説明

コンテナ床構造

【課題】床面が完全に平坦なコンテナを、荷物固定用金具を床面に備える一般貨物用コンテナに転用する際の、改造を容易とする。
【解決手段】荷物固定用金具16が、外周フレーム10の上面に直接載置される下床板14の上面と同一高さの壁18及び蓋20によって、覆い隠されている。又、下床板14及び蓋20の各上面が、上床板22によって連続的に覆われ、外周フレーム10の上面と上床板22の上面とが同一高さとなっていることで、突起物が無く完全に平坦な床面が構成される。一方、一般貨物用コンテナに転用する際には、図3に示されるように、上床板22及びクッション材24の、壁18及び蓋20を覆っている部分のみを切り欠き、蓋20を取り外すことで、床板枠12の内側面に隣接して外周フレーム上面に取付けられた荷物固定用金具16を、露出させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般雑貨用コンテナ(汎用コンテナ)には、従来から、積み込まれた荷物を安定保持するための荷物固定用金具が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。一般には、積み込まれた荷物にベルト(ラッシングベルト)を掛け回し、かつ、ベルト両端に設けたフックを、荷台の床面に設けられた荷物固定用金具(ラッシングリング)に引っ掛け、ベルトの中間部をバックルで巻き上げることにより、ベルトを荷物に押付けて、荷物の固定を行うことが多い(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】実開昭51−146133号公報(第1頁、第3図〜第5図)
【特許文献2】特開2000−95268号公報(〔0002〕〜〔0004〕、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロール紙等、荷台の床面に僅かな凹凸がある場合であっても汚れや傷が付き易い荷物を運ぶ場合には、荷台の床面に設けられたラッシングリングさえも好ましくない。そこで、従来から、ロール紙等汚れや傷に弱い荷物を搬送するために、床面にラッシングリング等の突起物が無く、床面が完全に平坦な専用コンテナが用いられている。そして、かかる専用コンテナも、一定期間の使用の後には床面に傷や汚れが付着し、ロール紙等の搬送には不適となることから、その時点で、床面に荷物固定用金具を取付ける改造が施され、一般貨物用コンテナに転用されていた。
本発明は、このような事情に鑑み、床面が完全に平坦であり、ロール紙等汚れや傷に弱い荷物を搬送するための専用コンテナの床構造を提供するものである。又、かかる専用コンテナを、荷物固定用金具を床面に備える一般貨物用コンテナに転用する際の、改造が容易な床構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明に係るコンテナ床構造は、コンテナの床板を支える外周フレーム上面に、床板の位置決めを行うための床板枠が、前記外周フレーム上面に直接載置される下床板の厚みよりも高く設けられ、該床板枠の内側面に隣接して、前記外周フレーム上面に、前記下床板の厚みよりも格納状態の高さが低く抑えられた荷物固定用金具が取付けられ、前記下床板及び前記荷物固定用金具の各上面が、上床板によって連続的に覆われ、前記外周フレーム上面と前記上床板上面とが同一高さとなっていることを特徴とするものである。
【0006】
本発明によれば、下床板及び荷物固定用金具の各上面が、上床板によって連続的に覆われ、前記外周フレーム上面と前記上床板上面とが同一高さとなっていることで、突起物が無く完全に平坦な床面が構成される。
そして、一般貨物用コンテナに転用する際には、上床板の、カバーを覆っている部分のみを切り欠き、カバーを取り外すことで、床板枠の内側面に隣接して外周フレーム上面に取付けられた荷物固定用金具を、露出させることが可能となる。
【0007】
又、本発明において、前記上床板には、前記荷物固定用金具の位置表示としての凹凸又はペイントマークが一切設けられていないものである。
一般貨物用コンテナに転用するために、上床板の、カバーを覆っている部分のみを切り欠く際に、荷物固定用金具の位置表示としての凹凸又はペイントマークが予め設けられていれば、除去部分の特定が容易となるが、ロール紙等汚れや傷に弱い荷物にとって、床板に凹凸やペイントマークが施されていること自体、好ましくない。そこで、本発明では、上床板に荷物固定用金具の位置表示としての凹凸又はペイントマークを一切設けないこととした。なお、除去部分の特定は、例えば、コンテナ妻面から荷物固定用金具までの距離に相当する長さの治具を予め用意し、この治具を上床板に当てることで、正確に行うことができる。
【0008】
又、本発明において、前記上床板の厚みは、前記下床板の厚みよりも薄いことが望ましい。この構成により、一般貨物用コンテナに転用するために、上床板の、カバーを覆っている部分のみを切り欠く際の作業が容易となる。
【0009】
又、本発明において、前記下床板の上面と同一高さのカバーによって前記荷物固定用金具が覆われ、前記下床板には前記カバーとの干渉を防ぐための切欠きが設けられていることが望ましい。
本発明によれば、外周フレーム上面の、床板枠の内側近傍に取付けられた荷物固定用金具が、外周フレーム上面に直接載置される下床板の上面と同一高さのカバーによって覆い隠され、下床板にはカバーとの干渉を防ぐための切欠きが設けられていることから、下床板及びカバーの各上面は平坦となっている。そして、上床板は、下床板及びカバーによって下支えされており、荷重を受けてもたわみを生ずることの無い、完全に平坦な床面が構成される
【0010】
又、本発明においては、前記カバーは、前記外周フレーム上面に固定され前記荷物固定金具の周囲を取り囲む壁と、該壁に対し着脱自在な蓋とからなることが望ましい。
本発明によれば、コンテナの組立工程において、外周フレーム上面に下床板を載置する際に、外周フレーム上面に固定された壁に切欠きを一致させることで、下床板の位置決めを簡単かつ確実に行うことが可能となる。又、一般貨物用コンテナに転用する際には、上床板の、カバーを覆っている部分のみを切り欠いた後、外周フレーム上面に固定され荷物固定金具の周囲を取り囲む壁から蓋を取り外すことで、床板枠の内側面に隣接して外周フレーム上面に取付けられた荷物固定用金具を、露出させることが可能となる。
【0011】
又、本発明においては、前記上床板と前記下床板との間にクッション材が設けられていることが望ましい。
本発明によれば、クッション材によって搬送時の振動が吸収され、上床板に載置された荷物へと伝達される振動を低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明はこのように構成したので、床面が完全に平坦であり、ロール紙等汚れや傷に弱い荷物を搬送するための専用コンテナの床構造を提供することができる。又、かかる専用コンテナを、荷物固定用金具を床面に備える一般貨物用コンテナに転用する際の、改造が容易な床構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係るコンテナ床構造は、図1、図2に示されるように、床板を支える鋼製の外周フレーム10の上面に、床板の位置決めを行うための鋼製の床板枠12が、外周フレーム10の上面に直接載置されるアピトン合板からなる下床板14の厚みよりも、高く設けられている。又、床板枠14の内側面(コンテナの幅方向内側面)に隣接して、外周フレーム10の上面に、下床板14の厚みよりも格納状態の高さが低く抑えられた荷物固定用金具(ラッシングリング)16が取付けられている(図4参照)。荷物固定用金具は、ブラケット16aによって、外周フレーム10に対し回動自在に取付けられている。
【0014】
更に、下床板14の上面と同一高さのカバーによって、荷物固定用金具16が覆われている。カバーは、ラッシングリング16の周囲を取り囲むように、下床板14の上面と同一高さで設けられた鋼製の壁18(図4参照)と、壁18の内側に嵌め込まれた鋼製の蓋20とからなるものである。なお、下床板14には壁18との干渉を防ぐための切欠き14aが設けられている。そして、下床板14及びカバーの各上面が、アピトン合板からなり、下床板14よりも薄い上床板22によって連続的に覆われ、外周フレーム12の上面と上床板22の上面とが同一高さとなっている。更に、上床板22と下床板14との間には、シート状のクッション材24が設けられている。なお、上床板22には、荷物固定用金具の位置表示としての凹凸又はペイントマークは、一切設けられていない。
【0015】
上記構成を有する本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能となる。まず、下床板14及び蓋20の各上面が、上床板22によって連続的に覆われ、外周フレーム10の上面と上床板22の上面とが同一高さとなっていることで、突起物が無く完全に平坦な床面が構成される。又、外周フレーム10の上面の、床板枠12の内側近傍に取付けられた荷物固定用金具16が、外周フレーム10の上面に直接載置される下床板14の上面と同一高さのカバー(壁18及び蓋20)によって覆い隠され、下床板14には壁18との干渉を防ぐための切欠き14aが設けられていることから、下床板14及び蓋20の各上面は平坦となっている。そして、上床板22は、下床板14と、壁18及び蓋20とによって下支えされており、荷重を受けてもたわみを生ずることは無い。よって、床面が完全に平坦であり、ロール紙等汚れや傷に弱い荷物を搬送するに適したコンテナ床構造となっている。
【0016】
又、上床板22と下床板14との間に設けられたクッション材24によって、搬送時の振動が吸収され、上床板22に載置された荷物へと伝達される振動を低減することができるので、ロール紙等汚れや傷に弱い荷物の搬送に適した床構造となっている。
【0017】
一方、一般貨物用コンテナに転用する際には、図3に示されるように、上床板22及びクッション材24の、壁18及び蓋20を覆っている部分のみを切り欠き、蓋20を取り外すことで、床板枠12の内側面に隣接して外周フレーム上面に取付けられた荷物固定用金具16を、露出させることが可能となる。
【0018】
ところで、上床板22の、壁18及び蓋20を覆っている部分のみを切り欠く際に、荷物固定用金具の位置表示としての凹凸又はペイントマークが、予め、上床板22設けられていれば、除去部分の特定が容易となる。しかしながら、ロール紙等汚れや傷に弱い荷物にとって、上床板22に凹凸やペイントマークが施されていること自体、好ましくない。そこで、上床板22に荷物固定用金具の位置表示としての凹凸又はペイントマークを一切設けないこととした。なお、除去部分の特定は、例えば、コンテナ妻面から荷物固定用金具までの距離に相当する長さの治具を予め用意し、この治具を上床板22に当てることで、正確に行うことができる。
しかも、上床板22の厚みは、下床板14の厚みよりも薄いことから、上床板22の、カバーを覆っている部分のみを切り欠く際の作業が容易となる。
【0019】
又、外周フレーム10の上面に固定され荷物固定金具16の周囲を取り囲む壁18と、壁に対し着脱自在な蓋20とによってカバーが構成されていることから、コンテナの組立工程において、外周フレーム10の上面に下床板14を載置する際に、外周フレーム10の上面に固定された壁18に、下床板14の切欠き14aを一致させることで、外周フレーム10に対する下床板14の位置決めを簡単かつ確実に行うことが可能となる。又、このコンテナを一般貨物用コンテナに転用する際には、上床板22の、壁18及び蓋20を覆っている部分のみを切り欠いた後、壁18の内部に嵌め込まれた蓋20を取り外すことで、荷物固定用金具16を露出させることが可能となる。
【0020】
なお、蓋20に壁18が一体に固定されたカバーを用い、一般貨物用コンテナに転用する際には、蓋20と壁18とを取り外すこととしても良い。又、外周フレーム10の上面の、荷物固定用金具16の周辺部(下床板14の切欠き14aが形成された部分)に、上床板22に加わる荷重を下支えするための支持部材を固定することとすれば、カバーは不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテナ床構造の平面図である。
【図2】(a)は、図1の符号Aの部分の拡大図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のC−C断面図である。
【図3】専用コンテナから一般貨物用コンテナへと転用された状態を示しており、(a)は、図1の符号Aに相当する部分の拡大図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は(a)のC−C断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るコンテナ床構造の、外周フレームとその上面に取付けられた荷物固定用金具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
10:外周フレーム、12:床板枠、14:下床板、16:荷物固定金具、18:壁、 20:蓋、22:上床板、24:クッション材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床板を支える外周フレーム上面に、床板の位置決めを行うための床板枠が、前記外周フレーム上面に直接載置される下床板の厚みよりも高く設けられ、該床板枠の内側面に隣接して、前記外周フレーム上面に、前記下床板の厚みよりも格納状態の高さが低く抑えられた荷物固定用金具が取付けられ、前記下床板及び前記荷物固定用金具の各上面が、上床板によって連続的に覆われ、前記外周フレーム上面と前記上床板上面とが同一高さとなっていることを特徴とするコンテナ床構造。
【請求項2】
前記上床板には、前記荷物固定用金具の位置表示としての凹凸又はペイントマークが一切設けられていないことを特徴とする請求項1記載のコンテナ床構造。
【請求項3】
前記上床板の厚みは、前記下床板の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1又は2記載のコンテナ床構造。
【請求項4】
前記下床板の上面と同一高さのカバーによって前記荷物固定用金具が覆われ、前記下床板には前記カバーとの干渉を防ぐための切欠きが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のコンテナ床構造。
【請求項5】
前記カバーは、前記外周フレーム上面に固定され前記荷物固定金具の周囲を取り囲む壁と、該壁に対し着脱自在な蓋とからなることを特徴とする請求項4記載のコンテナ床構造。
【請求項6】
前記上床板と前記下床板との間にクッション材が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のコンテナ床構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−308186(P2007−308186A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141346(P2006−141346)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】