コンバインの穀稈引起し装置
【課題】引起し装置の回動支点位置を下方に低く設定することによって軽量化し、引起し装置を上方に軽く容易に持ち上げ開放することができる装置を提供すること。
【解決手段】立毛穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)の上方に横向きの上部横伝動軸(22)を配置し、該上部横伝動軸(22)に縦向きの縦伝動軸(24)の上端部を連動させ、該縦伝動軸(24)を下方に延出させて該縦伝動軸(24)の下端部に横向きの下部横伝動軸(25)を連動させ、該下部横伝動軸(25)から引起し装置(8)へ伝動する構成とし、前記複数の引起し装置(8)のうちの少なくとも一つの引起し装置(8)を、下部横伝動軸(25)を回動支点として、下降回動した作業位置と上昇回動した非作業位置とに位置変更自在に支持する。
【解決手段】立毛穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)の上方に横向きの上部横伝動軸(22)を配置し、該上部横伝動軸(22)に縦向きの縦伝動軸(24)の上端部を連動させ、該縦伝動軸(24)を下方に延出させて該縦伝動軸(24)の下端部に横向きの下部横伝動軸(25)を連動させ、該下部横伝動軸(25)から引起し装置(8)へ伝動する構成とし、前記複数の引起し装置(8)のうちの少なくとも一つの引起し装置(8)を、下部横伝動軸(25)を回動支点として、下降回動した作業位置と上昇回動した非作業位置とに位置変更自在に支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立毛穀稈を引き起しながら刈り取って脱穀するコンバインの穀稈引起し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示すように、刈取装置や掻込搬送装置等を点検したり、穀稈の詰りなどによるトラブル解消の際、穀稈の引起し装置を上方に持ち上げて、刈取装置や掻込搬送装置の前方を開放してメンテナンスなどの作業の容易化を図るようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−235116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来技術の引起し装置は、この引起し装置の上方部に位置する機体横向きの横伝動軸を回動支点として上方に持ち上げる構成であるため、横伝動軸から引起し装置間に至る下方向きの縦伝動軸やこれを覆う縦伝動ケース、ベベルギヤケース等の伝動支持機構を含み全体として非常に重くなって、上方への持ち上げ操作が容易ではなく、しかも、持ち上げ後の係止固定手段も複雑化する問題があった。
【0005】
本発明の課題は、引起し装置の回動支点位置を下方に低く設定することによって軽量化し、引起し装置を上方に軽く容易に持ち上げ開放することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、立毛穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)の上方に横向きの上部横伝動軸(22)を配置し、該上部横伝動軸(22)に縦向きの縦伝動軸(24)の上端部を連動させ、該縦伝動軸(24)を下方に延出させて該縦伝動軸(24)の下端部に横向きの下部横伝動軸(25)を連動させ、該下部横伝動軸(25)から引起し装置(8)へ伝動する構成とし、前記複数の引起し装置(8)のうちの少なくとも一つの引起し装置(8)を、下部横伝動軸(25)を回動支点として、下降回動した作業位置と上昇回動した非作業位置とに位置変更自在に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置とする。
【0007】
刈取装置や掻込搬送装置等のメンテナンス作業を行う場合には、所定の作業姿勢での引起し装置(8)の下部固定手段を解除し、この引起し装置(8)を下部横伝動軸(25)の軸芯を回動支点として上方の非作業位置に回動操作することによって、刈取装置や掻込搬送装置等の前方が大きく開放する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引起し装置(8)の回動支点位置を従来のものより下方に下げて低くすることによって引起し装置(8)を上方に軽く容易に持ち上げ操作することができ、刈取装置や掻込搬送装置の前方を大きく開放することができるものでありながら、持ち上げ後の固定手段にあってもフック等の簡単な係止手段により保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】刈取部の要部の側面図
【図4】コンバインの正面図
【図5】刈取部の要部の側面図
【図6】引起し装置の伝動機構を示す正面図
【図7】ロック装置の側面図
【図8】同上要部の背面図
【図9】コンバインの要部の正面図、
【図10】同上要部の平面図
【図11】脱穀部の排塵処理装置の要部側断面図
【図12】脱穀部の要部の正断面図
【図13】制御ブロック回路図
【図14】グレンタンクの要部の側断面図
【図15】図14のS1−S1断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席や操作ボックス等を内装する運転キャビン5を備え、更に、その運転キャビンの後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク6を装備している。
【0011】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体7,7…、分草後の穀稈を引き起す6条分の穀稈引起し装置8…、引起し後の穀稈を刈り取るバリカン式の刈取装置9、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置10、掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送し後方の脱穀装置3の脱穀フィードチエン12に搬送供給する刈取穀稈搬送装置11等からなり、刈取入力軸13を支点として上下に昇降可能で前後方向に沿わせて設けた刈取縦フレーム17及び該刈取縦フレームの先端に左右横方向に沿わせて設けた刈取横フレーム18に装備している。刈取縦フレーム17は、リフトシリンダ14によって昇降する構成であり、該フレーム17内には刈取縦伝動軸を内装し、前記刈取横フレーム18内の刈取横伝動軸を駆動すべく連動構成している。
【0012】
引起し装置8は、上部が刈取横フレーム18から立設する引起し縦伝動パイプ19、各引起し装置上部に横架する引起し横伝動ケース21、該引起し横伝動ケース21の中間部から後方に延出して刈取縦フレーム17の基部側に連結保持する引起し支持フレーム23等によって装着支持されると共に、下部が前記分草体7の分草支持フレーム15に支持されている。また、各引起し装置8は、引起し横伝動ケース21に内装された上部横伝動軸22、第1ベベルギヤ機構G1,G2、上部横伝動軸22から下方向きに延出する縦伝動軸24、第2ベベルギヤ機構G3,G4、縦伝動軸24から左右横方向に延出する下部横伝動軸25、第3ベベルギヤ機構G5,G6を介して回転駆動されるように連動構成している。
【0013】
そして、左右最外側の引起し装置8L,8Rを除く4基の引起し装置8…は、下部横伝動軸25を支点として下げ位置での作業姿勢と上げ位置での非作業姿勢とに姿勢変更固定自在に軸受保持された構成としている。前記4基の各引起し装置は各々が独立的に上下動する構成であり、上方に持ち上げた時には、係止フックやスタンド等の簡単な手段により支持させておけば良く、また、これを後方に反転させて引起し横伝動ケース21の上に凭れかけるようにして支持させることもできる。
【0014】
引起し装置8の引起しケースは、前後に分割可能な前ケース8aと後ケース8bとからなり、そして、前ケース8aの上方部のみが前記縦伝動軸24を覆う縦伝動ケース26に固定され、下部横伝動軸25の軸芯近くでヒンジ28部から屈折するようになっている。後ケース8bは、下部横伝動ケース27に軸支する下部横伝動軸25を軸芯として回動可能なベベルギヤボックス29と一体的に上下動する構成としている。また、4基の各引起し装置8…の下部には、分草支持フレーム15から突設する支持ステー30に対しワンタッチで着脱できるロック装置が設けられている。このロック装置は、引起し装置の後ケース8b側に設けられたロックピン31と支持ステー30側に設けられていて軸芯Q1回りに回動可能なロック爪32とからなり、ロックピン31に対するロック爪32のロック状態を解除すると、引起し装置の上方への持ち上げが可能となり、しかも、前記後ケース8bの裏側に分草支持杆7aを介して支持固定された分草体7が引起し装置と一体的に持ち上げられるようになっている。
【0015】
次に、図9及び図10に示す実施例について説明する。
引起し(装置)8L1,8L2及び引起し(装置)8R1,8R2を駆動する伝動経路(ケース)を、上部の引起し横伝動ケース21から下方の引起し8L1,8R1に向けて延出する第1縦伝動経路LD1,RD1と、これより互いに内側に向けて延出する第1横伝動経路LD2,RD2と、更に、これより下方に向けて延出する第2縦伝動経路LD3,RD3と、これより外側に向けて延出する第2横伝動経路LD4,RD4とからなる構成とし、これらの各伝動経路を経て各引起し装置8L1,8L2及び8R1,8R2を回転駆動すべく連動構成している。そして、各伝動経路LD1(RD1)、LD2(RD2)、LD3(RD3)、LD4(RD4)は、前記第1縦伝動経路LD1,RD1の縦軸芯Q2回りに回動可能な構成とすることで、引起し8L1,8L2を図9の状態から前方に出しながら左側へオープン(図10参照)することができ、また、引起し8R1,8R2においても前方に出しながら図10に示すように右側へオープンすることができる。なお、引起し装置8L2,8R2の背部に上部穂先搬送装置34を配備した構成のものでは、これも一緒にオープンすることができる。また、分草体をオープンできる引起し装置側に装着しておくようにすれば、同時にオープンすることができる。
【0016】
図11に示すように、排塵処理胴36の終端から機外に排出する排塵処理物を、排ワラを切断処理する排ワラカッター38に排塵シューター39を介して導くように構成し、この排塵処理物をカッター部に取り込んで切断処理することで、切断ワラの拡散性能を高めるようにしている。また、排塵処理胴の外周に巻回された送りラセン37において、このラセンピッチを前半ピッチP1より後半ピッチP2を大きく(P1<P2)することで、カッター部への送り込みを促進し、処理性能を高めるようにしている。
【0017】
コンバインの脱穀選別制御1.において、図12、図13に示すように、揺動選別棚41のシーブ42の開度を検出するシーブセンサ43を設け、1番揚穀装置44からの1番物の流量を検出する1番センサ45と、扱胴46を有した扱室47内又は2番処理胴48を有した2番処理室49内に2番処理物を還元する2番還元装置50からの2番流量を検出する2番センサ51を設け、シーブ42の開度をシーブセンサ43で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕53の唐箕回転センサ54による回転数の指示値と1番流量又は2番流量と前記合計の比率とを比較演算してシーブ開度を変化させるように構成している。これによると、2番への分配率を算出するので、被選別物の循環を防止し、適切な分配率となるように制御できる。従来のものでは2番流量のみを基準とした制御であり、被選別物の分配率を直接把握できないため、循環が過大或は過少になって能率が悪いが、上記本例では、揺動選別棚上の被選別物の分配率に応じて常に適切なシーブ開度を得ることができるので、選別性能の向上を図ることができる。また、2番への穀粒の循環を防止して選別部での流量が過大にならないため、選別効率がアップし、作業能率が向上する。
【0018】
また、コンバインの脱穀選別制御2.において、唐箕の回転数をセンサ54で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕53の回転数の指示値と、1番流量又は2番流量と前記合計の比率とを比較演算して唐箕回転速度を変化させるように構成することで、揺動選別棚上の被選別物の分配率に応じて常に適切な選別風速を得ることができ、選別性能の向上を図ることができる。
【0019】
コンバインの脱穀選別制御3.において、唐箕の回転数をセンサ54で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出して、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕回転数の指示値と、1番流量、2番流量の合計を比較演算して唐箕回転速度を変化させるように構成することができる。選別部に受け入れられる被選別物の総量は1番と2番の流量を合計したものであり、これを基準に制御する。従来のものでは、2番流量のみを基準とした制御であり、これでは被選別物の総量が適切に把握できないため、選別不良が発生する。上記構成によれば、揺動選別棚上の被選別物流量の変動に応じて常に所定の選別風速を得ることができるため、選別性能の向上を図ることができる。
【0020】
コンバインの脱穀選別制御4.において、前記唐箕とは別に設けられた回転数変更可能なセカンドファンの回転数を回転センサ55で検出するようにし、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕53の唐箕回転センサ54による回転数の指示値と、1番流量又は2番流量と前記合計の比率とを比較演算してセカンドファンの回転速度を制御するように構成することもできる。これによれば、揺動選別棚上の被選別物の分配率に応じて常に適切な選別風速を得ることができ、選別性能の向上を図ることができる。
【0021】
また、コンバインの脱穀選別制御5.において、回転数変更可能なセカンドファンの回転数を回転センサ55で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録されたセカンドファンの指示値と、1番流量と2番流量の合計を比較演算してセカンドファンの回転速度を制御するように構成することもできる。選別部に受け入れられる被選別物の総量は1番と2番の流量を合計したものであり、これを基準にして制御するが、被選別の量が少ないときにセカンドファン速度が高いと3番ロスが増加し、被選別物の量が多いときに2番への夾雑物の落下が多いと揺動選別棚で循環する量が増えて能率が低下する。上記の構成によれば、揺動選別棚上の被選別流量の変動に応じて常に適切な選別風速を得ることができるため、選別性能が向上し、流量が低いときに3番ロスを低減でき、流量が高いときには能率を上げることができる。
【0022】
図14、図15に示すように、グレンタンク6内の穀粒を搬送ラセン57によってタンク外に搬出し、この搬出された穀粒をタンク一側の揚穀ラセン筒58内にエルボ状の引継メタル59を介して引き継がせる構成のものにおいて、ラセン屋根60の開口部61より引継メタル59の内壁を外方に大きく張り出すことにより、搬送時のタンク内から引継メタルへの引継ぎ部の抵抗をなくし、引継ぎ部の搬送通路での穀粒の詰りをなくすように構成している。従来では、タンク側板部でラセン屋根と引継メタルとの間に図14の仮想線(イ)で示すような壁があるため、これが穀粒の搬送抵抗となり詰りの発生要因となっていた。本例では上記構成とすることで、穀粒の搬送抵抗がなくなり、スムースに引継ぎ搬送されるようになった。
【符号の説明】
【0023】
8 引起し装置
22 上部横伝動軸
24 縦伝動軸
25 下部伝動軸
【技術分野】
【0001】
この発明は、立毛穀稈を引き起しながら刈り取って脱穀するコンバインの穀稈引起し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に示すように、刈取装置や掻込搬送装置等を点検したり、穀稈の詰りなどによるトラブル解消の際、穀稈の引起し装置を上方に持ち上げて、刈取装置や掻込搬送装置の前方を開放してメンテナンスなどの作業の容易化を図るようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−235116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来技術の引起し装置は、この引起し装置の上方部に位置する機体横向きの横伝動軸を回動支点として上方に持ち上げる構成であるため、横伝動軸から引起し装置間に至る下方向きの縦伝動軸やこれを覆う縦伝動ケース、ベベルギヤケース等の伝動支持機構を含み全体として非常に重くなって、上方への持ち上げ操作が容易ではなく、しかも、持ち上げ後の係止固定手段も複雑化する問題があった。
【0005】
本発明の課題は、引起し装置の回動支点位置を下方に低く設定することによって軽量化し、引起し装置を上方に軽く容易に持ち上げ開放することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、立毛穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)の上方に横向きの上部横伝動軸(22)を配置し、該上部横伝動軸(22)に縦向きの縦伝動軸(24)の上端部を連動させ、該縦伝動軸(24)を下方に延出させて該縦伝動軸(24)の下端部に横向きの下部横伝動軸(25)を連動させ、該下部横伝動軸(25)から引起し装置(8)へ伝動する構成とし、前記複数の引起し装置(8)のうちの少なくとも一つの引起し装置(8)を、下部横伝動軸(25)を回動支点として、下降回動した作業位置と上昇回動した非作業位置とに位置変更自在に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置とする。
【0007】
刈取装置や掻込搬送装置等のメンテナンス作業を行う場合には、所定の作業姿勢での引起し装置(8)の下部固定手段を解除し、この引起し装置(8)を下部横伝動軸(25)の軸芯を回動支点として上方の非作業位置に回動操作することによって、刈取装置や掻込搬送装置等の前方が大きく開放する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、引起し装置(8)の回動支点位置を従来のものより下方に下げて低くすることによって引起し装置(8)を上方に軽く容易に持ち上げ操作することができ、刈取装置や掻込搬送装置の前方を大きく開放することができるものでありながら、持ち上げ後の固定手段にあってもフック等の簡単な係止手段により保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】刈取部の要部の側面図
【図4】コンバインの正面図
【図5】刈取部の要部の側面図
【図6】引起し装置の伝動機構を示す正面図
【図7】ロック装置の側面図
【図8】同上要部の背面図
【図9】コンバインの要部の正面図、
【図10】同上要部の平面図
【図11】脱穀部の排塵処理装置の要部側断面図
【図12】脱穀部の要部の正断面図
【図13】制御ブロック回路図
【図14】グレンタンクの要部の側断面図
【図15】図14のS1−S1断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席や操作ボックス等を内装する運転キャビン5を備え、更に、その運転キャビンの後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク6を装備している。
【0011】
刈取部4は、立毛する穀稈を左右に分草する分草体7,7…、分草後の穀稈を引き起す6条分の穀稈引起し装置8…、引起し後の穀稈を刈り取るバリカン式の刈取装置9、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置10、掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送し後方の脱穀装置3の脱穀フィードチエン12に搬送供給する刈取穀稈搬送装置11等からなり、刈取入力軸13を支点として上下に昇降可能で前後方向に沿わせて設けた刈取縦フレーム17及び該刈取縦フレームの先端に左右横方向に沿わせて設けた刈取横フレーム18に装備している。刈取縦フレーム17は、リフトシリンダ14によって昇降する構成であり、該フレーム17内には刈取縦伝動軸を内装し、前記刈取横フレーム18内の刈取横伝動軸を駆動すべく連動構成している。
【0012】
引起し装置8は、上部が刈取横フレーム18から立設する引起し縦伝動パイプ19、各引起し装置上部に横架する引起し横伝動ケース21、該引起し横伝動ケース21の中間部から後方に延出して刈取縦フレーム17の基部側に連結保持する引起し支持フレーム23等によって装着支持されると共に、下部が前記分草体7の分草支持フレーム15に支持されている。また、各引起し装置8は、引起し横伝動ケース21に内装された上部横伝動軸22、第1ベベルギヤ機構G1,G2、上部横伝動軸22から下方向きに延出する縦伝動軸24、第2ベベルギヤ機構G3,G4、縦伝動軸24から左右横方向に延出する下部横伝動軸25、第3ベベルギヤ機構G5,G6を介して回転駆動されるように連動構成している。
【0013】
そして、左右最外側の引起し装置8L,8Rを除く4基の引起し装置8…は、下部横伝動軸25を支点として下げ位置での作業姿勢と上げ位置での非作業姿勢とに姿勢変更固定自在に軸受保持された構成としている。前記4基の各引起し装置は各々が独立的に上下動する構成であり、上方に持ち上げた時には、係止フックやスタンド等の簡単な手段により支持させておけば良く、また、これを後方に反転させて引起し横伝動ケース21の上に凭れかけるようにして支持させることもできる。
【0014】
引起し装置8の引起しケースは、前後に分割可能な前ケース8aと後ケース8bとからなり、そして、前ケース8aの上方部のみが前記縦伝動軸24を覆う縦伝動ケース26に固定され、下部横伝動軸25の軸芯近くでヒンジ28部から屈折するようになっている。後ケース8bは、下部横伝動ケース27に軸支する下部横伝動軸25を軸芯として回動可能なベベルギヤボックス29と一体的に上下動する構成としている。また、4基の各引起し装置8…の下部には、分草支持フレーム15から突設する支持ステー30に対しワンタッチで着脱できるロック装置が設けられている。このロック装置は、引起し装置の後ケース8b側に設けられたロックピン31と支持ステー30側に設けられていて軸芯Q1回りに回動可能なロック爪32とからなり、ロックピン31に対するロック爪32のロック状態を解除すると、引起し装置の上方への持ち上げが可能となり、しかも、前記後ケース8bの裏側に分草支持杆7aを介して支持固定された分草体7が引起し装置と一体的に持ち上げられるようになっている。
【0015】
次に、図9及び図10に示す実施例について説明する。
引起し(装置)8L1,8L2及び引起し(装置)8R1,8R2を駆動する伝動経路(ケース)を、上部の引起し横伝動ケース21から下方の引起し8L1,8R1に向けて延出する第1縦伝動経路LD1,RD1と、これより互いに内側に向けて延出する第1横伝動経路LD2,RD2と、更に、これより下方に向けて延出する第2縦伝動経路LD3,RD3と、これより外側に向けて延出する第2横伝動経路LD4,RD4とからなる構成とし、これらの各伝動経路を経て各引起し装置8L1,8L2及び8R1,8R2を回転駆動すべく連動構成している。そして、各伝動経路LD1(RD1)、LD2(RD2)、LD3(RD3)、LD4(RD4)は、前記第1縦伝動経路LD1,RD1の縦軸芯Q2回りに回動可能な構成とすることで、引起し8L1,8L2を図9の状態から前方に出しながら左側へオープン(図10参照)することができ、また、引起し8R1,8R2においても前方に出しながら図10に示すように右側へオープンすることができる。なお、引起し装置8L2,8R2の背部に上部穂先搬送装置34を配備した構成のものでは、これも一緒にオープンすることができる。また、分草体をオープンできる引起し装置側に装着しておくようにすれば、同時にオープンすることができる。
【0016】
図11に示すように、排塵処理胴36の終端から機外に排出する排塵処理物を、排ワラを切断処理する排ワラカッター38に排塵シューター39を介して導くように構成し、この排塵処理物をカッター部に取り込んで切断処理することで、切断ワラの拡散性能を高めるようにしている。また、排塵処理胴の外周に巻回された送りラセン37において、このラセンピッチを前半ピッチP1より後半ピッチP2を大きく(P1<P2)することで、カッター部への送り込みを促進し、処理性能を高めるようにしている。
【0017】
コンバインの脱穀選別制御1.において、図12、図13に示すように、揺動選別棚41のシーブ42の開度を検出するシーブセンサ43を設け、1番揚穀装置44からの1番物の流量を検出する1番センサ45と、扱胴46を有した扱室47内又は2番処理胴48を有した2番処理室49内に2番処理物を還元する2番還元装置50からの2番流量を検出する2番センサ51を設け、シーブ42の開度をシーブセンサ43で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕53の唐箕回転センサ54による回転数の指示値と1番流量又は2番流量と前記合計の比率とを比較演算してシーブ開度を変化させるように構成している。これによると、2番への分配率を算出するので、被選別物の循環を防止し、適切な分配率となるように制御できる。従来のものでは2番流量のみを基準とした制御であり、被選別物の分配率を直接把握できないため、循環が過大或は過少になって能率が悪いが、上記本例では、揺動選別棚上の被選別物の分配率に応じて常に適切なシーブ開度を得ることができるので、選別性能の向上を図ることができる。また、2番への穀粒の循環を防止して選別部での流量が過大にならないため、選別効率がアップし、作業能率が向上する。
【0018】
また、コンバインの脱穀選別制御2.において、唐箕の回転数をセンサ54で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕53の回転数の指示値と、1番流量又は2番流量と前記合計の比率とを比較演算して唐箕回転速度を変化させるように構成することで、揺動選別棚上の被選別物の分配率に応じて常に適切な選別風速を得ることができ、選別性能の向上を図ることができる。
【0019】
コンバインの脱穀選別制御3.において、唐箕の回転数をセンサ54で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出して、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕回転数の指示値と、1番流量、2番流量の合計を比較演算して唐箕回転速度を変化させるように構成することができる。選別部に受け入れられる被選別物の総量は1番と2番の流量を合計したものであり、これを基準に制御する。従来のものでは、2番流量のみを基準とした制御であり、これでは被選別物の総量が適切に把握できないため、選別不良が発生する。上記構成によれば、揺動選別棚上の被選別物流量の変動に応じて常に所定の選別風速を得ることができるため、選別性能の向上を図ることができる。
【0020】
コンバインの脱穀選別制御4.において、前記唐箕とは別に設けられた回転数変更可能なセカンドファンの回転数を回転センサ55で検出するようにし、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録された唐箕53の唐箕回転センサ54による回転数の指示値と、1番流量又は2番流量と前記合計の比率とを比較演算してセカンドファンの回転速度を制御するように構成することもできる。これによれば、揺動選別棚上の被選別物の分配率に応じて常に適切な選別風速を得ることができ、選別性能の向上を図ることができる。
【0021】
また、コンバインの脱穀選別制御5.において、回転数変更可能なセカンドファンの回転数を回転センサ55で検出し、1番流量と2番流量を1番センサ45、2番センサ51で検出し、各センサからの信号をコントローラ52に入力し、コントローラに記録されたセカンドファンの指示値と、1番流量と2番流量の合計を比較演算してセカンドファンの回転速度を制御するように構成することもできる。選別部に受け入れられる被選別物の総量は1番と2番の流量を合計したものであり、これを基準にして制御するが、被選別の量が少ないときにセカンドファン速度が高いと3番ロスが増加し、被選別物の量が多いときに2番への夾雑物の落下が多いと揺動選別棚で循環する量が増えて能率が低下する。上記の構成によれば、揺動選別棚上の被選別流量の変動に応じて常に適切な選別風速を得ることができるため、選別性能が向上し、流量が低いときに3番ロスを低減でき、流量が高いときには能率を上げることができる。
【0022】
図14、図15に示すように、グレンタンク6内の穀粒を搬送ラセン57によってタンク外に搬出し、この搬出された穀粒をタンク一側の揚穀ラセン筒58内にエルボ状の引継メタル59を介して引き継がせる構成のものにおいて、ラセン屋根60の開口部61より引継メタル59の内壁を外方に大きく張り出すことにより、搬送時のタンク内から引継メタルへの引継ぎ部の抵抗をなくし、引継ぎ部の搬送通路での穀粒の詰りをなくすように構成している。従来では、タンク側板部でラセン屋根と引継メタルとの間に図14の仮想線(イ)で示すような壁があるため、これが穀粒の搬送抵抗となり詰りの発生要因となっていた。本例では上記構成とすることで、穀粒の搬送抵抗がなくなり、スムースに引継ぎ搬送されるようになった。
【符号の説明】
【0023】
8 引起し装置
22 上部横伝動軸
24 縦伝動軸
25 下部伝動軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立毛穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)の上方に横向きの上部横伝動軸(22)を配置し、該上部横伝動軸(22)に縦向きの縦伝動軸(24)の上端部を連動させ、該縦伝動軸(24)を下方に延出させて該縦伝動軸(24)の下端部に横向きの下部横伝動軸(25)を連動させ、該下部横伝動軸(25)から引起し装置(8)へ伝動する構成とし、前記複数の引起し装置(8)のうちの少なくとも一つの引起し装置(8)を、下部横伝動軸(25)を回動支点として、下降回動した作業位置と上昇回動した非作業位置とに位置変更自在に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項1】
立毛穀稈を引き起す複数の引起し装置(8)の上方に横向きの上部横伝動軸(22)を配置し、該上部横伝動軸(22)に縦向きの縦伝動軸(24)の上端部を連動させ、該縦伝動軸(24)を下方に延出させて該縦伝動軸(24)の下端部に横向きの下部横伝動軸(25)を連動させ、該下部横伝動軸(25)から引起し装置(8)へ伝動する構成とし、前記複数の引起し装置(8)のうちの少なくとも一つの引起し装置(8)を、下部横伝動軸(25)を回動支点として、下降回動した作業位置と上昇回動した非作業位置とに位置変更自在に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−172235(P2010−172235A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16922(P2009−16922)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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