コンバインの刈取搬送部
【課題】コンバインの穀稈引起し装置のメンテナンスを行い易くする。
【解決手段】複数立設する穀稈引起し装置(7)の上端部を横長の引起し上部カバー(47)で覆い、該穀稈引起し装置(7)の引起し前ケース(7a)を前方へ取り外し可能にすると共に、引起し上部カバー(47)の後部を取付ピン(46a)で上下回動可能に枢支し、該引起し上部カバー(47)を下方回動させた状態では該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さり、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて位置保持した状態では該引起し上部カバー(47)の下端部と引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間が形成される構成とした。
【解決手段】複数立設する穀稈引起し装置(7)の上端部を横長の引起し上部カバー(47)で覆い、該穀稈引起し装置(7)の引起し前ケース(7a)を前方へ取り外し可能にすると共に、引起し上部カバー(47)の後部を取付ピン(46a)で上下回動可能に枢支し、該引起し上部カバー(47)を下方回動させた状態では該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さり、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて位置保持した状態では該引起し上部カバー(47)の下端部と引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間が形成される構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取搬送部に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの機体前部には穀稈を引き起して刈り取る刈取搬送部が設けられている。この刈取搬送部は特許文献1に示すように、倒れた植立穀稈を引き起す複数の穀稈引起し装置と引起した穀稈の株元を刈り取る刈刃装置と刈り取った穀稈を脱穀装置へ搬送する搬送装置で構成されている。
【0003】
起立した複数の穀稈引起し装置の上部は穀稈の穂先が通過するので、穀稈引起し装置の支持部材に穂先側が引っ掛かって脱粒しないように表面の滑らかな引起し上部カバーで支持部材を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−5629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収穫機の穀稈引起し装置は、倒れて絡み合った穀稈を強制的に引き起す作用をするために、穀稈の一部が絡みつき易いために、時々機体から取り外して分解清掃をする必要がある。本発明は、収穫機の穀稈引起し装置のメンテナンス作業を行い易くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、複数立設する穀稈引起し装置(7)の上端部を横長の引起し上部カバー(47)で覆い、該穀稈引起し装置(7)の引起し前ケース(7a)を前方へ取り外し可能にすると共に、引起し上部カバー(47)の後部を取付ピン(46a)で上下回動可能に枢支し、該引起し上部カバー(47)を下方回動させた状態では該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さり、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて位置保持した状態では該引起し上部カバー(47)の下端部と引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間が形成される構成としたことを特徴とするコンバインの刈取搬送部とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記引起し上部カバー(47)の下側に、穀稈引起し装置(7)へ動力を伝える左右方向の横伝動軸(45)を設け、前記引起し上部カバー(47)の後端部を横伝動軸(45)の後側上部に上下回動可能に枢支し、引起し上部カバー(47)の前側内面には横伝動軸(45)の前側に設けた係止杆(46b)に係止するクリップ(47a)を設け、引起し上部カバー(47)を下方へ回動させて該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さった状態では、クリップ(47a)が係止杆(46b)に係合して引起し上部カバー(47)を位置固定し、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて引起し上部カバー(47)の下端部と前記引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間を形成した状態では、前記クリップ(47a)の先端部が係止杆(46b)に当接することで該引起し上部カバー(47)の回動位置を保持する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取搬送部とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記穀稈引起し装置(7)を駆動する第二軸(48a)を該穀稈引起し装置(7)側に軸受けして設け、該第二軸(48a)を刈取搬送部(5)側に位置固定された第一軸(48b)から前方へ引き抜いて、穀稈引起し装置(7)を刈取搬送部(5)から離脱させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインの刈取搬送部とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、穀稈引起し装置(7)のメンテナンスを行う際には、引起し上部カバー(47)を上方へ起立させて、引起し前ケース(7a)を前方に取り外して内部の掃除点検給油を簡単に行える。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果を奏するうえで、引起し上部カバー(47)の前外面の引っ掛かりを無くして穀稈の引起し及び搬送を円滑にし、引起し上部カバー(47)の下端部に手をかけて上方へ引き上げると、引起し上部カバー(47)が上方へ回動して開放し、引起し上部カバー(47)の外周面を押し下げると取付ピン(46a)を中心に下方へ回動して引起し前ケース(7a)の上端を覆う状態に出来る。また、引起し上部カバー(47)を開放した状態では、クリップ(47a)の先端部が係止杆(46b)に当接することで該引起し上部カバー(47)の回動位置を保持できるので、この引起し上部カバー(47)が自重で下方へ回動して他部材と干渉する虞れをなくすことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果を奏するうえに、穀稈引起し装置(7)側に軸受けされた駆動第二軸(48a)を、刈取搬送部(5)側に位置固定された第一軸(48b)から前方へ引き抜くことで、穀稈引起し装置(7)の全体を取り外すことが出来、メンテナンスの能率を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体右側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】コンバインの正面図である。
【図4】一部を省略した刈取搬送部の側面図である。
【図5】穀稈引起し装置の上部拡大右側面図である。
【図6】穀稈引起し装置の一部を断面にした正面図である。
【図7】穀稈引起し装置の側面図である。
【図8】穀稈引起し装置の一部拡大正断面図である。
【図9】刈刃装置の平面図である。
【図10】刈刃装置の側面図である。
【図11】穀稈引起し装置の一部拡大正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
まず、図1乃至図3に基づき本発明を具備するコンバインの全体構成について説明する。図1にはコンバインの全体側面図、図2には全体平面図、図3には正面図が図示されている。
【0014】
コンバイン1の走行車台2の下方には左右走行クローラ3,3を配設し、走行車台2上に脱穀部4を搭載し、走行車台2の前側部には刈取搬送部5を昇降自在に設けている。
この刈取搬送部5は、複数の分草杆6,…、四列の穀稈引起し装置7、刈刃装置8、穀稈搬送装置(図示省略)等により構成している。
【0015】
図4に示す如く、刈取搬送部5の後側部には、伝動装置の内装されている前後方向の後側ケース部31aと、左右方向の前側ケース部31bからなる平面視T字型の刈取伝動ケース31を設けている。この刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部から正面視で門型の搬送伝動ケース32を上方に延出し、この搬送伝動ケース32の上側端部の横駆動ケース42に軸支した横伝動軸45から下方の各引起装置に向けて分岐した引起し駆動軸を内装した引起し駆動パイプ21の下端部のブラケット21aに前記穀稈引起し装置7の上部をボルトとナットで連結して支持している。また、門型の搬送伝動ケース32の上端部から支持パイプ41を後方に延出し後側ケース部31aの上端部と連結している。前記刈取伝動ケース31の後側ケース部31a中途部と走行車台2の前端部とが、単動式の油圧シリンダ(図示省略)を介して連結されて、刈取搬送部5が昇降される。
【0016】
横駆動ケース42に軸支して門型の搬送伝動ケース32の上部を連結する横伝動軸45を覆って引起し上部カバー47を設けている。図5に示す如く、この引起し上部カバー47の後内側は、横伝動軸45を内装する横伝動軸筒46の後上部に設ける取付ピン46aに枢支し、前内側に設けるクリップ47aを横伝動軸筒46の前下方に設ける係止杆46bに挿し込み挟んで係合して固定している。この引起し上部カバー47の下端は、穀稈引起し装置7の引起し前ケース7aの上端に前から重なり、引起し上部カバー47を上方へ回動して開くと、引起し前ケース7aの取り外しを支障なく行える。引起し上部カバー47のクリップ47aは、左右引起し前ケース7aの間に取り付け、その取付位置前面に係止目印50を付け、この係止目印50近くの引起し上部カバー47の下端縁に手をかけて持上げると外れ易い。また、クリップ47aの先端を係止杆46bに載せて引起し上部カバー47を若干開いた状態にして引起し上部カバー47を前方へ取り外すことも可能である。この引起し上部カバー47を若干開いた状態では、防塵カバーのライトやサイドカバーに当たらないようにしている。
【0017】
なお、図示を省略しているが、搬送伝動ケース32内の搬送伝動装置を経由して、穂先搬送装置及び根元搬送装置、並びに、穀稈引起し装置7に動力を伝達している。
次に、穀稈引起し装置7について説明する。
【0018】
穀稈引起し装置7は、図6と図7に示す如く、引起し前ケース7aと引起し後ケース7bを接合固着し、引起しケース7cを構成している。この引起し後ケース7bの上下部には、上部スプロケット13a,上部退避側スプロケット13b及び下部ローラ12を軸架し、これらのスプロケット13a,13bおよび下部ローラ12に、引起しラグ14,…を所定間隔毎に枢支している引起しチェン11を巻回している。
【0019】
引起しケース7cの左右一側の引起し側には、引起しチェン11の内側に沿うように上下方向に長い引起しガイドレール15を設け、引起しケース7cの左右他側の退避側下部には、下部ローラ12の上部近傍に起立ガイド片16を設け、ケース上部には引起しラグ14の退避案内用の退避ガイドレール(退避案内部材)17を設けている。また、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右引起しガイドレール18a,18aを、引起しガイドレール15に対向して設け、下部スプロケット12の下部周面に沿うように、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右下部起立ガイド18b,18bを設けている。
【0020】
前記構成によると、下側に回動した引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが起立ガイド片16に当接して、ケース下部で引起しラグ14,…は起立して突出状態となり、下部スプロケット12の下方を左右下部起立ガイド18b,18bに沿って退避側から引起し側に向けて回動する。次いで、引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15に当接支持され、起立状態を維持しながら上方に移動する。
【0021】
そして、引起しラグ14,…が引起しケース7cの上部に移動し、左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15の上側端部から解放されると、引起しラグ14の先端部が退避ガイドレール17に当接して退避回動しケース内に収納され、ケースの退避側では退避状態のまま下方に移動する。
【0022】
引起し駆動軸48は、図11に示す如く、ブラケット21aの軸受44から前に突出する駆動第一軸(第一軸)48bと引起し後ケース7bに軸受43で軸支した駆動第二軸(第二軸)48aからなり、駆動第一軸48bの軸端四角部を駆動第二軸48aの四角孔部に嵌合させて動力を伝動し、着脱可能である。
【0023】
引起しケース7cは、上部を引起し駆動パイプ21のブラケット21aにボルトとナットで取り付け、下部を分草支持フレーム51から立ち上げた引起し支持台52にボルトとナットで取り付けているので、穀稈引起し装置7を一体的に刈取伝動ケース31から取り外すことも可能である。(図4参照)
次に、図9と図10に基づき刈刃装置8の駆動構成について説明する。
【0024】
刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部に、左右刈刃伝動ケース33,33を設け、左右刈刃伝動ケース33,33内の左右刈刃伝動軸33a,33aから左右伝動ロッド33b,33b、左右揺動アーム33c,33cを駆動するように構成している。
【0025】
また、刈取伝動ケース31の前側ケース部31aの左右両側部から左右刈刃フレーム34,34を前側に延出し、左右刈刃フレーム34,34の先端部に左右方向に沿うように設けている刈刃支持フレーム35を設け、刈刃支持フレーム35に連続した一枚状の下側刈刃8aを固着し、この下側刈刃8aの上側に左右に分割した左右上側刈刃8b,8bを左右摺動自在に装着している。
【0026】
また、左右上側刈刃8b,8bのフレーム部に左右刈刃ヘッド36,36を取り付け、左右刈刃ヘッド36,36の後側部を後上り傾斜に後方に延出している。この後上り傾斜部の傾斜方向とU字状プレート37,37の長手方向とが、傾斜角度αを形成するように、U字状プレート37,37の前側U字型閉鎖部が下り緩傾斜に左右刈刃ヘッド36,36に取り付け、U字状プレート37,37を低く構成している。また、前記左右揺動アーム33c,33cの下部に装着したベアリング38,38を、U字状プレート37,37に嵌合装着するにあたり、ベアリング38,38の軸心線に対して、U字状プレート37,37の長手方向直線を直交状態でなく、前下がり傾斜状態で嵌合装着し、ベアリング38,38とU字状プレート37,37との間に、下側ほど狭まった空間部を形成するように構成している。
【0027】
以上の構成により、コンバイン1の回転各部を駆動し走行し刈取作業を開始すると、走行クローラ3,3が回転して走行車台2は走行を開始し、圃場の穀稈は刈取搬送部5の前側部の分草杆6,…により穀稈条列毎に分草されながら穀稈引起し装置7,…に案内され、引起しラグ14,…により引き起される。そして、引起しされた穀稈は刈刃装置8で刈り取られ、穀稈搬送装置(図示省略)により後方に搬送され、脱穀部4のフィードチェンに引き継がれて脱穀される。
【符号の説明】
【0028】
5 刈取搬送部
7 穀稈引起し装置
7a 引起し前ケース
45 横伝動軸
46a 取付ピン
46b 係止杆
47 引起し上部カバー
47a クリップ
48a 駆動第二軸(第二軸)
48b 駆動第一軸(第一軸)
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取搬送部に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの機体前部には穀稈を引き起して刈り取る刈取搬送部が設けられている。この刈取搬送部は特許文献1に示すように、倒れた植立穀稈を引き起す複数の穀稈引起し装置と引起した穀稈の株元を刈り取る刈刃装置と刈り取った穀稈を脱穀装置へ搬送する搬送装置で構成されている。
【0003】
起立した複数の穀稈引起し装置の上部は穀稈の穂先が通過するので、穀稈引起し装置の支持部材に穂先側が引っ掛かって脱粒しないように表面の滑らかな引起し上部カバーで支持部材を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−5629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
収穫機の穀稈引起し装置は、倒れて絡み合った穀稈を強制的に引き起す作用をするために、穀稈の一部が絡みつき易いために、時々機体から取り外して分解清掃をする必要がある。本発明は、収穫機の穀稈引起し装置のメンテナンス作業を行い易くすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、複数立設する穀稈引起し装置(7)の上端部を横長の引起し上部カバー(47)で覆い、該穀稈引起し装置(7)の引起し前ケース(7a)を前方へ取り外し可能にすると共に、引起し上部カバー(47)の後部を取付ピン(46a)で上下回動可能に枢支し、該引起し上部カバー(47)を下方回動させた状態では該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さり、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて位置保持した状態では該引起し上部カバー(47)の下端部と引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間が形成される構成としたことを特徴とするコンバインの刈取搬送部とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記引起し上部カバー(47)の下側に、穀稈引起し装置(7)へ動力を伝える左右方向の横伝動軸(45)を設け、前記引起し上部カバー(47)の後端部を横伝動軸(45)の後側上部に上下回動可能に枢支し、引起し上部カバー(47)の前側内面には横伝動軸(45)の前側に設けた係止杆(46b)に係止するクリップ(47a)を設け、引起し上部カバー(47)を下方へ回動させて該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さった状態では、クリップ(47a)が係止杆(46b)に係合して引起し上部カバー(47)を位置固定し、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて引起し上部カバー(47)の下端部と前記引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間を形成した状態では、前記クリップ(47a)の先端部が係止杆(46b)に当接することで該引起し上部カバー(47)の回動位置を保持する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取搬送部とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記穀稈引起し装置(7)を駆動する第二軸(48a)を該穀稈引起し装置(7)側に軸受けして設け、該第二軸(48a)を刈取搬送部(5)側に位置固定された第一軸(48b)から前方へ引き抜いて、穀稈引起し装置(7)を刈取搬送部(5)から離脱させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインの刈取搬送部とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、穀稈引起し装置(7)のメンテナンスを行う際には、引起し上部カバー(47)を上方へ起立させて、引起し前ケース(7a)を前方に取り外して内部の掃除点検給油を簡単に行える。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果を奏するうえで、引起し上部カバー(47)の前外面の引っ掛かりを無くして穀稈の引起し及び搬送を円滑にし、引起し上部カバー(47)の下端部に手をかけて上方へ引き上げると、引起し上部カバー(47)が上方へ回動して開放し、引起し上部カバー(47)の外周面を押し下げると取付ピン(46a)を中心に下方へ回動して引起し前ケース(7a)の上端を覆う状態に出来る。また、引起し上部カバー(47)を開放した状態では、クリップ(47a)の先端部が係止杆(46b)に当接することで該引起し上部カバー(47)の回動位置を保持できるので、この引起し上部カバー(47)が自重で下方へ回動して他部材と干渉する虞れをなくすことができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果を奏するうえに、穀稈引起し装置(7)側に軸受けされた駆動第二軸(48a)を、刈取搬送部(5)側に位置固定された第一軸(48b)から前方へ引き抜くことで、穀稈引起し装置(7)の全体を取り外すことが出来、メンテナンスの能率を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体右側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】コンバインの正面図である。
【図4】一部を省略した刈取搬送部の側面図である。
【図5】穀稈引起し装置の上部拡大右側面図である。
【図6】穀稈引起し装置の一部を断面にした正面図である。
【図7】穀稈引起し装置の側面図である。
【図8】穀稈引起し装置の一部拡大正断面図である。
【図9】刈刃装置の平面図である。
【図10】刈刃装置の側面図である。
【図11】穀稈引起し装置の一部拡大正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
まず、図1乃至図3に基づき本発明を具備するコンバインの全体構成について説明する。図1にはコンバインの全体側面図、図2には全体平面図、図3には正面図が図示されている。
【0014】
コンバイン1の走行車台2の下方には左右走行クローラ3,3を配設し、走行車台2上に脱穀部4を搭載し、走行車台2の前側部には刈取搬送部5を昇降自在に設けている。
この刈取搬送部5は、複数の分草杆6,…、四列の穀稈引起し装置7、刈刃装置8、穀稈搬送装置(図示省略)等により構成している。
【0015】
図4に示す如く、刈取搬送部5の後側部には、伝動装置の内装されている前後方向の後側ケース部31aと、左右方向の前側ケース部31bからなる平面視T字型の刈取伝動ケース31を設けている。この刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部から正面視で門型の搬送伝動ケース32を上方に延出し、この搬送伝動ケース32の上側端部の横駆動ケース42に軸支した横伝動軸45から下方の各引起装置に向けて分岐した引起し駆動軸を内装した引起し駆動パイプ21の下端部のブラケット21aに前記穀稈引起し装置7の上部をボルトとナットで連結して支持している。また、門型の搬送伝動ケース32の上端部から支持パイプ41を後方に延出し後側ケース部31aの上端部と連結している。前記刈取伝動ケース31の後側ケース部31a中途部と走行車台2の前端部とが、単動式の油圧シリンダ(図示省略)を介して連結されて、刈取搬送部5が昇降される。
【0016】
横駆動ケース42に軸支して門型の搬送伝動ケース32の上部を連結する横伝動軸45を覆って引起し上部カバー47を設けている。図5に示す如く、この引起し上部カバー47の後内側は、横伝動軸45を内装する横伝動軸筒46の後上部に設ける取付ピン46aに枢支し、前内側に設けるクリップ47aを横伝動軸筒46の前下方に設ける係止杆46bに挿し込み挟んで係合して固定している。この引起し上部カバー47の下端は、穀稈引起し装置7の引起し前ケース7aの上端に前から重なり、引起し上部カバー47を上方へ回動して開くと、引起し前ケース7aの取り外しを支障なく行える。引起し上部カバー47のクリップ47aは、左右引起し前ケース7aの間に取り付け、その取付位置前面に係止目印50を付け、この係止目印50近くの引起し上部カバー47の下端縁に手をかけて持上げると外れ易い。また、クリップ47aの先端を係止杆46bに載せて引起し上部カバー47を若干開いた状態にして引起し上部カバー47を前方へ取り外すことも可能である。この引起し上部カバー47を若干開いた状態では、防塵カバーのライトやサイドカバーに当たらないようにしている。
【0017】
なお、図示を省略しているが、搬送伝動ケース32内の搬送伝動装置を経由して、穂先搬送装置及び根元搬送装置、並びに、穀稈引起し装置7に動力を伝達している。
次に、穀稈引起し装置7について説明する。
【0018】
穀稈引起し装置7は、図6と図7に示す如く、引起し前ケース7aと引起し後ケース7bを接合固着し、引起しケース7cを構成している。この引起し後ケース7bの上下部には、上部スプロケット13a,上部退避側スプロケット13b及び下部ローラ12を軸架し、これらのスプロケット13a,13bおよび下部ローラ12に、引起しラグ14,…を所定間隔毎に枢支している引起しチェン11を巻回している。
【0019】
引起しケース7cの左右一側の引起し側には、引起しチェン11の内側に沿うように上下方向に長い引起しガイドレール15を設け、引起しケース7cの左右他側の退避側下部には、下部ローラ12の上部近傍に起立ガイド片16を設け、ケース上部には引起しラグ14の退避案内用の退避ガイドレール(退避案内部材)17を設けている。また、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右引起しガイドレール18a,18aを、引起しガイドレール15に対向して設け、下部スプロケット12の下部周面に沿うように、引起しラグ14の左右基部を摺接案内する左右下部起立ガイド18b,18bを設けている。
【0020】
前記構成によると、下側に回動した引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが起立ガイド片16に当接して、ケース下部で引起しラグ14,…は起立して突出状態となり、下部スプロケット12の下方を左右下部起立ガイド18b,18bに沿って退避側から引起し側に向けて回動する。次いで、引起しラグ14,…の左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15に当接支持され、起立状態を維持しながら上方に移動する。
【0021】
そして、引起しラグ14,…が引起しケース7cの上部に移動し、左右基部摺動部14a,14aが引起しガイドレール15の上側端部から解放されると、引起しラグ14の先端部が退避ガイドレール17に当接して退避回動しケース内に収納され、ケースの退避側では退避状態のまま下方に移動する。
【0022】
引起し駆動軸48は、図11に示す如く、ブラケット21aの軸受44から前に突出する駆動第一軸(第一軸)48bと引起し後ケース7bに軸受43で軸支した駆動第二軸(第二軸)48aからなり、駆動第一軸48bの軸端四角部を駆動第二軸48aの四角孔部に嵌合させて動力を伝動し、着脱可能である。
【0023】
引起しケース7cは、上部を引起し駆動パイプ21のブラケット21aにボルトとナットで取り付け、下部を分草支持フレーム51から立ち上げた引起し支持台52にボルトとナットで取り付けているので、穀稈引起し装置7を一体的に刈取伝動ケース31から取り外すことも可能である。(図4参照)
次に、図9と図10に基づき刈刃装置8の駆動構成について説明する。
【0024】
刈取伝動ケース31の前側ケース部31bの左右両側部に、左右刈刃伝動ケース33,33を設け、左右刈刃伝動ケース33,33内の左右刈刃伝動軸33a,33aから左右伝動ロッド33b,33b、左右揺動アーム33c,33cを駆動するように構成している。
【0025】
また、刈取伝動ケース31の前側ケース部31aの左右両側部から左右刈刃フレーム34,34を前側に延出し、左右刈刃フレーム34,34の先端部に左右方向に沿うように設けている刈刃支持フレーム35を設け、刈刃支持フレーム35に連続した一枚状の下側刈刃8aを固着し、この下側刈刃8aの上側に左右に分割した左右上側刈刃8b,8bを左右摺動自在に装着している。
【0026】
また、左右上側刈刃8b,8bのフレーム部に左右刈刃ヘッド36,36を取り付け、左右刈刃ヘッド36,36の後側部を後上り傾斜に後方に延出している。この後上り傾斜部の傾斜方向とU字状プレート37,37の長手方向とが、傾斜角度αを形成するように、U字状プレート37,37の前側U字型閉鎖部が下り緩傾斜に左右刈刃ヘッド36,36に取り付け、U字状プレート37,37を低く構成している。また、前記左右揺動アーム33c,33cの下部に装着したベアリング38,38を、U字状プレート37,37に嵌合装着するにあたり、ベアリング38,38の軸心線に対して、U字状プレート37,37の長手方向直線を直交状態でなく、前下がり傾斜状態で嵌合装着し、ベアリング38,38とU字状プレート37,37との間に、下側ほど狭まった空間部を形成するように構成している。
【0027】
以上の構成により、コンバイン1の回転各部を駆動し走行し刈取作業を開始すると、走行クローラ3,3が回転して走行車台2は走行を開始し、圃場の穀稈は刈取搬送部5の前側部の分草杆6,…により穀稈条列毎に分草されながら穀稈引起し装置7,…に案内され、引起しラグ14,…により引き起される。そして、引起しされた穀稈は刈刃装置8で刈り取られ、穀稈搬送装置(図示省略)により後方に搬送され、脱穀部4のフィードチェンに引き継がれて脱穀される。
【符号の説明】
【0028】
5 刈取搬送部
7 穀稈引起し装置
7a 引起し前ケース
45 横伝動軸
46a 取付ピン
46b 係止杆
47 引起し上部カバー
47a クリップ
48a 駆動第二軸(第二軸)
48b 駆動第一軸(第一軸)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数立設する穀稈引起し装置(7)の上端部を横長の引起し上部カバー(47)で覆い、該穀稈引起し装置(7)の引起し前ケース(7a)を前方へ取り外し可能にすると共に、引起し上部カバー(47)の後部を取付ピン(46a)で上下回動可能に枢支し、該引起し上部カバー(47)を下方回動させた状態では該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さり、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて位置保持した状態では該引起し上部カバー(47)の下端部と引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間が形成される構成としたことを特徴とするコンバインの刈取搬送部。
【請求項2】
前記引起し上部カバー(47)の下側に、穀稈引起し装置(7)へ動力を伝える左右方向の横伝動軸(45)を設け、前記引起し上部カバー(47)の後端部を横伝動軸(45)の後側上部に上下回動可能に枢支し、引起し上部カバー(47)の前側内面には横伝動軸(45)の前側に設けた係止杆(46b)に係止するクリップ(47a)を設け、引起し上部カバー(47)を下方へ回動させて該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さった状態では、クリップ(47a)が係止杆(46b)に係合して引起し上部カバー(47)を位置固定し、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて引起し上部カバー(47)の下端部と前記引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間を形成した状態では、前記クリップ(47a)の先端部が係止杆(46b)に当接することで該引起し上部カバー(47)の回動位置を保持する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取搬送部。
【請求項3】
前記穀稈引起し装置(7)を駆動する第二軸(48a)を該穀稈引起し装置(7)側に軸受けして設け、該第二軸(48a)を刈取搬送部(5)側に位置固定された第一軸(48b)から前方へ引き抜いて、穀稈引起し装置(7)を刈取搬送部(5)から離脱させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインの刈取搬送部。
【請求項1】
複数立設する穀稈引起し装置(7)の上端部を横長の引起し上部カバー(47)で覆い、該穀稈引起し装置(7)の引起し前ケース(7a)を前方へ取り外し可能にすると共に、引起し上部カバー(47)の後部を取付ピン(46a)で上下回動可能に枢支し、該引起し上部カバー(47)を下方回動させた状態では該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さり、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて位置保持した状態では該引起し上部カバー(47)の下端部と引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間が形成される構成としたことを特徴とするコンバインの刈取搬送部。
【請求項2】
前記引起し上部カバー(47)の下側に、穀稈引起し装置(7)へ動力を伝える左右方向の横伝動軸(45)を設け、前記引起し上部カバー(47)の後端部を横伝動軸(45)の後側上部に上下回動可能に枢支し、引起し上部カバー(47)の前側内面には横伝動軸(45)の前側に設けた係止杆(46b)に係止するクリップ(47a)を設け、引起し上部カバー(47)を下方へ回動させて該引起し上部カバー(47)の下端部が引起し前ケース(7a)の上端部に覆い被さった状態では、クリップ(47a)が係止杆(46b)に係合して引起し上部カバー(47)を位置固定し、引起し上部カバー(47)を上方へ回動させて引起し上部カバー(47)の下端部と前記引起し前ケース(7a)の上端部との間に隙間を形成した状態では、前記クリップ(47a)の先端部が係止杆(46b)に当接することで該引起し上部カバー(47)の回動位置を保持する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取搬送部。
【請求項3】
前記穀稈引起し装置(7)を駆動する第二軸(48a)を該穀稈引起し装置(7)側に軸受けして設け、該第二軸(48a)を刈取搬送部(5)側に位置固定された第一軸(48b)から前方へ引き抜いて、穀稈引起し装置(7)を刈取搬送部(5)から離脱させる構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンバインの刈取搬送部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−29569(P2012−29569A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169091(P2010−169091)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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