説明

コンテナ連結金具

本発明のコンテナ連結金具は、コンテナの隅金具の係止孔に嵌合可能な上側嵌合部(22)および下側嵌合部(23)を有する金具本体(2)と、金具本体(2)に回転自在に軸支されたシャフト(3)と、シャフト(3)の上端および下端にそれぞれ一体に連結され、コンテナの隅金具の係合孔に係合可能な上部金具(4)及び下部金具(5)と、シャフトを回転させる操作部材(7)とから構成される。金具本体(2)には、コンテナの負荷が作用することによってシャフト(3)を回動させる回動機構(6)が設けられ、シャフト(3)には、上部金具(4)を上側嵌合部(22)と重なる位置に回動するように付勢するバネ手段(34)が設けられている。上部金具(4)のコンテナの隅金具の係合孔に係合する側の対角位置の下面側隅角部には切欠部(4x)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、コンテナヤードやコンテナ船などにおいて、多段に積載された上下のコンテナ間に配設されて両コンテナを連結するコンテナ連結金具に関するものである。
【背景技術】
一般に、図22に示すように、コンテナCtをコンテナヤードYdとコンテナ船Shとの間で積み卸しすることが行われている。
例えば、コンテナヤードYdのコンテナCtをコンテナ船Shに積み込む場合は、コンテナヤードYdからトランスファクレーンTcを利用して、あるいは、メトラドルキャリアを用いてコンテナCtをトレーラなどのコンテナ運搬車両Vに移し替えた後、エプロンApまで輸送する。そして、エプロンApにおいて、コンテナCtをコンテナクレーンCrのスプレッダSpで吊り上げてコンテナ船Shの甲板上のコンテナCtに載置する。
一方、コンテナ船Shの甲板上のコンテナCtを荷卸しする場合は、コンテナクレーンCrのスプレッダSpを介してコンテナCtを吊り上げてエプロンApに移動させた後、コンテナクレーンCrからコンテナCtをコンテナ運搬車両Vに移し替え、エプロンApからコンテナヤードYdに輸送する。
このように、コンテナヤードYdやコンテナ船Shなどにおいて、コンテナCtを多段に積載する場合、コンテナCtの荷崩れを防止するため、上側コンテナCtの下部四隅に設けられたすみ金具と、下側コンテナCtの上部四隅に設けられたすみ金具とにわたってそれぞれコンテナ連結金具を配設し、互いに連結するようにしている。
このようなコンテナ連結金具は、例えば、国際公表公報WO92/05093号に記載されている。
まず、このコンテナ連結金具100について、図23乃至図26に基づいて説明する。
コンテナ連結金具100は、ボルトによって一体に締結された左右に分割可能な金具本体101と、この金具本体101に回動可能に軸支されたシャフト102(図26参照)と、このシャフト102の上下端にそれぞれ一体に連結された上部コーン103および下部コーン104と、から構成されている。
金具本体101は、コンテナCtのすみ金具Fの係合孔Fa(図29参照)に合致した形状の上側嵌合部101Uおよび下側嵌合部101Dをその上下に一体に備えており、これらの上側嵌合部101Uおよび下側嵌合部101Dは、上側コンテナCtの下部すみ金具Fの係合孔Faおよび下側コンテナCtの上部すみ金具Fの係合孔Faにそれぞれ嵌合することができる。
なお、金具本体101には、上側嵌合部101Uおよび下側嵌合部101Dを貫通して貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔にシャフト102が軸支されている。
また、コンテナCtのすみ金具Fについては、詳細には図示しないが、係合孔FaとともにJIS Z1616で規定されている。
一方、上部コーン103および下部コーン104は、コンテナCtのすみ金具Fの係合孔Faに係合可能であり、それぞれすみ金具Fの係合孔Faに対応した形状に形成されている。そして、上部コーン103および下部コーン104は、シャフト102の回転に伴って金具本体101の上側嵌合部101Uの上面およびその下側嵌合部101Dの下面でそれぞれ回転し、これらの上部コーン103および下部コーン104は、上部コーン103が上側コンテナCtの下部すみ金具Fの係合孔Faに挿入離脱自在であるとき、下部コーン104は下側コンテナCtの上部すみ金具Fの係合礼Faに係合し、また、下部コーン104が下側コンテナCtの上部すみ金具Fの係合孔Faに挿入離脱自在であるとき、上部コーン103は上側コンテナCtの下部すみ金具Fの係合孔Faに係合するように、上方から見てX字状に交差してシャフト102と一体に連結されている。
なお、下部コーン104は、すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置関係にあるとき、すみ金具Fの係合孔Faに押圧されると、回転力が付与される形状に形成されている。すなわち、シャフト102が後述する第1回転位置Aにあって下部コーン104がすみ金具Fの係合孔Faと係合する状態で、下部コーン104をすみ金具Fの係合孔Faの孔縁に接触させて押圧すると、下部コーン104を介してすみ金具Fにその押圧力を作用させる一方、その反力を下部コーン104が受けることから、下部コーン104に対する反力によって下部コーン104がシャフト102の回転軸回りに回転させられるように形成されている。
一方、金具本体101の内部には、図26に示すように、シャフト102に一体に固定されたアーム1021が当接可能な第1係止部101aおよび第2係止部101bを有する空胴101Xが形成されている。このため、シャフト102は、そのアーム1021が空胴101Xの第1係止部101aに当接する第1回転位置Aから第2係止部101bに当接する第3回転位置Cにわたって回転することができる。
また、シャフト102には、ねじりばね105が配設されており、通常、シャフト102をそのアーム1021が空胴101Xの第1係止部101aに当接するように付勢している。さらに、シャフト102には、その周囲に形成された溝1022に沿ってワイヤー106が巻き付けられており、該ワイヤー106の一端ループ部は、アーム1021に挿通され、その他端は、金具本体101に摺動自在に配設されたマウスピース107を通してその外方に引き出され、操作ノブ108に止着されている。また、ワイヤー106の他端近傍には、係止部材1061が形成されており、この係止部材1061は、左右両端部が金具本体101のガイド101Yに摺動自在に嵌合されたマウスピース107の上部および下部に形成されたスロット107a,107cに選択的に係止することができる。
なお、マウスピース107は、その左右両端部が金具本体101のガイド101Yに嵌合されており、ガイド101Yに沿って摺動自在に配設され、通常金具本体101に配設されたスプリング109によってガイド101Yの一端に当接するように付勢されている。
このような構造を有するコンテナ連結金具100によって上下のコンテナCtを連結するには、まず、コンテナCtをコンテナヤードYdからトランスファクレーンTcを利用してコンテナ運搬車両Vに移し替えてエプロンApまで輸送する。そして、エプロンApにおいて、コンテナCtをコンテナクレーンCrのスプレッダSpで地上約1メートルの高さ位置に吊り上げて停止させ、コンテナ連結金具100の上部コーン103をコンテナCtの下部すみ金具Fに取り付ける(図27参照)。具体的には、操作ノブ108を把持して牽引し、ワイヤー106の係止部材1061をマウスピース107のスロット107aに係止させる。この状態では、シャフト102は、そのアーム1021が金具本体101の空洞101Xの第2係止部101bに当接した第3回転位置Cにあり、上部コーン103は、上方より見て金具本体101の上側嵌合部101Uと重なる位置にある。このため、上部コーン103を金具本体101の上側嵌合部101Uとともに上側のコンテナCtの下部すみ金具Fの係合孔Faに挿入させることができる。
上部コーン103を係合孔Faに挿入したならば、再び操作ノブ108を把持して牽引し、ワイヤー106の係止部材1061をマウスピース107のスロット107aから離脱させると、シャフト102は、ねじりばね105の付勢力により、そのアーム1021が金具本体101の空洞101Xの第1係止部101aと当接する第1回転位置Aに復帰する。この状態では、コンテナ連結金具100の上部コーン103および下部コーン104は、前述したように、それぞれすみ金具Fの係合孔Faに係合することから、コンテナ連結金具100は、コンテナCtのすみ金具Fから脱落することはない(図28参照)。
コンテナCtの下部すみ金具Fにコンテナ連結金具100を取り付けたならば、コンテナクレーンCrでコンテナCtを吊り上げ、コンテナ船Shの甲板上のコンテナCtに載置する(図29参照)。この場合、コンテナ連結金具100の下部コーン104は、ねじりばね105の付勢力に抗してコンテナCtの上部すみ金具Fの係合孔Faの孔縁に沿って強制的に回転させられ、下部コーン104が上方より見て金具本体101の下側嵌合部101Dと重なった際、下部コーン104は金具本体101の下側嵌合部101DとともにコンテナCtの上部すみ金具Fの係合孔Faに嵌入する。そして、下部コーン104が上部すみ金具Fに嵌入すると、下部コーン104は、ねじりばね105の付勢力によって再び係合位置に復帰し、すみ金具Fの係合孔Faに係合する。この結果、上下のコンテナCtは、コンテナ連結金具100の、上側コンテナCtの下部すみ金具Fおよび下側コンテナCtの上部すみ金具Fにそれぞれ係合している上部コーン103および下部コーン104によって連結される(図30参照)。
一方、コンテナ船Shの甲板上のコンテナCtを荷卸しする場合は、係合位置にある下部コーン104を甲板上から操作ノブ108を引き下げ、あるいは、押し下げ、マウスピース107のスロット107cにワイヤー106の係止部材1061を係止させる。この状態では、シャフト102は、そのアーム1021が金具本体101の空洞101Xの第1係北部101aと第2係止部101bとの間の第2回転位置Bにあり、下部コーン104は、上方より見て金具本体101の下側嵌合部101Dと重なることから、下側コンテナCtの上部すみ金具Fの係合孔Faから離脱させることができる(図31参照)。
次いで、コンテナクレーンCrのスプレッダSpを介してコンテナCtを吊り上げて移動させ、エプロンApの地上約1メートルの高さ位置に停止させた後、コンテナCtの下部すみ金具Fからコンテナ連結金具100の上部コーン103を離脱させる。すなわち、操作ノブ108を把持して牽引し、ワイヤー106の係止部材1061をマウスピース107のスロット107aに係止させる。この状態は、前述したように、シャフト102は、そのアーム1021が金具本体101の空洞101Xの第2係止部101bに当接する第3回転位置Cにあり、上部コーン103は、上方より見て金具本体101の上側嵌合部101Uと重なっている。このため、コンテナCtの下部すみ金具Fの係合孔Faからコンテナ連結金具100を離脱させることができる(図32参照)。この後、コンテナクレーンCrからコンテナCtをコンテナ運搬車両Vに移し替え、エプロンApからコンテナヤードYdに輸送する。
【発明の開示】
前述した従来のコンテナ連結金具にあっては、コンテナの積み込みに際しては、積み込むコンテナの下部すみ金具に取り付け、コンテナ上に載置すれば、下部コーンが下側コンテナの上部すみ金具の係合孔の孔縁に沿って回転し、すみ金具に嵌入すると、ねじりばねによって自動的にすみ金具と係合する位置に復帰し、上下のコンテナを連結することができるものの、コンテナの荷卸しに際しては、操作ノブを操作してシャフト、すなわち、下部コーンをねじりばねの付勢力に抗してすみ金具に係合する位置から挿入離脱自在な位置に回転させる必要がある。すなわち、図31に示したように、多段に積載された最上段のコンテナから、あるいは、甲板(コンテナ船の場合)や地上(コンテナヤードの場合)から作業者が長尺な作業具を用いて操作ノブを引き下げ、あるいは、押し下げてマウスピースのスロットにワイヤーの係止部材を係止させる必要がある。この場合、長尺な作業具の先端で操作ノブを確実に操作することは困難であり、作業に多くの時間を必要とするとともに、重量のある長尺な作業具を操作することによる疲労が大きいという問題があった。また、最上段のコンテナから操作する場合には、高所作業となって転落などの危険を伴うことから、安全の見地からも難がある。
なお、本発明者は、先に再公表特許WO00/23358に記載されるコンテナ連結金具を出願しているが、構造が複雑であるため、コストがかさむと同時に、長期使用においては作動が不確実になるという欠点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、積み込むコンテナを下側コンテナと自動的に連結することができるとともに、連結状態にあるコンテナを高所作業などを伴うことなく自動的に離脱させることのできる、簡単な構造のコンテナ連結金具を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明のコンテナ連結金具は、コンテナのすみ金具の係合孔に嵌合可能な上側嵌合部および下側嵌合部を有する金具本体と、金具本体に回転自在に軸支されたシャフトと、シャフトの上端および下端にそれぞれ一体に連結され、コンテナのすみ金具の係合孔に係合可能な上部金具および下部金具と、シャフトを回動させる操作部材と、から構成され、前記金具本体には、コンテナの負荷が作用することによってシャフトを回動させる回動機構が設けられ、また、シャフトには、上部金具を上側嵌合部と重なる位置に回動するように付勢するバネ手段が設けられ、さらに、上部金具の、コンテナのすみ金具の係合孔に係合する側の対角位置の下面側隅角部に切欠部が形成されてなり、操作部材を介して上部金具がバネ手段の付勢力に抗してコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置にあるとき、下部金具は下側嵌合部と重なる位置にあり、また、コンテナのすみ金具が回動機構を押圧した際、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させ、下部金具をコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させ、一方、コンテナのすみ金具が上部金具の切欠部に沿って上昇して回動機構から離脱した際、シャフトをバネ手段の付勢力によって回動させ、下部金具を下側嵌合部と重なる位置に回動させることを特徴とするものである。
この構成によれば、コンテナを積み込む場合は、まず、上部金具を上側嵌合部と重なる位置に回動させ、コンテナにおける下部すみ金具の係合孔を通して上部金具を下部すみ金具に挿入させる。上部金具を下部すみ金具の係合孔に挿入すれば、操作部材をバネ手段の付勢力に抗して牽引し、上部金具をコンテナにおける下部すみ金具の係合孔に係合する位置に回動させる。この際、上部金具の対角位置にある一対の切欠部が下部すみ金具に衝合し、コンテナ連結金具が下部すみ金具に取り付けられる。また、下部金具は、下側嵌合部と重なる位置にある。この状態で、吊り上げたコンテナを下側コンテナに載置すれば、下部金具をコンテナにおける上部すみ金具の係合孔を通して上部すみ金具に挿入することができる。
ここで、吊り上げられたコンテナが下降する際、コンテナの下部すみ金具が回動機構に当接してコンテナの重量を負荷させるため、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させる。このため、下部金具を下側嵌合部と重なる位置から上部すみ金具の係合孔に係合する位置に回動させるとともに、上部金具を下部すみ金具の係合孔にさらに係合する位置に回動させることができ、上下のコンテナを連結することができる。
一方、コンテナを荷卸しする場合は、コンテナを持ち上げると、コンテナは、まず、上部金具に形成された切欠部の高さに相当する分上昇する。このため、コンテナの下部すみ金具が回動機構から離脱し、シャフトは、バネ手段の付勢力によって回動する。すなわち、下部金具は、下部すみ金具の係合孔に係合する位置から下側嵌合部と重なる位置に回動することから、コンテナの上部すみ金具の係合孔を通して下部金具を上部すみ金具から離脱させることができる。
このように、コンテナの下部すみ金具の係合孔に上部金具を係合させ、コンテナ連結金具を取り付けた状態でコンテナを移送し、下側コンテナに載置すれば、その上部すみ金具の係合孔を通して下部金具が挿入された後、係合孔に下部金具が係合し、一方、コンテナを持ち上げれば、下側コンテナの上部すみ金具の係合孔に対する下部金具の係合状態を解除することができることから、コンテナの積み込みに際してコンテナ連結金具によって上下のコンテナを自動的に連結することができるとともに、コンテナの荷卸しに際してコンテナ連結金具を下側コンテナから自動的に離脱させることができる。この結果、作業者はコンテナ上などから作業具を操作する必要がなく、作業が軽減されるとともに、高所での作業が不要となり、安全を確保することができる。
上記構成において、前記回動機構は、金具本体に形成されたガイド穴およびガイド溝に沿って摺動自在に嵌挿された略直角三角形状の押圧片であって、コンテナのすみ金具によって押圧された押圧片が摺動することによりシャフトを回動させる構成であってもよい。
この構成によれば、コンテナが下降する際、コンテナの下部すみ金具が押圧片の斜辺に当接してコンテナの負荷を作用させると、押圧片は、ガイド穴およびガイド溝に沿って摺動し、シャフトに当接して押し出す。このため、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させ、上部金具および下部金具をそれぞれコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させる。
前記回動機構は、昇降自在な昇降部材と、昇降部材に当接され、常時屈折する方向に付勢された屈折リンク機構と、から構成され、コンテナのすみ金具によって押圧された昇降部材を介して屈折リンク機構が伸展することによりシャフトを回動させるものであってもよい。
この構成によれば、コンテナが下降する際、コンテナの下部すみ金具が昇降部材に当接してコンテナの負荷を作用させると、下降する昇降部材を介して屈折リンク機構が伸展し、シャフトに当接して押し出す。このため、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させ、上部金具および下部金具をそれぞれコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させる。
前記回動機構は、金具本体に形成された案内通路に沿って摺動自在な摺動部材であって、コンテナのすみ金具によって押圧された摺動部材が案内通路に沿って摺動することによりシャフトを回動させるものであってもよい。
この構成によれば、コンテナが下降する際、コンテナの下部すみ金具が摺動部材に当接してコンテナの負荷を作用させると、摺動部材は案内通路に沿って摺動し、シャフトに当接して押し出す。このため、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させ、上部金具および下部金具をそれぞれコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させる。
前記回動機構は、シャフトの外周面に沿って昇降自在であり、内方に向けて突出するピンを有する昇降部材と、シャフトに形成され、昇降部材のピンが嵌入された螺旋溝と、昇降部材を上昇位置に付勢するスプリングと、から構成され、コンテナのすみ金具によって押圧された昇降部材が下降することによりシャフトを回動させるものであってもよい。
この構成によれば、コンテナが下降する際、コンテナの下部すみ金具が昇降部材に当接してコンテナの負荷を作用させると、ピンを設けた昇降部材が下降する。この際、ピンはシャフトに形成された螺旋溝に嵌入されていることから、ピンが螺旋溝を押し下げる。このため、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させ、上部金具および下部金具をそれぞれコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させる。
前記回動機構は、シャフトの外周面に沿って昇降自在であり、内周面に螺旋溝が形成された昇降部材と、シャフトに設けられ、昇降部材の螺旋溝に嵌入されたピンと、昇降部材を上方位置に付勢するスプリングと、から構成され、コンテナのすみ金具によって押圧された昇降部材が下降することによりシャフトを回動させるものであってもよい。
この構成によれば、コンテナが下降する際、コンテナの下部すみ金具が昇降部材に当接してコンテナの負荷を作用させると、螺旋溝が形成された昇降部材が下降する。この際、螺旋溝には、シャフトに設けたピンが嵌入されていることから、ピンは、下降する螺旋溝に沿って移動する。このため、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させ、上部金具および下部金具をそれぞれコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させる。
上記構成において、前記操作部材は、操作レバーと、一端を操作レバーに、他端をシャフトにそれぞれ連結された連結具と、から構成され、また、金具本体には、操作レバーを係止可能な係止部と、操作レバーを収容可能な収容部が形成されることが好ましい。
この構成によれば、操作レバーを把握するとともに、バネ手段の付勢力に抗して牽引し、金具本体の係止部に係止させることにより、シャフトを連結具を介して回動させ、シャフトに固定された上部金具および下部金具をそれぞれコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させ、その位置に保持することができる。
上記構成において、前記金具本体の上側嵌合部の一隅部には、その上面から突出する方向に付勢されて上下方向に出没自在なストッパが設けられ、上部金具をストッパに当接させてコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に保持することが好ましい。
この構成によれば、ストッパは、通常スプリングの付勢力により上側嵌合部の上面から突出しており、上部金具は、ストッパに当接して、コンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置にある。したがって、ストッパを金具本体の内方に退避させれば、上部金具は、バネ手段の付勢力により上側嵌合部と重なる位置に回動し、コンテナの下部すみ金具の係合孔を通して上部金具を下部すみ金具に挿入することができる。この状態で、操作部材をバネ手段の付勢力に抗して牽引し、上部金具をコンテナの下部すみ金具の係合孔に係合する位置に回動させれば、ストッパは、スプリングの付勢力により上側嵌合部の上面から突出し、以後、上部金具は、ストッパに当接し、上側嵌合部と重なる位置に回動することが規制され、コンテナの下部すみ金具の係合孔に係合する位置にある。このため、コンテナの下部すみ金具にコンテナ連結金具を取り付けてコンテナを移送する際、コンテナ連結金具が下部すみ金具から脱落することを確実に防止することができる。
上記構成において、前記金具本体には、コンテナ連結金具が水平面に対して一定角度傾斜した際に、バネ手段の付勢力によるシャフトの回動を阻止する安全機構が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、上下のコンテナを連結している状態でコンテナが傾斜または揺動によってジャンピングした場合、コンテナのすみ金具が回動機構から離脱することから、バネ手段の付勢力によりシャフト、すなわち、下部金具を下側嵌合部と重なる位置に回動させようとする。しかしながら、シャフトの回動は、安全機構によって阻止されているため、回動することはない。このため、上下のコンテナの連結状態を確実に維持することができる。
上記構成において、前記安全機構は、金具本体に設置された容器本体と、容器本体の上方開口部を覆う蓋体と、容器本体に対して前後方向に移動自在に設けられ、連結具が挿通されるとともに、操作レバーが当接された移動体と、容器本体に形成された外方向に向かう下り勾配の傾斜面に配置されて転動自在な転動体と、からなり、設定角度を越えて傾斜した際、転動体よって移動体の移動が阻止される構成であってもよい。
この構成によれば、上下のコンテナを連結している状態でコンテナが傾斜した場合、金具本体、すなわち、金具本体に設けられた安全機構も傾斜し、その傾斜方向に対応する一方の傾斜面に沿って転動体が転動し、移動体の後方移動が阻止される。この場合、移動体には、操作レバーが当接されていることから、移動体が移動しない限り、操作レバーも後方に移動することはない。したがって、操作レバーに連結された連結具は、そのままの状態を維持し、バネ手段の付勢力によるシャフトの回動を確実に阻止することができる。
前記安全機構は、金具本体に形成された外方向に向かう下り勾配の傾斜通路と、傾斜通路に配置されて転動自在な転動体と、シャフトに形成された嵌合凹部と、からなり、シャフトが伸展した屈折リンク機構によって回動位置にあるとき、金具本体の傾斜通路とシャフトの嵌合凹部が連通し、その状態で、設定角度を越えて傾斜した際、転動体が嵌合凹部に嵌合してシャフトの回動が阻止されるものであってもよい。
この構成によれば、上下のコンテナを連結している状態でコンテナが傾斜した場合、金具本体、すなわち、金具本体に設けられた安全機構も傾斜し、その傾斜方向に対応する一方の傾斜通路に沿って転動体が転動し、対向してシャフトに形成された嵌合凹部に嵌合する。このため、バネ手段の付勢力によるシャフトの回動を確実に阻止することができる。
前記安全機構は、シャフトに形成された外方向に向かう上り勾配の傾斜通路と、傾斜通路に配置されて転動自在な転動体と、金具本体に形成された嵌合凹部と、からなり、シャフトが摺動した摺動部材によって回動位置にあるとき、シャフトの傾斜通路と金具本体の嵌合凹部が連通し、その状態で、設定角度を越えて傾斜した際、転動体が嵌合凹部に嵌合してシャフトの回動が阻止されるものであってもよい。
この構成によれば、上下のコンテナを連結している状態でコンテナが傾斜した場合、金具本体、すなわち、金具本体に設けられた安全機構も傾斜し、その傾斜方向に対応する一方の傾斜通路に沿って転動体が転動し、対向して金具本体に形成された嵌合凹部に嵌合する。このため、バネ手段の付勢力によるシャフトの回動を確実に阻止することができる。
前記安全機構は、金具本体に形成された外方向に向かう下り勾配の傾斜通路と、傾斜通路に配置されて転動自在な転動体と、昇降部材に形成された嵌合凹部と、からなり、昇降部材が下降位置にあるとき、金具本体の傾斜通路と昇降部材の嵌合凹部が連通し、その状態で、設定角度を越えて傾斜した際、転動体が嵌合凹部に嵌合して昇降部材の上昇が阻止されるものであってもよい。
この構成によれば、上下のコンテナを連結している状態でコンテナが傾斜した場合、金具本体、すなわち、金具本体に設けられた安全機構も傾斜し、その傾斜方向に対応する一方の傾斜通路に沿って転動体が転動し、対向して昇降部材に形成された嵌合凹部に嵌合する。このため、昇降部材の上昇が阻止される。この場合、ピンが螺旋溝に嵌入されていることから、昇降部材が上昇しない限り、シャフトも回動することはなく、バネ手段の付勢力によるシャフトの回動を確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のコンテナ連結金具の第1実施形態を示す全体斜視図である。
図2は図1のコンテナ連結金具の分解斜視図である。
図3は図1のコンテナ連結金具を構成する金具本体の一半部を示す斜視図である。
図4は図1のコンテナ連結金具を構成するシャフトおよびシャフトに一体に連結された上部金具、下部金具を示す斜視図である。
図5は上部金具を示す裏面側斜視図である。
図6は図1のコンテナ連結金具における金具本体の上側嵌合部を横切る平面で切断した横断面図である。
図7は図1のコンテナ連結金具を構成する安全機構およびその作動を説明する斜視図である。
図8は上下のコンテナを連結しているコンテナ連結金具が水平面に対して一定角度傾斜した状態の正面図およびそのA−A線断面図である。
図9は上部金具の変形例を示す裏面側斜視図である。
図10は図1のコンテナ連結金具をコンテナの下部すみ金具に取り付ける工程を説明する斜視図である。
図11は図1のコンテナ連結金具をコンテナの下部すみ金具に取り付けた状態を一部破断して示す斜視図である。
図12は図1のコンテナ連結金具をコンテナの下部すみ金具に取り付けてコンテナの上部すみ金具に挿入する工程を説明する斜視図である。
図13は図1のコンテナ連結金具の上部金具および下部金具がそれぞれコンテナの下部すみ金具および上部すみ金具に係合し、上下のコンテナが連結された状態を一部破断して示す斜視図である。
図14は図1のコンテナ連結金具によって連結された上側コンテナを下側コンテナから荷卸しする工程を説明する斜視図である。
図15は本発明のコンテナ連結金具の第2実施形態を一部省略して示す縦断面図である。
図16は図15のコンテナ連結金具の横断面図である。
図17は本発明のコンテナ連結金具の第3実施形態を一部省略して示す縦断面図である。
図18は図17のコンテナ連結金具の横断面図である。
図19は図17のコンテナ連結金具の上部金具および下部金具がそれぞれコンテナのすみ金具の係合孔と係合する位置にあるときの横断面図である。
図20は本発明のコンテナ連結金具の第4実施形態を一部省略して示す縦断面図である。
図21は図20のコンテナ連結金具の横断面図である。
図22はコンテナ運搬車両によってコンテナをコンテナヤードとエプロンとの間で輸送するとともに、コンテナクレーンによってコンテナをコンテナ運搬車両とコンテナ船との間で積み卸しする状態を示す説明図である。
図23は従来のコンテナ連結金具の斜視図である。
図24は図23のコンテナ連結金具の平面図である。
図25は図23のコンテナ連結金具の底面図である。
図26は図23のコンテナ連結金具の横断面図である。
図27は図23のコンテナ連結金具をコンテナに取り付けてコンテナ船に積み込む作業を説明する工程図である。
図28は図23のコンテナ連結金具をコンテナに取り付けてコンテナ船に積み込む作業を説明する工程図である。
図29は図23のコンテナ連結金具をコンテナに取り付けてコンテナ船に積み込む作業を説明する工程図である。
図30は図23のコンテナ連結金具をコンテナに取り付けてコンテナ船に積み込む作業を説明する工程図である。
図31は図23のコンテナ連結金具によって連結されて積載されたコンテナをコンテナ船から荷卸しする作業を説明する工程図である。
図32は図23のコンテナ連結金具によって連結されて積載されたコンテナをコンテナ船から荷卸しする作業を説明する工程図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1および図2には、本発明のコンテナ連結金具1の第1実施形態が示されている。
このコンテナ連結金具1は、ボルトによって一体に締結された左右に分割可能な金具本体2と、この金具本体2に回転可能に軸支されたシャフト3と、このシャフト3の上端に一体に連結された上部金具4と、シャフト3の下端に一体に連結された下部金具5と、コンテナCtの負荷が作用した際にシャフト3を回動させる回動機構6と、シャフト3、すなわち、上部金具4および下部金具5を回動させる操作部材7と、シャフト3の回動を規制する安全機構8と、から構成されている。
金具本体2は、コンテナCtにおけるすみ金具Fの係合孔Faよりも大きな本体部21と、本体部21の上下にそれぞれ一体に設けられ、コンテナCtにおけるすみ金具Fの係合孔Faに合致した形状の上側嵌合部22および下側嵌合部23と、からなり、これらの上側嵌合部22および下側嵌合部23は、上側コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faおよび下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faにそれぞれ嵌合できるようになっている。そして、金具本体2の本体部21の前端には、操作部材7の操作レバー71を係止する係止部21aが形成されているとともに、操作レバー71を収容可能な収容部21bが形成されている。
また、金具本体2には、図3に詳細に示すように、上下方向の約中間部において、円筒状の第1空洞部2aが形成され、その上方に隔壁を隔てて直方体状の第2空洞部2bが形成され、また、第1空洞部2aの下方に第1空洞部2aの直径よりも小径の円筒状の第3空洞部2cが第1空洞部2aに連通して形成されている。さらに、金具本体2には、上側嵌合部22の上面から下側嵌合部23の下面までを貫通する貫通孔2dが第1空洞部2aおよび第3空洞部2cの中心に中心を合わせて形成されている。また、金具本体2の本体部21の前方には、一端が第1空洞部2aに連通するとともに、他端がその前端(係止部21a)に開口する、上方より見て十字状の第4空洞部2eが形成されている。
ここで、第1空洞部2a、第2空洞部2bおよび第3空洞部2cには、後述するように、金具本体2の貫通孔2dに回転自在に軸支されるシャフト3の鍔部32、アーム33およびシャフト3に配設されるねじりバネ34がそれぞれ収容される他、第4空洞部2eには、安全機構8が収容される。
さらに、金具本体2には、その一隅部において、図示しないスプリングを介して上側嵌合部22の上面から突出するように付勢されたストッパ24が出没自在に設けられている。このストッパ24には、操作ロッド241が一体に設けられており、スプリングの付勢力に抗して操作ロッド241を下方に押し下げることにより、ストッパ24を上側嵌合部22の上面から突出しないように金具本体2の内方に退避させることができる。
なお、操作ロッド241を一定距離にわたって押し下げることができるように、金具本体2の本体部21には、凹部21cが形成されている。
シャフト3は、図2および図4に示すように、金具本体2の貫通孔2dの穴径に対応する外径の軸部31と、該軸部31の略中間部において、軸部31よりも大径の鍔部32と、鍔部32よりも上方の軸部31の外周面に約180度の間隔をおいて外方に突出する一対のアーム33と、を一体に備えており、鍔部32が金具本体2の第1空洞部2aに収容され、また、アーム33が第2空洞部2bに収容されるように、それぞれ位置決めされている。
さらに、シャフト3の軸部31の下方には、バネ手段、例えば、ねじりバネ34が嵌挿されており、このねじりバネ34の一端は、シャフト3の鍔部32に止着され、その他端は金具本体2に止着されている。そして、ねじりバネ34の付勢力により、シャフト3は、図4において、反時計回り方向(矢印方向)に回転するように付勢されている。
一方、シャフト3の鍔部32には、操作部材7の連結具、例えば、ケブラーなどのコントロールケーブル72の一端が止着されており、その他端は、安全機構8を経て操作レバー71に止着されている。
上部金具4は、シャフト3の軸部31の上端に一体に固定されており、上方より見て、コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに対応する形状に形成されている。このため、上部金具4が金具本体2の上側嵌合部22と重なる位置にあるとき、上部金具4は、係合孔Faを通して下部すみ金具F内に挿入可能であり、その際、上側嵌合部22が下部すみ金具Fの係合孔Faに嵌合される。そして、上部金具4には、該上部金具4が上側嵌合部22に対して一定角度交差した位置にあるとき、すなわち、コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるとき、上側嵌合部22の左右外側面を越える側の対角線上の下面側隅角部に切欠部4xが形成されている。この上部金具4の切欠部4xは、上部金具4がコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるとき、下部すみ金具Fがその略厚みに相当する高さ分上昇できるように大きさが設定されており、その外面は、下部すみ金具Fの係合孔Faの内周縁に滑らかに接触するように、曲面形状に面取りされている。
下部金具5は、シャフト3の軸部31の下端に一体に固定されており、上方より見て、コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faに対応する形状に形成されている。このため、下部金具5が金具本体2の下側嵌合部23と重なる位置にあるとき、下部金具5は、係合孔Faを通して上部すみ金具F内に挿入可能であり、その際、下側嵌合部23が上部すみ金具Fの係合孔Faに嵌合される。
ここで、上部金具4および下部金具5は、上方から見て略X字状に交差してシャフト3にそれぞれ固定されており、上部金具4がねじりバネ34の付勢力によってストッパ24に当接し、コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にあるとき、下部金具5は、金具本体2の下側嵌合部23と重なる位置、すなわち、コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faに挿入離脱自在な位置にある(図1参照)。一方、上部金具4がストッパ24に当接する位置からねじりバネ34の付勢力に抗して時計回り方向に回動し、コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にあるとき、下部金具5も、コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にある。
なお、上部金具4がストッパ24に当接する位置にあるとき、図1の実線に示すように、操作レバー71は、収容部21b内にその内奥部まで若干余裕を有する状態で収容されている。したがって、操作ロッド241を押し下げて、ストッパ24を金具本体2の内方に退避させることにより、上部金具4がねじりバネ34の付勢力により上側嵌合部22と重なる位置まで反時計回り方向に回動した場合、コントロールケーブル72を介して操作レバー71を収容部21bの内奥部に当接する位置へと牽引する。一方、操作レバー71を把握して手前側に牽引し、図1の鎖線に示すように、90度回動し、金具本体2に交差させて係止部21aに係止させると、ねじりバネ34の付勢力によるシャフト3の反時計回り方向の回動を、シャフト3と操作レバー71間に連結されたコントロールケーブル72を介して規制することができる。この際、ねじりバネ34の付勢力に抗してコントロールケーブル72を介して時計回り方向に回動されたシャフト3、すなわち、上部金具4および下部金具5は、それぞれコンテナCtにおけるすみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にある。
回動機構6は、金具本体2の上側嵌合部22に摺動自在に設けられた略直角二等辺三角形状の一対の押圧片61であって、各押圧片61は、上部金具4が下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるとき、上部金具4とX字状に交差する側の上側嵌合部22の略対角位置において、長手方向を上下方向に向けて左右各外側面から第2空洞部2bに連通して形成された断面略長円形状のガイド穴61a(図6参照)にそれぞれ摺動自在に嵌挿されている。そして、本体部21の上面および第2空洞部2bの上下面には、ガイド穴61aに連通して断面半円状のガイド溝61bが形成されており、ガイド穴61aに沿って押圧片61が摺動するとき、押圧片61の底辺および上辺がそれぞれガイド溝61bに案内される。
ここで、押圧片61は、斜辺が外方に位置するようにガイド穴61aに嵌挿されており、コンテナCtの下部すみ金具Fが押圧片61の斜辺に当接した際、押圧片61は、コンテナCtの重量によってガイド穴61aおよびガイド溝61bに沿って第2空洞部2b内に押し込まれる。
そして、押圧片61の先端は、第2空洞部2bにおいて、各アーム33に当接するように設定されており、例えば、上部金具4がねじりバネ34の付勢力によってストッパ24に当接するとき、押圧片61は、図6に示すように、シャフト3のアーム33に当接されて、ガイド穴61aおよびガイド溝61bに沿って外方に押し出されている。
安全機構8は、金具本体2の第4空洞部2eに嵌合可能であって、図7(a)に示すように、略十字状に形成された容器本体81と、容器本体81とほぼ上下対称に形成されて容器本体81の上方開口部を閉鎖する蓋体82(図7(d)参照)と、容器本体81に配置されて前後方向に移動自在な十字状の移動体83と、容器本体81と移動体83とに配設されて移動体83を常時前方に向けて付勢するスプリング84と、容器本体81の底面に形成された左右外方向に向かって下り勾配の傾斜面8x(図8(b)参照)をそれぞれ転動可能な転動体、例えば、一対のボール85と、移動体83の左右端縁と干渉しないように、容器本体81に設けられて、ボール85の収容空間を形成するガイド86と、から構成され、各ボール85は、容器本体81に設けられたガイド86、移動体83および容器本体81によって区画された左右方向に延びる空間を傾斜面8xに沿って転動することができる。
なお、容器本体81および蓋体82には、安全機構8が金具本体2の第4空洞部2eに配置された際、金具本体2の係止部21aおよび収容部21bに合致する係止部8aおよび収容部8bが形成されている。
また、移動体83には、前後方向に挿通孔(図示せず)が形成されており、移動体83の挿通孔に挿通されたコントロールケーブル72が、移動体83の前端と当接状態にある操作レバー71に止着されている。
ここで、容器本体81が水平状態にあるとき、各ボール85は、傾斜面8xの最下端位置である左右方向の内壁面に接触されている。このとき、コントロールケーブル72が後方に牽引されると、収容部8b,21b内にその内奥部まで若干余裕を有する状態で収容されている操作レバー71を介して移動体83は、スプリング84の付勢力に抗して後方に向けて移動することができ、この際、操作レバー71が収容部8bの内奥部に当接した状態で収容される(図7(b)参照)。
一方、容器本体81が水平状態から一定角度傾斜したとき、具体的には、傾斜面8xの勾配(本実施形態では、約5度に設定されている。)を越える角度傾斜すると(図8(a)参照)、いずれか一方のボール85は、ガイド86、移動体83および容器本体81によって区画された左右方向に延びる空間を傾斜面8xに沿って転動し、移動体83と容器本体81との間にボール85が介在することから、コントロールケーブル72が後方に牽引されたとしても、移動体83の移動が阻止される。このため、操作レバー71は、係止部8aに対応する位置から移動することがなく(図7(c)および図8(b)参照)、シャフト3の回動が阻止される。
なお、前述した実施形態の上部金具4の切欠部4xに代えて、図9に示すように、すみ金具Fの板厚に略相当する高さ位置の水平面と、上側嵌合部22の左右各外側面に連続する垂直面とによって形成された切欠部であってもよい。
また、安全機構8の転動体としてボール85を用いた場合を説明したが、ローラであってもよい
次に、このように構成されたコンテナ連結金具1の作動について説明する。
まず、初期状態では、図1および図2に示すように、上部金具4は、ねじりバネ34の付勢力によりストッパ24に当接され、コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にあり、その際、下部金具5は、金具本体2の下側嵌合部23と重なる位置にある。また、図6に示すように、押圧片61は、シャフト3のアーム33に当接されてガイド穴61aおよびガイド溝61bに沿って外方に押し出されている。さらに、操作レバー71は、金具本体2の収容部21b(安全機構8の収容部8b)に内奥部まで若干余裕を有して収容されている。
コンテナ連結金具1をコンテナCtのすみ金具Fの係合孔Faに取り付けるには、まず、操作ロッド241をスプリングの付勢力に抗して押し下げ、ストッパ24を、上側嵌合部22の上面から突出する位置から金具本体2の内方に退避させる。この際、ストッパ24による上部金具4の回動規制が解除されることから、ねじりバネ34の付勢力により上部金具4が上側嵌合部22と重なる位置までシャフト3を回動させる。この際、シャフト3が回動した分、コントロールケーブル72を介して操作レバー71が後方に牽引され、金具本体2の収容部21b(安全機構8の収容部8b)の内奥部に当接して収容される(図7(b)参照)。
この状態で、コンテナ連結金具1を持ち上げ、エプロンApにおいて、コンテナクレーンCrによって地上約1mの高さ位置に吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faを通して上部金具4を下部すみ金具Fに挿入する(図10参照)。この後、ねじりバネ34の付勢力に抗して操作レバー71を牽引すれば、シャフト3が時計回り方向に回動し、上部金具4は、下部すみ金具Fの内部において、係合穴Faと係合する位置に回動する。この際、上部金具4がすみ金具Fの係合穴Faに係合する位置に回動することにより、ストッパ24がスプリングの付勢力によって上側嵌合部22の上面から突出し、以後、上部金具4は、ストッパ24に当接してそれ以上ねじりバネ34の付勢力によって反時計回り方向に回動することが阻止され、下部すみ金具Fの係合穴Faと係合する位置に保持される。したがって、コンテナ連結金具1から手を離しても、上部金具4が下部すみ金具Fの係合穴Faと係合していることから、コンテナCtの下部すみ金具Fからのコンテナ連結金具1の脱落が確実に防止される。
この際、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にある。また、コンテナ連結金具1は、自重により下降し、上部金具4の切欠部4xが下部すみ金具Fの係合穴Faの内面側周縁部に接触して支持されるとともに、上側嵌合部22が下部すみ金具Fの係合孔Faに一部嵌合される(図11参照)。
コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faに上部金具4が係合してコンテナ連結金具1が取り付けられたならば、コンテナクレーンCrを利用してコンテナCtを吊り上げ、コンテナ船Shに積み込む。この際、前述したように、上部金具4は、ストッパ24に規制されて吊り上げられたコンテナCtの下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナCtをエプロンApからコンテナ船Shの甲板上に移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
一方、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にあることから、先に積み込まれた下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faを通して下部金具5を上部すみ金具Fに挿入することができる。この際、下側嵌合部23が上部すみ金具Fの係合孔Faに嵌合される(図12参照)。
なおも、上側コンテナCtを下降すれば、金具本体2の本体部21の下面が下側コンテナCtの上部すみ金具F上面に載置された後、上側コンテナCtは、上部金具4の切欠部4xの高さに相当する高さだけ下降する。このとき、下部すみ金具Fは、金具本体2の上側嵌合部22の外方に突出している押圧片61の斜辺に当接し、上側コンテナCtの重量を負荷することから、押圧片61は、ガイド穴61aおよびガイド溝61bに沿って金具本体2の第2空洞部2bに向けて押し込まれる。一方、押圧片61が金具本体2の第2空洞部2bに向けて押し込まれることにより、その先端が当接しているシャフト3のアーム33をねじりバネ34の付勢力に抗して押し出すことから、シャフト3は、時計回り方向に回動し、下側コンテナCtの上部すみ金具Fの内部において、下部金具5を係合孔Faに係合する位置に回動させる。同様に、上部金具4も、上側コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faにさらに係合する位置に回動させられる(図13参照)。そして、最終的に上側コンテナCtの下部すみ金具Fの下面が金具本体2の本体部21の上面に載置される。
この結果、上下のコンテナCtは、上部金具4および金具5がそれぞれすみ金具Fの係合孔Faと係合する位置に回動されたコンテナ連結金具1を介して連結される。
なお、シャフト3の時計回り方向の回動により、シャフト3に連結されたコントロールケーブル72を介して操作レバー71が金具本体2の収容部21bから係止部21aに対応する位置まで押し出される。
ところで、上下のコンテナCtをコンテナ連結金具1を介して連結した状態において、コンテナ船Shが横揺れし、水平面に対して一定角度以上傾斜すると、安全機構8において、一方のボール85が傾斜面8xに沿って転動し、移動体83とボール85とが干渉するため、移動体83の後方への移動が阻止される(図7(c)および図8(b)参照)。
すなわち、コンテナ船Shが横揺れあるいは縦揺れし、コンテナCtが傾斜または揺動によってジャンピングすることにより、その下部すみ金具Fが押圧片61から離脱した場合、下部金具5が下側嵌合部23と重なるように、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3を回動させようとする。しかしながら、この際、コントロールケーブル72が止着された操作レバー71は、ボール85によって後方への移動が阻止されている移動体83に当接しているため、移動することができない。
この結果、シャフト3、すなわち、下部金具5が下側嵌合部23と重なる位置に回動し、下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faから下部金具5が離脱し、コンテナ連結金具1による上下のコンテナCtの連結状態が解除されることを確実に防止することができる。
例えば、航海中に荒天が予想される場合、金具本体2の係止部21aに対応する位置にある操作レバー71を90度回動させて係止部21aに係止させる必要があり(図1鎖線位置および図7(d)参照)、それによってねじりバネ34の付勢力によるシャフト3の反時計回り方向の回動を阻止することができるが、仮に操作レバー71の回動操作を失念したとしても、安全機構8によってシャフト3のねじりバネ34による反時計回り方向の回動を阻止して、下部金具5が下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faから離脱することを確実に防止することができる。
一方、コンテナ船ShからコンテナCtを荷卸しする場合は、コンテナクレーンCrを介してコンテナCtを吊り上げればよい。すなわち、上側コンテナCtを吊り上げれば、まず、上側コンテナCtのみが上部金具4の切欠部4xの高さだけ上昇する。この際、上側コンテナCtの下部すみ金具Faが押圧片61の斜辺から離脱することにより、ねじりバネ34の付勢力によりシャフト3を反時計回り方向に回動させ、アーム33が押圧片61を押し出す。すなわち、シャフト3がねじりバネ34の付勢力により、上部金具4がストッパ24に当接する位置まで反時計同り方向に回動する。このとき、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にあることから、コンテナ連結金具1を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから離脱させることができる(図14参照)。
このように、上側コンテナCtを吊り上げるだけで、コンテナ連結金具1の下部金具5を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから確実に離脱させることができることから、作業者による作業具の操作あるいは高所作業などが不要となる。この場合、前述したように、上部金具4は、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナ船ShからエプロンApまで移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
コンテナCtをエプロンApに移送したならば、エプロンApにおいて、操作ロッド241を押し下げれば、ストッパ24が金具本体2の内方に退避されるため、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3が反時計回り方向に回動し、上部金具4を上側嵌合部22と重なる位置に回動させる。したがって、上部金具4を上側嵌合部22とともに、すなわち、コンテナ連結金具1をコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faから離脱させることができる。
なお、前述した実施形態においては、金具本体2にストッパ24を設け、ストッパ24に上部金具4を当接させて、上部金具4を、コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置に保持する場合を説明したが、ストッパ24に代えて、あるいは、ストッパ24とともに、金具本体2の前端部および安全機構8の前端部に、収容部21b,8bに直交するとともに、収容部21b,8bの深さよりも若干浅い深さの溝状の第2係止部を形成し、第2係止部に操作レバー71を係止して、上部金具4をコンテナCtにおけるすみ金具Fの係合孔Faに係合する位置に保持するようにしてもよい。
ところで、図15および図16には、本発明のコンテナ連結金具1の第2実施形態が示されている。
このコンテナ連結金具1の第2実施形態を説明するに際しては、先に説明したコンテナ連結金具1の第1実施形態を構成する部材と同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、第1実施形態と相違する回動機構6および安全機構8についてのみ説明する。
このコンテナ連結金具1における回動機構6としては、金具本体2の本体部21に出没自在に設けられた昇降部材62と、金具本体2の本体部21に空洞部2fに連通して形成された収納空間において、昇降部材62の下方に配置された複数個の屈折箇所を有するチェーンなどの屈折リンク63と、からなり、屈折リンク63の各屈折部には、図示しないねじりバネが設けられ、屈折リンク63は屈折する方向に付勢されている。そして、屈折リンク63の先端は、収納空間を通して金具本体2の空洞部2f内に突出し、その先端は、シャフト3に形成された被係合部3aに当接されている。また、昇降部材62は、屈折した屈折リンク63によって金具本体2の本体部21の上面を越えて突出されている。
一方、安全機構8としては、金具本体2の空洞部2fに一端が開口し、貫通穴2dの直径方向に延長して形成された下り勾配の一対の傾斜通路2xと、各傾斜通路2xに転動自在に配置された転動体としての複数個のボール85と、各傾斜通路2xの開口に対応してシャフト3に形成された一対の嵌合凹部3xと、からなり、伸展した屈折リンク63によってシャフト3が設定角度回動した位置にあるとき、金具本体2の各傾斜通路2xおよびシャフト3の各嵌合凹部3xがそれぞれ連通するように設定されている。
ここで、傾斜通路2xは、屈折リンク63を収容する収納空間と干渉しないように、一定角度変位した位置に180度間隔をおいて設けられている。
次に、このように構成されたコンテナ連結金具1の第2実施形態の作動について説明する。
まず、初期状態では、上部金具4は、ストッパ24に当接されてコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にあり、その際、下部金具5は、金具本体2の下側嵌合部23と重なる位置にある。また、昇降部材62は、屈折状態にある屈折リンク63の付勢力により上昇位置にあって、金具本体2の本体部21の上面から上方に突出されている。
コンテナ連結金具1をコンテナCtのすみ金具Fの係合孔Faに取り付けるには、まず、操作ロッド241を押し下げ、ストッパ24を金具本体2の内方に退避させる。この際、ねじりバネ34の付勢力により上部金具4が上側嵌合部22と重なる位置までシャフト3を回動させる。このため、シャフト3が回動した分、コントロールケーブル72を介して操作レバー71が後方に牽引され、金具本体2の収容部21bの内奥部に当接して収容される。
この状態で、コンテナ連結金具1を持ち上げ、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faを通して上部金具4を下部すみ金具Fに挿入する。この後、ねじりバネ34の付勢力に抗して操作レバー71を牽引すれば、シャフト3が時計回り方向に回動し、上部金具4は、下部すみ金具Fの内部において、係合穴Faと係合する位置に回動する。この際、ストッパ24がスプリングの付勢力によって上側嵌合部22の上面から突出し、以後、上部金具4は、ストッパ24に当接してそれ以上反時計回り方向に回動することが阻止され、下部すみ金具Fの係合穴Faと係合する位置に保持される。
この場合、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にある。また、コンテナ連結金具1は、自重により下降し、上部金具4の切欠部4xが下部すみ金具Fの係合穴Faの内面側周縁部に接触して支持されるとともに、上側嵌合部22が下部すみ金具Fの係合孔Faに一部嵌合されている。
コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faに上部金具4が係合してコンテナ連結金具1が取り付けられたならば、コンテナクレーンCrを利用してコンテナCtを吊り上げ、コンテナ船Shに積み込む。この際、上部金具4は、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナCtをエプロンApからコンテナ船Shの甲板上に移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
一方、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にあることから、先に積み込まれた下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faを通して下部金具5を上部すみ金具Fに挿入することができる。この際、下側嵌合部23が上部すみ金具Fの係合孔Faに嵌合される。
なおも、上側コンテナCtを下降すれば、金具本体2の本体部21の下面が下側コンテナCtの上部すみ金具F上面に載置された後、上側コンテナCtは、上部金具4の切欠部4xの高さに相当する高さだけ下降する。このとき、下部すみ金具Fは、金具本体2の本体部21の上方に突出している昇降部材62に当接し、上側コンテナCtの重量を負荷することから、昇降部材62を押し下げる。昇降部材62が下降すれば、屈折リンク63が伸展し、その先端がシャフト3の被係合部3aに当接して押し出すことから、シャフト3は、ねじりバネ34の付勢力に抗して時計回り方向に回動し、下側コンテナCtの上部すみ金具Fの内部において、下部金具5を係合孔Faに係合する位置に回動させる。同様に、上部金具4も、上側コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faにさらに係合する位置に回動させられる。そして、最終的に上側コンテナCtの下部すみ金具Fの下面が金具本体2の本体部21の上面に載置される。この際、回動したシャフト3の嵌合凹部3xが傾斜通路2xの開口と連通することから、シャフト3の嵌合凹部3xにボール85が対向する。
この結果、上下のコンテナCtは、上部金具4および金具5がそれぞれすみ金具Fの係合孔Faと係合する位置に回動されたコンテナ連結金具1を介して連結される。
ところで、上下のコンテナCtをコンテナ連結金具1を介して連結した状態において、コンテナ船Shが横揺れし、水平面に対して一定角度以上傾斜すると、安全機構8において、一側のボール85が傾斜通路2xに沿って転動し、シャフト3の嵌合凹部3xと金具本体2の傾斜通路2xにまたがることから、シャフト3の回動が阻止される。
すなわち、コンテナ船Shが横揺れあるいは縦揺れし、コンテナCtが傾斜または揺動によってジャンピングすることにより、その下部すみ金具Fが昇降部材62から離脱しても、ボール85によってシャフト3の回動が阻止されているため、ねじりバネ34の付勢力によって下部金具5が下側嵌合部23と重なる位置に回動することはない。
この結果、下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faから下部金具5、すなわち、コンテナ連結金具1が離脱し、コンテナ連結金具1による上下のコンテナCtの連結状態が解除されることを確実に防止することができる。
一方、コンテナ船ShからコンテナCtを荷卸しする場合は、コンテナクレーンCrを介してコンテナCtを吊り上げればよい。すなわち、上側コンテナCtを吊り上げれば、まず、上側コンテナCtのみが上部金具4の切欠部4xの高さだけ上昇する。この際、上側コンテナCtの下部すみ金具Faが昇降部材62から離脱することにより、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3を、上部金具4がストッパ24に当接する位置まで反時計回り方向に回動させる。このとき、下部金具5は、下側嵌合部23に重なる位置にあることから、コンテナ連結金具1を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから離脱させることができる。また、シャフト3の被係合部3aを介して屈折リンク63の先端を押し戻すことから、ねじりバネの付勢力と協働して屈折リンク63は屈折し、昇降部材62を押し上げる。
このように、上側コンテナCtを吊り上げるだけで、コンテナ連結金具1の下部金具5を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから確実に離脱させることができることから、作業者による作業具の操作あるいは高所作業などが不要となる。この場合、上部金具4は、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナ船ShからエプロンApまで移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
コンテナCtをエプロンApに移送したならば、エプロンApにおいて、操作ロッド241を押し下げれば、ストッパ24が金具本体2の内方に退避されるため、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3が反時計回り方向に回動し、上部金具4を上側嵌合部22と重なる位置に回動させる。したがって、上部金具4を上側嵌合部22とともに、すなわち、コンテナ連結金具1をコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faから離脱させることができる。
また、図17乃至図19には、本発明のコンテナ連結金具1の第3実施形態が示されている。
このコンテナ連結金具1の第3実施形態を説明するに際しても、先に説明したコンテナ連結金具1の第1実施形態を構成する部材と同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、第1実施形態と相違する回動機構6および安全機構8についてのみ説明する。
このコンテナ連結金具1における回動機構6としては、金具本体2の本体部21にその上面から空洞部2fに連通して形成された案内通路21dと、案内通路21dに摺動自在に収容された摺動部材64と、からなり、摺動部材64の先端は、案内通路21dを通して空洞部2f内に突出して、シャフト3の被係合部3aに当接されている。また、摺動部材64の上端は、金具本体2の本体部21の上面を越えて突出されている。
一方、安全機構8としては、金具本体2の空洞部2fの内周面側に180度間隔をおいて形成された一対の嵌合凹部2yと、シャフト3の外周面に180度間隔をおいて一端がそれぞれ開口され、開口から中心方向に向かって形成された一対の下り勾配の傾斜通路3yと、各傾斜通路3yに転動自在に配置された転動体としてのボール85と、からなり、摺動部材64によってシャフト3が設定角度回動した位置にあるとき、シャフト3の各傾斜通路3yおよび金具本体2の各嵌合凹部2yがそれぞれ連通するように設定されている。
次に、このように構成されたコンテナ連結金具1の第3実施形態の作動について説明する。
まず、初期状態では、上部金具4は、ストッパ24に当接されてコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にあり、その際、下部金具5は、金具本体2の下側嵌合部23と重なる位置にある。また、摺動部材64は、シャフト3の被係合部3aに当接して案内通路21dに沿って押し上げられており、その上端部は、金具本体2の本体部21の上面から突出されている。
コンテナ連結金具1をコンテナCtのすみ金具Fの係合孔Faに取り付けるには、まず、操作ロッド241を押し下げ、ストッパ24を金具本体2の内方に退避させる。この際、ねじりバネ34の付勢力により上部金具4が上側嵌合部22と重なる位置までシャフト3を回動させる。このため、シャフト3が回動した分、コントロールケーブル72を介して操作レバー71が後方に牽引され、金具本体2の収容部21bの内奥部に当接して収容される。また、シャフト3の被係合部3aは、摺動部材64の先端と接する位置で回動するため、摺動部材64に影響を与えることはない。
この状態で、コンテナ連結金具1を持ち上げ、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faを通して上部金具4を下部すみ金具Fに挿入する。この後、ねじりバネ34の付勢力に抗して操作レバー71を牽引すれば、シャフト3が時計回り方向に回動し、上部金具4は、下部すみ金具Fの内部において、係合穴Faと係合する位置に回動する。この際、ストッパ24がスプリングの付勢力によって上側嵌合部22の上面から突出し、以後、上部金具4は、ストッパ24に当接してそれ以上反時計回り方向に回動することが阻止され、下部すみ金具Fの係合穴Faと係合する位置に保持される。
この場合、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にある。また、コンテナ連結金具1は、自重により下降し、上部金具4の切欠部4xが下部すみ金具Fの係合穴Faの内面側周縁部に接触して支持されるとともに、上側嵌合部22が下部すみ金具Fの係合孔Faに一部嵌合されている。
コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faに上部金具4が係合してコンテナ連結金具1が取り付けられたならば、コンテナクレーンCrを利用してコンテナCtを吊り上げ、コンテナ船Shに積み込む。この際、上部金具4は、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナCtをエプロンApからコンテナ船Shの甲板上に移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
一方、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にあることから、先に積み込まれた下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faを通して下部金具5を上部すみ金具Fに挿入することができる。この際、下側嵌合部23が上部すみ金具Fの係合孔Faに嵌合される。
なおも、上側コンテナCtを下降すれば、金具本体2の本体部21の下面が下側コンテナCtの上部すみ金具F上面に載置された後、上側コンテナCtは、上部金具4の切欠部4xの高さに相当する高さだけ下降する。このとき、下部すみ金具Fは、金具本体2の本体部21の上方に突出している摺動部材64に当接し、上側コンテナCtの重量を負荷することから、摺動部材64を押圧し、案内通路21dに沿って摺動させる。摺動部材64が案内通路21dに沿って摺動すれば、その先端がシャフト3の被係合部3aに当接し、ねじりバネ34の付勢力に抗して押し出すことから、シャフト3は時計回り方向に回動し、下側コンテナCtの上部すみ金具Fの内部において、下部金具5を係合孔Faに係合する位置に回動させる。同様に、上部金具4も、上側コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faにさらに係合する位置に回動させられる。そして、最終的に上側コンテナCtの下部すみ金具Fの下面が金具本体2の本体部21の上面に載置される。この際、回動したシャフト3の各傾斜通路3yと、金具本体2の嵌合凹部2yが連通することから、金具本体2の嵌合凹部2yにボール85が対向する(図19参照)。
この結果、上下のコンテナCtは、上部金具4および金具5がそれぞれすみ金具Fの係合孔Faと係合する位置に回動されたコンテナ連結金具1を介して連結される。
ところで、上下のコンテナCtをコンテナ連結金具1を介して連結した状態において、コンテナ船Shが横揺れし、水平面に対して一定角度以上傾斜すると、安全機構8において、一方のボール85が傾斜通路3yに沿って転動し、シャフト3の傾斜通路3yと金具本体2の嵌合凹部2yとにまたがって位置することから、シャフト3の回動が阻止される(図19の鎖線位置参照)。
すなわち、コンテナ船Shが横揺れあるいは縦揺れし、コンテナCtが傾斜または揺動によってジャンピングすることにより、その下部すみ金具Fが摺動部材64から離脱しても、ボール85によってシャフト3の回動が阻止されているため、ねじりバネ34の付勢力によって下部金具5が下側嵌合部23と重なる位置に回動することはない。
この結果、下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faから下部金具5、すなわち、コンテナ連結金具1が離脱し、コンテナ連結金具1による上下のコンテナCtの連結状態が解除されることを確実に防止することができる。
一方、コンテナ船ShからコンテナCtを荷卸しする場合は、コンテナクレーンCrを介してコンテナCtを吊り上げればよい。すなわち、上側コンテナCtを吊り上げれば、まず、上側コンテナCtのみが上部金具4の切欠部4xの高さだけ上昇する。この際、上側コンテナCtの下部すみ金具Faが摺動部材64から離脱することにより、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3を、上部金具4がストッパ24に当接する位置まで反時計回り方向に回動させる。このとき、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にあることから、コンテナ連結金具1を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから離脱させることができる。この際、シャフト3の被係合部3aを介して摺動部材64の先端を押し戻すことから、摺動部材64は案内通路21dに沿って押し上げられる。
このように、上側コンテナCtを吊り上げるだけで、コンテナ連結金具1の下部金具5を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから確実に離脱させることができることから、作業者による作業具の操作あるいは高所作業などが不要となる。この場合、上部金具4は、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナ船ShからエプロンApまで移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
コンテナCtをエプロンApに移送したならば、エプロンApにおいて、操作ロッド241を押し下げれば、ストッパ24が金具本体2の内方に退避されるため、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3が反時計回り方向に回動し、上部金具4を上側嵌合部22と重なる位置に回動させる。したがって、上部金具4を上側嵌合部22とともに、すなわち、コンテナ連結金具1をコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faから離脱させることができる。
さらに、図20および図21には、本発明のコンテナ連結金具1の第4実施形態が示されている。
このコンテナ連結金具1の第4実施形態を説明するに際しても、先に説明したコンテナ連結金具1の第1実施形態を構成する部材と同一の部材には同一の符号を付してその詳細な説明を省略し、第1実施形態と相違する回動機構6および安全機構8についてのみ説明する。
このコンテナ連結金具1における回動機構6としては、シャフト3の外周面に沿って昇降自在に嵌挿された昇降部材65と、昇降部材65を上昇位置に付勢するスプリング66と、シャフト3の外周面に形成された螺旋溝3zと、からなり、昇降部材65の外周面には、180度変位して一対の操作部651が外方に向けて延出されるとともに、その先端は金具本体2の本体部21の上面を越えて突出されている。また、昇降部材65には、シャフト3の螺旋溝3zに嵌入されるピン652が設けられている。
一方、安全機構8としては、金具本体2の空洞部2fに一端が開口し、貫通穴2dの直径方向に延長して形成された一対の下り勾配の傾斜通路2xと、各傾斜通路2xに転動自在に配置された転動体としての複数個のボール85と、傾斜通路2xの開口に対応して昇降部材65に180度間隔をおいて形成された一対の嵌合凹部65xと、からなり、昇降部材65がスプリング66の付勢力によって上昇位置にあるとき、金具本体2の各傾斜通路2xおよび昇降部材65の各嵌合凹部65xは連通することがなく、一方、昇降部材65がスプリング66の付勢力に抗して下降位置にあるとき、金具本体2の各傾斜通路2xおよび昇降部材65の各嵌合凹部65xは連通するように設定されている。
ここで、傾斜通路2xおよび嵌合凹部65xは、操作部651と干渉しないように、一定角度変位した位置に180度間隔をおいて設けられている。
なお、金具本体2の本体部21には、スプリング68を介して本体部21の上面から突出するように付勢された押圧部材67が出没自在に設けられており、押圧部材67がスプリング68の付勢力によって上昇位置にあるとき、ボール85は、傾斜通路2x内に収容され、また、押圧部材67がスプリング68の付勢力に抗して下降位置にあるとき、ボール85は、傾斜通路2xに沿って押し出され、先方のボール85が昇降部材65の各嵌合凹部65xに収容されるように設定されている。この場合、押圧部材67の、金具本体2の本体部21上面からの突出高さは、昇降部材65の操作部651の突出高さよりも、小さく設定されている。
次に、このように構成されたコンテナ連結金具1の第4実施形態の作動について説明する。
まず、初期状態では、上部金具4は、ストッパ24に当接されて、コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faに係合する位置にあり、その際、下部金具5は、金具本体2の下側嵌合部23と重なる位置にある。また、昇降部材65は、スプリング66の付勢力により上昇位置にあって、その操作部651は、金具本体2の本体部21の上面から上方に突出されている。さらに、操作レバー71は、金具本体2の収容部21bに内奥部まで若干余裕を有して収容されている。
コンテナ連結金具1をコンテナCtのすみ金具Fの係合孔Faに取り付けるには、まず、操作ロッド241をスプリングの付勢力に抗して押し下げ、ストッパ24を、上側嵌合部22の上面から突出する位置から金具本体2の内方に退避させる。この際、ねじりバネ34の付勢力により上部金具4が上側嵌合部22と重なる位置までシャフト3を回動させる。このため、シャフト3が回動した分、コントロールケーブル72を介して操作レバー71が後方に牽引され、金具本体2の収容部21bの内奥部に当接して収容される。また、シャフト3が回動することにより、昇降部材65のピン652に螺旋溝3zは干渉せず、昇降部材65を上昇させることはない。
この状態で、コンテナ連結金具1を持ち上げ、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faを通して上部金具4を下部すみ金具Fに挿入する。この後、操作レバー71を牽引すれば、シャフト3が時計回り方向に回動し、上部金具4は、下部すみ金具Fの内部において、係合穴Faと係合する位置に回動する。この際、ストッパ24がスプリングの付勢力によって上側嵌合部22の上面から突出し、以後、上部金具4は、ストッパ24に当接してそれ以上反時計回り方向に回動することが阻止され、下部すみ金具Fの係合穴Faと係合する位置に保持される。また、シャフト3が一定角度時計回り方向に回動することにより、昇降部材65に対するシャフト3の螺旋溝3zの関係は、図20に示した状態に復帰している。
この場合、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にある。また、コンテナ連結金具1は、自重により下降し、上部金具4の切欠部4xが下部すみ金具Fの係合穴Faの内面側周縁部に接触して支持されるとともに、上側嵌合部22が下部すみ金具Fの係合孔Faに一部嵌合されている。
コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合穴Faに上部金具4が係合してコンテナ連結金具1が取り付けられたならば、コンテナクレーンCrを利用してコンテナCtを吊り上げ、コンテナ船Shに積み込む。この際、上部金具4は、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナCtをエプロンApからコンテナ船Shの甲板上に移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
一方、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にあることから、先に積み込まれた下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faを通して下部金具5を上部すみ金具Fに挿入することができる。この際、下側嵌合部23が上部すみ金具Fの係合孔Faに嵌合される。
なおも、上側コンテナCtを下降すれば、金具本体2の本体部21の下面が下側コンテナCtの上部すみ金具F上面に載置された後、上側コンテナCtは、上部金具4の切欠部4xの高さに相当する高さだけ下降する。このとき、下部すみ金具Fは、金具本体2の本体部21の上方に突出している昇降部材65の操作部651に当接し、上側コンテナCtの重量を負荷することから、操作部651を介して昇降部材65をシャフト3に沿って押し下げる。昇降部材65がスプリング66の付勢力に抗して下降すれば、昇降部材65に設けられたピン652も下降し、シャフト3の螺旋溝3zを押し下げることから、シャフト3は、時計回り方向に回動し、下側コンテナCtの上部すみ金具Fの内部において、下部金具5を係合孔Faに係合する位置に回動させる。同様に、上部金具4も、上側コンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faにさらに係合する位置に回動させられる。そして、最終的に上側コンテナCtの下部すみ金具Fの下面が金具本体2の本体部21の上面に載置される。
一方、コンテナCtの下降に際して、下部すみ金具Fが昇降部材65の操作部651に当接し、昇降部材65をシャフト3に沿って押し下げ始めると、次いで、押圧部材67にも当接し、スプリング68の付勢力に抗して押圧部材67を押し下げる。このため、傾斜通路2xに配置されたボール85は、押圧部材67により傾斜通路2xに沿って押し上げられ、先方のボール85を先に下降を開始している昇降部材65の嵌合凹部65xに収容させる。この場合、ボール85の戻りは、押圧部材67によって阻止されている。
この結果、上下のコンテナCtは、上部金具4および金具5がそれぞれすみ金具Fの係合孔Faと係合する位置に回動されたコンテナ連結金具1を介して連結される。
なお、シャフト3の時計回り方向の回動により、シャフト3に連結されたコントロールケーブル72を介して操作レバー71が金具本体2の収容部21bから係止部21aに対応する位置まで押し出されている。
ところで、上下のコンテナCtをコンテナ連結金具1を介して連結した状態において、コンテナ船Shが横揺れし、水平面に対して一定角度以上傾斜すると、安全機構8において、一方のボール85が傾斜通路2xに沿って転動し、昇降部材65の嵌合凹部65xと金具本体2に形成された傾斜通路2xにまたがることから、昇降部材65の上昇が阻止される。
すなわち、コンテナ船Shが横揺れあるいは縦揺れし、コンテナCtが傾斜または揺動によってジャンピングすることにより、その下部すみ金具Fが操作部651から離脱しても、押圧部材67からも離脱しない限り、ボール85が昇降部材65の嵌合凹部65xに収容されているため、昇降部材65の上昇が阻止される。ここで、シャフト3の時計回り方向の回動は、昇降部材65の上昇によってなされることから、昇降部材65の上昇が規制されている以上、ねじりバネ34の付勢力によって下部金具5が下側嵌合部23と重なる位置に回動することはない。
この結果、下側コンテナCtにおける上部すみ金具Fの係合孔Faから下部金具5、すなわち、コンテナ連結金具1が離脱し、コンテナ連結金具1による上下のコンテナCtの連結状態が解除されることを確実に防止することができる。
一方、コンテナ船ShからコンテナCtを荷卸しする場合は、コンテナクレーンCrを介してコンテナCtを吊り上げればよい。すなわち、上側コンテナCtを吊り上げれば、まず、上側コンテナCtのみが上部金具4の切欠部4xの高さだけ上昇する。この際、上側コンテナCtの下部すみ金具Fは、押圧部材67および操作部651から同時に離脱を開始することにより、まず、ボール85が傾斜通路2xに沿って転動し、昇降部材65の嵌合凹部65xから抜け出すとともに、スプリング66の付勢力によって昇降部材65を上昇させ、昇降部材65のピン652がシャフト3の螺旋溝3zを押し上げる。合わせて、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3を反時計回り方向に回動させ、上部金具4がストッパ24に当接する位置まで回動させる。この際、下部金具5は、下側嵌合部23と重なる位置にあることから、コンテナ連結金具1を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから離脱させることができる。
このように、上側コンテナCtを吊り上げるだけで、コンテナ連結金具1の下部金具5を下側コンテナCtの上部すみ金具Fから確実に離脱させることができることから、作業者による作業具の操作あるいは高所作業などが不要となる。この場合、上部金具4は、吊り上げられたコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faと係合する位置にあるため、コンテナ船ShからエプロンApまで移送するまでの間、コンテナ連結金具1がコンテナCtの下部すみ金具Fから脱落することはない。
コンテナCtをエプロンApに移送したならば、エプロンApにおいて、操作ロッド241を押し下げれば、ストッパ24が金具本体2の内方に退避されるため、ねじりバネ34の付勢力によってシャフト3が反時計回り方向に回動し、上部金具4を上側嵌合部22と重なる位置に回動させる。したがって、上部金具4を上側嵌合部22とともに、すなわち、コンテナ連結金具1をコンテナCtにおける下部すみ金具Fの係合孔Faから離脱させることができる。
なお、前述した第4実施形態においては、シャフト3に螺旋溝3zを形成する一方、昇降部材65にピン652を設けて螺旋溝3zに嵌入した場合を例示したが、昇降部材65の内周面側に螺旋溝を形成する一方、シャフト3にピンを設けて螺旋溝に嵌入してもよい。
また、前述した実施形態において、傾斜通路2x,3yは必ずしも貫通孔2dの直径方向またはその延長方向、すなわち、180度間隔をおいて形成される場合に限定するものではなく、また、前後方向に対する傾斜角度も任意に設定することができる。さらに、傾斜通路2x,3yの勾配も5度に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
以上説明したように、本発明のコンテナ連結金具によれば、構造がきわめて簡単でありながら、その使用において、積み込むコンテナを下側コンテナに重ねるだけで自動的に、かつ、確実に両コンテナを連結することができ、また、連結状態にある上側コンテナを吊り上げるだけで自動的に、かつ、確実に下側コンテナから離脱させることができ、作業具の操作や高所作業が不要となり、操作及び安全性においても有益である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナのすみ金具の係合孔に嵌合可能な上側嵌合部および下側嵌合部を有する金具本体と、金具本体に回転自在に軸支されたシャフトと、シャフトの上端および下端にそれぞれ一体に連結され、コンテナのすみ金具の係合孔に係合可能な上部金具および下部金具と、シャフトを回動させる操作部材と、から構成され、前記金具本体には、コンテナの負荷が作用することによってシャフトを回動させる回動機構が設けられ、また、シャフトには、上部金具を上側嵌合部と重なる位置に回動するように付勢するバネ手段が設けられ、さらに、上部金具の、コンテナのすみ金具の係合孔に係合する側の対角位置の下面側隅角部に切欠部が形成されてなり、操作部材を介して上部金具がバネ手段の付勢力に抗してコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置にあるとき、下部金具は下側嵌合部と重なる位置にあり、また、コンテナのすみ金具が回動機構を押圧した際、シャフトをバネ手段の付勢力に抗して回動させ、下部金具をコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に回動させ、一方、コンテナのすみ金具が上部金具の切欠部に沿って上昇して回動機構から離脱した際、シャフトをバネ手段の付勢力によって回動させ、下部金具を下側嵌合部と重なる位置に回動させることを特徴とするコンテナ連結金具。
【請求項2】
前記回動機構は、金具本体に形成されたガイド穴およびガイド溝に沿って摺動自在に嵌挿された略直角三角形状の押圧片であって、コンテナのすみ金具によって押圧された押圧片が摺動することによりシャフトを回動させることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項3】
前記回動機構は、昇降自在な昇降部材と、昇降部材に当接され、常時屈折する方向に付勢された屈折リンク機構と、から構成され、コンテナのすみ金具によって押圧された昇降部材を介して屈折リンク機構が伸展することによりシャフトを回動させることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項4】
前記回動機構は、金具本体に形成された案内通路に沿って摺動自在な摺動部材であって、コンテナのすみ金具によって押圧された摺動部材が案内通路に沿って摺動することによりシャフトを回動させることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項5】
前記回動機構は、シャフトの外周面に沿って昇降自在であり、内方に向けて突出するピンを有する昇降部材と、シャフトに形成され、昇降部材のピンが嵌入された螺旋溝と、昇降部材を上昇位置に付勢するスプリングと、から構成され、コンテナのすみ金具によって押圧された昇降部材が下降することによりシャフトを回動させることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項6】
前記回動機構は、シャフトの外周面に沿って昇降自在であり、内周面に螺旋溝が形成された昇降部材と、シャフトに設けられ、昇降部材の螺旋溝に嵌入されたピンと、昇降部材を上方位置に付勢するスプリングと、から構成され、コンテナのすみ金具によって押圧された昇降部材が下降することによりシャフトを回動させることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項7】
前記操作部材は、操作レバーと、一端を操作レバーに、他端をシャフトにそれぞれ連結された連結具と、から構成され、また、金具本体には、操作レバーを係止可能な係止部と、操作レバーを収容可能な収容部が形成されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項8】
前記金具本体の上側嵌合部の一隅部には、その上面から突出する方向に付勢されて上下方向に出没自在なストッパが設けられ、上部金具をストッパに当接させてコンテナのすみ金具の係合孔に係合する位置に保持することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項9】
前記金具本体には、コンテナ連結金具が水平面に対して一定角度傾斜した際に、バネ手段の付勢力によるシャフトの回動を阻止する安全機構が設けられていることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第8項のいずれかに記載のコンテナ連結金具。
【請求項10】
前記安全機構は、金具本体に設置された容器本体と、容器本体の上方開口部を覆う蓋体と、容器本体に対して前後方向に移動自在に設けられ、連結具が挿通されるとともに、操作レバーが当接された移動体と、容器本体に形成された外方向に向かう下り勾配の傾斜面に配置されて転動自在な転動体と、からなり、設定角度を越えて傾斜した際、転動体によって移動体の移動が阻止されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項11】
前記安全機構は、金具本体に形成された外方向に向かう下り勾配の傾斜通路と、傾斜通路に配置されて転動自在な転動体と、シャフトに形成された嵌合凹部と、からなり、シャフトが伸展した屈折リンク機構によって回動位置にあるとき、金具本体の傾斜通路とシャフトの嵌合凹部が連通し、その状態で、設定角度を越えて傾斜した際、転動体が嵌合凹部に嵌合してシャフトの回動が阻止されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項12】
前記安全機構は、シャフトに形成された外方向に向かう上り勾配の傾斜通路と、傾斜通路に配置されて転動自在な転動体と、金具本体に形成された嵌合凹部と、からなり、シャフトが摺動した摺動部材によって回動位置にあるとき、シャフトの傾斜通路と金具本体の嵌合凹部が連通し、その状態で、設定角度を越えて傾斜した際、転動体が嵌合凹部に嵌合してシャフトの回動が阻止されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のコンテナ連結金具。
【請求項13】
前記安全機構は、金具本体に形成された外方向に向かう下り勾配の傾斜通路と、傾斜通路に配置されて転動自在な転動体と、昇降部材に形成された嵌合凹部と、からなり、昇降部材が下降位置にあるとき、金具本体の傾斜通路と昇降部材の嵌合凹部が連通し、その状態で、設定角度を越えて傾斜した際、転動体が嵌合凹部に嵌合して昇降部材の上昇が阻止されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載のコンテナ連結金具。

【国際公開番号】WO2004/108564
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500525(P2005−500525)
【国際出願番号】PCT/JP2003/006960
【国際出願日】平成15年6月2日(2003.6.2)
【出願人】(597141003)株式会社マリフィット (1)
【出願人】(598109224)株式会社三和 (2)
【出願人】(500275658)
【Fターム(参考)】