説明

コンテナ積載用セミトレーラ

【課題】標準コンテナと長寸コンテナとのいずれをも積載することができる兼用タイプのコンテナ積載用セミトレーラにおける運搬効率を高めることにある。
【解決手段】標準コンテナ10の長さに対応した荷台長さL1の荷台15と走行車輪17とを有するトレーラ本体12の先端部に標準コンテナ10を締結する後退位置と前方迫り出し長さMを突出させて長寸コンテナ11を締結する迫り出し位置との間を進退移動自在な前側締結フレーム20を設け、後端部に標準コンテナ10を締結する後退位置と後方迫り出し長さMを突出させて長寸コンテナ11を締結する迫り出し位置との間を進退移動自在な後側締結フレーム24を設ける。それぞれの迫り出し長さMは両方のコンテナの長さの差の2分の1で均等になっており、トレーラ本体12に標準コンテナ10と長寸コンテナ11とのいずれを積載する場合も、それぞれの長手方向中心と荷台中心とが一致する状態で積載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は標準コンテナと長寸コンテナとのいずれをも積載可能な兼用タイプのコンテナ積載用セミトレーラに関する。
【背景技術】
【0002】
牽引車であるトラクタと被牽引車であるトレーラとを有する連結車両には、牽引車と被牽引車とに荷台が設けられたフルトレーラと、荷台が被牽引車のみに設けられたセミトレーラとがある。セミトレーラには駆動車輪が設けられておらず、追従走行する走行車輪が後端部に配置されており、セミトレーラはその前端部に設けられたキングピンとトラクタのカプラとを連結することによりトラクタに牽引されて走行する。
【0003】
セミトレーラに積載されるコンテナは、長さ寸法20フィートの小型コンテナと長さ寸法40フィートの大型コンテナとが主流となっており、これらのコンテナはそれぞれの長手方向が走行方向となるようにしてセミトレーラに積載される。セミトレーラには小型コンテナ専用タイプと、大型コンテナ専用タイプと、両方のコンテナいずれをも積載し得る兼用タイプとがあり、この兼用タイプのセミトレーラとしては、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
このセミトレーラにおいては、トレーラ本体の後端部に後方フレームが摺動自在に設けられ、小型コンテナが積載されるときには後方フレームはトレーラ本体内に収納され、大型コンテナが積載されるときには後方フレームはトレーラ本体から後方に迫り出されるようになっている。
【特許文献1】特開2007−99227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トレーラによる荷物の輸送効率を向上させるために、近年では、上述した標準のコンテナに加えて、長さ45フィートの長寸コンテナが用いられるようになっている。長寸コンテナを運搬するために、40フィートの標準コンテナを搭載するトレーラ本体の後端部に上述した後方フレームを摺動自在に装着したタイプのセミトレーラが使用されている。このタイプのセミトレーラにおいては、40フィートの標準コンテナが積載される際には後方フレームはトレーラ本体内に収納され、長寸コンテナが積載される際には後方に迫り出されることになる。一方、トレーラ本体の前端部に前方フレームを摺動自在に装着し、長寸コンテナが積載される際には前方フレームをトラクタに向けて迫り出すようにしたセミトレーラも開発されている。
【0006】
このような大型のコンテナが積載されるセミトレーラは、小型コンテナ専用タイプに比して積載重量が大きいので、路面保護のために各走行車輪に過大な軸重が加わらないように、通常では走行車軸が3本設けられた3軸タイプとなっている。しかしながら、3軸タイプのセミトレーラに後方フレームを設けてこれを迫り出させて長寸コンテナを積載すると、各走行車軸には上限値を超える軸重が加わることになるので、長寸コンテナに搭載される荷物の量を最大搭載量よりも少なくする必要があり、荷物の運搬効率を高めることができない。このことは、前方フレームを迫り出すようにした場合にも同様にトラクタ側の車軸には過度の軸重が加わるという問題がある。
【0007】
走行車軸の数を増加した4軸タイプのセミトレーラを使用すれば、後方フレームを迫り出させるようにしても、各走行軸に加わる軸重を減少させることができるので、長寸コンテナに搭載される荷物の量を増加させることができるが、40フィートの標準コンテナを運搬するには不要な軸数となってしまい運搬効率が悪くなる。
【0008】
本発明の目的は、標準コンテナと長寸コンテナとのいずれをも積載することができる兼用タイプのコンテナ積載用セミトレーラにおける運搬効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、走行車輪が設けられたトレーラ本体を有し、前記トレーラ本体の長さに対応する長さの標準コンテナと当該標準コンテナよりも長い長寸コンテナとのいずれをもトラクタに牽引されて運搬するコンテナ積載用セミトレーラであって、それぞれの前記コンテナの先端部を締結する前側締結具を有し、前記標準コンテナを締結する後退位置と、両方の前記コンテナの長さの差の2分の1に相当する前方迫り出し長さを前記トレーラ本体の先端から突出させて前記長寸コンテナを締結する迫り出し位置との間を進退移動自在に前記トレーラ本体の先端部に設けられる前側締結フレームと、それぞれの前記コンテナの後端部を締結する後側締結具を有し、前記標準コンテナを締結する後退位置と、前記前方迫り出し長さと均等な後方迫り出し長さを前記トレーラ本体の後端から突出させて前記長寸コンテナを締結する迫り出し位置との間を進退移動自在に前記トレーラ本体の後端部に設けられる後側締結フレームとを有し、前記標準コンテナと前記長寸コンテナとのいずれも、それぞれの長手方向中心を前記トレーラ本体の荷台中心に設定した状態で積載し得ることを特徴とする。
【0010】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、前記前側締結フレームに前記後退位置と前記迫り出し位置とに対応する前側貫通孔を形成し、前記前側貫通孔に貫通して前記前側締結フレームを前記後退位置と前記迫り出し位置とに固定する固定ピンを前記トレーラ本体の前端部に設け、前記後側締結フレームに前記後退位置と前記迫り出し位置とに対応する後側貫通孔を形成し、前記後側貫通孔に貫通して前記後側締結フレームを前記後退位置と前記迫り出し位置とに固定する固定ピンを前記トレーラ本体の後端部に設けることを特徴とする。
【0011】
本発明のコンテナ積載用セミトレーラは、前記固定ピンは前記トレーラ本体に取り付けられた受け筒に摺動自在に挿入されて前記フレームを固定する固定位置と前記受け筒から突出し固定解除する開放位置との間を進退移動自在であり、複数の前記固定ピンに連結された回動部材を前記複数の固定ピン相互間に配置し、前記回動部材を回動操作すると前記複数の固定ピンは同時に開放位置に移動され、前記回動部材の回動操作を停止すると前記複数の固定ピンは同時に固定位置に移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トレーラ本体の前端部に前方に向けて突出する前側締結フレームを設けるとともにトレーラ本体の後端部に後方に向けて突出する後側締結フレームを設け、長寸コンテナが積載されるときには、両方の締結フレームを相互に均等な長さだけ迫り出すようにしたので、長寸コンテナの長手方向中心をトレーラ本体の荷台中心に設定することができ、長寸コンテナに最大搭載重量の荷物を搭載しても、走行車輪を有する走行車軸の軸重が上限値を越えることがない。これにより、セミトレーラによる運搬効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるコンテナ積載用セミトレーラの側面図であり、図2は図1の平面図である。
【0014】
このコンテナ積載用セミトレーラは、長さ寸法40フィートの標準コンテナ10と長さ寸法45フィートの長寸コンテナ11とのいずれでも積載できる兼用タイプとなっており、トラクタに牽引されてコンテナを運搬する。これらのコンテナ10,11が積載されるトレーラ本体12は、図1および図2に示すように、走行方向に延びる複数の縦梁材13とこの縦梁材13を相互に連結し横方向に延びる複数の横梁材14とを有しており、縦梁材13の前端部は上方に迫り上がるグースネック部13aを形成している。トレーラ本体12には標準コンテナ10の長さL1に対応した荷台長さL1の荷台15が設けられており、図1に二点鎖線で示すように、トレーラ本体12の前端から後端にかけて荷台15上に標準コンテナ10が積載される。
【0015】
トレーラ本体12の前端部には牽引車であるトラクタと連結するためのキングピン16が備えられ、トラクタの後端部に設けられたカプラ(図示省略)とトレーラのキングピン16とが連結されて、トレーラはトラクタに牽引される。トレーラには走行するための駆動車輪が設けられておらず、それぞれ左右両側に走行車輪17が設けられた3本の走行車軸がトレーラ本体12の後端部に設けられており、トラクタに牽引されて走行車輪17により追従走行をする。トレーラがトラクタと連結されていないときにトレーラ本体12の前端部を支持するために、トレーラ本体12には上下方向に進退移動自在にランディングギヤつまり支持脚18が設けられている。
【0016】
積載されるコンテナ10,11はそれぞれ直方体形状をしており、その長辺がトレーラの走行方向に平行となる状態でトレーラ本体12に積載される。コンテナ10,11の前端部の下面にはトンネル凹部が形成されており、コンテナ10,11はグースネック部13aがトンネル凹部に入り込んだ状態で積載される。コンテナ10,11の先端側角部には前方に開口する前側係合孔が形成されており、後端側角部には下方に開口する後側係合孔が形成されている。
【0017】
トレーラ本体12の先端部には前側締結フレーム20が設けられており、この前側締結フレーム20は、図1に示すように、長さL1の標準コンテナ10を締結する後退位置と、長さL2の長寸コンテナ11を締結する迫り出し位置との間を進退移動自在となっている。前方迫り出し長さMは、標準コンテナ10の長さL1と長寸コンテナ11の長さL2の差の2分の1に相当する長さとなっている。前側締結フレーム20は、縦梁材13に摺動自在に装着される相互に平行となった2つの摺動ロッド21と、それぞれの摺動ロッド21の先端に取り付けられた前側横棒材22とを有している。前側横棒材22の両端部にはコンテナ10,11の前側係合孔に係合する着脱式の前側締結具23が設けられており、前側締結具23を前側横棒材22の両端部から後方に突出させてコンテナ10,11の先端部を締結する。
【0018】
一方、トレーラ本体12の前端部と同様に、後端部には後側締結フレーム24が設けられており、この後側締結フレーム24は、図1に示すように、標準コンテナ10を締結する後退位置と、長寸コンテナ11を締結する迫り出し位置との間を進退移動自在となっている。後方迫り出し長さMは、前側締結フレーム22と均等となっており、標準コンテナ10の長さL1と長寸コンテナ11の長さL2の差の2分の1に相当する長さとなっている。後側締結フレーム24は、前側締結フレーム20と同様に、縦梁材13に摺動自在に装着される相互に平行となった2つの摺動ロッド25と、それぞれの摺動ロッド25の先端に取り付けられた後側横棒材26とを有している。後側横棒材26の両端部にはコンテナ10,11の後側係合孔に係合する後側締結具27が上方に突出して設けられており、後側締結具27を後側横棒材26の両端部からコンテナの後側係合孔に係合した状態で、先端に設けられた係合頭部を係合孔内で回動させることによりコンテナ10,11の後端部が締結される。
【0019】
このように、図1に示すこのトレーラは、前側締結フレーム20および後側締結フレーム24を後退位置に移動させることで長さL1の標準コンテナ10を締結して運搬し、前側締結フレーム20および後側締結フレーム24を迫り出し位置に移動させることにより長さL2の長寸コンテナ11を締結して運搬することができるようになっている。
【0020】
図3はトレーラ本体12の先端部の一部切り欠き拡大図である。図3に示すように、2本の摺動ロッド21には後退位置と迫り出し位置とに対応する前側貫通孔28a,28bが形成されており、それぞれの前側貫通孔28aに貫通する2つの固定ピン29aが対をなして縦梁材13に設けられるとともに、それぞれの前側貫通孔28bに貫通する2つの固定ピン29bが縦梁材13に設けられている。固定ピン29a,29bがそれぞれ前側貫通孔28a,28bに貫通することにより前側締結フレーム20は後退位置に固定され、固定ピン29aが前側貫通孔28bに貫通することにより前側締結フレーム20は迫り出し位置に固定される。
【0021】
4つの固定ピン29a,29bは、左右の縦梁材13の先端部の内側面に取り付けられた受け筒30に摺動自在に挿入されており、前側締結フレーム20を固定する固定位置と受け筒30から突出し固定解除する開放位置との間を進退移動自在である。一対の固定ピン29aを駆動するため、ピンにより回動自在にトレーラ本体12に取り付けられた回動部材としての回動レバー31の両端には固定ピン29aがロッドを介して連結されている。一対の固定ピン29bを駆動するため、ピンによりトレーラ本体12に回動自在に取り付けられた回動部材としての回動レバー32の両端にロッドを介して連結されている。回動レバー31の中央部から横方向に突出した連結片はロッドにより回動レバー32の一端部に連結されており、両方の回動レバー31,32は連動して回動するようになっている。したがって、両方の回動レバー31,32が回動操作されると、それぞれの固定ピン29a,29bが同時に固定位置と開放位置とに駆動される。
【0022】
回動レバー32よりも後方側のトレーラ本体12に回動自在に装着された回動レバー33の端部には、トレーラ本体12に横方向に往復動自在に装着された操作具34の端部が連結されており、操作具34を操作することにより回動レバー31〜33を介して固定ピン29a,29bの進退移動が同時に操作され、前側締結フレーム20の固定および固定解除操作が容易となる。ただし、回動レバー33を用いることなく、2つの回動レバー31,32の一方に操作具34を連結するようにしても良い。
【0023】
一方、後側締結フレーム24を後退位置と迫り出し位置とに固定または固定解除するための構造は、上述した前側締結フレーム20と同様となっており、2つの回動レバー35,36を有しており、一方の回動レバー36には操作具37が設けられている。ただし、図2において操作具34が連結される回動レバー33に相当する回動レバーをトレーラ本体12の後端部に設けるようにしても良い。
【0024】
図4(A)は標準コンテナ10を積載したときに作用する軸重を示す概略図であり、図4(B)は長寸コンテナ11を積載したときに作用する軸重を示す概略図であり、図4(C)と図4(D)はそれぞれ比較例としてのコンテナ積載用セミトレーラに長寸コンテナ11を積載したときに作用する軸重を示す概略図である。
【0025】
トレーラ本体12には、トレーラに標準コンテナ10が積載される場合にキングピン16の位置でトラクタに加わる軸重と、走行車輪17の各軸に加わる軸重とが上限値以下となるように走行車軸の軸数、車軸間距離および荷台中心O等が設定されている。トレーラ本体12の荷台長さL1は標準コンテナ10の長さL1と対応しており、図4(A)に示すように、標準コンテナ10をトレーラに積載する際には、その長手方向中心Cが荷台中心Oに一致するように標準コンテナ10はトレーラに積載される。
【0026】
図4(B)に示すようにトレーラに長寸コンテナ11を積載する際には、前側締結フレーム20をトレーラ本体12のストロークMだけ前方に迫り出すとともに、後側締結フレーム24をトレーラ本体12の後方に向けて前側締結フレーム20の迫り出し距離と同一の寸法Mだけ迫り出す。この迫り出し距離は、長寸コンテナ11の長さL2と標準コンテナ10の長さL1の差の2分の1に設定されている。このようにトレーラ本体12の前後に均等な距離だけ前側締結フレーム20と後側締結フレーム24とを迫り出した状態のもとで長寸コンテナ11をトレーラに積載すると、長寸コンテナ11の長手方向中心Cの位置と荷台中心Oの位置とが一致するようになっているので、キングピン16の位置でトラクタに加わる軸重と、3つの走行車軸のそれぞれに加わる軸重とを上限値以下に設定することができる。
【0027】
このように、前側締結フレーム20および後側締結フレーム24を前後均等に突出させると、長寸コンテナ11を3軸の走行車軸を有するトレーラに積載しても、各軸に作用する軸重が許容荷重を越えることが防止され、走行車軸を4軸に増加させた長寸トレーラ専用のトレーラを用いることなく、主として標準コンテナ10を積載するように走行車軸を3軸としたトレーラを用いて、最大積載量の荷物を搭載した長寸コンテナ11を運搬することができる。これにより、長寸コンテナ11に十分の荷物を搭載することができ、トレーラによる運搬効率を高めることができる。
【0028】
図4(C)はトレーラ後端部に後側締結フレーム40を設けた標準コンテナ専用タイプのトレーラを比較例として示す。このトレーラにおいては、長寸コンテナ11を積載する際には、後側締結フレーム40を後方に迫り出すことになり、その後方迫り出し長さHは、長寸コンテナ11の長さL2と標準コンテナ10の長さL1の差(H=L2−L1)となる。したがって、このトレーラに長寸コンテナ11を積載すると、長寸コンテナ11の長手方向中心Cが荷台中心Oの位置から長さの差H/2だけ後方にずれることになる。これにより、長寸コンテナ11の重心位置がトレーラ本体12の後側に偏ることとなり、走行車輪17に作用する軸重は上限値を超過してしまう。そのため、長寸コンテナ11の積載重量を最大搭載重量よりも少なくする必要があり、荷物の運搬効率を高めることができない。
【0029】
図4(D)はトレーラ先端部に前側締結フレーム41を設けた標準コンテナ専用タイプのトレーラを比較例として示す。このトレーラにおいては、長寸コンテナ11を積載する際には、前側締結フレーム41を前方に迫り出すことになり、その前方迫り出し長さHは、長寸コンテナ11の長さL2と標準コンテナ10の長さL1の差(H=L2−L1)となる。したがって、このトレーラに長寸コンテナ11を積載すると、長寸コンテナ11の長手方向中心Cが荷台中心Oの位置から長さの差H/2だけ前方にずれることになる。これにより、長寸コンテナ11の重心位置がトレーラ本体12の前側に偏ることとなり、キングピン16を介してトラクタの車軸に作用する軸重は上限値を超過してしまう。そのため、長寸コンテナ11の積載重量を最大搭載重量よりも少なくする必要があり、荷物の運搬効率を高めることができない。
【0030】
これに対して、上述のように、本発明のセミトレーラにおいては、長寸コンテナ11が積載されるときには、トレーラ本体12の前端部と後端部とから、標準コンテナ10と長寸コンテナ11の長さの差の2分の1に対応する距離だけ、前側締結フレーム20と後側締結フレーム24とを均等の距離だけ迫り出すようにしたので、長寸コンテナ11を標準コンテナ10と同様にその長手方向中心Cをトレーラ本体12の荷台中心Oに設定することができる。これにより、長寸コンテナ11に最大積載荷重の荷物を搭載しても、トラクタ側の車軸と、トレーラの走行車軸とのいずれもが軸重の上限値を越えることなく、長寸コンテナ11をトレーラに積載することができる。
【0031】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなくその要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、標準コンテナ10と長寸コンテナ11とのいずれでも積載できる兼用タイプとしたが、さらに20フィートの小型コンテナを積載できるようにしても良い。また、回動部材としてレバーを用いたが、複数の固定ピンを固定位置と開放位置とに同時に回動させられる形状であれば、レバーに代えて例えば、円形や長方形の板材を用いても良い。さらに、トレーラに設けられる走行車軸の数は図示した3軸に限られず、2軸または4軸の走行車軸を有するトレーラに対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態であるコンテナ積載用セミトレーラの側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】トレーラ本体の先端部の一部切り欠き拡大図である。
【図4】(A)は標準コンテナを積載したときに作用する軸重を示す概略図であり、(B)は長寸コンテナを積載したときに作用する軸重を示す概略図であり、(C)と(D)はそれぞれ比較例としてのコンテナ積載用セミトレーラに長寸コンテナを積載したときに作用する軸重を示す概略図である。
【符号の説明】
【0033】
10 標準コンテナ
11 長寸コンテナ
12 トレーラ本体
13 縦梁材
13a グースネック部
14 横梁材
15 荷台
16 キングピン
17 走行車輪
20 前側締結フレーム
21 摺動ロッド
22 前側横棒材
23 前側締結具
24 後側締結フレーム
25 摺動ロッド
26 後側横棒材
27 後側締結具
28a,28b 前側貫通孔
29a,29b 固定ピン
30 受け筒
31,32,33 回動レバー(回動部材)
34 操作具
C コンテナの長手方向中心
L1 荷台長さ、標準コンテナの長さ
L2 長寸コンテナの長さ
M 前方迫り出し長さ、後方迫り出し長さ
O 荷台中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車輪が設けられたトレーラ本体を有し、前記トレーラ本体の長さに対応する長さの標準コンテナと当該標準コンテナよりも長い長寸コンテナとのいずれをもトラクタに牽引されて運搬するコンテナ積載用セミトレーラであって、
それぞれの前記コンテナの先端部を締結する前側締結具を有し、前記標準コンテナを締結する後退位置と、両方の前記コンテナの長さの差の2分の1に相当する前方迫り出し長さを前記トレーラ本体の先端から突出させて前記長寸コンテナを締結する迫り出し位置との間を進退移動自在に前記トレーラ本体の先端部に設けられる前側締結フレームと、
それぞれの前記コンテナの後端部を締結する後側締結具を有し、前記標準コンテナを締結する後退位置と、前記前方迫り出し長さと均等な後方迫り出し長さを前記トレーラ本体の後端から突出させて前記長寸コンテナを締結する迫り出し位置との間を進退移動自在に前記トレーラ本体の後端部に設けられる後側締結フレームとを有し、
前記標準コンテナと前記長寸コンテナとのいずれも、それぞれの長手方向中心を前記トレーラ本体の荷台中心に設定した状態で積載し得ることを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項2】
請求項1記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、前記前側締結フレームに前記後退位置と前記迫り出し位置とに対応する前側貫通孔を形成し、前記前側貫通孔に貫通して前記前側締結フレームを前記後退位置と前記迫り出し位置とに固定する固定ピンを前記トレーラ本体の前端部に設け、前記後側締結フレームに前記後退位置と前記迫り出し位置とに対応する後側貫通孔を形成し、前記後側貫通孔に貫通して前記後側締結フレームを前記後退位置と前記迫り出し位置とに固定する固定ピンを前記トレーラ本体の後端部に設けることを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。
【請求項3】
請求項2記載のコンテナ積載用セミトレーラにおいて、前記固定ピンは前記トレーラ本体に取り付けられた受け筒に摺動自在に挿入されて前記フレームを固定する固定位置と前記受け筒から突出し固定解除する開放位置との間を進退移動自在であり、複数の前記固定ピンに連結された回動部材を前記複数の固定ピン相互間に配置し、前記回動部材を回動操作すると前記複数の固定ピンは同時に開放位置に移動され、前記回動部材の回動操作を停止すると前記複数の固定ピンは同時に固定位置に移動されることを特徴とするコンテナ積載用セミトレーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−96329(P2009−96329A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269910(P2007−269910)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000229357)日本トレクス株式会社 (27)