コンデンサ
【課題】専用の配線構造を用意する必要がなく、仕様変更等に柔軟に対応することができ、また、コストの低廉化を図ることができ、自己インダクタンスの低減化も図ることができるコンデンサを提供する。
【解決手段】両端にそれぞれ端子部を有する複数のコンデンサ素子12を具備した1つのコンデンサブロック14を有し、複数のコンデンサ素子12を並列に電気的に接続して構成されたコンデンサにおいて、複数のコンデンサ素子12の各第1端子部18aを電気的に接続する第1電極板20aと、複数のコンデンサ素子12の各第2端子部18bを電気的に接続し、且つ、第1端子部18a側に導出された第2電極板20bと、第2電極板20bを電気的にバイパスする1以上のバイパス電極板22とを有する。
【解決手段】両端にそれぞれ端子部を有する複数のコンデンサ素子12を具備した1つのコンデンサブロック14を有し、複数のコンデンサ素子12を並列に電気的に接続して構成されたコンデンサにおいて、複数のコンデンサ素子12の各第1端子部18aを電気的に接続する第1電極板20aと、複数のコンデンサ素子12の各第2端子部18bを電気的に接続し、且つ、第1端子部18a側に導出された第2電極板20bと、第2電極板20bを電気的にバイパスする1以上のバイパス電極板22とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のコンデンサ素子を並列に電気的に接続して構成されたコンデンサブロックを用いたコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、100μFを超えるような大容量のコンデンサを構成する場合、必要とする静電容量にするために、100μF未満や100μF前後のコンデンサ素子を複数用意し、これら複数のコンデンサ素子を平編み銅線等の配線材を用いて並列に接続したコンデンサブロックを用いるようにしている。また、このコンデンサブロックを複数、さらに並列に接続して用いるようにしていることもある。
【0003】
このようなコンデンサをインバータ等の電力変換装置の平滑コンデンサに使用する場合、コンデンサにインバータのキャリア周波数等のリプル電流が流れる。その際に、コンデンサ素子及び配線材から自己発熱が発生し、寿命の低下をもたらす。そこで、従来では、複数のコンデンサ素子を並列に接続する配線材として並行平板とすることで、自己インダクタンスを低減して、高周波特性の改善並びに自己発熱の低減を図るようにしている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3771977号公報
【特許文献2】特許第3357314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、並行平板の配線構造を種々開示しているが、絶縁構造を主体とした配線構造の例示であることから、折り返し電極の配線長に対する考慮が十分でなく、その結果、自己インダクタンスの低減も不十分である。
【0006】
一方、特許文献2では、コンデンサ素子に流れる電流にも着目し、その反対方向となる並行平板として、コンデンサブロック(複数のコンデンサ素子を5行2列で組み立てたコンデンサブロック)の側面を囲む配線構造としている。しかし、特許文献2の図2(e)にも示すように、上述の配線構造は一体化された函体構造となっているため、コンデンサとして組み立てる作業に困難が伴う。すなわち、特許文献2に示す構造は、図2(e)で図示されているように、コンデンサブロックの側面を囲う両側の接続板6aが引出板6bと共に一体構造となっている。そのため、コンデンサとして組み立てる場合は、コンデンサブロックの一方の端子部に結線板4aを接続し、他方の端子部に結線板4bを接続した後、結線板4aに引出板5を接続する。その後、2つの接続板6a及び1つの引出板6bで囲まれた空間内にコンデンサブロックを挿入し、さらに、2つの接続板6aの各端部を結線板4bに接続しなければならない。
【0007】
つまり、特許文献2に示す構造は、一体構造とされた2つの接続板6a及び1つの引出板6bにて囲まれた空間内にコンデンサブロックを挿入する作業が面倒であり、また、接続時の保持等が困難で、組み立てが難しい。しかも、コンデンサブロックのサイズに対応した専用の配線構造(函体構造)を用意する必要があり、仕様変更等に柔軟に対応することができず、また、コストの高価格化を引き起こすおそれもある。なお、特許文献2記載のコンデンサの自己インダクタンスは、従来のコンデンサの1/4程度に低減することができるとされているが、依然、自己インダクタンスの低減は不十分である。
【0008】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、専用の配線構造を用意する必要がなく、仕様変更等に柔軟に対応することができ、また、コストの低廉化を図ることができ、自己インダクタンスの低減化も図ることができるコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 本発明に係るコンデンサは、両端にそれぞれ端子部を有する複数のコンデンサ素子を並列に電気的に接続して構成したコンデンサブロックを用いたコンデンサにおいて、前記複数のコンデンサ素子の各一方の端子部を電気的に接続する第1電極板と、前記複数のコンデンサ素子の各他方の端子部を電気的に接続し、且つ、前記一方の端子部側に導出された第2電極板と、前記第2電極板を電気的にバイパスする1以上のバイパス電極板とを有し、前記第2電極板は、前記複数のコンデンサ素子の各前記他方の端子部を電気的に接続する結線部と、前記第1電極板に対向して配された導出部と、前記結線部と前記導出部とを接続する接続部とを一体に有し、前記バイパス電極板は、前記第2電極板の前記導出部に電気的に接続された第1接続部と、前記第2電極板の前記結線部に電気的に接続された第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する第3接続部とを一体に有し、前記第2電極板の前記接続部は、前記コンデンサブロックの下面よりも下方に位置し、前記バイパス電極板の前記第3接続部は、前記コンデンサブロックの側面と対向した位置に配されていることを特徴とする。
【0010】
[2] 本発明において、少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックを間に挟んで対向して配されていることを特徴とする。
【0011】
[3] 本発明において、少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックの一方の側面に沿って配列されていることを特徴とする。
【0012】
[4] 本発明において、少なくとも1つの前記バイパス電極板は、その上端の位置が前記コンデンサブロックの上面とほぼ一致するように配されていることを特徴とする。
【0013】
[5] 本発明において、前記コンデンサブロックは、前記複数のコンデンサ素子が一方向に積層されて構成され、前記バイパス電極板の前記複数のコンデンサ素子の積層方向に沿った長さをL、前記コンデンサブロックを構成する前記コンデンサ素子の個数をN、1つの前記コンデンサ素子の前記積層方向に沿った長さをmとしたとき、前記長さLは、
m<L<m×N
であることを特徴とする。
【0014】
[6] 本発明において、前記長さLは、
m×(N−1)<L<m×N
であることを特徴とする。
【0015】
[7] 本発明において、少なくとも1つの前記バイパス電極板の前記長さLは、
m<L<2×m
であることを特徴とする。
【0016】
[8] 本発明において、2以上の前記コンデンサブロックが側面同士を対向させて配列されて構成された複合コンデンサブロックを有することを特徴とする。
【0017】
[9] 本発明において、前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部及び各前記他方の端子部の少なくともいずれか一方を冷却する冷却部材を有し、前記冷却部材は、前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部が配列された部位及び前記コンデンサブロックにおける各前記他方の端子部が配列された部位の少なくともいずれか一方に対向して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係るコンデンサによれば、専用の配線構造を用意する必要がなく、仕様変更等に柔軟に対応することができ、また、コストの低廉化を図ることができ、自己インダクタンスの低減化も図ることができる。
【0019】
通常、コンデンサは、許容以上の電流が流れた場合、時間の経過と共にコンデンサの許容温度を超え、最終的に発煙・発火するおそれがある。しかし、冷却部材を設けるようにしたので、許容以上の電流が流れた場合であっても、コンデンサの許容温度を超えることはないため、上述のような不具合の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1Aは第1の実施の形態に係るコンデンサ(第1コンデンサ)を示す斜視図であり、図1Bは第1コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図1Cは第1コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図2】図2Aは第2の実施の形態に係るコンデンサ(第2コンデンサ)を示す斜視図であり、図2Bは第2コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図2Cは第2コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図3】図3Aは第3の実施の形態に係るコンデンサ(第3コンデンサ)を示す斜視図であり、図3Bは第3コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図3Cは第3コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図4】図4Aは第4の実施の形態に係るコンデンサ(第4コンデンサ)を示す斜視図であり、図4Bは第4コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図4Cは第4コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図5】図5Aは第5の実施の形態に係るコンデンサ(第5コンデンサ)を示す斜視図であり、図5Bは第5コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図5Cは第5コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図6】図6Aは第6の実施の形態に係るコンデンサ(第6コンデンサ)を示す斜視図であり、図6Bは第6コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図6Cは第6コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図7】第7の実施の形態に係るコンデンサ(第7コンデンサ)を示す斜視図である。
【図8】第8の実施の形態に係るコンデンサ(第8コンデンサ)を示す斜視図である。
【図9】第9の実施の形態に係るコンデンサ(第9コンデンサ)を示す斜視図である。
【図10】第10の実施の形態に係るコンデンサ(第10コンデンサ)を示す斜視図である。
【図11】第11の実施の形態に係るコンデンサ(第11コンデンサ)を示す斜視図である。
【図12】図12Aは比較例に係るコンデンサを示す斜視図であり、図12Bは比較例に係るコンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図12Cは比較例に係るコンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図13】コンデンサのインダクタンスを測定する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るコンデンサの実施の形態例を図1〜図13を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各種コンデンサは要部を示すものであって、コンデンサとしての製品形態から外装ケース、外部端子、充填材等の図示及び説明を省略している。
【0022】
先ず、第1の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第1コンデンサ10Aと記す)は、図1Aに示すように、複数のコンデンサ素子12を具備した1つのコンデンサブロック14を有する。コンデンサブロック14は、複数のコンデンサ素子12が一方向に積層されて構成されている。図1の例では、4個のコンデンサ素子12を縦方向に積層して1つのコンデンサブロック14を構成した例を示している。
【0023】
各コンデンサ素子12は、巻回体16と、該巻回体16の一方の端部に電気的に接続された第1端子部18aと、巻回体16の他方の端部に電気的に接続された第2端子部18bとを有する。巻回体16は、図示を省略するが、第1電極パターンと第2電極パターンとが誘電体フィルムを挟んで対向した状態で巻回された構成を有する。例えば巻回体16は、片面に第1電極パターンが形成された第1誘電体フィルムと、片面に第2電極パターンが形成された第2誘電体フィルムとを、第1電極パターンと第2電極パターンとが接触しないように重ね合わせ、この重ね合わされた第1誘電体フィルムと第2誘電体フィルムを巻回して構成されている。第1誘電体フィルム及び第2誘電体フィルムは、それぞれPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等で構成することができる。そして、巻回体16の一方の端面及び他方の端面にそれぞれ半田、亜鉛等の金属を溶射して第1端子部18a及び第2端子部18bが設けられている。
【0024】
図1A〜図1Cに示すように、第1コンデンサ10Aは、複数のコンデンサ素子12の各第1端子部18aを電気的に接続する第1電極板20aと、複数のコンデンサ素子12の各第2端子部18bを電気的に接続し、且つ、第1端子部18a側に導出された第2電極板20bとを有する。すなわち、第1コンデンサ10Aは、第1電極板20aと第2電極板20bとによって、複数のコンデンサ素子12が並列に電気的に接続された構成となっている。
【0025】
そして、この第1コンデンサ10Aは、第2電極板20bを電気的にバイパスする1つのバイパス電極板22を有する。具体的には、先ず、第2電極板20bは、複数のコンデンサ素子12の各第2端子部18bを電気的に接続する結線部24と、複数のコンデンサ素子12の第1端子部18a側に導出され、且つ、第1電極板20aに対向して配された導出部26と、結線部24と導出部26とを接続する接続部28とを一体に有する。この場合、第2電極板20bの接続部28は、コンデンサブロック14の下面よりも下方に位置している。すなわち、この第2電極板20bは、第1電極板20aと比して配線長が大きい。なお、第2電極板20bの接続部28とコンデンサ素子12(最も下に位置しているコンデンサ素子12)との間、並びに第2電極板20bの導出部26と第1電極板20aとの間には、それぞれ電気的絶縁を確保するために、図示しない絶縁板が介在される。
【0026】
一方、バイパス電極板22は、第2電極板20bの導出部26に電気的に接続された第1接続部22aと、第2電極板20bの結線部24に電気的に接続された第2接続部22bと、第1接続部22aと第2接続部22bとを接続する第3接続部22cとを一体に有する。この場合、バイパス電極板22の第3接続部22cは、コンデンサブロック14の一方の側面と対向した位置に配されている。すなわち、バイパス電極板22は、コンデンサブロック14の一方の側面を囲むようにして第2電極板20bに電気的に接続されている。本実施の形態では、長方形状の金属板を、例えば折り曲げ加工によって、断面コ字状に成形することで、第1接続部22a、第2接続部22b及び第3接続部22cを一体に設けるようにしている。また、第1接続部22aと第2電極板20bの導出部26との電気的接続、並びに第2接続部22bと第2電極板20bの結線部24との電気的接続は、それぞれ例えば半田によって行うようにしている。なお、バイパス電極板22の第3接続部22cはコンデンサブロック14の一方の側面から離間させることが好ましい。この場合、第3接続部22cとコンデンサブロック14の一方の側面との間に電気的絶縁材を介在させてもよい。
【0027】
バイパス電極板22とコンデンサブロック14の寸法関係を示すと、バイパス電極板22の複数のコンデンサ素子12の積層方向に沿った長さをL、コンデンサブロック14を構成するコンデンサ素子12の個数をN、1個のコンデンサ素子12の積層方向に沿った長さをmとしたとき、長さLは、
m<L<m×N
の範囲であり、特に、この第1コンデンサ10Aでは、長さLは、
m×(N−1)<L<m×N
を満足している。
【0028】
このように、第1コンデンサ10Aにおいては、第1電極板20aと第2電極板20bによって複数のコンデンサ素子12を並列に接続し、さらに、第1電極板20aと比して配線長が大きい第2電極板20bを電気的にバイパスする1つのバイパス電極板22を第2電極板20bに電気的に接続するようにしたので、第1コンデンサ10Aの自己インダクタンスを低減することができ、高周波特性の改善並びに自己発熱の低減を図ることができる。しかも、配線長の大きい第2電極板20bにバイパス電極板22を電気的に接続するだけでよいため、組み立てが簡単で、専用の配線構造(函体構造)を用意する必要がなく、仕様変更等に柔軟に対応することができる。これは、第1コンデンサ10Aの生産性の向上、コストの低廉化につながる。
【0029】
なお、図1の例は、4個のコンデンサ素子12を積層した場合を示しているが、その他、2個のコンデンサ素子12、3個のコンデンサ素子12、5個以上のコンデンサ素子12を積層した場合にも適用できることはもちろんである。
【0030】
次に、第2の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第2コンデンサ10Bと記す)は、図2A〜図2Cに示すように、上述した第1コンデンサ10Aとほぼ同様の構成を有するが、2つのバイパス電極板22が、コンデンサブロック14の一方の側面に沿って配列されている点と、バイパス電極板22の上述した長さLが、
m<L<2×m
である点で異なる。この場も、上述した第1コンデンサ10Aの効果と同様の効果を奏する。なお、図2A〜図2Cの例では、4個のコンデンサ素子12を積層した場合を示しているが、その他、5個以上のコンデンサ素子12を積層した場合にも適用できることはもちろんである。特に、5個、7個、9個等のように、5以上の奇数個のコンデンサ素子12を積層した場合には、バイパス電極板22として、上述した長さLが、m<L<2×mであるバイパス電極板22に加えて、上述した長さLが、2×m<L<3×mであるバイパス電極板22を用いることが好ましい。つまり、1つのコンデンサブロック14に対して積層方向に2個以上のバイパス電極板22を配列する場合は、上述した長さLが、m<L<2×mであるバイパス電極板22と、2×m<L<3×mであるバイパス電極板22とを用意しておけば、4個以上のコンデンサ素子12が積層された種々のコンデンサブロックに適用させることができる。
【0031】
次に、第3の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第3コンデンサ10Cと記す)は、図3A〜図3Cに示すように、上述した第2コンデンサ10Bとほぼ同様の構成を有するが、積層方向上部に設置されるバイパス電極板22が、その上端22dの位置とコンデンサブロック14の上面14aとがほぼ一致するように配されている点で異なる。
【0032】
この第3コンデンサ10Cにおいても、上述した第2コンデンサ10Bと同様の効果を奏する。特に、第3コンデンサ10Cは、積層方向上部に設置されるバイパス電極板22が、第2電極板20bの端部(外部端子に接続される方の端部)に近づくように設置されることから、自己インダクタンスを第2コンデンサ10Bよりも低減することができる。
【0033】
次に、第4の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第4コンデンサ10Dと記す)は、図4A〜図4Cに示すように、上述した第1コンデンサ10Aとほぼ同様の構成を有するが、2つのバイパス電極板22を有する点と、これら2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配されている点で異なる。
【0034】
この場合、第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成されたバイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第1コンデンサ10Aの自己インダクタンスの約1/2程度とすることができる。
【0035】
次に、第5の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第5コンデンサ10Eと記す)は、図5A〜図5Cに示すように、上述した第2コンデンサ10B(図2A〜図2C参照)とほぼ同様の構成を有するが、4つのバイパス電極板22を有する点と、コンデンサブロック14の積層方向上部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配され、同様に、コンデンサブロック14の積層方向下部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配されている点で異なる。
【0036】
この場合も、上述した第4コンデンサ10Dと同様に、第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成された2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第2コンデンサ10Bの自己インダクタンスの約1/2程度とすることができる。
【0037】
次に、第6の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第6コンデンサ10Fと記す)は、図6A〜図6Cに示すように、上述した第3コンデンサ10C(図3A〜図3C参照)とほぼ同様の構成を有するが、4つのバイパス電極板22を有する点と、コンデンサブロック14の積層方向上部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配され、同様に、コンデンサブロック14の積層方向下部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配されている点で異なる。
【0038】
この場合も、上述した第5コンデンサ10Eと同様に、それぞれ対向して配された2つのバイパス電極板22によるバイパス経路が並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第3コンデンサ10Cの自己インダクタンスの約1/2程度とすることができる。
【0039】
次に、第7の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第7コンデンサ10Gと記す)は、図7に示すように、上述した第5コンデンサ10E(図5A〜図5C参照)とほぼ同様の構成を有するが、各コンデンサ素子12の少なくとも第2端子部18bを冷却するための冷却部材30が設置されている点で異なる。冷却部材30は、例えば冷却媒体(冷却水、冷却風等)が流通するパイプ32にて構成され、第2端子部18bが配列された部位に対向した位置に設置されている。パイプ32は、バイパス電極板22の第2接続部22bに接触させて設置されることから、第2端子部18bにて発生した熱は、第2電極板20b及びバイパス電極板22の第2接続部22bを介して冷却部材30に放熱され、第1端子部18aにて発生した熱は、第1電極板20a、電気的絶縁材、バイパス電極板22の第1接続部22a、第3接続部22c及び第2接続部22bを介して冷却部材30に放熱される。
【0040】
通常、コンデンサは、許容以上の電流が流れた場合、時間の経過と共にコンデンサの許容温度を超え、最終的に発煙・発火するおそれがある。しかし、この第7コンデンサ10Gにおいては、冷却部材30を設けるようにしたので、許容以上の電流が流れた場合であっても、第7コンデンサ10Gの許容温度を超えることはないため、上述のような不具合の発生を回避することができる。
【0041】
冷却部材30としては、上述した冷却媒体が流通するパイプ32のほか、ヒートシンクを用いることもできる。もちろん、パイプ32とヒートシンクを組み合わせるようにしてもよい。
【0042】
次に、第8の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第8コンデンサ10Hと記す)は、図8に示すように、上述した第7コンデンサ10Gとほぼ同様の構成を有するが、上述した冷却部材30に加えて、第2の冷却部材34が、第1端子部18aが配列された部位に対向した位置に設置されている点で異なる。第2の冷却部材34としては、冷却部材30と同様に、冷却媒体が流通するパイプ32や、ヒートシンク等を用いることができる。この場合、第2の冷却部材34は、バイパス電極板22の第1接続部22aに接触させて設置されることから、第1端子部18aにて発生した熱は、第1電極板20a、電気的絶縁材、バイパス電極板22の第1接続部22aを介して第2の冷却部材34に放熱される。すなわち、第1端子部18aにて発生した熱を効率よく第2の冷却部材34に放熱させることができる。
【0043】
次に、第9の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第9コンデンサ10Iと記す)について、図9を参照しながら説明する。
【0044】
この第9コンデンサ10Iは、図9に示すように、複数のコンデンサブロック14を互いに側面同士を対向させて配列して構成した複合コンデンサブロック50を有する。図9では、4つの第2コンデンサ10B(図2A参照)を横方向(コンデンサ素子12の積層方向と直交する方向)に配列し、且つ、隣接する第2コンデンサ10Bの側面同士が対向するように配列された形態を示している。各第2コンデンサ10Bの第1電極板20aの端部は、共通の第1リード端子板52aに接続され、各第2コンデンサ10Bの第2電極板20bの端部は、共通の第2リード端子板52bに接続されている。
【0045】
この第9コンデンサ10Iにおいては、各第2コンデンサ10Bにおける第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成されたバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、4つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第2コンデンサ10Bの自己インダクタンスの約1/4程度とすることができる。
【0046】
次に、第10の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第10コンデンサ10Jと記す)は、図10に示すように、複数のコンデンサブロック14を互いに側面同士を対向させて配列して構成した複合コンデンサブロック50を有し、特に、4つの第5コンデンサ10Eを横方向(コンデンサ素子12の積層方向と直交する方向)に配列し、且つ、隣接する第5コンデンサ10Eの側面同士が対向するように配列された形態を有する。各第5コンデンサ10Eの第1電極板20aの端部は、共通の第1リード端子板52aに接続され、各第5コンデンサ10Eの第2電極板20bの端部は、共通の第2リード端子板52bに接続されている。
【0047】
この第10コンデンサ10Jにおいては、各第5コンデンサ10Eにおける第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成されたバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、8つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第5コンデンサ10Eの自己インダクタンスの約1/4程度とすることができる。
【0048】
次に、第11の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第11コンデンサ10Kと記す)は、図11に示すように、上述した第10コンデンサ10Jとほぼ同様の構成を有するが、各コンデンサ素子12の少なくとも第2端子部18bを冷却するための冷却部材30が設置されている点で異なる。冷却部材30は、例えば冷却媒体(冷却水、冷却風等)が流通する蛇行状のパイプ32にて構成され、第2端子部18bが配列された部位に対向した位置に設置されている。
【0049】
この第11コンデンサ10Kにおいては、上述した第7コンデンサ10G(図7参照)と同様に、各コンデンサにおいて許容以上の電流が流れた場合であっても、各コンデンサの許容温度を超えることはないため、上述したような不具合の発生を回避することができる。なお、第8コンデンサ10H(図8参照)と同様に、第1端子部18aが配列された部位に対向した位置に第2の冷却部材34を設置してもよい。
【実施例】
【0050】
比較例、実施例1〜8に係るコンデンサについて、コンデンサのインダクタンスをネットワークアナライザを用いて測定した。
【0051】
比較例、実施例1〜8に係るコンデンサの構成は以下の通りである。
【0052】
(比較例)
図12A〜図12Cに示すように、図1A〜図1Cに示す第1コンデンサ10Aからバイパス電極板22を外した構成を有する。この構成は、上述した特許文献1記載のコンデンサに類似した構造である。
【0053】
(実施例1〜8)
実施例1は、図1A〜図1Cに示す第1コンデンサ10Aと同様の構成を有し、実施例2は、図2A〜図2Cに示す第2コンデンサ10Bと同様の構成を有し、実施例3は、図3A〜図3Cに示す第3コンデンサ10Cと同様の構成を有し、実施例4は、図4A〜図4Cに示す第4コンデンサ10Dと同様の構成を有し、実施例5は、図5A〜図5Cに示す第5コンデンサ10Eと同様の構成を有し、実施例6は、図6A〜図6Cに示す第6コンデンサ10Fと同様の構成を有する。
【0054】
また、実施例7は、図9に示す第9コンデンサ10Iと同様の構成を有し、実施例8は、図10に示す第10コンデンサ10Jと同様の構成を有する。
【0055】
(測定方法)
測定方法は、図13に示すように、ネットワークアナライザ60を使用した。具体的には、比較例、実施例1〜8に係る各コンデンサにおいて、第1電極板20a(第7実施例及び第8実施例では第1リード端子板52a)の端部と第2電極板20b(第7実施例及び第8実施例では第2リード端子板52b)の端部(具体的にはコンデンサの各外部端子)に、それぞれ同軸ケーブル62a及び62bにおける内芯線64a及び64bのコネクタ部と外側導体66a及び66bのコネクタ部を接続(逆でも可能)して測定した。なお、測定周波数は100Hz〜200Hz、測定電流は数mA、測定電圧は数mVである。
【0056】
(測定結果)
測定結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から、比較例ではインダクタンスが約69nHであったが、実施例1〜8はいずれも15nH以下であり、比較例よりもインダクタンスを低減することができ、高周波特性の改善並びに自己発熱の低減を図ることができることがわかる。
【0059】
実施例4は、図4Aに示すように、実施例1(図1A参照)の構成に対して、バイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、インダクタンスが、実施例1のインダクタンスの約1/2程度となっている。
【0060】
実施例5においても、図5Aに示すように、実施例2(図2A参照)の構成に対して、バイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、実施例2のインダクタンスの約1/2程度となっている。
【0061】
実施例6においても、図6Aに示すように、実施例3(図3A参照)の構成に対して、バイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、実施例3のインダクタンスの約1/2程度となっている。
【0062】
実施例7においては、図9に示すように、各第2コンデンサ10Bのバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、4つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、第2コンデンサ10Bのインダクタンスの約1/4程度となっている。
【0063】
実施例8においても、図10に示すように、各第5コンデンサ10Eのバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、4つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、第5コンデンサ10Eのインダクタンスの約1/4程度となっている。
【0064】
なお、特許文献2記載のコンデンサのインダクタンスは、特許文献2の記載から、比較例の1/4程度、すなわち、17nH程度であり、実施例1〜8のインダクタンスよりも高いことがわかる。
【0065】
なお、本発明に係るコンデンサは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0066】
10A〜10K…第1コンデンサ〜第11コンデンサ
12…コンデンサ素子 14…コンデンサブロック
16…巻回体 18a…第1端子部
18b…第2端子部 20a…第1電極板
20b…第2電極板 22…バイパス電極板
22a〜22c…第1接続部〜第3接続部 24…結線部
26…導出部 28…接続部
30、34…冷却部材 32…パイプ
50…コンデンサブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個のコンデンサ素子を並列に電気的に接続して構成されたコンデンサブロックを用いたコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、100μFを超えるような大容量のコンデンサを構成する場合、必要とする静電容量にするために、100μF未満や100μF前後のコンデンサ素子を複数用意し、これら複数のコンデンサ素子を平編み銅線等の配線材を用いて並列に接続したコンデンサブロックを用いるようにしている。また、このコンデンサブロックを複数、さらに並列に接続して用いるようにしていることもある。
【0003】
このようなコンデンサをインバータ等の電力変換装置の平滑コンデンサに使用する場合、コンデンサにインバータのキャリア周波数等のリプル電流が流れる。その際に、コンデンサ素子及び配線材から自己発熱が発生し、寿命の低下をもたらす。そこで、従来では、複数のコンデンサ素子を並列に接続する配線材として並行平板とすることで、自己インダクタンスを低減して、高周波特性の改善並びに自己発熱の低減を図るようにしている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3771977号公報
【特許文献2】特許第3357314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、並行平板の配線構造を種々開示しているが、絶縁構造を主体とした配線構造の例示であることから、折り返し電極の配線長に対する考慮が十分でなく、その結果、自己インダクタンスの低減も不十分である。
【0006】
一方、特許文献2では、コンデンサ素子に流れる電流にも着目し、その反対方向となる並行平板として、コンデンサブロック(複数のコンデンサ素子を5行2列で組み立てたコンデンサブロック)の側面を囲む配線構造としている。しかし、特許文献2の図2(e)にも示すように、上述の配線構造は一体化された函体構造となっているため、コンデンサとして組み立てる作業に困難が伴う。すなわち、特許文献2に示す構造は、図2(e)で図示されているように、コンデンサブロックの側面を囲う両側の接続板6aが引出板6bと共に一体構造となっている。そのため、コンデンサとして組み立てる場合は、コンデンサブロックの一方の端子部に結線板4aを接続し、他方の端子部に結線板4bを接続した後、結線板4aに引出板5を接続する。その後、2つの接続板6a及び1つの引出板6bで囲まれた空間内にコンデンサブロックを挿入し、さらに、2つの接続板6aの各端部を結線板4bに接続しなければならない。
【0007】
つまり、特許文献2に示す構造は、一体構造とされた2つの接続板6a及び1つの引出板6bにて囲まれた空間内にコンデンサブロックを挿入する作業が面倒であり、また、接続時の保持等が困難で、組み立てが難しい。しかも、コンデンサブロックのサイズに対応した専用の配線構造(函体構造)を用意する必要があり、仕様変更等に柔軟に対応することができず、また、コストの高価格化を引き起こすおそれもある。なお、特許文献2記載のコンデンサの自己インダクタンスは、従来のコンデンサの1/4程度に低減することができるとされているが、依然、自己インダクタンスの低減は不十分である。
【0008】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、専用の配線構造を用意する必要がなく、仕様変更等に柔軟に対応することができ、また、コストの低廉化を図ることができ、自己インダクタンスの低減化も図ることができるコンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1] 本発明に係るコンデンサは、両端にそれぞれ端子部を有する複数のコンデンサ素子を並列に電気的に接続して構成したコンデンサブロックを用いたコンデンサにおいて、前記複数のコンデンサ素子の各一方の端子部を電気的に接続する第1電極板と、前記複数のコンデンサ素子の各他方の端子部を電気的に接続し、且つ、前記一方の端子部側に導出された第2電極板と、前記第2電極板を電気的にバイパスする1以上のバイパス電極板とを有し、前記第2電極板は、前記複数のコンデンサ素子の各前記他方の端子部を電気的に接続する結線部と、前記第1電極板に対向して配された導出部と、前記結線部と前記導出部とを接続する接続部とを一体に有し、前記バイパス電極板は、前記第2電極板の前記導出部に電気的に接続された第1接続部と、前記第2電極板の前記結線部に電気的に接続された第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する第3接続部とを一体に有し、前記第2電極板の前記接続部は、前記コンデンサブロックの下面よりも下方に位置し、前記バイパス電極板の前記第3接続部は、前記コンデンサブロックの側面と対向した位置に配されていることを特徴とする。
【0010】
[2] 本発明において、少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックを間に挟んで対向して配されていることを特徴とする。
【0011】
[3] 本発明において、少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックの一方の側面に沿って配列されていることを特徴とする。
【0012】
[4] 本発明において、少なくとも1つの前記バイパス電極板は、その上端の位置が前記コンデンサブロックの上面とほぼ一致するように配されていることを特徴とする。
【0013】
[5] 本発明において、前記コンデンサブロックは、前記複数のコンデンサ素子が一方向に積層されて構成され、前記バイパス電極板の前記複数のコンデンサ素子の積層方向に沿った長さをL、前記コンデンサブロックを構成する前記コンデンサ素子の個数をN、1つの前記コンデンサ素子の前記積層方向に沿った長さをmとしたとき、前記長さLは、
m<L<m×N
であることを特徴とする。
【0014】
[6] 本発明において、前記長さLは、
m×(N−1)<L<m×N
であることを特徴とする。
【0015】
[7] 本発明において、少なくとも1つの前記バイパス電極板の前記長さLは、
m<L<2×m
であることを特徴とする。
【0016】
[8] 本発明において、2以上の前記コンデンサブロックが側面同士を対向させて配列されて構成された複合コンデンサブロックを有することを特徴とする。
【0017】
[9] 本発明において、前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部及び各前記他方の端子部の少なくともいずれか一方を冷却する冷却部材を有し、前記冷却部材は、前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部が配列された部位及び前記コンデンサブロックにおける各前記他方の端子部が配列された部位の少なくともいずれか一方に対向して設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係るコンデンサによれば、専用の配線構造を用意する必要がなく、仕様変更等に柔軟に対応することができ、また、コストの低廉化を図ることができ、自己インダクタンスの低減化も図ることができる。
【0019】
通常、コンデンサは、許容以上の電流が流れた場合、時間の経過と共にコンデンサの許容温度を超え、最終的に発煙・発火するおそれがある。しかし、冷却部材を設けるようにしたので、許容以上の電流が流れた場合であっても、コンデンサの許容温度を超えることはないため、上述のような不具合の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1Aは第1の実施の形態に係るコンデンサ(第1コンデンサ)を示す斜視図であり、図1Bは第1コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図1Cは第1コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図2】図2Aは第2の実施の形態に係るコンデンサ(第2コンデンサ)を示す斜視図であり、図2Bは第2コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図2Cは第2コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図3】図3Aは第3の実施の形態に係るコンデンサ(第3コンデンサ)を示す斜視図であり、図3Bは第3コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図3Cは第3コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図4】図4Aは第4の実施の形態に係るコンデンサ(第4コンデンサ)を示す斜視図であり、図4Bは第4コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図4Cは第4コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図5】図5Aは第5の実施の形態に係るコンデンサ(第5コンデンサ)を示す斜視図であり、図5Bは第5コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図5Cは第5コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図6】図6Aは第6の実施の形態に係るコンデンサ(第6コンデンサ)を示す斜視図であり、図6Bは第6コンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図6Cは第6コンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図7】第7の実施の形態に係るコンデンサ(第7コンデンサ)を示す斜視図である。
【図8】第8の実施の形態に係るコンデンサ(第8コンデンサ)を示す斜視図である。
【図9】第9の実施の形態に係るコンデンサ(第9コンデンサ)を示す斜視図である。
【図10】第10の実施の形態に係るコンデンサ(第10コンデンサ)を示す斜視図である。
【図11】第11の実施の形態に係るコンデンサ(第11コンデンサ)を示す斜視図である。
【図12】図12Aは比較例に係るコンデンサを示す斜視図であり、図12Bは比較例に係るコンデンサのバイパス電極板を一部破断して示す側面図であり、図12Cは比較例に係るコンデンサを上面から見て示す平面図である。
【図13】コンデンサのインダクタンスを測定する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るコンデンサの実施の形態例を図1〜図13を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各種コンデンサは要部を示すものであって、コンデンサとしての製品形態から外装ケース、外部端子、充填材等の図示及び説明を省略している。
【0022】
先ず、第1の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第1コンデンサ10Aと記す)は、図1Aに示すように、複数のコンデンサ素子12を具備した1つのコンデンサブロック14を有する。コンデンサブロック14は、複数のコンデンサ素子12が一方向に積層されて構成されている。図1の例では、4個のコンデンサ素子12を縦方向に積層して1つのコンデンサブロック14を構成した例を示している。
【0023】
各コンデンサ素子12は、巻回体16と、該巻回体16の一方の端部に電気的に接続された第1端子部18aと、巻回体16の他方の端部に電気的に接続された第2端子部18bとを有する。巻回体16は、図示を省略するが、第1電極パターンと第2電極パターンとが誘電体フィルムを挟んで対向した状態で巻回された構成を有する。例えば巻回体16は、片面に第1電極パターンが形成された第1誘電体フィルムと、片面に第2電極パターンが形成された第2誘電体フィルムとを、第1電極パターンと第2電極パターンとが接触しないように重ね合わせ、この重ね合わされた第1誘電体フィルムと第2誘電体フィルムを巻回して構成されている。第1誘電体フィルム及び第2誘電体フィルムは、それぞれPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等で構成することができる。そして、巻回体16の一方の端面及び他方の端面にそれぞれ半田、亜鉛等の金属を溶射して第1端子部18a及び第2端子部18bが設けられている。
【0024】
図1A〜図1Cに示すように、第1コンデンサ10Aは、複数のコンデンサ素子12の各第1端子部18aを電気的に接続する第1電極板20aと、複数のコンデンサ素子12の各第2端子部18bを電気的に接続し、且つ、第1端子部18a側に導出された第2電極板20bとを有する。すなわち、第1コンデンサ10Aは、第1電極板20aと第2電極板20bとによって、複数のコンデンサ素子12が並列に電気的に接続された構成となっている。
【0025】
そして、この第1コンデンサ10Aは、第2電極板20bを電気的にバイパスする1つのバイパス電極板22を有する。具体的には、先ず、第2電極板20bは、複数のコンデンサ素子12の各第2端子部18bを電気的に接続する結線部24と、複数のコンデンサ素子12の第1端子部18a側に導出され、且つ、第1電極板20aに対向して配された導出部26と、結線部24と導出部26とを接続する接続部28とを一体に有する。この場合、第2電極板20bの接続部28は、コンデンサブロック14の下面よりも下方に位置している。すなわち、この第2電極板20bは、第1電極板20aと比して配線長が大きい。なお、第2電極板20bの接続部28とコンデンサ素子12(最も下に位置しているコンデンサ素子12)との間、並びに第2電極板20bの導出部26と第1電極板20aとの間には、それぞれ電気的絶縁を確保するために、図示しない絶縁板が介在される。
【0026】
一方、バイパス電極板22は、第2電極板20bの導出部26に電気的に接続された第1接続部22aと、第2電極板20bの結線部24に電気的に接続された第2接続部22bと、第1接続部22aと第2接続部22bとを接続する第3接続部22cとを一体に有する。この場合、バイパス電極板22の第3接続部22cは、コンデンサブロック14の一方の側面と対向した位置に配されている。すなわち、バイパス電極板22は、コンデンサブロック14の一方の側面を囲むようにして第2電極板20bに電気的に接続されている。本実施の形態では、長方形状の金属板を、例えば折り曲げ加工によって、断面コ字状に成形することで、第1接続部22a、第2接続部22b及び第3接続部22cを一体に設けるようにしている。また、第1接続部22aと第2電極板20bの導出部26との電気的接続、並びに第2接続部22bと第2電極板20bの結線部24との電気的接続は、それぞれ例えば半田によって行うようにしている。なお、バイパス電極板22の第3接続部22cはコンデンサブロック14の一方の側面から離間させることが好ましい。この場合、第3接続部22cとコンデンサブロック14の一方の側面との間に電気的絶縁材を介在させてもよい。
【0027】
バイパス電極板22とコンデンサブロック14の寸法関係を示すと、バイパス電極板22の複数のコンデンサ素子12の積層方向に沿った長さをL、コンデンサブロック14を構成するコンデンサ素子12の個数をN、1個のコンデンサ素子12の積層方向に沿った長さをmとしたとき、長さLは、
m<L<m×N
の範囲であり、特に、この第1コンデンサ10Aでは、長さLは、
m×(N−1)<L<m×N
を満足している。
【0028】
このように、第1コンデンサ10Aにおいては、第1電極板20aと第2電極板20bによって複数のコンデンサ素子12を並列に接続し、さらに、第1電極板20aと比して配線長が大きい第2電極板20bを電気的にバイパスする1つのバイパス電極板22を第2電極板20bに電気的に接続するようにしたので、第1コンデンサ10Aの自己インダクタンスを低減することができ、高周波特性の改善並びに自己発熱の低減を図ることができる。しかも、配線長の大きい第2電極板20bにバイパス電極板22を電気的に接続するだけでよいため、組み立てが簡単で、専用の配線構造(函体構造)を用意する必要がなく、仕様変更等に柔軟に対応することができる。これは、第1コンデンサ10Aの生産性の向上、コストの低廉化につながる。
【0029】
なお、図1の例は、4個のコンデンサ素子12を積層した場合を示しているが、その他、2個のコンデンサ素子12、3個のコンデンサ素子12、5個以上のコンデンサ素子12を積層した場合にも適用できることはもちろんである。
【0030】
次に、第2の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第2コンデンサ10Bと記す)は、図2A〜図2Cに示すように、上述した第1コンデンサ10Aとほぼ同様の構成を有するが、2つのバイパス電極板22が、コンデンサブロック14の一方の側面に沿って配列されている点と、バイパス電極板22の上述した長さLが、
m<L<2×m
である点で異なる。この場も、上述した第1コンデンサ10Aの効果と同様の効果を奏する。なお、図2A〜図2Cの例では、4個のコンデンサ素子12を積層した場合を示しているが、その他、5個以上のコンデンサ素子12を積層した場合にも適用できることはもちろんである。特に、5個、7個、9個等のように、5以上の奇数個のコンデンサ素子12を積層した場合には、バイパス電極板22として、上述した長さLが、m<L<2×mであるバイパス電極板22に加えて、上述した長さLが、2×m<L<3×mであるバイパス電極板22を用いることが好ましい。つまり、1つのコンデンサブロック14に対して積層方向に2個以上のバイパス電極板22を配列する場合は、上述した長さLが、m<L<2×mであるバイパス電極板22と、2×m<L<3×mであるバイパス電極板22とを用意しておけば、4個以上のコンデンサ素子12が積層された種々のコンデンサブロックに適用させることができる。
【0031】
次に、第3の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第3コンデンサ10Cと記す)は、図3A〜図3Cに示すように、上述した第2コンデンサ10Bとほぼ同様の構成を有するが、積層方向上部に設置されるバイパス電極板22が、その上端22dの位置とコンデンサブロック14の上面14aとがほぼ一致するように配されている点で異なる。
【0032】
この第3コンデンサ10Cにおいても、上述した第2コンデンサ10Bと同様の効果を奏する。特に、第3コンデンサ10Cは、積層方向上部に設置されるバイパス電極板22が、第2電極板20bの端部(外部端子に接続される方の端部)に近づくように設置されることから、自己インダクタンスを第2コンデンサ10Bよりも低減することができる。
【0033】
次に、第4の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第4コンデンサ10Dと記す)は、図4A〜図4Cに示すように、上述した第1コンデンサ10Aとほぼ同様の構成を有するが、2つのバイパス電極板22を有する点と、これら2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配されている点で異なる。
【0034】
この場合、第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成されたバイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第1コンデンサ10Aの自己インダクタンスの約1/2程度とすることができる。
【0035】
次に、第5の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第5コンデンサ10Eと記す)は、図5A〜図5Cに示すように、上述した第2コンデンサ10B(図2A〜図2C参照)とほぼ同様の構成を有するが、4つのバイパス電極板22を有する点と、コンデンサブロック14の積層方向上部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配され、同様に、コンデンサブロック14の積層方向下部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配されている点で異なる。
【0036】
この場合も、上述した第4コンデンサ10Dと同様に、第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成された2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第2コンデンサ10Bの自己インダクタンスの約1/2程度とすることができる。
【0037】
次に、第6の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第6コンデンサ10Fと記す)は、図6A〜図6Cに示すように、上述した第3コンデンサ10C(図3A〜図3C参照)とほぼ同様の構成を有するが、4つのバイパス電極板22を有する点と、コンデンサブロック14の積層方向上部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配され、同様に、コンデンサブロック14の積層方向下部において、2つのバイパス電極板22がコンデンサブロック14を間に挟んで対向して配されている点で異なる。
【0038】
この場合も、上述した第5コンデンサ10Eと同様に、それぞれ対向して配された2つのバイパス電極板22によるバイパス経路が並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第3コンデンサ10Cの自己インダクタンスの約1/2程度とすることができる。
【0039】
次に、第7の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第7コンデンサ10Gと記す)は、図7に示すように、上述した第5コンデンサ10E(図5A〜図5C参照)とほぼ同様の構成を有するが、各コンデンサ素子12の少なくとも第2端子部18bを冷却するための冷却部材30が設置されている点で異なる。冷却部材30は、例えば冷却媒体(冷却水、冷却風等)が流通するパイプ32にて構成され、第2端子部18bが配列された部位に対向した位置に設置されている。パイプ32は、バイパス電極板22の第2接続部22bに接触させて設置されることから、第2端子部18bにて発生した熱は、第2電極板20b及びバイパス電極板22の第2接続部22bを介して冷却部材30に放熱され、第1端子部18aにて発生した熱は、第1電極板20a、電気的絶縁材、バイパス電極板22の第1接続部22a、第3接続部22c及び第2接続部22bを介して冷却部材30に放熱される。
【0040】
通常、コンデンサは、許容以上の電流が流れた場合、時間の経過と共にコンデンサの許容温度を超え、最終的に発煙・発火するおそれがある。しかし、この第7コンデンサ10Gにおいては、冷却部材30を設けるようにしたので、許容以上の電流が流れた場合であっても、第7コンデンサ10Gの許容温度を超えることはないため、上述のような不具合の発生を回避することができる。
【0041】
冷却部材30としては、上述した冷却媒体が流通するパイプ32のほか、ヒートシンクを用いることもできる。もちろん、パイプ32とヒートシンクを組み合わせるようにしてもよい。
【0042】
次に、第8の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第8コンデンサ10Hと記す)は、図8に示すように、上述した第7コンデンサ10Gとほぼ同様の構成を有するが、上述した冷却部材30に加えて、第2の冷却部材34が、第1端子部18aが配列された部位に対向した位置に設置されている点で異なる。第2の冷却部材34としては、冷却部材30と同様に、冷却媒体が流通するパイプ32や、ヒートシンク等を用いることができる。この場合、第2の冷却部材34は、バイパス電極板22の第1接続部22aに接触させて設置されることから、第1端子部18aにて発生した熱は、第1電極板20a、電気的絶縁材、バイパス電極板22の第1接続部22aを介して第2の冷却部材34に放熱される。すなわち、第1端子部18aにて発生した熱を効率よく第2の冷却部材34に放熱させることができる。
【0043】
次に、第9の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第9コンデンサ10Iと記す)について、図9を参照しながら説明する。
【0044】
この第9コンデンサ10Iは、図9に示すように、複数のコンデンサブロック14を互いに側面同士を対向させて配列して構成した複合コンデンサブロック50を有する。図9では、4つの第2コンデンサ10B(図2A参照)を横方向(コンデンサ素子12の積層方向と直交する方向)に配列し、且つ、隣接する第2コンデンサ10Bの側面同士が対向するように配列された形態を示している。各第2コンデンサ10Bの第1電極板20aの端部は、共通の第1リード端子板52aに接続され、各第2コンデンサ10Bの第2電極板20bの端部は、共通の第2リード端子板52bに接続されている。
【0045】
この第9コンデンサ10Iにおいては、各第2コンデンサ10Bにおける第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成されたバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、4つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第2コンデンサ10Bの自己インダクタンスの約1/4程度とすることができる。
【0046】
次に、第10の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第10コンデンサ10Jと記す)は、図10に示すように、複数のコンデンサブロック14を互いに側面同士を対向させて配列して構成した複合コンデンサブロック50を有し、特に、4つの第5コンデンサ10Eを横方向(コンデンサ素子12の積層方向と直交する方向)に配列し、且つ、隣接する第5コンデンサ10Eの側面同士が対向するように配列された形態を有する。各第5コンデンサ10Eの第1電極板20aの端部は、共通の第1リード端子板52aに接続され、各第5コンデンサ10Eの第2電極板20bの端部は、共通の第2リード端子板52bに接続されている。
【0047】
この第10コンデンサ10Jにおいては、各第5コンデンサ10Eにおける第2電極板20bの結線部24と導出部26との間に形成されたバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、8つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、自己インダクタンスを、第5コンデンサ10Eの自己インダクタンスの約1/4程度とすることができる。
【0048】
次に、第11の実施の形態に係るコンデンサ(以下、第11コンデンサ10Kと記す)は、図11に示すように、上述した第10コンデンサ10Jとほぼ同様の構成を有するが、各コンデンサ素子12の少なくとも第2端子部18bを冷却するための冷却部材30が設置されている点で異なる。冷却部材30は、例えば冷却媒体(冷却水、冷却風等)が流通する蛇行状のパイプ32にて構成され、第2端子部18bが配列された部位に対向した位置に設置されている。
【0049】
この第11コンデンサ10Kにおいては、上述した第7コンデンサ10G(図7参照)と同様に、各コンデンサにおいて許容以上の電流が流れた場合であっても、各コンデンサの許容温度を超えることはないため、上述したような不具合の発生を回避することができる。なお、第8コンデンサ10H(図8参照)と同様に、第1端子部18aが配列された部位に対向した位置に第2の冷却部材34を設置してもよい。
【実施例】
【0050】
比較例、実施例1〜8に係るコンデンサについて、コンデンサのインダクタンスをネットワークアナライザを用いて測定した。
【0051】
比較例、実施例1〜8に係るコンデンサの構成は以下の通りである。
【0052】
(比較例)
図12A〜図12Cに示すように、図1A〜図1Cに示す第1コンデンサ10Aからバイパス電極板22を外した構成を有する。この構成は、上述した特許文献1記載のコンデンサに類似した構造である。
【0053】
(実施例1〜8)
実施例1は、図1A〜図1Cに示す第1コンデンサ10Aと同様の構成を有し、実施例2は、図2A〜図2Cに示す第2コンデンサ10Bと同様の構成を有し、実施例3は、図3A〜図3Cに示す第3コンデンサ10Cと同様の構成を有し、実施例4は、図4A〜図4Cに示す第4コンデンサ10Dと同様の構成を有し、実施例5は、図5A〜図5Cに示す第5コンデンサ10Eと同様の構成を有し、実施例6は、図6A〜図6Cに示す第6コンデンサ10Fと同様の構成を有する。
【0054】
また、実施例7は、図9に示す第9コンデンサ10Iと同様の構成を有し、実施例8は、図10に示す第10コンデンサ10Jと同様の構成を有する。
【0055】
(測定方法)
測定方法は、図13に示すように、ネットワークアナライザ60を使用した。具体的には、比較例、実施例1〜8に係る各コンデンサにおいて、第1電極板20a(第7実施例及び第8実施例では第1リード端子板52a)の端部と第2電極板20b(第7実施例及び第8実施例では第2リード端子板52b)の端部(具体的にはコンデンサの各外部端子)に、それぞれ同軸ケーブル62a及び62bにおける内芯線64a及び64bのコネクタ部と外側導体66a及び66bのコネクタ部を接続(逆でも可能)して測定した。なお、測定周波数は100Hz〜200Hz、測定電流は数mA、測定電圧は数mVである。
【0056】
(測定結果)
測定結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1の結果から、比較例ではインダクタンスが約69nHであったが、実施例1〜8はいずれも15nH以下であり、比較例よりもインダクタンスを低減することができ、高周波特性の改善並びに自己発熱の低減を図ることができることがわかる。
【0059】
実施例4は、図4Aに示すように、実施例1(図1A参照)の構成に対して、バイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、インダクタンスが、実施例1のインダクタンスの約1/2程度となっている。
【0060】
実施例5においても、図5Aに示すように、実施例2(図2A参照)の構成に対して、バイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、実施例2のインダクタンスの約1/2程度となっている。
【0061】
実施例6においても、図6Aに示すように、実施例3(図3A参照)の構成に対して、バイパス電極板22による2つのバイパス経路が並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、実施例3のインダクタンスの約1/2程度となっている。
【0062】
実施例7においては、図9に示すように、各第2コンデンサ10Bのバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、4つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、第2コンデンサ10Bのインダクタンスの約1/4程度となっている。
【0063】
実施例8においても、図10に示すように、各第5コンデンサ10Eのバイパス電極板22によるバイパス経路(この場合、4つのバイパス経路)が、共通の第2リード端子板52bに並列に接続された形態となるため、インダクタンスは、第5コンデンサ10Eのインダクタンスの約1/4程度となっている。
【0064】
なお、特許文献2記載のコンデンサのインダクタンスは、特許文献2の記載から、比較例の1/4程度、すなわち、17nH程度であり、実施例1〜8のインダクタンスよりも高いことがわかる。
【0065】
なお、本発明に係るコンデンサは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0066】
10A〜10K…第1コンデンサ〜第11コンデンサ
12…コンデンサ素子 14…コンデンサブロック
16…巻回体 18a…第1端子部
18b…第2端子部 20a…第1電極板
20b…第2電極板 22…バイパス電極板
22a〜22c…第1接続部〜第3接続部 24…結線部
26…導出部 28…接続部
30、34…冷却部材 32…パイプ
50…コンデンサブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端にそれぞれ端子部を有する複数のコンデンサ素子を並列に電気的に接続して構成したコンデンサブロックを用いたコンデンサにおいて、
前記複数のコンデンサ素子の各一方の端子部を電気的に接続する第1電極板と、
前記複数のコンデンサ素子の各他方の端子部を電気的に接続し、且つ、前記一方の端子部側に導出された第2電極板と、
前記第2電極板を電気的にバイパスする1以上のバイパス電極板とを有し、
前記第2電極板は、前記複数のコンデンサ素子の各前記他方の端子部を電気的に接続する結線部と、前記第1電極板に対向して配された導出部と、前記結線部と前記導出部とを接続する接続部とを一体に有し、
前記バイパス電極板は、前記第2電極板の前記導出部に電気的に接続された第1接続部と、前記第2電極板の前記結線部に電気的に接続された第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する第3接続部とを一体に有し、
前記第2電極板の前記接続部は、前記コンデンサブロックの下面よりも下方に位置し、
前記バイパス電極板の前記第3接続部は、前記コンデンサブロックの側面と対向した位置に配されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックを間に挟んで対向して配されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項3】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックの一方の側面に沿って配列されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項4】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
少なくとも1つの前記バイパス電極板は、その上端の位置が前記コンデンサブロックの上面とほぼ一致するように配されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項5】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
前記コンデンサブロックは、前記複数のコンデンサ素子が一方向に積層されて構成され、
前記バイパス電極板の前記複数のコンデンサ素子の積層方向に沿った長さをL、前記コンデンサブロックを構成する前記コンデンサ素子の個数をN、1つの前記コンデンサ素子の前記積層方向に沿った長さをmとしたとき、前記長さLは、
m<L<m×N
であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項6】
請求項5記載のコンデンサにおいて、
前記長さLは、
m×(N−1)<L<m×N
であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項7】
請求項5記載のコンデンサにおいて、
少なくとも1つの前記バイパス電極板の前記長さLは、
m<L<2×m
であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンデンサにおいて、
2以上の前記コンデンサブロックが側面同士を対向させて配列されて構成された複合コンデンサブロックを有することを特徴とするコンデンサ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンデンサにおいて、
前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部及び各前記他方の端子部の少なくともいずれか一方を冷却する冷却部材を有し、
前記冷却部材は、
前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部が配列された部位及び前記コンデンサブロックにおける各前記他方の端子部が配列された部位の少なくともいずれか一方に対向して設けられていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項1】
両端にそれぞれ端子部を有する複数のコンデンサ素子を並列に電気的に接続して構成したコンデンサブロックを用いたコンデンサにおいて、
前記複数のコンデンサ素子の各一方の端子部を電気的に接続する第1電極板と、
前記複数のコンデンサ素子の各他方の端子部を電気的に接続し、且つ、前記一方の端子部側に導出された第2電極板と、
前記第2電極板を電気的にバイパスする1以上のバイパス電極板とを有し、
前記第2電極板は、前記複数のコンデンサ素子の各前記他方の端子部を電気的に接続する結線部と、前記第1電極板に対向して配された導出部と、前記結線部と前記導出部とを接続する接続部とを一体に有し、
前記バイパス電極板は、前記第2電極板の前記導出部に電気的に接続された第1接続部と、前記第2電極板の前記結線部に電気的に接続された第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する第3接続部とを一体に有し、
前記第2電極板の前記接続部は、前記コンデンサブロックの下面よりも下方に位置し、
前記バイパス電極板の前記第3接続部は、前記コンデンサブロックの側面と対向した位置に配されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックを間に挟んで対向して配されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項3】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
少なくとも2つの前記バイパス電極板が、前記コンデンサブロックの一方の側面に沿って配列されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項4】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
少なくとも1つの前記バイパス電極板は、その上端の位置が前記コンデンサブロックの上面とほぼ一致するように配されていることを特徴とするコンデンサ。
【請求項5】
請求項1記載のコンデンサにおいて、
前記コンデンサブロックは、前記複数のコンデンサ素子が一方向に積層されて構成され、
前記バイパス電極板の前記複数のコンデンサ素子の積層方向に沿った長さをL、前記コンデンサブロックを構成する前記コンデンサ素子の個数をN、1つの前記コンデンサ素子の前記積層方向に沿った長さをmとしたとき、前記長さLは、
m<L<m×N
であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項6】
請求項5記載のコンデンサにおいて、
前記長さLは、
m×(N−1)<L<m×N
であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項7】
請求項5記載のコンデンサにおいて、
少なくとも1つの前記バイパス電極板の前記長さLは、
m<L<2×m
であることを特徴とするコンデンサ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンデンサにおいて、
2以上の前記コンデンサブロックが側面同士を対向させて配列されて構成された複合コンデンサブロックを有することを特徴とするコンデンサ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンデンサにおいて、
前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部及び各前記他方の端子部の少なくともいずれか一方を冷却する冷却部材を有し、
前記冷却部材は、
前記コンデンサブロックにおける各前記一方の端子部が配列された部位及び前記コンデンサブロックにおける各前記他方の端子部が配列された部位の少なくともいずれか一方に対向して設けられていることを特徴とするコンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−12563(P2013−12563A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143818(P2011−143818)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000201777)双信電機株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000201777)双信電機株式会社 (54)
【Fターム(参考)】
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