説明

コンテンツ販売方法及びコンテンツ販売システム

【課題】 コンテンツに含まれる著作物の著作権者が正当な利益を確保することの可能なコンテンツ販売方法及びコンテンツ販売システムを提供する。
【解決手段】 1または2以上の著作物を含むコンテンツを利用者端末110に送付するにあたり,利用者端末におけるコンテンツに含まれる各々の著作物の購入情報の保有有無を判断し,各々の購入情報の保有有無に基づいてコンテンツの送付料金を算出する。コンテンツに含まれる著作物自体を取引の対象として流通させ,コンテンツの利用者から直接的に利益を得ることができる。このため,著作物が含まれるコンテンツの出来不出来に関わらず,著作権者は正当な利益確保を図ることが可能である。さらに,コンテンツの利用者側も,購入情報を取得した著作物が含まれるコンテンツを低廉に入手できるため,消費活動の活性化に効果がある。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,インターネットなどのネットワーク上における,映像,静止画,ゲームなどのコンテンツ販売システム及びコンテンツ販売方法に関する。
【0002】
【従来の技術】文章や絵画などのように,通常1人の著作者により作成される著作物については,著作物に利用許諾等がなされることにより,著作権者の利益が確保される。しかしながら,複数の著作者が関わって制作されるコンテンツの場合にはこれと事情が異なる。例えば,ゲームなどのように,キャラクターや音楽やプログラムなどの著作物が個別に作られ,それら複数の著作物に基づいて作成されるコンテンツがそれである。かかるコンテンツの場合,従来より,コンテンツの売上による利益の一部を,予め決められた一定の割合で各著作権者に還元するという形が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記従来のコンテンツ販売方法では,各著作権者の利益は,コンテンツの利益を通じて得られる間接的なものであり,コンテンツの売上に左右されることとなる。例えば,上述のゲームの場合,登場するキャラクターや音楽が如何に素晴らしく,創作的価値を有するものであっても,ゲーム自体の売上が悪ければ,キャラクターや音楽の著作権者に還元される利益も少なくなってしまう。このような不都合を解消するためには,コンテンツに含まれる著作物自体を取引の対象として流通させ,コンテンツの利用者から直接的に利益を確保することができる新たなシステムが要請される。
【0004】本発明は,従来のコンテンツ販売システムが有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,コンテンツに含まれる著作物の著作権者が正当な利益を確保することの可能な,新規かつ改良されたコンテンツ販売方法及びコンテンツ販売システムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため,本発明の第1の観点によれば,請求項1に記載のように,1または2以上の著作物を含むコンテンツを利用者端末に送付するにあたり,前記利用者端末における前記コンテンツに含まれる各々の著作物の購入情報の保有有無を判断し,前記各々の購入情報の保有有無に基づいて前記コンテンツの送付料金を算出することを特徴とするコンテンツ販売方法が提供される。
【0006】また,上記課題を解決するため,本発明の第2の観点によれば,請求項2に記載のように,1または2以上の著作物を含むコンテンツを販売するためのコンテンツ販売システムであって,前記著作物の購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段と,条件サーバに対してコンテンツと前記購入情報との条件関係の問い合わせ要求を行う購入条件問い合わせ手段と,前記コンテンツの実行手段とを備えた利用者端末と;前記購入情報を前記利用者端末に送る著作権者端末と;1または2以上の著作物を含むコンテンツを作成しコンテンツ販売管理サーバに送るコンテンツ作成者端末と;前記コンテンツ作成者端末から送られたコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と,前記コンテンツの内容及び料金を含む情報を前記利用者端末に送る販売管理手段とを備えた前記コンテンツ販売管理サーバと;前記コンテンツと前記購入情報との条件関係を蓄積し,前記コンテンツの料金を前記購入情報に基づいて算出する条件蓄積手段と,前記条件蓄積手段を検索するための検索手段とを備えた前記条件サーバと;を含むことを特徴とする,コンテンツ販売システムが提供される。
【0007】かかるコンテンツ販売方法あるいはコンテンツ販売システムによれば,コンテンツに含まれる著作物自体を取引の対象として流通させ,コンテンツの利用者から直接的に利益を得ることができる。このため,著作物が含まれるコンテンツの出来不出来に関わらず,著作権者は正当な利益確保を図ることが可能である。このことはまた,著作者の創作意欲を奨励し,著作物の創作水準を引き上げる効果もある。さらに,コンテンツの利用者側も,購入情報を取得した著作物が含まれるコンテンツを低廉に入手できるため,消費活動の活性化に効果がある。さらにまた,コンテンツ作成者側も,著作物の著作権者との間における金銭的な交渉を必要としないため,両者の間におけるトラブルを回避できる。さらに,コンテンツ作成の幅を広げることや,コンテンツの創作水準を高めることができる。
【0008】また,本発明の第3の観点によれば,請求項3に記載のように,1または2以上の著作物を含むコンテンツを販売するためのコンテンツ販売システムであって,条件サーバに対してコンテンツと購入情報との条件関係の問い合わせ要求を行う購入条件問い合わせ手段と,前記コンテンツの実行手段とを備えた利用者端末と;前記購入情報を前記利用者端末に送る著作権者端末と;1または2以上の著作物を含むコンテンツを作成しコンテンツ販売管理サーバに送るコンテンツ作成者端末と;前記コンテンツ作成者端末から送られたコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と,前記コンテンツの内容及び料金を含む情報を前記利用者端末に送る販売管理手段とを備えた前記コンテンツ販売管理サーバと;前記購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段と,前記コンテンツと前記購入情報との条件関係を蓄積し,前記コンテンツの料金を前記購入情報に基づいて算出する条件蓄積手段と,前記条件蓄積手段を検索するための検索手段とを備えた前記条件サーバと;を含むことを特徴とする,コンテンツ販売システムが提供される。
【0009】かかるシステムによれば,購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段を,利用者端末ではなく,条件サーバに備えるようにしている。このため,利用者端末が,十分な記憶容量を持たない携帯端末のような端末であっても,本システムの利用者端末として機能させることができ,上記請求項2に記載のシステムと同様の効果を得ることができる。
【0010】また,上記課題を解決するため,本発明の第4の観点によれば,請求項4に記載のように,1または2以上の著作物を含むコンテンツを販売するためのコンテンツ販売システムであって,前記コンテンツの実行手段とを備えた利用者端末と;購入情報を前記利用者端末に送る著作権者端末と;1または2以上の著作物を含むコンテンツを作成しコンテンツ販売管理サーバに送るコンテンツ作成者端末と;前記コンテンツ作成者端末から送られたコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と,条件サーバに対して前記コンテンツと購入情報との条件関係の問い合わせ要求を行う購入条件問い合わせ手段と,前記コンテンツの内容及び料金を含む情報を前記利用者端末に送る販売管理手段とを備えた前記コンテンツ販売管理サーバと;前記購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段と,前記コンテンツと前記購入情報との条件関係を蓄積し,前記コンテンツの料金を前記購入情報に基づいて算出する条件蓄積手段と,前記条件蓄積手段を検索するための検索手段とを備えた前記条件サーバと;を含むことを特徴とする,コンテンツ販売システムが提供される。
【0011】かかるシステムによれば,購入条件問い合わせ手段を,利用者端末ではなくコンテンツ販売管理サーバが備えるようにしている。このため,上記請求項2,請求項3のシステムと同様の効果を得ることができるほか,利用者端末から条件関係を問い合わせる必要がないため,購入情報に基づいて算出されたコンテンツの料金を直ちに知ることができ,これに基づいてコンテンツの選択が可能となる。また,利用者端末のより一層の記憶容量の減少化にも効果がある。
【0012】また,上記システムにおいて,請求項5に記載のように,前記利用者端末,前記著作権者端末,前記コンテンツ作成者端末,前記コンテンツ販売管理サーバ,及び,前記条件サーバの正当性を認証するための認証サーバをさらに含むことが好ましい。かかる構成によれば,各端末あるいはサーバ間における情報のやりとり,特に,購入情報のやりとりの際のデータ改竄を防止し,信憑性を確保することが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照しながら,本発明にかかるコンテンツ販売システムの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】本明細書中,例えばインターネット等のネットワークを介して,あるいはCD−ROM等の形で,取引の対象として流通するゲームや音楽等のソフトをコンテンツと称する。このようなコンテンツには,多数のグラフィックや音声,動画等を含むものが多い。本発明は,コンテンツと,そのコンテンツに含まれるグラフィックや音声,動画等の著作物との間の関係に関するものである。
【0015】そして,本発明において重要なのはコンテンツに含まれる著作物を,利用者があらかじめ購入し,その著作物に関する購入情報を保有しておく点である。コンテンツを利用する利用者端末は,著作物を作成する著作権者端末から,著作物を購入することにより,著作権者端末から購入情報を入手する。この購入情報を保有しておくことにより,その利用者端末は,以後の所定の期間,その著作物が含まれるコンテンツを割引価格で入手することができる。なお,本明細書において,著作物を購入という意味は,必ずしも著作物の譲渡という意味で用いているのではないことに注意されたい。また,本明細書にいう著作物とは,必ずしも著作権により保護される著作物に限定されないことにも注意されたい。たとえば著作権が消滅した後の小説や,著作権による保護の対象とならない著作物,さらには著作権法上の著作物とされない,列車時刻表のようなものも,本発明のコンテンツ販売システムで扱うことができる。
【0016】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態を,図1〜図6を参照しながら説明する。料金算出システム100は,図1に示したように,コンテンツの利用者が使用する利用者端末110と,著作物の著作権者が使用する著作権者端末120と,著作物を用いてコンテンツを作成するコンテンツ作成者が使用するコンテンツ作成者端末130と,コンテンツ販売管理サーバ140と,条件サーバ150と,認証サーバ160を含み,相互にネットワーク170を介して接続されている。利用者端末110,著作権者端末120,及び,コンテンツ作成者端末130は,図1においてはそれぞれ1つのみ示されているが,2つ以上であってもよく,実際には,多数の端末がネットワーク170を介して接続されている。
【0017】(利用者端末110)利用者端末110は,ゲーム,動画,音楽などのコンテンツを実行するためのコンテンツ実行手段111を含んで構成されている。具体的には,コンテンツが音楽の場合の音声再生装置や,コンテンツがゲームの場合のゲーム機器が,コンテンツ実行手段111に相当する。
【0018】また,利用者端末110は,さらに,購入情報蓄積手段112と,購入条件問い合わせ手段113を含んで構成されている。購入情報蓄積手段112は,利用者端末110が保有している購入情報を蓄積する手段である。購入条件問い合わせ手段113は,利用者端末110が保有している購入情報とコンテンツの購入条件との関係を後述の条件サーバ150に問い合わせる手段である。
【0019】購入情報蓄積手段112には,図2に示したように,利用者端末110における購入情報がレコード形式で蓄積されており,識別番号R21,利用者端末110に購入情報が送られた日時を示す購入日R22,及び,購入情報R23から構成されている。図示の例では,レコード1は,2000年1月1日に著作物C2を購入したことを示している。購入情報とその著作物が含まれるコンテンツとの関係については,さらに後述する。
【0020】(著作権者端末120)著作権者端末120においては著作物が作成される。作成された著作物は,コンテンツ配布システム100内において公表され,後述のコンテンツ作成者端末130によりコンテンツの作成に利用される。また,著作権者端末120は,利用者端末110との間で著作物の取引を行う。著作権者端末120は,図3に示した購入条件の提示画面を作成し,利用者端末110に送る。図示の例では,購入情報の有効期限に応じて設定された購入情報の販売価格が提示されている。購入情報の有効期限や販売価格等は著作権者端末120において任意に設定することができる。著作権者端末120は,利用者端末110の要求により,購入情報を利用者端末110に送る。
【0021】(コンテンツ作成者端末130)コンテンツ作成者端末130は,著作権者端末120により作成された著作物を利用してコンテンツを作成する。例えば,コンテンツとしてゲームを作成する場合には,キャラクター,BGM,ストーリー,プログラム等の著作物を利用してコンテンツを作成する。コンテンツ作成者端末130は,作成されたコンテンツをコンテンツ販売管理サーバ140に送る。
【0022】(コンテンツ販売管理サーバ140)コンテンツ販売管理サーバ140は,コンテンツの販売を行うためのサーバであり,コンテンツ蓄積手段141と販売管理手段142を含んで構成されている。コンテンツ蓄積手段141は,コンテンツ作成者端末130から送られてくるコンテンツを蓄積する手段である。販売管理手段142は,コンテンツ蓄積手段141に蓄積されたコンテンツの概要を示す情報を利用者端末110に提示する。このコンテンツの概要には,コンテンツに含まれる著作物に関する情報や,コンテンツの料金等の情報が含まれる。
【0023】(条件サーバ150)条件サーバ150は,コンテンツとそのコンテンツの購入条件との関係を蓄積するための手段であり,条件蓄積手段151と,条件蓄積手段151を検索するための検索手段152を含んで構成されている。
【0024】条件蓄積手段151には,図4に示したように,対象コンテンツ名と,そのコンテンツに含まれる著作物との関係がレコード形式で蓄積されている。レコードは,識別番号R41,対象コンテンツ名R42,購入情報名R43,及び,購入情報R43を保有する場合の対象コンテンツR42の購入条件,例えば割引率R44から構成されている。
【0025】レコード1は,利用者端末110が著作物C2の購入情報を保有する場合,コンテンツC1を30%引きで入手し得ることを示している。また,レコード2は,利用者端末110が著作物C3の購入情報を保有する場合,コンテンツC1を10%引きで入手しうることを示している。
【0026】このような関係は,例えば,コンテンツC1がゲームであり,著作物C2,C3がそのゲームに使われているキャラクタや音楽である場合が考えられる。あるゲームが売れるかどうかは,そのゲームに出てくるキャラクタや音楽にある程度依存するので,ゲームが多く売れた場合の利益をそれぞれの著作権者へ還元するのが妥当である。そこで,著作物C2,C3の購入情報を得ている利用者端末110,すなわち,著作物C2,C3の著作権者へ対価を支払って著作物を購入した利用者端末110は,コンテンツC1を一定の割引率で購入できることとしている。
【0027】また,レコード3は,利用者端末110が著作物C4の購入情報を保有する場合,コンテンツC2を100%引きで入手し得ることを示している。このことは,著作物C4の購入情報を得ることにより,著作物C2をも同時に得ることができることを示している。また,レコード4は,著作物C5の購入情報を得ることにより,コンテンツC4を100%引きで入手し得ることを示している。このことは,著作物C5の購入情報を得ることにより,著作物C4をも同時に得ることができることを示している。
【0028】このような関係は,例えば,著作物C5が動画であり,著作物(コンテンツ)C4が動画のワンシーンであり,著作物(コンテンツ)C2がそのワンシーンに登場するオブジェクトである場合が考えられる。著作物C5には著作物C4が含まれ,また,著作物C4には著作物C2が含まれると考えられるからである。
【0029】また,レコード5は,レコード1とレコード3の内容から導き出される内容であって,著作物C4の購入情報を保有する場合,コンテンツC1を100%×30%=30%引きで入手し得ることを示している。同様に,レコード6は,レコードC4とレコードC5の内容から導き出される内容であって,著作物C5の購入情報を保有する場合,コンテンツC1を100%×30%=30%引きで入手できることを示している。
【0030】また,レコード7は,レコード3とレコード4の内容から導き出される内容であって,著作物C5の購入情報を保有する場合,コンテンツC2を100%×100%=100%引きで入手できること,すなわち,C2の購入情報を保有することを示している。上記例より,著作物C5(動画)には,著作物C2(動画のワンシーンに登場するオブジェクト)が含まれるので,著作物C5の購入情報には著作物C2の購入情報が含まれると考えられるからである。
【0031】上述の各レコードの内容,特に,対象コンテンツR42と購入情報R43との関係や,それに応じた割引率R44の内容は,コンテンツ作成者が独自に,あるいはコンテンツ作成者と著作権者との合意の上で定められる。あるいは,コンテンツ販売管理サーバ140が各レコードの内容を定めるようにしてもよい。また,上記レコード5,レコード6,レコード7のように,他のレコードの内容から自動的にその内容が定まるレコードについては,条件サーバ150が自動生成して条件蓄積手段151に蓄積するようにしてもよい。
【0032】次いで,条件蓄積手段151に蓄積されたコンテンツと購入情報との関係に基づくコンテンツの料金の算出について,図5〜図6を参照しながら説明する。なお,以下の説明では,条件蓄積手段151の内容が,図4に示した内容であり,利用者端末110が選択したコンテンツがコンテンツC1であり,利用者端末110が保有する購入情報が著作物C2の購入情報のみである場合について説明する。
【0033】まず,条件サーバ150は,利用者端末110が選択したコンテンツのコンテンツID,コンテンツの料金,及び,利用者端末110が保有する購入情報を利用者端末110から受信する(ステップS61)。なお,コンテンツの料金は,予めコンテンツ販売管理サーバ140から受信しておくようにしてもよい。
【0034】検索手段152は,条件蓄積手段151に蓄積されたレコードから,対象コンテンツR42がC1であるものを検索する。条件蓄積手段151に蓄積されたレコードが,図4に示した内容である場合,レコード1,レコード2,レコード5,レコード6が配列Bに蓄積される(ステップS62)。配列Bは,条件蓄積手段151に蓄積されたレコードが一時的に蓄積される配列である。配列Bの推移については,図6に示した通りである。
【0035】次いで,配列Bが空かどうかを判断する(ステップS63)。もし空の場合は,コンテンツの料金を算出し(ステップS68),料金の算出結果を利用者端末110に送る(ステップS69)。配列Bが空でない場合は,配列Bからレコードを1つだけ取りだし(ステップS64),そのレコードの購入情報R43と,利用者端末110から送られた購入情報とを照合し(ステップS65),一致するかを判断する(ステップS66)。
【0036】ステップS66における判断の結果,レコードの購入情報R43と,利用者端末110から送られた購入情報とが一致した場合,すなわち,利用者端末110が購入情報R43を保有している場合,そのレコードの割引率R44を配列Aに蓄積する(ステップS67)。配列Aは,コンテンツに割引率R44を適用するレコードが一時的に蓄積される配列である。配列Aの推移については,図6に示した通りである。ステップS66における判断の結果,レコードの購入情報R43と利用者端末110から送られた購入情報とが一致しない場合は,ステップS63に戻る。
【0037】ステップS63〜S67を繰り返し,配列Bに蓄積されたレコードのすべてに対して,レコードの購入情報R43と,利用者端末110から送られた購入情報との照合を行い,レコードの購入情報R43と,利用者端末110から送られた購入情報とが一致したレコードを配列Aに蓄積する。
【0038】そして,ステップS63において,配列Bが空になると,配列Aに積まれた各レコードの割引率R44を合算した割引率でコンテンツの料金を算出する(ステップS68)。この例では,配列Aにレコード1のみが蓄積されているので,コンテンツC1の料金は,30%引きとなる。次いで,料金の算出結果を利用者端末110に送る(ステップS69)。以上が,条件サーバ150の構成及び機能である。
【0039】(認証サーバ160)再び図1を参照すると,認証サーバ160は,本システムに接続された利用者端末110,著作権者端末120,コンテンツ作成者端末130,コンテンツ販売管理サーバ140が正規に登録されたものであるかどうかを認証するための情報を管理するサーバである。また,認証サーバ160は,利用者端末110,著作権者端末120,条件サーバ150の間で購入情報の情報を送受する際などに,その情報が改竄されずに送られたことを保証するための情報を管理する。例えば,公開鍵暗号方式を用いての送信の場合では,各端末あるいはサーバの公開鍵を保存している。
【0040】以上のように構成されるコンテンツ販売システム100における実際のコンテンツ販売の流れについて,図7〜図8を参照しながら説明する。なお,図7はコンテンツ販売の流れ図であり,図8は利用者端末110上の画面の一例である。
【0041】まず,利用者端末110は,コンテンツ販売管理サーバ142から,コンテンツのタイトル(内容),及びそのコンテンツの料金をダウンロードし,画面を表示する(ステップS50)。このとき利用者端末110には,図8(a)に示した画面(初期画面)が表示されている。
【0042】次いで,利用者端末110は,利用者からの入力を待つ(ステップS51)。利用者端末110は,入力がタイトル選択であるかを判断し(ステップS52),入力がタイトル選択の場合は,選択されているタイトルの合計金額を計算して表示する(ステップS53)。このとき利用者端末110には,図8(b)に示した画面が表示されている。図8(b)は,「ロボットジジの冒険」というゲームのコンテンツを選択した画面を示している。本実施の形態では,タイトル選択と同時に,注文合計金額が8000円と表示されている。
【0043】そして,再び,利用者の入力を待つ(ステップS51)。こうして,利用者によるタイトル選択が繰り返される。
【0044】ステップS52において,入力がタイトル選択でない場合,すなわち,「割引額計算」ボタンあるいは「次の画面へ」ボタンが押下されるとタイトル選択が終了する。そして,「割引額計算」ボタンが押下されたかを判断し(ステップS54),図8(b)に示したように,「割引額計算」ボタンが押下された場合には,購入条件問い合わせ手段113は,選択されたタイトル名,及び,購入情報蓄積手段112に蓄積された利用者端末110が保有する購入情報を送信し,条件サーバ150に問い合わせを行う(ステップS55)。
【0045】そして,条件サーバ150により割引価格の計算が行われる。その結果は,図8(c)に示したように,利用者端末110に表示される(ステップS56)。この例では,利用者端末110は,「ロボットジジの冒険」に含まれる著作物(例えば,ロボットジジのキャラクター)の購入情報を保有しており,コンテンツ「ロボットジジの冒険」を30%引きで購入できる場合を示している。
【0046】そして,再び,利用者の入力を待つ(ステップS51)。こうして,利用者によるタイトル選択,及び割引価格の計算が繰り返される。
【0047】ステップS54における判断の結果,割引額計算ボタンが押下されない場合,すなわち,「次の画面へ」が押下された場合は,ゲーム販売画面から次の画面以降の処理を行う(ステップS57)。次の画面以降の処理には,利用者のIDやパスワードの入力画面,代金支払方法の選択画面等の処理が含まれる。
【0048】以上説明したように,本実施の形態によれば,著作者は著作物自体を売買して,コンテンツの利用者から直接的に利益を得ることができる。このため,著作物が含まれるコンテンツの出来不出来に関わらず,著作権者は正当な利益確保を図ることが可能である。さらに,コンテンツの利用者側も,購入情報を取得した著作物が含まれるコンテンツを低廉に入手できるという効果がある。
【0049】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態を,図9〜図11を参照しながら説明する。本実施の形態は,利用者端末が携帯電話である場合など,利用者端末上の記憶容量が比較的少なく,上記第1の実施の形態における購入情報蓄積手段112を利用者端末上に備えることができない場合に適する構成を示すものである。
【0050】著作物料金算出システム200は,図9に示したように,コンテンツの利用者が使用する利用者端末210と,著作物の著作権者が使用する著作権者端末220と,著作物を用いてコンテンツを作成するコンテンツ作成者端末230と,コンテンツ販売管理サーバ240と,条件サーバ250と,認証サーバ260を含み,相互にネットワーク270を介して接続されている。
【0051】利用者端末210は,上記第1の実施の形態における利用者端末110から購入情報蓄積手段112に相当する構成要素を除いたものであり,コンテンツ実行手段211と,購入条件問い合わせ手段213を含んで構成されている。コンテンツ実行手段211,購入条件問い合わせ手段213は,上記第1の実施の形態におけるコンテンツ実行手段111,購入条件問い合わせ手段113と実質的に同様である。
【0052】著作権者端末220,コンテンツ作成者端末230,認証サーバ260,ネットワーク170は,上記第1の実施の形態における著作権者端末120,コンテンツ作成者端末130,認証サーバ160,ネットワーク170と実質的に同様である。また,コンテンツ販売管理サーバ240は,上記第1の実施の形態におけるコンテンツ販売管理サーバ140と実質的に同様であり,コンテンツ蓄積手段241と販売管理手段242を含んで構成されている。
【0053】条件サーバ250は,上記第1の実施の形態における条件サーバ150に,購入情報蓄積手段112に相当する構成要素を加えたものであり,条件蓄積手段251と,検索手段252と,購入情報蓄積手段253を含んで構成されている。
【0054】このように,本実施の形態では,上記第1の実施の形態にかかるコンテンツ販売システム100と比較して,購入情報蓄積手段が利用者端末210上ではなく,条件サーバ250に備えられることを特徴としている。
【0055】購入情報蓄積手段252には,図10に示したように,購入情報がレコード形式で蓄積されており,識別番号R51,利用者端末210が著作物を購入した購入日R52,購入情報R53のほか,新たに,利用者端末IDR54が追加されて構成されている。図示の例では,レコード1は,2000年1月1日に,利用者ID「U1」の利用者端末210が,著作物C2を購入したことを示している。このように,本実施の形態では,購入情報蓄積手段253に蓄積された情報が,レコード単位にいずれの利用者端末210の情報であるかがわかるようになっている。
【0056】利用者端末210の画面例と処理の流れは,図7に示した第1の実施の形態と実質的に同様である。ただし,上記第1の実施の形態では,利用者端末110に蓄積された購入情報を条件サーバ150に送ることで割引価格の計算を行っていたが,本実施の形態では,利用者端末110は購入情報を蓄積しておらず,条件サーバ250に対して利用者端末IDを送ることとしている。
【0057】購入情報蓄積手段が条件サーバ250におかれるので,条件サーバ250での処理の流れは図11に示したようになる。上記第1の実施の形態との違いは,ステップS91,S92である。ステップS91では,本実施の形態では条件サーバ250は,利用者端末210が選択したコンテンツのコンテンツIDとその料金,及び,利用者端末IDを受信する。また,ステップS92では,検索手段252は,受信した利用者端末IDに基づいて,当該利用者端末210の購入情報を購入情報蓄積手段253から検索する。以降のステップS93〜S99は,上記第1の実施の形態のステップS63〜S69と実質的に同様である。
【0058】以上説明したように,本実施の形態によれば,購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段を,利用者端末210ではなく,条件サーバ250に備えるようにしている。このため,利用者端末が,十分な記憶容量を持たない携帯端末のような端末であっても,本システムの利用者端末210として機能させることができ,上記第1の実施の形態のコンテンツ販売システム100と同様の効果を得ることができる。
【0059】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態を,図12〜図13を参照しながら説明する。著作物料金算出システム300は,図12に示したように,コンテンツの利用者が使用する利用者端末310と,著作物の著作権者が使用する著作権者端末320と,著作物を用いてコンテンツを作成するコンテンツ作成者端末330と,コンテンツ販売管理サーバ340と,条件サーバ350と,認証サーバ360を含み,相互にネットワーク370を介して接続されている。
【0060】利用者端末310は,上記第2の実施の形態における利用者端末210から,さらに購入条件問い合わせ手段213に相当する構成要素を除いたものであり,コンテンツ実行手段311を含んで構成されている。コンテンツ実行手段311は,上記第2の実施の形態におけるコンテンツ実行手段211と実質的に同様である。
【0061】著作権者端末320,コンテンツ作成者端末330,認証サーバ360,ネットワーク370は,上記第2の実施の形態における著作権者端末220,コンテンツ作成者端末230,認証サーバ260,ネットワーク270と実質的に同様である。また,条件サーバ350は,上記第2の実施の形態における条件サーバ250と実質的に同様であり,条件蓄積手段351,検索手段352,購入情報蓄積手段353を含んで構成されている。
【0062】コンテンツ販売管理サーバ340は,上記第2の実施の形態におけるコンテンツ販売管理サーバ240に,購入条件問い合わせ手段213に相当する構成要素を加えたものであり,コンテンツ蓄積手段341と,販売管理手段342と,購入条件問い合わせ手段343を含んで構成されている。
【0063】かかる構成によれば,販売管理手段342は,コンテンツに関する情報を利用者端末310に送る際に,その利用者端末310の購入情報を予め条件サーバ350に問い合わせることができる。このため,利用者端末310の画面上では,図13に示したように,ゲーム販売の初期画面の段階で割引価格の提示を受けることが可能である。
【0064】以上説明したように,本実施の形態によれば,購入条件問い合わせ手段を,利用者端末310ではなくコンテンツ販売管理サーバ340が備えるようにしている。このため,上記第1,第2の実施の形態のコンテンツ販売システムと同様の効果を得ることができるほか,利用者端末310から条件関係を問い合わせる必要がないため,購入情報に基づいて算出されたコンテンツの料金を直ちに知ることができ,これに基づいてコンテンツの選択が可能となる。また,利用者端末310のより一層の記憶容量の減少にも効果がある。
【0065】以上,添付図面を参照しながら本発明にかかるコンテンツ販売システムの好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】例えば,上記第1の実施の形態では,利用者端末110は,選択されたコンテンツの割引価格のみを条件サーバ150に問い合わせたが,利用者端末110に表示されたすべてのコンテンツの割引価格を条件サーバ150に問い合わせて表示するようにすることも可能である。このことは,上記第2の実施の形態も同様である。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,著作権者はコンテンツに含まれる著作物自体を取引の対象として流通させ,コンテンツの利用者から直接的に利益を得ることができる。このため,著作物が含まれるコンテンツの出来不出来に関わらず,著作権者は正当な利益確保を図ることが可能である。このことはまた,著作者の創作意欲を奨励し,著作物の創作水準を引き上げる効果もある。さらに,コンテンツの利用者側も,購入情報を取得した著作物が含まれるコンテンツを低廉に入手できるため,消費活動の活性化に効果がある。さらにまた,コンテンツ作成者側も,著作物の著作権者との間における金銭的な交渉を必要としないため,両者の間におけるトラブルを回避できる。さらに,コンテンツ作成の幅を広げることや,コンテンツの創作水準を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンテンツ販売システムの第1の実施の形態を示す説明図である。
【図2】購入情報蓄積手段に蓄積された購入情報を示す説明図である。
【図3】購入情報の購入画面を示す説明図である。
【図4】条件蓄積手段に蓄積されたコンテンツと購入情報との関係を示す説明図である。
【図5】コンテンツの料金の算出の流れを示す説明図である。
【図6】コンテンツの料金の算出の際の配列A,配列Bを示す説明図である。
【図7】コンテンツの購入の流れを示す説明図である。
【図8】コンテンツの購入画面を示す説明図である。
【図9】コンテンツ販売システムの第2の実施の形態を示す説明図である。
【図10】購入情報蓄積手段に蓄積された購入情報を示す説明図である。
【図11】コンテンツの料金の算出の流れを示す説明図である。
【図12】コンテンツ販売システムの第3の実施の形態を示す説明図である。
【図13】コンテンツの購入画面を示す説明図である。
【符号の説明】
100 コンテンツ販売システム
110 利用者端末
111 コンテンツ実行手段
112 購入情報蓄積手段
113 購入条件問い合わせ手段
120 著作権者端末
130 コンテンツ作成者端末
140 コンテンツ販売管理サーバ
141 コンテンツ蓄積手段
142 販売管理手段
150 条件サーバ
151 条件蓄積手段
152 検索手段
160 認証サーバ
170 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 1または2以上の著作物を含むコンテンツを利用者端末に送付するにあたり,前記利用者端末における前記コンテンツに含まれる各々の著作物の購入情報の保有有無を判断し,前記各々の購入情報の保有有無に基づいて前記コンテンツの送付料金を算出することを特徴とする,コンテンツ販売方法。
【請求項2】 1または2以上の著作物を含むコンテンツを販売するためのコンテンツ販売システムであって,前記著作物の購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段と,条件サーバに対してコンテンツと前記購入情報との条件関係の問い合わせ要求を行う購入条件問い合わせ手段と,前記コンテンツの実行手段とを備えた利用者端末と;前記購入情報を前記利用者端末に送る著作権者端末と;1または2以上の著作物を含むコンテンツを作成しコンテンツ販売管理サーバに送るコンテンツ作成者端末と;前記コンテンツ作成者端末から送られたコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と,前記コンテンツの内容及び料金を含む情報を前記利用者端末に送る販売管理手段とを備えた前記コンテンツ販売管理サーバと;前記コンテンツと前記購入情報との条件関係を蓄積し,前記コンテンツの料金を前記購入情報に基づいて算出する条件蓄積手段と,前記条件蓄積手段を検索するための検索手段とを備えた前記条件サーバと;を含むことを特徴とする,コンテンツ販売システム。
【請求項3】 1または2以上の著作物を含むコンテンツを販売するためのコンテンツ販売システムであって,条件サーバに対してコンテンツと購入情報との条件関係の問い合わせ要求を行う購入条件問い合わせ手段と,前記コンテンツの実行手段とを備えた利用者端末と;前記購入情報を前記利用者端末に送る著作権者端末と;1または2以上の著作物を含むコンテンツを作成しコンテンツ販売管理サーバに送るコンテンツ作成者端末と;前記コンテンツ作成者端末から送られたコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と,前記コンテンツの内容及び料金を含む情報を前記利用者端末に送る販売管理手段とを備えた前記コンテンツ販売管理サーバと;前記購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段と,前記コンテンツと前記購入情報との条件関係を蓄積し,前記コンテンツの料金を前記購入情報に基づいて算出する条件蓄積手段と,前記条件蓄積手段を検索するための検索手段とを備えた前記条件サーバと;を含むことを特徴とする,コンテンツ販売システム。
【請求項4】 1または2以上の著作物を含むコンテンツを販売するためのコンテンツ販売システムであって,前記コンテンツの実行手段とを備えた利用者端末と;購入情報を前記利用者端末に送る著作権者端末と;1または2以上の著作物を含むコンテンツを作成しコンテンツ販売管理サーバに送るコンテンツ作成者端末と;前記コンテンツ作成者端末から送られたコンテンツを蓄積するコンテンツ蓄積手段と,条件サーバに対して前記コンテンツと購入情報との条件関係の問い合わせ要求を行う購入条件問い合わせ手段と,前記コンテンツの内容及び料金を含む情報を前記利用者端末に送る販売管理手段とを備えた前記コンテンツ販売管理サーバと;前記購入情報を蓄積する購入情報蓄積手段と,前記コンテンツと前記購入情報との条件関係を蓄積し,前記コンテンツの料金を前記購入情報に基づいて算出する条件蓄積手段と,前記条件蓄積手段を検索するための検索手段とを備えた前記条件サーバと;を含むことを特徴とする,コンテンツ販売システム。
【請求項5】 前記利用者端末,前記著作権者端末,前記コンテンツ作成者端末,前記コンテンツ販売管理サーバ,及び,前記条件サーバの正当性を認証するための認証サーバをさらに含むことを特徴とする,請求項2,3または4のいずれかに記載のコンテンツ販売システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図10】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図12】
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【図8】
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【図11】
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【図13】
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