン22は、回転軸挿通孔63を挿通することによって、ベース体60に回転自在に支持される。すなわち、ロックピン22は、ボルスタ11に対して回転自在に支持されて上下方向へ延びる。ロックピン22は、上方に向かって先細りする直方錐体状であり、ロック回転軸23の上端に設けられてロック回転軸23と一体的に回転する。ロックピン22の下部の外周は、支持台62の外周とほぼ同形状に形成されている。ロック回転軸23に回転により、ツイストロック21は、開放位置と、開放位置から略90°回転した緊締位置との間で回転する。開放位置では、ロックピン22の長手方向が支持台62の長手方向(車両前後方向)とほぼ一致し(図5参照)、緊締位置では、ロックピン22の長手方向が支持台62の長手方向と略直交する。ツイストロック21が開放位置に設定された状態でコンテナ7(図2参照)をシャシフレーム3(図2参照)の所定位置に載置すると、ロックピン22及び支持台62がコンテナ7の隅金具の孔に進入する。この状態でツイストロック21が開放位置から緊締位置に回転すると、ロックピン22が隅金具と係合し、コンテナ7がシャシフレーム3に着脱自在に緊締される。なお、ツイストロック21の回転範囲は、後述する回転範囲規制板部73によって規制される。
【0031】
回転軸挿通孔63を挿通してボルスタ11の内部(支持台62の中央下部62の下方)に進入するロック回転軸23の下部には、回転連結部材24が固定される。回転連結部材24は、内径部分にロック回転軸23が挿通する円筒状のカラー25と、カラー25から後方へ延びて上下で相対向する上下のプレート26,27と、上下のプレート26,27を貫通して上下方向に延びる連結軸(作用部)28とを有する。ロック回転軸23及びカラー25を貫通するボルト80にナット81を締結することによって、カラー25がロック回転軸23に固定される。このように、ツイストロック21は、ロック回転軸23から離間した所定位置でロック回転軸23と一体的に回転する連結軸28を有する。なお、連結軸28は、上下のプレート26,27に固定されてもよく、回転自在に支持されてもよい。上側のプレート26から上方へ突出する連結軸28の上部には、連結シャフト50の左端部50aが回転自在に連結されている。下側のプレート27から下方へ突出する連結軸28の下部には、後述するようにハンドル31の他端側が係合し、連結軸28の下端部には、コイルスプリング65の後端65aが連結される。
【0032】
ハンドル支持体70は、開口窓18の下方に配置されてボルスタ11の前板部14の後面下部(内面下部)に固定される固定板部71と、固定板部71の前端から後方へ曲折して延びるハンドル支持板部72と、ハンドル支持板部72の後端から上方へ延びる回転範囲規制板部73と、固定板部71の後面から後方へ延びるスプリング連結部74とを有する。
【0033】
ハンドル31は、一端(前端)側の操作部32と、略水平方向に延びる中間板部(中間部)33と、他端(後端)側のスライド係合溝(係合部)34とを一体的に有する。
【0034】
中間板部33とハンドル支持板部72とには、上下方向に貫通するボルト挿通孔75が形成され、ボルト挿通孔75を挿通するボルト82にナット83を螺合することによって、中間板部33がハンドル支持板部72に回転自在に支持される。ボルト挿通孔75は、ロック回転軸23から前方に離間した位置に設定される。すなわち、中間板部33は、ロック回転軸23から離間して上下方向に延びるハンドル回転軸心(ボルト82の中心軸)90を中心としてボルスタ11に対して回転自在に支持される。
【0035】
中間板部33の後端は開口窓18を挿通してボルスタ11の前方で露出し、操作部32は、中間板部33の後端から上方に曲折して後方へ延びる。
【0036】
回転規制板部73の中央部分には、ハンドル31の中間板部33の後側が挿通する凹部73aが形成され、ハンドル31の中間板部33は、凹部73a内を挿通する。ハンドル31が凹部73aの左右の内側縁に当接することによって、ハンドル31の回転が開放位置から緊締位置までの範囲内に規制される。
【0037】
図7に示すように、スライド係合溝34は、ハンドル31の後端縁からハンドル回転軸心90に向かって前方へ延び、ツイストロック21の連結軸28の下部は、スライド係合溝34に挿入されて係合する。この係合状態において、スライド係合溝34は、スライド係合溝34に沿った方向への連結軸28のスライド移動を許容し、スライド係合溝34と交叉する方向(ハンドル回転軸心90を中心とした回転方向)への連結軸の移動を規制する。なお、スライド係合溝34に代えて、長孔を設けてもよい。
【0038】
スライド係合溝34と連結軸28との係合によって、ハンドル31の回転に連動してツイストロック21が回転する。ハンドル31が開放位置のときにツイストロック21も開放位置に設定され、ハンドル31が緊締位置のときにハンドル21も緊締位置に設定される。
【0039】
ロック回転軸23の中心91は、ハンドル回転軸心90と連結軸28との間に設定されており、スライド係合溝34に対する連結軸28の位置は、ハンドル31が開放位置(図7において実線で示す)及び緊締位置(図7において二点鎖線で示す)にあるときに最前方位置(ハンドル回転軸心90に最も近い位置)となり、ハンドル31が開放位置と緊締位置との間のほぼ中央位置(中立位置)にあるときに最後方位置(ハンドル回転軸心90に最も遠い位置)となる。ハンドル31が中立位置にあるとき、連結軸28の中心とロック回転軸23の中心91とハンドル回転軸心90とはほぼ一直線上に並ぶ。
【0040】
このように、スライド係合溝34と連結軸28とが係合した状態において、連結軸28からハンドル回転軸心90までの距離(上記最前方位置の連結軸28と中心91との距離R1を図7に図示)は、連結軸28からロック回転軸23の中心91までの距離(ロック回転軸23を中心とした連結軸28の回転半径)R2よりも長くなるように設定されている。
【0041】
連結軸28とロック回転軸23とハンドル回転軸心90とを上述のように配置することによって、ハンドル31の回転量は、これに連動して回転するツイストロック21の回転量よりも少なくなる。本実施形態では、ハンドル31の回転範囲θ2がツイストロック21の回転範囲θ1(略90°)のほぼ半分の略45°となるように、連結軸28とロック回転軸23とハンドル回転軸心90とが配置されている。なお、連結軸28からハンドル回転軸心90までの距離と連結軸28からロック回転軸23の中心91までの距離との差が増大するほど、ツイストロック21の回転量に対するハンドル31の回転量の割合は減少するので、ハンドル31に許容される回転量に応じて上記配置を適宜設定すればよい。
【0042】
図5及び図6に示すように、スプリング連結部74にはコイルスプリング65の前端65bが連結される。コイルスプリング65は、ツイストロック21が緊締位置と開放位置との間の所定の中立位置にあるとき(本実施形態ではハンドル31が中立位置にあるとき)に最も伸長してその付勢力が最大となり、緊締位置と中立位置との間のツイストロック21を緊締位置に向かって付勢し、開放位置と中立位置との間のツイストロック21を開放位置に向かって付勢する。なお、コイルスプリング65に代えて、例えば回転移動する連結軸28を前方へ付勢する板バネをボルスタ11の後板部15の内面(前面)と連結軸28との間に配置してもよい。
【0043】
本実施形態によれば、スライド係合溝34と係合する連結軸28からハンドル回転軸心90までの距離は、連結軸28からロック回転軸23の中心91までの距離よりも長くなるように設定されているので、ハンドル31の回転量は、これに連動して回転するツイストロック21の回転量よりも少なくなる。すなわち、ツイストロック21を開放位置から締結位置まで回転する際のハンドル31の回転量を、ツイストロック21を直接回転させる場合に比べて少なく抑えることができる。従って、ボルスタ11の前板部14に設けられる開口窓18の形成範囲(左右の幅)を狭くすることができ、ボルスタ11の強度の低下を抑制することができる。
【0044】
また、ハンドルの延出方向を車幅方向に設定し、ハンドルの操作部をボルスタの開口端面から延出させる構造において、ロック回転軸が支持フレームの開口端面から離間している場合であっても、ツイストロックを緊締位置と開放位置とに回転操作するためのハンドルの回転範囲を開口端面によって許容される範囲内に設定することができ、支持フレームの強度の低下を抑制することができる。
【0045】
すなわち、ハンドル31の延出方向を制限することなくボルスタ11の強度の低下を抑制することができる。
【0046】
また、ツイストロック21を緊締位置に回転させる際に、中立位置から緊締位置までの間はコイルバネ65の付勢力がツイストロック21の回転を補助するので、操作性が向上する。また、コイルバネ65の付勢力は中立位置で最大となるので、ハンドル31を操作する操作者に対して節度感を与えることができる。さらに、コイルバネ65の付勢力によってツイストロック21を緊締位置及び開放位置にそれぞれ保持させることができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態のツイストロック21に表示プレート(表示部)95を固定したものであるため、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0048】
表示プレート95は、第1板部96と第2板部97とを一体的に有する。第1板部96は、ボルト80が挿通するボルト挿通孔(図示省略)を有し、カラー25の外周面上に配置され、ボルト80及びナット81によってロック回転軸23に対して固定される。第1板部96は、ツイストロック21が緊締位置に設定された状態で車幅方向に沿って延び(図8参照)、ツイストロック21が開放位置に設定された状態で前後方向に沿って延びる(図9参照)。第1板部96の外面96aは、ツイストロック21が開放位置に回転移動することによって、車幅方向外側を向いてボルスタ11の開口端面から視認可能となり、ツイストロック21が緊締位置に回転移動することによって、前方を向いてボルスタ11の開口端面から視認不可能となる。この外面96aには、ツイストロック21が開放位置に設定されていることを示す「開放」の文字が表示されている(図9参照)。
【0049】
第2板部97は、ツイストロック21が緊締位置に設定された状態で、第1板部96の車幅方向外端縁(左端縁)からL状に曲折して後方へ延び(図8参照)、ツイストロック21が開放位置に設定された状態で、第1板部96の後端縁から車幅方向内側(右側)へ延びる(図9参照)。第2板部97の外面97aは、ツイストロック21が緊締位置に回転移動することによって、車幅方向外側を向いてボルスタ11の開口端面から視認可能となり、ツイストロック21が開放位置に回転移動することによって、後方を向いてボルスタ11の開口端面から視認不可能となる。この外面97aには、ツイストロック21が緊締位置に設定されていることを示す「緊締」の文字が表示されている(図8参照)。
【0050】
本実施形態よれば、操作者は、表示プレート95の表示をボルスタ11の開口端面を介して外部から視認することによって、ツイストロック21が緊締位置に設定されているか開放位置に設定されているかを瞬時に判別することができ、緊締が解除された状態でのトラクタ1の走行開始を未然に防止することができる。
【0051】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、前後の駆動側の緊締装置20のうち一方を本実施形態の緊締装置とし、他方を他の形態の緊締装置(例えば前後方向に係合するタイプなど)としてもよい。また、従動側の緊締装置40に代えて駆動側の緊締装置20を設け、連結シャフト50を省略してもよい。
【0052】
また、作用部としての係合孔をツイストロック21に設け、係合孔と係合する係合部としての連結軸をハンドル31に設けてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、箱型のコンテナ7が積載されるトレーラ2について説明したが、本発明の緊締装置20は、コンテナ7が積載されるトラックの車体にも適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:トラクタ
2:トレーラ
3:シャシフレーム
4:メインビーム
5:クロスフレーム
7:コンテナ
10,11:ボルスタ(支持フレーム)
18:開口窓
20:駆動側の緊締装置
21:ツイストロック
22:ロックピン(係止部)
23:ロック回転軸
24:回転連結部材
25:カラー
26:上側のプレート
27:下側のプレート
28:連結軸(作用部)
31:ハンドル
32:操作部
33:中間板部(中間部)
34:スライド係合溝(係合部)
40:従動側の緊締装置
41:ツイストロック
42:ロックピン
50:連結シャフト
60:ベース体
61:補強板
62:支持台
63:回転軸挿通孔
65:コイルスプリング(付勢手段)
70:ハンドル支持体
71:固定板部
72:ハンドル支持板部
73:回転範囲規制部
73a:凹部
74:スプリング連結部
90:ハンドル回転軸心
91:ロック回転軸の中心
95:表示プレート(表示部)
θ1:ツイストロックの回転範囲
θ2:ハンドルの回転範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナシャシの支持フレームにコンテナを緊締するための緊締装置であって、
前記支持フレームに対して回転自在に支持されて上下方向へ延びるロック回転軸と、このロック回転軸の上端に設けられ前記ロック回転軸と一体的に回転する係止部と、前記ロック回転軸から離間した所定位置で前記ロック回転軸と一体的に回転する作用部とを有し、前記係止部が前記コンテナを緊締する緊締位置と緊締を解除する開放位置とを含む範囲内で回転するツイストロックと、
前記ロック回転軸から離間して上下方向に延びるハンドル回転軸心を中心として前記支持フレームに対して回転自在に支持される中間部と、操作者に操作される一端側の操作部と、前記ツイストロックの作用部と係合する他端側の係合部とを有するハンドルと、を備え、
当該係合部と係合する前記作用部から前記ハンドル回転軸心までの距離は、当該作用部から前記ロック回転軸の中心までの距離よりも長くなるように設定され、
前記係合部と前記作用部との係合によって、前記ハンドルの回転に連動して前記ツイストロックが回転する
ことを特徴とするコンテナの緊締装置。
【請求項2】
請求項1に記載の緊締装置であって、
前記ツイストロックが前記緊締位置と前記開放位置との間の所定の中立位置にあるときに付勢力が最大となり、前記緊締位置と前記中立位置との間の前記ツイストロックを前記緊締位置に向かって付勢し、前記開放位置と前記中立位置との間の前記ツイストロックを前記開放位置に向かって付勢する付勢手段を備えた
ことを特徴とするコンテナの緊締装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の緊締装置であって、
前記ツイストロックに固定され、前記ツイストロックが前記緊締位置及び前記開放位置に設定されていることを外部からそれぞれ視認可能に表示する表示部を備えた
ことを特徴とするコンテナの緊締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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