説明

コンバインの穀稈引起し装置

【課題】引起しケースを上方回動させて刈取搬送装置の掻込み部や搬送部の詰まりを除去する作業を容易に行うことができ、また、引起しケース内部のメンテナンス作業も容易に行うことができるものとする。
【解決手段】刈取支持フレーム(1)の左右両側から立設した一対の引起し支持筒(2,2)の上部に、伝動軸(3)を内装した引起し支持伝動フレーム(4)を横向きに支持し、該引起し支持伝動フレーム(4)から垂下した縦支持筒(5)に、前記伝動軸(3)から分岐させた引起し伝動軸(6)を内装し、該引起し伝動軸(6)は、その下端部から横方向に分岐した引起し軸(7,7)によって引起しケース(8)の内部に入力する構成とし、該引起しケース(8)は、前記引起し軸(7)を回動支点(P)として上方に回動する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、刈取搬送装置の前部に配置した引起しケースを、上部の横向きに軸架した引起し軸を回動中心にして、前部から上方へ回動させるコンバインの穀稈引起し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からコンバインの穀稈引起し装置は、刈取後、搬送される穀稈が途中で詰まると、清掃やメンテナンスのために作業空間を拡げて、詰まり穀稈を取り除くために、上部のカウンタ軸を回動支点にして、引起しケースを上方に振り上げて回動させる技術がある。例えば、特開2007−6822号の公開特許公報がその一例である。
【0003】
該公開特許公報(特許文献1参照)に開示されている公知技術は、引起し装置13をその上部に横架支承されたカウンタ軸35にギヤ連動するとともに、カウンタ軸35の軸心Qを中心にして振り上げ揺動可能に支持し、カウンタ軸とこれにギヤ連動された引起し駆動軸41との伝動系に、引起し装置の振り上げ角度α以上の回転融通を備えた係合伝動手段として爪クラッチ50を介在してある。
【0004】
と技術構成が記載され、それによって
「伝動系に特別の注意を何ら払うことなく引起し装置を簡単に振り上げ及び振り下ろし操作ができるようにする」と解決した課題が記載されている。
【0005】
なお、上記符号は、該公報に記載されている番号を記した。
【特許文献1】特開2007−6822号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の穀稈引起し装置は、特許文献1として提示した公開特許公報に示されているように、左右のパイプ支柱の上端間に架渡したカウンタケース内のカウンタ軸を回動支点にして引起しケースを振り上げ、振り降しができる構成になっている。このように、穀稈引起し装置は、最上部の位置に軸架されている回動支点(カウンタ軸)を中心に振り上げられると、大きな回動軌跡を描きながら高い位置まで回動して上がり、振り上げた位置でガススプリングによって固定保持する構成となっている。
【0007】
したがって、従来の穀稈引起し装置は、高い位置まで振り上げるから、下側のメンテナンスの作業空間(詰まりを取り除くための作業空間)は広くなって、清掃作業が楽にできる利点はあるが、引起しケースを振り上げた位置において、同時作業として、引起しケース内部のメンテナンスを行うことが多いが、そのときには、脚立を必要とし、作業に難儀して同時作業ができ難い課題があった。
【0008】
更に、上述の如く、従来の構成に係る穀稈引起し装置は、最上部のカウンタ軸を回動支点にして、付随する伝動装置も含めて一体として全体を上方に振り上げ回動する構成であるから、重量的に重くなり、これら全部を支える支持機構に大きな強度が要求され、必然的に制作上コスト高となる課題があった。
【0009】
そして、従来の構成は、特許文献1として提示した公開特許公報の図10、及び図11に示されているように、分草杆や掻込み装置や搬送装置までも、引起しケースと一体に振り上げる構成が示されているが、このように構成すると、振り上げる装置の全体重量が更に増して、支持構造に大きな強度が要求され、コンパクトな構成は、到底期待できず、大幅なコスト高になる課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1に記載した発明は、刈取支持フレーム(1)の左右両側から立設した一対の引起し支持筒(2,2)の上部に、伝動軸(3)を内装した引起し支持伝動フレーム(4)を横向きに支持し、該引起し支持伝動フレーム(4)から垂下した縦支持筒(5)に、前記伝動軸(3)から分岐させた引起し伝動軸(6)を内装し、該引起し伝動軸(6)は、その下端部から横方向に分岐した引起し軸(7,7)によって引起しケース(8)の内部に入力する構成とし、該引起しケース(8)は、前記引起し軸(7,7)を回動支点(P)として上方に回動する構成としたことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置とした。
【0011】
引起しケース(8)は、最上部に軸架した左右横方向の伝動軸(3)から、分岐させた伝動軸(6)を縦支持筒(5)内に軸装して垂下し、その伝動軸(6)の下端部に引起し軸(7,7)を横向きに軸装して引起しケース(8)内部に入力可能に構成し、その引起し軸(7,7)を回動支点(P)として、引起し始端部が前方を経由して上方に回動する構成としている。
【0012】
このように、引起しケース(8)は、上方に回動すると、その下側の掻込み装置や搬送装置の始端部分が開放されて詰まった穀稈の取り除きが容易になる。又、引起しケース(8)は、上方に回動した位置で内部のメンテナンスもできるものとなっている。この場合、引起しケース(8)は、回動して保持されている位置が低いために、メンテナンス作業が容易にできる利点がある。
【0013】
つぎに、請求項2に記載した発明は、前記引起しケース(8)は、前記刈取支持フレーム(1)との間に2点リンクから構成した固定用の支持リンク(9)を介装して位置固定可能に構成し、前記引起しケース(8)は、前記支持リンク(9)が伸びきった後に反対側に折り曲がった位置で引起しケース(8)の位置を固定する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀稈引起し装置とした。
【0014】
引起しケース(8)は、きわめて簡単で安価な支持リンク(9)によって、固定・支持することができる。
つぎに、請求項3に記載した発明は、前記刈取支持フレーム(1)から前方側に延長した分草支持杆(10)の前部に取り付けた分草杆(11)を、前記引起しケース(8)の上方回動軌跡から退避できる構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀稈引起し装置とした。
【0015】
引起しケース(8)の前側にある分草杆(11)を、引起しケース(8)の上方回動軌跡から退避させることにより、該引起しケース(8)の上方回動に支障がなくなり、従来の如く、分草杆(11)を一体にして振り上げ回動する構成に比較して、簡単で軽くてなり、低コストで製作できる利点がある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載した発明は、上部の伝動軸(3)から引起し伝動軸(6)を垂下し、該引起し伝動軸(6)の下端部に横向きに設けた引起し軸(7)を引起しケース(8)の回動支点(P)とする構成にしたから、引起しケース(8)の上方回動支点が大幅に低くなって、該引起しケース(8)を上方回動させた位置において、刈取搬送装置の掻込み部や搬送部の詰まりを除去する作業を容易に行うことができ、また、引起しケース(8)内部のメンテナンス作業も容易に行うことができる。
【0017】
そして、引起しケース(8)に付随する縦支持筒(5)や引起し伝動軸(6)などの伝動装置を刈取支持フレーム(1)側に残し、引起しケース(8)のみを上方回動する構成としたから、従来構成に比較してコンパクトで軽くなり、支持リンク9等の支持機構も、従来ほど大きな強度が要求されず、製造コストを低減して安価に提供することができる。
【0018】
請求項2に記載した発明は、上記請求項1に記載した発明の効果に加え、引起しケース(8)を、刈取支持フレーム(1)との間に固定用の支持リンク(9)を介装して、支点越えした位置で固定支持を可能に構成したから、上方に回動させた引起しケース(8)を、きわめて簡単な支持構成による安価な2点リンクからなる支持リンク(9)によって、安定した状態に、固定・支持することができる。そして、支持リンク(9)を低コストで製作でき、安価に提供することができる。
【0019】
そして、請求項3に記載した発明は、上記請求項1に記載した発明の効果に加え、刈取支持フレーム(1)から前方側に延長した分草支持杆(10)の前部に取り付けた分草杆(11)を、前記引起しケース(8)の上方回動軌跡から簡単な取付けねじによって退避できる構成としているから、引起しケース(8)と分草杆(11)を一体にして上方回動する従来の構成に比較して、構成が簡単で引起しケース(8)側が軽くなり、支持機構の強度が小さくても充分に耐えるから低コストで製作でき、安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインは、図1、及び図2に示すように、左右一対のクローラ13,13を装備した車体14上に、穀稈供給口を前側に位置させて脱穀装置15を搭載し、その前側に刈取搬送装置16を昇降自由に連結して支持した構成としている。
【0021】
そして、刈取搬送装置16は、図面に示すように、上記脱穀装置15の前側、車体14の前部に刈取懸架台17が装置され、その刈取懸架台17上に基部を枢着状態に支持した刈取フレーム18を、前部斜め下方に延長してその前端部に、横向きの伝動ケース19を連結して平面視T型の伝動機構を内装した刈取支持フレーム1を構成している。そして、刈取搬送装置16は、前記の如く、刈取フレーム18と伝動ケース19とから構成された刈取支持フレーム1に、前部の低位置に前方側に延長した分草支持杆10の先端部に分草杆11を、その背後に斜め上方に向けた引起しラグ20aを備えた穀稈引起し装置20を、その下方の株元の位置には広幅(実施例は6条刈)でレシプロ式の刈取装置21を、その上方から脱穀装置15に向けて株元と穂先側とを搬送する上下2段の穀稈搬送装置22(株元チエン22aと穂先ラグ22b)をそれぞれ配置して取り付け、伝動可能に構成している。そして、穀稈掻込み装置25は、前記刈取装置21のすぐ上側に掻込みスターホイール26を軸架し、それより前側に掻込みラグベルト27を設けて構成している。
【0022】
そして、キャビン23は、図2に示すように、車体14上の右側の前部に寄せて配置し、前記刈取搬送装置16から脱穀装置15に至る間の前記穀稈搬送装置22の右側位置に搭載した構成としている。そして、キャビン23は、空調装置を装備した室内に運転席を設け、各装置の操作レバー類、操作パネルや表示パネル等を集中して配置し、コンバインの運転ができる構成としている。
【0023】
そして、穀稈引起し装置20は、図2に示すように、実施例の場合、6条刈コンバインであるから、引起しラグ20aを対向させて左右一対を一組とし、三組を配置して構成している。実施例の場合、伝動軸3を内装した引起し支持伝動フレーム4は、図面に示すように、下側の刈取支持フレーム1の伝動ケース19の左右両側に基部を取り付けて支持し、上方に延長した左右の引起し支持筒2,2の上部に横向きに掛け渡して支持した構成としている。この場合、前記伝動軸3は、刈取支持フレーム1の伝動ケース19から引起し支持筒2内の縦軸28を介して伝動される構成となっている。そして、引起し伝動軸6は、図2、及び図3に示すように、前記引起し支持伝動フレーム4から垂下した縦支持筒5に内装軸架され、前記伝動軸3から分岐されて伝動された回転動力を、下端部から横方向に分岐した引起し軸7によって引起しケース8の内部に入力する構成としている。
【0024】
実施例の場合、背中合わせの左右の引起しケース8,8は、図2、及び図3に示すように、前記引起し軸7が回動支点Pになるように支持され、2つのケースが一体となって、図1に示すように、前側上方に回動できる構成としている。そして、前記引起しケース8は、図1に示すように、ケースの裏側と、刈取支持フレーム1から前方に延長した支持杆29から上方に延長した取付杆30との間に2点リンクから構成した固定用の支持リンク9を介装して設けた構成としている。そして、引起しケース8は、前記支持リンク9が伸びきった位置を過ぎて反対側に折り曲げた位置で固定・支持することができる構成としている。
【0025】
そして、支持リンク9は、引起しケース8が通常の引起し作用位置にあるときには、図面の如く、裏側に折り曲げられて収納され、引起し軸7を回動支点Pとして上方に回動させると、伸びて支点を越えると引起しケース8を支持できる構成となっている。
【0026】
つぎに、引起しケース8は、図4に示すように、引起し軸7を回動支点Pとして、引起し始端部が前方を経由して上方に回動する構成としているが、その回動軌跡内にある分草杆11を軌跡から退避できる構成としている。具体的に述べると、実施例の分草杆11は、図面のとおり、前記刈取支持フレーム1から前方側に延長した分草支持杆10の前端部に取付けた退避用案内溝32に取付ねじ33によって締め付け可能とし、退避用案内溝32に沿わせて回動して位置変更自在で固定できる構成としている。
【0027】
なお、図4に示した実施例の場合、引起しケース8は、ケースの前面を塞ぐ引起しカバー34もセットピン35によって着脱できる構成としている。
以上のように、実施例は、最上段の伝動軸3から引起し伝動軸6を垂下して降し、該引起し伝動軸6の下端部に横向きに設けた引起し軸7を引起しケース8の回動支点Pとする構成にしたから、引起しオープンの回動支点Pが大幅に低くなって、振り上げた位置において、刈取搬送装置16の掻込み装置25や搬送装置22の詰まりを除去する作業を行うと同時に、引起しケース8内部のメンテナンス作業も、低い位置にあるから脚立を必要とせず容易に行うことができる。
【0028】
そして、実施例は、引起しケース8に付随する縦支持筒5や引起し伝動軸6を引起し支持伝動フレーム4側に残し、引起しケース8のみを上方にオープン回動する構成としたから、従来構成に比較してコンパクトで軽くなり、固定用の支持リンク9も、従来ほど大きな強度が要求されず、製造コストが安くなる利点がある。
【0029】
そして、上記固定用の支持リンク9は、引起しケース8の裏側と、刈取支持フレーム1との間に介装し、支点を越えた位置で固定支持ができるから、上方に回動させた引起しケース8を、きわめて簡単な支持構成による安価な2点リンクで支持できる。この場合、支持リンク9は、安定した状態に、固定・支持ができる利点と、併せて、低コストで製作できる。
【0030】
そして、実施例は、刈取支持フレーム1から前方側に延長した分草支持杆10の前部に取付けた分草杆11を、前記引起しケース8のオープン回動軌跡から簡単な取付ねじ33の操作で退避できるから、分草杆11を一体にして振り上げ回動する従来の構成に比較して、構成が簡単で引起しケース8側が軽くなり、支持機構の強度が小さくても、充分に耐えるから低コストで製作できるものとなっている。
【0031】
そして、引起しケース8は、図4に基づき説明したように、引起しカバー34を外して上方に回動すれば、ケース内のメンテナンスがきわめて容易になる。
つぎに、図5、及び図6に示した実施例について説明する。
【0032】
まず、引起しケース8は、通常(図2参照)、一側に引起しラグ20aが突出する引起し通路38が形成されている2つの引起しケース8,8を、図6に示すように、非引起し側39を接近させて一体に連結して構成し、上側の引起し支持伝動フレーム4から垂下した縦支持筒5を回動支点Pとし、縦軸周りに回動する構成とする。そして、2つの引起しケース8,8は、前記縦支持筒5に内装した引起し伝動軸6を経由した回転動力で伝動する構成としている。
【0033】
そして、2つの引起しケース8,8は、図面に示すように、前記縦支持筒5を回動支点Pとした縦軸周りで前側に回動する構成としている。
このように、実施例は、2つの引起しケース8,8を背中合わせの状態に連結して縦支持筒5を、回動支点Pにして、図5、及び図6に示すように、前側に回動するから、従来の如く、横軸を支点にして上方に振り上げ回動する構成に比較して、重量の影響を受け難く、軽いために、支持装置の強度をあまり必要とせず、製造コストを低下できる。
【0034】
つぎに、図7、及び図8に示した実施例は、複数の引起しケース8,8を配置した構成において、1つの引起しケース8毎に上側から垂下した伝動支持軸40によって単独で伝動され、しかも、該伝動支持軸40を回動支点Pにして個々別々に前側に回動できる構成としている。この実施例も、伝動支持軸40を設けて引起しケース8に回転動力を伝達するものでありながら、その軸40を、回動支点Pとしてケース8を回動自在に支持したものであるから、構成がコンパクトになった特徴がある。
【0035】
そして、実施例は、藁詰まりの発生した箇所の前にある引起しケース8のみをオープン回動できる利点があり、効率的に詰まり除去作業ができる特徴がある。
なお、図8に示した支持装置41は、各引起しケース8,8の下部を回動可能に支持した構成としている。
【0036】
つぎに、図9、乃至図11に示した実施例を説明する。
まず、実施例は、6条刈りのコンバインに設けた6個の引起しケース8を、3個ずつ一体に組んで左右2組に分割し、それぞれ左右外側の引起し支持筒2,2に内装した縦軸28から伝動する構成としている。そして、3個を1組とした左右の引起しケース8,8,8は、図9に示すように、前記縦軸28の上部を回動支点Pとして、それぞれ一体的に前方から外側に回動する構成としている。そして、実施例の場合、引起しケース8の伝動経路は、図11に線図で示すように、前記引起し支持筒2,2内の縦軸28から左右の伝動軸3,3を経由し、更に、垂下した縦支持筒5に内装した引起し伝動軸6から下端の引起し軸7を経由して伝動される構成としている。なお、左右両外側の引起しケース8,8は、それぞれ単体であるから、横向きの引起し軸7は不要で、直接伝動する構成としている。
【0037】
以上のように構成した実施例は、3個の引起しケース8,8,8を1組としているから左半分、右半分を選択して自由にオープンできるから比較的狭いスペースでも作業ができる利点がある。そして、引起し装置20の伝動は、従来の如く、片側から長い伝動軸を延長して1本で全6基の引起し装置20を伝動する構成に比較して、左右3基ずつ分けて外側から別々に伝動するから、伝動の確実性が増し、円滑な伝動が期待できる。
【0038】
つぎに、図12、及び図13に基づいて支持リンク45について説明する。
まず、実施例の場合、支持リンク45は、2点リンクから構成し、一方の端部を引起し支持伝動フレーム4側に枢着し,他方の端部を引起しケース8,8,8側に連結して中間の折曲がり作用で伸長(図13参照)と縮小(図12参照)とに変化する構成としている。そして、支持リンク45は、引起しケース8,8,8が作業位置にあるときには、前記引起し支持伝動フレーム4の内部に収納できる構成としている。更に、支持リンク45は、図12、及び図13に示した実施例の場合、2点リンクの折曲がり方向を、前記引起し支持伝動フレーム4の中心側にしているが、これを逆方向(図14参照)に折り曲がって、折り曲がり部位が外側に向くように構成するのは設計時に自由に選択すればよい。
【0039】
そして、引起し支持伝動フレーム4内の伝動軸3は、図12に示した実施例の場合、左右両側部から中央に向かって延長され、両軸3,3が接近した位置でカップリング46によって遊嵌状態で連結、支持された構成となっている。したがって、左右両方の伝動軸3,3は、それぞれ両端部に連結した縦軸28経由で伝動され、3基の引起しケース8内に入力され、引起しラグ20aを伝動する構成としている。
【0040】
そして、引起しケース8は、6条刈りのコンバインの場合、左4条(4基)と右2条(2基)とに分割して、穀稈合流部側の左4条のみをオープン回動する構成にすることができる。このように構成すると、刈取搬送装置16は、穀稈搬送通路の合流部の前が開放できて詰まり除去作業がやり易く、右側2条の引起しケース8,8が固定であるから機体全体の強度が確保できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】刈取搬送装置に設けた穀稈引起し装置の作用側面図
【図2】コンバインの正面図
【図3】要部を断面して示した正面図
【図4】刈取搬送装置の引起しケースと分草杆との作用側面図
【図5】引起しケースを回動した状態のコンバインの正面図
【図6】引起し装置を縦軸周りで回動した別実施例の側面図
【図7】引起しケースを単体で回動した作用平面図
【図8】引起しケース下部の支持した回動する支持装置
【図9】3基の引起しケースを一体にして回動する実施例の作用斜面図
【図10】3基の引起しケースを一体にして左右両側から伝動する構成の線図
【図11】実施例の引起し装置の伝動機構を示す線図の伝動機構図
【図12】左右引起しケースを左右両側から別々に伝動する構成の平面図
【図13】3基の引起しケースを1組として回動する作用平面図
【図14】3基の引起しケースを支持する支持リンクの実施例。
【符号の説明】
【0042】
1 刈取支持フレーム
2 引起し支持筒
3 伝動軸
4 引起し支持伝動フレーム
5 縦支持筒
6 引起し伝動軸
7 引起し軸
8 引起しケース
9 支持リンク
10 分草支持杆
11 分草杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取支持フレーム(1)の左右両側から立設した一対の引起し支持筒(2,2)の上部に、伝動軸(3)を内装した引起し支持伝動フレーム(4)を横向きに支持し、該引起し支持伝動フレーム(4)から垂下した縦支持筒(5)に、前記伝動軸(3)から分岐させた引起し伝動軸(6)を内装し、該引起し伝動軸(6)は、その下端部から横方向に分岐した引起し軸(7,7)によって引起しケース(8)の内部に入力する構成とし、該引起しケース(8)は、前記引起し軸(7)を回動支点(P)として上方に回動する構成としたことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項2】
前記引起しケース(8)は、前記刈取支持フレーム(1)との間に2点リンクから構成した固定用の支持リンク(9)を介装して位置固定可能に構成し、前記引起しケース(8)は、前記支持リンク(9)が伸びきった後に反対側に折り曲がった位置で引起しケース(8)の位置を固定する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項3】
前記刈取支持フレーム(1)から前方側に延長した分草支持杆(10)の前部に取り付けた分草杆(11)を、前記引起しケース(8)の上方回動軌跡から退避できる構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀稈引起し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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