説明

コンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法

【課題】新聞や雑誌等の紙面と同様のレイアウトを有する電子的なコンテンツが表示されている際、ユーザが、簡単な操作で所望の箇所を見易くすることができる。
【解決手段】記事または写真ごとに定義される複数の領域により構成されるコンテンツを表示する表示手段と、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示手段に表示されているコンテンツ表示範囲を保存する表示範囲保存手段と、操作手段からの指示を受けて、前記表示範囲保存手段に保存されているコンテンツ表示範囲を基に移動前の前記表示手段の状態を再現する表示再現手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子書籍端末の普及に伴って、書籍だけではなく、新聞、雑誌等のコンテンツが電子化される流れも加速しつつある。文字が主体の書籍とは異なり、新聞、特に雑誌においては、紙面レイアウト自体が記事の話題性や重要度、更にはデザイン性等をも含んでいるため、電子化されたコンテンツの多くは紙面レイアウトそのままにPDF(Portable Document Format)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)などの標準化された電子文書ファイルや画像ファイルとして配布されている。
【0003】
ところが、携帯型の電子書籍端末のようなコンテンツ表示装置が紙面レイアウトのまま電子化されたコンテンツを表示する場合、実際の紙面よりも小さい画面に収まるように縮小表示されることになるため、文字の視認性が極端に低下してしまう。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、「複数のブロックに分割されたコンテンツのコンテンツデータであり、連続して表示すべきブロックに関し、前のブロックの位置から相対的に求められる位置を次のブロックの表示位置とするための位置データを含むコンテンツデータを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されているコンテンツデータと、そのコンテンツデータに含まれる位置データに基づき、所定のブロックの所定の位置への表示をブロック毎に順次制御することにより、コンテンツの表示を制御する表示制御手段と、表示制御手段により制御され、コンテンツを表示する表示手段とを含み、表示制御手段は、コンテンツ内の所定のブロックを拡大した表示が指示された場合、コンテンツが縦方向にスクロールされることにより全体が参照されるようにブロックが配置されているとき、表示手段の表示領域の横方向に、拡大後のブロックの一部がはみ出すようなことがないか否かを判断し、コンテンツが横方向にスクロールされることにより全体が参照されるようにブロックが配置されているとき、表示手段の表示領域の縦方向に、拡大後のブロックの一部がはみ出すようなことがないか否かを判断する判断手段と、判断手段により、表示領域の横方向または縦方向に拡大後のブロックの一部がはみ出してしまうと判断された場合、ブロックに設定され、コンテンツデータに含まれるデータに基づいて、ブロックを変形する変形手段とを含むことを特徴とする」情報処理装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、「本発明は、まず新聞紙面から可読な見出し情報のみを新聞紙面上の配置のまま電子データで表示し、ユーザにより前記可読な見出し情報が選択的に指定されたときに、前記見出し情報と関連付けられた記事情報を可読的な表示データとして表示装置上に表示するものである。」とも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−118478号公報
【特許文献2】特開2002−236701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の従来技術では、コンテンツ内の各ブロックは、製作者が望む参照順でしか表示されない。従って、一般に新聞や雑誌を閲覧するように、利用者が紙面上の見出しや写真から興味のある記事だけを選択的に閲覧することができないという問題点があった。
【0008】
また、特許文献2記載の従来技術では、レイアウトが保持されているのは見出しのみであるため、雑誌のように写真や記事が複雑に配置されたコンテンツであっても、結局は写真や記事が整然と配置されたような、従来のレイアウトが持っていた記事の重要度等の情報やデザイン性を排除したレイアウトで閲覧されることになってしまう。
【0009】
更に、利用者各々が文字を視認できる大きさに部分的にコンテンツ内の記事を拡大する方法では、利用者は1つの拡大された記事を読み終える都度、次に閲覧したい記事に移動するために、縮小操作やスクロール操作等を繰り返す必要がある。加えて、写真を参照しながら記事を読み進めたい場合においても、同様の煩わしい操作を利用者に強いることになる上に、直前に読んでいた記事の位置を見失ってしまう弊害も生まれる。
【0010】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、新聞や雑誌等の紙面と同様のレイアウトを有する電子的なコンテンツが表示されている際、ユーザが、簡単な操作で所望とする箇所を見易くすることができるコンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、例えば、本発明に係るコンテンツ表示装置は、記事または写真ごとに定義される複数の領域により構成されるコンテンツを表示する表示手段と、利用者の操作に基づいて、前記表示手段により表示される領域の移動、拡大または縮小を指示する操作手段と、複数の前記領域間の位置から相対的に求められる位置座標と、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる位置座標のうち、双方またはいずれか一方を前記領域ごとに記憶するリンク記憶制御手段と、前記操作手段からの指示を受け、前記位置座標に基づいた前記領域間の移動、または前記領域の拡大もしくは縮小を制御する表示制御手段とを有し、前記表示制御手段は、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示手段に表示されているコンテンツ表示範囲を保存する表示範囲保存手段と、前記操作手段からの指示を受けて、前記表示範囲保存手段に保存されているコンテンツ表示範囲を基に移動前の前記表示手段の状態を再現する表示再現手段とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新聞や雑誌等の紙面と同様のレイアウトを有する電子的なコンテンツが表示されている際、ユーザが、簡単な操作で所望とする箇所を見易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1にかかるコンテンツ表示装置100の外観構成図である。
【図2】本発明の実施例1にかかるコンテンツ表示装置100の内部構成図である。
【図3(A)】本発明の実施例1にかかる画像コンテンツデータ400のデータ構造図である。
【図3(B)】本発明の実施例1にかかる画像コンテンツデータ400のヘッダ情報の記述例である。
【図4】本発明の実施例1にかかる画像コンテンツデータ400に対応するコンテンツ例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1にかかる電子文書コンテンツデータ500のデータ構造図である。
【図6】本発明の実施例1にかかるコンテンツ描画処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図7(A)】本発明の実施例1にかかるページ構造リストを構築する構造体700の例を示す図である。
【図7(B)】本発明の実施例1にかかるページ構造リストを構築する構造体700のページ構造リストの例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1にかかる入力I/Fにタッチパネル等を採用した場合のページ構造リストの例を示す図である。
【図9】本発明の実施例1にかかる領域移動処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1にかかる表示範囲保存処理の内容を説明するためのコンテンツ表示例である。
【図11】本発明の実施例1にかかる表示再現処理の内容を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るコンテンツ表示装置およびコンテンツ表示方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本実施の形態に係るコンテンツ表示装置100の外観構成例を示す図であり、図2は、コンテンツ表示装置100の内部構成例を示す図である。以下の説明において、コンテンツは、記事または写真ごとに定められた複数の領域によって構成される。
【0016】
図1に示す通り、この例のコンテンツ表示装置100は、表示部101、左方指定キー102−1、右方指定キー102−2、選択キー103、上方指定キー104−1、下方指定キー104−2、拡大キー105−1、縮小キー105−2、および、リセットキー106を備えている。なお、以下の説明において、左方指定キー102−1および右方指定キー102−2、上方指定キー104−1および下方指定キー104−2、並びに、拡大キー105−1および縮小キー105−2は、それぞれ区別する必要がない場合、単に左右指定キー102、上下指定キー104、および、拡大/縮小キー105と夫々表記するものとする。
【0017】
更に、図2に示す通り、コンテンツ表示装置100は、CPU(Central Processing Unit)200、表示範囲保存部202と表示再現部203を含む表示制御部201、記憶部204、リンク記憶制御部205、操作部206、操作制御部208、通信I/F(インターフェース)209、および、外部記憶媒体210を備え、操作部206を除く、それぞれのブロックはバス211を介して相互に接続されている。
【0018】
表示部101は、コンテンツの内容等を表示するディスプレイであり、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、電界放出ディスプレイ、電子ペーパー等を用いる。左右指定キー102、上下指定キー104および選択キー103は、表示部101の下方に設けられ、利用者が、表示部101に表示されているコンテンツ内の記事または写真ごとに定義される領域間の移動やスクロール、複数からなる項目の選択等に使用する。拡大/縮小キー105は、表示部101に表示されているコンテンツ、言い換えるとコンテンツ内の領域の拡大または縮小の指示を行う際に使用する。リセットキー106は、領域間の移動後、直前の表示内容を復帰させる操作や、コンテンツ内の所定の位置へ移動させる場合に使用する。上述した操作キー102、103、104、105および106は、操作部206にタッチパネル207を加えた場合、表示部101に表示させ、ソフトウェアとして実装してもよい。
【0019】
CPU200は、記憶部204に含まれるメモリ内のプログラムに従って各種の処理を実行する。表示制御部201は、CPU200からの指示によって、領域間の移動および表示部101上の表示制御等を行うコントローラであり、内部に表示範囲保存部202と表示再現部203を含む。表示範囲保存部202は、操作部206からの指示を受けて領域間を移動する際、移動前の表示部101の表示状態を一時的に保存する。表示再現部203は、操作部206からの指示を受けて、表示範囲保存部に保存されている内容を読み込み、表示制御部201が識別できる表示データに整形する。記憶部204は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Randam Access Memory)を含んで構成されるメモリである。
【0020】
リンク記憶制御部205は、コンテンツが含む領域間のリンク情報に基づいて、領域間の関係を示すリスト構造を構築するものである。操作部206は、利用者の操作を受け付けるインターフェース部であり、前述した操作キーやタッチパネル207等を用いる。操作制御部208は、操作部206の制御を行うドライバであり、操作部206が受け付けた操作に基づく信号をCPU200に出力する。通信I/F209は、インターネット等のネットワークに接続するための外部インターフェースであり、コンテンツのダウンロード等に用いる。外部記憶媒体210は、ハードディスクや光ディスク、半導体メモリなどの記録媒体であり、データの読み込みまたは書き込みに使用する。
【0021】
図3(A)は、コンテンツ表示装置100によって表示されるコンテンツが画像ファイルである場合のデータ構造の一例を示す図である。画像コンテンツデータ400は、ヘッダ情報と画像データ情報に分けられる。画像データ情報には、JPEG形式やPNG(Portable Network Graphics)形式、GIF(Graphics Interchange Format)等を用いて、コンテンツの内容が格納される。ヘッダ情報には、写真や記事の領域を示す領域定義情報と、領域間の接続関係を示す領域間リンク情報が格納される。
【0022】
上記ヘッダ情報の記述例が図3(B)である。また、記述例を示すにあたって、対応するコンテンツの一例を図4に示す。このコンテンツ例は、写真を主体としたファッション雑誌のようなものを想定しており、タイトル、写真402に代表されるような写真、および、解説テキスト403に代表されるような記事等の各要素により構成される。図3および図4の例において、図3内の座標402aは、図4内の写真402の領域開始座標402aに対応するように、図3および図4内で共通する符号は、それぞれ同一の座標を表現している。以下では、図4に示す写真402および解説テキスト403の領域定義、更に双方間の接続を実現する記述例を示す。
【0023】
まず、領域定義情報内には、識別子情報401、領域開始座標402a、領域終了座標402bおよび領域基点座標402cの順に記述される。図中の例は画像コンテンツデータ400の原点を基に各座標を定義しているが、これとは別の基点を設けて各座標を定義しても良い。領域開始座標402aおよび領域終了座標402bによって、写真402が表示される領域が決定される。領域基点座標402cは、表示部101に表示制御の際に参照される点、または、領域内座標を表現するときの基準点として使用される(ただし、領域基点座標402cは省略しても良い)。
【0024】
更に、領域間リンク情報として、領域定義情報内で定義済みの識別子情報401、および、接続先の基点座標403cが記述される。解説テキスト403に関しても同様に記述することで、写真402と解説テキスト403の領域定義および相互接続関係を記述する。上記例は、領域定義情報と領域間リンク情報を分割して記述したが、領域定義情報の各行に領域間リンク情報を付加し、ヘッダ情報としてまとめても良い。また、その他処理に必要な情報があれば、適宜ヘッダ情報内に追加しても良い。
【0025】
図5は、コンテンツ表示装置100によって表示されるコンテンツが電子文書ファイルである場合のデータ構造の一例を示す図である。電子文書コンテンツデータ500内の、写真および記事のデータはオブジェクトデータとしてまとめられている。例えば、写真データは、図5内のobject〜end object内に記述される。該オブジェクト内に識別子情報および領域間リンク情報501を追加することで、領域間のリンクを記述できる。その他処理に必要な情報があれば、適宜オブジェクト内に追加しても良い。
【0026】
このような構成のコンテンツ表示装置100およびコンテンツデータ構造におけるコンテンツ描画処理について記述する。
【0027】
図6は、コンテンツを表示部101に描画するフローを示す。まず、CPU200は、記憶部204または外部記憶媒体210から、コンテンツデータを読み出す(S1)。次に、リンク記憶制御部205は、コンテンツデータが画像ファイルである場合、読み出したデータのヘッダ情報から、領域定義情報と領域間リンク情報等を抽出し、後述するページ構造リストを構築し、コンテンツデータが電子文書ファイルである場合、各オブジェクト内の所定の領域から、識別子情報と領域間リンク情報等を抽出し、ページ構造リストを構築する(S2)。
【0028】
最後に、表示制御部201は、表示するコンテンツデータを整形し(S3)、表示部101に表示する(S4)。表示にあたっては、各領域の大きさに合わせて表示部101に表示するような自動拡大機能が付加されていることが望ましい。以上により、コンテンツ描画処理が完了する。
【0029】
以下に、ページ構造リストを構築(S2)する実施例を示す。図7(A)は、ページ構造リストを構築するための構造体700の一例を示す。コンテンツデータが画像ファイルである場合、位置座標格納領域701には、領域開始座標および領域終了座標、そして領域基点座標等が格納される。
【0030】
また、コンテンツデータが電子文書ファイルである場合、位置座標格納領域701には、識別子情報等が格納される。その他の必要な情報がある場合は、適宜位置座標格納領域701に追加して良い。また、左方指定キー102−1に対応する左方ポインタ格納域702、右方指定キー102−2に対応する右方ポインタ格納域703、上方指定キー104−1に対応する上方ポインタ格納域704、下方指定キー104−2に対応する下方ポインタ格納域705、更に、写真や記事の注釈の領域を指定する注釈ポインタ格納域706を有し、それぞれ各キーが押された場合に対応するポインタ格納域を参照し、領域間の移動を行う。
【0031】
その他の機能を追加する場合や削除する場合には上記ポインタ格納域の数を増減しても良い。なお、参照先が存在しない場合はNULL等を格納する。
【0032】
図7(B)は、上記構造体700によって構築されるページ構造リストの一例である。画像a709について、画像注釈708および画像aに関連する記事aが付属している構造となっている。その他、画像b710が画像a709と同一の階層に並び、両領域が直接的に接続される階層構造となっている。その他にも、関連する画像や記事をまとめて、複雑な入れ子構造とすることも可能であるが、単純な階層構造である図7(B)を用いて、以下の説明を行う。
【0033】
この例において、表示部101により表示される対象(以下「表示対象」という)として、利用者が画像a709を指定している場合、右方指定キー102−2が押されると表示対象は画像b710に変わる。同様に、下方指定キー104−2が押されると表示対象は記事a711に変わり、上方指定キー104−1が押されると初期状態707へと移動する。この場合の初期状態とは、コンテンツ描画処理完了後、縮小/拡大キー105を除く操作キーが押される以前の表示部101の状態のことである。このとき、表示部101に表示されているコンテンツが拡大または縮小されている場合は、後述する領域移動処理を適用して良い。
【0034】
ただし、初期状態の定義は任意であり、例えば、コンテンツ全体を表示部101に映し出す状態としても良い。上記、構造体間の遷移操作において、表示部101では現在指定している構造体が記憶する領域をカーソルで囲み等の処理を付加し、上記操作を利用者に明示させることが望ましい。
【0035】
またこの例では、初期状態707からは、1つの構造体にのみ移動させている。これは、コンテンツの製作者の意図する閲覧順を指定するための一例であって、初期状態からの参照先および操作キーの割り当てに関しては任意に設定して良い。また、この例では、画像a709のキャプションとして、画像注釈708が設定されており、注釈ポインタ格納域706に格納されているポインタを通してのみ参照可能とした。該画像注釈708は画像a以外から参照されることが極端に少ないため、画像a以外からの移動が不可能な構造を取っている。
【0036】
更に、この例では、初期状態707からの移動先は画像a709としているが、記事が主体となるコンテンツに適用する場合、例えば、画像と記事の階層構造を逆転させ、初期状態707からの移動先を記事a711として直接参照しても問題ない。
【0037】
また、入力I/Fとして、タッチパネルやマウス等を使用する場合(上記コンテンツ表示装置100の場合、操作部206におけるタッチパネル207)、初期状態707から直接各領域を参照することができるため、図8の図を適用する(実施例2にて後述)。なお、上記例では構造体の移動にポインタを使用したが、それぞれの構造体に別途識別子を設け、この識別子を基にした状態遷移表により、構造体間の移動を実現させても良い。
【0038】
なお、参照先の位置座標格納領域701が不正なデータである場合、初期状態707、または、後述する領域移動処理内で保存された位置座標に移動させる。ただし、領域移動処理内で保存された位置座標が複数存在する場合は、利用者によって選択された該位置座標に移動する。
【0039】
上記構成のコンテンツ表示装置100およびコンテンツデータ構造における領域移動処理について記述する。
【0040】
図9は、領域間の移動を行う際の領域移動処理を示す。まず、前述したコンテンツ描画処理が完了後、選択キー103等トリガとなるキーが入力されると、表示範囲保存処理に遷移する(T1)。表示制御部201は、より具体的には表示範囲保存部202は表示範囲保存処理(T2・後述)を行い、表示するコンテンツデータを整形し(S3)、表示部101に表示する(S4)。
【0041】
表示範囲保存処理(T2)は以下のように実現される。図10は、コンテンツ表示装置100により拡大画像が表示されている例を示している(記事の領域およびその他の領域を拡大/縮小している場合にも同様に以下の処理が適用される)。この場合において、画面内の任意の頂点座標902およびその対角に存在する座標901を一時的に記憶部204等に保存する。保存する座標は、コンテンツ全体から求められる絶対座標、もしくは、領域基点座標や領域の端点等を基準にした領域内における相対座標である。この2点を保存することによって、表示範囲保存処理が完了する。
【0042】
また、別の方法として表示範囲保存処理(T2)は以下のように実現される。画面内の任意の頂点座標900および同一辺の上に存在する座標902を一時的に記憶部204等に保存する。保存する座標は、コンテンツ全体から求められる絶対座標、もしくは、領域基点座標や領域の端点等を基準にした領域内における相対座標である。これに加えて、表示部101の画面寸法を取得する画面寸法取得手段を設けることで、上記2点の保存によって、表示範囲保存処理が完了する。
【0043】
更に、別の方法として表示範囲保存処理(T2)は以下のように実現される。画面の中心座標903および現在表示しているコンテンツの拡大率を一時的に記憶部204等に保存する。保存する座標は、コンテンツ全体から求められる絶対座標、もしくは、領域基点座標や領域の端点等を基準にした領域内における相対座標である。上記1点および拡大率を保存することによって、表示範囲保存処理が完了する。
【0044】
上記表示範囲保存処理において複数の情報を保存する場合、自在のリスト構造として記憶させ、スタック操作や選択操作が容易な構造を取ることが望ましい。
【0045】
上記構成のコンテンツ表示装置100およびコンテンツデータ構造における表示再現処理について記述する。
【0046】
図11は、領域間の移動を行う際の表示再現処理を示す。まず、領域移動処理が実施された後、リセットキー106等トリガとなるキーが入力されると、表示再現処理に遷移する(U1)。表示再現処理では、表示制御部201が、より具体的には表示再現部203が、前述した表示範囲保存処理(T2)において保存されている位置座標情報等を基に表示範囲を特定し、表示するコンテンツデータを整形し(S3)、表示部101に表示する(S4)。以上により表示再現処理が完了する。
【0047】
ただし、領域移動処理内で保存された位置座標が複数存在する場合は、利用者によって指定する情報の表示再現処理を行う。
【実施例2】
【0048】
本実施例では、入力I/Fとして、タッチパネルやマウス等を使用するコンテンツ表示装置およびコンテンツ描画処理について記述する。なお、本実施例において、前述した実施例1と重複するページ構造リストおよびフローチャート等の説明は省略する。
【0049】
図8に、入力I/Fとして、タッチパネルやマウス等を使用する場合のページ構造リストの構築(S2)実施例を示す。この場合において、操作キーにより構造体間の遷移を実現する場合とは異なり、利用者は直接各領域を指定することができるため、初期状態707より全領域への双方向移動を可能としなければならない。
【0050】
従って、コンテンツデータが画像ファイルである場合、各領域範囲から判断する条件分岐等によって、利用者によって指定された座標がどの領域に含まれるかを判断し、指定領域を特定、更に、指定領域が特定できた場合には、初期状態707から各領域へと移動を行う処理を追加する。また、コンテンツデータが電子文書ファイルである場合、指定座標から指定領域を選択する機能を利用して、初期状態707から各領域へと移動を行う。
【0051】
各領域を示す構造体700に、それぞれ、初期状態707を指すポインタ領域を追加、該ポインタを格納することで双方向移動が可能となる。この場合においても、構造体700内の各ポインタ格納領域は、タッチパネル内に仮想的に配置される操作キーによって操作できるよう保持しておくことが望ましい。上記構造体700によって、図8に示すページ構造リストが構築できる。
【0052】
以上のように、本実施の形態のコンテンツ表示装置100またはコンテンツ表示方法によれば、CPU200は、記憶部204または外部記憶媒体210により記憶されているコンテンツデータを読み出し、予めコンテンツデータの所定領域に格納されている領域定義情報および領域間のリンク情報から、ページ構造リストを生成し、そのページ構造リスト内の情報を読み出すことにより、記事や写真の領域定義や該領域間の移動を実現する。
【0053】
また、特定の操作によって呼び出される領域移動処理では、領域間の移動時において、移動前に表示部101における特徴点の座標や拡大率を記憶することによって、表示部101により表示されていた状態を記憶させる。同様に、特定の操作によって呼び出される表示再現処理は、領域移動処理において記憶されている特徴点の座標や拡大率の情報を基に領域移動処理直前の表示部101の状態を再現する。
【0054】
従って、本実施の形態のコンテンツ表示装置100またはコンテンツ表示方法によれば、作成されたページ構造リストによってコンテンツ内の領域の接続関係を表現できることから、関連する画像や記事を入れ子構造にする等、複雑な構造を実現することが可能となり、利用者が選択的に写真や記事を選択することもできるし、コンテンツの製作者が望む参照順で表示させることもできる。
【0055】
また、領域移動処理および表示再現処理により、領域を移動させた場合でも、移動直前の表示部101の状態を保持することができる。例えば、写真と見比べながら写真の解説記事を読みすすめたい場合や記事内において領域外の図表を参照している場合等、記事領域から写真や図表領域間を頻繁に移動したとしても、直前に読んでいた記事の位置を見失う可能性は極端に低くなる。
【0056】
さらに、コンテンツが電子文書コンテンツデータである場合には、電子文書データ内の各オブジェクト内に識別子情報とリンク情報を格納するのみであり、コンテンツ製作者側の作業量も少ないという利点も有する。
【0057】
また、表示部101が備える表示画面が比較的小さくても、表示対象の切り替えが容易であるため、利用者が見たい写真、読みたい記事を選択的に表示することができる。
【0058】
また、新聞や雑誌等の紙面と同様のレイアウトを有するコンテンツであっても、ユーザによる簡便な操作でもって、記事や写真を拡大表示することができる。
【0059】
更に、新聞や雑誌等のコンテンツの製作者側にとっては、製作したコンテンツを作り変えることなく、紙面と同等のデザイン性や情報量を持った電子新聞や電子雑誌等を提供すできる効果を奏す。
【0060】
尚、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
【0061】
また、例えば、上記の各構成、機能、処理部等の一部又は全てを集積回路等のハードウェアで実現しても良い。また、上記の各構成、機能、処理部等の一部又は全てを、コンピュータが夫々の機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより、ソフトウェアで実現しても良い。
【符号の説明】
【0062】
100…コンテンツ表示装置
101…表示部
102−1…左方指定キー
102−2…右方指定キー
103…選択キー
104−1…上方指定キー
104−2…下方指定キー
105−1…拡大キー
105−2…縮小キー
106…リセットキー
400…画像コンテンツデータ
401…識別子情報
402…写真
403…解説テキスト
500…電子文書コンテンツデータ
501…領域間リンク情報
700…構造体
701…位置座標格納領域
702…左方ポインタ格納域
703…右方ポインタ格納域
704…上方ポインタ格納域
705…下方ポインタ格納域
706…注釈ポインタ格納域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記事または写真ごとに定義される複数の領域により構成されるコンテンツを表示する表示手段と、
前記表示手段により表示される領域の移動、拡大または縮小を指示する操作を受け付ける操作手段と、
複数の前記領域間の位置から相対的に求められる位置座標と、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる位置座標のうち、双方またはいずれか一方を、次に表示するべき領域の位置座標として前記領域ごとに記憶するリンク記憶制御手段と、
前記操作手段により受け付けられた操作を受け、前記位置座標に基づいた前記領域間の移動、または前記領域の拡大もしくは縮小を制御する表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示手段に表示されているコンテンツ表示範囲を保存する表示範囲保存手段と、
前記操作手段により受け付けられた操作を受けて、前記表示範囲保存手段に保存されているコンテンツ表示範囲を基に移動前の前記表示手段の状態を再現する表示再現手段とを含むことを特徴とするコンテンツ表示装置。
【請求項2】
記事または写真ごとに定義され、個々に独立した識別子を有する複数の領域により構成されるコンテンツを表示する表示手段と、
前記表示手段により表示される領域の移動、拡大または縮小を指示する操作を受け付ける操作手段と、
次に表示するべき領域の前記識別子を前記領域ごとに記憶するリンク記憶制御手段と、
前記操作手段により受け付けられた操作を受け、前記識別子に基づいた前記領域間の移動、または前記領域の拡大もしくは縮小を制御する表示制御手段とを有し、
前記表示制御手段は、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示手段に表示されているコンテンツ表示範囲を保存する表示範囲保存手段と、
前記操作手段により受け付けられた操作を受けて、前記表示範囲保存手段に保存されているコンテンツ表示範囲を基に移動前の前記表示手段の状態を再現する表示再現手段とを含むことを特徴とするコンテンツ表示装置。
【請求項3】
前記表示範囲保存手段は、前記表示手段の形状が矩形である場合、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示手段に表示されているコンテンツ表示範囲のある頂点および前記頂点の対角に存在する頂点の少なくとも2点の、前記領域内に定められる所定の基点から相対的に求められる座標、または、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる座標を保存することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項4】
前記表示範囲保存手段は、前記表示手段の形状が矩形である場合、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示手段に表示されているコンテンツ表示範囲の任意の少なくとも2頂点の、前記領域内に定められる所定の基点から相対的に求められる座標、または、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる座標を保存し、
更に前記表示手段の寸法情報を取得する表示寸法取得手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項5】
前記表示範囲保存手段は、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示手段に表示されているコンテンツ表示範囲の1点以上の頂点、または、前記コンテンツ表示範囲の中心点の前記領域内に定められる所定の基点から相対的に求められる座標、または、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる座標と、前記操作手段により指定されている表示拡大率とを保存することを特徴とする請求項1または2に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項6】
前記表示範囲保存手段および前記表示再現手段は、複数の前記位置座標の格納または取り出しが自在のリスト構造として機能することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のコンテンツ表示装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記領域ごとに記憶されている次に表示するべき領域の前記位置座標または前記識別子が存在しない場合、前記コンテンツ内における所定の初期座標もしくは先頭識別子、または、前記表示範囲保存手段に記憶されている直近の座標に従って、前記領域間の移動または前記領域の拡大もしくは縮小を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のコンテンツ表示装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記領域ごとに記憶されている次に表示するべき領域の前記位置座標または前記識別子が存在しない場合、前記コンテンツ内における所定の初期座標もしくは先頭識別子、または、前記表示範囲保存手段に記憶されている複数の前記位置座標のうち、前記制御手段によって指定される前記座標に従って、前記領域間の移動、または前記領域の拡大もしくは縮小を制御することを特徴とする請求項6に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項9】
前記リンク記憶制御手段は、前記領域ごとに記憶される2点以上の前記位置座標または前記識別子を記憶するリンク記憶制御手段であることを特徴とする請求項1〜8に記載のコンテンツ表示装置。
【請求項10】
記事または写真ごとに定義される複数の領域により構成されるコンテンツに関し、
複数の前記領域間の位置から相対的に求められる位置座標と、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる位置座標のうち、双方またはいずれか一方を、次に表示するべき領域の位置座標として前記領域ごとに記憶するリンク記憶制御ステップと、
利用者からの操作を受け、前記位置座標に基づいた前記領域間の移動、または前記領域の拡大もしくは縮小を制御する表示制御ステップと、
前記領域間の移動制御時において、移動前の表示画面に表示されているコンテンツ表示範囲を保存する表示範囲保存ステップと、
前記利用者からの操作を受けて、前記表示範囲保存ステップにおいて保存したコンテンツ表示範囲を基に移動前の前記表示画面の状態を再現する表示再現ステップとを含むことを特徴とするコンテンツ表示方法。
【請求項11】
コンテンツ内の記事または写真ごとに定義される個々に独立した識別子を有する複数の領域に関し、次に表示するべき領域の前記識別子を前記領域ごとに記憶するリンク記憶制御ステップと、
利用者からの操作を受け、前記識別子に基づいて前記領域間の移動、または前記領域の拡大もしくは縮小を制御する表示制御ステップと、
前記領域間の移動制御時において、移動前の表示画面に表示されているコンテンツ表示範囲を保存する表示範囲保存ステップと、
前記利用者からの操作を受けて、前記表示範囲保存ステップにおいて保存したコンテンツ表示範囲を基に移動前の前記表示画面の状態を再現する表示再現ステップとを含むことを特徴とするコンテンツ表示方法。
【請求項12】
前記表示範囲保存ステップは、前記表示画面の形状が矩形である場合、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示画面に表示されているコンテンツ表示範囲のある頂点および前記頂点の対角に存在する頂点の少なくとも2点の、前記領域内に定められる所定の基点から相対的に求められる座標、または、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる座標を保存することを特徴とする請求項10または11に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項13】
前記表示範囲保存ステップは、前記表示画面の形状が矩形である場合、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示画面に表示されているコンテンツ表示範囲の任意の少なくとも2頂点の前記領域内に定められる所定の基点から相対的に求められる座標、または、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる座標を保存し、
更に前記表示画面の寸法情報を取得する表示寸法取得ステップを含むことを特徴とする請求項10または11に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項14】
前記表示範囲保存ステップは、前記領域間の移動制御時において、移動前の前記表示画面に表示されているコンテンツ表示範囲の1点以上の頂点、または、前記コンテンツ表示範囲の中心点の前記領域内に定められる基点から相対的に求められる座標、または、前記コンテンツの全体領域から絶対的に求められる座標と、前記操作手段により指定されている表示拡大率とを保存することを特徴とする請求項10または11に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項15】
前記表示範囲保存ステップおよび前記表示再現ステップは、複数の前記位置座標の格納または取り出しを自在のリスト構造として操作することを特徴とする請求項10〜14の何れかに記載のコンテンツ表示方法。
【請求項16】
前記表示制御ステップは、前記領域ごとに記憶されている次に表示するべき領域の前記位置座標または前記識別子が存在しない場合、前記コンテンツ内における所定の初期座標または先頭識別子、もしくは、前記表示範囲保存手段に記憶されている座標に従って、移動および表示を制御することを特徴とする請求項10〜14の何れかに記載のコンテンツ表示方法。
【請求項17】
前記表示制御ステップは、前記領域ごとに記憶されている次に表示するべき領域の前記位置座標または前記識別子が存在しない場合、前記コンテンツ内における所定の初期座標または先頭識別子、もしくは、前記表示範囲保存手段に記憶されている前記位置座標のうち、利用者からの操作によって指定される座標に従って、移動および表示を制御することを特徴とする請求項15に記載のコンテンツ表示方法。
【請求項18】
前記リンク記憶制御ステップは、前記領域ごとに記憶される2点以上の前記位置座標または前記識別子を記憶することを特徴とする請求項10〜17の何れかに記載のコンテンツ表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3(A)】
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【図3(B)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(A)】
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【図7(B)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−128751(P2012−128751A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281135(P2010−281135)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】