コントロールユニットの取付構造
【課題】共締めを解除してコントロールユニットを取り外した状態でブラケットに設けられたO字形状の突部に嵌まり込んだ状態の磁石を取り外しやすくすること。
【解決手段】機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用ネジ孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用ネジ孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されている構造にした。
【解決手段】機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用ネジ孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用ネジ孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されている構造にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器(例えば、オーディオ機器、無線機器など)の本体から取り外したコントロールユニットを、壁等の所望の場所に取り付けるためのブラケットを用いた着脱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から無線通信機等の車載用の電子機器では、盗難を防止するために、裏面に磁石を有するコントロールユニットを、当該車載用電子機器の本体から着脱可能とする構造が提案されている。
このようなコントロールユニットを車内に取り付けるときには、予め、鉄等の磁性体材料からなるブラケットを、車内の所望の場所に設置しておく。そして、車載用電子機器の本体から取り外した前記コントロールユニットを、その裏面に配設された磁石を用いて、前記ブラケットに着脱可能な状態に取り付けることができる。前記車載用電子機器の本体は別の場所に設置する。
さらに、前記コントロールユニットは、車内の所望の場所に、着脱不可の状態で取り付けることも要求される。
そこで、特開2005−347294号では、磁石を位置決めするためのO字形状の突部が形成されたブラケットを、コントロールユニットの筐体にネジ止めする手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−347294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開2005−347294号で開示される構造は、コントロールユニットにネジ孔を設ける必要があるのだが、当該コントロールユニットの強度が低下するといった不具合が生じる。
このため、図9に示したようなO字形状の位置決め突部を有するブラケットにネジ孔を形成して、図10に示したように、ブラケットと磁石とコントロールユニットをネジで共締めするといった方法が考えられる。
しかし、このような方法では、ネジを外して、図10に示したような共締めを解除してコントロールユニットを取り外した状態では、図11、12に示したように、ブラケットに設けられたO字形状の位置決め突部に磁石が嵌まり込んでいるので、磁石をスライドさせることもできず、指やドライバーの先端を挿入するスペースも無いので、磁石をブラケットから取り外しづらいという不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係るコントロールユニットの取付構造では、
機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されている。
請求項2では、
前記位置決め突部の形状は、U字形状とされている。
請求項3では、
前記位置決め突部の形状は、C字形状とされている。
請求項4では、
前記位置決め突部の開口部の幅は、前記磁石の外径より広く形成されている。
請求項5では、
前記位置決め突部の高さは、前記磁石の厚みより小さく形成されている。
請求項6では、
2つの磁石を用いてコントロールユニットとブラケットとを取り付けるために、コントロールユニットの背面には2つの磁石を配設可能とするともに、ブラケットには2つの位置決め突部が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、
機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されているので、
前記ネジを取り外して共締め状態を解除してコントロールユニットを取り外した後に、ブラケットに磁気的に吸着した状態の磁石を、前記開口部を利用して取り外しやすいという効果が得られる。
請求項2では、
前記位置決め突部の形状は、U字形状としたので、磁石をスライドさせることによって取り外しやすいという効果が得られる。
請求項3では、
前記位置決め突部の形状は、C字形状としたので、その開口部から指やドライバーの先端を挿入することによって、磁石を取り外しやすいという効果が得られる。
請求項4では、
前記位置決め突部の開口部の幅は、前記磁石の外径より広くしたので、磁石をスライドさせて取り外すことが容易である。
請求項5では、
前記位置決め突部の高さは、前記磁石の厚みより小さくしたので、ブラケットに吸着した磁石の一部が位置決め突部から飛び出してその部分を押すことができ、磁石をスライドさせて取り外すことが容易になる。
請求項6では、
2つの磁石を用いてコントロールユニットとブラケットとを取り付けるために、コントロールユニットの背面には2つの磁石を配設可能とするともに、ブラケットには2つの位置決め突部を形成したので、コントロールユニットをブラケットに確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電子機器の要部の斜視図である。
【図2】前記電子機器のコントロールユニットの背面図である。
【図3】ブラケットの斜視図である。
【図4】ブラケットを用いてコントロールユニットを取り付ける手順を説明する斜視図である。
【図5】ブラケットとコントロールユニットを着脱不可の状態に取り付けた状態の要部断面図である。
【図6】図5の状態から磁石をスライドさせて取り外す手順を説明する要部断面図である。
【図7】図5の状態から磁石をスライドさせて取り外す手順を説明する斜視図である。
【図8】種々の変形例のブラケットの正面図である。
【図9】従来例の着脱構造に用いるブラケットの斜視図である。
【図10】従来例においてブラケットとコントロールユニットを着脱不可の状態に取り付けた状態の要部断面図である。
【図11】図10の状態からネジとコントロールユニットを取り外した状態の要部断面図である。
【図12】図10の状態からネジとコントロールユニットを取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るコントロールユニットの取付構造に用いる電子機器1は、図1に示すように、本体11とコントロールユニット10とからなり、コントロールユニット10は、本体の前面に着脱自在に取り付けるようになっている。また、本体側面に配置されたリリースボタン31を押下すると、コントロールユニット10が前面方向に押し出されて、コントロールユニット10を本体11から取り外すことができる。
コントロールユニット10の前面には、図1に示すように、表示画面、操作用ダイヤルなどを設けた操作パネルが形成されており、コントロールユニット10の裏面には、図2に示すように、中央部を台地状に突出させた突出部13を備え、突出部13の中央部分は、入出力端子16を設けた形状となっており、前記入出力端子16の両側には図2の(A)
に示したように、磁石配置部14がくぼみ状に形成され、磁石配置部14の中心にはネジ孔15が形成されている。そして、図2の(B)に示したように、前記磁石配置部14に、環状の磁石MをネジSを用いてネジ止めすることができる。
【0009】
一方、本体11の前面には、磁性体材料からなる板金が配設されており、コントロールユニット10に磁石MをネジSを用いて固定した状態で、前記磁石Mを前記板金に磁気吸着させることによって、コントロールユニット10は本体11の全面に固定される。この状態では、コントロールユニット10と本体11とは磁石Mによって磁気吸着された状態であり、リリースボタン31を押下することによって、コントロールユニット10を本体11から引き離して取り外すことが可能である。
【0010】
次に、コントロールユニット10を本体11から取り外して、所望の場所に配設する場合について説明する。
【実施例1】
【0011】
図3に示したような取付用のブラケットBを用いて、ブラケットBとコントロールユニット10とを着脱不可の状態で固定する場合を説明する。
【0012】
ブラケットBは 前記板金と同様の磁性体材料からなり、このブラケットBには、2つの位置決め突部B1、B2と、2つの共締め用孔B11、B21と、複数の取付用孔B3とが形成されている。
前記位置決め突部B1、B2は、互いに内側に向かって開口するU字形状であり、その開口部B41、B42の開口幅Wは、前記磁石Mの外径Dよりもやや大きい。
前記位置決め突部B1、B2のU字形状は、コントロールユニット10の突出部13に対応する形状となっている。
前記位置決め突部B1、B2の高さHbは、前記磁石Mの厚みHmより小さい。
前記取付用孔B3は、当該ブラケットを壁等の所望の場所にネジ止めする際に利用するネジ孔である。
前記共締め用孔B11、B21は、当該ブラケットをコントロールユニットに取り付けた際、磁石Mの孔M1と、コントロールユニット10のネジ孔15とに対応する位置に形成されている。したがって、ネジSを、ブラケットの共締め用孔B11、B21と、磁石Mの孔M1とに挿通して、さらに、コントロールユニットの背面のネジ孔15にねじ込むことによって、ブラケットB、磁石M、およびコントロールユニット10を共締めすることができる。
【0013】
つぎに、前記ブラケットを用いて、コントロールユニットを取り付ける手順を説明する。
まず、コントロールユニットの背面に取り付けている磁石Mを取り付けているネジSを外す。
そして、図4に示したように、コントロールユニット10の背面に、磁石Mが吸着した状態で、ブラケットBにコントロールユニット10の背面を近づけると、磁石MがブラケットBを引き寄せて、磁石MがブラケットBの位置決め突部に接触して、ブラケットBとコントロールユニット10の裏面との相対位置が位置決めされる。この状態では、ブラケットBの共締め孔B11、B21、磁石Mの孔M1、およびコントロールユニットのネジ孔15が直線上に並ぶ状態となる。
そして、直線上に並んだ孔に、ネジSを差し込んで締め付けることによって、図5に示したように、ブラケットB、磁石M、およびコントロールユニット10は共締めされる。
このようにコントロールユニット10が取り付けられたブラケットBを、両面テープや、ネジなどを用いて、壁等の所望の場所に固定することで、コントロールユニット10を所望の場所に着脱不可な状態で取り付けることができる。
【0014】
つぎに、ブラケットをコントロールユニットから取り外す場合の手順を説明する。
まず、共締めしていたネジSを外して、ブラケットBをコントロールユニット10の背面から引き離すと、図6に示したように、磁石Mは磁性体材料からなるブラケットBに磁気的に吸着した状態で残っている。磁石Mは、U字形状の位置決め突部に嵌まり込んでいる。
ここで、図6、7に示したように、前記位置決め突部の高さHbは前記磁石Mの厚みHmより小さいので、磁石Mの一部は、U字形状の位置決め突部から飛び出しており、その部分を押すことができる。また、図3に示したように、前記位置決め突部B1,B2の開口部B41,B42の開口幅Wは、前記磁石Mの外径よりもやや大きいので、前記磁石Mを押すことによって、磁石Mはブラケットに磁気的に吸着した状態のまま、矢印で示したように、ブラケットの表面に沿って内側にスライドして、前記開口部を通って、位置決め突部の外に移動することができる。このようにして、磁石Mをブラケットの縁まで移動させると、ブラケットから磁石Mを容易に取り外すことができる。
このように、位置決め突部が、磁石Mの全周を囲むのではなく、磁石Mの外径より大きく開口した開口部を備えているので、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままでスライドさせて、取り外すことができるのである。
【0015】
以上のように、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままでスライドさせて位置決め突部の外に移動させるためには、位置決め突部は、磁石Mの外径より大きく開口した開口部を備えていることが好ましい。しかも、前記開口部は、磁石Mを吸着させる位置を決めるための形状が必要である。
このような条件を満足するためには、位置決め突部の平面形状は、図8に示すように種々の形状が可能である。
【実施例2】
【0016】
例えば、
図8の(B)に示したように、2つの位置決め突部B61,B62の開口部を十分に広くして、突部の長さを最小限の長さにして、コントロールユニットの突出部の一部にのみ対応する形状としてもよい。この場合は、磁石Mをスライドさせる領域が増えるので、コントロールユニットを取り外した状態では、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままで僅かに内側にスライドさせることで、位置決め突部B61,B62から離脱させることができ、さらにスライドさせることで取り外すことができるのである。
【実施例3】
【0017】
図8の(C)に示したように、2つの位置決め突部を連結して1つの位置決め突部B71として、共通の開口部B72を形成してもよい。この場合は、磁気的に吸着した状態のコントロールユニットの位置は、どの方向にもずれにくい。そして、コントロールユニットを取り外した状態では、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままで内側にスライドさせて、共通の開口部B72を通ってスライドさせることで取り外すことができるのである。
【実施例4】
【0018】
図8の(D)に示したように、2つの位置決め突部B81,B82の開口部が、共に上を向く方向に形成してもよい。この場合は、磁気的に吸着した状態のコントロールユニットの位置は、上方以外のどの方向にもずれにくいが、上方にはスライドさせて取り外すことができるので、ブラケットを所望の場所にネジで固定しておき、裏面に磁石を装着したコントロールユニットを所望の位置に着脱可能に設置した場合、コントロールユニットを上方にスライドさせることで容易に取り外すことができる。
【実施例5】
【0019】
なお、ブラケットBに形成する位置決め突部は、環状に閉じたものではなく開放部を有するものであればよく、開口部を有したU字形状に限定されるものではない。
例えば、図8の(A)に示したように、位置決め突部B51,B52の形状をC字形状として、2つの位置決め突部B51,B52の開口部が磁石Mの外径より小さいものであってもよい。この場合は、前記開口部から指やドライバーの先端を挿入して、磁石MをブラケットBから引き離すことで、磁石Mを取り外すことができる。
【0020】
以上の説明は、ブラケットと磁石Mとコントロールユニットをネジで共締めして着脱不可の状態で取り付けた場合において、ネジを外してコントロールユニットを取り外した後に残った磁石Mをスライドさせて取り外す点について説明したが、ブラケットと磁石Mとコントロールユニットをネジで共締めしないで取り付けることもできる。
この場合、予めブラケットを所望の場所にネジを用いて固定しておき、背面に磁石Mがネジ止めされているコントロールユニットを、ブラケットに磁気的に吸着させて取り付けることによって、コントロールユニットを所望の場所に着脱可能な状態で取り付けることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 電子機器
11 本体
10 コントロールユニット
15 磁石取付用のネジ孔
M 磁石
M1 取付用の孔
S ネジ
B ブラケット
B1、B2 位置決め突部
B11、B21 共締め用孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器(例えば、オーディオ機器、無線機器など)の本体から取り外したコントロールユニットを、壁等の所望の場所に取り付けるためのブラケットを用いた着脱構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から無線通信機等の車載用の電子機器では、盗難を防止するために、裏面に磁石を有するコントロールユニットを、当該車載用電子機器の本体から着脱可能とする構造が提案されている。
このようなコントロールユニットを車内に取り付けるときには、予め、鉄等の磁性体材料からなるブラケットを、車内の所望の場所に設置しておく。そして、車載用電子機器の本体から取り外した前記コントロールユニットを、その裏面に配設された磁石を用いて、前記ブラケットに着脱可能な状態に取り付けることができる。前記車載用電子機器の本体は別の場所に設置する。
さらに、前記コントロールユニットは、車内の所望の場所に、着脱不可の状態で取り付けることも要求される。
そこで、特開2005−347294号では、磁石を位置決めするためのO字形状の突部が形成されたブラケットを、コントロールユニットの筐体にネジ止めする手段が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−347294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開2005−347294号で開示される構造は、コントロールユニットにネジ孔を設ける必要があるのだが、当該コントロールユニットの強度が低下するといった不具合が生じる。
このため、図9に示したようなO字形状の位置決め突部を有するブラケットにネジ孔を形成して、図10に示したように、ブラケットと磁石とコントロールユニットをネジで共締めするといった方法が考えられる。
しかし、このような方法では、ネジを外して、図10に示したような共締めを解除してコントロールユニットを取り外した状態では、図11、12に示したように、ブラケットに設けられたO字形状の位置決め突部に磁石が嵌まり込んでいるので、磁石をスライドさせることもできず、指やドライバーの先端を挿入するスペースも無いので、磁石をブラケットから取り外しづらいという不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係るコントロールユニットの取付構造では、
機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されている。
請求項2では、
前記位置決め突部の形状は、U字形状とされている。
請求項3では、
前記位置決め突部の形状は、C字形状とされている。
請求項4では、
前記位置決め突部の開口部の幅は、前記磁石の外径より広く形成されている。
請求項5では、
前記位置決め突部の高さは、前記磁石の厚みより小さく形成されている。
請求項6では、
2つの磁石を用いてコントロールユニットとブラケットとを取り付けるために、コントロールユニットの背面には2つの磁石を配設可能とするともに、ブラケットには2つの位置決め突部が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、
機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されているので、
前記ネジを取り外して共締め状態を解除してコントロールユニットを取り外した後に、ブラケットに磁気的に吸着した状態の磁石を、前記開口部を利用して取り外しやすいという効果が得られる。
請求項2では、
前記位置決め突部の形状は、U字形状としたので、磁石をスライドさせることによって取り外しやすいという効果が得られる。
請求項3では、
前記位置決め突部の形状は、C字形状としたので、その開口部から指やドライバーの先端を挿入することによって、磁石を取り外しやすいという効果が得られる。
請求項4では、
前記位置決め突部の開口部の幅は、前記磁石の外径より広くしたので、磁石をスライドさせて取り外すことが容易である。
請求項5では、
前記位置決め突部の高さは、前記磁石の厚みより小さくしたので、ブラケットに吸着した磁石の一部が位置決め突部から飛び出してその部分を押すことができ、磁石をスライドさせて取り外すことが容易になる。
請求項6では、
2つの磁石を用いてコントロールユニットとブラケットとを取り付けるために、コントロールユニットの背面には2つの磁石を配設可能とするともに、ブラケットには2つの位置決め突部を形成したので、コントロールユニットをブラケットに確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電子機器の要部の斜視図である。
【図2】前記電子機器のコントロールユニットの背面図である。
【図3】ブラケットの斜視図である。
【図4】ブラケットを用いてコントロールユニットを取り付ける手順を説明する斜視図である。
【図5】ブラケットとコントロールユニットを着脱不可の状態に取り付けた状態の要部断面図である。
【図6】図5の状態から磁石をスライドさせて取り外す手順を説明する要部断面図である。
【図7】図5の状態から磁石をスライドさせて取り外す手順を説明する斜視図である。
【図8】種々の変形例のブラケットの正面図である。
【図9】従来例の着脱構造に用いるブラケットの斜視図である。
【図10】従来例においてブラケットとコントロールユニットを着脱不可の状態に取り付けた状態の要部断面図である。
【図11】図10の状態からネジとコントロールユニットを取り外した状態の要部断面図である。
【図12】図10の状態からネジとコントロールユニットを取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るコントロールユニットの取付構造に用いる電子機器1は、図1に示すように、本体11とコントロールユニット10とからなり、コントロールユニット10は、本体の前面に着脱自在に取り付けるようになっている。また、本体側面に配置されたリリースボタン31を押下すると、コントロールユニット10が前面方向に押し出されて、コントロールユニット10を本体11から取り外すことができる。
コントロールユニット10の前面には、図1に示すように、表示画面、操作用ダイヤルなどを設けた操作パネルが形成されており、コントロールユニット10の裏面には、図2に示すように、中央部を台地状に突出させた突出部13を備え、突出部13の中央部分は、入出力端子16を設けた形状となっており、前記入出力端子16の両側には図2の(A)
に示したように、磁石配置部14がくぼみ状に形成され、磁石配置部14の中心にはネジ孔15が形成されている。そして、図2の(B)に示したように、前記磁石配置部14に、環状の磁石MをネジSを用いてネジ止めすることができる。
【0009】
一方、本体11の前面には、磁性体材料からなる板金が配設されており、コントロールユニット10に磁石MをネジSを用いて固定した状態で、前記磁石Mを前記板金に磁気吸着させることによって、コントロールユニット10は本体11の全面に固定される。この状態では、コントロールユニット10と本体11とは磁石Mによって磁気吸着された状態であり、リリースボタン31を押下することによって、コントロールユニット10を本体11から引き離して取り外すことが可能である。
【0010】
次に、コントロールユニット10を本体11から取り外して、所望の場所に配設する場合について説明する。
【実施例1】
【0011】
図3に示したような取付用のブラケットBを用いて、ブラケットBとコントロールユニット10とを着脱不可の状態で固定する場合を説明する。
【0012】
ブラケットBは 前記板金と同様の磁性体材料からなり、このブラケットBには、2つの位置決め突部B1、B2と、2つの共締め用孔B11、B21と、複数の取付用孔B3とが形成されている。
前記位置決め突部B1、B2は、互いに内側に向かって開口するU字形状であり、その開口部B41、B42の開口幅Wは、前記磁石Mの外径Dよりもやや大きい。
前記位置決め突部B1、B2のU字形状は、コントロールユニット10の突出部13に対応する形状となっている。
前記位置決め突部B1、B2の高さHbは、前記磁石Mの厚みHmより小さい。
前記取付用孔B3は、当該ブラケットを壁等の所望の場所にネジ止めする際に利用するネジ孔である。
前記共締め用孔B11、B21は、当該ブラケットをコントロールユニットに取り付けた際、磁石Mの孔M1と、コントロールユニット10のネジ孔15とに対応する位置に形成されている。したがって、ネジSを、ブラケットの共締め用孔B11、B21と、磁石Mの孔M1とに挿通して、さらに、コントロールユニットの背面のネジ孔15にねじ込むことによって、ブラケットB、磁石M、およびコントロールユニット10を共締めすることができる。
【0013】
つぎに、前記ブラケットを用いて、コントロールユニットを取り付ける手順を説明する。
まず、コントロールユニットの背面に取り付けている磁石Mを取り付けているネジSを外す。
そして、図4に示したように、コントロールユニット10の背面に、磁石Mが吸着した状態で、ブラケットBにコントロールユニット10の背面を近づけると、磁石MがブラケットBを引き寄せて、磁石MがブラケットBの位置決め突部に接触して、ブラケットBとコントロールユニット10の裏面との相対位置が位置決めされる。この状態では、ブラケットBの共締め孔B11、B21、磁石Mの孔M1、およびコントロールユニットのネジ孔15が直線上に並ぶ状態となる。
そして、直線上に並んだ孔に、ネジSを差し込んで締め付けることによって、図5に示したように、ブラケットB、磁石M、およびコントロールユニット10は共締めされる。
このようにコントロールユニット10が取り付けられたブラケットBを、両面テープや、ネジなどを用いて、壁等の所望の場所に固定することで、コントロールユニット10を所望の場所に着脱不可な状態で取り付けることができる。
【0014】
つぎに、ブラケットをコントロールユニットから取り外す場合の手順を説明する。
まず、共締めしていたネジSを外して、ブラケットBをコントロールユニット10の背面から引き離すと、図6に示したように、磁石Mは磁性体材料からなるブラケットBに磁気的に吸着した状態で残っている。磁石Mは、U字形状の位置決め突部に嵌まり込んでいる。
ここで、図6、7に示したように、前記位置決め突部の高さHbは前記磁石Mの厚みHmより小さいので、磁石Mの一部は、U字形状の位置決め突部から飛び出しており、その部分を押すことができる。また、図3に示したように、前記位置決め突部B1,B2の開口部B41,B42の開口幅Wは、前記磁石Mの外径よりもやや大きいので、前記磁石Mを押すことによって、磁石Mはブラケットに磁気的に吸着した状態のまま、矢印で示したように、ブラケットの表面に沿って内側にスライドして、前記開口部を通って、位置決め突部の外に移動することができる。このようにして、磁石Mをブラケットの縁まで移動させると、ブラケットから磁石Mを容易に取り外すことができる。
このように、位置決め突部が、磁石Mの全周を囲むのではなく、磁石Mの外径より大きく開口した開口部を備えているので、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままでスライドさせて、取り外すことができるのである。
【0015】
以上のように、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままでスライドさせて位置決め突部の外に移動させるためには、位置決め突部は、磁石Mの外径より大きく開口した開口部を備えていることが好ましい。しかも、前記開口部は、磁石Mを吸着させる位置を決めるための形状が必要である。
このような条件を満足するためには、位置決め突部の平面形状は、図8に示すように種々の形状が可能である。
【実施例2】
【0016】
例えば、
図8の(B)に示したように、2つの位置決め突部B61,B62の開口部を十分に広くして、突部の長さを最小限の長さにして、コントロールユニットの突出部の一部にのみ対応する形状としてもよい。この場合は、磁石Mをスライドさせる領域が増えるので、コントロールユニットを取り外した状態では、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままで僅かに内側にスライドさせることで、位置決め突部B61,B62から離脱させることができ、さらにスライドさせることで取り外すことができるのである。
【実施例3】
【0017】
図8の(C)に示したように、2つの位置決め突部を連結して1つの位置決め突部B71として、共通の開口部B72を形成してもよい。この場合は、磁気的に吸着した状態のコントロールユニットの位置は、どの方向にもずれにくい。そして、コントロールユニットを取り外した状態では、磁気的に吸着した状態の磁石Mを、吸着状態のままで内側にスライドさせて、共通の開口部B72を通ってスライドさせることで取り外すことができるのである。
【実施例4】
【0018】
図8の(D)に示したように、2つの位置決め突部B81,B82の開口部が、共に上を向く方向に形成してもよい。この場合は、磁気的に吸着した状態のコントロールユニットの位置は、上方以外のどの方向にもずれにくいが、上方にはスライドさせて取り外すことができるので、ブラケットを所望の場所にネジで固定しておき、裏面に磁石を装着したコントロールユニットを所望の位置に着脱可能に設置した場合、コントロールユニットを上方にスライドさせることで容易に取り外すことができる。
【実施例5】
【0019】
なお、ブラケットBに形成する位置決め突部は、環状に閉じたものではなく開放部を有するものであればよく、開口部を有したU字形状に限定されるものではない。
例えば、図8の(A)に示したように、位置決め突部B51,B52の形状をC字形状として、2つの位置決め突部B51,B52の開口部が磁石Mの外径より小さいものであってもよい。この場合は、前記開口部から指やドライバーの先端を挿入して、磁石MをブラケットBから引き離すことで、磁石Mを取り外すことができる。
【0020】
以上の説明は、ブラケットと磁石Mとコントロールユニットをネジで共締めして着脱不可の状態で取り付けた場合において、ネジを外してコントロールユニットを取り外した後に残った磁石Mをスライドさせて取り外す点について説明したが、ブラケットと磁石Mとコントロールユニットをネジで共締めしないで取り付けることもできる。
この場合、予めブラケットを所望の場所にネジを用いて固定しておき、背面に磁石Mがネジ止めされているコントロールユニットを、ブラケットに磁気的に吸着させて取り付けることによって、コントロールユニットを所望の場所に着脱可能な状態で取り付けることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 電子機器
11 本体
10 コントロールユニット
15 磁石取付用のネジ孔
M 磁石
M1 取付用の孔
S ネジ
B ブラケット
B1、B2 位置決め突部
B11、B21 共締め用孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されていることを特徴とするコントロールユニットの取付構造。
【請求項2】
前記位置決め突部の形状は、U字形状としたことを特徴とする請求項1に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項3】
前記位置決め突部の形状は、C字形状としたことを特徴とする請求項1に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項4】
前記位置決め突部の開口部の幅は、前記磁石の外径より広くしたことを特徴とする請求項1乃至3に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項5】
前記位置決め突部の高さは、前記磁石の厚みより小さくしたことを特徴とする請求項1乃至4に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項6】
2つの磁石を用いてコントロールユニットとブラケットとを取り付けるために、コントロールユニットの背面には2つの磁石を配設可能とするともに、ブラケットには2つの位置決め突部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項1】
機器本体の前面に着脱自在に取り付け得るコントロールユニットの背面には磁石取付用のネジ孔が形成され、
前記コントロールユニットを取り付けるための磁性体材料からなるブラケットには共締め用孔が形成され、
前記ブラケットと前記コントロールユニットの間に、取付用の孔のあいた磁石を挟んだ状態で、前記ブラケットの共締め用孔と前記磁石の取付用の孔と前記コントロールユニットの磁石取付用のネジ孔とにネジを通して、前記ブラケットと前記磁石と前記コントロールユニットとを共締め可能に形成されたコントロールユニットの取付構造であって、
前記ブラケットには、前記磁石を磁気的に吸着させるときに、前記磁石の周囲の一部を囲んで位置決めするための位置決め突部が形成されるとともに、
前記位置決め突部は、その一部に開口部が形成されていることを特徴とするコントロールユニットの取付構造。
【請求項2】
前記位置決め突部の形状は、U字形状としたことを特徴とする請求項1に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項3】
前記位置決め突部の形状は、C字形状としたことを特徴とする請求項1に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項4】
前記位置決め突部の開口部の幅は、前記磁石の外径より広くしたことを特徴とする請求項1乃至3に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項5】
前記位置決め突部の高さは、前記磁石の厚みより小さくしたことを特徴とする請求項1乃至4に記載のコントロールユニットの取付構造。
【請求項6】
2つの磁石を用いてコントロールユニットとブラケットとを取り付けるために、コントロールユニットの背面には2つの磁石を配設可能とするともに、ブラケットには2つの位置決め突部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4に記載のコントロールユニットの取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−232289(P2010−232289A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76143(P2009−76143)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
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