説明

コンバインの刈取部

【課題】下部搬送装置の合流部に詰まった穀稈を小さな操作力で容易に除去することができるとともに、下部搬送装置の部品の変形や破損の発生を抑制することが可能なコンバインの刈取部を提供する。
【解決手段】合流部182に穀稈を合流させる下部搬送装置110と、下部搬送装置110の搬送チェン113aに巻回されてその位置を合流部182に近接した作業位置と離間した離間位置とに変更可能な離間用回転輪113dと、離間用回転輪113dの支軸である離間用回転輪軸230に軸支される操作レバー251と、操作レバー251に軸支される案内用回転輪253と、案内用回転輪253と当接可能なように上フレーム113kに固定される上フレーム板113pとを具備し、離間用回転輪113dは、上フレーム板113pに案内用回転輪253を当接されると作業位置に変更され、上フレーム板113pから案内用回転輪253が外されると離間位置に変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの刈取部の下部搬送装置において、穀稈の株元部が合流する箇所の穀稈の詰まりを除去するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの刈取部は、刈刃によって刈り取った穀稈の株元部を下部搬送装置によって後方へ搬送し、複数条の穀稈を合流させて縦搬送装置へ引き渡すように構成されている。この合流部において穀稈が詰まった場合、詰まった穀稈を取り除くために、合流部における穀稈の搬送経路の幅を広げる詰まり除去手段に関する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインは4条刈のコンバインであり、また、特許文献1に記載の詰まり除去手段は、可動ローラ(離間用回転輪)と、テンションアームと、解除レバー(操作レバー)と、を具備するものである。
特許文献1に記載のコンバインの下部搬送装置において、穀稈を搬送するための突起付ベルトは、可動回転輪を含む複数の回転輪に巻回される。可動ローラは、4条分の穀稈が合流する合流部に相対して配置される。テンションアームは、刈取フレームに固設された搬送フレームに対して回動可能に設けられるとともに、可動ローラを回転自在に支持する。解除レバーは、テンションアームを回動操作するための操作具である。解除レバーは、刈取フレームに回動可能に設けられ、解除レバーに設けられる回転自在のローラ(案内用回転輪)を介してテンションアームを保持している。
【0004】
このようなコンバインの刈取部において、合流部に穀稈が詰まった場合、作業者は解除レバーを解除位置に向けて回動操作することでテンションアームを回動させ、可動ローラを合流部から離間する方向に移動させる。これによって、合流部の幅を広げて、合流部に詰まった穀稈を除去することができる。
【0005】
しかし、解除レバーは、解除位置にあってもテンションアームを保持する構造であるため、解除レバーのローラがテンションアームのローラ案内部に当接可能な範囲でしか揺動操作することができない。また、解除レバーは、テンションアームの固定を容易に解除するために、解除レバーの揺動操作方向とテンションアームの揺動方向とが直角になるように配置されている。よって、解除レバーの揺動操作量に対してテンションアームの揺動量が小さくなる。従って、テンションアームの揺動量が制限され、合流部に詰まった穀稈を除去し難い場合があった。
さらに、従来のテンションアームのローラ案内部を解除レバーのローラで支持する構成では、穀稈が合流部に詰まることによって詰まり除去手段に加わる外力をテンションアームのローラ案内部のみで受けるため、テンションアームの変形や破損が発生しやすかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−43996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、下部搬送装置の合流部に詰まった穀稈を容易に除去することができるとともに、下部搬送装置の部品の変形や破損の発生を抑制することが可能なコンバインの刈取部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、切断後の穀稈を複数の搬送機構により後方へ搬送しながら、その搬送方向下流側の合流部で各搬送機構により搬送中の穀稈を合流させる下部搬送装置と、前記下部搬送装置の無端帯に巻回されて前記合流部に臨むように前記下部搬送装置に配置され、その位置を前記合流部に近接した作業位置と、前記合流部から離間した離間位置とに変更可能な離間用回転輪と、前記離間用回転輪の支軸に軸支される操作レバーと、前記操作レバーに軸支される案内用回転輪と、前記操作レバーの側方に配置され、前記案内用回転輪と当接可能なように前記下部搬送装置を支持する刈取フレームに固定されるフレーム板と、を具備し、前記離間用回転輪の位置は、前記操作レバーが前記フレーム板に前記案内用回転輪を当接するように操作されると作業位置に変更され、前記操作レバーが前記フレーム板から前記案内用回転輪を外すように操作されると離間位置に変更されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記フレーム板は、前記案内用回転輪が当接する一側面の位置と重複する他側面の位置に前記刈取フレームが固定されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、操作レバーの案内用回転輪をフレーム板から外して離間用回転輪の位置を離間位置に変更するので、離間用回転輪の離間位置が操作レバーとフレーム板との構成による制限をうけることがない。また、操作レバーを操作する際に、案内用回転輪がフレーム板上を回動するため操作レバーを操作するための荷重を低減させることができる。さらに、穀稈の詰まり時に発生する外力がフレーム板を介して刈取フレームに伝達される。従って、下部搬送装置の合流部に詰まった穀稈を容易に除去することができるとともに、下部搬送装置の部品の変形や破損の発生を抑制することができる。
【0013】
請求項2においては、案内用回転輪が刈取フレームと対向するフレーム板の位置に当接しているため、離間用回転輪がフレーム板を介して刈取フレームに強固に支持されている状態となる。従って、離間用回転輪が穀稈の詰まり時に外力を受けても、大部分の外力が刈取フレームに伝達されるので下部搬送装置の部品の変形や破損の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態に係る刈取部を具備するコンバインの側面図。
【図2】本発明の実施の一形態に係る刈取部を具備するコンバインの平面図。
【図3】本発明の実施の一形態に係る刈取部の概略側面図。
【図4】本発明の実施の一形態に係る刈取部の掻込装置及び下部搬送装置を示す平面図。
【図5】本発明の実施の一形態に係る刈取部の動力伝達構成を示す図。
【図6】本発明の実施の一形態に係る刈取部の刈取フレーム及び第三下部搬送装置を示す左後方からの斜視図。
【図7】本発明の実施の一形態に係る刈取部の詰まり除去手段を示す平面図。
【図8】本発明の実施の一形態に係る刈取部の詰まり除去手段を示す底面図。
【図9】本発明の実施の一形態に係る刈取部の詰まり除去手段を示す分解斜視図。
【図10】本発明の実施の一形態に係る刈取部の詰まり除去手段の図7におけるA矢視図。
【図11】本発明の実施の一形態に係る刈取部の詰まり除去手段の作業位置での保持を解除した場合を示す平面図。
【図12】本発明の実施の一形態に係る刈取部の詰まり除去手段を離間位置に変更した場合を示す平面図。
【図13】本発明の他の実施の形態に係る刈取部の掻込装置及び下部搬送装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の一実施形態に係る6条刈りコンバイン1の全体構成について説明する。
なお、本実施形態においては、6条刈りコンバイン1について説明するが、本発明はこれに限るものではなく、その他の条数(例えば、4条刈、7条刈、8条刈等)のコンバインにも適用可能である。
【0016】
図1及び図2に示すように、コンバイン1においては、走行フレーム2が左右一対の走行回転輪3によって支持されている。圃場の穀稈を刈り取りながら取り込む刈取部4が、走行フレーム2の前部に昇降調節可能に装着されている。刈取部4により刈り取られた穀稈を脱穀する脱穀部5が、走行フレーム2の左上部に配設されている。脱穀部5により脱穀された処理物を選別する選別部6が、脱穀部5の下部に配設されている。選別部6により選別された穀粒を貯留する穀粒タンク7が、走行フレーム2の右部に配設されている。穀粒タンク7に貯溜された穀粒を外部へ排出する排出オーガ8が、走行フレーム2の右側後部に配設されている。そして、前記各部を操作する運転部9が、走行フレーム2の右前部に配設されている。
【0017】
次に、刈取部4の構成について詳細に説明する。
【0018】
図3及び図4に示すように、刈取部4は、刈取フレーム10と、分草具30と、引起装置40と、複数の掻込装置50・50・・・と、切断装置60と、搬送装置100とを備える。
【0019】
刈取フレーム10は、分草具30や前記各装置を支持する、刈取部4の本体となるものである。刈取フレーム10は、刈取入力パイプ11と、縦伝動パイプ12と、横伝動パイプ13と、複数の分草フレーム14・14・・・と、駆動パイプ15と、引起縦伝動パイプ16と、縦連結フレームと、引起横伝動パイプ17と、複数の引起駆動パイプ18と、連結フレーム19とから構成される。
【0020】
刈取入力パイプ11は、その軸線方向を左右方向として、走行フレーム2の左前部に回動可能に設けられる。縦伝動パイプ12は、その軸線方向を刈取入力パイプ11の軸線方向に対して直交方向として、刈取入力パイプ11の右端部から前斜下方へ延出される。横伝動パイプ13は、その軸線方向を左右方向として、縦伝動パイプ12の延出端部から左右方向へ延出される。
【0021】
各分草フレーム14は、その軸線方向を概ね前後方向として、横伝動パイプ13から前方へ延出される。複数の分草フレーム14・14・・・は、左右方向に適宜の間隔ごとに平行に並べられる。駆動パイプ15は、その軸線方向を左右方向として、左右最外側に位置する分草フレーム14・14の間に横架される。駆動パイプ15は、横伝動パイプ13の前斜下方に位置して、当該横伝動パイプ13と平行に並べられる。
【0022】
引起縦伝動パイプ16は、その軸線方向を横伝動パイプ13の軸線方向に対して直交方向として、横伝動パイプ13の左端部から前斜上方へ延出される。前記縦連結フレームは、その軸線方向を横伝動パイプ13の軸線方向に対して直交方向として、横伝動パイプ13の右端部から前斜上方へ延出される。
【0023】
引起横伝動パイプ17は、その軸線方向を左右方向として、引起縦伝動パイプ16の延出端部(上端)と縦連結フレームの延出端部(上端)との間に横架される。各引起駆動パイプ18は、その軸線方向を概ね上下方向として、引起横伝動パイプ17から前方へ延出される。複数の引起駆動パイプ18・18・・・は、左右方向に所定間隔ごとに平行に並べられる。
【0024】
連結フレーム19は、その軸線方向を概ね前後方向として、引起横伝動パイプ17の左右中途部から後方へ延出される。連結フレーム19は、その延出端部で縦伝動パイプ12の刈取入力パイプ11側に連結される。
【0025】
分草具30は、圃場の穀稈を一条ごとに分離(分草)するものである。分草具30は、7つの分草板31・31・・・を具備する(図4参照)。各分草板31は、それぞれ先端が細くなるように形成される。各分草板31は、その先端が前方を向くように、各分草フレーム14の前端部に取り付けられる。
【0026】
引起装置40は、分草後の穀稈を引き起こすものである。引起装置40は、タイン付チェン42を回転駆動可能に支持する引起ケース41を6つ具備する。複数の引起ケース41は、それぞれ分草具30の後方に前低後高の傾斜状に配置されて、左右方向に適宜の間隔ごとに並べられる。各引起ケース41は、各分草フレーム14と各引起駆動パイプ18との間に位置して、これらに支持される。
【0027】
掻込装置50は、左右一対の星形状の掻込輪、左右一対の突起付きベルト等を具備し、引起装置40により引き起こされた穀稈の株元を掻き込むものである。複数の掻込装置50は、それぞれ引起装置40の後方に前低後高の傾斜状に配置されて、左右方向に適宜の間隔ごとに並べられる。
【0028】
図3に示すように、切断装置60は、掻込装置50・50・・・によって掻き込まれた6条分の穀稈を刈刃61によって株元側で切断するものである。切断装置60は、掻込装置50・50・・・の下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0029】
図3及び図4に示すように、搬送装置100は、切断装置60により切断された穀稈を脱穀部5に搬送するものである。搬送装置100は、切断装置60の後上方に配置される。搬送装置100は、下部搬送装置110と、上部搬送装置120と、縦搬送装置130と、補助搬送装置140と、穂先搬送装置150とを備える。
【0030】
下部搬送装置110は、刈り取った穀稈の株元を合流させて縦搬送装置130まで挟持搬送するものである。図4に示すように、下部搬送装置110は、複数の搬送機構としての第一下部搬送装置111と、第二下部搬送装置112と、第三下部搬送装置113とを備える。
【0031】
第一下部搬送装置111は、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も右側に配置された掻込装置50で掻き込んだ2条分の穀稈171・172の株元に、他の下部搬送装置から挟持搬送されてくる穀稈173・174・175・176の株元を合流させて、6条分の穀稈171・172・173・174・175・176の株元を縦搬送装置130まで挟持搬送するものである。第一下部搬送装置111は、掻込装置50・50・・・の後方に前低後高の傾斜状に配置され、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も右側に配置された掻込装置50の近傍から左斜後方へ向けて延出される。
【0032】
第一下部搬送装置111は、無端帯である搬送チェン111aと、従動スプロケット111bと、駆動スプロケット111cと、この駆動スプロケット111cの左右に設けられた遊動回転輪111d・111eと、駆動スプロケット111cの右前方に設けられたテンション回転輪111fとを具備する。搬送チェン111aは、従動スプロケット111b、駆動スプロケット111c、遊動回転輪111d・111e及びテンション回転輪111fに巻き掛けられる。第一下部搬送装置111の従動スプロケット111bは、図示せぬ軸を介して、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も右側に配置された掻込装置50と連動連結される。
【0033】
第二下部搬送装置112は、複数の掻込装置50・50・・・のうち左右中央に配置された掻込装置50で掻き込んだ2条分の穀稈173・174の株元を第一下部搬送装置111との合流部181まで挟持搬送するものである。第二下部搬送装置112は、掻込装置50・50・・・の後方であって第一下部搬送装置111の左側前方に前低後高の傾斜状に配置され、複数の掻込装置50・50・・・のうち左右中央に配置された掻込装置50の近傍から第一下部搬送装置111の搬送中途部近傍まで後方へ向けて延出される。
【0034】
第二下部搬送装置112は、無端帯である搬送チェン112aと、二つの従動スプロケット112b・112cと、駆動スプロケット112dと、遊動回転輪112eと、テンション回転輪112fとを具備する。搬送チェン112aは、従動スプロケット112b・112c、駆動スプロケット112d、遊動回転輪112e及びテンション回転輪112fに巻き掛けられる。第二下部搬送装置112の従動スプロケット112bは、図示せぬ軸を介して、複数の掻込装置50・50・・・のうち左右中央に配置された掻込装置50と連動連結される。
【0035】
第三下部搬送装置113は、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も左側に配置された掻込装置50で掻き込んだ2条分の穀稈175・176の株元を第一下部搬送装置111との合流部182まで挟持搬送するものである。第三下部搬送装置113は、掻込装置50・50・・・の後方に前低後高の傾斜状に配置され、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も左側に配置された掻込装置50の近傍から第一下部搬送装置111の搬送終端部近傍まで右斜後方へ向けて延出される。
【0036】
第三下部搬送装置113は、無端帯である搬送チェン113aと、従動スプロケット113bと、駆動スプロケット113cと、この駆動スプロケット113cの右方に設けられた離間用回転輪113d及び遊動回転輪113eと、駆動スプロケット113cの前方に設けられたテンション回転輪113fとを具備する。搬送チェン113aは、従動スプロケット113b、駆動スプロケット113c、離間用回転輪113d、遊動回転輪113e及びテンション回転輪113fに巻き掛けられる。第三下部搬送装置113の従動スプロケット113bは、図示せぬ軸を介して、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も左側に配置された掻込装置50と連動連結される。
【0037】
また、第三下部搬送装置113は、搬送チェン113aを案内するガイド板113g(図7参照)と、搬送チェン111aとの間で穀稈を挟持するガイドバネ113h(図7参照)と、離間用回転輪113dの位置を変更する詰まり除去手段200と、ピン190(図7参照)と、詰まり除去手段200(図7参照)を支持する支持部材としての上フレーム113k、中フレーム113m(図7参照)、下フレーム113n(図7参照)と、を具備する。
【0038】
第三下部搬送装置113は、平面視(図4)において縦伝動パイプ12の左側、すなわちコンバイン1の左右方向左側に配置される。
【0039】
図3に示すように、上部搬送装置120は、下部搬送装置110で挟持搬送している穀稈の穂先を係止搬送するものである。上部搬送装置120は、下部搬送装置110の上方に前低後高の傾斜状に配置され、掻込装置50の上方付近から後方へ向けて延出される。
【0040】
縦搬送装置130は、第一下部搬送装置111の搬送終端部から受け継いだ6条分の穀稈の株元を補助搬送装置140まで挟持搬送するものである。縦搬送装置130は、下部搬送装置110の後方に前低後高の傾斜状に配置され、下部搬送装置110の搬送終端部付近から左斜後方へ向けて延出される。
【0041】
補助搬送装置140は、縦搬送装置130の搬送終端部から受け継いだ6条分の穀稈の株元を脱穀部5まで挟持搬送するものである。補助搬送装置140は、縦搬送装置130の後上方に配置され、縦搬送装置130の搬送終端部付近から後方へ向けて延出される。
【0042】
穂先搬送装置150は、第一下部搬送装置111、縦搬送装置130及び補助搬送装置140で搬送される穀稈の穂先を係止搬送するものである。穂先搬送装置150は、上部搬送装置120の後部下方に配置され、上部搬送装置120の搬送中途部付近から後方へ向けて延出される。
【0043】
次に、図3から図5を用いて、刈取部4の動力伝達構造について説明する。
【0044】
図3に示す刈取フレーム10、即ちこれを構成する各パイプ等には、各装置に動力を伝達する伝動軸が長手方向に沿って内挿される。具体的には、例えば、刈取入力パイプ11には、刈取入力軸161が内挿される。縦伝動パイプ12には、縦伝動軸162が内挿される。横伝動パイプ13には、横伝動軸163が内挿される。
【0045】
図5に示すように、刈取入力軸161の左端(図5における下側)には、エンジンの動力が入力される入力プーリ160が固設され、右端(図5における上側)は縦伝動軸162に連動連結される。縦伝動軸162は、横伝動軸163、及びその他の伝動軸に適宜に連動連結される。こうして、エンジンから刈取入力軸161に伝達された動力が、当該刈取入力軸161から縦伝動軸162を経て、さらに引起装置40、掻込装置50、切断装置60及び搬送装置100に伝達可能とされる。
【0046】
縦伝動軸162の中途部から取り出された動力は、第一下部搬送装置111の駆動スプロケット111cに伝達される。この動力の伝達により、第一下部搬送装置111及び複数の掻込装置50・50・・・のうち最も右側に配置された掻込装置50が順に駆動される。
【0047】
横伝動軸163の中途部から取り出された動力は、第二下部搬送装置112の駆動スプロケット112dに伝達される。この動力の伝達により、第二下部搬送装置112及び複数の掻込装置50・50・・・のうち左右中央に配置された掻込装置50が順に駆動される。
【0048】
横伝動軸163の左端(図5における下側)から取り出された動力は、第三下部搬送装置113の駆動スプロケット113cに伝達される。この動力の伝達により、第三下部搬送装置113及び複数の掻込装置50・50・・・のうち最も左側に配置された掻込装置50が順に駆動される。
【0049】
このような構成において、刈取部4は、図3に示すように、刈取作業時に前記各装置をエンジンからの動力により駆動して、圃場の穀稈を刈り取りながら取り込む。すなわち、刈取部4においては、圃場の穀稈が分草具30により一条ごとに分離するように分草された後、分草後の穀稈が引き起こされる。つづいて、掻込装置50で引起装置40により引き起こされた穀稈の株元側が掻き込まれる。
【0050】
そして、図4に示すように、切断装置60により穀稈171・172、穀稈173・174、穀稈175・176が株元側で切断される。切断後の各条分の穀稈171・172、穀稈173・174、穀稈175・176が、搬送装置100により途中で合流させられつつ脱穀部5へ向けて搬送される。搬送装置100においては、まず穀稈171・172、穀稈173・174、穀稈175・176の株元側が下部搬送装置110により搬送され、穂先側が上部搬送装置120により搬送される。
【0051】
詳しくは、第二下部搬送装置112において、駆動スプロケット112dの回転によって、搬送チェン112aが回転する。これにより、複数の掻込装置50・50・・・のうち左右中央に配置された掻込装置50により掻き込まれた2条分の穀稈173・174の株元側が、斜後上方の合流部181まで搬送される。ここで、合流部181は、第一下部搬送装置111の搬送中途部であって第二下部搬送装置112と近接する位置となる。
【0052】
第三下部搬送装置113においては、駆動スプロケット113cの回転によって、搬送チェン113aが回転する。これにより、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も左側に配置された掻込装置50により掻き込まれた2条分の穀稈175・176の株元側が、斜後上方の合流部182まで搬送される。ここで、合流部182は、第一下部搬送装置111の搬送終端部近傍(合流部181より下流)であって第三下部搬送装置113と近接する位置となる。
【0053】
第一下部搬送装置111において、駆動スプロケット111cの回転によって、搬送チェン111aが回転する。これにより、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も右側に配置された掻込装置50により掻き込まれた2条分の穀稈171・172の株元側が、斜後上方に搬送され、合流部181・182で受け継いだ穀稈173・174・175・176の株元側とともに縦搬送装置130まで搬送される。
【0054】
すなわち、下部搬送装置110においては、第二下部搬送装置112により搬送される穀稈173・174の株元側が合流部181において第一下部搬送装置111により搬送される穀稈171・172の株元側と合流して、搬送中の穀稈171・172・173・174が4条分の一つの束となる。また、第三下部搬送装置113により搬送される穀稈175・176の株元側が合流部182において第一下部搬送装置111により搬送される穀稈171・172・173・174の株元側と合流する。こうして一つの束となった6条分の穀稈171・172・173・174・175・176の株元側が縦搬送装置130の搬送始端部に引き渡される。
【0055】
以下では、第三下部搬送装置113の上フレーム113k、中フレーム113m、下フレーム113n、及び詰まり除去手段200について詳細に説明する。
【0056】
図6から図10までに示すように、上フレーム113kは、円筒状の部材である。上フレーム113kは、中途部で左右方向に折り曲げられて、前後方向斜め方向に延設される。上フレーム113kの一端(後端)は、遊動回転輪113e(縦搬送装置130の前端)の近傍に配置される。上フレーム113kの他端(前端)は、左前下方に延設されて、最も左側の分草フレーム14の前後中途部に固定される(図4及び図6参照)。上フレーム113kは、平面視(図4)において、第三下部搬送装置113による穀稈の搬送経路と重複しないように、当該搬送経路より左側に配置される。ここで、第三下部搬送装置113による穀稈の搬送経路とは、第三下部搬送装置113の搬送チェン113aが搬送する穀稈が通過する点の軌跡(搬送チェン113aの回転軌跡のうち、従動スプロケット113bから離間用回転輪113dまでの軌跡)をいう。上フレーム113kの一端部には、右方に向けて上フレーム板113pが固定(合流部183側へ延設)される。上フレーム板113pは、その左側部分を上方へ折り曲げられて左側部が形成される。上フレーム板113pの左側部は、上フレーム113kの右側部に固設される。上フレーム板113pの左側部は、上フレーム113k及び上フレーム板113pと、他のフレーム等の部材とを連結する連結部材として用いることも可能である。
【0057】
中フレーム113mは、細長い板状の部材である。中フレーム113mの長手方向中途部は、連結部材113qを介して上フレーム113kと連結される。
【0058】
下フレーム113nは、円筒状の部材である。下フレーム113nは、中途部で左右方向に折り曲げられて、前後斜め方向に延設される。下フレーム113nの一端(後端)は、平面視において中フレーム113mの一端(後端)と交差するようにその下方に配置され、中フレーム113mの一端にボルト113r及びナット113sにより下方から固定される(図8及び図9参照)。下フレーム113nの他端(前端)は、左前下方に延設され、横伝動パイプ13の左側に固定される(図4及び図6参照)。下フレーム113nは、平面視(図4)において、第三下部搬送装置113の搬送経路と重複しないように、当該搬送経路よりも左側に配置される。
【0059】
詰まり除去手段200は、ブラケット210、回動支点軸220、離間用回転輪軸230、遊動回転輪軸240、保持機構250等を具備する。
【0060】
ブラケット210は、離間用回転輪113d及び遊動回転輪113eを回動可能に支持するものである。ブラケット210は、上ブラケット211及び下ブラケット212を具備する。
【0061】
上ブラケット211は、複数の板材を折曲、溶接等して形成される。上ブラケット211の前端側(図9における右側)には、上ブラケット211を上下方向に貫通する回動支点孔211aが形成される。また、上ブラケット211の他端(後端)側には、上ブラケット211を上下方向に貫通する貫通孔211b及び貫通孔211cが並んで形成される。
【0062】
下ブラケット212は、外周形状が上ブラケット211の外周形状に近似する板材により形成される。下ブラケット212の下面には、ガイドバネ113hが固定される。下ブラケット212の一端(後端)側には、下ブラケット212を上下方向に貫通する貫通孔212a及び貫通孔212bが並んで形成される。
【0063】
回動支点軸220は、ブラケット210の回動支点となるものである。回動支点軸220は、円筒状に形成される。回動支点軸220は、上ブラケット211の回動支点孔211aに相対回転可能となるように挿通されて、中フレーム113mと上フレーム板113pとに挟まれる。回動支点軸220の下端は中フレーム113mの上面に当接され、回動支点軸220の上端は上フレーム板113pの下面に当接される。
そして、頭付ピン221が、平座金222、上フレーム板113pに形成される貫通孔113t、回動支点軸220、中フレーム113mに形成される貫通孔113u、及び平座金223に上から順に挿通される。頭付ピン221は、ピン224により回動支点軸220等から抜け止めされる。これにより、ブラケット210が、回動支点軸220を回動支点として、中フレーム113m及び上フレーム板113pに回動自在に支持される。
【0064】
回動支点軸220は、平面視における第三下部搬送装置113による穀稈の搬送経路において、合流部182よりも上流側に配置される。ここで、回動支点軸220が合流部182よりも上流側に配置されるとは、図7に示すように、回動支点軸220(頭付ピン221)から穀稈の搬送経路に対して垂線(図7中の一点鎖線X参照)を引いた場合に、合流部182が当該垂線よりも搬送方向後側に位置することをいう。
【0065】
離間用回転輪軸230は、離間用回転輪113dの回動支点となるものである。離間用回転輪軸230は、上ブラケット211の貫通孔211b、離間用回転輪113d、及びスペーサ231に上から順に挿通される。離間用回転輪軸230の下端は下ブラケット212の貫通孔212aの周囲に当接される。離間用回転輪軸230は、貫通孔212aを介して下方から螺合されるボルト232によって、下ブラケット212に固定される。これにより、離間用回転輪113dが、離間用回転輪軸230を回動支点として、ブラケット210に回動自在に支持される。
【0066】
遊動回転輪軸240は、遊動回転輪113eの回動支点となるものである。遊動回転輪軸240は、上ブラケット211の貫通孔211c、遊動回転輪113e、及びスペーサ241に上から順に挿通される。遊動回転輪軸240の下端は下ブラケット212の貫通孔212bの周囲に当接される。遊動回転輪軸240は、貫通孔212bを介して下方から螺合されるボルト242によって、下ブラケット212に固定される。これにより、遊動回転輪113eが、遊動回転輪軸240を回動支点として、ブラケット210に回動自在に支持される。
【0067】
保持機構250は、ブラケット210の回動位置を所定の位置に保持するものである。保持機構250は、操作レバー251、案内用回転輪軸252、案内用回転輪253、案内部材254等を具備する。
【0068】
操作具としての操作レバー251は、ブラケット210の回動位置を変更する際に作業者により操作されるものである。操作レバー251は、板面を上下に向けた板材により構成される。操作レバー251の左側には、左方向に延びる把持部251aが形成される。操作レバー251の前部かつ左右中途部には、操作レバー251を上下方向に貫通する貫通孔251bが形成される。操作レバー251の右端部には、操作レバー251を上下方向に貫通する貫通孔251cが形成される。操作レバー251の左右中途部には、操作レバー251を上下方向に貫通する長孔251dが形成される。長孔251dは、貫通孔251cを中心とする円弧に沿うように形成される。把持部251aの右側方には、操作レバー251を上下方向に貫通する貫通孔251eが形成される。
【0069】
そして、離間用回転輪軸230が貫通孔251cに下方から挿通されるとともに、遊動回転輪軸240が長孔251dに下方から挿通されて、操作レバー251がブラケット210の上方に配置される。この際、操作レバー251は、離間用回転輪軸230及び遊動回転輪軸240の軸方向中途部に形成された拡径部によって、ブラケット210に対して上下方向に所定間隔を隔てて配置される。この状態で、ボルト233が離間用回転輪軸230の上端に貫通孔251cを介して螺合されて、操作レバー251がブラケット210に離間用回転輪軸230を中心として回動可能に支持される。また、ボルト243が遊動回転輪軸240の上端に長孔251dを介して螺合されて、操作レバー251の回動範囲がボルト243により制限される。つまり、操作レバー251が離間用回転輪軸230を中心として一定量回動すると、ボルト243と長孔251dの長手方向一端または他端とが当接し、操作レバー251の回動量が制限される。この回動量は、長孔251dの両端間の範囲により決定される。
【0070】
また、操作レバー251がボルト233・243によって離間用回転輪軸230及び遊動回転輪軸240の上端に締結されることで、上ブラケット211が上方に抜け落ちることを防止している。すなわち、離間用回転輪軸230及び遊動回転輪軸240によって、上ブラケット211と下ブラケット212が連結される。
【0071】
案内用回転輪軸252は、案内用回転輪253の回動支点となるものである。案内用回転輪軸252は、案内用回転輪253、操作レバー251の貫通孔251bに下から順に挿通される。案内用回転輪軸252の下端には、案内用回転輪軸252を支持するため止め輪が係合されしている。案内用回転輪軸252は、貫通孔251bを介して上方から螺合されるボルトによって操作レバー251に固定される。これにより、案内用回転輪253が、案内用回転輪軸252を回動支点として、操作レバー251に回動自在に支持される。
【0072】
案内部材254は、板状の部材を平面視(図8)略L字状に折り曲げて形成される。案内部材254は、上フレーム板113pの後端部に立設される。案内部材254の一方の折曲部は、斜め左右方向に延在して、操作レバー251が離間用回転輪軸230を中心として一定量回動された場合における案内用回転輪253と当接する面となっている。案内部材254の他方の折曲部は、案内用回転輪253と当接する面が上フレーム板113pの左側部と同一平面であって上フレーム板113pの左側部と連続するように斜め前後方向に延在している。このように、案内部材254の2つの折曲部は、それぞれ操作レバー251の案内用回転輪253と当接することで、操作レバー251を介してブラケット210の回動位置の保持、及び操作レバー251の回動を容易にする役目を果たしている。
【0073】
固定部材としてのピン190は、操作レバー251の回動を規制するものである。ピン190は、上フレーム板113pの左側部に設けられるピン支持部材191のピン孔191a及び操作レバー251の貫通孔251eに上から順に挿通される(図7参照)。この際、ピン190は、ピン孔191a及び貫通孔251eに隙間なく挿通可能な直径に形成される。これにより、ピン190は、操作レバー251をガタなく所定の位置に保持する役目を果たしている。
【0074】
以上の如く、操作レバー251は離間用回転輪軸230及び遊動回転輪軸240を介してブラケット210と連結される。また、ブラケット210は、回動支点軸220及び上フレーム板113pを介して上フレーム113kに支持されるとともに、回動支点軸220及び中フレーム113mを介して下フレーム113nに支持される。すなわち、詰まり除去手段200は、刈取フレーム10に固設された上フレーム113k及び下フレーム113nによって支持される。
【0075】
以下では、上記の如く構成された詰まり除去手段200の動作態様について説明する。
まず、刈取部4により刈取作業を行う場合について説明する。
【0076】
図7に示すように、刈取部4により刈取作業を行う場合、操作レバー251はブラケット210に対して平面視時計回りに回動され、操作レバー251の案内用回転輪253が上フレーム板113pの左側部に対して右方から当接されている。この状態では、搬送チェン113aの張力によりブラケット210には平面視時計回りに回動する方向に付勢力が加わる。しかし、図10に示すように、上フレーム板113pは、左側部の案内用回転輪253が当接している部分と重複する左側部の左方を上フレーム113kの右側部に固設されている。すなわち、操作レバー251が案内用回転輪253及び上フレーム板113pの左側部を介して上フレーム113kに当接されているため、ブラケット210は平面視時計回りに回動することなく強固に支持され、上フレーム113kに対して所定量だけ右方に張り出した位置で保持される。
【0077】
この場合、離間用回転輪113dは、合流部182に近接する位置に保持される。以下、この離間用回転輪113dの位置を作業位置と定義する。
【0078】
ブラケット210が上フレーム113kに対して所定量だけ右方に張り出した位置で保持される場合、すなわち離間用回転輪113dが作業位置に保持される場合、ピン支持部材191のピン孔191a及び操作レバー251の貫通孔251eにはピン190が挿通される。すなわち、ピン190によって操作レバー251の反時計回り方向への回動が規制される。これによって、操作レバー251を上フレーム板113pの左側部に確実に係止させておくことができ、無端帯である搬送チェン114aの張力やその他の外力が詰まり除去手段200に加わった場合にも、離間用回転輪113dを作業位置に保持することができる。
【0079】
次に、合流部182に穀稈が詰まった際に、当該穀稈を除去する場合について説明する。
【0080】
図11に示すように、合流部182に詰まった穀稈を除去する場合、まず、作業者は、刈取部4の左側方に移動してから、ピン支持部材191及び操作レバー251の貫通孔251eからピン190を取り外す。これによって、操作レバー251の回動の規制が解除され、操作レバー251が反時計回りに回動可能になる。この時詰まりにより離間用回転輪113dに加わる外力は、案内用回転輪253、上フレーム板113pの左側部を介して上フレーム113kにより受け止められている。
【0081】
次に、作業者は、刈取部4の左方から操作レバー251の把持部251aを握り、当該操作レバー251を離間用回転輪軸230(ボルト233)を中心に平面視反時計回りに回動させる。上フレーム板113pの左側部が離間用回転輪軸230を中心とする円の接線方向に平行に配置されているため、案内用回転輪253は、上フレーム板113pの左側部上に当接されながら容易に転動できる。すなわち、操作レバー251は、大きな力を必要とすることなく回動できる。これによって、操作レバー251の案内用回転輪253が上フレーム板113pの左側部から外される。すなわち、ブラケット210が平面視時計回りに回動可能となる。
【0082】
次に、図12に示すように、作業者は、操作レバー251を長孔251dにより制限される範囲で最大限回動させた状態で、操作レバー251の把持部251aを握ったまま、当該操作レバー251を刈取部4の左方に向かって引っ張る。これによって、離間用回転輪軸230を介して操作レバー251と連結されているブラケット210が、回動支点軸220(頭付ピン221)を中心に平面視時計回りに回動する。このように、ブラケット210を平面視時計回りに回動させると、当該ブラケット210の回動支点となる回動支点軸220が合流部182よりも搬送経路上流側に配置されているため、離間用回転輪113dが合流部182から離間する。以下、この離間用回転輪113dの位置を離間位置と定義する。
【0083】
離間用回転輪113dを離間位置に変更した場合、合流部183における搬送チェン111aと搬送チェン113aとの間の空間(間隔)が、離間用回転輪113dが作業位置にある場合に比べて広くなる。これによって、合流部182に詰まった穀稈を容易に除去することができる。
【0084】
次に、合流部182に詰まった穀稈を除去した後に、再び離間用回転輪113dの位置を作業位置に戻す場合について説明する。
【0085】
離間用回転輪113dの位置を作業位置に戻す場合、作業者は操作レバー251の把持部251aを握ったまま、当該操作レバー251を刈取部4の右方に向かって押す。これによって、離間用回転輪軸230を介して操作レバー251と連結されているブラケット210が、平面視反時計回りに回動する。作業者は、離間用回転輪113dが作業位置に戻るまでブラケット210を回動させる。
【0086】
次に、作業者は、操作レバー251を平面視時計回りに長孔251dにより制限される範囲で最大限回動させる。この回動操作の過程において、操作レバー251の案内用回転輪253が斜め左右方向に延在している案内部材254の一方の折曲部に当接される。そして、案内用回転輪253が案内部材254上を当接しながら転動するように操作レバー251を回動させる。その結果、案内用回転輪253が上フレーム板113pの左側部と連続するように斜め前後方向に延在している案内部材254の他方の折曲部を介して、上フレーム板113pの左側部まで案内される。これにより、操作レバー251が案内用回転輪253及び上フレーム板113pの左側部を介して上フレーム113kに当接され、ブラケット210は、上フレーム113kに対して所定量だけ右方に張り出した位置で強固に支持される。
【0087】
最後に、ピン支持部材191及び操作レバー251の貫通孔251eにピン190を挿通することで、操作レバー251の反時計周り方向への回動を規制する。これによって、再び離間用回転輪113dを作業位置で保持することができる。
【0088】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1の刈取部4は、切断後の穀稈を複数の搬送機構(第一下部搬送装置111、第二下部搬送装置112、及び第三下部搬送装置113)により後方へ搬送しながら、その搬送方向下流側の合流部182で各搬送機構により搬送中の穀稈を合流させる下部搬送装置110と、下部搬送装置110の無端帯である搬送チェン113aに巻回されて合流部182に臨むように下部搬送装置110に配置され、その位置を合流部182に近接した作業位置と、合流部182から離間した離間位置とに変更可能な離間用回転輪113dと、離間用回転輪113dの支軸である離間用回転輪軸230に軸支される操作レバー251と、操作レバー251に軸支される案内用回転輪253と、操作レバー251の側方に配置され、案内用回転輪253と当接可能なように下部搬送装置110を支持する刈取フレーム10である上フレーム113kに固定される上フレーム板113pと、を具備し、離間用回転輪113dの位置は、操作レバー251が上フレーム板113pに案内用回転輪253を当接するように操作されると作業位置に変更され、操作レバー251が上フレーム板113pから案内用回転輪253を外すように操作されると離間位置に変更されるものである。
このように構成することにより、操作レバー251の案内用回転輪253を上フレーム板113pから外して離間用回転輪113dの位置を離間位置に変更するので、離間用回転輪113dの離間位置が操作レバー251と上フレーム板113pとの構成による制限をうけることがない。また、操作レバー251を操作する際に、案内用回転輪253がフ上フレーム板113p上を回動するため操作レバー251を操作するための荷重を低減させることができる。さらに、穀稈の詰まり時に発生する外力が上フレーム板113pを介して刈取フレームである上フレーム113kに伝達される。従って、下部搬送装置110の合流部182に詰まった穀稈を容易に除去することができるとともに、下部搬送装置110の部品の変形や破損の発生を抑制することができる。
【0089】
また、上フレーム板113pは、案内用回転輪253が当接する一側面の位置と重複する他側面の位置に上フレーム113kが固定されるものである。
このように構成することにより、案内用回転輪253が上フレーム113kと対向する上フレーム板113pの位置に当接しているため、離間用回転輪113dが上フレーム板113pを介して上フレーム113kに強固に支持されている状態となる。従って、離間用回転輪113dが穀稈の詰まり時に外力を受けても、大部分の外力が上フレーム113kに伝達されるので下部搬送装置110の部品の変形や破損の発生を抑制することができる。
【0090】
なお、ピン190をテーパ状に形成することで、当該ピン190をピン支持部材191のピン孔191a及び操作レバー251の貫通孔251eに挿通した際のガタつきを防止することもでき、ひいては操作レバー251を一定の位置に安定して保持することもできる。
【0091】
また、本発明に係るコンバインの刈取部は、上記実施形態において説明した6条刈りのコンバイン1に限らず、例えば図13に示すような7条刈りコンバインに適用することが可能である。以下では、本発明に係るコンバインの刈取部を適用した7条刈りコンバインの刈取部304について説明する。
【0092】
刈取部304が、6条刈りコンバイン1の刈取部4と異なる主な点は、掻込装置50の個数及び下部搬送装置410が備える搬送機構の個数である。刈取部304の部材のうち、6条刈りコンバイン1の刈取部4の部材と略同一の構成の部材には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0093】
刈取部304は、7条分の穀稈471・472・473・474・475・476・477を掻き込むために、4つの掻込装置50を具備する。すなわち、複数の掻込装置50・50・・・のうち最も右側に配置された掻込装置50は、2条分の穀稈471・472を掻き込む。複数の掻込装置50・50・・・のうち右側から2番目に配置された掻込装置50は、1条分の穀稈473を掻き込む。複数の掻込装置50・50・・・のうち右側から3番目に配置された掻込装置50は、2条分の穀稈474・475を掻き込む。複数の掻込装置50・50・・・のうち最も左側に配置された掻込装置50は、2条分の穀稈476・477を掻き込む。
【0094】
下部搬送装置410は、7条分の穀稈471・472・473・474・475・476・477を搬送するために、4つの搬送機構(第一下部搬送装置411、第二下部搬送装置412、第三下部搬送装置413、及び第四下部搬送装置414)を具備する。すなわち、第二下部搬送装置412によって、右側から2番目に配置された掻込装置50により掻き込まれた1条分の穀稈473の株元側が、斜後上方の合流部481まで搬送される。第三下部搬送装置413によって、右側から3番目に配置された掻込装置50により掻き込まれた2条分の穀稈474・475の株元側が、斜後上方の合流部482まで搬送される。第四下部搬送装置414によって、最も左側に配置された掻込装置50により掻き込まれた2条分の穀稈476・477と、合流部482において合流された穀稈474・475の株元側が、斜後上方の合流部483まで搬送される。第一下部搬送装置411によって、最も右側に配置された掻込装置50により掻き込まれた2条分の穀稈471・472と、合流部481において合流された穀稈473と、合流部483において合流された穀稈474・475・476・477の株元側が、図示せぬ縦搬送装置の搬送始端部に引き渡される。
【0095】
第四下部搬送装置414は、無端帯である搬送チェン414a、離間用回転輪414d、遊動回転輪414e、上フレーム414k、下フレーム414n、及び詰まり除去手段200等を具備する。
【0096】
搬送チェン414aは、離間用回転輪414d、遊動回転輪414e等に巻き掛けられる。離間用回転輪414dは、合流部483と近接する位置に配置される。詰まり除去手段200は、離間用回転輪414d及び遊動回転輪414eを回動可能に支持する。当該支持するための構成は、6条刈りコンバイン1の刈取部4において、詰まり除去手段200が離間用回転輪113d及び遊動回転輪113eを支持するための構成と略同一である。
【0097】
上フレーム414kは、円筒状の部材を、中途部で折り曲げて形成されるものである。上フレーム414kの一端(後端)は、遊動回転輪414eの近傍に配置され、詰まり除去手段200に固定される。上フレーム414kの他端(前端)は、最も左側に配置される分草フレーム14に固定される。上フレーム414kは、平面視(図13)において、第四下部搬送装置414による穀稈の搬送経路と重複しないように配置される。ここで、第四下部搬送装置414による穀稈の搬送経路とは、第四下部搬送装置414の搬送チェン414aが搬送する穀稈が通過する点の軌跡をいう。
【0098】
下フレーム414nは、円筒状の部材を、中途部で折り曲げて形成されるものである。下フレーム414nの一端(後端)は、離間用回転輪414dの近傍に配置され、詰まり除去手段200に固定される。下フレーム414nの他端(前端)は、横伝動パイプ13に固定される。下フレーム414nは、平面視(図12)において、第四下部搬送装置414の搬送経路と重複しないように配置される。
【0099】
このように、刈取部304において、詰まり除去手段200は上フレーム414k及び下フレーム414nにより保持されることになる。また、当該詰まり除去手段200は、離間用回転輪414dを、作業位置と離間位置との間で変更可能に支持する。従って、合流部483における第一下部搬送装置411と第四下部搬送装置414との間の空間(間隔)を変更することが可能である。合流部483に穀稈が詰まった場合、離間用回転輪414dを離間位置に変更することで、当該詰まった穀稈を容易に除去することができる。
【0100】
さらに、合流部483と合流部482とが近接する位置にある場合、離間用回転輪414dの位置を変更することで、合流部483における第一下部搬送装置411と第四下部搬送装置414との間の空間(間隔)、及び合流部482における第三下部搬送装置413と第四下部搬送装置414との間の空間(間隔)を同時に変更することができる構成にすることも可能である。このように構成することで、詰まり除去手段200を操作することで、2つの合流部482・483における間隔を同時に広げ、当該合流部482・483に詰まった穀稈を容易に除去することができる。
【0101】
また、刈取部304において、詰まり除去手段200は上フレーム414k及び下フレーム414nにより強固に保持されることになる。そのため、搬送中の穀稈が下部搬送装置410の合流部482又は合流部483で詰まったとき、詰まり除去手段200に外力が加わるが、その外力の影響を詰まり除去手段200が受けにくくなる。従って、詰まり除去手段200が穀稈の詰まり時に外力を受けて変形したり破損したりするのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 コンバイン
4 刈取部
10 刈取フレーム
110 下部搬送装置
111 第一下部搬送装置(搬送機構)
112 第二下部搬送装置(搬送機構)
113 第三下部搬送装置(搬送機構)
113a 無端帯
113d 離間用回転輪
113k 上フレーム(支持部材)
113p 上フレーム板
113n 下フレーム(支持部材)
182 合流部
230 離間用回転輪軸
251 操作レバー(操作具)
253 案内用回転輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断後の穀稈を複数の搬送機構により後方へ搬送しながら、その搬送方向下流側の合流部で各搬送機構により搬送中の穀稈を合流させる下部搬送装置と、
前記下部搬送装置の無端帯に巻回されて前記合流部に臨むように前記下部搬送装置に配置され、その位置を前記合流部に近接した作業位置と、前記合流部から離間した離間位置とに変更可能な離間用回転輪と、
前記離間用回転輪の支軸に軸支される操作レバーと、
前記操作レバーに軸支される案内用回転輪と、
前記操作レバーの側方に配置され、前記案内用回転輪と当接可能なように前記下部搬送装置を支持する刈取フレームに固定されるフレーム板と、
を具備し、
前記離間用回転輪の位置は、
前記操作レバーが前記フレーム板に前記案内用回転輪を当接するように操作されると作業位置に変更され、前記操作レバーが前記フレーム板から前記案内用回転輪を外すように操作されると離間位置に変更されるコンバインの刈取部。
【請求項2】
前記フレーム板は、
前記案内用回転輪が当接する一側面の位置と重複する他側面の位置に前記刈取フレームが固定される請求項1に記載のコンバインの刈取部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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