説明

コンテナ

【課題】 従来、フィルムロールの輸送は、平坦な基台にプレートからなる受け台を対向して配し、この受け台にフィルムロールのコアを固定させ、さらに、箱形の蓋体をフィルムロールの上から基台にかぶせている。この手段はフィルムロールの外気への露出が多く、又、輸送中の振動も多く、フィルムロールが湿気を帯び埃を受け損傷し易い。従来技術の不具合を解消するフィルムロール用コンテナを提供する
【解決手段】アルミニウム合金製の箱形の容器本体2内にガイド体13を配し、コアホルダー14をガイド体に沿って配し、コアホルダーにフィルムロール12のコア15を嵌合させる。蓋体3は錠5を介して容器本体に係止される。容器本体の張出部8がコンテナの強度を高めかつその下面10が使用者の手掛かりとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムロール用のコンテナに関し、特に詳述すれば、密閉式の輸送に適したアルミニウム合金製のコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板用の銅箔、誘電体層やカラーフィルター用の転写フィルムは、円筒状のコアに巻きつけフィルムロールとしてコンテナに一本ずつ収容し輸送している。
この種のフィルムロールの輸送には、フィルムロールの巻きゆるみや端面ずれがないようコンテナに確実に固定する必要があり、さらに、輸送中にフィルムロールに微細な異物や結露の付着或いは湿気を帯びることを防止する必要がある。
【0003】
このような要求を満たすためのコンテナが開発提供されているが、その一例は、ステンレス製の平らな基台の対向側部にフィルムロールのコアを受ける受け台を立設し、フィルムロールのコアの端部を受け台に支持させ押さえ部材にてコアを受け台に固定させるものである。基台にフィルムロールを固定保持した後、箱形の蓋体の側縁を基台に係止させて、フィルムコアをコンテナに収容させている。
さらに、基台の下面にパレットを一体に設け、フォークリフトによる移動を可能とさせ、かつ蓋体の頂面に突部を設け蓋体の上にずれのないコンテナの積み重ねを可能とさせている。
【0004】
【特許文献1】実公平5−11169号公報
【特許文献2】特開2003−104480号公報
【特許文献3】実開平2−94808号公報
【特許文献4】特開2002−205989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来例では、平らな基台の上にフィルムロールを固定した後、箱形の蓋体を基台に係止させているが、蓋体を取り外した状態ではフィルムロールが外部に完全に露出する。
このことから、フィルムは空気中の埃や湿気に直接さらされることになり、フィルムの品質を劣化させる。さらに、基台の側部に立設した受け台は、一枚のプレートよりなり、搬送中の振動を受け易く隣り合わせのフィルムロールを接触させ、又、蓋体の内壁に接触させてフィルムロールを損傷させている。
加えて、ステンレス製のコンテナは重く取扱いが不便である。
【0006】
それ故に、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するために、基本的には、容器本体の内壁面にガイド体を固定し、フィルムロールのコアを受けるコアホルダーをこのガイド体を用いて容器本体内に配置可能とし、さらに、箱形の容器本体の対向壁面に張出部を設け、この張出部により容器本体の強度を確保する技術手段を用いる。
この手段の採用は、蓋体を外したとき、フィルムロールの外部への露出を防止するので埃や湿気を受け難くなる。
【0008】
本発明によれば、箱形の容器本体と、容器本体の開口部を閉じる蓋体とを有し、容器本体の対向する内壁面にガイド体を固定し、ガイド体にコアホルダーを保持させ、フィルムロールのコアを該コアホルダーに支持させるアルミニウム合金製のフィルムロール用コンテナが提供される。
【0009】
好ましくは、容器本体の開口部周辺に側外方への張出部を有し、張出部の上面に蓋体の周縁が対向しかつ下面が使用者の手掛かりとなる。さらに、蓋体の上面に、積み重ねるコンテナの底面を受ける凹部が形成されている。
【0010】
さらに、好ましくは、ガイド体が複数個離間して配され、ガイド体間にコアホルダーが挿入される。又、容器本体の底面にパレットを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンテナはアルミニウム合金製であることから、軽量にして、堅牢であり、耐久性に優れ、長期間の繰り返し使用が可能である。
コンテナ内面両端部にガイド体を設け、製品が確実に収納でき作業効率を向上させている。また、ガイド体を複数設けることで、製品幅の違いにも対応可能となる。蓋体の上部に段差を設け段積み時に上段のスキッドが嵌合し、荷崩れのない安全性の高い段積みが可能となる。
本発明のコンテナはアルミニウム合金板の溶接構造方式であり、製品や目的にあわせて寸法や形状が自由に製作できる。
【0012】
アルマイト処理を施すことで、表面は質感が美しい上に滑らかで汚れが付きにくく、ささくれや屑・錆の心配もない。また静電気による粉塵の吸着もないので、異物侵入を嫌うクリーンな使用環境に最適である。
アルミニウム合金は、100%リサイクル出来、スクラップにする場合でも高値で引き取られ、リサイクル時のエネルギーも少なく、省エネルギー・省資源で環境に優しいコンテナである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照する。コンテナ1は、容器本体2と、蓋体3と、パレット4を有す。容器本体2と蓋体3とは、アルミニウム合金のプレートをプレスと溶接手段を用いて組み立てる。
蓋体3は、容器本体2に蝶番6と錠5を用いて固定される。
図2、図3及び図4を参照する。容器本体2は、開口縁7の周辺に張出部8を設ける。張出部8は上面9と下面10とを有し、下面10は使用者の手掛かりとして使用されるとともに、容器本体2の強度を高める。長手方向の端面に張出部8により画定される溝の少なくとも一部を覆うカバー11をリベット又は溶接手段により取り付ける。カバー11は、収容されるコアホルダー14の端縁が張出部8の溝に入るのを防止する。
【0014】
容器本体2の対向側面にガイド体13を設ける。ガイド体13は、アルミニウム合金又はステンレスのL形材からなり、その上部に傾斜面を設け、容器本体2の各側面にリベット又は溶接手段により取り付ける。
ガイド体13と容器本体2の端面との間にコアホルダー14を挿入し、コアホルダー14の容器本体2内での動きを阻止させる。フィルムロール12は、そのコア15をコアホルダー14の突部に嵌合させ、フィルムロール12を担持したコアホルダー14をガイド体13と容器本体2の端面との間に挿入することで、容器本体2内に収容される。
【0015】
図5と図6に示す例は、離間したガイド体13−1,13−2,13−3を用いた例である。本例では、コアホルダー14をA1,A2,A3の何れか一つの空間に挿入し、長さの異なるフィルムロール12の容器本体2内への収容を可能とさせている。
【0016】
蓋体3は、その側縁に下向きのフランジ部16を有し、フランジ部16の下部は、蓋体3を容器本体2に係止したとき張出部8の上面9に対向又は当接する。
蓋体3の平坦部内面にシール材17を貼り付ける。シール材17は、容器本体2の開口縁7と密着し、蓋体3を介して外気が容器本体2内に入るのを防止する。また、シール材11は、蓋体3の平坦部全内面、あるいは容器本体2の開口縁と密着する蓋体3の周縁部に貼り付けることができる。シール材11の材質は、例えば、シリコンスポンジゴムを使用する。
【0017】
図4を参照する。蓋体3は容器本体2に錠5により係止される。錠5は容器本体2側のレバー18とフック19と、蓋体3側の金具20とからなり、フック19を金具20に係止させ、レバー18を倒すことで係止、即ち施錠状態を得る。解錠のためにはレバー18を戻し、フック19を金具20より外した状態とすればよい。蓋体3は容器本体2に錠5とは反対側で蝶番(ヒンジ)6を用いて止着させられている。よって、解錠し、蓋体3を開とさせても蓋体3が容器本体2から離れることはない。
アルミニウム合金の形材を容器本体2に溶接し、張出部8としてもよい。形材の断面形状は任意に選択される。
【0018】
蓋体3の上面9に、図1と図4に示される如く凹部21を形成する。凹部21は容器本体2の底部のパレット4を受ける形状に相当し、コンテナ1の積み重ねを可能にし、コンテナの積層状態での各コンテナ1のずれと荷崩れを防止する。パレット4は、コンテナ1の底部にリベット止めする。
凹部21に代えて、図7に示すように蓋体3の上面9のコーナ部にL形の滑り止め具22を溶接又はプレス成形により設けてもよい。図8に示す如く、コンテナ1を積み重ねたときのコンテナ1の滑り落ちが滑り止め具22によって防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一例のフィルムロール用コンテナの斜視図である。
【図2】容器本体内部に設けたガイド体を示す部分斜視図である。
【図3】図1の矢視III−IIIより見た断面図である。
【図4】容器本体の張出部の内側に配したカバーを示す側面図である。
【図5】別のガイド体を用いた第2の例を示す部分斜視図である。
【図6】図1の矢視III−IIIより見た第2の例の断面図である。
【図7】蓋体の別の例を示す平面図である。
【図8】コンテナを積み重ねた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 コンテナ
2 容器本体
3 蓋体
4 パレット
5 錠
6 蝶番
7 開口縁
8 張出部
10 下面(手掛かり部)
11 カバー
12 フィルムロール
13,13−1,13−2,13−3 ガイド体
14 コアホルダー
15 コア
16 フランジ部
21 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形の容器本体と、容器本体の開口部を閉じる蓋体とを有し、容器本体の対向する内壁面にガイド体を固定し、ガイド体にコアホルダーを保持させ、フィルムロールのコアを該コアホルダーに支持させるアルミニウム合金製フィルムロール用コンテナ。
【請求項2】
容器本体の開口部周辺に側外方への張出部を有し、張出部の上面に蓋体の周縁が対向しかつ下面が使用者の手掛かりとなる請求項1記載のコンテナ。
【請求項3】
蓋体の上面に、積み重ねるコンテナの底面を受ける凹部が形成されている請求項2記載のコンテナ。
【請求項4】
ガイド体が複数個離間して配され、ガイド体間にコアホルダーが挿入される請求項2記載のコンテナ。
【請求項5】
容器本体の底面にパレットを有する請求項3又は4記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−103785(P2006−103785A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296008(P2004−296008)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【Fターム(参考)】