コンバインの刈取部
【課題】ワラ屑が株元搬送チェーンに付着することを防止することができ、メンテナンス作業の簡素化をはかりながら刈取作物を良好に搬送することができるコンバインの刈取部を提供する。
【解決手段】右の株元搬送チェーン78Rにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路148Rの上方を覆う右のカバー149、および、左の株元搬送チェーン78Lにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路148Lの上方を覆う左のカバー150を設けてある。
【解決手段】右の株元搬送チェーン78Rにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路148Rの上方を覆う右のカバー149、および、左の株元搬送チェーン78Lにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路148Lの上方を覆う左のカバー150を設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取作物を中央側に合流させて搬送装置に受け渡すように構成したコンバインの刈取部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインの刈取部では、刈取作物の株元を挟持搬送する右および左の株元搬送チェーンと、右および左の夫々の株元搬送チェーンに巻回されるスプロケットと、を備えて、刈取作物が右の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路および左の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路に沿って搬送されるものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−095355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンバインの刈取部において、刈取部の刈取動作に伴ってワラ屑等が巻き上げられ、巻き上げられたワラ屑等が降下して、右の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路および左の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上面に付着することがある。このような状態になると、例えば、付着したワラ屑等が株元搬送チェーンによってスプロケットまで搬送され、ワラ屑等がスプロケットに絡みついて株元搬送チェーンがスプロケットから脱落する虞がある等、刈取作物を良好に搬送することができない虞があった。また、株元搬送チェーンがスプロケットから脱落することを防止するためにスプロケットの掃除等を頻繁に行なう必要がある等、メンテナンス作業が煩雑になるものであった。
【0005】
本発明の目的は、ワラ屑が株元搬送チェーンに付着することを防止することができ、メンテナンス作業の簡素化をはかりながら刈取作物を良好に搬送することができるコンバインの刈取部を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインの刈取部は、刈取作物の株元を挟持搬送する右および左の株元搬送チェーンと該右および左の株元搬送チェーンの後方に位置する搬送装置とを備えて、刈取作物が、前記右の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路および前記左の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路に沿って搬送されるに伴って、刈取作物が中央側に合流して前記搬送装置に受け渡されるように構成してあるものであって、
その第1特徴構成は、前記右の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う右のカバー、および、前記左の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う左のカバーを設けてある点にある。
【0007】
本構成によれば、ワラ屑等が右および左の株元搬送チェーンにおける戻り経路の上面に付着することを防止でき、例えば、付着したワラ屑等が右および左の株元搬送チェーンによってスプロケットまで搬送され、ワラ屑等がスプロケットに絡みついて株元搬送チェーンがスプロケットから脱落することを防止できる等、刈取作物を良好に搬送することができる。また、株元搬送チェーンがスプロケットから脱落することを防止するためにスプロケットの掃除等を頻繁に行なう必要がない等、メンテナンス作業の回数を低減することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、刈取部フレームから左右方向に延びるカウンタケースから上方に延びて引起装置に接続される右および左の伝動ケースを備え、前記右および左の夫々の伝動ケースには、開口が形成され、前記右および左の夫々の伝動ケースには、引起伝動軸が内装され、前記右および左の夫々の引起伝動軸には、開口に臨むスプロケットが一体回動可能に取り付けられ、前記右の株元搬送チェーンは、前記右の伝動ケースの開口を通しつつ、前記右のスプロケットを巻回し、前記左の株元搬送チェーンは、前記左の伝動ケースの開口を通しつつ、前記左のスプロケットを巻回するように構成してあり、前記右のカバーの端部を、前記右の伝動ケースの開口近傍に取り付け、前記左のカバーの端部を、前記左の伝動ケースの開口近傍に取り付けてある点にある。
【0009】
本構成によれば、右のカバーの端部を右の伝動ケースの開口近傍に取り付け、左のカバーの端部を左の伝動ケースの開口近傍に取り付ければ、カバーの端部を伝動ケースの開口に十分に近接させることができ、カバーの端部と伝動ケースの開口との間に隙間が生じることを防止できる。その結果、ワラ屑が右および左の伝動ケースの開口から右および左の伝動ケースの内部に入り込むことを防止することができて、刈取作物を一層良好に搬送することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記右および左の夫々のスプロケットにおける直上側および直下側の少なくともいずれか一方を覆うカラーを、前記スプロケットおよび前記引起伝動軸に対して遊転可能に外挿してある点にある。
【0011】
本構成によれば、右および左の夫々のスプロケットにおける直上側および直下側の少なくともいずれか一方を覆うカラーを、スプロケットおよび引起伝動軸に対して遊転可能に外挿してあるので、万一ワラ屑等がスプロケットに絡みついたとしても、刈取部(引起伝動軸)を停止させた状態で、ワラ屑等を引っ張ることにより、カラーがワラ屑等と共に回転してワラ屑等を簡単に引き出し除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインを示す側面図である。
【図2】第1搬送装置および第2搬送装置を示す概略図である。
【図3】刈取部を示す平面図である。
【図4】カウンタケースおよび引起ケースを示す横断面図である。
【図5】株元搬送チェーンおよびカバーを示す平面図である。
【図6】刈取部を示す側面図である。
【図7】駆動スプロケットおよびカラーを示す縦断面図である。
【図8】操作力付与機構を示す縦断面図である。
【図9】操作力付与機構を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るコンバインについて説明する。
【0014】
〔全体構成〕
図1に示すように、コンバインは、左右のクローラ走行装置1を備えた走行機体2と、その走行機体2の前部上部に昇降可能に連結された刈取部3と、走行機体2の右側前部に設けられた運転部4と、走行機体2の左側後部に搭載された脱穀装置5と、走行機体2の右側後部に搭載された穀粒回収タンク6と、その穀粒回収タンク6の後部に設けられた穀粒排出オーガ7と、脱穀装置5および穀粒排出オーガ7の後部に搭載された排ワラ処理装置8と、を備えている。
【0015】
〔刈取部〕
図1〜図6に示すように、前記刈取部3は、植立作物を分草する4つのデバイダ11A〜11Dと、分草された植立作物を所定の刈取り姿勢に引起す3つの引起装置12R,12C,12Lと、引起装置12により引起した植立作物を切断するバリカン型の刈取装置13と、切断された植立作物を後方に搬送する第1搬送装置71および第2搬送装置72(搬送装置の一例)と、を備えている。
【0016】
(刈取部を構成する各種ケース)
図1〜図6に示すように、前記刈取部3は、刈取軸(図示しない)が内装された横向きのギヤケース21と、第1伝動軸22が内装されてそのギヤケース21の中央部から前方下方に延びる刈取部フレーム23と、第2伝動軸24が内装されて刈取部フレーム23の下端部から左右方向に延びるカウンタケース25と、第3伝動軸26(右の引起伝動軸の一例)が内装されてカウンタケース25の右端部から上方に延びる右の引起ケース27R(右の伝動ケースの一例)と、第4伝動軸28が内装されてカウンタケース25の中央部から前方に延びる接続ケース29と、第5伝動軸30(中央の引起伝動軸の一例)が内装されて接続ケース29の先端部から上方に延びる中央の引起ケース27C(中央の伝動ケースの一例)と、第6伝動軸31(左の引起伝動軸の一例)が内装されてカウンタケース25の左端部から上方に延びる左の引起ケース27L(左の伝動ケースの一例)と、を備えている。
【0017】
具体的には、前記右の引起ケース27Rは、筒状の上部ケース41と前後2分割式の下部ケース42とを備えている。下部ケース42は、前ケース部42Aと、後ケース部42Bと、それら両ケース部42A,42Bのフランジ部の外側を覆う断面形状がコ字状のチャンネル部材43とを備えている。複数のボルト44によって両ケース部42A,42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してある。第3伝動軸26は、上下2分割式に構成してあり、上部ケース41には第3伝動軸26の上側部分が内装され、下部ケース42には第3伝動軸26の下側部分が内装されている。下部ケース42の中間には、第3伝動軸26の下側部分の中間部に固定された右の駆動スプロケット45R(右のスプロケットの一例)を収容する平面視で四角状の箱状の膨出部46が形成されている。膨出部46とチャンネル部材43との間には、前後方向に並ぶ2つの開口部分からなる右の開口47Rが形成されている。
【0018】
前記膨出部46には、上下方向に貫通する軸芯部材48が取り付けられている。軸芯部材48の外側には、ばね49が装備されている。ばね49の一端部が膨出部46に固定されるとともに、ばね49の他端側の湾曲部49Aが後述する右の株元搬送チェーン78Rに当接する。これにより、右の株元搬送チェーン78Rが右の駆動スプロケット45Rから外れることを防止するように構成してある。
【0019】
前記左の引起ケース27Lは、右の引起ケース27Rと同様の構成であり、筒状の上部ケース41と前後2分割式の下部ケース42とを備えている。下部ケース42は、前ケース部42Aと、後ケース部42Bと、それら両ケース部42A,42Bのフランジ部の外側を覆う断面形状がコ字状のチャンネル部材43とを備えている。複数のボルト44によって両ケース部42A,42Bのフランジ部とチャンネル部材43とを共締め固定してある。第6伝動軸31は、上下2分割式に構成してあり、上部ケース41には第6伝動軸31の上側部分が内装され、下部ケース42には第6伝動軸31の下側部分が内装されている。下部ケース42の途中には、第6伝動軸31の下側部分の中間部に固定された左の駆動スプロケット45L(左のスプロケットの一例)を収容する平面視で四角状の箱状の膨出部46が形成されている。膨出部46とチャンネル部材43との間には、前後方向に並ぶ2つの開口部分からなる左の開口47Lが形成されている。
【0020】
前記膨出部46には、上下方向に貫通する軸芯部材48が取り付けられている。軸芯部材48の外側には、ばね49が装備されている。ばね49の一端部が膨出部46に固定されるとともに、ばね49の他端側の湾曲部49Aが後述する左の株元搬送チェーン78Lに当接する。これにより、左の株元搬送チェーン78Lが左の駆動スプロケット45Lから外れることを防止するように構成してある。
【0021】
(カラー)
図7に示すように、前記右の駆動スプロケット45Rは、膨出部46の下部に回動可能に支持された円筒状の軸部分32とその軸部分32の上端部に形成された爪部分である回転部分33とを備えている。右の駆動スプロケット45Rにおける直上側(第3伝動軸26における膨出部46の上部と右の駆動スプロケット45Rの回転部分33との間)を覆う円筒状の上部カラー34(カラーの一例)を、第3伝動軸26に対して遊転可能に外挿してある。右の駆動スプロケット45Rにおける直下側(右の駆動スプロケット45Rの軸部分32)を覆う円筒状の下部カラー35(カラーの一例)を、右の駆動スプロケット45Rの軸部分32に対して遊転可能に外挿してある。
【0022】
前記左の駆動スプロケット45Lは、膨出部46の下部に回動可能に支持された円筒状の軸部分32とその軸部分32の上端部に形成された爪部分である回転部分33とを備えている。左の駆動スプロケット45Lにおける直上側(第6伝動軸31における膨出部46の上部と左の駆動スプロケット45Lの回転部分33との間)を覆う円筒状の上部カラー34(カラーの一例)を、第6伝動軸31に対して遊転可能に外挿してある。左の駆動スプロケット45Lにおける直下側(左の駆動スプロケット45Lの軸部分32)を覆う円筒状の下部カラー35(カラーの一例)を、左の駆動スプロケット45Lの軸部分32に対して遊転可能に外挿してある。これにより、万一ワラ屑等が右および左の駆動スプロケット45R,45Lに絡みついたとしても、第3および第6伝動軸26,31を停止させた状態で、ワラ屑等を引っ張ることにより、上部カラー34および下部カラー35がワラ屑等と共に回転してワラ屑等を簡単に引き出し除去することができる。
【0023】
(操作力付与機構)
図8,9に示すように、前記刈取部3の刈取部フレーム23と、走行機体2の機体フレーム103の前端部とに亘って、刈取部3を揺動支点X周りに上下揺動操作する油圧シリンダCYが介装されている。走行機体2の機体フレーム103の前端部には、バランスばね121を備えて刈取部3に上昇操作力を付与する操作力付与機構SKが取り付けられており、刈取部フレーム23に固定されたばね当て部122が操作力付与機構SKに分離可能に接当支持される。この操作力付与機構SKによって刈取部3に上昇操作力を付与することにより、刈取部3のデバイダ11A〜11Dが圃場面に入り込むことを防止しつつ、刈取部3の下部が圃場面に接触した状態で刈取作業(いわゆる接地刈り)を行うことができる。
【0024】
前記操作力付与機構SKは、油圧シリンダCYよりも上方側の部位に横方向に並べて設けた2つのバランスばね121、刈取部フレーム23の後方側に設けたばね当て部122を備えて構成してある。尚、バランスばね121は、可撓性を備えたばねカバー(図示しない)によって覆われている。
【0025】
前記2つのバランスばね121の夫々には、ばねホルダー124が取り付けられている。ばねホルダー124は、バランスばね121の先端側に係止筒部128aが入り込んで係止した先端側ホルダー128、バランスばね121の基端側に係止筒部125aが入り込んで係止した基端側ホルダー125、係止筒部128a,125aどうしを締め付け連結する連結ロッド129を備えて構成してある。これにより、バランスばね121は、初期圧縮変形状態を維持している。
【0026】
前記機体フレーム103には、ばね受け台126が固定されている、ばね受け台126の座板126aによってばねホルダー124の基端側ホルダー125が受け止め支持されている。ばね受け台126の座板126aには、2つのばね伸縮ガイド杆127が取り付けられて前方に延出されている。2つのばね伸縮ガイド杆127の夫々は、基端側ホルダー125及び先端側ホルダー128を挿通し、先端側ホルダー128から突出している。
【0027】
前記先端側ホルダー128のばね当て部122側の面には、複数の荷重調整用の平板状のシム131が積層する状態でボルト連結されている。シム131の数を増減することにより、刈取部3の上昇操作力を調整することができる。これにより、刈取部3を取り外さなくても、刈取部3を上方に揺動するだけの簡単な操作でシム131の数を増減することができる。
【0028】
前記先端側ホルダー128のガイド穴部には、伸縮ガイド杆127の先端部を貫通する状態で筒状の樹脂製のブッシュ132が取り付けられている。ブッシュ132の内周部には、複数のリブ(図示しない)が軸芯方向に沿って形成されている。これにより、ブッシュ132と伸縮ガイド杆127との滑りをよくして伸縮ガイド杆127の磨耗を防止することができる。さらに、伸縮ガイド杆127が先端側ホルダー128のガイド穴部に引っ掛かってバランスばね121が撓むことを防止できる。
【0029】
(刈取部に取り付けられた各種装置)
図1〜6に示すように、前記カウンタケース25の右端部から平面視で略L字状の第1刈取フレーム51が前方に延びている。カウンタケース25の右寄り箇所から直線状の第2刈取フレーム52が前方に延びている。カウンタケース25の左寄り箇所から直線状の第3刈取フレーム53が前方に延びている。カウンタケース25の左端部から平面視で略L字状の第4刈取フレーム54が前方に延びている。それら刈取フレーム51〜54に亘ってバリカン式の刈取装置13が取り付けられている。
【0030】
前記第1刈取フレーム51の先端部には、デバイダ11Aおよび右側取付フレーム55が固定されている。右側取付フレーム55は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略L字状に構成してある。右側取付フレーム55の折曲部分の先端部、および、右の引起ケース27Rにおける上部ケース41の上端部は、右の引起装置12Rの裏側に連結されており、それら右側取付フレーム55および右の引起ケース27Rによって、右の引起装置12Rが支持されている。
【0031】
前記右側取付フレーム55の折曲部分55bの途中には、右側連結パイプ56が連結されている。右側連結パイプ56は、平面視でくの字状に折れ曲がった前後向きの第1部分と、チャンネル部材43に連結された上下向きの第2部分と、後述する中央支持ブラケット57に連結された横向きの第3部分とを備えている。右側連結パイプ56の第1部分の左側には、右側支持ブラケット141が固定されている。右側支持ブラケット141の前側部分の下側には、上下向きの右側軸芯部材142が支持され、その右側軸芯部材142には、上から順に後述する駆動プーリ81、第2従動スプロケット77、右の掻込回転パッカー75Rが回転可能に支持されている。
【0032】
前記第2刈取フレーム52の先端部には、デバイダ11Bおよび植立作物をガイドする複数の搬送ガイド57が固定されている。
【0033】
前記第3刈取フレーム53の先端部には、デバイダ11C、中央取付フレーム58、および植立作物をガイドする複数の搬送ガイド59が固定されている。中央取付フレーム58は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略L字状に構成してある。中央取付フレーム58の折曲部分の先端部、および、中央の引起ケース27Cの上端部は、中央の引起装置12Cの裏側に連結されており、それら中央取付フレーム58および中央の引起ケース27Cによって、中央の引起装置12Cが支持されている。
【0034】
前記中央取付フレーム58と中央の引起ケース27Cとに亘って前側支持ブラケット(図示しない)が連結されている。前側支持ブラケットの前側部分の下側には、上下向きの中央軸芯部材143が支持され、その中央軸芯部材143には、上から順に後述する駆動プーリ84、中央の掻込回転パッカー75Cが回転可能に支持されている。
【0035】
前記第4刈取フレーム54の先端部には、デバイダ11Dおよび左側取付フレーム60が固定されている。左側取付フレーム60は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略L字状に構成してある。左側取付フレーム60の折曲部分の先端部、および、左の引起ケース27Lにおける上部ケース41の上端部は、左の引起装置12Lの裏側に連結されており、それら左側取付フレーム60および左の引起ケース27Lによって、左の引起装置12Lが支持されている。
【0036】
前記左側取付フレーム60の取付部分の途中には、左側連結パイプ61が連結されている。左側連結パイプ61は、平面視でくの字状に折れ曲がった前後向きの第1部分と、チャンネル部材43に連結された上下向きの第2部分とを備えている。左側連結パイプ61の第1部分の右側には、左側支持ブラケット144が固定されている。左側連結パイプ61の第2部分の途中には、後述するチェーンガイド部80が固定されている。左側支持ブラケット144の前側部分の下側には、上下向きの左側軸芯部材145が支持され、その左側軸芯部材145には、上から順に後述する駆動プーリ87、従動スプロケット79、左の掻込回転パッカー75Lが回転可能に支持されている。
【0037】
前記刈取部フレーム23の下端部には、後側支持ブラケット146が取り付けられている。後側支持ブラケット146の下側には、上下向きの後側軸芯部材147が支持され、その後側軸芯部材147には、後述する第1従動スプロケット76が回転可能に支持されている。
【0038】
(第1搬送装置)
図2〜図6に示すように、第1搬送装置71は、植立作物の株元側を挟持して搬送する挟持搬送機構73と、植立作物の穂先側を係止して搬送する係止搬送機構74と、植立作物の株元側を掻き込む掻込機構75とを備えている。
【0039】
前記挟持搬送機構73は、右の挟持搬送部分73Rと左の挟持搬送部分73Lとを備えている。右の株元挟持搬送部分73Rは、右の駆動スプロケット45Rと、第1従動スプロケット76と、第2従動スプロケット77と、それらスプロケット45R,76,77に亘って巻回された右の株元搬送チェーン78Rと、を備えている。左の株元挟持搬送部分73Lは、左の駆動スプロケット45Lと、従動スプロケット79と、チェーンガイド部80と、それらスプロケット45L,79およびチェーンガイド部80に亘って巻回された左の株元搬送チェーン78Lと、を備えている。
【0040】
前記係止搬送機構74は、右の係止搬送部分74Rと中央の係止搬送部分74Cと左の係止搬送部分74Lとを備えている。右の係止搬送部分74Rは、駆動プーリ81と従動プーリ82とそれらプーリ81,82に亘って巻回された突起付きベルト83とを備えている。中央の係止搬送部分74Cは、駆動プーリ84と従動プーリ85とそれらプーリ84,85に亘って巻回された突起付きベルト86とを備えている。左の係止搬送部分74Lは、駆動プーリ87と従動プーリ88とそれらプーリ87,88に亘って巻回された突起付きベルト89とを備えている。
【0041】
前記掻込機構75は、右の掻込回転パッカー75Rと中央の掻込回転パッカー75Cと左の掻込回転パッカー75Lとを備えている。
【0042】
エンジン(図示しない)からの動力は、刈取軸、第1伝動軸22、第2伝動軸24、第3伝動軸26を介して右の駆動スプロケット45Rに伝達され、右の駆動スプロケット45Rが回転する。右の駆動スプロケット45Rの回転駆動によって右の株元搬送チェーン78Rが回転し、第2従動スプロケット77が回転する。第2従動スプロケット77の回転に連動して駆動プーリ81および右の掻込回転パッカー75Rが回転する。駆動プーリ81の回転駆動によって突起付きベルト83が回転する。
【0043】
右の掻込回転パッカー75Rと中央の掻込回転パッカー75Cとの噛み合いによって右の掻込回転パッカー75Rの回転に連動して中央の掻込回転パッカー75Cおよび駆動プーリ84が回転する。駆動プーリ84の回転駆動によって突起付きベルト86が回転する。
【0044】
エンジンからの動力は、刈取軸、第1伝動軸22、第2伝動軸24、第6伝動軸31を介して左の駆動スプロケット45Lに伝達され、左の駆動スプロケット45Lが回転する。左の駆動スプロケット45Lの回転駆動によって左の株元搬送チェーン78Lが回転し、従動スプロケット79が回転する。従動スプロケット79の回転に連動して駆動プーリ87および左の掻込回転パッカー75Lが回転する。駆動プーリ87の回転駆動によって突起付きベルト89が回転する。
【0045】
前記植立作物の株元が、右の株元搬送チェーン78Rにおける第2従動スプロケット77の巻回部分(右の搬送始端部)から第1従動スプロケット76の巻回部分(右の搬送終端部)までの右の搬送経路90Rに沿って搬送され、左の株元搬送チェーン78Lにおける従動スプロケット79の巻回部分(左の搬送始端部)からチェーンガイド部80の先端部分(左の搬送終端部)までの左の搬送経路90Lに沿って搬送されて、中央側に合流する。植立作物の株元が、右の掻込回転パッカー75R,中央の掻込回転パッカー75C,および左の掻込回転パッカー75Lによって掻き込まれ、突起付きベルト83,86,89によって係止搬送される。
【0046】
これにより、第1搬送装置71は、刈取作物を中央側に合流させつつ後方に搬送して第1搬送装置71の後方に位置する第2搬送装置72に受け渡すように構成してある。
【0047】
(第2搬送装置)
図2〜図6に示すように、第2搬送装置72は、作物の株元側を挟持して搬送する挟持搬送機構91と、作物の穂先側を係止して搬送する係止搬送機構92を備えている。挟持搬送機構91は、駆動スプロケット93と第1従動スプロケット94と、第2従動スプロケット95と、それらスプロケット93〜95に亘って巻回された株元搬送チェーン96とを備えている。係止搬送機構92は、駆動スプロケット97と従動スプロケット98とそれらスプロケット97,98とに亘って巻回された突起付きチェーン99とを備えている。
【0048】
エンジンからの動力は、刈取軸、第7伝動軸70を介して駆動スプロケット93に伝達され、駆動スプロケット93が回転する。駆動スプロケット93の回転駆動によって株元搬送チェーン96が回転する。駆動スプロケット93の回転に連動して駆動スプロケット97が回転する。駆動スプロケット97の回転駆動によって突起付きチェーン99が回転する。
【0049】
植立作物の株元が、株元搬送チェーン96における第2従動スプロケット95の巻回部分(搬送始端部)から第1従動スプロケット94の巻回部分(右の搬送終端部)までの搬送経路100に沿って搬送され、植立作物の穂先が、突起付きチェーン99によって係止搬送される。これにより、第2搬送装置72は、植立作物を後方上方に搬送して、第2搬送装置72の後方に位置するフィードチェーン101および脱穀装置5に受け渡すように構成してある。
【0050】
(右のカバー)
図3,図5,図6に示すように、右の株元搬送チェーン78Rにおける第1従動スプロケット76の巻回部分から第2従動スプロケット77の巻回部分への右の戻り経路148Rのうち、第1従動スプロケット76の巻回部分から右の駆動スプロケット45Rへの戻り経路部分の上方及び後方を覆う右のカバー149を設けてある。右のカバー149の右端部を、右の駆動スプロケット45Rにおける膨出部46とチャンネル部材43との間に形成された右の開口47R近傍に連結し、右のカバー149の左端部を、後側支持ブラケット146に連結してある。
【0051】
具体的には、右のカバー149は、上面部149aと後側面部149bとを備えて断面形状がL字状の長尺状に構成してある。上面部149aの両端側に傾斜部149cが形成されている。右の傾斜部149cが膨出部46の上面に載置支持されている。上面部149aの右端側の前端部には、第1取付部材151が固定されている。第1取付部材151は、上面部149aの右端側の前端部から前方に延びる固定部分と該固定部分から上方に延びる取付部分とを備えて、断面形状が略L字状に構成してある。第1取付部材151の取付部分と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とをボルト44により共締め固定してある。左の傾斜部149cが後側支持ブラケット146の上面に載置支持されている。後側面部149bの左端側の上端部には、矩形板状の第2取付部材152が固定されている。第2取付部材152は、後側面部149bの左端側の上端部から横側方に延びている。第2取付部材152の先端部は、後側支持ブラケット146にボルト連結されている。
【0052】
(左のカバー)
左の株元搬送チェーン78Lにおけるチェーンガイド部80の先端部分から従動スプロケット79の巻回部分への左の戻り経路148Lのうち、チェーンガイド部80の先端部分から基端部分への戻り経路部分の上方及び後方を覆う左のカバー150を設けてある。左のカバー150の中間部を、左側支持ブラケット144の後端部にボルト連結し、左のカバー150の左端部を、左の駆動スプロケット45Lにおける膨出部46とチャンネル部材43との間に形成された右の開口47L近傍に連結してある。
【0053】
具体的には、左のカバー150は、上面部150aと後側面部150bとを備えて断面形状がL字状の長尺状に構成してある。上面部150aの両端側に傾斜部150cが形成されている。上面部150aの左端側の前端部には、第3取付部材153が固定されている。第3取付部材153は、上面部150aの左端側の前端部から前方に延びる固定部分と該固定部分から上方に延びる取付部分とを備えて、断面形状が略L字状に構成してある。第3取付部材153の取付部分と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とをボルト44により共締め固定してある。左の傾斜部150cが膨出部46の上面に載置支持されている。上面部150aの右端側の前端部には、第4取付部材154が固定されている。第4取付部材154の先端部が左側支持ブラケット144の後端部の右側部分にボルト連結されている。
【0054】
これにより、ワラ屑等が右および左の株元搬送チェーン78R,78Lにおける戻り経路148R,148Lの上面に付着することを防止でき、付着したワラ屑等が右および左の株元搬送チェーン78R,78Lによって右および左の駆動スプロケット45R,45Lまで搬送されて、ワラ屑等が右および左の駆動スプロケット45R,45Lに絡みつくことを防止できる等、刈取作物を良好に搬送することができる。
【0055】
加えて、右のカバー149における右の傾斜部149cが膨出部46の上面に載置支持されるとともに、左の傾斜部149cが後側支持ブラケット146の上面に載置支持されているので、膨出部46と後側支持ブラケット146とに亘って右のカバー149が架設されることになり、右のカバー149を安定的に支持できる。加えて、膨出部46と右のカバー149との隙間を無くして、ワラ屑等が右および左の株元搬送チェーン78R,78Lにおける戻り経路148R,148Lの上面に付着することを一層防止できる。
【0056】
〔別実施形態〕
(1)右のカバー149を省略して左のカバー150のみを設けてもよく、あるいは、左のカバー150を省略して右のカバー149のみを設けてもよい。
【0057】
(2)右の戻り経路148Rのうち、第1従動スプロケット76の巻回部分から右の駆動スプロケット45Rへの戻り経路部分の上方を覆う右のカバー149を設ける構成に加えて、右の戻り経路148Rのうち、右の駆動スプロケット45Rから第2従動スプロケット77の巻回部分への戻り経路部分の上方を覆う追加のカバーを設けてもよい。
【0058】
(3)左の戻り経路148Lのうち、チェーンガイド部80の先端部分から基端部分への戻り経路部分の上方を覆う左のカバー150を設ける構成に加えて、左の戻り経路148Lのうち、チェーンガイド部80の基端部分から従動スプロケット79の巻回部分への戻り経路部分の上方を覆う追加のカバーを設けてもよい。
【0059】
(4)上部カラー34および下部カラー35を設ける構成に代えて、上部カラー34のみを設けて、下部カラー35を省略してもよく、あるいは、下部カラー35のみを設けて、上部カラー34を省略してもよい。
【0060】
(5)右および左のカバー149,150は、断面形状がコ字状のチャンネル部材で構成してもよく、水平状の長尺状のフラットバーで構成してもよい。
【0061】
(6)右のカバー149の上面部149aの右端側の前端部に略L字状の第1取付部材151を固定する構成に代えて、右のカバー149の上面部149aの右端側の前端部に上下向きの平板状の第1取付部材を固定し、その第1取付部材の先端部と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。あるいは、右のカバー149の上面部149aの右端側の前端部を上方側に折り曲げて第1取付部材を形成し、その第1取付部材の先端部と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。
【0062】
(7)左のカバー150の上面部150aの左端側の前端部に略L字状の第3取付部材153を固定する構成に代えて、左のカバー150の上面部150aの左端側の前端部に上下向きの平板状の第3取付部材を固定し、その第3取付部材の取付部分と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。あるいは、左のカバー150の上面部150aの左端側の前端部を上方側に折り曲げて第3取付部材を形成し、その第3取付部材の先端部と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。
【0063】
(8)上面部150aの右端側の前端部に第4取付部材154を固定し、その第4取付部材154の先端部を左側支持ブラケット144の後端部の右側部分にボルト連結する構成に代えて、上面部150aの右端側の前端部に第4取付部材を固定し、その第4取付部材の先端部をチェーンガイド部80にボルト連結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、刈取作物を中央側に合流させて搬送装置に受け渡すように構成した各種コンバインの刈取部に適応可能である。
【符号の説明】
【0065】
12R,12L 引起装置
23 刈取部フレーム
25 カウンタケース
26,31 引起伝動軸
27R,27L 伝動ケース
34,35 カラー
45R,45L スプロケット
47R,47L 開口
72 搬送装置
78R,78L 株元搬送チェーン
90R,90L 搬送経路
148R,148L 戻り経路
149,150 カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取作物を中央側に合流させて搬送装置に受け渡すように構成したコンバインの刈取部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインの刈取部では、刈取作物の株元を挟持搬送する右および左の株元搬送チェーンと、右および左の夫々の株元搬送チェーンに巻回されるスプロケットと、を備えて、刈取作物が右の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路および左の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路に沿って搬送されるものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−095355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンバインの刈取部において、刈取部の刈取動作に伴ってワラ屑等が巻き上げられ、巻き上げられたワラ屑等が降下して、右の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路および左の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上面に付着することがある。このような状態になると、例えば、付着したワラ屑等が株元搬送チェーンによってスプロケットまで搬送され、ワラ屑等がスプロケットに絡みついて株元搬送チェーンがスプロケットから脱落する虞がある等、刈取作物を良好に搬送することができない虞があった。また、株元搬送チェーンがスプロケットから脱落することを防止するためにスプロケットの掃除等を頻繁に行なう必要がある等、メンテナンス作業が煩雑になるものであった。
【0005】
本発明の目的は、ワラ屑が株元搬送チェーンに付着することを防止することができ、メンテナンス作業の簡素化をはかりながら刈取作物を良好に搬送することができるコンバインの刈取部を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインの刈取部は、刈取作物の株元を挟持搬送する右および左の株元搬送チェーンと該右および左の株元搬送チェーンの後方に位置する搬送装置とを備えて、刈取作物が、前記右の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路および前記左の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路に沿って搬送されるに伴って、刈取作物が中央側に合流して前記搬送装置に受け渡されるように構成してあるものであって、
その第1特徴構成は、前記右の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う右のカバー、および、前記左の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う左のカバーを設けてある点にある。
【0007】
本構成によれば、ワラ屑等が右および左の株元搬送チェーンにおける戻り経路の上面に付着することを防止でき、例えば、付着したワラ屑等が右および左の株元搬送チェーンによってスプロケットまで搬送され、ワラ屑等がスプロケットに絡みついて株元搬送チェーンがスプロケットから脱落することを防止できる等、刈取作物を良好に搬送することができる。また、株元搬送チェーンがスプロケットから脱落することを防止するためにスプロケットの掃除等を頻繁に行なう必要がない等、メンテナンス作業の回数を低減することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、刈取部フレームから左右方向に延びるカウンタケースから上方に延びて引起装置に接続される右および左の伝動ケースを備え、前記右および左の夫々の伝動ケースには、開口が形成され、前記右および左の夫々の伝動ケースには、引起伝動軸が内装され、前記右および左の夫々の引起伝動軸には、開口に臨むスプロケットが一体回動可能に取り付けられ、前記右の株元搬送チェーンは、前記右の伝動ケースの開口を通しつつ、前記右のスプロケットを巻回し、前記左の株元搬送チェーンは、前記左の伝動ケースの開口を通しつつ、前記左のスプロケットを巻回するように構成してあり、前記右のカバーの端部を、前記右の伝動ケースの開口近傍に取り付け、前記左のカバーの端部を、前記左の伝動ケースの開口近傍に取り付けてある点にある。
【0009】
本構成によれば、右のカバーの端部を右の伝動ケースの開口近傍に取り付け、左のカバーの端部を左の伝動ケースの開口近傍に取り付ければ、カバーの端部を伝動ケースの開口に十分に近接させることができ、カバーの端部と伝動ケースの開口との間に隙間が生じることを防止できる。その結果、ワラ屑が右および左の伝動ケースの開口から右および左の伝動ケースの内部に入り込むことを防止することができて、刈取作物を一層良好に搬送することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記右および左の夫々のスプロケットにおける直上側および直下側の少なくともいずれか一方を覆うカラーを、前記スプロケットおよび前記引起伝動軸に対して遊転可能に外挿してある点にある。
【0011】
本構成によれば、右および左の夫々のスプロケットにおける直上側および直下側の少なくともいずれか一方を覆うカラーを、スプロケットおよび引起伝動軸に対して遊転可能に外挿してあるので、万一ワラ屑等がスプロケットに絡みついたとしても、刈取部(引起伝動軸)を停止させた状態で、ワラ屑等を引っ張ることにより、カラーがワラ屑等と共に回転してワラ屑等を簡単に引き出し除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインを示す側面図である。
【図2】第1搬送装置および第2搬送装置を示す概略図である。
【図3】刈取部を示す平面図である。
【図4】カウンタケースおよび引起ケースを示す横断面図である。
【図5】株元搬送チェーンおよびカバーを示す平面図である。
【図6】刈取部を示す側面図である。
【図7】駆動スプロケットおよびカラーを示す縦断面図である。
【図8】操作力付与機構を示す縦断面図である。
【図9】操作力付与機構を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るコンバインについて説明する。
【0014】
〔全体構成〕
図1に示すように、コンバインは、左右のクローラ走行装置1を備えた走行機体2と、その走行機体2の前部上部に昇降可能に連結された刈取部3と、走行機体2の右側前部に設けられた運転部4と、走行機体2の左側後部に搭載された脱穀装置5と、走行機体2の右側後部に搭載された穀粒回収タンク6と、その穀粒回収タンク6の後部に設けられた穀粒排出オーガ7と、脱穀装置5および穀粒排出オーガ7の後部に搭載された排ワラ処理装置8と、を備えている。
【0015】
〔刈取部〕
図1〜図6に示すように、前記刈取部3は、植立作物を分草する4つのデバイダ11A〜11Dと、分草された植立作物を所定の刈取り姿勢に引起す3つの引起装置12R,12C,12Lと、引起装置12により引起した植立作物を切断するバリカン型の刈取装置13と、切断された植立作物を後方に搬送する第1搬送装置71および第2搬送装置72(搬送装置の一例)と、を備えている。
【0016】
(刈取部を構成する各種ケース)
図1〜図6に示すように、前記刈取部3は、刈取軸(図示しない)が内装された横向きのギヤケース21と、第1伝動軸22が内装されてそのギヤケース21の中央部から前方下方に延びる刈取部フレーム23と、第2伝動軸24が内装されて刈取部フレーム23の下端部から左右方向に延びるカウンタケース25と、第3伝動軸26(右の引起伝動軸の一例)が内装されてカウンタケース25の右端部から上方に延びる右の引起ケース27R(右の伝動ケースの一例)と、第4伝動軸28が内装されてカウンタケース25の中央部から前方に延びる接続ケース29と、第5伝動軸30(中央の引起伝動軸の一例)が内装されて接続ケース29の先端部から上方に延びる中央の引起ケース27C(中央の伝動ケースの一例)と、第6伝動軸31(左の引起伝動軸の一例)が内装されてカウンタケース25の左端部から上方に延びる左の引起ケース27L(左の伝動ケースの一例)と、を備えている。
【0017】
具体的には、前記右の引起ケース27Rは、筒状の上部ケース41と前後2分割式の下部ケース42とを備えている。下部ケース42は、前ケース部42Aと、後ケース部42Bと、それら両ケース部42A,42Bのフランジ部の外側を覆う断面形状がコ字状のチャンネル部材43とを備えている。複数のボルト44によって両ケース部42A,42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してある。第3伝動軸26は、上下2分割式に構成してあり、上部ケース41には第3伝動軸26の上側部分が内装され、下部ケース42には第3伝動軸26の下側部分が内装されている。下部ケース42の中間には、第3伝動軸26の下側部分の中間部に固定された右の駆動スプロケット45R(右のスプロケットの一例)を収容する平面視で四角状の箱状の膨出部46が形成されている。膨出部46とチャンネル部材43との間には、前後方向に並ぶ2つの開口部分からなる右の開口47Rが形成されている。
【0018】
前記膨出部46には、上下方向に貫通する軸芯部材48が取り付けられている。軸芯部材48の外側には、ばね49が装備されている。ばね49の一端部が膨出部46に固定されるとともに、ばね49の他端側の湾曲部49Aが後述する右の株元搬送チェーン78Rに当接する。これにより、右の株元搬送チェーン78Rが右の駆動スプロケット45Rから外れることを防止するように構成してある。
【0019】
前記左の引起ケース27Lは、右の引起ケース27Rと同様の構成であり、筒状の上部ケース41と前後2分割式の下部ケース42とを備えている。下部ケース42は、前ケース部42Aと、後ケース部42Bと、それら両ケース部42A,42Bのフランジ部の外側を覆う断面形状がコ字状のチャンネル部材43とを備えている。複数のボルト44によって両ケース部42A,42Bのフランジ部とチャンネル部材43とを共締め固定してある。第6伝動軸31は、上下2分割式に構成してあり、上部ケース41には第6伝動軸31の上側部分が内装され、下部ケース42には第6伝動軸31の下側部分が内装されている。下部ケース42の途中には、第6伝動軸31の下側部分の中間部に固定された左の駆動スプロケット45L(左のスプロケットの一例)を収容する平面視で四角状の箱状の膨出部46が形成されている。膨出部46とチャンネル部材43との間には、前後方向に並ぶ2つの開口部分からなる左の開口47Lが形成されている。
【0020】
前記膨出部46には、上下方向に貫通する軸芯部材48が取り付けられている。軸芯部材48の外側には、ばね49が装備されている。ばね49の一端部が膨出部46に固定されるとともに、ばね49の他端側の湾曲部49Aが後述する左の株元搬送チェーン78Lに当接する。これにより、左の株元搬送チェーン78Lが左の駆動スプロケット45Lから外れることを防止するように構成してある。
【0021】
(カラー)
図7に示すように、前記右の駆動スプロケット45Rは、膨出部46の下部に回動可能に支持された円筒状の軸部分32とその軸部分32の上端部に形成された爪部分である回転部分33とを備えている。右の駆動スプロケット45Rにおける直上側(第3伝動軸26における膨出部46の上部と右の駆動スプロケット45Rの回転部分33との間)を覆う円筒状の上部カラー34(カラーの一例)を、第3伝動軸26に対して遊転可能に外挿してある。右の駆動スプロケット45Rにおける直下側(右の駆動スプロケット45Rの軸部分32)を覆う円筒状の下部カラー35(カラーの一例)を、右の駆動スプロケット45Rの軸部分32に対して遊転可能に外挿してある。
【0022】
前記左の駆動スプロケット45Lは、膨出部46の下部に回動可能に支持された円筒状の軸部分32とその軸部分32の上端部に形成された爪部分である回転部分33とを備えている。左の駆動スプロケット45Lにおける直上側(第6伝動軸31における膨出部46の上部と左の駆動スプロケット45Lの回転部分33との間)を覆う円筒状の上部カラー34(カラーの一例)を、第6伝動軸31に対して遊転可能に外挿してある。左の駆動スプロケット45Lにおける直下側(左の駆動スプロケット45Lの軸部分32)を覆う円筒状の下部カラー35(カラーの一例)を、左の駆動スプロケット45Lの軸部分32に対して遊転可能に外挿してある。これにより、万一ワラ屑等が右および左の駆動スプロケット45R,45Lに絡みついたとしても、第3および第6伝動軸26,31を停止させた状態で、ワラ屑等を引っ張ることにより、上部カラー34および下部カラー35がワラ屑等と共に回転してワラ屑等を簡単に引き出し除去することができる。
【0023】
(操作力付与機構)
図8,9に示すように、前記刈取部3の刈取部フレーム23と、走行機体2の機体フレーム103の前端部とに亘って、刈取部3を揺動支点X周りに上下揺動操作する油圧シリンダCYが介装されている。走行機体2の機体フレーム103の前端部には、バランスばね121を備えて刈取部3に上昇操作力を付与する操作力付与機構SKが取り付けられており、刈取部フレーム23に固定されたばね当て部122が操作力付与機構SKに分離可能に接当支持される。この操作力付与機構SKによって刈取部3に上昇操作力を付与することにより、刈取部3のデバイダ11A〜11Dが圃場面に入り込むことを防止しつつ、刈取部3の下部が圃場面に接触した状態で刈取作業(いわゆる接地刈り)を行うことができる。
【0024】
前記操作力付与機構SKは、油圧シリンダCYよりも上方側の部位に横方向に並べて設けた2つのバランスばね121、刈取部フレーム23の後方側に設けたばね当て部122を備えて構成してある。尚、バランスばね121は、可撓性を備えたばねカバー(図示しない)によって覆われている。
【0025】
前記2つのバランスばね121の夫々には、ばねホルダー124が取り付けられている。ばねホルダー124は、バランスばね121の先端側に係止筒部128aが入り込んで係止した先端側ホルダー128、バランスばね121の基端側に係止筒部125aが入り込んで係止した基端側ホルダー125、係止筒部128a,125aどうしを締め付け連結する連結ロッド129を備えて構成してある。これにより、バランスばね121は、初期圧縮変形状態を維持している。
【0026】
前記機体フレーム103には、ばね受け台126が固定されている、ばね受け台126の座板126aによってばねホルダー124の基端側ホルダー125が受け止め支持されている。ばね受け台126の座板126aには、2つのばね伸縮ガイド杆127が取り付けられて前方に延出されている。2つのばね伸縮ガイド杆127の夫々は、基端側ホルダー125及び先端側ホルダー128を挿通し、先端側ホルダー128から突出している。
【0027】
前記先端側ホルダー128のばね当て部122側の面には、複数の荷重調整用の平板状のシム131が積層する状態でボルト連結されている。シム131の数を増減することにより、刈取部3の上昇操作力を調整することができる。これにより、刈取部3を取り外さなくても、刈取部3を上方に揺動するだけの簡単な操作でシム131の数を増減することができる。
【0028】
前記先端側ホルダー128のガイド穴部には、伸縮ガイド杆127の先端部を貫通する状態で筒状の樹脂製のブッシュ132が取り付けられている。ブッシュ132の内周部には、複数のリブ(図示しない)が軸芯方向に沿って形成されている。これにより、ブッシュ132と伸縮ガイド杆127との滑りをよくして伸縮ガイド杆127の磨耗を防止することができる。さらに、伸縮ガイド杆127が先端側ホルダー128のガイド穴部に引っ掛かってバランスばね121が撓むことを防止できる。
【0029】
(刈取部に取り付けられた各種装置)
図1〜6に示すように、前記カウンタケース25の右端部から平面視で略L字状の第1刈取フレーム51が前方に延びている。カウンタケース25の右寄り箇所から直線状の第2刈取フレーム52が前方に延びている。カウンタケース25の左寄り箇所から直線状の第3刈取フレーム53が前方に延びている。カウンタケース25の左端部から平面視で略L字状の第4刈取フレーム54が前方に延びている。それら刈取フレーム51〜54に亘ってバリカン式の刈取装置13が取り付けられている。
【0030】
前記第1刈取フレーム51の先端部には、デバイダ11Aおよび右側取付フレーム55が固定されている。右側取付フレーム55は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略L字状に構成してある。右側取付フレーム55の折曲部分の先端部、および、右の引起ケース27Rにおける上部ケース41の上端部は、右の引起装置12Rの裏側に連結されており、それら右側取付フレーム55および右の引起ケース27Rによって、右の引起装置12Rが支持されている。
【0031】
前記右側取付フレーム55の折曲部分55bの途中には、右側連結パイプ56が連結されている。右側連結パイプ56は、平面視でくの字状に折れ曲がった前後向きの第1部分と、チャンネル部材43に連結された上下向きの第2部分と、後述する中央支持ブラケット57に連結された横向きの第3部分とを備えている。右側連結パイプ56の第1部分の左側には、右側支持ブラケット141が固定されている。右側支持ブラケット141の前側部分の下側には、上下向きの右側軸芯部材142が支持され、その右側軸芯部材142には、上から順に後述する駆動プーリ81、第2従動スプロケット77、右の掻込回転パッカー75Rが回転可能に支持されている。
【0032】
前記第2刈取フレーム52の先端部には、デバイダ11Bおよび植立作物をガイドする複数の搬送ガイド57が固定されている。
【0033】
前記第3刈取フレーム53の先端部には、デバイダ11C、中央取付フレーム58、および植立作物をガイドする複数の搬送ガイド59が固定されている。中央取付フレーム58は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略L字状に構成してある。中央取付フレーム58の折曲部分の先端部、および、中央の引起ケース27Cの上端部は、中央の引起装置12Cの裏側に連結されており、それら中央取付フレーム58および中央の引起ケース27Cによって、中央の引起装置12Cが支持されている。
【0034】
前記中央取付フレーム58と中央の引起ケース27Cとに亘って前側支持ブラケット(図示しない)が連結されている。前側支持ブラケットの前側部分の下側には、上下向きの中央軸芯部材143が支持され、その中央軸芯部材143には、上から順に後述する駆動プーリ84、中央の掻込回転パッカー75Cが回転可能に支持されている。
【0035】
前記第4刈取フレーム54の先端部には、デバイダ11Dおよび左側取付フレーム60が固定されている。左側取付フレーム60は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略L字状に構成してある。左側取付フレーム60の折曲部分の先端部、および、左の引起ケース27Lにおける上部ケース41の上端部は、左の引起装置12Lの裏側に連結されており、それら左側取付フレーム60および左の引起ケース27Lによって、左の引起装置12Lが支持されている。
【0036】
前記左側取付フレーム60の取付部分の途中には、左側連結パイプ61が連結されている。左側連結パイプ61は、平面視でくの字状に折れ曲がった前後向きの第1部分と、チャンネル部材43に連結された上下向きの第2部分とを備えている。左側連結パイプ61の第1部分の右側には、左側支持ブラケット144が固定されている。左側連結パイプ61の第2部分の途中には、後述するチェーンガイド部80が固定されている。左側支持ブラケット144の前側部分の下側には、上下向きの左側軸芯部材145が支持され、その左側軸芯部材145には、上から順に後述する駆動プーリ87、従動スプロケット79、左の掻込回転パッカー75Lが回転可能に支持されている。
【0037】
前記刈取部フレーム23の下端部には、後側支持ブラケット146が取り付けられている。後側支持ブラケット146の下側には、上下向きの後側軸芯部材147が支持され、その後側軸芯部材147には、後述する第1従動スプロケット76が回転可能に支持されている。
【0038】
(第1搬送装置)
図2〜図6に示すように、第1搬送装置71は、植立作物の株元側を挟持して搬送する挟持搬送機構73と、植立作物の穂先側を係止して搬送する係止搬送機構74と、植立作物の株元側を掻き込む掻込機構75とを備えている。
【0039】
前記挟持搬送機構73は、右の挟持搬送部分73Rと左の挟持搬送部分73Lとを備えている。右の株元挟持搬送部分73Rは、右の駆動スプロケット45Rと、第1従動スプロケット76と、第2従動スプロケット77と、それらスプロケット45R,76,77に亘って巻回された右の株元搬送チェーン78Rと、を備えている。左の株元挟持搬送部分73Lは、左の駆動スプロケット45Lと、従動スプロケット79と、チェーンガイド部80と、それらスプロケット45L,79およびチェーンガイド部80に亘って巻回された左の株元搬送チェーン78Lと、を備えている。
【0040】
前記係止搬送機構74は、右の係止搬送部分74Rと中央の係止搬送部分74Cと左の係止搬送部分74Lとを備えている。右の係止搬送部分74Rは、駆動プーリ81と従動プーリ82とそれらプーリ81,82に亘って巻回された突起付きベルト83とを備えている。中央の係止搬送部分74Cは、駆動プーリ84と従動プーリ85とそれらプーリ84,85に亘って巻回された突起付きベルト86とを備えている。左の係止搬送部分74Lは、駆動プーリ87と従動プーリ88とそれらプーリ87,88に亘って巻回された突起付きベルト89とを備えている。
【0041】
前記掻込機構75は、右の掻込回転パッカー75Rと中央の掻込回転パッカー75Cと左の掻込回転パッカー75Lとを備えている。
【0042】
エンジン(図示しない)からの動力は、刈取軸、第1伝動軸22、第2伝動軸24、第3伝動軸26を介して右の駆動スプロケット45Rに伝達され、右の駆動スプロケット45Rが回転する。右の駆動スプロケット45Rの回転駆動によって右の株元搬送チェーン78Rが回転し、第2従動スプロケット77が回転する。第2従動スプロケット77の回転に連動して駆動プーリ81および右の掻込回転パッカー75Rが回転する。駆動プーリ81の回転駆動によって突起付きベルト83が回転する。
【0043】
右の掻込回転パッカー75Rと中央の掻込回転パッカー75Cとの噛み合いによって右の掻込回転パッカー75Rの回転に連動して中央の掻込回転パッカー75Cおよび駆動プーリ84が回転する。駆動プーリ84の回転駆動によって突起付きベルト86が回転する。
【0044】
エンジンからの動力は、刈取軸、第1伝動軸22、第2伝動軸24、第6伝動軸31を介して左の駆動スプロケット45Lに伝達され、左の駆動スプロケット45Lが回転する。左の駆動スプロケット45Lの回転駆動によって左の株元搬送チェーン78Lが回転し、従動スプロケット79が回転する。従動スプロケット79の回転に連動して駆動プーリ87および左の掻込回転パッカー75Lが回転する。駆動プーリ87の回転駆動によって突起付きベルト89が回転する。
【0045】
前記植立作物の株元が、右の株元搬送チェーン78Rにおける第2従動スプロケット77の巻回部分(右の搬送始端部)から第1従動スプロケット76の巻回部分(右の搬送終端部)までの右の搬送経路90Rに沿って搬送され、左の株元搬送チェーン78Lにおける従動スプロケット79の巻回部分(左の搬送始端部)からチェーンガイド部80の先端部分(左の搬送終端部)までの左の搬送経路90Lに沿って搬送されて、中央側に合流する。植立作物の株元が、右の掻込回転パッカー75R,中央の掻込回転パッカー75C,および左の掻込回転パッカー75Lによって掻き込まれ、突起付きベルト83,86,89によって係止搬送される。
【0046】
これにより、第1搬送装置71は、刈取作物を中央側に合流させつつ後方に搬送して第1搬送装置71の後方に位置する第2搬送装置72に受け渡すように構成してある。
【0047】
(第2搬送装置)
図2〜図6に示すように、第2搬送装置72は、作物の株元側を挟持して搬送する挟持搬送機構91と、作物の穂先側を係止して搬送する係止搬送機構92を備えている。挟持搬送機構91は、駆動スプロケット93と第1従動スプロケット94と、第2従動スプロケット95と、それらスプロケット93〜95に亘って巻回された株元搬送チェーン96とを備えている。係止搬送機構92は、駆動スプロケット97と従動スプロケット98とそれらスプロケット97,98とに亘って巻回された突起付きチェーン99とを備えている。
【0048】
エンジンからの動力は、刈取軸、第7伝動軸70を介して駆動スプロケット93に伝達され、駆動スプロケット93が回転する。駆動スプロケット93の回転駆動によって株元搬送チェーン96が回転する。駆動スプロケット93の回転に連動して駆動スプロケット97が回転する。駆動スプロケット97の回転駆動によって突起付きチェーン99が回転する。
【0049】
植立作物の株元が、株元搬送チェーン96における第2従動スプロケット95の巻回部分(搬送始端部)から第1従動スプロケット94の巻回部分(右の搬送終端部)までの搬送経路100に沿って搬送され、植立作物の穂先が、突起付きチェーン99によって係止搬送される。これにより、第2搬送装置72は、植立作物を後方上方に搬送して、第2搬送装置72の後方に位置するフィードチェーン101および脱穀装置5に受け渡すように構成してある。
【0050】
(右のカバー)
図3,図5,図6に示すように、右の株元搬送チェーン78Rにおける第1従動スプロケット76の巻回部分から第2従動スプロケット77の巻回部分への右の戻り経路148Rのうち、第1従動スプロケット76の巻回部分から右の駆動スプロケット45Rへの戻り経路部分の上方及び後方を覆う右のカバー149を設けてある。右のカバー149の右端部を、右の駆動スプロケット45Rにおける膨出部46とチャンネル部材43との間に形成された右の開口47R近傍に連結し、右のカバー149の左端部を、後側支持ブラケット146に連結してある。
【0051】
具体的には、右のカバー149は、上面部149aと後側面部149bとを備えて断面形状がL字状の長尺状に構成してある。上面部149aの両端側に傾斜部149cが形成されている。右の傾斜部149cが膨出部46の上面に載置支持されている。上面部149aの右端側の前端部には、第1取付部材151が固定されている。第1取付部材151は、上面部149aの右端側の前端部から前方に延びる固定部分と該固定部分から上方に延びる取付部分とを備えて、断面形状が略L字状に構成してある。第1取付部材151の取付部分と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とをボルト44により共締め固定してある。左の傾斜部149cが後側支持ブラケット146の上面に載置支持されている。後側面部149bの左端側の上端部には、矩形板状の第2取付部材152が固定されている。第2取付部材152は、後側面部149bの左端側の上端部から横側方に延びている。第2取付部材152の先端部は、後側支持ブラケット146にボルト連結されている。
【0052】
(左のカバー)
左の株元搬送チェーン78Lにおけるチェーンガイド部80の先端部分から従動スプロケット79の巻回部分への左の戻り経路148Lのうち、チェーンガイド部80の先端部分から基端部分への戻り経路部分の上方及び後方を覆う左のカバー150を設けてある。左のカバー150の中間部を、左側支持ブラケット144の後端部にボルト連結し、左のカバー150の左端部を、左の駆動スプロケット45Lにおける膨出部46とチャンネル部材43との間に形成された右の開口47L近傍に連結してある。
【0053】
具体的には、左のカバー150は、上面部150aと後側面部150bとを備えて断面形状がL字状の長尺状に構成してある。上面部150aの両端側に傾斜部150cが形成されている。上面部150aの左端側の前端部には、第3取付部材153が固定されている。第3取付部材153は、上面部150aの左端側の前端部から前方に延びる固定部分と該固定部分から上方に延びる取付部分とを備えて、断面形状が略L字状に構成してある。第3取付部材153の取付部分と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とをボルト44により共締め固定してある。左の傾斜部150cが膨出部46の上面に載置支持されている。上面部150aの右端側の前端部には、第4取付部材154が固定されている。第4取付部材154の先端部が左側支持ブラケット144の後端部の右側部分にボルト連結されている。
【0054】
これにより、ワラ屑等が右および左の株元搬送チェーン78R,78Lにおける戻り経路148R,148Lの上面に付着することを防止でき、付着したワラ屑等が右および左の株元搬送チェーン78R,78Lによって右および左の駆動スプロケット45R,45Lまで搬送されて、ワラ屑等が右および左の駆動スプロケット45R,45Lに絡みつくことを防止できる等、刈取作物を良好に搬送することができる。
【0055】
加えて、右のカバー149における右の傾斜部149cが膨出部46の上面に載置支持されるとともに、左の傾斜部149cが後側支持ブラケット146の上面に載置支持されているので、膨出部46と後側支持ブラケット146とに亘って右のカバー149が架設されることになり、右のカバー149を安定的に支持できる。加えて、膨出部46と右のカバー149との隙間を無くして、ワラ屑等が右および左の株元搬送チェーン78R,78Lにおける戻り経路148R,148Lの上面に付着することを一層防止できる。
【0056】
〔別実施形態〕
(1)右のカバー149を省略して左のカバー150のみを設けてもよく、あるいは、左のカバー150を省略して右のカバー149のみを設けてもよい。
【0057】
(2)右の戻り経路148Rのうち、第1従動スプロケット76の巻回部分から右の駆動スプロケット45Rへの戻り経路部分の上方を覆う右のカバー149を設ける構成に加えて、右の戻り経路148Rのうち、右の駆動スプロケット45Rから第2従動スプロケット77の巻回部分への戻り経路部分の上方を覆う追加のカバーを設けてもよい。
【0058】
(3)左の戻り経路148Lのうち、チェーンガイド部80の先端部分から基端部分への戻り経路部分の上方を覆う左のカバー150を設ける構成に加えて、左の戻り経路148Lのうち、チェーンガイド部80の基端部分から従動スプロケット79の巻回部分への戻り経路部分の上方を覆う追加のカバーを設けてもよい。
【0059】
(4)上部カラー34および下部カラー35を設ける構成に代えて、上部カラー34のみを設けて、下部カラー35を省略してもよく、あるいは、下部カラー35のみを設けて、上部カラー34を省略してもよい。
【0060】
(5)右および左のカバー149,150は、断面形状がコ字状のチャンネル部材で構成してもよく、水平状の長尺状のフラットバーで構成してもよい。
【0061】
(6)右のカバー149の上面部149aの右端側の前端部に略L字状の第1取付部材151を固定する構成に代えて、右のカバー149の上面部149aの右端側の前端部に上下向きの平板状の第1取付部材を固定し、その第1取付部材の先端部と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。あるいは、右のカバー149の上面部149aの右端側の前端部を上方側に折り曲げて第1取付部材を形成し、その第1取付部材の先端部と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。
【0062】
(7)左のカバー150の上面部150aの左端側の前端部に略L字状の第3取付部材153を固定する構成に代えて、左のカバー150の上面部150aの左端側の前端部に上下向きの平板状の第3取付部材を固定し、その第3取付部材の取付部分と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。あるいは、左のカバー150の上面部150aの左端側の前端部を上方側に折り曲げて第3取付部材を形成し、その第3取付部材の先端部と前ケース部42Aおよび後ケース部42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してもよい。
【0063】
(8)上面部150aの右端側の前端部に第4取付部材154を固定し、その第4取付部材154の先端部を左側支持ブラケット144の後端部の右側部分にボルト連結する構成に代えて、上面部150aの右端側の前端部に第4取付部材を固定し、その第4取付部材の先端部をチェーンガイド部80にボルト連結してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、刈取作物を中央側に合流させて搬送装置に受け渡すように構成した各種コンバインの刈取部に適応可能である。
【符号の説明】
【0065】
12R,12L 引起装置
23 刈取部フレーム
25 カウンタケース
26,31 引起伝動軸
27R,27L 伝動ケース
34,35 カラー
45R,45L スプロケット
47R,47L 開口
72 搬送装置
78R,78L 株元搬送チェーン
90R,90L 搬送経路
148R,148L 戻り経路
149,150 カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取作物の株元を挟持搬送する右および左の株元搬送チェーンと該右および左の株元搬送チェーンの後方に位置する搬送装置とを備えて、刈取作物が、前記右の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路および前記左の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路に沿って搬送されるに伴って、刈取作物が中央側に合流して前記搬送装置に受け渡されるように構成してあるコンバインの刈取部であって、
前記右の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う右のカバー、および、前記左の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う左のカバーを設けてあるコンバインの刈取部。
【請求項2】
刈取部フレームから左右方向に延びるカウンタケースから上方に延びて引起装置に接続される右および左の伝動ケースを備え、
前記右および左の夫々の伝動ケースには、開口が形成され、前記右および左の夫々の伝動ケースには、引起伝動軸が内装され、前記右および左の夫々の引起伝動軸には、開口に臨むスプロケットが一体回動可能に取り付けられ、
前記右の株元搬送チェーンは、前記右の伝動ケースの開口を通しつつ、前記右のスプロケットを巻回し、前記左の株元搬送チェーンは、前記左の伝動ケースの開口を通しつつ、前記左のスプロケットを巻回するように構成してあり、
前記右のカバーの端部を、前記右の伝動ケースの開口近傍に取り付け、前記左のカバーの端部を、前記左の伝動ケースの開口近傍に取り付けてある請求項1に記載のコンバインの刈取部。
【請求項3】
前記右および左の夫々のスプロケットにおける直上側および直下側の少なくともいずれか一方を覆うカラーを、前記スプロケットおよび前記引起伝動軸に対して遊転可能に外挿してある請求項2に記載のコンバインの刈取部。
【請求項1】
刈取作物の株元を挟持搬送する右および左の株元搬送チェーンと該右および左の株元搬送チェーンの後方に位置する搬送装置とを備えて、刈取作物が、前記右の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路および前記左の株元搬送チェーンにおける搬送始端部から搬送終端部までの搬送経路に沿って搬送されるに伴って、刈取作物が中央側に合流して前記搬送装置に受け渡されるように構成してあるコンバインの刈取部であって、
前記右の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う右のカバー、および、前記左の株元搬送チェーンにおける搬送終端部から搬送始端部への戻り経路の上方を覆う左のカバーを設けてあるコンバインの刈取部。
【請求項2】
刈取部フレームから左右方向に延びるカウンタケースから上方に延びて引起装置に接続される右および左の伝動ケースを備え、
前記右および左の夫々の伝動ケースには、開口が形成され、前記右および左の夫々の伝動ケースには、引起伝動軸が内装され、前記右および左の夫々の引起伝動軸には、開口に臨むスプロケットが一体回動可能に取り付けられ、
前記右の株元搬送チェーンは、前記右の伝動ケースの開口を通しつつ、前記右のスプロケットを巻回し、前記左の株元搬送チェーンは、前記左の伝動ケースの開口を通しつつ、前記左のスプロケットを巻回するように構成してあり、
前記右のカバーの端部を、前記右の伝動ケースの開口近傍に取り付け、前記左のカバーの端部を、前記左の伝動ケースの開口近傍に取り付けてある請求項1に記載のコンバインの刈取部。
【請求項3】
前記右および左の夫々のスプロケットにおける直上側および直下側の少なくともいずれか一方を覆うカラーを、前記スプロケットおよび前記引起伝動軸に対して遊転可能に外挿してある請求項2に記載のコンバインの刈取部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−211953(P2011−211953A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−83087(P2010−83087)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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