説明

コンバインにおけるロータリスクリーン用の吸引ファン構造

【課題】吸引ファンの位置をエンジンルームの後方に配設することで、キャビンの乗降ステップの空間部にメンテナンスを行いやすい部品を収納可能としたコンバインを提供すること。
【解決手段】
キャビン9の後方にエンジンルームRを配設し、更にその後方にグレンタンク12を配設したクローラ走行式のコンバインにおいて、エンジンルームRの側面に設けたロータリスクリーン34用の吸引ファン40をグレンタンクとエンジンとの間に配設している。このように、ロータリスクリーン34用の吸引ファン40をグレンタンク12とエンジンEの間に配設したので、キャビン9のステップの下方に空間が現出し、この空間にバッテリBTや冷却水サブタンクT等のように日常のメンテナンスが必要な部材を配設することができ、しかも、この空間は外部から近くメンテナンスがし易い空間であるため、バッテリBT等の日常のメンテナンスが容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインにおけるロータリスクリーン用の吸引ファンの配置とそれに関連する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインにおいては、エンジンルーム内に、エンジンとその右側方にラジエータとを配設し、エンジンとラジエータとの間に冷却ファンとを介在配設し、ラジエータの右側方には外気導入カバーが配設されている。
【0003】
外気導入カバーは、エンジンルームの側方に開閉自在に設けられている。従って、エンジンやラジエータに外気を吸引接触させて冷却するために冷却ファンを作動させると、エンジンルーム外の外気は、外気導入カバーの外気導入口よりロータリスクリーンを介して吸引され、エンジン等と接触して冷却機能を果たす。この際、外気導入口のロータリスクリーンは、外気の塵が冷却用空気と共にエンジンルーム内に導入されるのを防止する防塵手段として機能する。
【0004】
しかも、ロータリスクリーンの外側表面には、筒状の吸気ダクトが配置支持されており、該吸気ダクトは、ロータリスクリーンの外側表面に付着した外気の塵埃を吸引除去してエンジンルームの外に排出する機能を有しており、そのために吸気ダクトは吸引管を介して吸引ファンに連通し吸引ファンのエンジンによる回転駆動により塵埃を吸込んで排出口からエンジンルーム外下方に排出するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−74171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1では、吸引ファンの駆動がエンジンからの伝動ベルトを介して行われるものであるため、位置的にどうしてもエンジンルームの前部、すなわち、キャビンの後部下方位置に制約されるものであった。従って、吸気ダクトに連通した吸引ファンはエンジンルームの前部、すなわち、キャビンの後部下方位置に配設されているため、キャビンの乗降ステップ下方に位置し、同ステップ下方空間の有効に利用できないと共に、クローラの前端回動部上にも位置するためにクローラ前端回動部に堆積する泥等がクローラの回動に伴って吸引ファンに飛散して吸引ファンを損傷する欠点があった。
【0007】
更には、吸引ファンからの排塵は、吸引ファンの配設位置の関係からステップ前方斜め下、すなわち、刈取部手前に向けて排出されることになるため、刈取穀稈に直接に排塵が吹き付けられて穀稈に付着したり、刈取穀稈の束に混入したりするおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するために、請求項1に記載のコンバインにおけるロータリスクリーン用の吸引ファンは、キャビンの後方にエンジンルームを配設し、更にその後方にグレンタンクを配設したクローラ走行式のコンバインにおいて、エンジンルームの側面に設けたロータリスクリーン用の吸引ファンをグレンタンクとエンジンとの間に配設したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、吸引ファンの駆動は、グレンタンクの入力軸に至る連動機構により導くことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、吸引ファンからの排出口は、左右のクローラの間に向けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ロータリスクリーン用の吸引ファンをグレンタンクとエンジンの間に配設したので、キャビンの後方に位置するエンジンルーム前部、すなわち、キャビンのステップの下方に空間が現出するので、この空間にバッテリや冷却水サブタンク等のように日常のメンテナンスが必要な部材を配設することができ、しかも、この空間は外部から近くメンテナンスがし易い空間であるため、バッテリ等の日常のメンテナンスが容易となる効果を有する。
【0012】
更には、グレンタンクとエンジンとの間、すなわち、エンジンルームのグレンタンク側に吸引ファンを配置するために、吸引ファンの駆動系をエンジン以外のグレンタンク関連の駆動系から取ることができるようになり、エンジンルーム内における連動機構を単純に構成することができる効果がある。また、吸引ファンがグレンタンクとエンジンとの間に配設され、クローラの前端回動部から離隔した位置にあるため、クローラ前端回動部からの泥等の飛散を直接に受けることなく、吸引ファンの保護に貢献することができる効果がある。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、吸引ファンの駆動をグレンタンクの入力軸に至る連動機構から導くために従来のエンジンから駆動する連動構造に比べ、クランク軸方向の寸法を短くして、エンジン関連機構の左右寸法をコンパクトに形成することができると共に、吸引ファンの駆動系、例えば、連動ベルトのメンテナンスもグレンタンクの前方空間から容易に行える効果がある。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、吸引ファンからの排出口は左右のクローラの間に向けたため、吸引ファンから吹き出した塵埃は左右のクローラ間から圃場面に落下することになり、機体の所定場所に落下して清掃する等の煩雑な作業を必要としない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施形態におけるコンバインの全体構成を示した側面図である。
【図2】この発明の実施形態におけるコンバインのエンジンルームの構成を示した正面図である。
【図3】この発明の実施形態におけるコンバインのエンジンルームの構成を示した側面図である。
【図4】この発明の実施形態におけるコンバインのエンジンルームの構成を示した平面図である。
【図5】この発明の実施形態におけるコンバインの吸引ファン及びその周辺の構成を示した斜視図である。
【図6】この発明の実施形態におけるコンバインの吸引ファンの駆動及びグレンタンクの駆動の連動機構の構成を示した動力伝達図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本実施形態におけるコンバインを、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1に示すAは、本発明に係るコンバインであり、同コンバインAは、左右一対のクローラ式の走行部1、1上に機体フレーム2を載設し、同機体フレーム2の前端部に刈取部3を取り付け、機体フレーム2上の左側前部に脱穀部4を配設し、同脱穀部4の直下方位置に選別部5を配設する一方、同選別部5の後方上部であって、脱穀部4の直後方位置に排藁処理部6を配設している。11は、刈刃装置である。
【0018】
そして、コンバインAは、図1に示すように、機体フレーム2上の右側前部にエンジンEを配設し、同エンジンEの直上方位置にキャビン9を配設し、同キャビン9の直後方位置にグレンタンク12を配設している。
【0019】
次に、コンバインAの各部の構造について図1および図2を参照して説明する。
【0020】
走行部1は、図1に示すように、機体フレーム2の下部に走行フレーム13を取付け、同走行フレーム13の前端部に駆動輪14を連動連結する一方、走行フレーム13の後端部に遊動輪15を回転自在に軸支し、これら駆動輪14と遊動輪15との間に履帯16を巻回している。図中、17は転動輪である。
【0021】
刈取部3は、圃場に植生している穀稈を刈り取り、この刈り取った穀稈を刈取部に設けた穀稈搬送機構により後上方へ搬送してフィードチェン(図示省略)に受け渡している。
【0022】
脱穀部4は、扱室19内に扱胴(図示省略)を配設すると共に、同扱胴の直下方位置にクリンプ網(図示省略)を張設している。
【0023】
選別部5は、上記脱穀部4に設けた扱胴20の下方位置に選別体22を前後揺動自在に配置して、上記扱胴20により脱穀されて供給される脱穀物を選別体22により受けて、回収用の一番物と再選別用の二番物とに選別するようにしている。
【0024】
排藁処理部6は、図1および図2に示すように、穀稈移送部(図示省略)により後方へ搬送されてくる穀稈を排藁として受けて漸次中央寄りに移送する排藁移送体(図示省略)と、同排藁移送体により移送されてくる排藁を細断する排藁カッター(図示省略)とを具備している。
【0025】
穀粒貯留部7は、後述するキャビン9の後方にグレンタンク12を配置している。このグレンタンク12は、選別部5において選別された一番穀粒を貯留しておき、この貯留した一番穀粒を後述する穀粒搬出部8により適宜搬出することができるようにしている。
【0026】
穀粒搬出部8は、グレンタンク12内の下部まで伸延させた横搬出用スクリューコンベア23を前後方向に軸線を向けて横架し、同横搬出用スクリューコンベア23の後端部に下端部を連通連結した縦搬出用スクリューコンベア24を上下方向に軸線を向けて配置し、同縦搬出用スクリューコンベア24の上端部に後端部を連通連結した穀粒搬出用オーガ25を前方へ向けて伸延させ、かつ、後端部を中心に旋回及び上下回動自在となしている。
【0027】
キャビン9は、機体フレーム2の前方に配置されたキャビン支持機枠(図示省略)上に配置されており、中空箱形状に形成されている。また、キャビン9は、その内部に操作部(図示省略)および運転席28が設置されている。運転席28は、キャビン9内の平面視中央後部に配設されており、運転席28の前方位置にフロントコラム(図示省略)が配設されており、フロントコラムの上端部にステアリングホイール(図示省略)と変速レバー(図示省略)等が設けられている。さらに、キャビン9の右側部には運転者が乗降する乗降扉29が配設されおり、その乗降扉29の下方には、運転者がキャビン9に乗降する乗降ステップ30が配設されている。
【0028】
乗降ステップ30は、キャビン9と機体フレーム2との間に設けられたものであり、運転者が地上から足を踏み入れる板状の第1ステップ31と、さらに第1ステップ31から運転席28内に入り込むために踏み入れる板状の第2ステップ32とを有している。第1ステップ31は機体フレーム2右前部の側方に突出して配設され、また、第2ステップ32は、第1ステップ31から所定間隙を有して上方に設けられ、機体フレーム2上から上方に突出した突出片33に取り付けられている。そして、キャビン9の下方であって、乗降ステップ30の後方には、ロータリスクリーン34を含めた外気導入カバー35が配設されている。
【0029】
エンジンEは、図1および図2に示すように、前記運転席28の下方に形成したエンジンルームR内に配置し、同エンジンEの吸気口部(図示省略)から上方へ吸気経路41を伸延させて、同吸気経路41の始端部であるプレクリーナ42から外気を取り込んで、エンジンE内にて燃焼に使用する一方、同エンジンEの排気口部(図示省略)から後上方へ排気流路43(テールパイプ)を伸延させて、同排気流路43の終端部から排気ガスを排出するようにしている。
【0030】
また、エンジンEは、同エンジンEを刈刃装置10やミッション部(図示省略)等の各動力機構部に伝動機構(図示省略)を介して連動連結している。そして、エンジンEを駆動させることによって、各動力機構部が連動して作動するようにしている。
【0031】
エンジンルームR内には、エンジンEを配設し、エンジンEの右側方にはラジエータ36が配設されており、更にエンジンEの右側前部にはバッテリBT及び水冷用サブタンクTがそれぞれ配設されており、更に、エンジンEとラジエータ36との間には冷却ファン50が介在して配設されている。しかも、冷却ファン50は、エンジンEからの出力軸に連設されて、ラジエータ36の冷却を行う。
【0032】
また、エンジンEの右外側、すなわち、エンジンルームR内に配設したラジエータ36の外側方には、ラジエータ36と対面する状態で外気導入カバー35が配設されている。外気導入カバー35は、機体右側方へ開閉自在となるように機体後方側に設けた枢軸を介して機体に枢着され、その略中央に円形の外気導入口Gを形成して構成されており、エンジンEの駆動により冷却ファン50を回転させると、その吸引力によって外気の冷却用空気を、ラジエータ36を介してエンジンルームR内に取り入れ、ラジエータ36と共にエンジンEの冷却を行う。
【0033】
外気導入口Gには、円形の網体よりなるロータリスクリーン34を回転自在に配設して、外気導入口Gをロータリスクリーン34で閉塞し、外気から外気導入口Gを通して吸引される冷却空気に含有される塵をロータリスクリーン34で進入阻止して、エンジンルームR内に塵が侵入することを防止するように構成している。
【0034】
ロータリスクリーン34は、図6に示すように、外気導入カバー35に中央支軸75を介して回転自在に枢支させ、ロータリスクリーン34の折曲周縁部76を外周側に設けた外周側ローラ77と、内周側に設けた内周側ローラ78とで挟み込み、外周側ローラ77の駆動軸にスクリーン回転モータ79の駆動軸を連結し、スクリーン回転モータ79によって外周側ローラ77及び内周側ローラ78を回転させてロータリスクリーン34の回転を行うように構成している。
【0035】
外気導入口Gを閉塞したロータリスクリーン34の外表面には当接面を開放した筒状の吸気ダクト37を近接状態に配設しており、吸気ダクト37の基端部、すなわち、ロータリスクリーン34の周縁に位置する部分には塵吸気ダクト38が連設されており、塵吸気ダクト38はエンジンルームR内方に伸進し、エンジンルームR内後部に配設した吸引ファンケース39の吸引口44に連通している。
【0036】
50は、機体フレーム2上に取り付けられた固定ブラケットを介して、吸引ファンケース39中に収納した吸引ファンである。吸引ファンケース39は、上部に塵等を吸引する吸引口44が開口され、下部に吸引した塵埃を機外に排出する排塵口45が開口されている。そして、吸引ファンケース39内には複数の羽根体で構成されたファン本体46が吸引ファン軸47を軸として回転自在に配設されている。また、吸引ファン軸47は、吸引ファンケース39の背面部に突出させ、その先端にファン駆動プーリ48を配設して、後述するグレンタンク12の連動機構60から駆動用の動力を入力するようにしている。
【0037】
更には、吸引ファンケース39の排塵口45には塵排出ダクト49の始端開口部が連通されており、該塵排出ダクト49は走行部1の左右クローラ51L,51R間の空間部KでエンジンルームR下方空間部に終端開口部が面するようにしている。従って、吸気ダクト37によりロータリスクリーン34の外表面から吸入した塵は最終的に塵排出ダクト49を通して左右クローラ51L,51R間の空間部Kに排出されるように構成されている。
【0038】
吸引ファン40は、前述のようにエンジンルームR内後部に配設されており、具体的には、エンジンEとグレンタンク12との間に配設されている。すなわち、エンジンルームRの後方にはグレンタンク12が配設されており、その間の空間位置、特にグレンタンク12の下部でエンジンEと相対する空間位置に吸引ファンケース39を介設して吸引ファン40を配設している。
【0039】
このように構成することにより、吸引ファン40は可及的にグレンタンク12前側壁下部に近接して配設されたことになり、従って、吸引ファン40と後述するグレンタンク12のグレンタンク入力軸68に至る連動機構60との連設が容易に行うことができることになる。また、吸引ファン40の駆動系、例えば、連動ベルトのメンテナンスも、グレンタンク12を機体の右側方に回動させるなどして、グレンタンク12の前方空間から容易に行える。
【0040】
グレンタンク12内部には、貯溜穀粒を後方向へ搬送するための横搬出用スクリューコンベア23が底部近くに前後方向に横架されており、横搬出用スクリューコンベア23の終端には縦搬出用スクリューコンベア24を上下方向に配設しており、縦搬出用スクリューコンベア24の上端部にはグレンタンク12天井板上方において穀粒搬出用オーガ25を左右旋回及び上下回動自在に連通連設している。
【0041】
上記のように構成されたグレンタンク12において、横搬出用スクリューコンベア23はグレンタンク12内底部の前後に軸架されており、その前端軸端はエンジンEの出力軸61と連動機構60を介して連動連結している。
【0042】
連動機構60は、図6に示すように、エンジンEの出力軸61と該出力軸61に平行に配設した受動ベベルギヤ軸62との間に懸架したエンジンベルト63と、ベベルギヤ64を介して受動ベベルギヤ軸62と平行に連動連結した駆動ベベルギヤ軸65と、駆動ベベルギヤ軸65と平行に配設した吸引ファン軸47と、駆動ベベルギヤ軸65と吸引ファン軸47とをプーリ66a,66bを介して連動連結した連動ベルト67と、駆動ベベルギヤ軸65と平行に配設し、それぞれに設けたプーリ69a,69b間のベルト70を介して連動連結したグレンタンク入力軸68と、により構成されている。なお、72はロータリスクリーン34を回転させる駆動用モータである。図中73は、オーガクラッチ73である。
【0043】
従って、エンジンEの動力が以下のようにして連動機構60の各機構に伝達される。すなわち、エンジンEからの動力は、エンジンEの出力軸61→受動ベベルギヤ軸62→駆動ベベルギヤ軸65→グレンタンク入力軸68に動力を伝達してグレンタンク12を駆動するようにしている。また、エンジンEからの動力は、エンジンEの出力軸61→受動ベベルギヤ軸62→駆動ベベルギヤ軸65→吸引ファン軸47に動力を伝達して吸引ファン40を駆動するようにしている。
【0044】
このように、構成された連動機構60において、吸引ファン軸47には吸引ファン40が設けられて、吸気ダクト37からの切れ穀稈等の塵を吸引して排出する。また、エンジンEから出力軸61、受動・駆動ベベルギヤ軸62,65を介して連動連結したグレンタンク入力軸68は、グレンタンク12内底部に軸架した横搬出用スクリューコンベア23の始端に連動連結している。
【0045】
また、グレンタンク12の前壁には、グレンタンク駆動ケース71が連設されており、該グレンタンク駆動ケース71は連動機構60中の駆動ベベルギヤ軸65及びグレンタンク入力軸68、並びに各軸間に架設したベルト等を外部より囲繞して収納しており、従って、吸引ファン40の連動は該ケースより突出した駆動ベベルギヤ軸65より連動ベルトを介して吸引ファン軸47に動力を伝達することにより行われる。
【0046】
このように、吸引ファン40の駆動を、グレンタンク12関連の駆動系から取ることができるようになり、従来、エンジンルームRの右側前部に設けていた連動機構60が無くなり、その無くなったエンジンルームR右側前部に空間が現出され、その空間部に日常メンテナンスする部品等を配置するスペースが増大する。また、吸引ファン40の駆動を、現存するグレンタンク12関連の駆動系から連動機構60を介して単純に構成することができる。
【0047】
そして、本実施形態におけるコンバインは、以下のようにして、ロータリスクリーン34の外表面に付着した切れ穀稈等の塵を、吸引ファン40で吸引して左右クローラ51L,51R間の空間部Kに排出することができる。すなわち、エンジンEの駆動により冷却ファン50を回転させると、その吸引力によって外気の冷却用空気が取り込まれ、その取り込んだ冷却用空気は、ラジエータ36を介してエンジンルームR内に取り入れ、エンジンEそのものの冷却を行うようにしている。
【0048】
このとき、ロータリスクリーン34を回転させながら、吸引ファン40を駆動させると、ロータリスクリーン34の外表面に付着した穀稈等の塵は、吸引ファン40の吸引力により吸引ダクトを通して吸引され、さらに、吸引ファン40から塵排出ダクト49を通して最終的に左右クローラ51L,51R間の空間部Kに排出される。
【0049】
このように、吸引ファン40からの排出口は左右一対のクローラ51L,51Rの間に向けたため、吸引ファン40から吹き出した塵埃は左右のクローラ51L,51R間から圃場面に落下することになり、機体の所定場所に落下して清掃する等の煩雑な作業を必要としない。
【0050】
また、本実施形態にコンバインでは、吸引ファン40をグレンタンク12とエンジンEとの間に配設したので、キャビン9の後方に位置するエンジンルームR前部、すなわち、キャビン9の乗降ステップ30の下方に空間が現出することになる。この現出した空間にエンジン駆動用のバッテリBTやラジエータ36用の水冷用サブタンクTなどを配設可能としている。
【0051】
例えば、ラジエータ36用の水冷用サブタンクTをラジエータ36横に配置したり、バッテリBTを乗降ステップ30の第1ステップ31に近接した機体フレーム2上に配置したりすることができる。そして、ロータリスクリーン34が配設された外気導入カバー35を右側方に回動させることにより、キャビン9下方の空間内のメンテナンスを行うことができ、ラジエータ36の水冷用サブタンクT内の水の充填や、長時間使用した古いバッテリBTから新しいバッテリBTへの交換等が容易になる。
【0052】
また、従来では、吸引ファン40はクローラ51L,51Rの前端回動部上方に設けていたため、吸引ファン40がクローラ51L,51R前端回動部からの泥等の飛散を直接受けて吸引ファン40が損傷することがあったが、本実施形態におけるコンバインでは吸引ファン40をグレンタンク12とエンジンEとの間に配設したので、クローラ51L,51Rの前端回動部から離隔した位置にあるため、クローラ51L,51R前端回動部からの泥等の飛散を直接に受けることなく、吸引ファン40の保護に貢献することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、穀稈切れ等の塵を吸引ファン40から塵排出ダクト49を通して左右クローラ51L,51R間の空間部Kに排出するようにしているが、塵排出ダクト49を選別部5の揺動機構にまで延長させて連設させ、上記塵などを選別部5に排出して、唐箕の選別風により排藁処理部にまで送風して処理することもできる。このようにして、吸引ファン40で取り込んだ上記塵等を、排藁処理部において通常選別された藁くずと共に処理することができる。
【符号の説明】
【0054】
A コンバイン
R エンジンルーム
10 キャビン
12 グレンタンク
34 ロータリスクリーン
40 吸引ファン
51L、51R クローラ
60 連動機構
68 入力軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビンの後方にエンジンルームを配設し、更にその後方にグレンタンクを配設したクローラ走行式のコンバインにおいて、
エンジンルームの側面に設けたロータリスクリーン用の吸引ファンをグレンタンクとエンジンとの間に配設したことを特徴とするコンバインにおけるロータリスクリーン用の吸引ファン。
【請求項2】
吸引ファンの駆動は、グレンタンクの入力軸に至る連動機構から導くことを特徴とする請求項1に記載のコンバインにおけるロータリスクリーン用の吸引ファン。
【請求項3】
吸引ファンからの排出口は、左右のクローラの間に向けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインにおけるロータリスクリーン用の吸引ファン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−78384(P2011−78384A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235450(P2009−235450)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】