説明

コンテナを装入し取り出すための装置

装置(1)は、コンテナ(2)内に収容された物質を処理するための設備(3)の区画内にコンテナ(2)を装入し、区画内からコンテナを取り出すための装置である。装置は、支持構造(17)と、第2手段(14)をコンテナ(2)よりも上方の位置まで移動させるための第3手段(16、19、21)と、装入中にストッパとして作用するとともに取り出し中にプッシャとして作用する第2手段(14)と、を備える。装置は延出可能なプラットホーム(10)を含み、延出可能なプラットホームは支持構造(17)から広がる。第3手段は支持構造(17)から区画の内部まで繰り出される部品(16a、16b)を含む。自動化され、速く、小スペースのみを必要とし、分解が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナに収容された物質を処理するための設備の区画内にコンテナを装入(搬入、積み込み)し、区画外へコンテナを取り出す(搬出する)ための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物質を処理するためのプラント、例えば製品を乾燥させるための凍結乾燥機と呼ばれるプラントで、コンテナの装入および取り出しを行うための装置が既知である。
【0003】
凍結乾燥機は、代表的には、薬品や食品等の製品の乾燥に使用される。薬品は、ガラス製のコンテナに入れられ、互いに重ねられて等しいシェルフを形成する凍結乾燥機の平らなシェルフ上に載置される。多くの凍結乾燥機は、前記平らなシェルフを積み重ねることができ、又は特定の装入高さに一つずつ置くことができるように、前記平らなシェルフを垂直に移動させるための手段を備えている。
【0004】
凍結乾燥プロセス、特に薬品用の凍結乾燥プロセスは、製品およびそのコンテナばかりでなくその操作エレメント、例えば装入−取り出しシステムおよび処理設備にも最大限の殺菌性が要求される。この理由により、製品およびそのコンテナと接触するこのような設備の部品は、通常は、クリーンルーム内に配置される。クリーンルームの空間は、主としてこのようなルームの保守費用と関連した理由により、通常は非常に小さい。更に、通常、全ての操作エレメントには、凍結乾燥機に装入する前に、クリーニングプロセスおよび殺菌プロセスが施される。
【0005】
凍結乾燥機等の処理プラント用の装入装置および取り出し装置の設計は、クリーンルームの空間上の制限を考慮に入れなければならず、その部品のクリーニングおよび殺菌を容易にするために分解が容易で簡単な機器を備えていなければならない。更に、製品を確実に衛生的にするため、このような装置は、処理中に凍結乾燥機の内部にとどまる部品の装入および取り出しを最大限なくさなければならないということを考慮しなければならない。これは、凍結乾燥機内へのアクセスが困難であるためであり、このような部品を適切にクリーニングすることができないためである。
【0006】
米国特許第5,129,162号には、コンテナを受けるようになされた少なくとも一つの配置面を含む凍結乾燥装置の装入および取り出しを行うための方法および装置が開示されている。コンテナは移送テーブルの天板に載置され、移送テーブルは凍結乾燥機装置のチャンバ内で配置面に近づけられる。移送テーブルに移動自在に固定された引き込み式のフレームアッセンブリを使用し、コンテナは移送テーブルの天板から配置面まで移送される。
【0007】
上文中で引用した米国特許には、クリーンルーム内で大きな空間を占有するという欠点がある。これは、フォーマッティングテーブルと、コンテナを装入した後に凍結乾燥装置に近づけられなければならない移送テーブルとを含むためである。更に、装入プロセス中および取り出しプロセス中に多数の工程を実施しなければならないため、作業速度が極めて低速となる。
【0008】
スペイン国特許第2130818号には、1組の2つの封入された液圧シリンダを用いてコンテナの装入および取り出しを自動的に行うことができる、凍結乾燥機等の処理機器の装入および取り出しを行うための装置が開示されている。各液圧シリンダの端部には、バーがシリンダの移動方向に対して横方向に取り付けられている。これらのシリンダの一方は、凍結乾燥機の後部分に取り付けられており、その端部に取り付けられたバーがシェルフの後部分から凍結乾燥機のシェルフに亘って移動するように、密閉された機械式フィードスルーによって、凍結乾燥チャンバの壁を横切る。他方のシリンダは、凍結乾燥機の前部分に、コンテナを供給するコンベアベルトの側方に取り付けられている。前後のシリンダバーが区画を形成し、装入プロセス中、区画内に、列をなしたコンテナが、搬送装置から1つずつ装入され、取り出しプロセス中、凍結乾燥機のシェルフから1つずつ装入され。
【0009】
装入プロセス中、装入されたコンテナの各列について、2つのシリンダおよびバーが、コンテナの直径と等しい距離だけ装入ゾーンを移動し、次に、シリンダおよび前バーだけが移動して出発位置に戻り、コンテナの新たな列を入れることができるようにする。この作業は、凍結乾燥機のシェルフ上に装填されるコンテナの列があるだけ、装入ゾーンが一杯になるまで繰り返される。次いで、装入されたコンテナを、両シリンダおよびバーの協働作業によって凍結乾燥機に置く。これらのシリンダおよびバーは、前記コンテナが凍結乾燥機のシェルフ上に置かれるまで、コンテナを前記装入ゾーン上で整列させる。
【0010】
取り出しプロセスでは、2つのシリンダおよびバーは、全てのコンテナが取り出しゾーンに整列させられた状態で置かれるまで、凍結乾燥機のシェルフを移動する。コンテナは、凍結乾燥機のシェルフから、後シリンダおよびバーによって、これらのコンテナを取り出すコンベアベルトに向けて押される。
【0011】
スペイン国特許第2130818号に記載された装置には、以下に記載する幾つかの欠点がある。
【0012】
凍結乾燥機のチャンバを横切る後シリンダ用の密閉された機械式フィードスルーは、チャンバの漏れの危険性を増大させ、これにともなって、製品およびプロセスで殺菌性を失う危険が大きくなる。
【0013】
更に、凍結乾燥チャンバの後部分にこの部品が設けられているため、装置を現存の凍結乾燥機に取り付けることができない。これは、凍結乾燥機の内部の空間が非常に小さく、予め設けられているのではない新たな部品を取り付けることができないためである。この追加による機械的変更は、凍結乾燥機のチャンバをひどく高価なものとしてしまう。
【0014】
上述の特許の装置の動作サイクルには、各シェルフの装入の完了時に時間的ずれ、すなわちタイムラグが生じるという欠点がある。これは、装入済のシェルフを垂直方向に移動し、コンテナを装入するために新たなシェルフが位置決めされるのを待機するため、後シリンダおよびバーをそれらの元の位置に引っ込めなければならないためである。シェルフの装入間のこのタイムラグは長い場合があり、これは装置の効率に悪影響を及ぼす。
【0015】
ドイツ国実用新案第DE20102879U1号には、上文中に言及した欠点を解決した、処理設備にコンテナを装入し取り出すための装置が記載されている。
【0016】
この装置は、コンテナを自動的に装入し取り出すための二つの可動部品を含む。一方として、装入プロセス中にコンテナをコンベアベルトから固定プラットホームまで移動させるシリンダおよびバーが設けられている。他方として、円筒形のドラムから展開する可撓性シートが設けられている。両可動部品は、処理設備の外部にあり、処理プロセス中に設備の外側にあり、そのため、凍結乾燥機のクリーニングおよび殺菌を妨げることがない。
【0017】
装入プロセスでは、装入されたコンテナの各列について、シリンダおよびバーは、コンテナの直径と等しい距離だけ、固定プラットホーム上を移動し、次にコンテナの新たな列を入れることができるようにするため、開始位置に移動して戻る。可撓性シートは、コンテナの列を固定プラットホームから受け入れる度毎にコンテナの直径と等しい距離だけ断続的に展開し前進する。その結果、処理設備の平らなシェルフに到達したとき、その面に亘って前進する。この作業は、装入ゾーンが固定プラットホームで形成され、可撓性シートの展開した区分がコンテナで一杯になるまで、処理設備の平らなシェルフ上に装填されたコンテナの列と同じ回数繰り返される。
【0018】
装入されたコンテナは、次いで、シリンダおよびバー並びに可撓性シートの協働作用によって設備の区画内に配置される。前記シリンダおよびバーは、前記シートが移動してシート自体の全体を処理設備の平らなシェルフ上に置くと同時に、固定プラットホーム上に置かれたコンテナを可撓性シートまで押す。次に、全てのコンテナが可撓性シート上にあり、このシートが平らなシェルフ上にあるとき、前記シートは引き戻され、コンテナの下で摺動する。この際、バーおよびシリンダによって、コンテナは、固定されるとともに、平らなシェルフ上で整列した状態に保持される。
【0019】
取り出しプロセスは、可撓性シート自体によって行われる。最初に、前記シートを平らなシェルフ上に置き、コンテナの下で摺動させる。この際、シリンダおよびバーは平らなシェルフの前部分にとどまり、ストッパとして作用する。次に、前記シートを引っ込めることによって、シート上に置かれたコンテナを固定プラットホームおよびコンベアベルトに向かって押し、このコンベアベルトがコンテナを取り出す。
【0020】
上述の装置の動作サイクルには、更に、タイムラグがないという利点がある。これは、各平らなシェルフの装入の完了時に、および、装入されたシェルフの垂直方向移動が行われている際に、コンテナを装置の固定プラットホームに装入できるためである。
【0021】
ドイツ国実用新案第DE20102879U1号は、それにも拘わらず、以下に述べる幾つかの欠点がある。
【0022】
装入プロセス中、固定プラットホーム上でコンテナを移動させること、及び、可撓性シート自体を装入されたコンテナとともに移動させることの両方が、コンテナ用のストッパとして作用するバーなしで行われるため、作業速度が限定される。
【0023】
確かに、可撓性シートの断続的前進は、シート上に置いたコンテナを連続的に移動させる動力源であるということを考慮しなければならない。このことは、このようなコンテナが倒れたり落下したりしないようにするため、作業速度を低下させなければならないことを意味する。
【0024】
取り出しプロセスには、完全には自動的でないという欠点がある。これは、取り出しプロセスの終了時に、固定プラットホーム上に残った最後のコンテナの列をコンベアベルトに向かって押すように作動する補助が必要とされるためである。
【0025】
以上説明したように、取り出しプロセスは、可撓性シート自体によって、シートが引っ込められるときに行われ、シートは、その上に置かれたコンテナを固定プラットホームおよびコンベアベルトに向かって押し、コンベアベルトがコンテナを取り出す。しかしながら、可撓性シート上にコンテナが残っていない場合には、及び、シートが引っ込められなかった場合には、シートは、取り出しされるべきコンテナの最後の列を押すことができない。これは、これらのコンテナが固定プラットホームだけに載っているためである。従って、コンテナの最後の列をコンベアベルトによって取り出すことができるように、これらのコンテナをバー等によって押さなければならない。
【0026】
上述のドイツ国実用新案に記載された装置の別の欠点は、処理設備に装入する度毎に部品のクリーニングおよび殺菌を行うために機器を容易には分解できないということである。
【0027】
確かに、円筒形ドラムの周囲に巻き付けたりこれから巻き解いたりされる可撓性シートのクリーニングおよび殺菌を行うためには、前記シートを完全に展開しなければならない。これには、多くの問題点がある。例えば、シートを拡げる大きな空間が必要であり、このような空間は、クリーンルーム内に存在する空間が限られているため、得るのが困難である。
【発明の開示】
【0028】
本発明の目的は、コンテナに収容された物質を処理するための設備の区画内にコンテナを装入したり、この区画外へコンテナを取り出したりするための装置を開発することにより、上述の問題点を解決することである。本装置には、以下に説明する利点がある。
【0029】
この目的にしたがって、本発明の装置は、コンテナ(2)内に収容された物質を処理するための設備(3)の区画内にコンテナ(2)を装入し、前記区画内からコンテナを取り出すための装置(1)であって、支持構造(17)と、前記コンテナ(2)を前記装置(1)に位置決めするための手段(4、5、6)と、固定されたプラットホーム(7)と、装入プロセス中に前記コンテナを移動させるための第1手段(8)と、取り出しプロセス中に前記コンテナを移動させるための第2手段(14)と、前記第2手段(14)を前記区画の内に移動させる場合(例えば、取り出し前)、及び、前記第2手段(14)を前記区画の外に移動させる場合(例えば、装入後)に、前記第2手段(14)を前記コンテナ(2)よりも上方の位置まで移動させるための第3手段(16、19、21)と、を備え、前記第2手段(14)は、装入中にストッパとして作用し、取り出し中にプッシャとして作用し、前記装置は延出可能なプラットホーム(10)を含み、前記延出可能なプラットホームは、装入中および取り出し中に前記支持構造(17)から広がって、前記固定プラットホーム(7)と前記区画の内部のシェルフ(11)とを連結し、前記第3手段は、前記支持構造(17)から前記区画の前記内部まで繰り出される部品(16a、16b)を含んでいる。
【0030】
こうした特徴により、本発明の装置には以下の利点がある。
【0031】
・装入−取り出しシステムは完全に自動式であり、そのため、オペレータがいなくてもよい。
【0032】
・装入プロセス中、コンテナが整列させられた状態で前進してコンテナが倒れないようにするために、前記コンテナ用のストッパとして作用する前記第2手段の存在下でコンテナの移動が行われるので、作動速度が限定されない。
【0033】
・装置は、クリーンルーム内で占有する空間が限られており、アイソレーター(isolator)について実施が容易であり、部品のクリーニングおよび殺菌を行うために容易に分解することができる。
【0034】
・装置は完全に処理設備の外にあり、そのため、既存の設備に大幅な構造変更を行う必要なく、任意の既存の設備に実施することができる。更に、装置は、様々なモデルの処理設備で、製造者が異なる処理設備においても使用され得る。
【0035】
・装置には、処理プロセス中に設備の区画の内側にとどまる部品がなく、そのため、凍結乾燥機のクリーニングおよび殺菌の邪魔にならず、使用者がシェルフやフレーム等の副次的部品の取り扱いを強いられることがない。
【0036】
好ましくは、前記第2手段は、前記コンテナ(2)の移動方向を横切る方向に取り付けられたバー(14)等と、縦方向に移動することができ前記バー(14)等の両端に取り付けられた一対のキャリッジ(13)と、を含んでいる。
【0037】
これらの特徴により、前記バー等は、前記キャリッジの作用により移動し、装入中にストッパとして作用するとともに、取り出し中にプッシャとして作用する。
【0038】
好ましくは、前記第3手段は、前記部品のうちの少なくとも二つの部品(16a)であって前記キャリッジ(13)を駆動する部品(16a)と、前記キャリッジ(13)の各々と上述のバー(14)等との間に取り付けられた回転アーム(21)と、前記部品のうちの少なくとも他の二つの部品(16b)であって前記アーム(21)の各々を駆動する部品(16b)と、を含み、前記二つの第2の部品(16b)が前記キャリッジ(13)の方向に押された場合に、前記バー(14)等が前記コンテナ(2)よりも上方の位置へ移動するようになされている。
【0039】
同様に、好ましくは、前記キャリッジ(13)を駆動する前記部品は、一端が前記キャリッジ(13)に取り付けられ且つ他端が前記装置(1)の前記支持構造(17)に取り付けられている少なくとも一つのバンド(16a)等それぞれ含み、前記アーム(21)の各々を駆動する前記部品は、一端が前記装置(1)の前記支持構造(17)に取り付けられている少なくとも一つのバンド(16b)等と、一端が前記キャリッジ(13)に関節連結され且つ他端が前記少なくとも一つのバンド等に連結されているレバー(19)と、前記少なくとも一つのバンド等と前記レバー(19)との間に設けられた取り付け部品(20)と、をそれぞれ含んでいる。
【0040】
こうした特徴により、キャリッジに取り付けられたバーをコンテナの上方に持ち上げることができる機構が得られる。前記バーは、かくして、装入の完了後に、処理設備の内部シェルフから引っ込めることができ、あるいは、取り出しの開始時に内部シェルフの後側まで移動することができる。この機構には、簡単であり、空間をとらず、分解が容易であるという利点がある。
【0041】
有利には、前記バンド等は、半円形セクタ(a semicircular sector)の形状で湾曲しており、そのため、張力および圧縮力に機械的に抵抗する材料のストリップが得られる。更に、この構成は、片持ち時にある程度の曲げ強度を有するようになるとともに、リールに巻き取ることができる。
【0042】
同様に、有利には、前記バー(14)等は、前記プラットホーム(7、10)および上述の区画の内部のシェルフ(11)上での移動を容易にする一対のホイール(18)を含んでいる。
【0043】
好ましくは、前記コンテナ(2)を位置決めするための前記手段は、水平なコンベアベルト(4)と、前記コンテナ(2)を割り送りするための手段(5)と、装入プロセス中および取り出しプロセス中に前記コンテナ(2)を案内するための固定ガイド(6)と、を含んでいる。
【0044】
これらの特徴により設備は、コンテナの装入および取り出しに適した様々なモジュールを有する。
【0045】
好ましくは、前記装入プロセス中に前記コンテナ(2)を移動させるための前記第1手段は、少なくとも一つの伸縮可能なリニアアクチュエータ(9)を含み、前記アクチュエータはその自由端がバー(8)等と一体化され、前記バー(8)は、装入中にプッシャとして作用し、取り出し中にストッパとして作用する。
【0046】
同様に、好ましくは、前記処理設備は、前記内部シェルフと平行に取り付けられた一対のガイドを含み、これらのガイドは、前記固定プラットホーム上および前記延出可能なプラットホーム上に縦方向に配置された別の一対のガイドと一直線に揃えられており、これらのガイドに沿って前記キャリッジが移動する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以上の事項を更によく理解することができるよう、幾つかの図面を添付している。これらの図面は、現実的な実施形態の例を概略的に且つ単なる非限定的な例として示している。
【0048】
図1aおよび図1bは、コンテナ2を処理設備3の区画(隔壁、包囲体、囲い壁)内に装入したり(搬入したり、積み込んだり)、コンテナ2を区画から取り出したり(搬出したり)するための装置1を示す平面図および正面図である。処理設備3は、コンベアベルト4を有している。2つの固定されたガイド6間に拘束された1列のコンテナ2から供給されたコンテナ2が、コンベアベルト上にワーム歯車即ち割り送りホイール5から分けて供給される。コンベアベルト4上に分配されたコンテナ2は、コンテナ2の移動方向に対して横切る方向(横方向)に取り付けられたプッシャバー8によって、固定されたプラットホーム(固定プラットホーム)7に移送される。前記プッシャバー8は、二つの伸縮可能なリニアアクチュエータ9によって駆動される。
【0049】
同じ図1aおよび図1bに示されているように、装置1は、延出可能なプラットホーム10を備えている。このプラットホームが展開し(広がり、延出し)、固定プラットホーム7を処理設備3の区画の内部のシェルフ11に取り付け(接続し)、コンテナ2が上側を移動する平らで滑らかな水平な面を形成する。図2aおよび図2bは、前記延出可能なプラットホームを展開させた状態の装置を示す平面図および正面図である。
【0050】
固定プラットホーム7および延出可能なプラットホーム10は、これらのプラットホームの小さい方の側部において、縦方向に配置された一対のガイド12を有する。これらのガイド上で一対の延出可能なキャリッジ13がバー14とともに移動する。バー14は、その端部の各々が前記キャリッジ13にそれぞれ取り付けられている。前記バー14は、装入中にストッパとして作用して、コンテナ2を移動中に整列させられた状態に保持し、また、取り出し中にプッシャとして作用する。
【0051】
処理設備3の区画には、対をなした別のガイド15が平行に前記内部シェルフ11へ取り付けられている。これらのガイドは、固定プラットホーム7および延出可能なプラットホーム10のガイド12と一直線に並べられており、前記延出可能なキャリッジ13は、バンド16によって駆動されて処理設備3の内部で展開する(広がる)とき、これらのガイドに沿って移動する。バンド16は、コイル状であってもよい。前記バンド16は、装置1の支持構造17に設けられた一対のリール(図示せず)に巻き付けられ、そして繰り出される(巻き出される、解き出される)。
【0052】
発明の開示で言及したように、装置1には、延出可能なキャリッジ13に取り付けられたバー14をコンテナ2の上方に持ち上げることができる機構を含むという利点がある。バー14は、かくして、装入の完了後に処理設備3の内部シェルフ11から引っ込めることができ、また、取り出しの開始時に内部シェルフ11の後ろまで移動することができる。
【0053】
図3および図4は、バー14とともに延出可能なキャリッジ13を2つの異なる作用位置で示している。図3では、バー14はその下方位置にあり、ホイール18が作用面と接触しているのに対し、図4では、バー14はその持ち上げ位置(上方位置)にあり、ホイール18は、コンテナ2が置かれた内部シェルフ11のすぐ上のシェルフと接触している。
【0054】
バー14を持ち上げることを可能にする機構は、半円形セクタの形状の一対の平行な湾曲したバンド16を、キャリッジ13の各々に対して含む。下バンド16aは、一端が、対応する延出可能なキャリッジ13に取り付けられており、他端が、バンドが巻き付けられる対応するリール(図示せず)のスプールに取り付けられている。上バンド16bの一端は、対応する延出可能なキャリッジ13のレバー19に、取り付け部品20を用いて取り付けられている。上バンド16bの他端は、対応するリール(図示せず)の別のスプールに取り付けられている。
【0055】
キャリッジ13のレバー19は、一端が、対応するキャリッジ13に関節連結(回動可能に連結)されており、他端が、対応する上バンド16bの取り付け部品20に関節連結(回動可能に連結)されている。
【0056】
バー14を持ち上げ可能にする機構は、各延出可能なキャリッジ13用の回転アーム21を更に含む。アームは、一端が、バー14に取り付けられており、他端が、延出可能なキャリッジ13の前記レバー19に取り付けられている。
【0057】
バー14を持ち上げるため、上バンド16bが圧縮状態で作用して取り付け部品20を押し、この際、下バンド16aは対応する延出可能なキャリッジ13を固定状態に保持する。上バンド16bによる取り付け部品20へのスラスト(押し込み)により、各レバー19は、対応する延出可能なキャリッジ13の回転アーム21と一体のシャフト上で回転する。その結果、前記回転アーム21が持ち上がり、バー14を上方に引っ張る。
【0058】
バー14を下げるためには、上バンド16bが張力状態で作用して取り付け部品20を引っ張り、この際、下バンド16aは対応する延出可能なキャリッジ13を固定状態に保持する。上バンド16bによる取り付け部品20への作用により、前記レバー19および前記回転アーム21が同時に回転し、バー14が下がる。
【0059】
記載しなかったが、延出可能なキャリッジ13が移動している間でも、上バンド16bおよび下バンド16aを同時に移動させることにより、バー14を持ち上げたり下げたりすることができる。
【0060】
コンテナを装入し取り出すための本発明による装置の動作を以下に説明する。
【0061】
図1a、図1b、図2a、図2b、図5a、図5b、図6a、図6b、図7a、および図7bは、コンテナ2を処理設備3の区画内に装入するプロセスの様々な段階の平面図および正面図である。
【0062】
装入プロセスは、一列のコンテナ2を装置1のコンベアベルト4上に割り送りホイール5から分配することによって始められる。コンベアベルト4上に配置されたコンテナ2を、リニアアクチュエータ9によって駆動されるプッシャバー8により、コンテナの直径と等しい距離だけ固定プラットホーム7へ移動させる。コンテナ2を固定プラットホーム7まで移動した後、プッシャバー8をその初期位置まで引っ込め、コンテナ2の新たな列を装入するためにコンベアベルト4を再び自由にする。内部シェルフ11に配置されるべきコンテナ2の全ての列が装入面上に蓄えられるまで、この動作を繰り返す。
【0063】
図6aおよび図6bに示すように、装入面(積載面)は、固定プラットホーム7、延出可能なプラットホーム10、および処理設備3の内部シェルフ11の一部分によって形成されている。この面は、コンテナ2を拘束するガイド15によって横方向が画成されており、前方がプッシャバー8によって画成されており、後方が延出可能なキャリッジ13に取り付けられたバー14によって画成されている。前記バー14は、全装入プロセス中、コンテナ2を整列させ、これらのコンテナが倒れないようにするストッパとして役立つ。
【0064】
上述の面上へのコンテナの装入を完了した後、プッシャバー8が延出可能なキャリッジ13のバー14と同期して移動する作用により、内部シェルフ11への前記コンテナの移動が一度に行われる。
【0065】
次に、キャリッジ13のバー14が上文中に説明した機構によって持ち上げられ、コンテナ2の上方を移動して内部シェルフ11から戻され、プッシャバー8とともにその初期位置まで引っ込められる。延出可能なキャリッジ13がその初期位置に来た後、バー14を再び下ろし、延出可能なプラットホーム10は部分的に引っ込められ、コンベアベルト4が更に多くのコンテナ2の装入を開始する。処理設備3では、装入の準備がととのった次の空のシェルフ11を装置1の前方に配置するため、内部シェルフ11の垂直方向移動が行われる。
【0066】
図8a、図8b、図11aおよび図11bは、処理設備3の区画内でのコンテナ2の取り出しプロセスの様々な段階を示す平面図および正面図である。
【0067】
装置の延出可能なプラットホーム10が、装置1と向き合って配置された処理設備3の内部シェルフ11まで展開したとき(広がったとき)、取り出しプロセスが開始される。次に、キャリッジ13が、持ち上げられた状態のバー14とともに、内部シェルフ11の後側まで移動する。また、リニアアクチュエータ9によって駆動されるプッシャバー8が、シェルフ11上のコンテナ2の第1列に接触するまで一杯に延びる。延出可能なキャリッジ13の移動中、バー14のホイールは、真上にあるシェルフ11と接触している。
【0068】
延出可能なキャリッジ13は、シェルフ11の後方に配置された後、上文中に説明した機構によりバー14を下ろされ、コンテナ2の最後の列の後側に置かれる。次に、延出可能なキャリッジ13をバー8と同期させて処理設備3の外側に向かって引き出す。その結果、バー14がコンテナ2を一度にコンベアベルト4に向かって押す。この際、バー8はストッパとして作用する。コンテナ2は、かくして、固定プラットホーム7、延出可能なプラットホーム10、および内部シェルフ11の一部分によって形成された面上に置かれる。
【0069】
図10aおよび図10bに示されているように、コンベアベルト4によるコンテナ2の取り出しは、延出可能なキャリッジ13のバー14がコンテナ2を内部シェルフ11の外側に向かって押した後、これらのコンテナを前記コンベアベルト4に沿って出すことによって行われる。延出可能なプラットホーム10上にコンテナ2が残っていない状態になると、プラットホーム10は部分的に後方に移動し、後に取り出しを行うために次の内部シェルフ11を下げることが可能となる。固定プラットホーム7に残ったコンテナ2は、キャリッジ13のバー14によってコンベアベルト4に向かって押され続ける。
【0070】
驚くべきことに、本発明は、迅速であることに加え、非常に限られた空間しか占有せず、分解が容易な、完全に自動式の、コンテナ2を装入し取り出すための装置1を提供する。これはオペレータを必要としないためである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1aおよび図1bは、コンテナ内の物質を処理するための設備に面して配置された本発明による装置の平面図および正面図である。
【図2】図2aおよび図2bは、延出可能なプラットホームが処理設備の内部に延出するとともに、コンテナの第1列が固定プラットホーム上に配置された、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図3】図3は、装置の延出可能なキャリッジおよび湾曲したバンド、並びに、前記キャリッジに取り付けられ下方の位置に配置されたバーの詳細を示す斜視図である。
【図4】図4は、装置の延出可能なキャリッジおよび湾曲したバンド、並びに、前記キャリッジに取り付けられ上方の位置に配置されたバーの詳細を示す斜視図である。
【図5】図5aおよび図5bは、物質の処理を行うための設備の区画内にコンテナを装入するプロセスのある工程を示す、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図6】図6aおよび図6bは、物質の処理を行うための設備の区画内にコンテナを装入するプロセスのある工程を示す、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図7】図7aおよび図7bは、物質の処理を行うための設備の区画内にコンテナを装入するプロセスのある工程を示す、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図8】図8aおよび図8bは、物質の処理を行うための設備の区画外へコンテナを取り出すプロセスのある工程を示す、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図9】図9aおよび図9bは、物質の処理を行うための設備の区画外へコンテナを取り出すプロセスのある工程を示す、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図10】図10aおよび図10bは、物質の処理を行うための設備の区画外へコンテナを取り出すプロセスのある工程を示す、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図11】図11aおよび図11bは、物質の処理を行うための設備の区画外へコンテナを取り出すプロセスのある工程を示す、本発明による装置の平面図および正面図である。
【図1a】

【図1b】

【図2a】

【図2b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ(2)内に収容された物質を処理するための設備(3)の区画内にコンテナ(2)を装入し、前記区画内からコンテナを取り出すための装置(1)であって、
支持構造(17)と、
前記コンテナ(2)を前記装置(1)に位置決めするための手段(4、5、6)と、
固定されたプラットホーム(7)と、
装入プロセス中に前記コンテナを移動させるための第1手段(8)と、
取り出しプロセス中に前記コンテナを移動させるための第2手段(14)と、
前記第2手段(14)を前記区画の内に移動させる場合(例えば、取り出し前)、及び、前記第2手段(14)を前記区画の外に移動させる場合(例えば、装入後)に、前記第2手段(14)を前記コンテナ(2)よりも上方の位置まで移動させるための第3手段(16、19、21)と、を備え、
前記第2手段(14)は、装入中にストッパとして作用し、取り出し中にプッシャとして作用し、
前記装置は延出可能なプラットホーム(10)を含み、前記延出可能なプラットホームは、装入中および取り出し中に前記支持構造(17)から広がって、前記固定プラットホーム(7)と前記区画の内部のシェルフ(11)とを連結し、
前記第3手段は、前記支持構造(17)から前記区画の前記内部まで繰り出される部品(16a、16b)を含む
ことを特徴とするコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項2】
前記第2手段は、前記コンテナ(2)の移動方向を横切る方向に取り付けられたバー(14)等と、縦方向に移動することができ前記バー(14)等の両端に取り付けられた一対のキャリッジ(13)と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項3】
前記第3手段は、前記部品のうちの少なくとも二つの部品(16a)であって前記キャリッジ(13)を駆動する部品(16a)と、前記キャリッジ(13)の各々と上述のバー(14)等との間に取り付けられた回転アーム(21)と、前記部品のうちの少なくとも他の二つの部品(16b)であって前記アーム(21)の各々を駆動する部品(16b)と、を含み、
前記二つの第2の部品(16b)が前記キャリッジ(13)の方向に押された場合に、前記バー(14)等が前記コンテナ(2)よりも上方の位置へ移動するようになされた
ことを特徴とする請求項2に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項4】
前記キャリッジ(13)を駆動する前記部品は、一端が前記キャリッジ(13)に取り付けられ且つ他端が前記装置(1)の前記支持構造(17)に取り付けられている少なくとも一つのバンド(16a)等それぞれ含む
ことを特徴とする請求項3に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項5】
前記アーム(21)の各々を駆動する前記部品は、一端が前記装置(1)の前記支持構造(17)に取り付けられている少なくとも一つのバンド(16b)等と、一端が前記キャリッジ(13)に関節連結され且つ他端が前記少なくとも一つのバンド等に連結されているレバー(19)と、前記少なくとも一つのバンド等と前記レバー(19)との間に設けられた取り付け部品(20)と、をそれぞれ含む
ことを特徴とする請求項3に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項6】
前記バンド(16a、16b)等は半円形セクタの形状で湾曲している
ことを特徴とする請求項4または5に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項7】
前記バー(14)等は、前記プラットホーム(7、10)および上述の区画の内部のシェルフ(11)上での移動を容易にする一対のホイール(18)を含む
ことを特徴とする請求項2に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項8】
前記コンテナ(2)を位置決めするための前記手段は、水平なコンベアベルト(4)と、前記コンテナ(2)を割り送りするための手段(5)と、装入プロセス中および取り出しプロセス中に前記コンテナ(2)を案内するための固定ガイド(6)と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。
【請求項9】
前記装入プロセス中に前記コンテナ(2)を移動させるための前記第1手段は、少なくとも一つの伸縮可能なリニアアクチュエータ(9)を含み、
前記アクチュエータはその自由端がバー(8)等と一体化され、
前記バー(8)は、装入中にプッシャとして作用し、取り出し中にストッパとして作用する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナを装入し取り出すための装置(1)。

【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【公表番号】特表2008−507460(P2008−507460A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522065(P2007−522065)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002205
【国際公開番号】WO2006/011049
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507022178)アイエムエイ‐テルスター、ソシエダッド、リミターダ (1)
【氏名又は名称原語表記】IMA−TELSTAR, S.L.
【Fターム(参考)】