コンバインの刈取部
【課題】倒伏穀稈を起立させながら既刈地側の引起しケースの引起し経路内へ確実に誘導案内し、コンバインによる刈取作業の能率を高める。
【解決手段】既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース(8R)の前面よりも上方へ押し上げ案内する第1分草ガイド(11)と、既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の内側の引起し経路(K)内に向けて分草後の穀稈を誘導案内する第2分草ガイド(12)を設ける。
【解決手段】既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース(8R)の前面よりも上方へ押し上げ案内する第1分草ガイド(11)と、既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の内側の引起し経路(K)内に向けて分草後の穀稈を誘導案内する第2分草ガイド(12)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、引起しケースの前部で該引起しケースの全長にわたって棒材の分草ガイドを配設すると共に、この分草ガイドの上部を引起しケースより前方に張り出して設けた構成の分草装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−134634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成の分草ガイドでは、既刈地側の引起しケースより外側に向けて倒伏している穀稈に対しては引起し圏内への充分な誘導作用が働かず、穀稈が引起しケースの前面に絡み付いて脱粒や穂切れなどの発生を招く問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、立毛穀稈を左右に分草する複数の分草体(7)と分草後の穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(9)を設け、前記複数の分草体(7)のうちの既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース(8R)の前面よりも上方へ押し上げ案内する第1分草ガイド(11)と、前記既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の内側の引起し経路(K)内に向けて分草後の穀稈を誘導案内する第2分草ガイド(12)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取部とする。
【0006】
既刈地側の分草体(7R)による分草後の穀稈が既刈地側の引起しケース(8R)の前面より外側に向けて倒伏している場合には、その倒伏穀稈は、まず、第1分草ガイド(11)の作用を受けて上方へ徐々に起立する方向に押し上げ案内され、更に、第2分草ガイド(12)の作用を受けて既刈地側の引起しケース(8R)の前面より内側の引起し経路(K)内に向けて誘導案内される。
【0007】
従って、既刈地側に向けての倒伏穀稈であっても、第1分草ガイド(11)と第2分草ガイド(12)が有効に作用し、起立状態に押し上げ案内されながら、引起し経路内へ確実にスムースに誘導案内されることになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、既刈地側の分草体(7R)による分草後の穀稈が既刈地側に向けて倒伏しているものであっても、第1分草ガイド(11)と第2分草ガイド(12)の作用を受けて起立しながら既刈地側の引起しケース(8R)の引起し経路内へ確実にスムーズに誘導案内されることになり、脱粒や穂切れ等の発生がなく、分草引起し性能を高め、コンバインによる刈取作業の能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】別実施例の分草ガイドを備えたコンバインの側面図
【図4】同上正面図
【図5】別実施例のコンバインの一部破断せる側面図
【図6】コンバイン刈取部の別実施例における要部平面図
【図7】同上要部の平面図
【図8】同上要部の側面図
【図9】刈刃機構要部の側面図
【図10】刈刃機構の平面図
【図11】同上要部の分解平面図
【図12】刈刃機構要部の平面図
【図13】刈刃機構要部の平面図
【図14】同上要部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示し、図2はその正面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席や操作ボックス等の運転操作部を覆うキャビン5を備え、更に、そのキャビン5の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク6を装備している。
【0011】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体7,7,7…と、分草後の穀稈を引き起す7条(左側から2条、2条、1条、2条の計7条)の穀稈引起し装置8,8,8…と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置9と、刈取後の穀稈を掻込搬送する搬送装置10等からなる。
【0012】
前側の既刈地側分草体と後側の既刈地側引起し装置との間には、既刈地側に位置する右分草体7Rの背部位置から既刈地側に位置する引起しケース8Rの外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース8Rの前面より上方へ押し上げ案内する棒材からなる第1分草ガイド11と、前記右分草体7Rの背部位置から既刈地側引起しケース8R内側の引起し経路K内に向けて誘導案内する棒材からなる第2分草ガイド12が配設されている。これら第1・第2分草ガイド11,12は、立毛する穀稈が特に既刈地側外方に向けて倒伏している場合に有効に作用し、第1分草ガイド11にて倒伏状態の穀稈が徐々に起立する方向に押し上げ案内されて行き、更に第2分草ガイド12によって既刈地側引起しケース8Rより内側の引起し経路K内へ確実に誘導案内されるようになっている。
【0013】
また、右分草体7Rは、先端側が左内側方又は右外側方に向けて回動するよう分草支持フレーム13の途中部に設けた上下方向の縦軸14回りに回動自在に枢着され、遠隔操作レバーによって左右回動操作できるように構成されている。右分草体7Rの左右回動可能な構成に合わせて第1・第2分草ガイド11,12の上端部に枢支部15が設けられている。
【0014】
なお、図3及び図4に示す実施例は、第2分草ガイド12が2本の分草ガイド12a,12bによって構成され、分草案内作用がよりスムースに行えるようにしている。
図5に示すコンバインには、車体前後方向の傾斜角を検出する傾斜角センサ16と、通常モードと市街地モードとに切り替え可能なモードスイッチ17が設けられ、また、排ワラカッター部18には切断ワラを拡散放出するための拡散カバー19の開閉手段20が設けられ、更に唐箕21には回転センサ22が設けられている。そして、モードスイッチ17を市街地モードに切り替えて作業するときは、傾斜角センサ16により畦からの刈り込み角度を検出し、拡散カバー開閉手段20により、拡散カバー19を閉めた状態を維持するように制御し、更に唐箕21の回転数を低くして風圧を弱める側に制御する。かかる制御が一定時間経過すると、拡散カバー19が通常の拡散放出状態に戻り、唐箕21の回転数も定格回転数に戻る。このような制御によれば、住宅地などでの畦からの刈り込み時には、市街地モードに切り替えるだけで、切断ワラの道路への撒き散らしを防止することができ、周辺住民からの苦情防止が図れる。
【0015】
また、上記コンバインにおいて、刈取脱穀クラッチ入りの時、傾斜角センサ16が本機の一定の傾きを検出したときは、扱深さ調節チエン23を最深扱ぎ方向に移動させるように制御する。畦からの直接の刈り込み時には高刈りとなっているため、調節チエン23の深扱ぎ方向への移動制御により短稈適応性が向上する。従来発生していた急角度からの刈り込み時の扱深さ調節チエンの追従性不足による稈こぼれや搬送不良による詰まりを防止することができる。なお、上記傾斜角センサ検出に基づく本機の傾き度合いに比例して扱深さ調節チエンを深扱ぎ方向に移動制御するように構成することもできる。
【0016】
図6〜図8に示す実施例について説明する。
引起し後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置26は、掻込スターホイル26a、掻込搬送チエン26b及び掻込ベルト26c等からなる。
【0017】
穀稈合流搬送装置27は、株元側挟持搬送装置28と穂先側係止搬送装置29とからなり、平面視でハの字型に配設され、そして、左側の株元側挟持搬送装置28L及び穂先側係止搬送装置29Lは、掻込搬送後の2条分の刈取穀稈を引き継いで搬送する構成であり、右側の株元側挟持搬送装置28R及び穂先側係止搬送装置29Rは、掻込搬送後の2条分及び2条分の計4条分の刈取穀稈を引き継いで搬送する構成である。
【0018】
左右の穀稈合流搬送装置27L,27Rの搬送終端部と前記脱穀部3との間には扱ぎ深さ調節用の扱深さ調節チエン23及び上下2段の揚上搬送装置10が具備されている。
そして、前記左側の穂先側係止搬送装置29Lの終端側下方には、駆動軸31を支点として回動可能な下部穂先係止搬送手段(装置)30が設けられ、揚上搬送装置10始端への引継ぎが良好に行えるように配置構成されている。また、この下部穂先係止搬送手段30は、駆動軸31を中心とする回動位置調整が可能であるため、搬送量に応じて通路幅を適正に調整することができ、更に、係止搬送手段30をエアスプリング32等で支持し、搬送詰まりなどの過負荷が生じたときには逃避するように構成することによって該装置の破損を未然に防止することができる。
【0019】
次に、刈刃機構の構成について図9〜図11に示す構成例に基づき説明する。
上刃34と下刃35とからなるバリカン式刈刃33を左右に2分割し、左右の上刃34L,34Rが互いに相反する方向に摺動するよう構成された刈刃機構において、左右の刈刃33L,33Rの合わせ部をフレームパイプ(分草支持パイプ)36の下方部に位置させて設け、この左右の合わせ部において、左右の下刃35を固定するフレーム連結ステー37の中央部に貫通空間部S1を設けると共に、左右刈刃の合わせ部においても同様の合わせ空間部S2を設けた構成としている。従って、フレーム連結ステー及び左右刈刃の合わせ部に空間部を設けることで、稈切れや泥土が侵入しても滞留がなく、空間部から下方へ速やかに脱落することになり、切断性能が向上する。
【0020】
図12に示す実施例は、2分割刈刃の左右上刃34L,34Rが互いに振動を打ち消すよう相反する方向に摺動する構成の刈刃機構において、左右上刃バーの合わせ部の空間側端面E1,E2が後方側程広くなるようα角を施した構成としている。従来は合わせ端面E1,E2が前後方向に平行であった為、合わせ部空間にワラ屑が侵入すると、これが圧縮されて滞留する問題があったが、本例の上記構成によれば、ワラ屑が圧縮されても後方に押し出されることになる。
【0021】
また、図13及び図14に示す実施例では、左右上刃バーの合わせ部空間にワラ屑が侵入しないようにワラ屑侵入防止カバー38を設けた構成としている。また、この防止カバー38は、後方を開放した形状にすることによってワラ屑の後方への排出が容易に行えるようにしている。なお、図13には防止カバー38に穴39を設けた構成を示している。
【符号の説明】
【0022】
4 刈取部
7 分草体
7R 既刈地側分草体
8 引起し装置
8R 既刈地側引起しケース
9 刈取装置
11 第1分草ガイド
12 第2分草ガイド
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの刈取部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、引起しケースの前部で該引起しケースの全長にわたって棒材の分草ガイドを配設すると共に、この分草ガイドの上部を引起しケースより前方に張り出して設けた構成の分草装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−134634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成の分草ガイドでは、既刈地側の引起しケースより外側に向けて倒伏している穀稈に対しては引起し圏内への充分な誘導作用が働かず、穀稈が引起しケースの前面に絡み付いて脱粒や穂切れなどの発生を招く問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、立毛穀稈を左右に分草する複数の分草体(7)と分草後の穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(9)を設け、前記複数の分草体(7)のうちの既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース(8R)の前面よりも上方へ押し上げ案内する第1分草ガイド(11)と、前記既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の内側の引起し経路(K)内に向けて分草後の穀稈を誘導案内する第2分草ガイド(12)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取部とする。
【0006】
既刈地側の分草体(7R)による分草後の穀稈が既刈地側の引起しケース(8R)の前面より外側に向けて倒伏している場合には、その倒伏穀稈は、まず、第1分草ガイド(11)の作用を受けて上方へ徐々に起立する方向に押し上げ案内され、更に、第2分草ガイド(12)の作用を受けて既刈地側の引起しケース(8R)の前面より内側の引起し経路(K)内に向けて誘導案内される。
【0007】
従って、既刈地側に向けての倒伏穀稈であっても、第1分草ガイド(11)と第2分草ガイド(12)が有効に作用し、起立状態に押し上げ案内されながら、引起し経路内へ確実にスムースに誘導案内されることになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、既刈地側の分草体(7R)による分草後の穀稈が既刈地側に向けて倒伏しているものであっても、第1分草ガイド(11)と第2分草ガイド(12)の作用を受けて起立しながら既刈地側の引起しケース(8R)の引起し経路内へ確実にスムーズに誘導案内されることになり、脱粒や穂切れ等の発生がなく、分草引起し性能を高め、コンバインによる刈取作業の能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】別実施例の分草ガイドを備えたコンバインの側面図
【図4】同上正面図
【図5】別実施例のコンバインの一部破断せる側面図
【図6】コンバイン刈取部の別実施例における要部平面図
【図7】同上要部の平面図
【図8】同上要部の側面図
【図9】刈刃機構要部の側面図
【図10】刈刃機構の平面図
【図11】同上要部の分解平面図
【図12】刈刃機構要部の平面図
【図13】刈刃機構要部の平面図
【図14】同上要部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示し、図2はその正面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席や操作ボックス等の運転操作部を覆うキャビン5を備え、更に、そのキャビン5の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク6を装備している。
【0011】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体7,7,7…と、分草後の穀稈を引き起す7条(左側から2条、2条、1条、2条の計7条)の穀稈引起し装置8,8,8…と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置9と、刈取後の穀稈を掻込搬送する搬送装置10等からなる。
【0012】
前側の既刈地側分草体と後側の既刈地側引起し装置との間には、既刈地側に位置する右分草体7Rの背部位置から既刈地側に位置する引起しケース8Rの外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース8Rの前面より上方へ押し上げ案内する棒材からなる第1分草ガイド11と、前記右分草体7Rの背部位置から既刈地側引起しケース8R内側の引起し経路K内に向けて誘導案内する棒材からなる第2分草ガイド12が配設されている。これら第1・第2分草ガイド11,12は、立毛する穀稈が特に既刈地側外方に向けて倒伏している場合に有効に作用し、第1分草ガイド11にて倒伏状態の穀稈が徐々に起立する方向に押し上げ案内されて行き、更に第2分草ガイド12によって既刈地側引起しケース8Rより内側の引起し経路K内へ確実に誘導案内されるようになっている。
【0013】
また、右分草体7Rは、先端側が左内側方又は右外側方に向けて回動するよう分草支持フレーム13の途中部に設けた上下方向の縦軸14回りに回動自在に枢着され、遠隔操作レバーによって左右回動操作できるように構成されている。右分草体7Rの左右回動可能な構成に合わせて第1・第2分草ガイド11,12の上端部に枢支部15が設けられている。
【0014】
なお、図3及び図4に示す実施例は、第2分草ガイド12が2本の分草ガイド12a,12bによって構成され、分草案内作用がよりスムースに行えるようにしている。
図5に示すコンバインには、車体前後方向の傾斜角を検出する傾斜角センサ16と、通常モードと市街地モードとに切り替え可能なモードスイッチ17が設けられ、また、排ワラカッター部18には切断ワラを拡散放出するための拡散カバー19の開閉手段20が設けられ、更に唐箕21には回転センサ22が設けられている。そして、モードスイッチ17を市街地モードに切り替えて作業するときは、傾斜角センサ16により畦からの刈り込み角度を検出し、拡散カバー開閉手段20により、拡散カバー19を閉めた状態を維持するように制御し、更に唐箕21の回転数を低くして風圧を弱める側に制御する。かかる制御が一定時間経過すると、拡散カバー19が通常の拡散放出状態に戻り、唐箕21の回転数も定格回転数に戻る。このような制御によれば、住宅地などでの畦からの刈り込み時には、市街地モードに切り替えるだけで、切断ワラの道路への撒き散らしを防止することができ、周辺住民からの苦情防止が図れる。
【0015】
また、上記コンバインにおいて、刈取脱穀クラッチ入りの時、傾斜角センサ16が本機の一定の傾きを検出したときは、扱深さ調節チエン23を最深扱ぎ方向に移動させるように制御する。畦からの直接の刈り込み時には高刈りとなっているため、調節チエン23の深扱ぎ方向への移動制御により短稈適応性が向上する。従来発生していた急角度からの刈り込み時の扱深さ調節チエンの追従性不足による稈こぼれや搬送不良による詰まりを防止することができる。なお、上記傾斜角センサ検出に基づく本機の傾き度合いに比例して扱深さ調節チエンを深扱ぎ方向に移動制御するように構成することもできる。
【0016】
図6〜図8に示す実施例について説明する。
引起し後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置26は、掻込スターホイル26a、掻込搬送チエン26b及び掻込ベルト26c等からなる。
【0017】
穀稈合流搬送装置27は、株元側挟持搬送装置28と穂先側係止搬送装置29とからなり、平面視でハの字型に配設され、そして、左側の株元側挟持搬送装置28L及び穂先側係止搬送装置29Lは、掻込搬送後の2条分の刈取穀稈を引き継いで搬送する構成であり、右側の株元側挟持搬送装置28R及び穂先側係止搬送装置29Rは、掻込搬送後の2条分及び2条分の計4条分の刈取穀稈を引き継いで搬送する構成である。
【0018】
左右の穀稈合流搬送装置27L,27Rの搬送終端部と前記脱穀部3との間には扱ぎ深さ調節用の扱深さ調節チエン23及び上下2段の揚上搬送装置10が具備されている。
そして、前記左側の穂先側係止搬送装置29Lの終端側下方には、駆動軸31を支点として回動可能な下部穂先係止搬送手段(装置)30が設けられ、揚上搬送装置10始端への引継ぎが良好に行えるように配置構成されている。また、この下部穂先係止搬送手段30は、駆動軸31を中心とする回動位置調整が可能であるため、搬送量に応じて通路幅を適正に調整することができ、更に、係止搬送手段30をエアスプリング32等で支持し、搬送詰まりなどの過負荷が生じたときには逃避するように構成することによって該装置の破損を未然に防止することができる。
【0019】
次に、刈刃機構の構成について図9〜図11に示す構成例に基づき説明する。
上刃34と下刃35とからなるバリカン式刈刃33を左右に2分割し、左右の上刃34L,34Rが互いに相反する方向に摺動するよう構成された刈刃機構において、左右の刈刃33L,33Rの合わせ部をフレームパイプ(分草支持パイプ)36の下方部に位置させて設け、この左右の合わせ部において、左右の下刃35を固定するフレーム連結ステー37の中央部に貫通空間部S1を設けると共に、左右刈刃の合わせ部においても同様の合わせ空間部S2を設けた構成としている。従って、フレーム連結ステー及び左右刈刃の合わせ部に空間部を設けることで、稈切れや泥土が侵入しても滞留がなく、空間部から下方へ速やかに脱落することになり、切断性能が向上する。
【0020】
図12に示す実施例は、2分割刈刃の左右上刃34L,34Rが互いに振動を打ち消すよう相反する方向に摺動する構成の刈刃機構において、左右上刃バーの合わせ部の空間側端面E1,E2が後方側程広くなるようα角を施した構成としている。従来は合わせ端面E1,E2が前後方向に平行であった為、合わせ部空間にワラ屑が侵入すると、これが圧縮されて滞留する問題があったが、本例の上記構成によれば、ワラ屑が圧縮されても後方に押し出されることになる。
【0021】
また、図13及び図14に示す実施例では、左右上刃バーの合わせ部空間にワラ屑が侵入しないようにワラ屑侵入防止カバー38を設けた構成としている。また、この防止カバー38は、後方を開放した形状にすることによってワラ屑の後方への排出が容易に行えるようにしている。なお、図13には防止カバー38に穴39を設けた構成を示している。
【符号の説明】
【0022】
4 刈取部
7 分草体
7R 既刈地側分草体
8 引起し装置
8R 既刈地側引起しケース
9 刈取装置
11 第1分草ガイド
12 第2分草ガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立毛穀稈を左右に分草する複数の分草体(7)と分草後の穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(9)を設け、前記複数の分草体(7)のうちの既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース(8R)の前面よりも上方へ押し上げ案内する第1分草ガイド(11)と、前記既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の内側の引起し経路(K)内に向けて分草後の穀稈を誘導案内する第2分草ガイド(12)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取部。
【請求項1】
立毛穀稈を左右に分草する複数の分草体(7)と分草後の穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)と引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置(9)を設け、前記複数の分草体(7)のうちの既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の外側部に沿わせて分草後の穀稈を該引起しケース(8R)の前面よりも上方へ押し上げ案内する第1分草ガイド(11)と、前記既刈地側に位置する分草体(7R)の分草位置から既刈地側に位置する引起しケース(8R)の内側の引起し経路(K)内に向けて分草後の穀稈を誘導案内する第2分草ガイド(12)を設けたことを特徴とするコンバインの刈取部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−252693(P2010−252693A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106636(P2009−106636)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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