説明

コンバインのナローガイド

【課題】ナローガイドをコンパクトに格納可能とする。
【解決手段】立毛穀稈を刈り取りながら脱穀部(3)まで搬送して供給する刈取部(4)を備えたコンバインにおいて、刈取部(4)の未刈地側の横側部には、この未刈地側の横側部を覆うサイドカバー(25)よりも外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド16は、横方向に屈伸可能な第1リンク(17a)と第2リンク(17b)からなる屈伸リンク(17)を介して張出し・収納自在な構成とすると共に、第2リンク(17b)を第1リンク(17a)よりも低い位置に設定してサイドカバー(25)の下側から出入りする構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、未刈地側の穀稈を外側方に分草案内するコンバインのナローガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、刈取部の未刈地側横側部に、外側方へ張り出す分草作用姿勢と機体側へ収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイドを設け、運転操作部の近くに設けられた操作レバーの操作により、ナローガイドを分草作用姿勢と収納姿勢とに切替遠隔操作できるように構成し、そして、ナローガイドは、横幅方向に屈伸可能な第1リンクと第2リンクとからなる屈伸リンクを介して張出し・収納自在とした構成のものが開示されている。
【特許文献1】特開2006−42650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
屈伸リンクを介してナローガイドを張出し・収納自在とするものでは、機体側の第1リンクは、ナローガイドの収納時では刈取部の横側部を覆うサイドカバー内に収めることができるが、ナローガイド側の第2リンクは、サイドカバーと干渉し、サイドカバーの外側にはみ出した状態となり、ナローガイドをサイドカバーの外側面に接近させた状態での収納が困難となる問題があった。
【0004】
本発明の課題は、ナローガイドの収納時には、第2リンクにおいてもサイドカバーと干渉することなくサイドカバー内に収まるようにして、上記問題点を解消せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、立毛穀稈を刈り取りながら脱穀部(3)まで搬送して供給する刈取部(4)を備えたコンバインにおいて、刈取部(4)の未刈地側の横側部には、この未刈地側の横側部を覆うサイドカバー(25)よりも外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド16は、横方向に屈伸可能な第1リンク(17a)と第2リンク(17b)からなる屈伸リンク(17)を介して張出し・収納自在な構成とすると共に、前記第2リンク(17b)を第1リンク(17a)よりも低い位置に設定してサイドカバー(25)の下側から出入りする構成としたことを特徴とするコンバインのナローガイドとする。
【0006】
ナローガイド(16)は、操作レバー(18)の切替操作によって、サイドカバー(25)よりも外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側におけるサイドカバー(25)側に収納する収納姿勢とに切り替えることができる。
【0007】
ナローガイド(16)の張り出し時には、第2リンク(17b)はサイドカバー(25)の下側から外側方にはみ出し、ナローガイド(16)の収納時には、第2リンク(17b)はサイドカバー(25)の下側から内側方に入り込むことになり、ナローガイド(16)をサイドカバー(25)の外側面にできるだけ接近させた状態に収納させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ナローガイド(16)側の第2リンク(17b)は、機体側の第1リンク(17a)よりも低い位置に設定しているので、サイドカバー(25)の下側から内外に出入りさせることができ、ナローガイド(16)収納時には、第2リンク(17b)がサイドカバー(25)と干渉することなくサイドカバー(25)内に入り込むので、ナローガイド(16)をできるだけサイドカバー(25)の外面に接近させてコンパクトに収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの正面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀部(脱穀装置)3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や前側の操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。前記フロント操作ボックス6の右側には、左右方向の操作で機体の進行方向を操向制御し、前後方向の操作で刈取部4を昇降制御するパワステレバー40が設置されている。また、運転席5左側のサイド操作ボックス7上には、刈取部4及び脱穀部3への回転動力を断続操作する刈脱クラッチレバー41、走行速を変速制御する変速レバー(HSTレバー)42等が配置されている。
【0010】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体8…と、分草後の穀稈を引き起す穀稈引起し装置9と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置10と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置11と、掻込搬送後の穀稈を揚上搬送して脱穀装置3のフィードチエン3aに受け継がせる穀稈搬送装置12等からなり、車体に対し上下動可能な刈取縦フレーム13を介して昇降する構成としている。
【0011】
各分草体8…は、刈取装置10側から前方に突設する分草支持フレーム15の先端に取り付けられている。
刈取部4の未刈地側横側部には、外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド16が設けられている。このナローガイド16は、前端部が未刈地側(左側)の分草体8の背部位置で分草支持フレーム15の前端部に回動自在に枢支され、後端が走行フレーム側に前後方向スライド可能に支持されており、そして、第1リンク17aと第2リンク17bからなる横幅方向に屈伸(伸縮)可能な屈伸リンク17を介して張出し・収納自在に連係され、運転席横側部のサイド操作ボックス7近くに設けられた操作レバー18によって遠隔操作できるように連動構成されている。左側(未刈地側)の分草支持フレーム15の基端側で引起し縦伝動パイプ26の下端側近くにブラケット19が取り付けられ、ブラケット19には上下方向に立設する回動軸20が軸支され、また、この回動軸20には天秤アーム21と前記屈伸リンク17の第1リンク17aが一体に回動するよう固定されている。
【0012】
そして、前記第2リンク17bは第1リンク17aに対する対地高さよりも低くなるように段差Hを設けて、刈取部の横外側部を覆うサイドカバー25の下側から内外へ容易に出入りできるように構成されている。なお、第2リンク17bは途中部から下方に折り曲げてナローガイド16に対する連結部17cがサイドカバー25の下縁より下方に位置するものであれば足りる。天秤アーム21の両端には2本の操作ワイヤ22a,22bの一端側が連結され、該操作ワイヤ22a,22bの他端側は前記操作レバー18の操作で揺動する揺動アーム23に連動連結されている。
【0013】
2本の操作ワイヤ22a,22bは、引起し縦伝動パイプ26、各引起し装置上部に横架する引起し横伝動ケース27、該引起し横伝動ケース27の中間部から後方に延出して刈取縦フレーム13の基部側に連結保持する引起し支持フレーム28、刈取穀稈搬送部12の搬送経路の上方を覆う前防塵カバー30の裏側に沿わせて配策し、穀稈搬送装置12における穀稈搬送経路の上部側に設けられた刈取穀稈の穂部側を搬送経路に沿って案内する穂先案内板14よりも上方に設けられる。引起し横伝動ケース27に沿わせる操作ワイヤ22は引起しアッパーカバー29によって被覆する構成としている。
【0014】
操作レバー18は、運転席5と後防塵カバー31との間に配置され、左右方向の横軸24を回動支点とする前後方向の操作で揺動アーム23を揺動変位させて操作ワイヤ22a,22bを引き戻し操作する構成としている。横軸24は前防塵カバー30を支持するアーチ状のカバー支持フレーム32に支持ステー33を介して軸受保持させた構成としている。
【0015】
なお、前記後防塵カバー31は前防塵カバー30の上側に重合し、前後方向に開閉スライド自在に構成されている。
しかして、操作レバー18を後方に回動操作すると、天秤アーム21の一端側に接続されたワイヤ22aが操作レバー18側に引っ張られると同時に、天秤アーム21の他端側に接続されたワイヤ22bが反操作レバー側に引き戻される。これにより、天秤アーム21が時計方向に揺動し、回動軸20と一体の第1リンク17aが外方に向けて回動する。かかる回動により、屈折状態の屈伸リンク17が直線状に伸び切ってナローガイド16を外方に押し出し、ナローガイドが外方に張り出して分草作用姿勢に切り替えられる。また、操作レバー18を前方に回動操作すると、ワイヤ22bが操作レバー18側に引っ張られると同時に、ワイヤ22aが反操作レバー側に引き戻されることにより、天秤アーム21が反時計方向に揺動し、回動軸20が同方向に回動して、これと一体の第1リンク17aが内方に向けて回動する。これにより、直線状態にあるリンク17a,17bが縮む方向に折れ曲がりナローガイド16を内方に引き込み、ナローガイドが内方へ引退して収納姿勢に切り替えられる。なお、この時の第2リンク17bは、サイドカバー25の下側を内外に潜り抜けることになり、収納時のナローガイドはサイドカバーの外面に接近して収納される。
【0016】
刈取部の横外側部を覆うサイドカバー25は、サイドカバー支持部材43によって支持され、ブラケット19、回動軸20、天秤アーム21、ワイヤ保持具34等からなるナローガイドの作動機構部Aを支持する作動機構支持部材44は、前記サイドカバー支持部材43に対してボルト・ナット45などで着脱自在に連結保持させている。天秤アーム21の両端にはワイヤ22a,22bを取り付けるワイヤ取付ピン21a,21bを突設している。ワイヤ保持具34にはワイヤ保持溝34a,34bが設けられワイヤ22a,22bを係合保持させている。ワイヤ22a,22bは引起し伝動パイプ26近くから上方に向けて配策し上下方向のパイプ26に沿わせるように構成している。ナローガイドの作動機構部Aは、左側の引起し伝動パイプ26とサイドカバー25との間に配置して、穀稈の搬送作用に支障をきたさないようにし、しかも,側面視でサイドカバー25内に配置することによって安全性の向上並びにわら屑の溜まりを防止するようにしている。
【0017】
また、図7に示す実施例では、ナローガイドの操作レバー18は、運転席横側部のサイド操作ボックス7近くに配置すると共に、前記刈脱クラッチレバー41の近くでこれより外側(刈取部側)に並設した構成としている。これにより、刈脱クラッチレバー41との操作連動性が向上することになり、また、この操作レバー18をサイド操作ボックス7の左端と後防塵カバー31の右側面との間に配置することによって取扱性の向上が図れる。
【0018】
また、図7に示すように、操作レバー18の位置とは防塵カバー31を挟む左側位置に補助操作レバー35を設けることによって運転席5以外の場所からもナローガイドの張出し収納操作が容易にできる。メイン操作レバー18と補助操作レバー35とは、図8に示すように、連動軸36を介して一体回動する構成であり、いづれのレバ−を操作してもナローガイドは同方向に作動するようになっている。
【0019】
上記とは別の構成例として、補助操作レバー35を引起し横伝動ケース27の中間部位に配置(図示省略)し、運転席近くのメイン操作レバー18に連動連結して連動操作可能に構成することもできる。また、メイン操作レバー18を引起し横伝動ケース27の中間部位に配置し、補助操作レバー35は引起し横伝動ケース27の左端側に配置して両者を互いに連動構成するものであっても良い。
【0020】
なお、図3に示すように、エンジンから入力される刈取入力軸を内装軸架した入力伝動ケース46を車体側から立設する懸架台上に架設し、入力伝動ケースの中間部位から前方下方に延びる刈取縦フレーム13の前端部から左右横方向に延びる刈取伝動ケース47には、刈取部4の刈取装置10や掻込搬送装置11等を架設して伝動可能に設け、この刈取部全体が前記入力伝動ケース46の軸芯を回動支点として上下に昇降する構成としている。また、刈取伝動ケース47の左端側から引起し伝動パイプ26内の引起し伝動軸を駆動する構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コンバインの正面図
【図2】同上要部の平面図
【図3】刈取部の要部の側面図
【図4】同上要部の背断面図
【図5】ナローガイドの作動状態を示す平面図
【図6】同上要部の正面図
【図7】コンバイン要部の平面図
【図8】メイン操作レバーと補助操作レバーとの連動構成を示す斜視図
【符号の説明】
【0022】
3 脱穀部
4 刈取部
16 ナローガイド
18 操作レバー
17 屈伸リンク
17a 第1リンク
17b 第2リンク
25 サイドカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立毛穀稈を刈り取りながら脱穀部(3)まで搬送して供給する刈取部(4)を備えたコンバインにおいて、刈取部(4)の未刈地側の横側部には、この未刈地側の横側部を覆うサイドカバー(25)よりも外側方に張り出す分草作用姿勢と機体側に収納する収納姿勢とに切替可能なナローガイド(16)を設け、該ナローガイド16は、横方向に屈伸可能な第1リンク(17a)と第2リンク(17b)からなる屈伸リンク(17)を介して張出し・収納自在な構成とすると共に、前記第2リンク(17b)を第1リンク(17a)よりも低い位置に設定してサイドカバー(25)の下側から出入りする構成としたことを特徴とするコンバインのナローガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−4844(P2010−4844A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170878(P2008−170878)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】