説明

コンテンツ再生装置、サーバおよびコンテンツ再生方法

【課題】複数の装置間でコンテンツを同期させる際の負荷を軽減するとともに、柔軟に所望のイベントを処理できるようにする。
【解決手段】システム時計と、オフセット算出手段と、第1の実行手段とを備え、システム時計により、時間を計時しシステム時刻として出力する。また、受信手段により、他装置におけるコンテンツの実行と同期させるため、自装置にてコンテンツを実行するタイミングを計る基準となる基準時刻と、第1のコンテンツの制御機能による処理内容および処理時刻を含むイベントメッセージとを受信する。また、オフセット算出手段により、基準時刻とシステム時刻との差であるオフセット時間を算出し、コンテンツの実行手段により、システム時刻とオフセット時間とから算出される基準時刻に従って、イベントメッセージに含まれる処理時刻に処理内容の処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、コンテンツ再生装置、サーバおよびコンテンツ再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭においても、インターネット等の通信環境が充実してきている。同報性に優れた放送に対して、通信は個別の情報伝送に優れている。このような放送と通信の特性を利用して、放送及び通信によって得られるコンテンツを融合させて、付加価値の高いコンテンツの提供を可能とするハイブリッドキャスト(Hybridcast(登録商標))方式が注目されている。
【0003】
ハイブリッドキャスト方式では、テレビジョン受像機等の表示端末は、放送信号に基づくコンテンツを取得すると共に、インターネット等の通信回線を介してサーバにアクセスして、通信によってコンテンツを取得する。そして、この表示端末は、放送信号に基づくコンテンツと通信によって得たコンテンツとを合成して表示する。各々の表示端末は、通信により個別の情報を取得することができ、表示端末毎に、各ユーザの好みのコンテンツ表示が可能である。また、テレビジョン受像機等の表示端末とその他の多様な表示端末との連携も可能となっている。
【0004】
ところで、テレビジョン受像機等の表示端末(以下、受信装置という)とその他の表示端末(例えば、タブレット端末等のユーザ端末)とを連携させる場合、それぞれに表示されるコンテンツを同期させることが求められる場合がある。例えば、テレビジョン受像機に表示されたコンテンツ(コンテンツ画面)に関連したコンテンツがユーザ端末側で表示され、放送局または受信装置またはユーザ端末で生じたイベントに対応した処理が受信装置またはユーザ端末側で実施される場合、受信装置側とユーザ端末側とでその表示や動作のタイミングにずれがあると好ましくない。
【0005】
従来技術としては、サーバ側から与えられる時間情報を基に、複数の表示装置のそれぞれに、同期化された映像データを出力するための技術や、コンテンツと同期したサービスを提供できるようにした技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−183654号公報
【特許文献2】特開2010−154523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術では、サーバからの時間情報に従って、複数の表示装置間で映像データを同期できるようにしているが、複数の装置間でWebコンテンツ等を同期させるためには、サーバから逐次、時間情報を取得し続ける必要があるため、端末及びサーバの負担が大きくなるという問題が生じる。また、サーバ側から一方的に配信される時間情報に従ってイベントを発生させた場合、配信側の都合で必要なイベントを発生させることはできるが、配信側以外の意図に基づくイベントを発生させることができず、柔軟性がない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の装置間でコンテンツを同期させる際の負荷を軽減するとともに、柔軟に所望のイベントを処理できるようにしたコンテンツ再生装置、サーバおよびコンテンツ再生方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のコンテンツ再生装置は、放送局または外部サーバからのコンテンツを出力するコンテンツ再生装置であって、システム時計と、オフセット算出手段と、第1の実行手段とを備える。そして、システム時計により、時間を計時しシステム時刻として出力する。また、受信手段により、他装置におけるコンテンツの実行と同期させるため、自装置にてコンテンツを実行するタイミングを計る基準となる基準時刻と、第1のコンテンツの制御機能による処理内容および処理時刻を含むイベントメッセージと、を受信する。また、オフセット算出手段により、基準時刻とシステム時刻との差であるオフセット時間を算出し、コンテンツの実行手段により、システム時刻とオフセット時間とから算出される基準時刻に従って、イベントメッセージに含まれる処理時刻に処理内容の処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態のコンテンツ再生システムの概略ブロック図である。
【図2】図2は、取得源情報の一例を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態にかかる第1Webコンテンツ処理部、Webサーバ、第n(第2またはその他)Webコンテンツ処理部における上述した処理の手順を示すシーケンス図である。
【図4】図4は、Webサーバにおけるコンテンツ再生装置の登録処理およびデータ転送処理の流れについて説明するシーケンス図である。
【図5】図5は、イベントに対するメッセージの一例を示す図である。
【図6】図6は、イベントメッセージに応じた処理結果の例を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態のコンテンツ再生システムの概略ブロック図である。
【図8】図8は、イベントに対するメッセージの一例を示す図である。
【図9】図9は、イベントメッセージに応じた処理結果の例を示す図である。
【図10】図10は、第3の実施形態のコンテンツ再生システムの概略ブロック図である。
【図11】図11は、イベントに対するメッセージの一例を示す図である。
【図12】図12は、イベントメッセージに応じた処理結果の例を示す図である。
【図13】図13は、第4の実施形態のコンテンツ再生システムの概略ブロック図である。
【図14】図14は、取得源情報の一例を示す図である。
【図15】図15は、イベントに対するメッセージの一例を示す図である。
【図16】図16は、イベントメッセージに応じた処理結果の例を示す図である。
【図17】図17は、第3の実施形態のコンテンツ再生システムの概略ブロック図である。
【図18】図18は、イベントに対するメッセージの一例を示す図である。
【図19】図19は、イベントメッセージに応じた処理結果の例を示す図である。
【図20】図20は、第3の実施形態のコンテンツ再生システムの概略ブロック図である。
【図21】図21は、イベントに対するメッセージの一例を示す図である。
【図22】図22は、イベントメッセージに応じた処理結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る、コンテンツ送信装置およびコンテンツ再生装置を含むコンテンツ再生システムについて説明する。図1は、同コンテンツ再生システムの概略ブロック図である。
【0012】
図1に示すコンテンツ再生システムは、コンテンツ送信装置である放送局100と、コンテンツ再生装置であるテレビジョン受像機等の受信装置200と、同コンテンツ再生装置であるタブレット端末等のユーザ端末300と、コンテンツ送信装置であるWebサーバ400を含んで構成される。図1では、放送局100およびWebサーバ400をそれぞれ1つ図示しているが、複数の放送局100およびWebサーバ400を利用可能である。なお、Webサーバ400は、受信装置200およびユーザ端末300とインターネット500等のネットワークを介して接続され、受信装置200およびユーザ端末300間は図示しない無線LAN等により接続される。また、本実施形態において(後述の他の実施形態においても)、受信装置200とユーザ端末300は、同じグループに属するユーザが扱っているものとする。
【0013】
受信装置200は、図1に示すように、受信部210と、放送専用コンテンツ処理部220と、システム時計230と、Webブラウザ240と、合成部250とで本実施形態に係る主要部を構成する。その他の詳細な構成は、例えば受信装置200がテレビジョン受像機である場合には、従来の(デジタル)テレビジョン受像機の構成と同様のものとなる。
【0014】
放送局100からの放送信号は、受信装置200の受信部210において受信される。受信部210は図示しない選局部、復調部、A/D変換部等によって構成されており、放送信号を受信し、ユーザの選局操作によって指定されたチャンネルの信号を選局する。受信部210は、選局した放送信号に対して放送方式に対応した復調処理を行う。例えば、受信部210は、デジタル放送の放送信号についてPSK(Phase Shift Keying)復調又はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調処理等のデジタル復調処理を行う。こうして、受信部210は、放送信号から所望のコンテンツを含むデータストリームを得る。なお、放送信号には、映像や音声情報によって構成された番組の放送専用コンテンツと、その他のデータが含まれる。その他のデータには、第1Webコンテンツ等のWebコンテンツが含まれる場合もある(後述)。
【0015】
放送専用コンテンツ処理部220は、受信部210からのデータストリームをデコードし、デコード済みの放送専用コンテンツ(番組)を出力する。システム時計230は、受信装置200に内蔵された時計であり、時間を計時し、受信装置200内部で制御のために使用するシステム時刻として出力する。このシステム時刻は、図1では、Webブラウザ240に与えられてWebブラウザ240に含まれるWebコンテンツ処理部(図1では第1Webコンテンツ処理部241)における制御のために使用される。
【0016】
Webブラウザ240は、各種Webコンテンツの表示制御を行う。なお、Webブラウザ240は、図示しないCPUおよびメモリ等からなる制御手段により実行されることによりWebコンテンツの表示制御を行うブラウザプログラムであるが、以下では、Webブラウザ240とこのWebブラウザ240を実行する制御手段との組をWebブラウザ240と呼び、このWebブラウザ240と第1Webコンテンツにより実現される機能を第1Webコンテンツ処理部241と呼ぶこととする。上記第1Webコンテンツは、予め設定されたWebサーバ400から取得される。あるいは、予め設定されたWebサーバ400からコンテンツ取得用コンテンツを受信して、このコンテンツ取得用コンテンツにより、Webサーバ400または他のWebサーバから取得される。
【0017】
第1Webコンテンツや下記の第2Webコンテンツ等のWebコンテンツは、ストリーミング映像や、音声データ、画像データ等の出力対象となるデータの他に、他のユーザとコミュニケーションをとるためのアプリケーションなど、様々な制御を規定できるJavaScript(Javaは登録商標)やHTML等によるプログラムも含まれる。
【0018】
合成部250は、Webブラウザ240からの第1Webコンテンツに基づく表示用データと放送専用コンテンツ処理部220からの放送専用コンテンツとを合成して出力する。この出力は、受信装置200に備わる図示しない表示部、または外部の表示装置に基準時刻を基準として出力されて、表示されることとなる。
【0019】
ユーザ端末300は、図1に示すように、システム時計310と、Webブラウザ320とで本実施形態に係る主要部を構成する。また、その他の詳細な構成は、例えばユーザ端末300がタブレット端末である場合には、従来のタブレット端末の構成と同様のものとなる。なお、図1では、1台のユーザ端末300を記載しているが、複数のユーザ端末300が存在しうる。
【0020】
システム時計310は、時間を計時し、ユーザ端末300内部で制御のため使用するシステム時刻として出力するデバイスである。このシステム時刻は、Webブラウザ320等において使用される。
【0021】
Webブラウザ320は、各種Webコンテンツ(図1では第2Webコンテンツ)の表示制御を行う。そして、第2Webコンテンツの内容は、ユーザ端末300に備わる図示しない表示部に基準時刻を基準として出力されて、表示されることとなる。なお、Webブラウザ320は、図示しないCPUおよびメモリ等からなる制御手段により実行されることにより第2Webコンテンツの表示制御を行うブラウザプログラムであるが、以下では、Webブラウザ320とこのWebブラウザ320を実行する制御手段との組をWebブラウザ320と呼び、このWebブラウザ320と第2Webコンテンツにより実現される機能を第2Webコンテンツ処理部321と呼ぶこととする。
【0022】
例えば、WebコンテンツがJavaScript(登録商標)によるスクリプトプログラムの場合、第1Webコンテンツ処理部241としてJavaScriptエンジンが含まれる。
【0023】
また、上記第2Webコンテンツは、予め設定されたWebサーバ400から取得される。あるいは、予め設定されたWebサーバ400からコンテンツ取得用コンテンツを受信して、このコンテンツ取得用コンテンツにより、Webサーバ400または他のWebサーバから取得される。
【0024】
なお、図1に示すユーザ端末300は放送信号の受信機能を有していないが、前述の受信装置200と同様に、放送信号の受信機能もたせ、放送専用コンテンツと第2Webコンテンツを合成して出力する構成としてもよい。
【0025】
ところで、受信装置200およびユーザ端末300の各Webブラウザは、各装置に内蔵された各システム時計のシステム時刻に従って処理を行う。しかしながら、それぞれのシステム時計は、装置毎に異なる時刻を指し示している場合がある。このため、各システム時計が出力するシステム時刻に基づいて各WebブラウザがそれぞれのWebコンテンツを処理するとき、装置間でそれぞれのコンテンツが同期しないことも考えられる。
【0026】
そこで、本実施形態では、Webブラウザ240内の第1Webコンテンツ処理部241は、下記の基準時刻に従って、コンテンツの処理を行う。ユーザ端末300のWebブラウザ320の第2Webコンテンツ処理部321も、この基準時刻に従って制御を行うので、受信装置200およびユーザ端末300間で再生するコンテンツの同期が可能となる。
【0027】
基準時刻とは、複数のコンテンツの実行を同期させるために、当該複数のコンテンツのそれぞれを実行する複数のコンテンツ再生装置(ここでは受信装置200およびユーザ端末300)内の各Webコンテンツ処理部がコンテンツを実行するタイミングを計る基準となる時刻である。例えば、受信装置200が第1Webコンテンツの再生を開始した時刻や、ユーザが第1ユーザ操作でWebコンテンツの開始操作を実行した時刻や、受信装置200にて放送専用コンテンツの視聴が開始された時刻や、受信装置200が起動した時刻のいずれか、または、組み合わせを起点とした時刻、あるいは、放送専用コンテンツの持つ時刻や、受信装置200が管理する時刻や、Webサーバ400が管理する時刻のいずれか、または組み合わせにより算出される時刻で、第1Webコンテンツが指定する。
【0028】
また、コンテンツの実行とは、例えば、コンテンツが画像(動画、静止画)情報の場合にはその画像の再生がコンテンツの実行であり、コンテンツが音声情報の場合には音声の再生がコンテンツの実行であり、コンテンツが、所定の画像処理(例えば、コンテンツである画像を90度回転させる効果処理)や音声処理(例えば、音声にサウンドエフェクトを加える処理)を行わせる制御情報である場合には、その制御情報に基づく処理の実行がコンテンツの実行である。
【0029】
また、この基準時刻の取得源としては、例えば、放送専用コンテンツの再生時間や、コンテンツ再生装置(受信装置200またはユーザ端末300)またはWebサーバ400のシステム時計404などが挙げられるが、ここで説明する例では、Webサーバ400のシステム時計404となる。また、基準時刻の取得源のオフセットは、取得源の時間を基準とした、Webコンテンツが開始時刻と規定する時刻とする。取得源における再生速度は、コンテンツ等の再生速度とする。再生速度を設定することで、再生速度の違いによるコンテンツのずれを抑止できる。図2に、第1Webコンテンツがもつ取得源情報の一例を示す。図2の例では、基準時刻取得源として「Webサーバのシステム時計」を、基準時刻取得源のオフセットとして「2011年8月31日 12:15:00」を、取得源における再生速度として、「2倍速」を例示している。
【0030】
本実施形態において受信装置200およびユーザ端末300は、逐次、基準時刻の取得を行うのではなく、各装置に内蔵されたシステム時計が指し示す時間と基準時刻との差を示したオフセットを保持する。
【0031】
そのために、本実施形態において、第1Webコンテンツ処理部241は、基準時刻を取得するために、Webサーバ400から基準時刻情報とサーバの処理時間情報と取得源の再生速度とを受信する受信部241aと、基準時刻情報取得要求をWebサーバ400に送信する送信部241bと、上記オフセットを算出するオフセット算出部241cとを備える。また、Webブラウザ240は、オフセット算出部241cにより算出されたオフセット、および第1Webコンテンツ処理部241が実行するコンテンツの再生速度をそれぞれ保持するオフセット保持部242および再生速度保持部243を備える。
【0032】
オフセット算出部241cは、以下の式(1)を用いて、システム時刻のオフセット時間を算出する。
【0033】
システム時刻のオフセット時間=Webサーバ400への基準時刻の取得要求開始時のシステム時刻+(総処理時間+サーバ処理時間)÷2―基準時刻÷再生速度…(1)
【0034】
式(1)のうち、Webサーバ400への基準時刻の取得要求開始時のシステム時刻は、送信部241bが取得要求を送信した時のシステム時刻とする。総処理時間は、第1Webコンテンツ処理部241がWebサーバ400に取得要求を送信してから、Webサーバ400から基準時刻情報を受信するまでの時間とする。サーバ処理時間は、Webサーバ400から受信した時間情報であって、Webサーバ400が取得要求を受信してから基準時刻情報を送信するまでの時間とする。再生速度は、基準時刻の取得源から取得したコンテンツ等の再生速度を示している。
【0035】
また、式(1)の途中、総処理時間からサーバ処理時間を減算した時間を2で除算することで算出された値は、第1Webコンテンツ処理部241とWebサーバ400との間で通信に要する片側の通信時間となる。
【0036】
なお、複数のコンテンツ再生装置それぞれが等倍速でコンテンツを再生するなど、再生速度が統一されている場合、式(1)に再生速度をパラメータとして含めなくとも良い。
【0037】
また、第2Webコンテンツ処理部321は、基準時刻を取得するために、Webサーバ400から基準時刻情報とサーバの処理時間情報と取得源の再生速度とを受信する受信部321aと、基準時刻取得要求をWebサーバ400に送信する送信部321bと、上記オフセットを算出するオフセット算出部321cとを備える。また、Webブラウザ320は、オフセット算出部321cにより算出されたオフセット、および第2Webコンテンツ処理部321が実行するコンテンツの再生速度をそれぞれ保持するオフセット保持部322および再生速度保持部323を備える。なお、オフセット算出部321cは、前述の第1Webコンテンツ処理部241のオフセット算出部241cと同様の処理で上記オフセットを算出する。
【0038】
第1Webコンテンツ処理部241および第2Webコンテンツ処理部321は、受信装置200およびユーザ端末300のそれぞれのシステム時計が出力するシステム時刻に、それぞれのオフセットを加算して求められる基準時刻に従って、コンテンツの実行を制御することで、システム時計230およびシステム時計310間に時間のずれがある場合でも、各Webコンテンツ処理部(241および321)間で同一の時間を共有できる。つまり、受信装置200およびユーザ端末300間で、それぞれで実行するコンテンツを同期させることができる。
【0039】
一方、Webサーバ400は、コンテンツを配信するほかに、基準時刻取得部401と、送信部402と、受信部403と、システム時計404を備え、各Webブラウザ(Webブラウザ240、320)からの基準時刻の取得要求に応じて、基準時刻の値を示す基準時刻情報と、同期するために必要な情報とを提供する。
【0040】
コンテンツ間の同期を実現するために、Webサーバ400の送信部402は、複数のWebコンテンツ処理部(第1Webコンテンツ処理部241及び第2Webコンテンツ処理部321)のうちいずれか一つから、基準時刻の取得要求を受け付けた場合に、当該取得要求を、第1Webコンテンツ処理部241に送信する。
【0041】
Webサーバ400の受信部403は、第1Webコンテンツ処理部241から、基準時刻の取得源等を示した取得源情報を受信する。
【0042】
Webサーバ400の基準時刻取得部401は、取得源情報で示された取得源から、基準時刻を示す基準時刻情報を取得する。例えば、取得源情報で示された取得源の場合、Webサーバ400のシステム時計404から取得する。本実施形態では、基準時刻取得部401は、以下に示す式(2)から導き出す。
【0043】
基準時刻情報=(取得源から取得した基準時刻を示す情報―基準時刻の取得源のオフセット)×取得源の再生速度…(2)
【0044】
その後、Webサーバ400の送信部402は、基準時刻の取得要求元のWebコンテンツ処理部(第1Webコンテンツ処理部241又は第2Webコンテンツ処理部321)に基準時刻情報と、サーバ処理時間情報と、取得源における再生速度とを送信する。なお、サーバ処理時間情報は、Webサーバ400がWebコンテンツ処理部から取得要求を受信してから基準時刻情報を送信するまでの処理時間を示した情報であり、システム時刻と基準時刻との差を示したオフセットを算出するために用いられる。
【0045】
次に、いずれかのWebコンテンツ処理部からの取得要求に従って行われる処理について説明する。図3は、本実施形態にかかる第1Webコンテンツ処理部241、Webサーバ400、第n(第2またはその他)Webコンテンツ処理部における上述した処理の手順を示すシーケンス図である。
【0046】
まず、第2Webコンテンツ処理部321の送信部321bが、基準時刻の取得要求を、Webサーバ400に送信する(ステップS101)。なお、図3では、基準時刻の取得要求を第2Webコンテンツ処理部321が行う例について説明するが、一家庭内のネットワークに属している、すなわち同一グループのコンテンツ再生装置内のWebコンテンツ処理部であればよい。
【0047】
そして、Webサーバ400の受信部403が基準時刻の取得要求を受信した場合、Webサーバ400の送信部402が、第1Webコンテンツ処理部241に対して、基準時刻の取得源情報の取得要求を送信する(ステップS102)。
【0048】
その後、第1Webコンテンツ処理部241が、基準時刻の取得源情報の取得要求を受信した場合、第1Webコンテンツがもつメタ情報等に従って、基準時刻に関する各情報を取得する(ステップS103)。基準時刻に関する各情報、すなわち基準時刻の取得源情報は、前述のように、基準時刻の取得源、基準時刻の取得源のオフセット、および取得源の再生速度である。
【0049】
そして、第1Webコンテンツ処理部241の送信部241bは、上記基準時刻の取得源情報を、Webサーバ400に送信する(ステップS104)。
【0050】
その後、Webサーバ400の受信部403が、基準時刻の取得源情報を受信した場合に、基準時刻取得部401が、基準時刻の取得源から、基準時刻情報を取得する(ステップS105)。その際に、基準時刻取得部401は、基準時刻の取得源のオフセットを用いて、基準時刻の調整も行う。この基準時刻情報の取得手法は、上述した式(2)を用いた処理で算出されるため、説明を省略する。
【0051】
なお、本実施形態は、基準時刻情報として、基準時刻の取得源情報を取得した時点の基準時刻を示した情報を、Webコンテンツ処理部に送信する例とするが、Webコンテンツ処理部が、基準時刻を認識可能な情報であれば、どのような情報を送信してもよい。
【0052】
そして、Webサーバ400の送信部402が、サーバの処理時間、ステップS105で取得した基準時刻情報、及び取得源の再生速度を共に送信する(ステップS106)。なお、サーバの処理時間は、ステップS101で取得要求を受信してからステップS106で基準時刻情報を送信するまでの時間とする。
【0053】
そして、第2Webコンテンツ処理部321の受信部321aが、サーバの処理時間、基準時刻情報、及び取得源の再生速度を受信した後、オフセット算出部321cが、受信したサーバの処理時間、基準時刻情報、及び取得源の再生速度に加えて、システム時計310のシステム時刻に基づいて、基準時刻とシステム時刻との間のオフセットを算出し、オフセット保持部322に保持させる(ステップS107)。なお、オフセットの算出手法は、上述した式(1)を用いた処理で算出されるため、説明を省略する。
【0054】
そして、第1Webコンテンツ処理部241が実行するWebコンテンツは、デコーダが出力する放送専用コンテンツのデコード結果と、合成部250で合成され、基準時刻、すなわち放送専用コンテンツの再生時間に同期して、出力される。その一方、第2Webコンテンツ処理部321が、算出されたオフセットとシステム時刻から導出される基準時刻に従って、コンテンツを処理することで、第1Webコンテンツ処理部241との間でWebコンテンツの同期を実現できる。
【0055】
本実施形態では、受信装置200内のWebブラウザ240の第1Webコンテンツ処理部241と、ユーザ端末300のWebブラウザ320の第2Webコンテンツ処理部321とが、上記基準時刻に従って、コンテンツの処理を行うことで、異なる装置で実行される複数のコンテンツを同期させることができる。
【0056】
以上のようにして、受信装置200から出力されるコンテンツとユーザ端末300から出力されるコンテンツを同期させることができる。また、上記仕組みにより、サーバ(ここではWebサーバ400)が、第1Webコンテンツから取得する情報を元に、基準時刻の値を算出し、受信装置200とユーザ端末300間での基準時刻の共有を仲介することにより、受信装置200とユーザ端末300における各WebブラウザとWebコンテンツの実装を単純化することができる。さらに、各Webコンテンツが、システム時刻のオフセットと再生速度とを保持し、システム時刻とオフセットと再生速度とから基準時刻の値を算出するので、基準時刻共有のための通信量を低減することができる。
【0057】
なお、受信装置200内にWebサーバ(例えば、後述する実施形態における内部Webサーバ)を設けた構成においては、上記Webサーバ400に代えて、内部Webサーバが同期のための仲介の処理を行うようにすることもできる。
【0058】
以上では、受信装置200から出力されるコンテンツとユーザ端末300から出力されるコンテンツを同期させる仕組みについて説明したが、続いて、Webサーバ400(あるいは、後述する実施形態における内部Webサーバ)におけるコンテンツ再生装置(受信装置200またはユーザ端末300)の登録処理およびデータ転送処理の流れについて、図4に示すシーケンス図を用いて説明する。
【0059】
Webサーバ400が起動すると、メモリ獲得など所定の初期化処理が行われ(S1)、その後入力待ちの状態となる(S2)。その間、新規のコンテンツ再生装置(ここではWebコンテンツ)が検出されると、その登録(再生装置登録)を行い(S3)、再度入力待ちの状態となる(S2)。一方、イベントの発生などにより登録済みのコンテンツ再生装置からのデータを受信すると、そのデータ転送を行う(S4)。本実施形態では、データ転送の際に、前述の処理を行う。そして、例えば、ユーザから要求がない状態が一定時間継続した場合は中断処理を行う(S5)、そして終了処理を行う(S6)。図4の例では、中断処理に続いて強制的に終了処理を実行しているが、後で回復可能なように中断処理を行うようにしてもよい。
【0060】
以上のような、コンテンツ再生システムにおいて、Webサーバ400(あるいは後述の内部Webサーバ)と各Webブラウザ間で種々のイベントメッセージが送受信される。つまり、それぞれのWebコンテンツ処理部の受信部241aまたは受信部321aが、各Webコンテンツ処理部による処理内容およびその処理時刻を含むイベントメッセージを受け、受信部321aまたは送信部321bがそのようなイベントメッセージを送信する。そして、イベントメッセージを受けた装置側において、前述の基準時刻に基づき、そのイベントメッセージに応じた表示制御がなされる。
【0061】
イベントメッセージは、放送局100から放送波に載せて発信される場合と、Webサーバ400から発信される場合と、受信装置200のWebブラウザ240に対するユーザによる第1ユーザ操作に応じて発信される場合と、ユーザ端末300のWebブラウザ320に対するユーザによる第2ユーザ操作に応じて発信される場合がある。
【0062】
例えば、メッセージの種別、発信元、発信先、処理時刻、および内容(処理内容)からなるイベントメッセージが装置間で送受信される。図5の例では、メッセージの種別として「イベント」が、発信元として「Webサーバ」が、発信先として受信装置200の第1Webコンテンツが、処理時刻として「受信後10秒間」が、内容として「地震速報を表示」が設定されている。図には示していないが、この内容には、地震速報の情報の内容等も含まれる。または、この地震速報の情報の格納場所を示すURL(Uniform Resource Locator)等をイベントメッセージの“内容”に含め、第1Webコンテンツ処理部241がこのURL等を基に地震速報の情報を取得するようにしてもよい。
【0063】
なお、イベントメッセージの場合、メッセージの種別は「イベント」となるが、Webコンテンツも同様のフォーマットのメッセージとして配信することができる。その場合、メッセージの種別は「Webコンテンツ」となる。また、これらのメッセージの発信元および発信先は、放送局100、いずれかのWebサーバ、いずれかのWebブラウザ、いずれかのWebコンテンツ、または、いずれかの内部Webサーバ、または、それらの組み合わせとなる。
【0064】
第1Webコンテンツ処理部241は、このようなイベントメッセージをWebサーバ400から受けると、このイベントメッセージの受信後10秒間、図6に示すような地震速報をその表示内容として、放送専用コンテンツに合成させて表示するよう制御する。
【0065】
なお、以上に説明した基準時刻に基づくコンテンツの同期の仕組みおよび図4を用いて説明したWebサーバ400(あるいは後述の内部Webサーバ)における処理は、後述する他の実施形態においても同様である。以下では、その他の実施形態として、コンテンツ再生システムの種々の構成例を示す。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態としてのコンテンツ再生システムについて説明する、図7は、その概略ブロック図である。なお、図1に示した構成要素と同一の構成要素には、同じ符号を附している。
【0067】
本実施形態において第1の実施形態と異なる点は、受信装置200に受信部210が出力するデータストリームから放送専用コンテンツと第1Webコンテンツとに分離する分離部260を設け、第1Webコンテンツを放送局100からの放送波に含まれる放送信号から取得するようにした点である。その他は、第1の実施形態のコンテンツ再生システムと同様であり、その説明は省略する。
【0068】
本実施形態では、第1の実施形態のように第1WebコンテンツをWebサーバ400から取得するのではなく、放送局100の放送信号から取得するため、その情報量に限りがある。従って、第1Webコンテンツは、データ放送で送られるようなコンテンツと同様の情報量をもったもの(例えば、天気予報、時刻、ニュース等)となる。図8および図9にユーザ端末300から受信装置200に天気予報を表示させる場合の例を示す。
【0069】
図8は、ユーザ端末300から受信装置200に天気予報を表示させる場合のイベントメッセージの内容を示す図である。図9は、このイベントメッセージに係るユーザ端末300および受信装置200における表示例を示す図である。なお、ここでは、第1Webコンテンツが天気予報の情報を含んでいるものとするが、第1Webコンテンツが分離部260から放送信号に含まれる天気予報の情報を取得するようにしてもよい。
【0070】
図8の例では、メッセージの種別として「イベント」が、発信元として第2Webコンテンツに対応する「ユーザ端末の第2Webコンテンツ」が、発信先として第1Webコンテンツ処理部241に対応する「受信装置の第1Webコンテンツ」が、処理時刻として「00:15:00」が、内容として「天気予報を表示」が設定されている。ユーザが、ユーザ端末300を用いて第2ユーザ操作により“天気予報を表示”(図9)を選択し、さらに処理時刻の設定(図示せず)をすると、上記イベントメッセージが受信装置200へ送信される。
【0071】
第1Webコンテンツ処理部241は、このようなイベントメッセージをユーザ端末300側から受けると、基準時刻が00:15:00となる時点に、図9に示すような天気予報をその表示内容として、放送専用コンテンツに合成させて表示するよう制御する。
【0072】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態としてのコンテンツ再生システムについて説明する。図10は、その概略ブロック図である。なお、第1および第2の実施形態において示した構成要素と同一の構成要素には、同じ符号を附している。
【0073】
本実施形態において第2の実施形態と異なる点は、受信装置200のWebブラウザ240が、放送信号から分離された第1Webコンテンツによる第1Webコンテンツ処理部241によって、第1Webコンテンツがもつ第2Webコンテンツの取得先に関する情報に従ってWebブラウザ240がWebサーバ400から第2Webコンテンツを読み込むようにした点である。第1Webコンテンツは、放送局100からの放送信号から取得するため、その情報量に限りがあるので、JavaやHTML等で実装された第1Webコンテンツに従って、表示パーツなど情報量の多い第2WebコンテンツをWebサーバ400から読み込む。この第2Webコンテンツは、Webブラウザ240上で、第2Webコンテンツ処理部244として機能する。そして、放送専用コンテンツと第2Webコンテンツとが合成部250で合成されて、基準時刻を基準として、出力されることとなる。
【0074】
本実施形態では、第2WebコンテンツをWebサーバ400から取得するようにしたので、情報量の多いWebコンテンツを利用できるようになる。なお、第2Webコンテンツ処理部244は、Webサーバ400等のサーバと通信を行うための受信部244aおよび送信部244bを備える。
【0075】
一方、ユーザ端末300のWebブラウザ320上の第3Webコンテンツ処理部324は、第1および第2実施形態におけるユーザ端末300のWebブラウザ320上の第2Webコンテンツ処理部321に相当し、実質同一である。その構成要素として、第1および第2実施形態における第2Webコンテンツ処理部321の構成要素に対応する受信部324a、送信部324bおよびオフセット算出部324cをもつ。その他は、第2の実施形態のコンテンツ再生システムと同様であり、その説明は省略する。
【0076】
以上のように構成されるコンテンツ再生システムでは、受信装置200およびユーザ端末300の双方が、Webサーバ400からWebコンテンツを取得するので、Webサーバ400は、受信装置200およびユーザ端末300の両方をWebコンテンツの送信先として認識することができる。従って、Webサーバ400は、例えば、図11に示すようなイベントメッセージを受信装置200およびユーザ端末300の双方に送ることができる。
【0077】
図11の例では、メッセージの種別として「イベント」が、発信元として「Webサーバ」が、発信先として第1Webコンテンツ処理部241に対応する「受信装置の第1Webコンテンツ」および第3Webコンテンツ処理部に対応する「ユーザ端末の第3Webコンテンツ」が、処理時刻として「2011年8月31日 15:00:00から0.5秒毎に、5回」が、内容として「警告音を出力」が設定されている。このようなイベントメッセージが受信装置200の第1Webコンテンツ処理部241およびユーザ端末300の第3Webコンテンツ処理部へ送信されると、各Webコンテンツ処理部により、基準時刻が“2011年8月31日 15:00:00”となって時点に、各装置にて警告音を発するように制御される(図12)。
【0078】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態としてのコンテンツ再生システムについて説明する。図13は、その概略ブロック図である。なお、第1〜第3の実施形態において示した構成要素と同一の構成要素には、同じ符号を附している。
【0079】
本実施形態において第2の実施形態と異なる点は、コンテンツバッファ270を設けた点と、コンテンツバッファ270からのデータを受けるとともに第1〜第3の実施形態におけるWebサーバ400の役割を担う内部Webサーバ280を設けた点と、分離部260が、受信部210が出力するデータストリームからコンテンツバッファ270に送信するデータと第1Webコンテンツと放送専用コンテンツとに分離する点と、分離部260からコンテンツバッファ270に送信されたデータが、内部Webサーバ280を介して、ユーザ端末300のWebブラウザ320に第2Webコンテンツとして読み込まれるようにした点である。すなわち、内部Webサーバ280が、ユーザ端末300のWebブラウザ320からの要求に応じて、第2Webコンテンツを配信する。また、内部Webサーバ280の受信部283は、例えば、メッセージの種別、発信元、発信先、処理時刻、および内容(処理内容)を含むイベントメッセージを受信し、その発信先が自身でない場合、送信部282が発信元からのイベントメッセージを発信先へ転送する。
【0080】
内部Webサーバ280は、第1〜第3の実施形態におけるWebサーバ400の役割を担うため、第1〜第3の実施形態におけるWebサーバ400の基準時刻取得部401、送信部402および受信部403とそれぞれ同等の機能を有する基準時刻取得部281、送信部282および受信部283を備える。また、システム時計404に対応するものとして、受信装置200のシステム時計230を使用する。
【0081】
なお、基準時刻は、本実施形態では、第1の実施形態において前述した図3に示したシーケンスにおいて、内部Webサーバ280がWebサーバ400の代わりとなって、同様の処理手順で取得される。
【0082】
上記構成により、Webサーバ400は、第1〜第3の実施形態にて示した基準時刻取得部401を省略することができ、その構成・動作共に一般的なものとなり、また、受信装置200およびユーザ端末300は、Webサーバ400等の外部装置に依存せずに、受信装置200およびユーザ端末300間で基準時刻に基づく同期した動作が可能となる。
【0083】
このように、本実施形態では、基準時刻の取得をWebサーバ400に依存しないものとしたので、第1の実施形態において前述した基準時刻情報における基準時刻の取得源は、放送専用コンテンツとなる。図14に一例を示すが、図14の例では、基準時刻取得源として「放送専用コンテンツ」を、基準時刻取得源のオフセットとして「00:10:00」(時:分:秒)を、取得源における再生速度として、「等倍速」を例示している。
【0084】
また、コンテンツ再生システム内の各装置間でイベントメッセージが送受信されるが、本実施形態では、特にアドレス等の通知をしなければWebサーバ400が第1Webコンテンツ処理部241および第2Webコンテンツ処理部321を特定できないので、イベントメッセージの発信元とはならない。図15にイベントメッセージの一例を示す。
【0085】
図15に示す例では、メッセージの種別として「イベント」が、発信元として第1Webコンテンツ処理部241に対応する「受信装置の第1Webコンテンツ」が、発信先として第2Webコンテンツ処理部321に対応する「ユーザ端末の第2Webコンテンツ」が、処理時刻として「今すぐ」が、内容として「グラフィックパーツを表示」が設定されている。図には示していないが、この内容には、表示するグラフィックパーツを指定する情報等も含まれる。このようなイベントメッセージが受信装置200の第1Webコンテンツ処理部241およびユーザ端末300の第2Webコンテンツ処理部321へ送信されると、各Webコンテンツ処理部により、イベントメッセージを受信した時点で、各装置にて指定されたグラフィックパーツを表示するように制御される(図16)。
【0086】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態としてのコンテンツ再生システムについて説明する。図17は、その概略ブロック図である。
【0087】
本実施形態が前述の第4の実施形態と異なる点は、分離部260が、コンテンツバッファ270に送信するデータと放送専用コンテンツとに分離する点と、コンテンツバッファ270に送信されたデータを、内部Webサーバ280にて、第1Webコンテンツと第2Webコンテンツとに分離する点と、第1Webコンテンツおよび第2Webコンテンツがそれぞれ、内部Webサーバ280から、受信装置200のWebブラウザ240およびユーザ端末300のWebブラウザ320に読み込まれるようにした点である。その他は、第4の実施形態のコンテンツ再生システムと同様であり、その説明は省略する。
【0088】
本実施形態においても、Webサーバ400は、第1Webコンテンツ処理部241および第2Webコンテンツ処理部321を特定できないので、イベントメッセージの発信元とはならない。図18および図19に放送局100が受信装置200に選挙速報を表示させる場合の例を示す。図18は、放送局100が受信装置200に選挙速報を表示させる場合のイベントメッセージの内容を示す図である。図19は、このイベントメッセージに係る受信装置200における表示例を示す図である。
【0089】
図18の例では、メッセージの種別として「イベント」が、発信元として「放送局」が、発信先として第1Webコンテンツ処理部241に対応する「受信装置の第1Webコンテンツ」が、処理時刻として「2011年8月31日から2011年9月1日まで」が、内容として「選挙速報を表示」が設定されている。図には示していないが、この内容には、選挙速報の情報の内容等も含まれる。または、放送信号に選挙速報の情報が含まれる場合には、分離部260によりこの情報を分離し、第1Webコンテンツ処理部241がこの情報をコンテンツバッファ270および内部Webサーバ280を介して分離部260から取得するようにしてもよい。あるいは、この選挙速報の情報の格納場所を示すURL等をイベントメッセージの“内容”に含め、第1Webコンテンツ処理部241がこのURL等を基に選挙速報の情報を取得するようにしてもよい。
【0090】
第1Webコンテンツ処理部241は、このようなイベントメッセージを放送局100から受けると、基準時刻を基準として、指定された2011年8月31日から2011年9月1日までの間、図19に示すような選挙速報をその表示内容として、放送専用コンテンツに合成させて表示するよう制御する。
【0091】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態としてのコンテンツ再生システムについて説明する、図20は、その概略ブロック図である。
【0092】
本実施形態が前述の第5の実施形態と異なる点は、受信装置200にデータハンドラ290を設けた点と、分離部260で、データハンドラ290に送信するデータ(ここでは第1Webコンテンツおよび第2Webコンテンツと、放送局100からのイベントメッセージがある場合にはこのイベントメッセージ)と放送専用コンテンツとに分離する点と、データハンドラ290が受信したデータのうち、第1Webコンテンツは、コンテンツバッファ270を介して、Webブラウザ240に読み込まれるようにした点と、データハンドラ290が受信したデータのうち、第2Webコンテンツは、コンテンツバッファ270と内部Webサーバ280を介して、ユーザ端末300のWebブラウザ320に読み込まれるようにした点と、データハンドラ290が受信したデータのうち、放送局100からのイベントメッセージは、内部Webサーバ280を介して、ユーザ端末300のWebブラウザ320上で動作中の第2Webコンテンツ処理部321に送付されるようにした点である。図21に、放送局100からのイベントメッセージの例を示す。
【0093】
図21の例では、メッセージの種別として「イベント」が、発信元として「放送局」が、発信先として第2Webコンテンツ処理部321に対応する「ユーザ端末の第2Webコンテンツ」が、処理時刻として「2011年8月31日 15:00:00から5分間」が、内容として「プレゼント応募フォームを表示」が設定されている。図には示していないが、この内容には、プレゼント応募フォームのデータ等も含まれる。または、放送信号にプレゼント応募フォームのデータが含まれる場合には、分離部260が、このデータを分離してデータハンドラ290に送信し、データハンドラ290が受信したデータのうち、プレゼント応募フォームのデータを、内部Webサーバ280を介して、ユーザ端末300のWebブラウザ320上で動作中の第2Webコンテンツ処理部321に送付されるようにしてもよい。あるいは、このプレゼント応募フォームの格納場所を示すURL等をイベントメッセージの“内容”に含め、第2Webコンテンツ処理部321がこのURL等を基にプレゼント応募フォームのデータを取得するようにしてもよい。
【0094】
ユーザ端末300の第2Webコンテンツ処理部321は、このようなイベントメッセージを放送局100から受けると、基準時刻を基準として、指定された2011年8月31日 15:00:00から5分間、図22に示すようなプレゼント応募フォームをその表示内容として、表示するよう制御する。
【0095】
以上、説明したように、上記諸実施形態において、コンテンツ再生装置である受信装置200およびユーザ端末300が、それぞれで共有される基準時刻に従い、イベントメッセージにて規定された処理時刻に所定の処理を実行するので、各装置間でのシステム時刻のずれや、いずれかのシステム時計が示す時刻に狂いがあっても、時間的なずれを生じることなく必要な処理を実行することができる。また、各Webコンテンツ処理部がシステム時刻と、保持された基準時刻とのオフセットとから基準時刻を得るので、逐次、タイミングや時刻の問い合わせを行うことなく、同期した処理が可能となる。
【0096】
また、Webサーバ400または内部Webサーバ280が、各コンテンツ再生装置のWebコンテンツ処理部から取得した基準時刻の取得源等に基づいて、基準時刻情報を算出する機能をもち、基準時刻の共有を仲介することで、各WebブラウザとWebコンテンツの実装を単純化することができる。
【0097】
上述した諸実施形態では、各Webブラウザが、システム時刻のオフセットと再生速度とを保持し、各Webコンテンツ処理部が、システム時刻とオフセットと再生速度とから基準時刻情報を算出するので、基準時刻共有のための通信量を低減することができる。
【0098】
また、送受信されるデータ(イベントメッセージ)が、その種別と、発信元、発信先、処理時刻、および内容(処理内容)に関する情報を持ち、放送局100とWebサーバ400と各コンテンツ再生装置が、この情報に従ってデータを送受信することにより、コンテンツ配信事業者は、いずれのコンテンツ再生装置のいずれのWebコンテンツで処理するかを指定して、イベントを発行することができるようになる。さらに、コンテンツ再生装置上のWebコンテンツが、別のコンテンツ再生装置上のWebコンテンツに、イベントメッセージを発行することもできる。さらに、上記情報に従い、特定のコンテンツ再生装置にデータ(イベントメッセージやWebコンテンツ)を転送することができるので、Webコンテンツの記述を単純化することができる。
【0099】
諸実施形態のコンテンツ再生装置で実行されるWebブラウザ又はWebブラウザにインストールするプラグインプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0100】
また、上述した実施形態のコンテンツ再生装置で実行されるWebブラウザ又はWebブラウザにインストールするプラグインプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上述した実施形態のコンテンツ再生装置で実行されるWebブラウザ又はWebブラウザにインストールするプラグインプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0101】
また、上述した実施形態のWebブラウザ又はWebブラウザにインストールするプラグインプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0102】
上述した実施形態のコンテンツ再生装置で実行されるWebブラウザ又はWebブラウザにインストールするプラグインプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からWebブラウザ又はWebブラウザにインストールするプラグインプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上述した各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
100…放送局、200…受信装置、210…受信部、220…放送専用コンテンツ処理部、230…システム時計、240…Webブラウザ、241…第1Webコンテンツ処理部、241a…受信部、241b…送信部、241c…オフセット算出部、242…オフセット保持部、243…再生速度保持部、250…合成部、300…ユーザ端末、310…システム時計、320…Webブラウザ、321…第2Webコンテンツ処理部、322…オフセット保持部、323…再生速度保持部、321a…受信部、321b…送信部、321c…オフセット算出部、400…Webサーバ、401…基準時刻取得部、402…送信部、403…受信部、404…システム時計、500…インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局または外部サーバからのコンテンツを出力するコンテンツ再生装置において、
時間を計時しシステム時刻として出力するシステム時計と、
他装置におけるコンテンツの実行と同期させるため、自装置にてコンテンツを実行するタイミングを計る基準となる基準時刻と、前記第1のコンテンツの制御機能による処理内容および処理時刻を含むイベントメッセージと、を受信する受信手段と、
前記基準時間と前記システム時刻との差であるオフセット時間を算出するオフセット算出手段と、
前記システム時刻と前記オフセット時間とから算出される基準時刻に従って、前記イベントメッセージに含まれる前記処理時刻に前記処理内容の処理を実行する第1の実行手段と、を備える、
コンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記基準時刻の取得要求を、外部の第2の実行手段から受け付けた場合に、当該取得要求を、前記第1の実行手段に送信する送信手段と、
前記第1の実行手段から、前記基準時刻の取得元を示した取得源情報を受信する受信手段と、
前記取得元情報で示された取得元から、前記基準時刻を示した基準時刻情報を取得する取得手段と、を有するサーバ処理手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記基準時刻情報を前記第2の実行手段に送信すると共に、前記第1の実行手段が取得できる時刻を示したシステム時刻と前記基準時刻との差を示したオフセット時間の算出に用いる、前記第1の実行手段から前記取得要求を受け付けてから前記基準時刻情報を送信するまでの処理時間を示した処理時間情報を前記第2の実行手段に送信する、請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記サーバ処理手段は、放送局からの放送信号から取得される、前記第2の実行手段を構成する第2のコンテンツを、他のコンテンツ再生装置からの要求に応じて配信する、請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記受信手段が、発信元、発信先、処理時刻、および処理内容に関する情報を含むイベントメッセージを受信し、前記発信先が自身でない場合、前記送信手段が、該イベントメッセージを発信先へ送信する、請求項1または請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記第1の実行手段を構成するコンテンツを、放送局からの放送信号から取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
前記第1の実行手段を構成するコンテンツを、外部サーバから取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項7】
情報を配信するサーバであって、
複数のコンテンツ再生装置におけるコンテンツの実行を同期させるための、コンテンツを実行するタイミングを計る基準となる基準時刻の取得要求を、前記複数のコンテンツ再生装置の実行手段のうち第2の実行手段から受け付けた場合に、当該取得要求を、前記複数の実行手段のうち第1の実行手段に送信する送信手段と、
前記第1の実行手段から、前記基準時刻の取得元を示した取得元情報を受信する受信手段と、
前記取得元情報で示された取得元から、前記基準時刻を示した基準時刻情報を取得する取得手段と、を備え、
前記送信手段は、前記第1の実行手段から前記取得元情報を受信した場合に、前記基準時刻情報を前記第2の実行手段に送信すると共に、前記第1の実行手段が取得できる時刻を示したシステム時刻と前記基準時刻との差を示したオフセット時間の算出に用いる、前記第2の実行手段から前記取得要求を受け付けてから前記基準時刻情報を送信するまでの処理時間を示した処理時間情報を前記第2の実行手段に送信し、自身を示す発信元、発信先、発信先に実行させる処理内容、およびその処理時刻に関する情報を含めたイベントメッセージを前記第1の実行手段に送信する、サーバ。
【請求項8】
放送局または外部サーバからのコンテンツを出力するコンテンツ再生装置におけるコンテンツ再生方法であって、
システム時計により、時間を計時しシステム時刻として出力し、
受信手段により、他装置におけるコンテンツの実行と同期させるため、自装置にてコンテンツを実行するタイミングを計る基準となる基準時刻と、前記第1のコンテンツの制御機能による処理内容および処理時刻を含むイベントメッセージと、を受信し、
オフセット算出手段により、前記基準時刻と前記システム時刻との差であるオフセット時間を算出し、
前記コンテンツの実行手段により、前記システム時刻と前記オフセット時間とから算出される基準時刻に従って、前記イベントメッセージに含まれる前記処理時刻に前記処理内容の処理を実行する、
コンテンツ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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