説明

コンテナ

【課題】内部が複数の収容部屋に仕切られたコンテナにおいて、各収容部屋からカンバンを容易に取り出し可能なコンテナを提供する。
【解決手段】本発明のコンテナ10における1対の内側面22A,22Aには、上下方向の中間に段差部30D,30Dが設けられ、その段差部30Dの上面がカード載置部30とされ、段差部30Dより下側に複数の縦溝31を陥没形成されている。そして、縦溝31に両側部が係合した複数の仕切板11によってコンテナ10内が複数の収容部屋10Rに仕切られ、各収容部屋10Rに荷物40と共にカンバン41を収容される。そして、カンバン41の両側部がカード載置部30に載置されて、収容部屋10Rの上側位置で安定し、これにより、必要に応じてカンバン41を摘んで収容部屋10Rから容易に取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部が複数の収容部屋に仕切られたコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナを用いて搬送される荷物を、所謂、カンバン方式で管理する場合には、荷物に係る情報を記載したカード即ちカンバンがコンテナと共に搬送される。ここで、コンテナに収容した複数の荷物全体を1つのカンバンで管理する場合には、例えば、外側面にカンバン保持用のカードホルダを備えたコンテナが用いられる(例えば、特許文献1参照)。また、コンテナに収容した複数の荷物を複数のカンバンで管理する場合には、例えば、内部を複数の収容部屋に仕切ったコンテナが用いられ、カンバンが各収容部屋に荷物と共に収容される(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−137479号公報(段落[0017]、第1図、第2図)
【特許文献2】実開平5−95842号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記したようにカード(カンバン)を用いて荷物を管理する場合には、カードを容易に取り出し可能な状態に維持することが求められる。ところが、複数の収容部屋に仕切られた従来のコンテナでは、カンバンが収容部屋の底部に収容されて取り出し難くなる事態が生じ得た。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、内部が複数の収容部屋に仕切られたコンテナにおいて、各収容部屋からカンバンを容易に取り出し可能なコンテナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るコンテナは、仕切板にて内部が複数の収容部屋に仕切られ、それら収容部屋毎に荷物と共に荷物の情報を記載したカードを収容可能なコンテナにおいて、互いに対向した1対の内側面に、仕切板の両側縁部が係合した縦溝と、カードの両側部を載置可能なカード載置部とを形成しかつ、カード載置部を各収容部屋の上下方向の中間に配置したところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンテナにおいて、縦溝は、仕切板の上下方向の中間より下側部分にのみ係合するように配置され、仕切板の上下方向の中間より上側部分を湾曲変形させて収容部屋の上面開口を拡開可能としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のコンテナにおいて、1対の内側面における上下方向の中間に段差部を設けて、段差部より下側で内側面同士を接近させた構造とし、段差部の上面をカード載置部とし、縦溝を段差部より下側の内側面に陥没形成したところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載のコンテナにおいて、仕切板の上縁部には、カードに記載された情報を視認可能とするための切り欠き部が形成されているところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載のコンテナにおいて、カードの上縁部が、仕切板より上方に位置するように、カード載置部から仕切板の上縁部までの高さを設定したところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
[請求項1の発明]
請求項1のコンテナによれば、仕切板にて仕切られた複数の収容部屋にそれぞれ荷物を挿入すると、各荷物は、収容部屋の内側面によって四方を囲まれた状態になって安定する。そして、各収容部屋に荷物の情報を記載したカードを収容したときに、各収容部屋の上下方向の中間に位置したカード載置部にカードの両側部が載置されると共に、各カードが厚さ方向で収容部屋の内面と荷物との間に挟まれてカード載置部から起立した状態に維持される。これにより、各カードが各収容部屋の上側位置で安定し、必要に応じてカードを摘んで収容部屋から容易に取り出すことができる。
【0011】
[請求項2の発明]
請求項2のコンテナによれば、仕切板の上側部分を湾曲変形させて収容部屋の上面開口を拡開することができるので、収容部屋に対する荷物及びカードの挿入作業及び取り出し作業を容易に行うことができる。
【0012】
[請求項3の発明]
上記仕切板が係合した縦溝は、コンテナの内側面に陥没形成してもよいし、コンテナの内側面に突出形成した1対の縦リブの間を縦溝としてもよい。また、カード載置部は、コンテナの内側面から突出した横リブの上面であってもよいし、コンテナの内側面に形成した段差部の上面であってもよい。そして、請求項3の構成のように、コンテナの1対の内側面に段差部を設け、その段差部の上面をカード載置部とし、縦溝を段差部より下側の内側面に陥没形成すれば、縦リブ及び横リブにて縦溝及びカード載置部を構成した場合に比べて簡素な構造にすることができる。
【0013】
[請求項4の発明]
請求項4の構成によれば、カードを収容部屋に収容した状態のままで、カードに記載された情報を仕切板の切り欠き部を通して取得することができる。
【0014】
[請求項5の発明]
請求項5の構成によれば、カードを収容部屋に収容した状態で、カードの上縁部が仕切板より上方に位置するので、カードを収容部屋に収容した状態のままで、カードの上縁部に記載された情報を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のコンテナ10は、上面開放の直方体形状をなし、平面形状(上方から見た形状)が長方形になっている。コンテナ10のうち平面形状長方形の短辺を構成する第1の側壁21,21には、その外面下端部に持ち手部24が陥没形成されている。また、コンテナ10のうち平面形状長方形の長辺を構成する第2の側壁22,22には、その外面上寄り位置に外側ラベル貼付凹部25が陥没形成されている。この外側ラベル貼付凹部25には、必要に応じて例えばコンテナ10を所有する会社名を記載したラベルが貼り付けられる。
【0016】
第2の側壁22,22の内側面22A,22Aにおける上下方向の中間には、図4に示すように、段差部30D,30Dが形成されている。段差部30Dは、図3に示すように、内側面22Aにおける上下方向の略中央に位置し、段差部30D,30Dより下側で、内側面22A,22A同士が接近している。
【0017】
第1の側壁21,21の内側面21A,21Aにおける上下方向の略中央にも段差部28,28が形成され、段差部28,28より下側で、内側面21A,21A同士が接近している。そして、第1の側壁21における段差部28の上面と第2の側壁22における段差部30Dの上面とが、面一になって連続している。即ち、コンテナ10は、内側面全体が段差部28,30Dによって上下方向で2分された構造になっている。
【0018】
第2の側壁22,22のうち段差部30Dより下側の内側面22Aには、複数の縦溝31が等間隔に配置されて形成されている。また、各縦溝31の上端部は、上方に向かって徐々に幅広になって段差部30Dの上面で開放している。そして、段差部30Dのうち縦溝31の上面開口を除いた部分が、本発明に係るカード載置部30になっている。
【0019】
各縦溝31は、内側面22A,22Aの下端部まで延びている。そして、図4に示すように、第2の側壁22,22の間で対向した1対の縦溝31,31毎に、仕切板11の両側縁部が上方からそれぞれ挿入されている。これにより、図1に示すように、コンテナ10内で複数の仕切板11が平行かつ等間隔に並べた状態になり、それら複数の仕切板11によってコンテナ10の内部が複数の収容部屋10Rに仕切られている。
【0020】
なお、仕切板11及びコンテナ10のうち仕切板11を除くコンテナ本体20は共に樹脂の成形品であると共に、仕切板11には、コンテナ本体20より可撓性が高い樹脂が使用されている。
【0021】
図2に示すように、仕切板11は全体が四角形になっており、その上縁部における中央に横長の長方形の切り欠き部12が形成されている。そして、仕切板11は、図4に示すように、縦溝31の下端部まで挿入されてコンテナ10の底壁23に突き当てられ、複数の仕切板11の上端部は、コンテナ10における段差部30Dの上面と第1の側壁21,22の上面との中間に位置している。
【0022】
各収容部屋10Rには、1つの荷物40と1枚のカンバン41(本発明に係る「カード」に相当する)とがセットにされてそれぞれ収容される。荷物40は、例えば、図2に示すように、矩形の厚板構造をなしている。その荷物40の厚さは、収容部屋10Rにおける仕切板11,11同士の対向方向の広さより若干小さくなっており、荷物40の高さは仕切板11の高さより若干高くなっており、さらに、荷物40の横幅は、コンテナ10における段差部30D,30Dより下方の内側面22A,22A同士の間隔より若干小さくなっている。
【0023】
カンバン41は、例えば、紙製のカードであって、図2に示すように、横長の長方形状になっている。カンバン41の高さは段差部30Dから仕切板11の上端部までの高さより若干高くなっており、カンバン41の横の長さは、コンテナ10における段差部30D,30Dより上方の内側面22A,22A同士の間隔より若干小さくなっている。
【0024】
カンバン41には、荷物40の情報が記載されている。具体的には、図1に示すように、カンバン41の下縁部には、例えば、荷物40の製造工場と、荷物40の表品番号のバーコードとが記載されている。また、カンバン41の上部中央には、例えば、荷物40の搬送先である工場名「****」と、ライン番号「1234」と荷物の製品名称「○×△」とを上下に並記した主要情報記載部42が設けられている。
【0025】
なお、各第1の側壁21の内側面21Aにおける段差部28より上方部分には、その横方向の中央に逃がし凹部27が陥没形成されている。また、各第2の側壁22の内側面22Aにおける上縁部には、内側ラベル貼付凹部26が形成されている。この内側ラベル貼付凹部26には、コンテナ10内においてカンバン41の向きを統一するために、カンバン41の表示方向を矢印で示したラベル26L(図4参照)が貼り付けられる。
【0026】
本実施形態のコンテナ10の構成に関する説明は以上である。次に、このコンテナ10の作用効果について説明する。コンテナ10の各収容部屋10Rには、荷物40及びカンバン41のどちらを先に挿入してもよいし、荷物40とカンバン41とを重ねて同時に挿入してもよい。以下、例えば、荷物40、カンバン41の順番で収容部屋10Rに挿入される場合について説明する。
【0027】
荷物40が収容部屋10Rに挿入されると、コンテナ10の底壁23に当接すると共に、四方を収容部屋10Rの内面に囲まれて起立した状態に保持される。また、図4に示すように、荷物40の上端部が、仕切板11の上縁部より上方に突出した状態になる。
【0028】
次いで、カンバン41が収容部屋10Rに挿入されると、図5に示すように、各収容部屋10Rの上下方向の中間に位置したカード載置部30にカンバン41の両側部が載置され、図4に示すように、各カンバン41が厚さ方向で収容部屋10Rの内面(仕切板11,11同士の対向面、又は、仕切板11と第1の側壁21との対向面)と荷物40との間に挟まれてカード載置部30から起立した状態に維持される。これにより、各カンバン41が各収容部屋10Rの上側位置で安定すると共に、必要に応じてカンバン41を摘んで収容部屋10Rから容易に取り出すことができる。そして、カンバン41が収容部屋10Rに収容されると、そのカンバン41の上縁部が仕切板11から上方に突出し、主要情報記載部42の下端部が仕切板11における切り欠き部12に重なった状態になる。これにより、カンバン41を収容部屋10Rから抜かずにカンバン41の上縁部及び主要情報記載部42に記載された情報を取得することができる。
【0029】
なお、カンバン41を荷物40より先に収容部屋10Rに挿入した場合、カンバン41の高さ方向の中間部分に、仕切板11の上縁部が当接するか、或いは、カンバン41の上縁部が第1の側壁21の内側面21Aに当接して、カンバン41が、カード載置部30から斜めに上方に起立した状態に維持される。これにより、カンバン41に次いで荷物40を挿入する際に、容易にカンバン41を直立姿勢に姿勢変更して退避させることができ、荷物40を収容部屋10Rに容易に挿入することができる。
【0030】
また、本実施形態のコンテナ10では、仕切板11のうち中間より下側部分にのみ縦溝31が係合しているので、仕切板11の上側部分を湾曲変形させて収容部屋10Rの上面開口を拡開することができる。これにより、収容部屋10Rに対する荷物40及びカンバン41の挿入作業及び取り出し作業を容易に行うことができる。
【0031】
しかも、第1の側壁21の内側面21Aには、上下方向の中間に段差部28が設けられているので、荷物40の上側部分と第1の側壁21との間に隙間が形成され、さらにその隙間を広げるように第1の側壁21に逃がし凹部27が形成されているので、荷物40と第1の側壁21との間に指を挿入することができ、コンテナ10の端部に収容された荷物40も容易に取り出すことができる。
【0032】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0033】
(1)前記実施形態では、縦溝31が仕切板11の下側部分にのみ係合し、仕切板11の上側部分が可撓変形可能になっていたが、仕切板の上下方向全体に縦溝が係合して、仕切板を可撓変形不能にしてもよい。具体的には、図6に示すように、前記第1実施形態で説明した段差部30Dの上面における縦溝31の開口縁から上方に1対の縦リブ32,32を延ばして、それら縦リブ32,32の間の縦溝31を段差部30Dに陥没形成した縦溝31に連通させ、縦溝31が仕切板11の側部全体に係合するようにしてもよい。
【0034】
(2)上記段差部30Dを設ける代わりに、図7及び図8に示すように、横リブ33を設け、その横リブ33の上面をカード載置部30Vとしてもよい。この場合、横リブ33を成形するための金型の抜き孔23Aを底壁23に設ければよい。但し、上記実施形態のようにコンテナ10の内側面22Aに段差部30Dを設け、段差部30Dの上面をカード載置部30としかつ段差部30Dに縦溝31を陥没形成すれば、縦リブ及び横リブによって縦溝及びカード載置部を構成した場合に比べて本発明に係るコンテナを簡素な構造にすることができる。
【0035】
(3)前記実施形態のコンテナ10の底面は平坦であったが、例えば、円盤状の荷物を収容するためにコンテナの底面を円弧形状にしてもよい。
【0036】
(4)前記実施形態のコンテナ10では、縦溝31が連続して上下方向に延びていたが、縦溝を上下方向に間欠的に設けてもよい。
【0037】
(5)また、コンテナの底面にも仕切板を差し込む溝を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテナの斜視図
【図2】コンテナ本体から仕切板を抜いた状態の斜視図
【図3】コンテナ本体の斜視図
【図4】コンテナの一部を破断した斜視図
【図5】コンテナの一部を破断した斜視図
【図6】変形例に係るコンテナの一部を示した斜視図
【図7】変形例に係るコンテナの一部を示した斜視図
【図8】変形例に係るコンテナの一部を示した斜視図
【符号の説明】
【0039】
10 コンテナ
10R 収容部屋
11 仕切板
12 切り欠き部
22A 内側面
30,30V カード載置部
30D 段差部
31 縦溝
40 荷物
41 カンバン(カード)
42 主要情報記載部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切板にて内部が複数の収容部屋に仕切られ、それら収容部屋毎に荷物と共に前記荷物の情報を記載したカードを収容可能なコンテナにおいて、
互いに対向した1対の内側面に、前記仕切板の両側縁部が係合した縦溝と、前記カードの両側部を載置可能なカード載置部とを形成しかつ、前記カード載置部を前記各収容部屋の上下方向の中間に配置したことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記縦溝は、前記仕切板の上下方向の中間より下側部分にのみ係合するように配置され、前記仕切板の上下方向の中間より上側部分を湾曲変形させて前記収容部屋の上面開口を拡開可能としたことを特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記1対の内側面における上下方向の中間に段差部を設けて、前記段差部より下側で前記内側面同士を接近させた構造とし、
前記段差部の上面を前記カード載置部とし、
前記縦溝を前記段差部より下側の前記内側面に陥没形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記仕切板の上縁部には、前記カードに記載された情報を視認可能とするための切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のコンテナ。
【請求項5】
前記カードの上縁部が、前記仕切板より上方に位置するように、前記カード載置部から前記仕切板の上縁部までの高さを設定したことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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