コンテナ内のカゴ台車固定装置
【課題】コンテナ輸送時のカゴ台車固定装置を提供すること
【解決手段】ベルトと、前記ベルトの一端に取り付けられた端末金具と、前記ベルトの他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体とを備え、前記ラチェットバックル利用の固定装置本体は、長手方向に比較的長い基部と、該基部の裏面に形成された係合部とを有し、前記比較的長い基部は、一端にある前記ベルトの巻取り手段と、他端にある前記ベルトとの係合手段とを備える。
【解決手段】ベルトと、前記ベルトの一端に取り付けられた端末金具と、前記ベルトの他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体とを備え、前記ラチェットバックル利用の固定装置本体は、長手方向に比較的長い基部と、該基部の裏面に形成された係合部とを有し、前記比較的長い基部は、一端にある前記ベルトの巻取り手段と、他端にある前記ベルトとの係合手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ内のカゴ台車固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日に於いて、物流輸送の多くは、トラックによるコンテナ輸送に委ねられている。コンテナは、一般に、鋼鉄・アルミニウム等で製造された、規格化された形状の箱であり、その中に積載物を積み込みトラック等で輸送を行う。コンテナの多くは、直方体の形状である。
【0003】
図1及び2は、トラックを利用したコンテナ輸送を説明する図であり、図1は、トラックのコンテナ10内を上方から見た図であり、図2は、図1の後部扉12を開けてコンテナ内をラックの進行方向後ろ側より覗いた図である。なお、本出願書類で、「方向」は、トラック等の輸送手段の進行方向を前方とし、左右の方向は進行方向に向かって左右を定め、上下の方向は路面方向を下方向とする。
【0004】
図1及び2に簡略化して示すように、トラックに積み込まれる積載物は、多くは、複数のカゴ台車14に収納されている。カゴ台車14は、正式には「ロールボックスパレット」と称するが、業界では、分かり易く「カゴ台車」と呼ばれることが多い。カゴ台車14の形状は、キャスター14cの付いた平荷台の四方を柵で囲んだ台車であり、一面が開放口、または開放扉となっている。カゴ台車14は、スーパーマーケットの物流ヤード、倉庫、物流センターなど配送関係で多く使用されている。カゴ台車を使うことにより、保管と運搬の役目を兼用することが出来るからである。カゴ台車14は、トラック後部の昇降機(図示せず。)を使ってコンテナ10の内部にそのまま積載することが出来る。
【0005】
トラック輸送では、コンテナ10内のカゴ台車14は常時振動に曝されている。更に、トラックの加速、減速、方向転換、路面の凹凸による上下動等により、カゴ台車14に対して前後・左右・上下方向に力がかかる。従って、カゴ台車14が、コンテナ内で移動しないように確実に固定しておく必要がある。従来、この固定方法は、コンテナ10の左右の側壁10sr,10slに設定されたレール(「トラックレール」とも言う。)16r,16lに、端末金具(「ワンピース」とも言う。)18r,18lを利用してラッシングベルト20r,20lを夫々取り付け、このラッシングベルトの他端をラチェットバックル22利用して締め付けることにより、行っている。これらレール16、端末金具18、ラッシングベルト20及びラチェットバックル22は、いずれも、物流業界では広く知られた器具、部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-128223「搬送コンテナ用荷崩れ防止ベルト」(公開日:2000/05/09) 特許文献1は、ベルト巻き取り部と、該ベルト巻き取り部に対して間隔をおいて設けられるベルト連結部とを有するバックルと、一端が該バックルのベルト巻き取り部に連結される第1のベルト部と、一端が該バックルのベルト連結部に連結される第2のベルト部と、該第1のベルト部の他端に連結され、搬送コンテナ内の一方の側面に配設されたレール部材に係合可能な第1の係合体と、該第2のベルト部の他端に連結され、搬送コンテナ内の他方の側面に配設されたレール部材に係合可能な第2の係合体と、前記第1のベルト部の中途に設けられ、搬送コンテナ内の他方の側面に配設されたレール部材に係合可能な第3の係合体と、を具備することを特徴とする搬送コンテナ用荷崩れ防止ベルトを開示する(請求項1参照)。
【0007】
特許文献1は、搬送コンテナ内においてバックルを配置するために必要とされていた荷物の前面におけるスペースを不要とし、搬送コンテナ内の荷物の積載スペースを大きくする。搬送コンテナ用荷崩れ防止ベルトは、第1のベルト部103の中途に、第1の係合体131が係合されるレール部材と対向するレール部材に係合される第3の係合体105を設けている。従って、バックル102を搬送コンテナの側面付近の作業スペースに位置させることができ、荷物の前面には、第1のベルト部103のベルト部分が位置しているだけであるため、搬送コンテナ内の積載スペースを従来よりも大きく確保することができる技術を開示する(要約参照)。
【0008】
特許文献1と本発明の相違は、後で、図8を参照しながら説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コンテナの容積を有効利用するため、コンテナ10の寸法や、カゴ台車14の寸法は予め定められており、カゴ台車14のコンテナ内への搬入・搬出に支障がない範囲で無駄な空間を最小限にしている。従って、カゴ台車14とコンテナ側壁10sとの左右方向の隙間はかなり狭い空間となっている。
【0010】
この狭い隙間を利用して、取扱いが容易で、効果的なコンテナ内のカゴ台車固定装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、新規なコンテナ内のカゴ台車固定装置を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的に鑑みて、本発明に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置は、ベルトと、前記ベルトの一端に取り付けられた端末金具と、前記ベルトの他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体とを備え、前記ラチェットバックル利用の固定装置本体は、長手方向に比較的長い基部と、該基部の裏面に形成された係合部とを有し、前記比較的長い基部は、一端にある前記ベルトの巻取り手段と、他端にある前記ベルトとの係合手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記比較的長い基部の前記ベルトとの係合手段は、表面が滑らかな固定軸又は空転自在な円筒若しくは円柱を含んでもよい。
【0014】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記比較的長い基部は伸縮自在であってもよい。
【0015】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記長手方向に比較的長い基部は、入れ子式に接続された複数個の部材から形成されていてもよい。
【0016】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、前記コンテナ内の側壁に取り付けられたレールに対して、着脱自在である。
【0017】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、端末金属を前記基部の裏面に固着して形成されていてもよい。
【0018】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの巻取り軸の近くで、前記基部の裏面に形成されていてもよい。
【0019】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの固定軸の近くで、前記基部の裏面に追加的に形成されていてもよい。
【0020】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記ベルトは、ラッシングベルトであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、新規なコンテナ内のカゴ台車固定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、トラックを利用したコンテナ輸送を説明する図であり、トラックのコンテナ内を上方から見た図である。
【図2】図2は、トラックを利用したコンテナ輸送を説明する図であり、図1の後部扉を開けてコンテナ内をラックの進行方向後ろ側より覗いた図である。
【図3A】図3Aは、本発明に係るカゴ台車固定装置の詳細を説明する図である。
【図3B】図3Bは、固定装置本体の基部の裏面に形成された、コンテナ内のレールに着脱自在に取り付け可能な係合部を説明する図である。なお、図3Bでは、図を簡単にするため、ベルトを省略していることに注意されたい。
【図4A】図4Aは、端末金具を利用して形成した係合部を説明する図である。
【図4B】図4Bは、係合部を有するカゴ台車固定装置をレールに取り付ける状況を説明する図である。
【図5A】図5Aは、固定装置本体の基部を可変長する一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、固定装置本体の基部を可変長する方法を説明する図である。
【図6】図6は、基部が比較的長くなった場合、固定軸近くの基部裏面に、追加の係合部を形成する状況を説明する図である。
【図7】図7は、本実施形態に係るカゴ台車固定装置を使用して、コンテナのカゴ台車を固定した状況を説明する図である。
【図8】図8は、特許文献1の図4の写しである。なお、本出願書類の図面の参照符号との重複を避けるため、先行特許文献1の図4の参照符号に対して百の位に1を追加して、3桁の参照符号に変換していることに注意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して重複した説明を省略することを承知されたい。
【0024】
[コンテナ内のカゴ台車固定装置]
図3Aを参照願いたい。本実施形態に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置1は、カゴ台車を積載した後で装着することが出来、片手で操作可能であり、カゴ台車とコンテナ側壁間の狭い隙間にも使用可能な特徴を有している。具体的に説明する。
【0025】
(カゴ台車固定装置の構成)
図3Aは、このカゴ台車固定装置1の詳細を説明する図である。カゴ台車固定装置1は、ベルト38と、その一端に取り付けられた端末金具18(図示せず。図1の18l,18r参照)と、その他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体30とを備えている。ベルト38を除くこれらの要素は、例えば、スチール,ステンレス等のような堅牢な金属で形成されていることが好ましい。
【0026】
ベルト38は、典型的には、物流業界では広く使用されているラッシングベルトであり、ナイロン又はポリエステル製(例えば、ポリエステル強力糸製)の幅広のベルトである。しかし、ベルト38は、ラチェットバックルの引っ張り力に耐え得るベルトであれば、任意のベルトを使用することが出来る。
【0027】
端末金具18は、典型的には、図1及び2に示すような、ベルト38をコンテナ内のレール16に着脱自在に取り付ける端末金具(「ワンピース」ともいう。)であってよい。このような端末金具は、物流業界では広く使用されている。しかし、端末金具34は、コンテナの側壁に取り外し自在に取り付けられ、ラチェットバックルの引っ張り力に耐え得る取り付け部材であれば、任意のものであってよい。
【0028】
ラチェットバックル利用の固定装置本体30は、本発明者が考案したものである。この固定装置本体30は、一般に物流業界では広く使用されているラチェットバックルと比較して、長手方向に比較的長い基部30bを有する点に特徴がある。ただし、固定装置本体30は、予め比較的長い基部30bを備えるものでなくても、広く用いられているラチェットバックルの底面の板状の部分に、別途、ねじ、溶接、リベット等によって、比較的長い基部30bに相当するものを取り付けたものであってもよい。
【0029】
更に、図3Bに示すように、この固定装置本体30は、基部30bの裏面に、コンテナ内のレール16に着脱自在に取り付け可能な、1個又は複数個の係合部34を有する点に特徴がある。なお、図3Bでは、図を簡単にするため、ベルト38を省略していることに注意されたい。
【0030】
ラチェットバックルの部分は、典型的には一般に物流業界では広く使用されているラチェットバックルを利用して形成することが出来る。しかし、ラチェットバックルの部分は、ベルト38を段階的に引っ張り、各段階で停止し、任意の段階で係合を解いてベルト38を緩める機能を有する器具であれば、任意のベルト引っ張り器具を利用してもよい。
【0031】
ラチェットバックルの部分は、広く使用されているラチェットバックルと同様に、基部30bの長手方向の一方の近くに形成されたベルト巻取り軸30wと、基部30bの長手方向の一方の近くに形成されていてベルトが巻きつくように係合する固定軸30sと、ベルト巻取り軸(回転軸)30wを回転駆動させるハンドル30hと、周囲に歯が形成された2枚のラチェットホイール30gとを有している。
【0032】
ハンドル30hを回転軸30wの周りに時計方向に回動させたとき、ベルト巻取り軸30wは回転して、ベルト38を巻き込む。反対に、ハンドル30hを回転軸30wの周りに反時計方向に回動させたとき、空回りして、ベルト巻取り軸30wは回転しない。ハンドル30hを時計方向と反時計方向に回転する操作を続けることにより、ベルト38はベルト巻取り軸30wに徐々に巻き取られる。その際に、ベルト38は固定軸30sの表面を滑って移動する。一杯に張られたベルト38は、ラチェットホイール30gに係合する歯止め(図示せず。)を外すことにより、ベルト38に掛かった張力が無くなるまで、自然と巻き戻される。
【0033】
基部30bの部分は、広く使用されているラチェットバックルと比較して、長手方向に比較的長く形成されている。この長さは、輸送するかご形台車14のサイズによって適宜決定される。更に、予め、数種類の異なる長さの基部30bを持つ固定装置本体30を用意しておくことも出来る。更に、図5A〜5Bに関連して後で説明するように、基部30bの長さを可変長にすることも出来る。
【0034】
なお、固定軸30sを用いたが、それに代えて、ベルト38の動きと共に空転可能な円筒又は円柱を用いてもよく、それにより、ベルト38の巻取り又は取り外しの際に、ベルトは滑らかに移動できるようになる。
【0035】
係合部34の部分は、図4Aに示すように、典型的には、図1及び2に示した、物流業界では広く知られた端末金具18を利用して形成することが出来る。即ち、このような端末金具18を、基部30bの裏面の所定の位置に、例えばボルト締め、溶接等により固着して、接合部34として形成することが出来る。
【0036】
図4A及び4Bに示すように、固定装置本体30に固着された接合部34の上端部の凹部34cを、レール16の開口部16sの上端部にレバー34aを押し込みながら深く係合させ、下端部の凹部34dを開口部16sの下端部に係合させると、レバー34aの反発力により、固定装置本体30はレール16に確実に取り付けることが出来る。取り外す場合は、レバー34aの反発力に抗して押し込みながら上端部の係合を外し、その後、下端部の係合を外すことにより、固定装置本体30はレール16から取り外すことが出来る。
(カゴ台車固定装置の取り付け方法)
図2を参照すると、コンテナ10の容積を有効利用するため、コンテナの寸法や、カゴ台車14の寸法は、予め定められ、カゴ台車14のコンテナ内への搬入・搬出に支障がない範囲で無駄な空間を最小限にしている。例えば、カゴ台車14とコンテナ側壁10sとの左右方向の隙間はかなり狭い空間となっている。
【0037】
先ず、図7に示すように、カゴ台車14をコンテナ10に搬入した後、搬入したカゴ台車14の最後尾の位置より前方に位置するレール16lの部分に、端末金具18を取り付ける。カゴ台車14とコンテナ側壁10sとの間がかなり狭い空間であっても、端末金具18は非常に小さな金具であり、取り付けが可能である。
【0038】
次に、他方のレール16rに固定装置本体30を取り付ける。このとき、図3Aに示すように、固定装置本体30の基部30bの部分は、厚さは薄く、比較的長く形成されているので、基部30bの部分をこのカゴ台車14とコンテナ側壁10sとの狭い隙間の奥まで容易に差し込むことが出来る。更に、基部30bの裏面に、コンテナ内のレール16に着脱自在に取り付け可能な係合部34を有するので、固定装置本体30をレール16に容易に設置することが出来る。
【0039】
固定装置本体30を設置された固定装置本体30のハンドル30hを操作して、ベルト38が所望の張力になるまで、ベルト38をベルト巻取り軸30wに巻き込む。
【0040】
[カゴ台車固定装置の変形例]
図5A〜5Bは、固定装置本体30の基部を可変長にした一例を示す図である。図5Aに示すように、この基部は、外側の基部30b−1に対して、内側の基部30bが入れ子式構造となっている。内側の基部30bには、複数個の突起30btが等間隔(図5Aでは横2列で縦5個)で並んで形成されている。外側の基部30b−1には、これらの突起30btを通す複数個の開口30b−1sが形成されている。
【0041】
図5Bの(A)に示すように、所望の長さになるように、基部30bと基部30b−1との相対位置を大まかに定め、更に、その位置を、突起30btと開口30b−1sの位置が整合するように微調整する。次に、(B)に示すように、突起30bt部分が開口30b−1sに挿入されるように、基部30bと基部30b−1と合体させる。基部30bと基部30b−1とを長手方向に短くなるように押し付けると、突起30btの先端部の返りが基部30b−1に係合して、両方の基部は確実に合体する。
【0042】
図5Aに示すように、突起30btが等間隔で形成されていので、突起30btを通す開口30b−1sを長手方向に順次ずらすことにより、固定装置本体30の基部の長さを、段階的ではあるが可変長にすることが出来る。なお、基部は、更に、3つ以上の部材を使って入れ子式により形成してもよい。
【0043】
図6に示すように、基部30b,30b−1が比較的長くなった場合、固定軸30s近くの基部30b,30b−1の裏面に、追加の係合部34−1を形成してもよい。勿論、図3Aに示すような標準的な固定装置本体30においても、固定軸30s近くの基部30bの裏面に、追加の係合部34−1を形成してもよい。
【0044】
図7は、本実施形態に係るカゴ台車固定装置を使用して、コンテナ10のカゴ台車14を固定した図である。このカゴ台車固定装置1により、カゴ台車14は前方に向かって押し付けられ、振動が抑制される。図では、最後尾にあるカゴ台車14に対してのみカゴ台車固定装置を使用しているが、例えば、前方の3列のカゴ台車14を搬入した段階でこれらをカゴ台車固定装置で固定し、更に、4列のカゴ台車14を搬入した段階でこれらをカゴ台車固定装置で固定するように、複数個のカゴ台車固定装置を使用して多段階にわたってカゴ台車を固定してもよい。
【0045】
レール16は、各側壁10sに対して、一本でもよく、上下方向に間隔を空けて相互に平行に複数本のレール16を設置してもよい。更に、1本のレール16に対して、1個又は複数個のカゴ台車固定装置1を設置してもよい。
【0046】
[特許文献1との比較]
図8は、特許文献1の図4の写しである。なお、本出願書類の図面の参照符号との重複を避けるため、先行特許文献1の図4の参照符号に対して百の位に1を追加して、3桁の参照符号に変換していることに注意されたい。
【0047】
特許文献1の荷崩れ防止ベルトは、バックル102の固定軸には第2のベルト部104に繋がり、その先端に第2の係合体14が形成され、巻取り部(回転軸)には第1ベルト部103が繋がり、その中間部には第3の係合体105があり、更に、その先端には第1の係合体(図示せず。)が形成されている。バックル102は、2本のベルト(第2のベルト部104と第1ベルト部103)により支持されている状態にある。
【0048】
特許文献1の明細書の段落0022〜0023を参照すると、その使用方法は、(1)第2のベルト部104の先端の第2の係合体145をレール部材112に設置し、(2)第3の係合体105を第1ベルト部103の上で調整して、レール部材112に設置し、(3)荷物を積載し、(4)第1のベルト部103の先端の第1の係合体(図示せず。)を反対側のレール部材に設置し、(5)バックル102で第1のベルト部103を巻き上げる。
【0049】
本実施形態に係るカゴ台車固定装置は、固定装置本体30をレール16に固定し、1本のベルト38を巻き上げることによりカゴ台車14を固定する。その取り付け方法は、上述したように、カゴ台車14を搬入した後、固定装置本体の基部30bを隙間に差し込み、この状態で固定装置本体30をレール16に固定する。他方のレールに、ベルト38の先端のある端末金具18を取り付け、ベルト20を巻き上げる。固定装置本体30をレール16に固定し、固定された固定装置本体30のラチェットバックルの巻き上げは、片手で容易に操作可能である。
【0050】
[本実施形態の利点、長所]
(1)固定装置本体30は、レール16に固定されているので、作業員が片手で、ラチェットバックルを操作することが出来る。
【0051】
(2)固定装置本体30を、係合部34を利用してコンテナ内のレール16に取り付けることにより、容易に着脱自在に取り付けることが出来る。
【0052】
(3) コンテナ内に既にレール16が設置されているコンテナに対しては、カゴ台車固定装置1を用意するだけで、コンテナ輸送時のカゴ台車14の固定が出来る。
【0053】
[代替例、変形例、その他]
以上、本発明に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置の実施形態に関して説明したが、これらは例示であって、これに限定されない。当業者が容易になしえる本実施形態に対する削除・付加・変更・改良は、本発明の範囲内である。
【0054】
(1)本実施形態をトラック輸送のコンテナを例にとって説明した。しかし、輸送手段は、これに限定されない。本発明は、コンテナ郵送が可能な鉄道、航空機等の任意の輸送手段に適用される。
【0055】
(2) 本実施形態では積載物としてカゴ台車を例にとって説明した。しかし、積載物は、これに限定されない。本発明は、コンテナ輸送される任意の積載物に適用される。
【0056】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0057】
1:カゴ台車固定装置、 10:コンテナ、 12:後部扉、 14:カゴ台車、 14c:カゴ台車のキャスター、 10:コンテナ内の側壁、 10s:コンテナ内の側壁、 10sl:左側側壁、 10sr:右側側壁、 16:レール,トラックレール、 16l:左側側壁のレール、16r:右側側壁のレール、 18:端末金具,ワンピース、 18l:左側の端末金具、 18r:右側の端末金具、 20:ラッシングベルト、 20l:左側のラッシングベルト、 20r:右側のラッシングベルト、 22:ラチェットバックル、 30:固定装置本体、 38:ベルト、 30b:基部、 30b−1:基部、 30b−1s:開口、30g:ラチェットホイール、 30h:ハンドル、 30bt:突起、 30w:ベルト巻取り軸,回転軸、 30s:固定軸、 34:係合部、 34a:レバー、
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ内のカゴ台車固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日に於いて、物流輸送の多くは、トラックによるコンテナ輸送に委ねられている。コンテナは、一般に、鋼鉄・アルミニウム等で製造された、規格化された形状の箱であり、その中に積載物を積み込みトラック等で輸送を行う。コンテナの多くは、直方体の形状である。
【0003】
図1及び2は、トラックを利用したコンテナ輸送を説明する図であり、図1は、トラックのコンテナ10内を上方から見た図であり、図2は、図1の後部扉12を開けてコンテナ内をラックの進行方向後ろ側より覗いた図である。なお、本出願書類で、「方向」は、トラック等の輸送手段の進行方向を前方とし、左右の方向は進行方向に向かって左右を定め、上下の方向は路面方向を下方向とする。
【0004】
図1及び2に簡略化して示すように、トラックに積み込まれる積載物は、多くは、複数のカゴ台車14に収納されている。カゴ台車14は、正式には「ロールボックスパレット」と称するが、業界では、分かり易く「カゴ台車」と呼ばれることが多い。カゴ台車14の形状は、キャスター14cの付いた平荷台の四方を柵で囲んだ台車であり、一面が開放口、または開放扉となっている。カゴ台車14は、スーパーマーケットの物流ヤード、倉庫、物流センターなど配送関係で多く使用されている。カゴ台車を使うことにより、保管と運搬の役目を兼用することが出来るからである。カゴ台車14は、トラック後部の昇降機(図示せず。)を使ってコンテナ10の内部にそのまま積載することが出来る。
【0005】
トラック輸送では、コンテナ10内のカゴ台車14は常時振動に曝されている。更に、トラックの加速、減速、方向転換、路面の凹凸による上下動等により、カゴ台車14に対して前後・左右・上下方向に力がかかる。従って、カゴ台車14が、コンテナ内で移動しないように確実に固定しておく必要がある。従来、この固定方法は、コンテナ10の左右の側壁10sr,10slに設定されたレール(「トラックレール」とも言う。)16r,16lに、端末金具(「ワンピース」とも言う。)18r,18lを利用してラッシングベルト20r,20lを夫々取り付け、このラッシングベルトの他端をラチェットバックル22利用して締め付けることにより、行っている。これらレール16、端末金具18、ラッシングベルト20及びラチェットバックル22は、いずれも、物流業界では広く知られた器具、部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-128223「搬送コンテナ用荷崩れ防止ベルト」(公開日:2000/05/09) 特許文献1は、ベルト巻き取り部と、該ベルト巻き取り部に対して間隔をおいて設けられるベルト連結部とを有するバックルと、一端が該バックルのベルト巻き取り部に連結される第1のベルト部と、一端が該バックルのベルト連結部に連結される第2のベルト部と、該第1のベルト部の他端に連結され、搬送コンテナ内の一方の側面に配設されたレール部材に係合可能な第1の係合体と、該第2のベルト部の他端に連結され、搬送コンテナ内の他方の側面に配設されたレール部材に係合可能な第2の係合体と、前記第1のベルト部の中途に設けられ、搬送コンテナ内の他方の側面に配設されたレール部材に係合可能な第3の係合体と、を具備することを特徴とする搬送コンテナ用荷崩れ防止ベルトを開示する(請求項1参照)。
【0007】
特許文献1は、搬送コンテナ内においてバックルを配置するために必要とされていた荷物の前面におけるスペースを不要とし、搬送コンテナ内の荷物の積載スペースを大きくする。搬送コンテナ用荷崩れ防止ベルトは、第1のベルト部103の中途に、第1の係合体131が係合されるレール部材と対向するレール部材に係合される第3の係合体105を設けている。従って、バックル102を搬送コンテナの側面付近の作業スペースに位置させることができ、荷物の前面には、第1のベルト部103のベルト部分が位置しているだけであるため、搬送コンテナ内の積載スペースを従来よりも大きく確保することができる技術を開示する(要約参照)。
【0008】
特許文献1と本発明の相違は、後で、図8を参照しながら説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コンテナの容積を有効利用するため、コンテナ10の寸法や、カゴ台車14の寸法は予め定められており、カゴ台車14のコンテナ内への搬入・搬出に支障がない範囲で無駄な空間を最小限にしている。従って、カゴ台車14とコンテナ側壁10sとの左右方向の隙間はかなり狭い空間となっている。
【0010】
この狭い隙間を利用して、取扱いが容易で、効果的なコンテナ内のカゴ台車固定装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、新規なコンテナ内のカゴ台車固定装置を提供することを目的とする。
【0012】
上記目的に鑑みて、本発明に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置は、ベルトと、前記ベルトの一端に取り付けられた端末金具と、前記ベルトの他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体とを備え、前記ラチェットバックル利用の固定装置本体は、長手方向に比較的長い基部と、該基部の裏面に形成された係合部とを有し、前記比較的長い基部は、一端にある前記ベルトの巻取り手段と、他端にある前記ベルトとの係合手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記比較的長い基部の前記ベルトとの係合手段は、表面が滑らかな固定軸又は空転自在な円筒若しくは円柱を含んでもよい。
【0014】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記比較的長い基部は伸縮自在であってもよい。
【0015】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記長手方向に比較的長い基部は、入れ子式に接続された複数個の部材から形成されていてもよい。
【0016】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、前記コンテナ内の側壁に取り付けられたレールに対して、着脱自在である。
【0017】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、端末金属を前記基部の裏面に固着して形成されていてもよい。
【0018】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの巻取り軸の近くで、前記基部の裏面に形成されていてもよい。
【0019】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの固定軸の近くで、前記基部の裏面に追加的に形成されていてもよい。
【0020】
そのコンテナ内のカゴ台車固定装置において、前記ベルトは、ラッシングベルトであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、新規なコンテナ内のカゴ台車固定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、トラックを利用したコンテナ輸送を説明する図であり、トラックのコンテナ内を上方から見た図である。
【図2】図2は、トラックを利用したコンテナ輸送を説明する図であり、図1の後部扉を開けてコンテナ内をラックの進行方向後ろ側より覗いた図である。
【図3A】図3Aは、本発明に係るカゴ台車固定装置の詳細を説明する図である。
【図3B】図3Bは、固定装置本体の基部の裏面に形成された、コンテナ内のレールに着脱自在に取り付け可能な係合部を説明する図である。なお、図3Bでは、図を簡単にするため、ベルトを省略していることに注意されたい。
【図4A】図4Aは、端末金具を利用して形成した係合部を説明する図である。
【図4B】図4Bは、係合部を有するカゴ台車固定装置をレールに取り付ける状況を説明する図である。
【図5A】図5Aは、固定装置本体の基部を可変長する一例を示す図である。
【図5B】図5Bは、固定装置本体の基部を可変長する方法を説明する図である。
【図6】図6は、基部が比較的長くなった場合、固定軸近くの基部裏面に、追加の係合部を形成する状況を説明する図である。
【図7】図7は、本実施形態に係るカゴ台車固定装置を使用して、コンテナのカゴ台車を固定した状況を説明する図である。
【図8】図8は、特許文献1の図4の写しである。なお、本出願書類の図面の参照符号との重複を避けるため、先行特許文献1の図4の参照符号に対して百の位に1を追加して、3桁の参照符号に変換していることに注意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置の実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して重複した説明を省略することを承知されたい。
【0024】
[コンテナ内のカゴ台車固定装置]
図3Aを参照願いたい。本実施形態に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置1は、カゴ台車を積載した後で装着することが出来、片手で操作可能であり、カゴ台車とコンテナ側壁間の狭い隙間にも使用可能な特徴を有している。具体的に説明する。
【0025】
(カゴ台車固定装置の構成)
図3Aは、このカゴ台車固定装置1の詳細を説明する図である。カゴ台車固定装置1は、ベルト38と、その一端に取り付けられた端末金具18(図示せず。図1の18l,18r参照)と、その他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体30とを備えている。ベルト38を除くこれらの要素は、例えば、スチール,ステンレス等のような堅牢な金属で形成されていることが好ましい。
【0026】
ベルト38は、典型的には、物流業界では広く使用されているラッシングベルトであり、ナイロン又はポリエステル製(例えば、ポリエステル強力糸製)の幅広のベルトである。しかし、ベルト38は、ラチェットバックルの引っ張り力に耐え得るベルトであれば、任意のベルトを使用することが出来る。
【0027】
端末金具18は、典型的には、図1及び2に示すような、ベルト38をコンテナ内のレール16に着脱自在に取り付ける端末金具(「ワンピース」ともいう。)であってよい。このような端末金具は、物流業界では広く使用されている。しかし、端末金具34は、コンテナの側壁に取り外し自在に取り付けられ、ラチェットバックルの引っ張り力に耐え得る取り付け部材であれば、任意のものであってよい。
【0028】
ラチェットバックル利用の固定装置本体30は、本発明者が考案したものである。この固定装置本体30は、一般に物流業界では広く使用されているラチェットバックルと比較して、長手方向に比較的長い基部30bを有する点に特徴がある。ただし、固定装置本体30は、予め比較的長い基部30bを備えるものでなくても、広く用いられているラチェットバックルの底面の板状の部分に、別途、ねじ、溶接、リベット等によって、比較的長い基部30bに相当するものを取り付けたものであってもよい。
【0029】
更に、図3Bに示すように、この固定装置本体30は、基部30bの裏面に、コンテナ内のレール16に着脱自在に取り付け可能な、1個又は複数個の係合部34を有する点に特徴がある。なお、図3Bでは、図を簡単にするため、ベルト38を省略していることに注意されたい。
【0030】
ラチェットバックルの部分は、典型的には一般に物流業界では広く使用されているラチェットバックルを利用して形成することが出来る。しかし、ラチェットバックルの部分は、ベルト38を段階的に引っ張り、各段階で停止し、任意の段階で係合を解いてベルト38を緩める機能を有する器具であれば、任意のベルト引っ張り器具を利用してもよい。
【0031】
ラチェットバックルの部分は、広く使用されているラチェットバックルと同様に、基部30bの長手方向の一方の近くに形成されたベルト巻取り軸30wと、基部30bの長手方向の一方の近くに形成されていてベルトが巻きつくように係合する固定軸30sと、ベルト巻取り軸(回転軸)30wを回転駆動させるハンドル30hと、周囲に歯が形成された2枚のラチェットホイール30gとを有している。
【0032】
ハンドル30hを回転軸30wの周りに時計方向に回動させたとき、ベルト巻取り軸30wは回転して、ベルト38を巻き込む。反対に、ハンドル30hを回転軸30wの周りに反時計方向に回動させたとき、空回りして、ベルト巻取り軸30wは回転しない。ハンドル30hを時計方向と反時計方向に回転する操作を続けることにより、ベルト38はベルト巻取り軸30wに徐々に巻き取られる。その際に、ベルト38は固定軸30sの表面を滑って移動する。一杯に張られたベルト38は、ラチェットホイール30gに係合する歯止め(図示せず。)を外すことにより、ベルト38に掛かった張力が無くなるまで、自然と巻き戻される。
【0033】
基部30bの部分は、広く使用されているラチェットバックルと比較して、長手方向に比較的長く形成されている。この長さは、輸送するかご形台車14のサイズによって適宜決定される。更に、予め、数種類の異なる長さの基部30bを持つ固定装置本体30を用意しておくことも出来る。更に、図5A〜5Bに関連して後で説明するように、基部30bの長さを可変長にすることも出来る。
【0034】
なお、固定軸30sを用いたが、それに代えて、ベルト38の動きと共に空転可能な円筒又は円柱を用いてもよく、それにより、ベルト38の巻取り又は取り外しの際に、ベルトは滑らかに移動できるようになる。
【0035】
係合部34の部分は、図4Aに示すように、典型的には、図1及び2に示した、物流業界では広く知られた端末金具18を利用して形成することが出来る。即ち、このような端末金具18を、基部30bの裏面の所定の位置に、例えばボルト締め、溶接等により固着して、接合部34として形成することが出来る。
【0036】
図4A及び4Bに示すように、固定装置本体30に固着された接合部34の上端部の凹部34cを、レール16の開口部16sの上端部にレバー34aを押し込みながら深く係合させ、下端部の凹部34dを開口部16sの下端部に係合させると、レバー34aの反発力により、固定装置本体30はレール16に確実に取り付けることが出来る。取り外す場合は、レバー34aの反発力に抗して押し込みながら上端部の係合を外し、その後、下端部の係合を外すことにより、固定装置本体30はレール16から取り外すことが出来る。
(カゴ台車固定装置の取り付け方法)
図2を参照すると、コンテナ10の容積を有効利用するため、コンテナの寸法や、カゴ台車14の寸法は、予め定められ、カゴ台車14のコンテナ内への搬入・搬出に支障がない範囲で無駄な空間を最小限にしている。例えば、カゴ台車14とコンテナ側壁10sとの左右方向の隙間はかなり狭い空間となっている。
【0037】
先ず、図7に示すように、カゴ台車14をコンテナ10に搬入した後、搬入したカゴ台車14の最後尾の位置より前方に位置するレール16lの部分に、端末金具18を取り付ける。カゴ台車14とコンテナ側壁10sとの間がかなり狭い空間であっても、端末金具18は非常に小さな金具であり、取り付けが可能である。
【0038】
次に、他方のレール16rに固定装置本体30を取り付ける。このとき、図3Aに示すように、固定装置本体30の基部30bの部分は、厚さは薄く、比較的長く形成されているので、基部30bの部分をこのカゴ台車14とコンテナ側壁10sとの狭い隙間の奥まで容易に差し込むことが出来る。更に、基部30bの裏面に、コンテナ内のレール16に着脱自在に取り付け可能な係合部34を有するので、固定装置本体30をレール16に容易に設置することが出来る。
【0039】
固定装置本体30を設置された固定装置本体30のハンドル30hを操作して、ベルト38が所望の張力になるまで、ベルト38をベルト巻取り軸30wに巻き込む。
【0040】
[カゴ台車固定装置の変形例]
図5A〜5Bは、固定装置本体30の基部を可変長にした一例を示す図である。図5Aに示すように、この基部は、外側の基部30b−1に対して、内側の基部30bが入れ子式構造となっている。内側の基部30bには、複数個の突起30btが等間隔(図5Aでは横2列で縦5個)で並んで形成されている。外側の基部30b−1には、これらの突起30btを通す複数個の開口30b−1sが形成されている。
【0041】
図5Bの(A)に示すように、所望の長さになるように、基部30bと基部30b−1との相対位置を大まかに定め、更に、その位置を、突起30btと開口30b−1sの位置が整合するように微調整する。次に、(B)に示すように、突起30bt部分が開口30b−1sに挿入されるように、基部30bと基部30b−1と合体させる。基部30bと基部30b−1とを長手方向に短くなるように押し付けると、突起30btの先端部の返りが基部30b−1に係合して、両方の基部は確実に合体する。
【0042】
図5Aに示すように、突起30btが等間隔で形成されていので、突起30btを通す開口30b−1sを長手方向に順次ずらすことにより、固定装置本体30の基部の長さを、段階的ではあるが可変長にすることが出来る。なお、基部は、更に、3つ以上の部材を使って入れ子式により形成してもよい。
【0043】
図6に示すように、基部30b,30b−1が比較的長くなった場合、固定軸30s近くの基部30b,30b−1の裏面に、追加の係合部34−1を形成してもよい。勿論、図3Aに示すような標準的な固定装置本体30においても、固定軸30s近くの基部30bの裏面に、追加の係合部34−1を形成してもよい。
【0044】
図7は、本実施形態に係るカゴ台車固定装置を使用して、コンテナ10のカゴ台車14を固定した図である。このカゴ台車固定装置1により、カゴ台車14は前方に向かって押し付けられ、振動が抑制される。図では、最後尾にあるカゴ台車14に対してのみカゴ台車固定装置を使用しているが、例えば、前方の3列のカゴ台車14を搬入した段階でこれらをカゴ台車固定装置で固定し、更に、4列のカゴ台車14を搬入した段階でこれらをカゴ台車固定装置で固定するように、複数個のカゴ台車固定装置を使用して多段階にわたってカゴ台車を固定してもよい。
【0045】
レール16は、各側壁10sに対して、一本でもよく、上下方向に間隔を空けて相互に平行に複数本のレール16を設置してもよい。更に、1本のレール16に対して、1個又は複数個のカゴ台車固定装置1を設置してもよい。
【0046】
[特許文献1との比較]
図8は、特許文献1の図4の写しである。なお、本出願書類の図面の参照符号との重複を避けるため、先行特許文献1の図4の参照符号に対して百の位に1を追加して、3桁の参照符号に変換していることに注意されたい。
【0047】
特許文献1の荷崩れ防止ベルトは、バックル102の固定軸には第2のベルト部104に繋がり、その先端に第2の係合体14が形成され、巻取り部(回転軸)には第1ベルト部103が繋がり、その中間部には第3の係合体105があり、更に、その先端には第1の係合体(図示せず。)が形成されている。バックル102は、2本のベルト(第2のベルト部104と第1ベルト部103)により支持されている状態にある。
【0048】
特許文献1の明細書の段落0022〜0023を参照すると、その使用方法は、(1)第2のベルト部104の先端の第2の係合体145をレール部材112に設置し、(2)第3の係合体105を第1ベルト部103の上で調整して、レール部材112に設置し、(3)荷物を積載し、(4)第1のベルト部103の先端の第1の係合体(図示せず。)を反対側のレール部材に設置し、(5)バックル102で第1のベルト部103を巻き上げる。
【0049】
本実施形態に係るカゴ台車固定装置は、固定装置本体30をレール16に固定し、1本のベルト38を巻き上げることによりカゴ台車14を固定する。その取り付け方法は、上述したように、カゴ台車14を搬入した後、固定装置本体の基部30bを隙間に差し込み、この状態で固定装置本体30をレール16に固定する。他方のレールに、ベルト38の先端のある端末金具18を取り付け、ベルト20を巻き上げる。固定装置本体30をレール16に固定し、固定された固定装置本体30のラチェットバックルの巻き上げは、片手で容易に操作可能である。
【0050】
[本実施形態の利点、長所]
(1)固定装置本体30は、レール16に固定されているので、作業員が片手で、ラチェットバックルを操作することが出来る。
【0051】
(2)固定装置本体30を、係合部34を利用してコンテナ内のレール16に取り付けることにより、容易に着脱自在に取り付けることが出来る。
【0052】
(3) コンテナ内に既にレール16が設置されているコンテナに対しては、カゴ台車固定装置1を用意するだけで、コンテナ輸送時のカゴ台車14の固定が出来る。
【0053】
[代替例、変形例、その他]
以上、本発明に係るコンテナ内のカゴ台車固定装置の実施形態に関して説明したが、これらは例示であって、これに限定されない。当業者が容易になしえる本実施形態に対する削除・付加・変更・改良は、本発明の範囲内である。
【0054】
(1)本実施形態をトラック輸送のコンテナを例にとって説明した。しかし、輸送手段は、これに限定されない。本発明は、コンテナ郵送が可能な鉄道、航空機等の任意の輸送手段に適用される。
【0055】
(2) 本実施形態では積載物としてカゴ台車を例にとって説明した。しかし、積載物は、これに限定されない。本発明は、コンテナ輸送される任意の積載物に適用される。
【0056】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0057】
1:カゴ台車固定装置、 10:コンテナ、 12:後部扉、 14:カゴ台車、 14c:カゴ台車のキャスター、 10:コンテナ内の側壁、 10s:コンテナ内の側壁、 10sl:左側側壁、 10sr:右側側壁、 16:レール,トラックレール、 16l:左側側壁のレール、16r:右側側壁のレール、 18:端末金具,ワンピース、 18l:左側の端末金具、 18r:右側の端末金具、 20:ラッシングベルト、 20l:左側のラッシングベルト、 20r:右側のラッシングベルト、 22:ラチェットバックル、 30:固定装置本体、 38:ベルト、 30b:基部、 30b−1:基部、 30b−1s:開口、30g:ラチェットホイール、 30h:ハンドル、 30bt:突起、 30w:ベルト巻取り軸,回転軸、 30s:固定軸、 34:係合部、 34a:レバー、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトと、
前記ベルトの一端に取り付けられた端末金具と、
前記ベルトの他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体とを備え、
前記ラチェットバックル利用の固定装置本体は、長手方向に比較的長い基部と、該基部の裏面に形成された係合部とを有し、
前記比較的長い基部は、一端にある前記ベルトの巻取り手段と、他端にある前記ベルトとの係合手段とを備える、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記比較的長い基部の前記ベルトとの係合手段は、表面が滑らかな固定軸又は空転自在な円筒若しくは円柱を含む、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項3】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記比較的長い基部は伸縮自在である、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記長手方向に比較的長い基部は、入れ子式に接続された複数個の部材から形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項5】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、前記コンテナ内の側壁に取り付けられたレールに対して、着脱自在である、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項6】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、端末金属を前記基部の裏面に固着して形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項7】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの巻取り軸の近くで、前記基部の裏面に形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項8】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの固定軸の近くで、前記基部の裏面に追加的に形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項9】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記ベルトは、ラッシングベルトである、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項1】
ベルトと、
前記ベルトの一端に取り付けられた端末金具と、
前記ベルトの他端に取り付けられたラチェットバックル利用の固定装置本体とを備え、
前記ラチェットバックル利用の固定装置本体は、長手方向に比較的長い基部と、該基部の裏面に形成された係合部とを有し、
前記比較的長い基部は、一端にある前記ベルトの巻取り手段と、他端にある前記ベルトとの係合手段とを備える、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記比較的長い基部の前記ベルトとの係合手段は、表面が滑らかな固定軸又は空転自在な円筒若しくは円柱を含む、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項3】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記比較的長い基部は伸縮自在である、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項4】
請求項3に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記長手方向に比較的長い基部は、入れ子式に接続された複数個の部材から形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項5】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、前記コンテナ内の側壁に取り付けられたレールに対して、着脱自在である、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項6】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、端末金属を前記基部の裏面に固着して形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項7】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの巻取り軸の近くで、前記基部の裏面に形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項8】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記基部の裏面に形成された係合部は、前記ラチェットバックルの固定軸の近くで、前記基部の裏面に追加的に形成されている、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【請求項9】
請求項1に記載のコンテナ内のカゴ台車固定装置において、
前記ベルトは、ラッシングベルトである、コンテナ内のカゴ台車固定装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−246161(P2011−246161A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121222(P2010−121222)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(593172544)株式会社ティーディーエスコーポレーション (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(593172544)株式会社ティーディーエスコーポレーション (13)
【Fターム(参考)】
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