コンバインの穀稈引起し装置
【課題】軽い操作力で所定幅の引起し装置を上方へ回動して広いメンテナンス空間を形成できるものとし、メンテナンス作業を容易にする。
【解決手段】下部伝動ケース（３４）の左右一側部に立設した引起し伝動筒体（４２）の上端部に上手側伝動手段（４３）を設け、引起し伝動筒体（４２）の上方に上部引起し伝動軸（４５）を内装した上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、上部引起し伝動筒体（４６）の上部引起し伝動軸（４６）よりも上側部を、上部フレーム（４７）の左右方向のリンク軸（４９）により上下回動自在に軸支し、上部引起し伝動軸（４５）の一側部に下手側伝動手段（５０）を上手側伝動手段（４３）に対向配置し、リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動軸（４５）を上方へ回動すると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）が離脱し非動力伝達状態となるように構成する。
【解決手段】下部伝動ケース（３４）の左右一側部に立設した引起し伝動筒体（４２）の上端部に上手側伝動手段（４３）を設け、引起し伝動筒体（４２）の上方に上部引起し伝動軸（４５）を内装した上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、上部引起し伝動筒体（４６）の上部引起し伝動軸（４６）よりも上側部を、上部フレーム（４７）の左右方向のリンク軸（４９）により上下回動自在に軸支し、上部引起し伝動軸（４５）の一側部に下手側伝動手段（５０）を上手側伝動手段（４３）に対向配置し、リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動軸（４５）を上方へ回動すると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）が離脱し非動力伝達状態となるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、コンバインの穀稈引起し装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１に例示するように、コンバインの穀稈引起し装置において、引起し伝動筒体の上端部に出力軸を備えた伝動ケースを取り付け、引起しケースの上部に入力軸を備えた駆動スプロケットを軸支し、駆動スプロケットに多数の引起し爪を備えたチエンを巻き掛けて引起し装置を構成し、引起し装置の上方に配置した左右方向の軸芯を中心として上下回動自在に支持し、引起し装置の非刈取位置への上昇回動によって出力軸と入力軸とが分離するように構成し、刈取装置のメンテナンスを容易にしたものは、公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−２６１３４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
前記先行技術では、複数の引起し装置をそれぞれ別個に上方へ回動しメンテナンス空間を形成する構成でり、引起し装置を単一の操作でメンテナンス空間を形成できないという問題が発生する。
【０００５】
本発明の課題は、かかる問題を解消し簡単な操作で一挙に引起し装置のメンテナンス空間を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
請求項１記載の発明は、走行車体（１）の前側に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に、左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上端部に上手側伝動手段（４３）を設け、前記引起し伝動筒体（４２）の上方に左右方向の上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、該上部引起し伝動筒体（４６）における前記上部引起し伝動軸（４５）よりも上側の部位を、前記後フレーム（３３）から延出する上部フレーム（４７）の左右方向に沿うリンク軸（４９）により上下回動自在に軸支し、前記上部引起し伝動軸（４５）の一側部に設けた下手側伝動手段（５０）を前記上手側伝動手段（４３）の上方に対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を下方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を上方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）から下方に配置した左右および中央の複数の引起し装置（６１，…）に駆動力を伝達する構成とすると共に、これら引起し装置（６１，…）を前記上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置とする。
【０００７】
請求項２記載の発明は、走行車体（１）の前側部に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上部に左右方向に沿う上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、引起し伝動軸（４１）から上部引起し伝動軸（４５）に動力を伝達し、上部引起し伝動軸（４５）の左右両側部から上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持した左右引起し装置（６１，６１）に引起し動力を伝達する構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）より上方に位置する上部フレーム（４７）の左右方向に沿ったリンク軸（４９）により、中間引起しフレーム（５８）の上端部を上下回動自在に軸支し、前記中間引起しフレーム（５８）に設けた中間引起し伝動軸（５３）から中間引起しフレーム（５８）に支持した中央引起し装置（６１，６１）に動力を伝達する構成とし、前記中間引起し伝動軸（５３）の上端部に第２下手側伝動手段（５０ａ）を設け、前記上部引起し伝動軸（４５）に設けた第２上手側伝動手段（４３ａ）と前記第２下手側伝動手段（５０ａ）を対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を下方へ回動させると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ｂ）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動すると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ａ）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成としたことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置とする。
【０００８】
請求項３記載の発明は、前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）におけるリンク軸（４９）の軸支部下方近傍に、前記引起し装置（６１，…）へ動力を伝達する引起し伝動手段を配置したことを特徴とする請求項１又は請求項２記載のコンバインの穀稈引起し装置とする。
【０００９】
請求項４記載の発明は、前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）の上部近傍に刈取搬送部（６）の穀稈搬送装置の上方を被覆するカバー（６３）を設けたことを特徴とする請求項１又は請求項２又は請求項３記載のコンバインの穀稈引起し装置とする。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１記載の発明によれば、引起し伝動軸（４１）の内装されている引起し伝動筒体（４２）及び上手側伝動手段（４３）を走行車体（１）で支持した状態で、リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動軸（４５）の内装されている上部引起し伝動筒体（４６）を下方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）が噛み合って動力伝達状態となり、上方へ回動させることで、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態としながら、複数の引起し装置（６１，…）を一挙に上方へ回動させ刈取搬送部（６）の前側部を広く開放し、メンテナンスを容易にすることができる。
【００１１】
請求項２記載の発明によれば、引起し伝動軸（４１）の内装されている引起し伝動筒体（４２）、第２上手側伝動手段（４３ａ）、左右引起し装置（６１，６１）を走行車体（１）側に支持した状態で、中間引起しフレーム（５８）に支持している中央引起し装置（６１，６１）、第２下手側伝動手段（５０ａ）、中央引起し入力伝動軸（５３）を上方へ回動させるので、中央引起し装置（６１，６１）を楽に上方へ開放しながら所定幅のメンテナンス開口部を形成し、メンテナンスを容易に行なうことができる。
【００１２】
請求項３記載の発明によれば、上記請求項１又は請求項２の発明の効果に加えて、上部フレーム（４７）の狭い下方空間内で上部引起し伝動筒体（４６）、あるいは、中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動して引起し動力の非伝動状態とすることができ、装置全体をコンパクトに構成することができる。
【００１３】
請求項４記載の発明によれば、上記請求項１又は請求項２又は請求項３の発明の効果に加えて、カバー（６３）の狭い下方空間内において上部引起し伝動筒体４６あるいは中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動し動力非伝動状態とすることができ、刈取搬送部（６）の上方をカバー（６３）で被覆した状態で刈取搬送部（６）のメンテナンス作業をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】コンバインの側面図
【図２】コンバインの平面図
【図３】コンバインの正面図
【図４】コンバインの一部省略した側面図
【図５】刈取搬送部の側面図
【図６】引起し装置のブロック図の正面図、斜視図
【図７】引起し装置のブロック図の正面図、斜視図
【図８】刈取搬送部の側面図
【図９】コンバインの前側部の平面図
【発明を実施するための形態】
【００１５】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図１乃至図３は、本発明を備えたコンバインを示すものであり、この走行車体１には、左右一対の走行装置２，２を備え、後部左側に脱穀装置３を搭載し、この脱穀装置３の右側にグレンタンク４を搭載し、このグレンタンク４の前側に操縦部５を設け、これら操縦部５及び脱穀装置３の前方に刈取搬送部６を昇降自在に設けている。
【００１６】
前記走行装置２，２は、走行車体１の下方に取り付けられた前後左右の４本の支持脚の下側部に多数の転輪７，…を軸支した左右転輪フレーム８，８を取り付け、多数の転輪７，…と、走行ミッションケース内の伝動装置により駆動される駆動スプロケットと、遊動ローラにクローラ９，９を巻き掛けて構成している。前記走行ミッション内の走行伝動装置は、操縦部５の下方に配置しているエンジン（図示省略）から静油圧式無段変速装置（図示省略）を介して動力が伝達される構成である。
【００１７】
脱穀装置３は、右側部に穀稈搬送用のフィードチエン１０を備え、内部には図示省略したが、扱胴、排塵処理胴、二番処理胴を内装している上側の扱室部と、揺動選別棚、唐箕、一番受樋、二番受樋を備えている下側の選別室部とから構成している。前記フィードチエン１０の終端側部に排稾搬送チエン（図示省略）の始端側を臨ませ、排稾搬送チエンで脱穀済みの排稾を排稾カッタ２１に搬送し、排稾を裁断し圃場に放出するようにしている。
【００１８】
前記グレンタンク４は、合成樹脂製の上部タンクと鉄板製の下部受樋とで構成し、内部に貯溜穀粒を機外へ排出する排出オーガ２２を備えている。
前記操縦部５は、エンジンを被覆するカバーの上部に操縦席２５を設け、操縦席２５の前方に前側操作パネル２６を配置し、前側操作パネル２６の右側部に機体の走行方向を左右に操向操作する操向レバー２７を設け、操縦席２５の左側に設けた側部操作パネルには主変速レバー２８、副変速レバー２９等を設けている。
【００１９】
刈取搬送部６は図５及び図６に示すように、次のように構成している。
脱穀装置３の前側において走行車体１上に設けた刈取懸架台３２の上端部に、後フレーム３３の上側後端部を左右方向の刈取入力軸３３ａ回りに上下回動自在に支持し、この後フレーム３３の前端部に左右方向に沿わせた下部伝動ケース３４の左右中央部を取り付けている。
【００２０】
この下部伝動ケース３４の前側面部から複数の分草パイプ３５，…を前方へ延出し、前側端部に分草杆３６，…を取り付けている。この分草パイプ３５，…の前後方向中間部に掻込搬送装置（図示省略）の前側部を支持させて設け、分草パイプ３５，…の前後方向中間部に刈刃装置３７の左右両側部を支持させている。
【００２１】
また、下部伝動ケース３４の例えば左側端部から引起し伝動軸４１の内装されている引起し伝動筒体４２を上方に向けて立設し、この引起し伝動筒体４２の上端部に平歯車型の上手側ギヤ４３を左右方向の軸回りに回転自在に設け、引起し伝動軸４１からベベルギヤ伝動手段４３ａを介して動力を伝達している。
【００２２】
引起し伝動筒体４２の上方には、左右方向の上部引起し伝動軸４５の内装されている上部引起し伝動筒体４６を配設し、この上部引起し伝動筒体４６の上部引起し伝動軸４６よりも上側部を、後フレーム３３から延出している上部フレーム４７の左右方向のリンク軸４９により上下回動自在に支持し、昇降シリンダ５９，５９の伸縮により回動するように構成している。この上部引起し伝動軸４５の左側端部に平歯車型の下手側ギヤ５０を、前記上手側ギヤ４３の上方部位に対向して設け、上部引起し伝動軸４５がリンク軸４９回りに下方へ回動すると、上手側ギヤ４３と下手側ギヤ５０とが噛み合って動力伝達状態となり、また、上部引起し伝動軸４５がリンク軸４９回りに上方へ回動すると、上手側ギヤ４３と下手側ギヤ５０とが離脱し、非動力伝達状態となるように構成している。
【００２３】
前記構成によると、上部フレーム４７の前側端部には左右方向のリンク軸４９により上部引起し伝動筒体４６の上端部で且つ上部引起し伝動軸４５よりも上方部位を軸支し、上部引起し伝動筒体４６を上下回動自在に支持しているので、上手側ギヤ４３，下手側ギヤ５０の左右位置の微調整を容易に行なうことができる。
【００２４】
また、上部引起し伝動軸４５から右引起し入力伝動軸５１を下方に向けて分岐して右引起し伝動筒体５２で支持し、中間引起し入力伝動軸５３を分岐して中間引起し伝動筒体５４で支持し、左引起し入力伝動軸５５を分岐して左引起し伝動筒体５６支持し、これらを上部引起し伝動筒体４６と一体状態で前下がり傾斜状に延出し、ベベルギヤ伝動手段を介して引起し装置６１，…に動力を伝達している。
【００２５】
引起し装置６１，…は、引起しケース６１ａの上端部に入力軸６１ｂと一体の駆動スプロケット６１ｃを軸受支持し、引起しケース６１ａの下端部に従動ローラ６１ｄを回転自在に軸受支持し、この駆動スプロケット６１ｃ、従動ローラ６１ｄ、テンションスプロケット（図示省略）に多数の引起し爪６１ｅ，…を軸支しているチエン６１ｆを巻き掛けて構成している。そして、右引起し入力伝動軸５１、中間引起し入力伝動軸５３及び左引起し入力伝動軸５５から引起しケース６１ａの入力軸力６１ｂに動力を伝達している。また、引起し装置６１，…の下部を分草パイプ３５，…の前部に着脱自在に取り付けている。
【００２６】
前記構成によると、引起し伝動軸４１、上手側ギヤ４３を機体側に残したままで、左右及び中央の引起し装置６１，…を上方に回動させて非伝動状態としながら、刈取搬送部６の前側部を広範囲に開放することができ、メンテナンスを容易にすることができる。
【００２７】
次に、図７に基づき他の実施例について説明する。
引起し伝動軸４１の内装されている引起し伝動筒体４２の上方には、左右方向の上部引起し伝動軸４５の内装されている上部引起し伝動筒体４６を配設し、引起し伝動軸４１の上部と上部引起し伝動軸４５の左側端部とを平歯車型の上手側ギヤ４３と下手側ギヤ５０とで動力伝達状態としている。上部引起し伝動軸４５の右側端部に右引起し伝動筒体５２に内装されている右引起し入力伝動軸５１をベベルギヤ伝動手段を介して連繋し、上部引起し伝動軸４５の左側部に左引起し伝動筒体５６に内装されている左引起し入力伝動軸５５をベベルギヤ伝動手段を介して連繋し、これらを上部引起し伝動軸４５と一体的に枠組構成し、走行車体１に支持している。
【００２８】
中間引起しフレーム５８をの上端部を左右方向のリンク軸４９により上下回動自在に軸支し、中間引起し伝動軸５３の上端部にベベルギヤ伝動手段を介して第２下手側ギヤ５０ａを設け、中間引起し伝動軸５３の下部から中央の引起し装置６１，６１に動力を伝達している。そして、第２下手側ギヤ５０ａの上方に上部引起し伝動軸４５に取り付けた第２上手側ギヤ４３ａを対向して設けている。
【００２９】
しかして、リンク軸４９回りに中間引起しフレーム５８を下方に回動すると、上手側ギヤ４３ａと下手側ギヤ５０ａとが噛み合って動力伝達状態となり、また、中間引起しフレーム５８を上方に回動すると、第２上手側ギヤ４３ａと第２下手側ギヤ５０ａとが切り離されて非動力伝達状態になる。
【００３０】
前記構成によると、引起し伝動筒体４２、上手側ギヤ４３及び引起し伝動軸４１及び引起し伝動筒体４２を走行車体１側に支持した状態で、中間引起しフレーム５８に支持されている中央の引起し装置６１、第２下手側ギヤ５０ａ、中央引起し入力伝動軸５３を回動させるので、中央の引起し装置６１，…を楽に上方へ開放回動して比較的広いメンテナンス空間を形成できて、メンテナンスを楽に行なうことができる。
【００３１】
なお、上手側ギヤ４３（あるいは第２上手側ギヤ４３ａ）から上部引起し伝動軸４５の下手側ギヤ５０（あるいは第２下手側ギヤ５０ａ）に動力を伝達するにあたり、平歯車型の上手側ギヤ４３、下手側ギヤ５０に代えて、２個のベベルギヤからなるベベルギヤ伝達手段により伝達し、上部引起し伝動筒体４６（あるいは中間引起しフレーム５８）をリンク軸４９回りの上下回動に関連して伝動の入切をするように構成してもよい。このように構成すると、伝動入切部をコンパクトに構成することができる。
【００３２】
また、上手側ギヤ４３から上部引起し伝動軸４５の下手側ギヤ５０に動力を伝達するにあたり、平歯車型の上手側ギヤ４３、下手側ギヤ５０に代えて、上下プーリ及び伝動ベルトからなる上下方向に沿ったベルト伝動装置（図示省略）により伝達するように構成し、上下プーリから伝動ベルトを取り外して上部引起し伝動筒体４６をリンク軸４９回りに上方へ回動して非伝動状態とし、また、下方に回動して、上下プーリに伝動ベルトを掛け回して伝動状態とするように構成してもよい。このように構成すると、伝動の入切の際にオイルが落下するようなこともなく、引起し装置６１，…をきれいな状態に保持することができる。
【００３３】
また、図５、図８及び図９に示すように、引起し伝動筒体４２上端部の上手側ギヤ４３から上部引起し伝動軸４５側の下手側ギヤ５０により、左右方向のリンク軸４９の下方を迂回するようにして動力を伝達し、上部引起し伝動筒体４６の上部後側端部を左右方向のリンク軸４９により回動自在に軸支し、引起し装置６１，…の後側上方部に穂先カバー６３を設けている。
【００３４】
前記構成によると、穂先カバー６３の狭い下方空間内において、リンク軸４９回りに上部引起し伝動筒体４６を上方へ回動し動力の非伝動状態とすることができ、刈取搬送部６の上方を穂先カバー６３で被覆した状態でメンテナンス作業をすることができる。また、操縦部５をキャビン（図示省略）で被覆した場合にも、上部引起し伝動筒体４６とキャビンとの干渉を回避することができる。
【符号の説明】
【００３５】
１ 走行車体
３３ 後フレーム
３４ 下部伝動ケース
４１ 引起し伝動軸
４２ 引起し伝動筒体
４３ 上手側伝動手段（上手側ギヤ）
４３ａ 第２上手側伝動手段
４５ 上部引起し伝動軸
４６ 上部引起し伝動筒体
４７ 上部フレーム
４９ リンク軸
５０ 下手側伝動手段（下手側ギヤ）
５０ａ 第２下手側伝動手段
５１ 右引起し入力伝動軸
５２ 右引起し伝動筒体
５３ 中間引起し伝動軸
５５ 左引起し入力伝動軸
５６ 左引起し伝動筒体
５８ 中間引起しフレーム
６１ 引起し装置
６１ｅ 引起し爪
６１ｆ チエン
６３ カバー
【技術分野】
【０００１】
この発明は、コンバインの穀稈引起し装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１に例示するように、コンバインの穀稈引起し装置において、引起し伝動筒体の上端部に出力軸を備えた伝動ケースを取り付け、引起しケースの上部に入力軸を備えた駆動スプロケットを軸支し、駆動スプロケットに多数の引起し爪を備えたチエンを巻き掛けて引起し装置を構成し、引起し装置の上方に配置した左右方向の軸芯を中心として上下回動自在に支持し、引起し装置の非刈取位置への上昇回動によって出力軸と入力軸とが分離するように構成し、刈取装置のメンテナンスを容易にしたものは、公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−２６１３４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
前記先行技術では、複数の引起し装置をそれぞれ別個に上方へ回動しメンテナンス空間を形成する構成でり、引起し装置を単一の操作でメンテナンス空間を形成できないという問題が発生する。
【０００５】
本発明の課題は、かかる問題を解消し簡単な操作で一挙に引起し装置のメンテナンス空間を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
請求項１記載の発明は、走行車体（１）の前側に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に、左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上端部に上手側伝動手段（４３）を設け、前記引起し伝動筒体（４２）の上方に左右方向の上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、該上部引起し伝動筒体（４６）における前記上部引起し伝動軸（４５）よりも上側の部位を、前記後フレーム（３３）から延出する上部フレーム（４７）の左右方向に沿うリンク軸（４９）により上下回動自在に軸支し、前記上部引起し伝動軸（４５）の一側部に設けた下手側伝動手段（５０）を前記上手側伝動手段（４３）の上方に対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を下方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を上方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）から下方に配置した左右および中央の複数の引起し装置（６１，…）に駆動力を伝達する構成とすると共に、これら引起し装置（６１，…）を前記上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置とする。
【０００７】
請求項２記載の発明は、走行車体（１）の前側部に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上部に左右方向に沿う上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、引起し伝動軸（４１）から上部引起し伝動軸（４５）に動力を伝達し、上部引起し伝動軸（４５）の左右両側部から上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持した左右引起し装置（６１，６１）に引起し動力を伝達する構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）より上方に位置する上部フレーム（４７）の左右方向に沿ったリンク軸（４９）により、中間引起しフレーム（５８）の上端部を上下回動自在に軸支し、前記中間引起しフレーム（５８）に設けた中間引起し伝動軸（５３）から中間引起しフレーム（５８）に支持した中央引起し装置（６１，６１）に動力を伝達する構成とし、前記中間引起し伝動軸（５３）の上端部に第２下手側伝動手段（５０ａ）を設け、前記上部引起し伝動軸（４５）に設けた第２上手側伝動手段（４３ａ）と前記第２下手側伝動手段（５０ａ）を対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を下方へ回動させると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ｂ）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動すると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ａ）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成としたことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置とする。
【０００８】
請求項３記載の発明は、前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）におけるリンク軸（４９）の軸支部下方近傍に、前記引起し装置（６１，…）へ動力を伝達する引起し伝動手段を配置したことを特徴とする請求項１又は請求項２記載のコンバインの穀稈引起し装置とする。
【０００９】
請求項４記載の発明は、前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）の上部近傍に刈取搬送部（６）の穀稈搬送装置の上方を被覆するカバー（６３）を設けたことを特徴とする請求項１又は請求項２又は請求項３記載のコンバインの穀稈引起し装置とする。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１記載の発明によれば、引起し伝動軸（４１）の内装されている引起し伝動筒体（４２）及び上手側伝動手段（４３）を走行車体（１）で支持した状態で、リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動軸（４５）の内装されている上部引起し伝動筒体（４６）を下方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）が噛み合って動力伝達状態となり、上方へ回動させることで、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態としながら、複数の引起し装置（６１，…）を一挙に上方へ回動させ刈取搬送部（６）の前側部を広く開放し、メンテナンスを容易にすることができる。
【００１１】
請求項２記載の発明によれば、引起し伝動軸（４１）の内装されている引起し伝動筒体（４２）、第２上手側伝動手段（４３ａ）、左右引起し装置（６１，６１）を走行車体（１）側に支持した状態で、中間引起しフレーム（５８）に支持している中央引起し装置（６１，６１）、第２下手側伝動手段（５０ａ）、中央引起し入力伝動軸（５３）を上方へ回動させるので、中央引起し装置（６１，６１）を楽に上方へ開放しながら所定幅のメンテナンス開口部を形成し、メンテナンスを容易に行なうことができる。
【００１２】
請求項３記載の発明によれば、上記請求項１又は請求項２の発明の効果に加えて、上部フレーム（４７）の狭い下方空間内で上部引起し伝動筒体（４６）、あるいは、中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動して引起し動力の非伝動状態とすることができ、装置全体をコンパクトに構成することができる。
【００１３】
請求項４記載の発明によれば、上記請求項１又は請求項２又は請求項３の発明の効果に加えて、カバー（６３）の狭い下方空間内において上部引起し伝動筒体４６あるいは中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動し動力非伝動状態とすることができ、刈取搬送部（６）の上方をカバー（６３）で被覆した状態で刈取搬送部（６）のメンテナンス作業をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】コンバインの側面図
【図２】コンバインの平面図
【図３】コンバインの正面図
【図４】コンバインの一部省略した側面図
【図５】刈取搬送部の側面図
【図６】引起し装置のブロック図の正面図、斜視図
【図７】引起し装置のブロック図の正面図、斜視図
【図８】刈取搬送部の側面図
【図９】コンバインの前側部の平面図
【発明を実施するための形態】
【００１５】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図１乃至図３は、本発明を備えたコンバインを示すものであり、この走行車体１には、左右一対の走行装置２，２を備え、後部左側に脱穀装置３を搭載し、この脱穀装置３の右側にグレンタンク４を搭載し、このグレンタンク４の前側に操縦部５を設け、これら操縦部５及び脱穀装置３の前方に刈取搬送部６を昇降自在に設けている。
【００１６】
前記走行装置２，２は、走行車体１の下方に取り付けられた前後左右の４本の支持脚の下側部に多数の転輪７，…を軸支した左右転輪フレーム８，８を取り付け、多数の転輪７，…と、走行ミッションケース内の伝動装置により駆動される駆動スプロケットと、遊動ローラにクローラ９，９を巻き掛けて構成している。前記走行ミッション内の走行伝動装置は、操縦部５の下方に配置しているエンジン（図示省略）から静油圧式無段変速装置（図示省略）を介して動力が伝達される構成である。
【００１７】
脱穀装置３は、右側部に穀稈搬送用のフィードチエン１０を備え、内部には図示省略したが、扱胴、排塵処理胴、二番処理胴を内装している上側の扱室部と、揺動選別棚、唐箕、一番受樋、二番受樋を備えている下側の選別室部とから構成している。前記フィードチエン１０の終端側部に排稾搬送チエン（図示省略）の始端側を臨ませ、排稾搬送チエンで脱穀済みの排稾を排稾カッタ２１に搬送し、排稾を裁断し圃場に放出するようにしている。
【００１８】
前記グレンタンク４は、合成樹脂製の上部タンクと鉄板製の下部受樋とで構成し、内部に貯溜穀粒を機外へ排出する排出オーガ２２を備えている。
前記操縦部５は、エンジンを被覆するカバーの上部に操縦席２５を設け、操縦席２５の前方に前側操作パネル２６を配置し、前側操作パネル２６の右側部に機体の走行方向を左右に操向操作する操向レバー２７を設け、操縦席２５の左側に設けた側部操作パネルには主変速レバー２８、副変速レバー２９等を設けている。
【００１９】
刈取搬送部６は図５及び図６に示すように、次のように構成している。
脱穀装置３の前側において走行車体１上に設けた刈取懸架台３２の上端部に、後フレーム３３の上側後端部を左右方向の刈取入力軸３３ａ回りに上下回動自在に支持し、この後フレーム３３の前端部に左右方向に沿わせた下部伝動ケース３４の左右中央部を取り付けている。
【００２０】
この下部伝動ケース３４の前側面部から複数の分草パイプ３５，…を前方へ延出し、前側端部に分草杆３６，…を取り付けている。この分草パイプ３５，…の前後方向中間部に掻込搬送装置（図示省略）の前側部を支持させて設け、分草パイプ３５，…の前後方向中間部に刈刃装置３７の左右両側部を支持させている。
【００２１】
また、下部伝動ケース３４の例えば左側端部から引起し伝動軸４１の内装されている引起し伝動筒体４２を上方に向けて立設し、この引起し伝動筒体４２の上端部に平歯車型の上手側ギヤ４３を左右方向の軸回りに回転自在に設け、引起し伝動軸４１からベベルギヤ伝動手段４３ａを介して動力を伝達している。
【００２２】
引起し伝動筒体４２の上方には、左右方向の上部引起し伝動軸４５の内装されている上部引起し伝動筒体４６を配設し、この上部引起し伝動筒体４６の上部引起し伝動軸４６よりも上側部を、後フレーム３３から延出している上部フレーム４７の左右方向のリンク軸４９により上下回動自在に支持し、昇降シリンダ５９，５９の伸縮により回動するように構成している。この上部引起し伝動軸４５の左側端部に平歯車型の下手側ギヤ５０を、前記上手側ギヤ４３の上方部位に対向して設け、上部引起し伝動軸４５がリンク軸４９回りに下方へ回動すると、上手側ギヤ４３と下手側ギヤ５０とが噛み合って動力伝達状態となり、また、上部引起し伝動軸４５がリンク軸４９回りに上方へ回動すると、上手側ギヤ４３と下手側ギヤ５０とが離脱し、非動力伝達状態となるように構成している。
【００２３】
前記構成によると、上部フレーム４７の前側端部には左右方向のリンク軸４９により上部引起し伝動筒体４６の上端部で且つ上部引起し伝動軸４５よりも上方部位を軸支し、上部引起し伝動筒体４６を上下回動自在に支持しているので、上手側ギヤ４３，下手側ギヤ５０の左右位置の微調整を容易に行なうことができる。
【００２４】
また、上部引起し伝動軸４５から右引起し入力伝動軸５１を下方に向けて分岐して右引起し伝動筒体５２で支持し、中間引起し入力伝動軸５３を分岐して中間引起し伝動筒体５４で支持し、左引起し入力伝動軸５５を分岐して左引起し伝動筒体５６支持し、これらを上部引起し伝動筒体４６と一体状態で前下がり傾斜状に延出し、ベベルギヤ伝動手段を介して引起し装置６１，…に動力を伝達している。
【００２５】
引起し装置６１，…は、引起しケース６１ａの上端部に入力軸６１ｂと一体の駆動スプロケット６１ｃを軸受支持し、引起しケース６１ａの下端部に従動ローラ６１ｄを回転自在に軸受支持し、この駆動スプロケット６１ｃ、従動ローラ６１ｄ、テンションスプロケット（図示省略）に多数の引起し爪６１ｅ，…を軸支しているチエン６１ｆを巻き掛けて構成している。そして、右引起し入力伝動軸５１、中間引起し入力伝動軸５３及び左引起し入力伝動軸５５から引起しケース６１ａの入力軸力６１ｂに動力を伝達している。また、引起し装置６１，…の下部を分草パイプ３５，…の前部に着脱自在に取り付けている。
【００２６】
前記構成によると、引起し伝動軸４１、上手側ギヤ４３を機体側に残したままで、左右及び中央の引起し装置６１，…を上方に回動させて非伝動状態としながら、刈取搬送部６の前側部を広範囲に開放することができ、メンテナンスを容易にすることができる。
【００２７】
次に、図７に基づき他の実施例について説明する。
引起し伝動軸４１の内装されている引起し伝動筒体４２の上方には、左右方向の上部引起し伝動軸４５の内装されている上部引起し伝動筒体４６を配設し、引起し伝動軸４１の上部と上部引起し伝動軸４５の左側端部とを平歯車型の上手側ギヤ４３と下手側ギヤ５０とで動力伝達状態としている。上部引起し伝動軸４５の右側端部に右引起し伝動筒体５２に内装されている右引起し入力伝動軸５１をベベルギヤ伝動手段を介して連繋し、上部引起し伝動軸４５の左側部に左引起し伝動筒体５６に内装されている左引起し入力伝動軸５５をベベルギヤ伝動手段を介して連繋し、これらを上部引起し伝動軸４５と一体的に枠組構成し、走行車体１に支持している。
【００２８】
中間引起しフレーム５８をの上端部を左右方向のリンク軸４９により上下回動自在に軸支し、中間引起し伝動軸５３の上端部にベベルギヤ伝動手段を介して第２下手側ギヤ５０ａを設け、中間引起し伝動軸５３の下部から中央の引起し装置６１，６１に動力を伝達している。そして、第２下手側ギヤ５０ａの上方に上部引起し伝動軸４５に取り付けた第２上手側ギヤ４３ａを対向して設けている。
【００２９】
しかして、リンク軸４９回りに中間引起しフレーム５８を下方に回動すると、上手側ギヤ４３ａと下手側ギヤ５０ａとが噛み合って動力伝達状態となり、また、中間引起しフレーム５８を上方に回動すると、第２上手側ギヤ４３ａと第２下手側ギヤ５０ａとが切り離されて非動力伝達状態になる。
【００３０】
前記構成によると、引起し伝動筒体４２、上手側ギヤ４３及び引起し伝動軸４１及び引起し伝動筒体４２を走行車体１側に支持した状態で、中間引起しフレーム５８に支持されている中央の引起し装置６１、第２下手側ギヤ５０ａ、中央引起し入力伝動軸５３を回動させるので、中央の引起し装置６１，…を楽に上方へ開放回動して比較的広いメンテナンス空間を形成できて、メンテナンスを楽に行なうことができる。
【００３１】
なお、上手側ギヤ４３（あるいは第２上手側ギヤ４３ａ）から上部引起し伝動軸４５の下手側ギヤ５０（あるいは第２下手側ギヤ５０ａ）に動力を伝達するにあたり、平歯車型の上手側ギヤ４３、下手側ギヤ５０に代えて、２個のベベルギヤからなるベベルギヤ伝達手段により伝達し、上部引起し伝動筒体４６（あるいは中間引起しフレーム５８）をリンク軸４９回りの上下回動に関連して伝動の入切をするように構成してもよい。このように構成すると、伝動入切部をコンパクトに構成することができる。
【００３２】
また、上手側ギヤ４３から上部引起し伝動軸４５の下手側ギヤ５０に動力を伝達するにあたり、平歯車型の上手側ギヤ４３、下手側ギヤ５０に代えて、上下プーリ及び伝動ベルトからなる上下方向に沿ったベルト伝動装置（図示省略）により伝達するように構成し、上下プーリから伝動ベルトを取り外して上部引起し伝動筒体４６をリンク軸４９回りに上方へ回動して非伝動状態とし、また、下方に回動して、上下プーリに伝動ベルトを掛け回して伝動状態とするように構成してもよい。このように構成すると、伝動の入切の際にオイルが落下するようなこともなく、引起し装置６１，…をきれいな状態に保持することができる。
【００３３】
また、図５、図８及び図９に示すように、引起し伝動筒体４２上端部の上手側ギヤ４３から上部引起し伝動軸４５側の下手側ギヤ５０により、左右方向のリンク軸４９の下方を迂回するようにして動力を伝達し、上部引起し伝動筒体４６の上部後側端部を左右方向のリンク軸４９により回動自在に軸支し、引起し装置６１，…の後側上方部に穂先カバー６３を設けている。
【００３４】
前記構成によると、穂先カバー６３の狭い下方空間内において、リンク軸４９回りに上部引起し伝動筒体４６を上方へ回動し動力の非伝動状態とすることができ、刈取搬送部６の上方を穂先カバー６３で被覆した状態でメンテナンス作業をすることができる。また、操縦部５をキャビン（図示省略）で被覆した場合にも、上部引起し伝動筒体４６とキャビンとの干渉を回避することができる。
【符号の説明】
【００３５】
１ 走行車体
３３ 後フレーム
３４ 下部伝動ケース
４１ 引起し伝動軸
４２ 引起し伝動筒体
４３ 上手側伝動手段（上手側ギヤ）
４３ａ 第２上手側伝動手段
４５ 上部引起し伝動軸
４６ 上部引起し伝動筒体
４７ 上部フレーム
４９ リンク軸
５０ 下手側伝動手段（下手側ギヤ）
５０ａ 第２下手側伝動手段
５１ 右引起し入力伝動軸
５２ 右引起し伝動筒体
５３ 中間引起し伝動軸
５５ 左引起し入力伝動軸
５６ 左引起し伝動筒体
５８ 中間引起しフレーム
６１ 引起し装置
６１ｅ 引起し爪
６１ｆ チエン
６３ カバー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
走行車体（１）の前側に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に、左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上端部に上手側伝動手段（４３）を設け、前記引起し伝動筒体（４２）の上方に左右方向の上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、該上部引起し伝動筒体（４６）における前記上部引起し伝動軸（４５）よりも上側の部位を、前記後フレーム（３３）から延出する上部フレーム（４７）の左右方向に沿うリンク軸（４９）により上下回動自在に軸支し、前記上部引起し伝動軸（４５）の一側部に設けた下手側伝動手段（５０）を前記上手側伝動手段（４３）の上方に対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を下方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を上方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）から下方に配置した左右および中央の複数の引起し装置（６１，…）に駆動力を伝達する構成とすると共に、これら引起し装置（６１，…）を前記上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項２】
走行車体（１）の前側部に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上部に左右方向に沿う上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、引起し伝動軸（４１）から上部引起し伝動軸（４５）に動力を伝達し、上部引起し伝動軸（４５）の左右両側部から上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持した左右引起し装置（６１，６１）に引起し動力を伝達する構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）より上方に位置する上部フレーム（４７）の左右方向に沿ったリンク軸（４９）により、中間引起しフレーム（５８）の上端部を上下回動自在に軸支し、前記中間引起しフレーム（５８）に設けた中間引起し伝動軸（５３）から中間引起しフレーム（５８）に支持した中央引起し装置（６１，６１）に動力を伝達する構成とし、前記中間引起し伝動軸（５３）の上端部に第２下手側伝動手段（５０ａ）を設け、前記上部引起し伝動軸（４５）に設けた第２上手側伝動手段（４３ａ）と前記第２下手側伝動手段（５０ａ）を対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を下方へ回動させると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ｂ）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動すると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ａ）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成としたことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項３】
前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）におけるリンク軸（４９）の軸支部下方近傍に、前記引起し装置（６１，…）へ動力を伝達する引起し伝動手段を配置したことを特徴とする請求項１又は請求項２記載のコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項４】
前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）の上部近傍に刈取搬送部（６）の穀稈搬送装置の上方を被覆するカバー（６３）を設けたことを特徴とする請求項１又は請求項２又は請求項３記載のコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項１】
走行車体（１）の前側に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に、左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上端部に上手側伝動手段（４３）を設け、前記引起し伝動筒体（４２）の上方に左右方向の上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、該上部引起し伝動筒体（４６）における前記上部引起し伝動軸（４５）よりも上側の部位を、前記後フレーム（３３）から延出する上部フレーム（４７）の左右方向に沿うリンク軸（４９）により上下回動自在に軸支し、前記上部引起し伝動軸（４５）の一側部に設けた下手側伝動手段（５０）を前記上手側伝動手段（４３）の上方に対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を下方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに上部引起し伝動筒体（４６）を上方へ回動させると、上手側伝動手段（４３）と下手側伝動手段（５０）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）から下方に配置した左右および中央の複数の引起し装置（６１，…）に駆動力を伝達する構成とすると共に、これら引起し装置（６１，…）を前記上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持したことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項２】
走行車体（１）の前側部に上下回動自在に設けた後フレーム（３３）の前側端部に左右方向に沿う下部伝動ケース（３４）を取り付け、該下部伝動ケース（３４）の左右一側部に引起し伝動軸（４１）を内装する引起し伝動筒体（４２）を立設し、該引起し伝動筒体（４２）の上部に左右方向に沿う上部引起し伝動軸（４５）を内装する上部引起し伝動筒体（４６）を配設し、引起し伝動軸（４１）から上部引起し伝動軸（４５）に動力を伝達し、上部引起し伝動軸（４５）の左右両側部から上部引起し伝動筒体（４６）に一体的に支持した左右引起し装置（６１，６１）に引起し動力を伝達する構成とし、前記上部引起し伝動軸（４５）より上方に位置する上部フレーム（４７）の左右方向に沿ったリンク軸（４９）により、中間引起しフレーム（５８）の上端部を上下回動自在に軸支し、前記中間引起しフレーム（５８）に設けた中間引起し伝動軸（５３）から中間引起しフレーム（５８）に支持した中央引起し装置（６１，６１）に動力を伝達する構成とし、前記中間引起し伝動軸（５３）の上端部に第２下手側伝動手段（５０ａ）を設け、前記上部引起し伝動軸（４５）に設けた第２上手側伝動手段（４３ａ）と前記第２下手側伝動手段（５０ａ）を対向配置し、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を下方へ回動させると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ｂ）とが噛み合って動力伝達状態となり、前記リンク軸（４９）回りに中間引起しフレーム（５８）を上方へ回動すると、第２上手側伝動手段（４３ａ）と第２下手側伝動手段（５０ａ）との噛み合いが離脱して非動力伝達状態となる構成としたことを特徴とするコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項３】
前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）におけるリンク軸（４９）の軸支部下方近傍に、前記引起し装置（６１，…）へ動力を伝達する引起し伝動手段を配置したことを特徴とする請求項１又は請求項２記載のコンバインの穀稈引起し装置。
【請求項４】
前記上部引起し伝動筒体（４６）または中間引起しフレーム（５８）の上部近傍に刈取搬送部（６）の穀稈搬送装置の上方を被覆するカバー（６３）を設けたことを特徴とする請求項１又は請求項２又は請求項３記載のコンバインの穀稈引起し装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１１−２２９４５０（Ｐ２０１１−２２９４５０Ａ）
【公開日】平成２３年１１月１７日（２０１１．１１．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１０２３９０（Ｐ２０１０−１０２３９０）
【出願日】平成２２年４月２７日（２０１０．４．２７）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１１月１７日（２０１１．１１．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年４月２７日（２０１０．４．２７）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
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