説明

コンバインの刈取部

【課題】簡単な操作で引起装置の後方個所のメンテナンス作業に必要な空間を確保するとともにメンテナンス作業時の作業性を向上させるコンバインの刈取部の提供を目的とする。
【解決手段】複数条の穀稈を引き起こす引起装置22を支持する刈取フレーム110を備えるコンバイン1の刈取部20であって、刈取フレーム110は、引起装置22の上部で横方向に延伸される引起横伝動パイプ117と、引起横伝動パイプ117に支持される引起駆動パイプ118とを備えて、引起装置22の引起ケース221を、引起駆動パイプ118に引起駆動軸225で連動連結するとともに、略上下方向に配設される引起駆動パイプ118の軸回りに回動可能かつ引起駆動軸225の軸回りに回動可能に支持するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取部に関する。詳しくは刈取部の引起装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの刈取部は、穀桿を分草する分草具、分草された穀桿を引起す引起装置、穀桿を切断する切断装置、穀桿を搬送する搬送装置、各装置を支持する刈取フレームなどから構成されるが、搬送装置の前方個所に引起装置が固定配備されていたことから、搬送装置の穀桿詰まりの対応やメンテナンス作業は、引起装置の隙間から手を差し入れて行われていた。
しかし、引起装置の隙間では、メンテナンス作業に必要な空間の確保は難しくメンテナンス作業を困難なものにしていた。特に、刈取条数の多いものにおいては、横側方から手を差し入れても手が届き難い個所があり、十分なメンテナンス作業が実施できない。一方、引起装置を取り外すことで作業に必要な空間が確保でき作業性は向上するが、引起装置の取り外しには、引起装置と刈取フレームとの連結解除や引起装置に対する駆動系の切り離しなど高い技術を必要とする作業が多く発生し、メンテナンス作業を煩雑なものにするという不具合があった。
【0003】
そこで、前述の問題を解消する手段として、引起装置を支持している引起駆動パイプを回動可能に構成し、引起装置を上下方向に引起駆動パイプ回りに回動させて開閉可能とした技術が公知である。この技術は、引起駆動パイプ内に配設される引起装置の駆動軸を回動中心として引起装置を回動させることができる。よって、引起装置と引起装置の駆動軸との切り離しといった複雑な作業を必要とせず、簡単な操作でメンテナンス作業に必要な空間を確保することができる。例えば、特許文献1の如くである。
【0004】
しかし、特許文献1に開示された構成では、メンテナンス作業に必要な空間を確保することはできるが、メンテナンス作業の際、作業者の頭上に回動させた引起装置が配置されるので、作業者は起立した姿勢でのメンテナンス作業が行えず、作業性の向上という目的に対して不利であった。
【特許文献1】特許第4017233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き課題を鑑みてなされたものであり、簡単な操作で引起装置の後方個所のメンテナンス作業に必要な空間を確保するとともに、メンテナンス作業時の作業性を向上させるコンバインの刈取部の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、穀稈を分草する分草具と、
前記分草具により分草された複数条の穀稈を引き起こす引起装置と、
前記引起装置により引き起こされた複数条の穀稈を切断する切断装置と、
前記切断装置により切断された穀稈を脱穀部側へ搬送する搬送装置と、
前記分草具および各前記装置を支持する刈取フレームとを備えるコンバインの刈取部であって、
前記刈取フレームは、
前記引起装置の上部で左右横方向に延伸される引起横伝動パイプと、
前記引起横伝動パイプから下方に延設される引起駆動パイプとを備えて、
前記引起装置の引起ケースを、前記引起駆動パイプの軸回りに回動可能、かつ、該引起駆動パイプに対し前方に延設してタイン付チェンを駆動する引起駆動軸の軸回りに回動可能に支持するものである。
【0008】
請求項2においては、前記引起装置と刈取フレームとの間には、前記引起ケースを所定の左右回動位置に保持する保持手段を備えるものである。
【0009】
請求項3においては、前記引起ケースは、回動用の把手を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1の如く構成したので、引起装置は、引起駆動軸との分離などを行うことなく引起ケースを引起駆動パイプの軸回りに回動して引起駆動軸を傾斜させることで、隣接する引起ケースに干渉することなく引起駆動軸の軸回りに回動することができる。これにより、引起ケースは、メンテナンス作業時に作業者の頭上に配置されることがなく、簡単な操作で引起装置を回動してメンテナンス作業に必要な空間を形成でき、メンテナンス作業時の作業性を向上させることができる。
【0012】
請求項2の如く構成したので、引起装置は、保持手段により所定の作業位置で保持することができる。よって、簡単な操作で引起装置の後方個所のメンテナンス作業に必要な空間を確保するとともにメンテナンス作業時の作業性を向上させることができる。
【0013】
請求項3の如く構成したので、引起装置は、把手の使用により容易に引起ケースを回動することができる。よって、簡単な操作で引起装置の後方個所のメンテナンス作業に必要な空間を確保するとともにメンテナンス作業時の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明に係るコンバインの刈取部の実施の一形態であるコンバインの刈取部20について説明する。なお、図1における矢印U方向を上方向として上下方向を規定する。矢印F方向を前方向として規定する。図2における矢印R方向を右方向として規定する。
【0015】
まず、図1および図2より本発明の実施の一形態に係る刈取部20を有する四条刈りのコンバイン1の全体構成について説明する。なお、本発明に係る刈取部は、四条刈りのコンバインに限らず、多条刈りのコンバインに適用可能である。
【0016】
図1および図2に示すように、コンバイン1には、機体フレーム2に対して、走行部10と、刈取部20と、脱穀部30と、選別部40と、穀粒貯溜部50と、排藁処理部60と、エンジン部70と、ミッション部80と、操縦部90とが備えられる。
【0017】
走行部10は、機体フレーム2の下部に設けられる。走行部10は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11などを有して、クローラ式走行装置11により機体を前進または後進方向に走行させることができるように構成される。
【0018】
刈取部20は、機体フレーム2の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部20は、分草具21や、引起装置22や、切断装置23や、搬送装置24などを有して、分草具21により圃場の穀稈を分草し、引起装置22により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置23により引起後の穀稈を切断し、搬送装置24により切断後の穀稈を脱穀部30側へ搬送することができるように構成される。
【0019】
脱穀部30は、機体フレーム2の左側前部に設けられ、刈取部20の後方に配置される。脱穀部30は、搬送装置31や、扱胴や、受網などを有して、搬送装置31により刈取部20から搬送されてくる穀稈を受け継いで排藁処理部60側へ搬送し、扱胴および受網により搬送中の穀稈を脱穀し、その脱穀物を漏下させることができるように構成される。
【0020】
選別部40は、機体フレーム2の左側部に設けられ、脱穀部30の下方に配置される。選別部40は、揺動選別装置や、風選別装置や、穀粒搬送装置や、藁屑排出装置などを有して、揺動選別装置により脱穀部30から落下する脱穀物を穀粒と藁屑や塵埃などとに揺動選別し、風選別装置により揺動選別後のものを更に穀粒と藁屑や塵埃などとに風選別し、穀粒搬送装置により選別後の穀粒を穀粒貯溜部50側へ搬送する一方、藁屑排出装置により藁屑や塵埃などを外部へ排出することができるように構成される。
【0021】
穀粒貯溜部50は、機体フレーム2の右側後部に設けられ、脱穀部30および選別部40の右側方に配置される。穀粒貯溜部50は、穀粒タンク51や、穀粒排出装置52などを有して、穀粒タンク51により選別部40から搬送されてくる穀粒を貯溜し、穀粒排出装置52により貯溜中の穀粒を任意の方向に搬送してから外部へ排出することができるように構成される。
【0022】
排藁処理部60は、機体フレーム2の左側後部に設けられ、脱穀部30の後方に配置される。排藁処理部60は、排藁搬送装置や、排藁切断装置などを有して、排藁搬送装置により脱穀部30から搬送されてくる脱穀済みの穀稈を受け継いでこれを排藁として外部へ排出する、もしくは排藁切断装置へ搬送し、排藁切断装置により切断してから外部へ排出することができるように構成される。
【0023】
エンジン部70は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、穀粒貯溜部50の前方に配置される。エンジン部70は、エンジンなどを有して、エンジンの動力を当該エンジンを駆動源とする各部の装置に適宜の伝動機構を介して供給し、エンジンにより各部の装置を駆動させることができるように構成される。
【0024】
ミッション部80は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、エンジン部70の前方に配置される。ミッション部80は、トランスミッションなどを有して、エンジン部70のエンジンの動力が走行部10や刈取部20などの各装置へ供給される前に、トランスミッションにより当該動力を変速することができるように構成される。
【0025】
操縦部90は、機体フレーム2の右側前部に設けられ、エンジン部70およびミッション部80の上方に配置される。操縦部90は、ステアリングハンドル91および変速レバーを含む各種の操作具や、操縦席92や、キャビン93などを有して、操作具により各部の装置などを操作し、操縦席92に操縦者を着座させ、キャビン93により操作具や操縦席92を覆うことができるように構成される。
【0026】
このようにして、コンバイン1は、操縦部90での操作具の操作に応じて、エンジン部70からエンジンの動力を各部の装置に供給するなどして、走行部10にて機体を走行させながら、刈取部20で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部30で刈取部20からの穀稈を脱穀し、選別部40で脱穀部30からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部50で選別部40からの穀粒を貯溜すると同時に、排藁処理部60で脱穀部30からの排藁を外部へ排出することができるように構成される。
【0027】
次に、図3および図4より刈取部20の構成について説明する。
【0028】
図3に示すように、刈取部20は、前述の分草具21と、引起装置22と、切断装置23と、搬送装置24とに加えて、刈取フレーム110を有し、刈取フレーム110で機体フレーム2の左側前端部に支持され、機体フレーム2の前方に配置される。
【0029】
この刈取部20の支持部において、機体フレーム2側では、機体フレーム2の左側前端部に左右一対の支持台3が左右方向に所定間隔をとって平行に立設されている。左右の各支持台3上にはパイプ受部材4が設けられる。
【0030】
刈取部20側では、刈取フレーム110に刈取入力パイプ111が備えられる。そして、刈取入力パイプ111が、機体フレーム2の左側前端部の上方であって、左右の支持台3上のパイプ受部材4の間に左右方向に水平に横設され、その左右の端部でそれぞれ支持台3上のパイプ受部材4に回動自在に支持される。
【0031】
また、刈取フレーム110には、刈取入力パイプ111とともに、縦伝動パイプ112と、横伝動パイプ113と、複数の分草フレーム114と、駆動パイプ115と、左右の引起縦伝動パイプ116と、引起横伝動パイプ117と、複数の引起駆動パイプ118と、連結フレーム119とが備えられる。
【0032】
この刈取フレーム110において、縦伝動パイプ112は、刈取入力パイプ111の前方に配置され、刈取入力パイプ111の左右中途部から前斜下方へ向けて延設される。横伝動パイプ113は、縦伝動パイプ112の前方に配置され、縦伝動パイプ112の先端部から左右方向へ延設される。
【0033】
複数の分草フレーム114は、横伝動パイプ113の前方に配置され、左右方向に適宜の間隔をとって互いに平行に並設される。これらの分草フレーム114のうち、最外側に位置する左右の外側分草フレーム114Aは、横伝動パイプ113の左右の端部からそれぞれ前方へ向けて延設される(図4参照)。
【0034】
複数の分草フレーム114のうち、残りの左右の外側分草フレーム114Aよりも内側に位置する内側分草フレーム114Bは、駆動パイプ115の左右中途部から左右方向に所定間隔ごとに前方へ向けて延設される。
【0035】
ここで、これらの内側分草フレーム114Bは、左右の外側分草フレーム114Aの間において、内側分草フレーム114Bと右外側分草フレーム114Aとの左右幅が、内側分草フレーム114B同士の左右幅、および内側分草フレーム114Bと左外側分草フレーム114Aとの左右幅よりも大きくなるように配置される。
【0036】
駆動パイプ115は、横伝動パイプ113の前斜下方に配置され、左右の外側分草フレーム114Aの後部の間に左右方向に水平に横設される。つまり、駆動パイプ115は、横伝動パイプ113と前後方向に所定間隔をとって互いに平行に並設される。
【0037】
左右の引起縦伝動パイプ116は、横伝動パイプ113の上方に配置され、横伝動パイプ113の左右の端部から前斜上方へ向けて立設される。引起横伝動パイプ117は、横伝動パイプ113の前上方に配置され、左右の引起縦伝動パイプ116の上端部の間に左右方向に水平に横設される。
【0038】
複数の引起駆動パイプ118は、引起横伝動パイプ117の下方に配置され、引起横伝動パイプ117の左右中途部から左右方向に所定間隔ごとに下方へ向けて延設される。また、連結フレーム119は、引起横伝動パイプ117の後方に配置され、引起横伝動パイプ117の左右中途部から縦伝動パイプ112の後部まで後方へ向けて延設される。
【0039】
こうして、刈取フレーム110は、刈取入力パイプ111と、縦伝動パイプ112と、横伝動パイプ113と、複数の分草フレーム114と、駆動パイプ115と、左右の引起縦伝動パイプ116と、引起横伝動パイプ117と、複数の引起駆動パイプ118と、連結フレーム119とを一体的に連結して構成される。
【0040】
そして、このような刈取フレーム110に、分草具21や、引起装置22や、切断装置23や、搬送装置24などが適宜に支持される。刈取フレーム110に支持される際、分草具21と、引起装置22と、搬送装置24とは、この順で前から後に向けて配置され、切断装置23は、引起装置22の後方で搬送装置24の搬送始端部の下方に配置される。
【0041】
図4に示すように、分草具21には、四条分五つの分草板211が備えられる。これらの分草板211はそれぞれ先細形状とされ、複数の分草フレーム114、即ち左右の外側分草フレーム114Aおよび三つの内側分草フレーム114Bの先端部に前方へ向けて突設される。
【0042】
引起装置22には、四条分四つの引起ケース221が備えられる。引起ケース221は、左外側から引起ケース221A・221B・221C・221Dで構成される。各引起ケース221はタイン付チェン222などを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。これらの引起ケース221は分草具21の後方で左右方向に適宜の間隔をとって並べて配置され、分草フレーム114と引起駆動パイプ118との間に前低後高の傾斜状に、引起駆動パイプ118の一側先端に立設される。
【0043】
搬送装置24には、掻込機構241と、搬送機構245とが備えられる。掻込機構241は、搬送装置24の前部側に配置され、この搬送装置24の搬送始端部に設けられている。一方、搬送機構245は、搬送装置24の後部側に配置され、搬送装置24の搬送中途部および搬送終端部に設けられている。
【0044】
掻込機構241には、左右の掻込装置242L・242Rと、四つの掻込輪243とが備えられる。左右の掻込装置242L・242Rは、それぞれ左右一対で一組の突起付ベルトなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。左右の掻込装置242L・242Rは、それぞれ引起ケース221の後方に配置され、引起ケース221側から後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。
【0045】
左右の掻込装置242L・242Rは、またそれぞれ左右一対で一組の突起付ベルトを左または右側二つの引起ケース221の間に向けて前方へ大きく開くように配置される。つまり、左右の各掻込装置242L・242Rは、二つの引起ケース221の前部側の左右幅が広くなり、後部側の左右幅が狭くなるように配置される。
【0046】
四つの掻込輪243は、それぞれスターホイルとされ、回転駆動可能に構成される。各掻込輪243は、左右の掻込装置242L・242Rの各突起付ベルトの後部下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0047】
搬送機構245には、左右の下部搬送装置246L・246Rと、上部搬送装置247と、縦搬送装置248と、補助搬送装置249とが備えられる。各搬送装置はチェンなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。左下部搬送装置246Lは、左掻込装置242Lの後方に配置され、左掻込装置242L側から右斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。右下部搬送装置246Rは、右掻込装置242Rの後方に配置され、右掻込装置242R側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。
【0048】
上部搬送装置247は、引起装置22の後方であって右下部搬送装置246Rの上方に配置され、右掻込装置242R側から左斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。縦搬送装置248は、左下部搬送装置246Lの後方であって、上部搬送装置247の下方に配置され、左下部搬送装置246L側から左斜後方へ向けて前低後高の傾斜状に延設される。補助搬送装置249は、縦搬送装置248の後方であって、上部搬送装置247の下方に配置され、縦搬送装置248側から後方へ向けて脱穀部30の搬送装置31まで延設される。
【0049】
切断装置23には、切断刃231と補助切断刃232とからなる複数の切断刃と、アクチュエータ233とが備えられる。切断刃231および補助切断刃232は、後述するように、掻込機構241の下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。そして、アクチュエータ233が、切断刃231および補助切断刃232の近傍に配置され、これらの切断刃231および補助切断刃232と連動連結される。但し、切断装置23は本実施形態では、円板状の回転刃により構成しているが、鋸刃状のレシプロ型に構成することも可能であり、その構造は限定するものではない。
【0050】
さらに、これらの分草具21および各装置を支持する刈取フレーム110においては、刈取入力パイプ111の内部に刈取入力軸121が内挿されるとともに、その他の各パイプの内部に刈取伝動軸が内挿される。そして、引起装置22および搬送装置24が各刈取伝動軸や刈取入力軸を介してエンジン部70のエンジンと連動連結される。
【0051】
こうして、引起装置22および搬送装置24は、エンジン部70のエンジンを駆動源としてこれから供給される動力を得て、駆動することができるように構成される。また、切断装置23は、アクチュエータ233を駆動源としてこれの動力を用いて、単独で駆動する。言い換えればエンジンから独立して駆動することができるように構成される。
【0052】
このような構成により、刈取部20において、各装置が駆動される場合に、分草具21の分草板211により圃場の穀稈が一条ごとに分離するように分草された後、引起装置22で引起ケース221により分草後の穀稈が引き起こされる。つづいて、搬送装置24の掻込機構241で左右の掻込装置242L・242Rと掻込輪243とによりそれぞれ左または右側二つの引起ケース221の間から導入される引起後の左または右側二条分の穀稈の株元側が一束に掻寄せられ掻き込まれる。
【0053】
このとき、切断装置23で切断刃231および補助切断刃232により引越後の穀稈が株元側で切断される。切断された後、穀稈は搬送装置24の搬送機構245で右下部搬送装置246Rにより右二条分の穀稈が左斜後方へ搬送されると同時に、左下部搬送装置246Lにより左二条分の穀稈が右斜後方へ搬送されて、四条分の穀稈の株元側が右下部搬送装置246Rの搬送終端部付近で合流させられる。
【0054】
次に、上部搬送装置247により四条分の穀稈の穂先側が寄せ集められながら左斜後方へ搬送されるとともに、縦搬送装置248により右下部搬送装置246Rの搬送終端部付近にて合流させられた四条分の穀稈の株元側が脱穀部30の搬送装置31へ向けて後斜上方に搬送され、補助搬送装置249により穀稈の株元側が縦搬送装置248から脱穀部30の搬送装置31へ渡される。このようにして、刈取部20で穀稈の一連の刈取作業が行われる。
【0055】
また、刈取部20において、刈取フレーム110は、縦伝動パイプ112の前後中途部を機体フレーム2の前下部から前方へ向けて延設される昇降シリンダ5の先端部に連結させ、この昇降シリンダ5の伸縮駆動に応じて刈取入力パイプ111回りに上下方向に回動可能に構成される。なお、昇降シリンダ5は、操縦部90の操作具の手動操作などに応じて伸縮駆動可能とされる。
【0056】
刈取フレーム110は、昇降シリンダ5が伸縮駆動される場合、昇降シリンダ5の伸長駆動時には、刈取入力パイプ111回りに上方へ回動され、昇降シリンダ5の収縮駆動時には、刈取入力パイプ111回りに下方へ回動される。これにより、刈取部20全体が、刈取フレーム110の上方への回動時に、機体に対して上昇され、刈取フレーム110の下方への回動時に、機体に対して下降される。
【0057】
次に、図5、図6、図7、図8、図9および図10より引起装置22の構成について説明する。なお、引起装置22は前述の通り引起ケース221A・221B・221C・221Dが備えられるが、引起ケース221A・221Dは刈取フレーム110に固定され、引起ケース221B・221Cは前斜め側方に回動可能に構成される以外は略同一の構成のため引起ケース221Bについて説明する。但し、引起ケース221A・221B・221C・221Dの全てを左右方向外側方に回動可能に構成することも可能である。
【0058】
図5、図8、図9および図10に示すように、引起装置22は、前述の引起駆動パイプ118と、前述の引起ケース221Bと、前述のタイン付チェン222と、駆動スプロケット223aと、従動スプロケット223bと、支持フランジ224と、引起駆動軸225と、べベルギア226と、第一保持手段227と、第二保持手段228と、従動軸229と、ロック手段230と、把手250などが備えられる。
【0059】
図5に示すように、引起駆動パイプ118は、引起ケース221Bのタイン付チェン222を回転駆動するための動力を伝達するための刈取伝動軸122を内挿するとともに、引起ケース221Bを支持するものである。引起駆動パイプ118は、支持パイプ118aと、回動パイプ118bと、から構成される。支持パイプ118aは、一端を引起横伝動パイプ117に固設され、下方にむけて延設される。回動パイプ118bは、一側(上側)の外径が支持パイプ118aの内径よりも小さくなるように形成され、軸受118c・118dを介して回動自在、かつ軸方向は移動不能に支持パイプ118aに挿嵌される。回動パイプ118bの他側(下側)は略箱状に形成されて、前側に支持プレート118eが固設される。支持パイプ118aおよび回動パイプ118bには、刈取伝動軸122が回転自在に内挿される。
【0060】
引起ケース221Bは、引起装置22を構成する主な構造体を構成するものである。引起ケース221Bは、略長方形の部材で前後二枚の板状部材を平行に配置し、内部にタイン付チェン222と、駆動スプロケット223aと、従動スプロケット223b(図8参照)などが配設される。
【0061】
支持フランジ224は、引起ケース221Bを左右回動自在に支持するものである。支持フランジ224は、引起ケース221Bの上部に固設され、軸受224aを介して引起駆動軸225に回動自在に支持される。
【0062】
引起駆動軸225は、駆動スプロケット223aを固設して駆動するものである。引起駆動軸225は、一側が軸受118fを介して支持プレート118eに回転自在、かつ軸方向は移動不能に支持される。引起駆動軸225の一側端部には、駆動スプロケット223aが固設される。
【0063】
べベルギア226は、引起駆動軸225の他側端部に固設される。べベルギア226は、回動パイプ118bの回動中心軸上に内挿される刈取伝動軸122の一側端部に固設されるべベルギア123と噛合している。よって、刈取伝動軸122の動力はベベルギア123およびベベルギア226を介して刈取伝動軸122と直交する方向の引起駆動軸225に伝動され、駆動スプロケット223aによってタイン付チェン222が駆動される。
【0064】
以上より、引起ケース221Bは、回動パイプ118b、支持プレート118e、引起駆動軸225などを介して支持パイプ118aに対し刈取伝動軸122の軸回りに回動自在に支持され、かつ、支持フランジ224を介して引起駆動軸225の軸回りに回動自在に構成される。
【0065】
図5、図6(a)および図6(b)に示すように、第一保持手段227は、引起ケース221Bの縦軸回りの回動を保持するものである。つまり、第一保持手段227は、回動パイプ118bの回動位置を支持パイプ118aに対して保持するものであり、回動パイプ118bと支持パイプ118aが重複する部分に配設される。第一保持手段227は、段付シャフト227aと、ガイド227bと、付勢ばね227cと、孔227dと、孔227eと、孔227fとから構成される。
【0066】
段付シャフト227aは、支持パイプ118aに対して半径方向に摺動可能に配置して回動パイプ118bを係止するものである。段付シャフト227aは、一側の外径が他側の外径より大きく形成され、段付部を有している。
【0067】
ガイド227bは、段付シャフト227aを支持するものであり、支持パイプ118aの外周に固設される。ガイド227bは、一側(回動パイプ118b側)の内径が他側(外側)の内径より大きい段付部を有するパイプ状に形成される。ガイド227bの一側の内径は、段付シャフト227aの一側(大径側)の外径より若干大きく、ガイド227bの他側の内径は、段付シャフト227aの他側(小径側)の外径より若干大きい。つまり、段付シャフト227aの小径側がガイド227bの他側に位置する小径孔を貫通し、段付シャフト227aの大径側が回動パイプ118bの中心に向かって挿入されている。
【0068】
付勢ばね227cは、段付シャフト227aを回動パイプ118bの中心に向かって付勢するものである。付勢ばね227cは、内径が段付シャフト227aの他側の外径より大きく、外径がガイド227bの一側の内径より小さくなるように形成される。よって、付勢ばね227cは、ガイド227bの一側の大きさに形成された部分に内装可能であり、付勢ばね227cの内径には、段付シャフト227aの他側(小径側)が挿入可能である。
【0069】
孔227dは、段付シャフト227aを摺動自在に支持するものである。孔227dは、支持パイプ118aに固設されるガイド227bの一側の内径と同一の大きさで、かつガイド227bの一側の内径と重複するように支持パイプ118aに形成される。つまり、段付シャフト227aの一側(大径側)が挿入可能に構成される。
【0070】
孔227eおよび孔227fは、段付シャフト227aを係止するものである。孔227eは、孔227dと同一の内径で引起ケース221Bが作業位置R1で段付シャフト227aの一側と係止するように、回動パイプ118bに形成される。孔227fは、孔227dと同一の内径で引起ケース221Bが作業位置R2で段付シャフト227aの一側と係止するように、回動パイプ118bに形成される。なお、作業位置R1は、刈取作業を行う際における回動パイプ118bの位置であり、作業位置R2は、メンテナンスなどを行う際において回動パイプ118bを所定の角度に回動させた位置である。
【0071】
段付シャフト227aは、一側をガイド227bの一側および孔227dに挿入され、他側を、ガイド227bに内装された付勢ばね227cを介して、ガイド227bの他側に挿入される。つまり、付勢ばね227cは、段付シャフト227aの段付部とガイド227bの段付部との間に介装される。段付シャフト227aは、付勢ばね227cの付勢力によって回動パイプ118bに近接する方向に付勢される。また、段付シャフト227aをガイド227bに係止するために、段付シャフト227aの他側にナットなどの係止部材227gが具備される。
【0072】
図5に示すように、第二保持手段228は、引起ケース221Bの前後方向軸回りの回動を保持するものである。つまり、第二保持手段228は、引起駆動軸225を中心に左右方向に回動させた引起ケース221Bの回動位置を支持プレート118eに対して保持するものである。第二保持手段228は、段付シャフト228aと、ガイド228bと、付勢ばね228cと、孔228dと、孔228eと、孔228fと、孔228gから構成される。
【0073】
段付シャフト228aは、引起ケース221Bを係止するものである。段付シャフト228aは、一側の外径が他側の外径より大きくなるように形成され、段付部を有している。
【0074】
ガイド228bは、パイプ状に構成して段付シャフト228aを摺動自在に支持するものであり、引起ケース221Bの後側板状部材に固設される。ガイド228bは、内径が段付シャフト228aの一側(大径側)より若干大きく形成される。つまり、段付シャフト228aの一側(大径側)がガイド228bの内部に摺動可能に挿入されている。
【0075】
付勢ばね228cは、内径が段付シャフト228aの他側の外径より大きく、外径がガイド228bの内径より小さくなるように形成される。よって、付勢ばね228cは、内部に段付シャフト228aの他側のみが挿入可能である。
【0076】
孔228dは、段付シャフト228aを支持するものである。孔228dは引起ケース221Bに固設されるガイド228bの一側の内径と同一の大きさで、かつガイド228bの一側の内径と重複する位置に、引起ケース221Bの後側板状部材に形成される。
【0077】
孔228eと、孔228fとは、段付シャフト228aを係止するものである。孔228eは、孔228dと同一の内径で、引起ケース221Bが作業位置P1で段付シャフト228aの一側(大径側)と係止するように、支持プレート118eに形成される。孔228fは、孔228dと同一の内径で、引起ケース221Bがメンテナンス作業を行う際の作業位置P2で段付シャフト228aの一側と係止するように、支持プレート118eに形成される(図7(a)および図7(b)参照)。なお、作業位置P1は、刈取作業を行う際における引起ケース221Bの位置であり、作業位置P2は、メンテナンスなどを行う際において引起ケース221Bの下部が引起装置22の外側上方に開いた位置である。
【0078】
孔228gは、段付シャフト228aを支持するものである。孔228dは、段付シャフト228aの他側(小径側)の外径より若干大きく、かつ孔228dと重複するように、引起ケース221Bの前側板状部材に形成される。
【0079】
段付シャフト228aは、一側をガイド228bおよび孔228dに挿入され、他側を付勢ばね228cを介して孔228gに挿入される。つまり、付勢ばね228cは、段付シャフト228aの段付部と引起ケース221Bの前側板状部材との間に介装される。段付シャフト228aは、付勢ばね228cの付勢力によって支持プレート118eに近接する方向に付勢される。また、段付シャフト228aを引起ケース221Bの前側板状部材に係止するために、段付シャフト228aの他側にナットなどの係止部材228hが具備される。
【0080】
図6(a)に示すように、引起ケース221Bは、孔227dに挿入されている段付シャフト227aの一側が付勢ばね227cの付勢力により孔227eに挿入されることで作業位置R1に保持される。また、図7(a)に示すように、引起ケース221Bは、ガイド228bおよび孔228dに挿入されている段付シャフト228aの一側が付勢ばね228cの付勢力により孔228eに挿入されることで作業位置P1に保持される。
【0081】
図6(b)に示すように、引起ケース221Bは、孔227dに挿入されている段付シャフト227aの一側が付勢ばね227cの付勢力により孔227fに挿入されることでメンテナンス作業を行う作業位置R2で保持される。また、図7(b)に示すように、引起ケース221Bは、ガイド228bおよび孔228dに挿入されている段付シャフト228aの一側が付勢ばね228cの付勢力により孔228fに挿入されることでメンテナンス作業を行う作業位置P2で保持される。
【0082】
図8(a)および図8(c)に示すように、従動軸229は、従動スプロケット223bを支持するものである。従動軸229は、引起ケース221Bの上下方向下側に固設され、従動軸229の途中部に従動スプロケット223bが回転自在に支持される。
【0083】
図8(a)および図8(b)に示すように、ロック手段230は、引起ケース221Bの下部、つまり、引起ケース221Bの回動支点軸(引起駆動軸225)と反対側を係止するものである。ロック手段230は、引起ケース221Bの後側板状部材の上下方向下側端部に配設され、ロックシャフト230aと、固定プレート230bと、係止ピン230cとを具備する。
【0084】
ロックシャフト230aは、引起ケース221Bの後側板状部材の上下方向下側端部に立設され、係止ピン230cが挿入可能な係止孔230dが軸方向に垂直で略上下方向に形成される。
【0085】
固定プレート230bは、分草フレーム114からロックシャフト230aの近傍まで延設された分草フレーム114Cに固設される。固定プレート230bは、ロックシャフト230aを係合する係合溝230eが形成される。また、係止ピン230cを支持する支持部230fを具備する。
【0086】
係止ピン230cは、支持部230fによって固定プレート230bに支持される。
【0087】
引起ケース221Bは、ロックシャフト230aを係合溝230eに係合し、支持部230fを介して係止ピン230cを係止孔230dに挿入することで、分草フレーム114Cに係止される。但し、ロック手段230の構成は限定するものではなく、ロックレバーによる係止やボルトなどを螺装したりして固定する構成とすることも可能である。
【0088】
図9および図10に示すように、把手250は、引起ケース221Bを引起駆動パイプ118の軸回りに回動、および、引起駆動軸225の軸回りに回動させるためのものである。把手250は、引起ケース221Bの前側正面で、上下左右略中央の作業者が把持しやすい位置に固設されている。但し、その数および形状および配置位置は限定するものではなく、引起ケース221Bに一体的に構成してもよい。
【0089】
なお、各引起ケース221A・221B・221C・221Dのうち、回動可能な引起ケースは、内側に位置する引起ケース221B・221Cのみである。したがって、引起ケース221A・221Dに配設される引起駆動パイプ118および引起駆動軸225は、回動可能に構成されない。また、第一保持手段227、第二保持手段228、ロック手段230および把手250などは具備されない。
【0090】
このような構成により、刈取部20において引起装置22の後方個所のメンテナンス作業を行う場合、図8(c)および図8(d)に示すように、引起ケース221Bを分草フレーム114Cに係止しているロック手段230を解除する。
【0091】
図6(a)、図6(b)、図9(a)および図(b)に示すように、引起ケース221Bは、段付シャフト227aを孔227eから脱するまで引上げて第一保持手段227を解除した後、把手250を用いて引起駆動パイプ118の軸回りに作業位置R1から作業位置R2に向けて回動される。この際、引起ケース221Bと引起駆動軸225とは、支持フランジ224を介して一体的に回動されるが、引起駆動軸225の他端に固設されたベベルギア226と噛合しているべベルギア123が引起ケース221Bの回動中心に位置するため、ベベルギア226とベベルギア123とが噛合した状態を保ちつつ引起ケース221Bを回動することができる。よって、引起装置22と刈取伝動軸122との分離といった複雑な作業を必要としない。
【0092】
引起ケース221Bは、作業位置R2まで回動されると、段付シャフト227aが付勢ばね227cの付勢力により孔227eに挿入され、作業位置R2に保持される(図6(b)および図9(b)参照)。
【0093】
次に、図5、図7(a)、図7(b)、図10(a)および図10(b)に示すように、引起ケース221Bは、段付シャフト228aを孔228eから脱するまで引上げて第二保持手段228を解除した後、把手250を用いて引起駆動軸225の軸回りに作業位置P1から作業位置P2に向けて回動させる。この際、引起ケース221Bは、作業位置R2に保持されているので、引起駆動軸225は、一側を引起装置22の中央方向に所定角度傾斜した状態にある。つまり、引起ケース221Bは、引起駆動軸225を回動中心として引起装置22の外側上方に向かって回動されるので、隣接する引起ケース221Aと干渉することがなく、掻込装置242L・242Rや下部搬送装置246L・246Rや切断装置23などが配設されている刈取部20の前下部分を大きく開放することができる(図10(b)参照)。また、引起ケース221Bは、支持フランジ224により引起駆動軸225に対して回動自在に支持されるので、引起ケース221Bは、ベベルギア226とベベルギア123とが噛合した状態を保ちつつ回動することができる。よって、引起装置22と刈取伝動軸122との分離といった複雑な作業を必要としない。
【0094】
引起ケース221Bは、作業位置R2まで回動されると、段付シャフト228aが付勢ばね228cの付勢力により孔228eに挿入され、作業位置P2に保持される(図7(b)および図10(b)参照)。
【0095】
よって、引起ケース221B・221Cは、ロック手段230と第一保持手段227とを解除するだけで、作業位置R1から作業位置R2に向けて回動させることができ、第二保持手段228を解除するだけで、作業位置P1から作業位置P2まで回動させることができる。また、引起ケース221B・221Cは、第一保持手段227と第二保持手段228とによって引起装置22の外側上方に向けて回動された作業位置P2に保持されるため、作業者の頭上に引起ケース221B・221Cが位置することなく、メンテナンス作業に必要な空間を確保することができる。
【0096】
以上の如く、穀稈を分草する分草具21と、分草具21により分草された複数条の穀稈を引き起こす引起装置22と、引起装置22により引き起こされた複数条の穀稈を切断する切断装置23と、切断装置23により切断された穀稈を脱穀部30側へ搬送する搬送装置24と、分草具21および各前記装置を支持する刈取フレーム110とを備えるコンバイン1の刈取部20であって、刈取フレーム110は、引起装置22の上部で左右横方向に延伸される引起横伝動パイプ117と、引起横伝動パイプ117から下方に延設される引起駆動パイプ118とを備えて、引起装置22の引起ケース221を、引起駆動パイプ118の軸回りに回動可能、かつ、引起駆動パイプ118に対し前方に延設してタイン付チェン222を駆動する引起駆動軸225の軸回りに回動可能に支持するものである。
このように構成することで、引起装置22は、引起駆動軸225との分離などを行うことなく引起ケース221B・221Cを引起駆動パイプ118の軸回りに回動して引起駆動軸225を引起ケース221A・221Dに対して傾斜させることで、隣接する引起ケース221A・221Dに干渉することなく引起駆動軸225の軸回りに回動することができる。これにより、引起ケース221B・221Cは、メンテナンス作業時に作業者の頭上に配置されることがなく、簡単な操作で引起装置22を回動してメンテナンス作業に必要な空間を形成でき、メンテナンス作業時の作業性を向上させることができる。
【0097】
また、引起装置22と刈取フレーム110との間には、引起ケース221B・221Cを所定の回動位置である作業位置R2・P2に保持する第一保持手段227と第二保持手段228とを備えるものである。
このように構成することで、引起装置22は、第一保持手段227と第二保持手段228とにより所定の作業位置で保持することができる。これにより、簡単な操作で引起装置22の後方個所のメンテナンス作業に必要な空間を確保するとともにメンテナンス作業時の作業性を向上させることができる。
【0098】
さらに、引起ケース221B・221Cは、回動用の把手250を備えるものである。
このように構成することで、引起装置22は、把手250の使用により容易に引起ケース221B・221Cを回動することができる。よって、簡単な操作で引起装置の後方個所のメンテナンス作業に必要な空間を確保するとともにメンテナンス作業時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係るコンバインの全体的な構成を示した側面図。
【図2】本発明に係るコンバインの全体的な構成を示した平面図。
【図3】本発明に係るコンバインの刈取部の構成を示した側面図。
【図4】本発明に係るコンバインの刈取部の構成を示した平面図。
【図5】本発明に係るコンバインの引起装置上側の連結構成を示した断面図。
【図6】(a)図5における回動パイプ118bが作業位置R1に位置している状態を示したA−A断面図。(b)図5における回動パイプ118bが作業位置R2に位置している状態を示したA−A断面図。
【図7】(a)本発明に係るコンバインの引起装置上側が作業位置P1に位置している状態を示した平面図。(b)本発明に係るコンバインの引起装置上側が作業位置P2に位置している状態を示した平面図。
【図8】(a)本発明に係るコンバインの引起装置下側が作業位置R1に位置している状態を示した側面図。(b)本発明に係るコンバインの引起装置下側が作業位置R1に位置している状態を示した平面図。(c)本発明に係るコンバインの引起装置下側が作業位置R2に位置している状態を示した側面図。(d)本発明に係るコンバインの引起装置下側が作業位置R2に位置している状態を示した平面図。
【図9】(a)本発明に係るコンバインの引起装置が作業位置R1に位置している状態を示した平面図。(b)本発明に係るコンバインの引起装置が作業位置R2に位置している状態を示した平面図。
【図10】(a)本発明に係るコンバインの引起装置が作業位置P1に位置している状態を示した平面図。(b)本発明に係るコンバインの引起装置が作業位置P2に位置している状態を示した平面図。
【符号の説明】
【0100】
1 コンバイン
21 分草具
22 引起装置
23 切断装置
24 搬送装置
30 脱穀部
110 刈取フレーム
117 引起横伝動パイプ
118 引起駆動パイプ
221 引起ケース
222 タイン付チェン
225 引起駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を分草する分草具と、
前記分草具により分草された複数条の穀稈を引き起こす引起装置と、
前記引起装置により引き起こされた複数条の穀稈を切断する切断装置と、
前記切断装置により切断された穀稈を脱穀部側へ搬送する搬送装置と、
前記分草具および各前記装置を支持する刈取フレームとを備えるコンバインの刈取部であって、
前記刈取フレームは、
前記引起装置の上部で左右横方向に延伸される引起横伝動パイプと、
前記引起横伝動パイプから下方に延設される引起駆動パイプとを備えて、
前記引起装置の引起ケースを、前記引起駆動パイプの軸回りに回動可能、かつ、該引起駆動パイプに対し前方に延設してタイン付チェンを駆動する引起駆動軸の軸回りに回動可能に支持する、コンバインの刈取部。
【請求項2】
前記引起装置と刈取フレームとの間には、前記引起ケースを所定の回動位置に保持する保持手段を備える、請求項1に記載のコンバインの刈取部。
【請求項3】
前記引起ケースは、回動用の把手を備える、請求項1または請求項2に記載のコンバインの刈取部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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