説明

コンテンツ制作システム及びコンテンツ制作プログラム

【課題】コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現する。
【解決手段】ネットワークに接続された複数の端末を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作システムにおいて、前記コンテンンツを制作するために生成された台本を、前記コンテンツを構成する複数の要素で分割するコンテンツ分割手段と、前記複数の端末のうち、前記コンテンツ分割手段により得られる分割台本毎に対応する演出のスクリプトを生成する端末を割り当てる分割台本割当手段と、前記分割台本割当手段により割り当てられた端末により生成された前記分割台本に対応するスクリプトからコンテンツを生成するコンテンツ生成手段と、生成されたコンテンツを現在再生しているコンテンツに割り込み制御を行う割込制御手段と、前記割込制御手段により制御された割り込みコンテンツを再生する再生手段とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ制作システム及びコンテンツ制作プログラムに係り、特に、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現するためのコンテンツ制作システム及びコンテンツ制作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、CG(Computer Graphics)キャラクターアニメーション等を用いて番組等のコンテンツの制作は、高い専門性と長い制作時間を必要とする。特に、人に好まれて視聴されるような演出性の高いコンテンツは、カメラワークやCGキャラクタの動き等の指定にも熟練した技術を必要する。
【0003】
そこで、予め用意された自動番組制作アルゴリズムに対してスクリプトを記述するだけで、カメラワークやCGキャラクタの動きを指定してコンテンツを出力する手法が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、例えばテレビ番組のようなコンテンツの制作全般に用いることができるスクリプトによって、キャラクタの喋りや動作の他、照明、カメラ、セット、小道具、スーパーインポーズ、ムービー、BGM(Back Ground Music)等、テレビ番組のスタジオ制作に必要な機能を全て記述することができる。
【0004】
また、コンテンツを制作するツールとしては、例えば番組の制作、提示に用いられるスクリプトの一例として、TVML(TV program Marking Language)を用いた自動番組制作システム(TV4U)がある。TVMLとは、テレビ番組を制作するためのオブジェクトベース記述言語であり、テレビ番組の映像や音声等を、素材データと台本(演出内容等)とに分けて記述することができ、制作側で台本を記述することで、パソコン等で動作するソフトウェア等がこれを読み取り、台本に記述された素材データを取得して即座にテレビ番組として再生・視聴することができる。
【0005】
なお、上述のTV4Uは、例えばクライアント側の端末でワープロ(エディタ)型のユーザインタフェースを用いて番組の台本を記述し、その台本に任意の番組制作エンジン(APE:Automatic Production Engine)を適用して番組を制作し、その台本や素材データ、APEをサーバ等にアップロードすることにより番組を公開することができる。
【0006】
なお、APEとは、番組に登場するCGキャラクタや番組における1つの動作の単位で「タイトル表示」、「ズームイン」、「CGキャラクタの動作」等のイベントが予め定義されたものである。これを用いて、例えば番組の内容を表す台本からのテキストデータ等を入力すると、それを元に番組の自動生成に必要なTVMLスクリプトを出力する。このように、APEを用いることで効率的に番組制作を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−24610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のコンテンツ制作装置は、1つのスクリプトファイルに全ての番組情報を記述する必要があるため、例えばスクリプトをキャラクタ毎や番組を構成する他の要素(例えば、照明、カメラ、小道具、音声等)に分割することができない。
【0009】
つまり、従来技術では、台本記述と演出モジュールとを同一端末上で、1対1に動作させるものであった。したがって、従来技術では、演出が画一的となってしまう問題があった。また、コンテンツ制作における演出の一部分だけを人手で行い、他の部分は従来通り演出モジュールが行うということができず、全て自動で演出をするか、全て人手で演出するかの2通りしか手段がなかった。
【0010】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現するためのコンテンツ制作システム及びコンテンツ制作プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0012】
請求項1に記載された発明は、ネットワークに接続された複数の端末を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作システムにおいて、前記コンテンンツを制作するために生成された台本を、前記コンテンツを構成する複数の要素で分割するコンテンツ分割手段と、前記複数の端末のうち、前記コンテンツ分割手段により得られる分割台本毎に対応する演出のスクリプトを生成する端末を割り当てる分割台本割当手段と、前記分割台本割当手段により割り当てられた端末により生成された前記分割台本に対応するスクリプトからコンテンツを生成するコンテンツ生成手段と、生成されたコンテンツを現在再生しているコンテンツに割り込み制御を行う割込制御手段と、前記割込制御手段により制御された割り込みコンテンツを再生する再生手段とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項1記載の発明によれば、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明は、前記割込制御手段は、前記分割台本割当手段により割り当てられた端末以外の端末から対応する要素のスクリプトを取得した場合には、前記スクリプトの割込制御は行わないことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載された発明は、前記複数の端末において生成されるスクリプトを評価する評価手段を有し、前記分割台本割当手段は、前記評価手段により得られる評価情報に基づいて、割り当てる頻度を調整することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載された発明は、前記割込制御手段は、前記再生手段による再生内容に基づいて、前記割り当てた端末で対応するスクリプトの生成が完了したことを認識し、次の分割台本を送信することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載された発明は、前記複数の端末から得られる複数のスクリプトの再生順序に応じて、少なくとも1つのスクリプトの再生を制限する排他制御手段を有することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載された発明は、ネットワークに接続された複数の端末を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作プログラムにおいて、コンピュータを、前記コンテンンツを制作するために生成された台本を、前記コンテンツを構成する複数の要素で分割するコンテンツ分割手段、前記複数の端末のうち、前記コンテンツ分割手段により得られる分割台本毎に対応する演出のスクリプトを生成する端末を割り当てる分割台本割当手段、前記分割台本割当手段により割り当てられた端末により生成された前記分割台本に対応するスクリプトからコンテンツを生成するコンテンツ生成手段、生成されたコンテンツを現在再生しているコンテンツに割り込み制御を行う割込制御手段、及び、前記割込制御手段により制御された割り込みコンテンツを再生する再生手段として機能させる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現することができる。また、実行プログラムをコンピュータにインストールすることにより、容易にコンテンツ制作を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態におけるコンテンツ制作システムの概略構成例を示す図である。
【図2】コンテンツ管理サーバにおける機能構成の一例を示す図である。
【図3】演出分散管理サーバにおける機能構成の一例を示す図である。
【図4】演出制御装置における機能構成の一例を示す図である。
【図5】自動モードにおけるコンテンツ制作システムの一例を示す図である。
【図6】図5の処理に対応する台本記述データの一例を示す図である。
【図7】各台本データに対応するTVMLの変換例である。
【図8】具体例1に対応するコンテンツ生成結果の一例を示す図である。
【図9】台本センダにおけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】コンテンツ生成部におけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】手動モードを含むコンテンツ制作システムの一例を示す図である。
【図13】図12の手動モード処理に対応するTVMLの変換例である。
【図14】実施例2の演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<本発明について>
本発明は、例えばテレビ番組等のコンテンツをスクリプト言語で制作・記述し、コンピュータグラフィックス(CG)、音声合成等を用いて再生する分野に関し、特に、コンテンツ記述を台本記述と演出モジュールに分け、ネットワーク分散された演出モジュールが協働して1つのコンテンツをリアルタイム制作するものである。
【0023】
つまり、従来の技術では、台本記述と演出モジュールは1対1の関係であったため、演出が画一的となってしまう問題があった。また、演出モジュールが1つだけの場合、その演出モジュールが全ての演出を行うので、コンテンツ制作における演出の一部分だけを人手で行うということは不可能であった。
【0024】
そこで、本発明では、複数の演出モジュールをネットワーク上のクライアントに分散して配置し、それぞれに役割を指定する。各クライアントに役割別に送信された台本記述を受け取り、所定の演出をした後、その結果を返信する。各演出モジュールに独自の演出方法を持たせることによって、役割毎に個性化された演出を行うことができる。また、送られてきた台本記述に基づいて、クライアント側で人間が操作して演出することも可能になる。
【0025】
以下に、上述したような特徴を有する本発明におけるコンテンツ制作システム及びコンテンツ制作プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
なお、本実施形態では、制作するコンテンツの一例として番組を用いる。また、本実施形態では、番組の生成や提示等に用いられるスクリプトの一例として、TVMLを用いる。また、以下に説明する本発明の一実施形態として使用されるコンテンツ制作システムは、上述した自動番組制作システム(TV4U)の機能を有する。
【0027】
<コンテンツ制作システムの概略構成例>
図1は、本実施形態におけるコンテンツ制作システムの概略構成例を示す図である。図1に示すコンテンツ制作システム10は、コンテンツ管理サーバ11と、演出分散管理サーバ12と、複数の演出制御装置13−1、13−2、・・・,13−nとを有するよう構成されている。また、コンテンツ管理サーバ11、演出分散管理サーバ12、及び演出制御装置13は、それぞれ端末として構成され、各端末はインターネット等の通信ネットワーク14を介してデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0028】
ここで、コンテンツ管理サーバ11は、予め蓄積されている画像や映像、音声、テキストデータ等の各種データに基づいて、視聴者に提供するコンテンツの一例として番組の制作を行う制作側の装置である。また、図1におけるコンテンツ管理サーバ11、演出分散管理サーバ12、及び演出制御装置13の数については、本発明においてはこれに限定されず、例えばコンテンツ管理サーバ11及び演出分散管理サーバ12が1台に統合されていてもよく、それぞれが複数台に構成されていてもよい。また、コンテンツ管理サーバ11、演出分散管理サーバ12、及び複数の演出制御装置13−1〜13−nは、それぞれ個々のPC(Personal Computer)により実現されていてもよい。
【0029】
コンテンツ管理サーバ11は、本実施形態におけるコンテンツ制作システム10において、コンテンツの制作にあたり、他の端末に役割を分担させるための元となる制作するコンテンツの台本記述データを生成する。また、コンテンツ管理サーバ11は、生成した台本記述データを演出分散管理サーバ12に送信する。
【0030】
更に、コンテンツ管理サーバ11は、各演出制御装置13−1〜13−nからそれぞれ送信される各モジュールの演出を実行させるためのスクリプトに対する番組を生成して出力する。なお、コンテンツ管理サーバ11は、演出制御装置13−1〜13−nから送られるスクリプトの順序に矛盾が発生するような組み合わせが発生した場合には、その発生した組み合わせの後からきたスクリプトを無視したり、そのスクリプトを送信した演出制御装置にその旨のメッセージを通知することができる。
【0031】
また、コンテンツ管理サーバ11は、各演出制御装置13−1〜13−nから得られる各モジュールのスクリプトを取得した順に、そのスクリプトからそのまま番組を生成して出力してもよい。また、コンテンツ管理サーバ11は、各演出制御装置13−1〜13−nから得られる所望する番組の流れ(演出)になるように、ある特定の端末(演出制御装置13)からの演出モジュールを受け取る等の排他制御処理を行うこともできる。これにより、所望する番組を分散させて高精度に生成することができる。
【0032】
なお、コンテンツ管理サーバ11には、番組を生成するためのAPEや、番組台本、多種の番組に使用する画像や映像、音声等の各種素材データが蓄積されており、番組生成時にはスクリプトに対応させて蓄積されたこれらのデータから必要なデータを順次読み出して番組を生成する。
【0033】
なお、スクリプトの順序に矛盾生じる場合とは、例えば、「カメラ2」が存在しないのに「カメラ2」によるクローズアップ処理を指定した場合や、番組に出演するキャラクタがいないのにそのキャラクタを制御するスクリプトが送られた場合等があるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0034】
また、演出分散管理サーバ12は、コンテンツ管理サーバ11から得られる台本記述データに基づいて、各演出制御装置13−1〜13−nに対してスクリプトの生成処理が実行可能な演出モジュールを生成する装置を選別して、対応する演出制御装置13に通信ネットワーク14を介して送信する。
【0035】
つまり、演出分散管理サーバ12は、クライアント端末である演出制御装置13−1〜13−nに対して台本記述データに基づく役割分担を設定し、設定した役割に基づいて、その台本記述データのみを分解して、その担当する演出制御装置13に通信ネットワーク14を介して送信する。このとき、対応する台本記述データを送るタイミング等は、各演出制御装置13−1〜13−nにおけるそれぞれのスクリプトの生成具合に応じて管理してもよく、各演出制御装置13−1〜13−nの処理内容に関係なく、一方的に送信してもよい。
【0036】
なお、演出分散管理サーバ12は、どの演出制御装置13にどの台本データを送信したか、その送信した台本に基づき生成されたスクリプトがコンテンツ管理サーバ11で番組として提示されたか等を管理する。つまり、演出分散管理サーバ12は、分散したある1つの台本記述データの一部が、コンテンツ管理サーバ11で番組として生成された場合、その台本に対するスクリプトを生成するよう指示した演出制御装置13の処理が終了したことを認識することができる。これにより、その演出制御装置13に対してその制御対象の次の台本記述データを送信するといったタイミング制御を行うことができる。
【0037】
演出制御装置13は、それぞれ対応する制御対象が割り振られ、その割り振られた分担に基づいて演出分散管理サーバ12から得られる台本記述データに対して番組を制作するためのスクリプトを生成する。また、演出制御装置13は、生成したスクリプトをコンテンツ管理サーバ11に通信ネットワーク14を介して送信する。
【0038】
なお、演出制御装置13は、役割別に台本記述データが送られるため、その役割以外のデータが入力された場合には、スクリプトを生成せずに無視するか、送信してきた演出分散管理サーバ12に対して、違う台本記述データが送られてきたことを示すメッセージを送信する。
【0039】
また、演出制御装置13による役割については、例えば、カメラ、キャラクタ、カメラスイッチ、音声等があり、カメラやキャラクタ等については、カメラ1、カメラ2、キャラクタA、キャラクタB等、番組において必要な複数の役割を設定することができる。なお、それぞれには、所定の性質、性格等を有しており、例えば、「カメラ1」であれば、「きれのある、スピード感を持ったカメラワーク」を演出し、「カメラ2」であれば「ゆっくりとしていて、たどたどしい素人のようなカメラワーク」を演出し、キャラクタAであれば「かわいらしい女性」、キャラクタBであれば「太った男性」等のようにそれぞれが異なる演出目的を有していることが好ましい。
【0040】
したがって、各演出制御装置13−1〜13−nには、各演出モジュールに独自の演出方法を持たせることによって、役割毎に個性化された演出を行うことができる。また、送信されてきた台本記述を元にクライアント側で人間が操作して演出することも可能となる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、効率的なコンテンツ制作を実現し、更にコンテンツ制作の柔軟性を向上させ、制作システムの応用範囲を広げることができる。具体的には、複数の演出制御装置を用いて番組を生成することができるため、システム全体として機能性、自由度を向上させることができ、異なる制御ソフトからのデータを同時に送受信することができる。
【0042】
つまり、本実施形態では、現状において同一のPC内で共有メモリを使用したスクリプトの送受信は行うことができるが、更にPC間での制御が可能となるように、例えばソケット通信を用いたネットワーク経由の制御を実装する。
【0043】
更に、本実施形態では、TVMLプレーヤからの映像出力を、合成用素材映像として利用することもできる。例えば、バーチャルスタジオでは、実写映像のカメラワークに連動したCG映像を生成して合成する。このような利用においては、例えばフレーム又はフィールド(1/60秒)単位でのカメラデータの送受信が必要となる。そのため、本実施形態では、TVMLスクリプトによる制御とは別に高速性を重視したUDP/IPによるパラメータの送受信を可能とする。
【0044】
また、本実施形態では、パラメータ送受信による制御を要素毎の内容に応じてスクリプトによる制御に優先順位を設ける。したがって、例えば番組に登場しているCGキャラクタの動作等については、他の制御データよりも優先順位を上げることで、迅速に制御データを送信して動作させ、ビューアー等で迅速に処理することができる。更に、本実施形態では、名前付きの共有メモリ、ソケット通信のポート番号指定により、複数の制御ソフト、ビューアーの同時起動ができるようにする。
【0045】
<コンテンツ管理サーバ11:機能構成例>
次に、上述したコンテンツ制作システム10におけるコンテンツ管理サーバ11の機能構成例について図を用いて説明する。図2は、コンテンツ管理サーバにおける機能構成の一例を示す図である。図2に示すコンテンツ管理サーバ11は、入力手段21と、出力手段22と、蓄積手段23と、台本生成手段24と、番組スクリプト生成手段25と、排他制御手段26と、割込制御手段27と、再生手段28と、送受信手段29と、制御手段30とを有するよう構成されている。
【0046】
入力手段21は、管理者や番組制作者等のユーザ等からの台本(演出)の生成指示や、番組スクリプトの生成指示、排他制御指示、割込制御指示、再生指示等のコンテンツ制作における各入力を受け付ける。なお、入力手段21は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0047】
出力手段22は、入力手段21により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや番組等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段22は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0048】
蓄積手段23は、番組台本31、素材32、APE33、スクリプト34、番組35、及び排他制御情報36等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。
【0049】
具体的には、生成される番組に対する全ての演出内容が記述された番組台本31、番組台本31に記述されている番組を生成するための画像や映像、音声、テキストデータ等の各種データからなる複数の素材データ(キャラクタ、セット、音声、動作、静止画、動画等)32、番組の演出内容や番組を構成する上で必要なAPE33、上述した各演出制御装置13−1〜13−nから送信されたスクリプト34、スクリプト34により生成された番組35、スクリプトの前後の組み合わせや演出制御装置13に対して排他制御を行うための排他制御情報36等が蓄積されている。また、蓄積手段23は、その他の各種設定情報等を蓄積する。なお、蓄積手段23は、上述した各種データを通信ネットワーク等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0050】
台本生成手段24は、実際の番組を生成するための演出情報等を含めた台本記述データを生成する。番組スクリプト生成手段25は、上述した各演出制御装置13−1〜13−nから得られる分担毎に生成される演出モジュールのスクリプトを用いて番組スクリプトを生成する。なお、番組スクリプト生成手段25は、上述した各演出制御装置13−1〜13−nからスクリプトを取得した順に番組スクリプトを生成してもよく、予め設定された順序に並べ替えて番組スクリプトを生成することができる。
【0051】
なお、並べ替えを行わなければ、自由度のある汎用性を持たせた番組を生成することができ、並べ替えを行う場合には、台本記述データに示した演出内容に対応した演出を行うことができる。また、並べ替えは、例えば分割する台本記述データ毎に番号を付しておき、上述した各演出制御装置13−1〜13−nから得られるスクリプトにもその番号を付与しておくことで、その番号順に並べ替えを行うことができる。
【0052】
また、番組スクリプト生成手段25は、蓄積手段23に予め蓄積されている素材32や現時点で再生している番組で用いられているAPE33等の各種データに基づいて、番組中における担当要素のTVMLスクリプトを生成する。なお、番組生成手段25は、番組スタート時や、各端末等に分担させた要素以外の番組の要素(例えば、スタジオセット等の共通要素等)については、番組台本31に基づいて、全体の番組のTVMLスクリプトを生成する。なお、番組スクリプト生成手段25は、生成されたスクリプト34を蓄積手段23に蓄積する。
【0053】
排他制御手段26は、生成されるスクリプトの順序により矛盾が生じる場合に、上述した各演出制御装置13−1〜13−nから得られるスクリプトに対して無視して処理を行わない等の対応を行う。これにより、視聴者が不快を抱くような演出を回避することができ、高精度な演出の番組を提供することができる。なお、スクリプトに対しての処理を行わない場合には、その旨のメッセージを演出分散管理サーバ12や、そのスクリプトを生成した演出制御装置13に通知することができる。
【0054】
なお、排他制御手段26は、上述した各演出制御装置13−1〜13−nのうちある演出制御装置13−1からのスクリプトが適切でない場合や、他の担当に変更になった場合等には、例えばその装置からのスクリプトは処理しないようにする等の制御を行うことができる。
【0055】
割込制御手段27は、番組スクリプト生成手段25により上述した各演出制御装置13−1〜13−nからスクリプトが送られる度にその都度番組スクリプトが生成されるため、その生成されたスクリプトを現在再生中の番組に割り込んで再生させる。
【0056】
再生手段28は、生成したTVMLスクリプトを再生し、映像又は音声等により出力手段22によりビューアーとして表示させる。なお、再生手段28は、要素毎に別々の端末で生成されたスクリプト等の制御データがそれぞれ非同期で送られてくるため、再生手段28は、入力されたTVMLスクリプトをそのまま現在再生中に番組で実行されているスクリプトの直後に割り込ませて再生を行う。
【0057】
なお、再生手段28は、予め設定される制御データの優先順位に基づいて再生する順序も優先させて再生させることができる。これにより、例えばキャラクタ動作に関するスクリプトを優先的に再生させることで、リアルタイム動作を実現することができる。
【0058】
また、再生手段28は、リアルタイム再生を行わない場合には、入力されるTVMLスクリプトを一時的にメモリ等の蓄積手段に保存し、台本データと照合して適切な順序に並べ替えた後、再生するようにしてもよい。これにより、所望する番組の演出を分担させた制御データから柔軟な番組演出を実現することができる。
【0059】
送受信手段29は、通信ネットワークを介して制御データ、ビューアーとして表示された番組情報、APE、素材データ、台本データ、番組データ等の各種データを、コンテンツ制作システム10を構成する他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0060】
制御手段30は、コンテンツ制作システム10における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段30は、入力手段21により入力されたユーザからの入力情報に基づいて番組を生成したり、他の端末からの要求に対して蓄積手段23に蓄積された対応する各種データを抽出し、送受信手段29を介して他の端末に送信させたり、台本を生成したり、生成した台本を演出分散管理サーバ12に送信したり、番組スクリプトを生成したり、排他制御したり、割込制御したり、番組を再生させたり、画面を生成させる等の各種制御を行う。
【0061】
上述したように、本実施形態によれば、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現することができる。したがって、例えばネットワーク上で離れた複数のユーザが共同して台本記述を制作・編集・再生することが可能となる。したがって、共同制作のための台本記述のデータ構造、ユーザ毎の迅速なアクセス制御方法、及びコンテンツへの変換方法を提供することができる。
【0062】
<演出分散管理サーバ12:機能構成例>
次に、上述したコンテンツ制作システム10における演出分散管理サーバ12の機能構成例について図を用いて説明する。図3は、演出分散管理サーバにおける機能構成の一例を示す図である。図3に示す演出分散管理サーバ12は、入力手段41と、出力手段42と、蓄積手段43と、台本分割手段44と、分割台本割当手段45と、再生番組管理手段46と、評価手段47と、再生手段48と、送受信手段49と、制御手段50とを有するよう構成されている。
【0063】
入力手段41は、ユーザ等からの台本分割指示や、分割台本割当指示、再生番組管理指示、評価指示、再生指示等のコンテンツ制作における各入力を受け付ける。なお、入力手段41は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0064】
出力手段42は、入力手段41により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや番組等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段42は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0065】
蓄積手段43は、番組台本51、分割台本52、割当情報53、及び評価情報54等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。
【0066】
つまり、コンテンツ管理サーバ11から得られる番組台本51と、台本分割手段44により番組台本51を分割して得られる分割台本52と、上述した各演出制御装置13−1〜13−nに分割台本の何れかを所定のタイミングや条件により送信するための割当情報53と、上述した各演出制御装置13−1〜13−nによりスクリプト生成における評価情報54が蓄積されている。
【0067】
また、蓄積手段43は、その他の各種設定情報等を蓄積する。なお、蓄積手段43は、上述した各種データを通信ネットワーク等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0068】
台本分割手段44は、コンテンツ管理サーバ11から得られた番組台本を所定の要素毎に分割する。なお、要素とは、例えばカメラ、キャラクタ、スタジオ、音声、カメラのスイッチング等の通常のカメラスタジオにおける個々に分担される仕事の種別等を表している。なお、台本分割手段44は、割り当てられた台本に分割割当番号等を付与する。これにより、分割した台本に対応するスクリプトを選択された演出制御装置13で生成し、それがコンテンツ管理サーバ11に到達した場合に、その番号に基づいて、順序を並び替えることで、各演出制御装置13−1〜13−nでスクリプトの生成時間に時間差があった場合でも台本の順序に対応した番組を生成することができる。
【0069】
分割台本割当手段45は、分割された台本をどの演出制御装置13に割り当てるかを設定する。なお、分割台本割当手段45は、割り当てられた演出制御装置13と、その割り当てた台本の内容を蓄積手段43に、割当情報53として蓄積する。
【0070】
また、分割台本割当手段45は、割り当てに際して、予め演出制御装置13−1〜13−nに役割を決めておき、対応する分割台本を送信する。なお、分割台本割当手段45は、コンテンツ管理サーバ11で現在どの番組スクリプトが再生されているかを常に再生番組管理手段46で監視しており、その結果に基づいて割り当てるタイミングを制御する。つまり、分割台本割当手段45は、番組で再生していないスクリプトを生成指示した演出制御装置13については、まだスクリプトを生成しているものと判断して、台本を送らないように制御することができる。また、分割台本割当手段45は、時間により定期的に分割台本を送信することもできる。
【0071】
再生番組管理手段46は、コンテンツ管理サーバ11で再生されている番組を管理する。また、どのスクリプトが再生されているかの情報を取得し、取得した情報を分割台本割当手段45に出力する。
【0072】
評価手段47は、各演出制御装置13−1〜13−nに対して、どの端末がどの程度の処理を行っているかを管理する。これにより、処理の少ない端末や評判のよくないスクリプトを生成した端末については、評価を低くし、分割台本の割当を変更したり、送る回数を減少させたりすることができる。なお、この情報は、分割台本割当手段45に送信される。更に、評価手段47は、評価した結果を評価情報54として蓄積手段43に蓄積させる。
【0073】
再生手段48は、コンテンツ管理サーバ11で生成したTVMLスクリプトを再生し、映像又は音声等により出力手段42によりビューアーとして表示させる。なお、再生手段48には、要素毎に別々の端末で生成されたスクリプト等の制御データがそれぞれ非同期で送られてくる。そのため、再生手段48は、入力されたTVMLスクリプトをそのまま現在再生中に番組で実行されているスクリプトの直後に割り込ませて再生を行う。
【0074】
なお、再生手段48は、予め設定される制御データの優先順位に基づいて再生する順序も優先させて再生させることができる。これにより、例えばキャラクタ動作に関するスクリプトを優先的に再生させることで、リアルタイム動作を実現することができる。
【0075】
また、再生手段48は、リアルタイム再生を行わない場合には、入力されるTVMLスクリプトを一時的にメモリ等の蓄積手段に保存し、台本データと照合して適切な順序に並べ替えた後、再生するようにしてもよい。これにより、所望する番組の演出を分担させた制御データから柔軟な番組演出を実現することができる。
【0076】
送受信手段49は、通信ネットワークを介して制御データ、ビューアーとして表示された番組情報、APE、素材データ、台本データ、番組データ等の各種データを、コンテンツ制作システム10を構成する他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0077】
制御手段50は、コンテンツ制作システム10における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段50は、入力手段41により入力されたユーザからの入力情報に基づいて番組を生成したり、他の端末からの要求に対して蓄積手段43に蓄積された対応する各種データを抽出し、送受信手段49を介して他の端末に送信させたり、台本を分割したり、分割した台本をそれぞれ所定のタイミングや条件で対応する演出を行う演出制御装置13に割り当てて送信する等の各種制御を行う。
【0078】
上述したように、本実施形態によれば、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現することができる。したがって、例えば、ネットワーク上で離れた複数のユーザが共同して台本記述を制作・編集・再生することが可能となる。したがって、共同制作のための台本記述のデータ構造、ユーザ毎の迅速なアクセス制御方法、及びコンテンツへの変換方法を提供することができる。
【0079】
<演出制御装置13:機能構成例>
次に、上述したコンテンツ制作システム10における演出制御装置13の機能構成例について図を用いて説明する。
【0080】
図4は、演出制御装置における機能構成の一例を示す図である。図4に示す演出制御装置13は、入力手段61と、出力手段62と、蓄積手段63と、演出生成手段64と、再生手段65と、送受信手段66と、制御手段67とを有するよう構成されている。
【0081】
入力手段61は、ユーザ等の演出生成指示や、再生指示等のコンテンツ制作における各入力を受け付ける。なお、入力手段61は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス等からなる。
【0082】
出力手段62は、入力手段61により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データや番組等の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段62は、ディスプレイ等の画面表示機能やスピーカ等の音声出力機能等を有する。
【0083】
蓄積手段63は、分割台本71、スクリプト72、及び担当演出情報73等が蓄積されており、必要に応じて読み出しや書き込みが行われる。
【0084】
つまり、演出分散管理サーバ12から得られる分割台本71と、その分割台本71に対応して演出生成手段64により生成されるスクリプト72と、演出生成手段64でスクリプトを生成する際、その端末の個性としての個々の演出ルールを設定した担当演出情報73が蓄積されている。
【0085】
また、蓄積手段63は、その他の各種設定情報等を蓄積する。なお、蓄積手段73は、上述した各種データを通信ネットワーク等に接続された外部装置等から取得することもできる。
【0086】
演出生成手段64は、分割台本71に基づいてスクリプトを生成し、生成したスクリプトを所定のタイミングで送受信手段66により通信ネットワーク14を介してコンテンツ管理サーバ11に送信する。なお、演出生成手段64は、演出を生成する際、担当演出情報73に予め蓄積されている個々の演出内容に基づいて、所定の演出に基づくスクリプトを生成する。なお、個々の演出内容としては、具体的には、例えばカメラ1、カメラ2、キャラクタA、キャラクタB、音声、カメラのスイッチング等である。
【0087】
再生手段65は、コンテンツ管理サーバ11で生成したTVMLスクリプトを再生し、映像又は音声等により出力手段62によりビューアーとして表示させる。なお、再生手段65は、要素毎に別々の端末で生成されたスクリプト等の制御データがそれぞれ非同期で送られてくるため、再生手段65は、入力されたTVMLスクリプトをそのまま現在再生中に番組で実行されているスクリプトの直後に割り込ませて再生を行う。
【0088】
なお、再生手段65は、予め設定される制御データの優先順位に基づいて再生する順序も優先させて再生させることができる。これにより、例えばキャラクタ動作に関するスクリプトを優先的に再生させることで、リアルタイム動作を実現することができる。
【0089】
また、再生手段65は、リアルタイム再生を行わない場合には、入力されるTVMLスクリプトを一時的にメモリ等の蓄積手段に保存し、台本データと照合して適切な順序に並べ替えた後、再生するようにしてもよい。これにより、所望する番組の演出を分担させた制御データから柔軟な番組演出を実現することができる。
【0090】
送受信手段66は、通信ネットワークを介して制御データ、ビューアーとして表示された番組情報、APE、素材データ、台本データ、番組データ等の各種データを、コンテンツ制作システム10を構成する他の端末に送信したり、他の端末から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0091】
制御手段67は、コンテンツ制作システム10における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段67は、入力手段61により入力されたユーザからの入力情報に基づいて番組を生成したり、他の端末からの要求に対して蓄積手段63に蓄積された対応する各種データを抽出し、送受信手段66を介して他の端末に送信させたり、分割台本からスクリプトを生成したり、スクリプトをコンテンツ管理サーバ11に送信する等の各種制御を行う。
【0092】
上述したように、本実施形態によれば、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現することができる。したがって、例えば、ネットワーク上で離れた複数のユーザが共同して台本記述を制作・編集・再生することが可能となる。したがって、共同制作のための台本記述のデータ構造、ユーザ毎の迅速なアクセス制御方法、及びコンテンツへの変換方法を提供することができる。
【0093】
<コンテンツ制作システム:実施例1>
次に、コンテンツ制作システムの実施例について、以下に説明する。図5は、自動モードにおけるコンテンツ制作システムの一例を示す図である。また、図6は、図5の処理に対応する台本記述データの一例を示す図である。また、図7は、各台本データに対応するTVMLの変換例である。
【0094】
ここで、図5においては、コンテンツ生成部(TVMLプレーヤ)がコンテンツ管理サーバ11を示し、台本センダが演出分散管理サーバ12を示し、演出モジュールが演出制御装置13−1〜13−4を示している。また、図5においては、予め演出モジュール13−1がカメラ1の演出を行い、演出モジュール13−2がカメラ2の演出を行い、演出モジュール13−3がキャラクタの演出を行い、演出モジュール13−4がスイッチャの演出を行うようにそれぞれ割り当てられている。演出モジュール13−1〜13−4は、それぞれ別々の演出のルールを有するクライアントである。
【0095】
また、台本センダ12は、図6に示すような台本データを有し、逐次台本データの一行(一要素)単位又は同一又は類似する演出対象に対する纏まった複数行(複数要素)をそれぞれの演出クライアント13に送信するものである。
【0096】
ここで、コンテンツ生成部11は、TVMLプレーヤを用いている。TVMLプレーヤは、TVMLスクリプトを解釈してリアルタイムCG、音声合成等を用いてコンテンツを生成するソフトウェアである。各演出モジュールは、台本センダ12から送信された対応する台本データを取得し、演出をしてTVMLスクリプトとしてTVMLプレーヤに送信し、TVMLプレーヤで最終的にコンテンツを出力する。
【0097】
本実施例における動作は、図6に示す台本データの(1)〜(6)の台本データが順番に実行される。各行には、[スイッチャ]、[カメラ1]のように役割が割り当てられている。まず、(1)行目は、[スイッチャ]であるため、台本センダから演出モジュール13−4に送信される。演出モジュール13−4では、(1)行目の台本データを受け取り、カメラ1に切り替える演出をしたTVMLスクリプトを生成し、コンテンツ生成部11に送信される。
【0098】
コンテンツ生成部11では、そのスクリプトに対応するコンテンツを生成して、再生する。以降、図7に示すように各演出モジュールに台本データが送信され、演出されたTVMLスクリプトを出力し、コンテンツ生成部11に出力される。
【0099】
また、各演出モジュール13は、受け取った台本データをただ一意に変換するだけではなく、それぞれが独自の演出ルールを持っているため、演出を付加したTVMLスクリプトを出力している。例えば、(3)行目は、ただbowコマンドを出力するだけでなく、その前にlookコマンドを挿入することにより、キャラクタは、一度カメラ目線になってからお辞儀をするという演出がなされている。同様に(6)行目もただtalkコマンドで喋らせるのではなく、expressionコマンドを挿入し、キャラクタの表情をhappyに変えてから、喋らせる演出をしている。このように各演出モジュールにそれぞれ個性を持たせることが可能でいろいろな演出モジュールを組み合わせることによって、多彩な演出をされたコンテンツの出力が可能である。
【0100】
ここで、図8は、具体例1に対応するコンテンツ生成結果の一例を示す図である。上述したようにコマンドを付加することにより、図8に示すように、対応する映像を再生することで、番組の演出を高精度に行うことができる。
【0101】
<実行プログラム>
ここで、上述したコンテンツ制作システムは、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、マウスやキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示部、並びに外部と通信するためのインタフェースを備えたコンピュータによって構成することができる。
【0102】
したがって、コンテンツ制作システムが有する各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0103】
つまり、上述した各構成における処理をコンピュータに実行させるための実行プログラム(コンテンツ制作プログラム)を生成し、例えば、汎用のパーソナルコンピュータやサーバ等にそのプログラムをインストールすることにより、コンテンツ制作処理を実現することができる。
【0104】
次に、本発明における実行プログラムによる処理手順についてコンテンツ制作システムにおけるコンテンツ制作処理についてフローチャートを用いて説明する。なお、以下の処理の説明では、コンテンツの一例として番組を用い、その制作対象として台本データを用いるが、本発明におけるコンテンツの種類についてはこれに限定されるものではない。
【0105】
なお、以下の説明では、上述した実施例1における台本センダ12、演出モジュール13、コンテンツ生成部11のそれぞれにおけるコンテンツ制作処理手順についてそれぞれ説明する。
【0106】
<台本センダにおけるコンテンツ制作処理手順>
まず、上述した台本センダ12におけるコンテンツ制作処理についてフローチャートを用いて説明する。図9は、台本センダにおけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートにおいて、まず、台本データを1行読み込み(S01)、役割に該当する演出モジュールがあるか否かを判断する(S02)、ここで、役割に該当する演出モジュールがない場合(S02において、NO)、S01に戻る。また、役割に該当する演出がある場合(S02において、YES)、台本データの指示をその演出モジュールに送信する(S03)。また、台本データの終わりか否かを判断し(S04)、終わりでない場合(S04において、NO)、S01に戻り、台本データの次の行を読み込み、後続の処理を行う。また、台本データが終わりの場合(S04において、YES)、処理を終了する。
【0107】
<演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理手順>
次に、上述した演出モジュール13におけるコンテンツ制作処理手順についてフローチャートを用いて説明する。図10は、演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0108】
図10に示すフローチャートにおいて、まず、台本センダからの分割された台本データを受信したか否かを判断し(S11)、台本データを受信していない場合(S11において、NO)、台本データを受信するまで待機する。また、台本データを受信した場合(S11において、YES)、予め設定された演出ルールに基づいて、TVML変換を行う(S12)。また、変換したTVMLスクリプトをコンテンツ生成部に送信し(S13)、次に、演出処理が終了か否かを判断する(S14)。ここで、終了でない場合(S14において、NO)、S11に戻り後続の処理を行い、終了である場合(S14において、YES)、演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理を終了する。
【0109】
<コンテンツ生成部におけるコンテンツ制作処理手順>
次に、上述したコンテンツ生成部11におけるコンテンツ制作処理手順についてフローチャートを用いて説明する。図11は、コンテンツ生成部におけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0110】
図11に示すフローチャートにおいて、まず、演出モジュールからTVMLスクリプトの受信があるか否かを判断し(S21)、受信がなかった場合(S21において、NO)、受信があるまで待機する。
【0111】
また、TVMLスクリプトの受信がある場合(S21において、YES)、TVMLスクリプトを解析し(S22)、コンテンツを生成する(S23)。次に、コンテンツ生成処理が終了か否かを判断する(S24)。ここで、終了でない場合(S24において、NO)、S21に戻り後続の処理を行い、終了の場合(S24において、YES)、コンテンツ生成部におけるコンテンツ制作処理を終了する。
【0112】
なお、上述した処理においては、1つの端末でコンテンツ制作処理のうちビューアー及び制御ソフトの両方の機能を実行させてもよく、データの内容等、必要に応じて制作中の番組毎又は番組の途中で機能を切り替えて使用してもよい。
【0113】
<コンテンツ制作システム:実施例2>
次に、上述の実施例1と異なる他の実施例について、以下に説明する。図12は、手動モードを含むコンテンツ制作システムの一例を示す図である。また、図13は、図12の手動モード処理に対応するTVMLの変換例である。
【0114】
ここで、図12においては、上述した実施例1に対応するシステム構成となっており、台本データも上述した図6と同様の内容を用いるものとする。実施例2では、上述した実施例1と比較して、演出モジュール13−1のみが操作者が手動によりカメラ1の演出を行うようになっている。
【0115】
つまり、図12に示す演出モジュール13−1は、上述した実施例1に示すようにその演出モジュールが持つ演出ルールにしたがってTVMLスクリプトを生成するのはなく、台本センダ12から台本データを受け取ると、その台本データが操作者に提示され、それに基づいて操作者がコントローラやキーボード、マウス等の入力手段により操作し、その内容をTVMLスクリプト化する。
【0116】
具体的には、例えば演出モジュール13−1は、台本センダ12から上述した図6の(2)行目に示す台本データを受け取ると、手動モード演出モジュール13−1は、「ルーズショット」という指示をディスプレイ等に表示させたり、音声等により操作者に提示する。操作者は、その提示に基づいて、マウスやジョイステック等のコントローラ(入力手段)等を用いてカメラ1をコントロールして、図13に示すように所定の間隔又は何らかの操作がされて内容が変更された場合等に、断続的にルーズショットのTVMLスクリプトを生成しコンテンツ生成部11に出力する。
【0117】
また、上述した実施例2における台本センダ12、及びコンテンツ生成部11のそれぞれにおけるコンテンツ制作処理手順については、上述した実施例1と同様であるが、演出モジュール13については、上述した図10におけるコンテンツ制作処理手順とは異なる。したがって、実施例2における演出モジュール13の処理について、以下に説明する。
【0118】
<実施例2の演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理手順>
図14は、実施例2の演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0119】
図14に示すフローチャートにおいて、まず、台本センダからの分割された台本データを受信したか否かを判断し(S31)、台本データを受信していない場合(S31において、NO)、台本データを受信するまで待機する。また、台本データを受信した場合(S31において、YES)、その受信した台本データを操作者に提示する(S32)。
【0120】
次に、操作者が提示により指示された内容に基づいて操作した内容からTVMLスクリプトを生成し(S33)、そのTVMLスクリプトをコンテンツ生成部に送信する(S34)、次に、演出処理が終了か否かを判断し(S34)、終了でない場合(S34において、NO)、S31に戻り後続の処理を行い、終了である場合(S34において、YES)、実施例2の演出モジュールにおけるコンテンツ制作処理を終了する。
【0121】
なお、演出モジュール内部では、自動モードから手動モードに切り替わり、台本データに対する処理方法が変わっているが、装置の外側から見れば通信ネットワークは同一の通信仕様のまま使用することができる。したがって、実施例2と実施例1とを組合わせて、自動モードで動作中に手動モードに切り替えたり、逆に手動モードから自動モードに切り替えたり等、柔軟な運用が可能となる。
【0122】
上述したように本発明によれば、コンテンツ制作を分散させて効率的にコンテンツ制作を実現することができる。また、本発明によれば、ネットワーク上に分散した演出モジュールを組み合わせて、多彩な演出を作ることができ、演出の一部を人手で行ったり、途中で自動に戻したり柔軟に対応させることができる。
【0123】
また、番組等のコンテンツを制御する各要素に応じて制御を分割して複数の端末に分担させることができる。また、指示が容易なスクリプトやリアルタイム性が要求されるカメラワーク等、制御する要素(項目)に応じた制御設計が可能となる。また、端末の1つに複数のビューアーの再生内容を取得して表示する機能を設けることにより、番組制作において、見たいチェックポイント毎にその映像や音声、対応するスクリプト等を容易に確認することができ、1つの番組制作をいろいろなチェックポイントで確認することができる。
【0124】
また、本発明によれば、リアルタイムに変化する番組要素に対応し、複数ユーザの共同制作、複数モニターによる番組進行も実現することができる。また、複数人が効率的にコンテンツを共同制作することができる。
【0125】
したがって、ネットワーク上で離れた複数のユーザが共同して台本を制作・編集・再生することが可能となる。また、共同制作のための台本記述のデータ構造、ユーザ毎の迅速なアクセス制御方法、及びコンテンツへの変換手法を提供することができる。
【0126】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0127】
10 コンテンツ制作システム
11 コンテンツ管理サーバ
12 演出分散管理サーバ
13 演出制御装置
14 通信ネットワーク
21,41,61 入力手段
22,42,62 出力手段
23,43,63 蓄積手段
24 台本生成手段
25 番組スクリプト生成手段
26 排他制御手段
27 割込制御手段
28,48,65 再生手段
29,49,66 送受信手段
30,50,67 制御手段
31 番組台本
32 素材
33 APE
34 スクリプト
35 番組
36 排他制御情報
44 台本分割手段
45 分割台本割当手段
46 再生番組管理手段
47 評価手段
51 番組台本
52 分割台本
53 割当情報
54 評価情報
64 演出生成手段
71 分割台本
72 スクリプト
73 担当演出情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数の端末を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作システムにおいて、
前記コンテンンツを制作するために生成された台本を、前記コンテンツを構成する複数の要素で分割するコンテンツ分割手段と、
前記複数の端末のうち、前記コンテンツ分割手段により得られる分割台本毎に対応する演出のスクリプトを生成する端末を割り当てる分割台本割当手段と、
前記分割台本割当手段により割り当てられた端末により生成された前記分割台本に対応するスクリプトからコンテンツを生成するコンテンツ生成手段と、
生成されたコンテンツを現在再生しているコンテンツに割り込み制御を行う割込制御手段と、
前記割込制御手段により制御された割り込みコンテンツを再生する再生手段とを有することを特徴とするコンテンツ制作システム。
【請求項2】
前記割込制御手段は、
前記分割台本割当手段により割り当てられた端末以外の端末から対応する要素のスクリプトを取得した場合には、前記スクリプトの割込制御は行わないことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ制作システム。
【請求項3】
前記複数の端末において生成されるスクリプトを評価する評価手段を有し、
前記分割台本割当手段は、前記評価手段により得られる評価情報に基づいて、割り当てる頻度を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテンツ制作システム。
【請求項4】
前記割込制御手段は、
前記再生手段による再生内容に基づいて、前記割り当てた端末で対応するスクリプトの生成が完了したことを認識し、次の分割台本を送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のコンテンツ制作システム。
【請求項5】
前記複数の端末から得られる複数のスクリプトの再生順序に応じて、少なくとも1つのスクリプトの再生を制限する排他制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンテンツ制作システム。
【請求項6】
ネットワークに接続された複数の端末を用いてコンテンツを制作するためのコンテンツ制作プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記コンテンンツを制作するために生成された台本を、前記コンテンツを構成する複数の要素で分割するコンテンツ分割手段、
前記複数の端末のうち、前記コンテンツ分割手段により得られる分割台本毎に対応する演出のスクリプトを生成する端末を割り当てる分割台本割当手段、
前記分割台本割当手段により割り当てられた端末により生成された前記分割台本に対応するスクリプトからコンテンツを生成するコンテンツ生成手段、
生成されたコンテンツを現在再生しているコンテンツに割り込み制御を行う割込制御手段、及び、
前記割込制御手段により制御された割り込みコンテンツを再生する再生手段として機能させるためのコンテンツ制作プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図8】
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