説明

コンバインの穀稈移送装置

【課題】左右両側の刈取り穀稈を後方上部へ移送する左・右根元移送装置の右根元移送チェンのチェン張りを容易で簡単で、穀稈の引掛りをなくしようとするものである。
【解決手段】左右条列側の右条列の刈取り穀稈を引継ぎ後方上部へ移送する右根元移送装置10の右根元移送チェン10aの移送終端部へ設けたテンション装置14のテンションプーリ14aを圧縮スプリング14bにより、内側から外側へ押し出してチェン張りする。又、穀稈を挟持移送時は、移送始端部側では、右根元移送チェン10aが逃げて挟持状態になり、移送終端部側では、根元挟持杆が逃げて挟持状態を保持する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
左右両条列側の右条列側の刈取り穀稈を引継ぎして、後方上部へ移送する右根元移送装置の右根元移送チェンの移送終端部へ設けたテンション装置のテンションプーリを圧縮スプリングにより、右根元移送チェンを内側から外側へ押し出すことでチェン張りする構成である。又、穀稈を挟持移送時は、移送始端部側では、右根元移送チェンが逃げて挟持状態になり、移送終端部側では、弾発材で形成した根元挟持杆が逃げて挟持状態を保持すべく設けた技術であり、コンバインの穀稈移送装置として利用できる。
【背景技術】
【0002】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台の前部へ設けて、穀稈を刈取り、後方上部へ移送する刈取機の前部の複数個設けた各引起装置で穀稈は引起しされて、複数個設けた各掻込装置で掻込されながら刈取りされ、刈取り穀稈は後方上部へ移送される。
【0003】
前述の如く刈取りされた穀稈は、特開平9−168325号公報で示すように、各掻込装置10から右側下部へ設けた補助ラグ式穂先搬送装置の補助ラグ搬送チェンへ所定間隔で設けた補助引継搬送ラグで移送されて、左右側へ設けている。右側の穂先引継搬送装置の駆動掻込体の掻込爪部と、左側の受動掻込体の掻込爪部とにより、引継ぎされて掻込みされ、穂先引継搬送装置のラグ搬送チェンへ所定間隔で装着して設けた引継移送ラグで、穀稈の穂先側が引継ぎされ、又、株元引継搬送装置の引継搬送チェンで、穀稈の株元側が引継ぎされ、この穀稈は後方上部へ移送されて、脱穀処理される。引継搬送チェンの伸縮調整は、チェンレールにより調整する。
【特許文献1】特開平9−168325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
左右両側の穀稈の株元を引継ぎ後方上部への移送は、株元引継ぎ搬送装置の引継搬送チェンのみであり、左右両側を移送され穀稈は、合流部でスムーズに合流されず、この合流部で詰り、この引継搬送チェンで確実に引継ぎされないことが発生していたが、この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
このために、この発明は、請求項1に記載の発明においては、走行車台(2)前方部の穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取機(4)は、一方側の条列の穀稈と、他方側の条列の穀稈とを引起す複数の引起装置(6)と、引起し穀稈を掻込み移送する複数の掻込装置(9a)と、該掻込装置(9a)の後側に刈刃装置(5c)と、該刈刃装置(5c)の後方左右両側に刈取り穀稈を引継ぎ後方上部の合流部へ移送する左根元移送装置(11)と、右根元移送装置(10)と、合流部(リ)へ移送された穀稈を引継いで更に後方上部へ扱深調節用根元移送装置(13)と、穂先移送装置(12)とで移送して、脱穀機(2a)へ供給すべく設けた構成において、前記右根元移送装置(10)の右根元移送チェン(10a)の移送終端部のテンション装置(14)のテンションプーリ(14a)を圧縮スプリング(14b)により、右根元移送チェン(10a)を内側から外側へ押し出して、チェン張りする構成とすると共に、穀稈を挟持移送時に移送始端部側では、該右根元移送チェン(10a)が逃げて挟持状態になり、移送終端部側では、弾発材で形成した右根元挟持杆(17a)が逃げて挟持状態にすべく設けたことを特徴とするコンバインの穀稈移送装置としたものである。
【0006】
コンバインで立毛穀稈の収穫作業は、このコンバインの走行車台(2)の前方部へ設けて、穀稈を刈取り移送する刈取機(4)の前部側へ設けた複数個の各引起装置(6)で引起ししながら、複数個設けた各掻込装置(9a)で掻込みしながら、刈取りされ、刈取り穀稈の右条列側は、右根元移送装置(10)で後方上部の合流部(リ)へ移送され、又、刈取り穀稈の左条列側は、左根元移送装置(11)で後方上部の合流部(リ)へ移送され、この合流部(リ)で合流した穀稈は、更に扱深調節用根元移送装置(13)と、穂先移送装置(12)とにより、後方上部へ移送され、脱穀機(2a)へ供給されて脱穀される。
【0007】
前記右根元移送装置(10)の右根元移送チェン(10a)の移送終端部へ設けたテンション装置(14)のテンションプーリ(14a)を圧縮スプリング(14b)により、右根元移送チェン(10a)を内側から外側へ押し出すことで、チェン張りすべく設けている。又、穀稈を挟持移送する時は、移送始端部側では、該右根元移送チェン(10a)が逃げて、穀稈が挟持状態になる。移送終端部側では、弾発材で形成した右根元挟持杆(17a)が逃げて、穀稈が挟持状態に保持される。これらにより、穀稈の移送をスムーズにしている。
【0008】
請求項2に記載の発明においては、前記右根元移送チェン(10a)のチェンレール(10b)は、移送始端部側では後方へ折曲させ、右根元移送チェン(10a)とチェンレール(10b)とには、略三角形状の空間部(H1)を設け、移送終端部側では右根元移送チェン(10a)とチェンレール(10b)とは、接触状態に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの穀稈移送装置としたものである。
【0009】
右条列側の刈取り穀稈を後方上部の合流部(リ)へ移送する前記右根元移送チェン(10a)のチェンレール(10b)は、移送始端部側では、後方へ折曲させて、右根元移送チェン(10a)と、チェンレール(10b)とには、略三角形状の空間部(H1)を設けて、挟持移送する穀稈の逃げ部を設け、右根元移送チェン(10a)が逃げて挟持状態になる。又、移送終端部側では、右根元移送チェン(10a)と、チェンレール(10b)とは、接触状態に設けている。このために、移送終端部側では、挟持移送する穀稈により、弾発材で形成した右根元挟持杆(17a)が逃げて穀稈が挟持状態に保持される。これにより、穀稈の移送をスムーズにしている。
【0010】
請求項3に記載の発明においては、前記右根元挟持杆(17a)の前部の前湾曲部(17c)は、穀稈の掻込入口部(ト)近傍へ位置させて設けると共に、後湾曲部(17d)は、左右両側の掻込装置(9a),(9a)の各掻込スターホイル(9f),(9f)等を軸支する各掻込軸(9e),(9e)を左右に結ぶ線位置(チ)上へ位置させて設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のコンバインの穀稈移送装置としたものである。
【0011】
右条列側の刈取り穀稈を後方上部の合流部(リ)へ移送する前記右根元移送チェン(10a)の右根元挟持杆(17a)の前部の前腕曲部(17c)は、穀稈の掻込入口部(ト)近傍部へ位置させて設けると共に、後湾曲部(17d)は、左右両側の掻込装置(9a),(9a)の各掻込スターホイル(9f),(9f)等を軸支する各掻込軸(9e),(9e)を左右に結ぶ線位置(チ)上へ位置させて設けている。これにより、穀稈の移送をスムーズにしている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明においては、左右両側条列の右条列側の穀稈を後方上部の合流部(リ)へ移送する右根元移送装置(10)の右根元移送チェン(10a)の移送終端部へ設けたテンション装置(14)のテンションプーリ(14a)を圧縮スプリング(14b)により、右根元移送チェン(10a)を内側から外側へ押し出して、チェン張りすると共に、穀稈を挟持移送時は、移送始端部側では、該右根元移送チェン(10a)が逃げて、挟持状態になり、移送終端部側では、弾発材で形成した右根元挟持杆(17a)が逃げて、穀稈が挟持状態に保持され、移送される。これにより、テンション装置(14)が狭いスペース内で設置できる。右側の移送穀稈の挟持は、右根元挟持杆(17a)と、右根元補助挟持杆との二本で挟持させていることにより、別のテンションアームが不用となり、コスト低減になる。又、穀稈の挟持移送がスムーズである。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、前記右根元移送チェン(10a)のチェンレール(10b)は、移送始端部側では、後方へ折曲させて、右根元移送チェン(10a)と、チェンレール(10b)とには、略三角形状の空間部(H1)を設け、移送終端側では、右根元移送チェン(10a)と、チェンレール(10b)とは、接触状態に設けたことにより、移送始端部側では、右根元移送チェン(10a)に挟持時の余裕ができた。又、移送終端部側では、この右根元移送チェン(10a)をチェンレール(10b)でガイドすることにより、このチェン(10a)の脱線を防止できる。更に、穀稈の挟持移送がスムーズである。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、前記右根元挟持杆(17a)の前部の前腕曲部(17c)は、穀稈の掻込入口部(ト)近傍部へ位置させて設けると共に、後湾曲部(17d)は、左右両側の掻込装置(9a),(9a)の各掻込軸(9e),(9e)を左右に結ぶ線位置(チ)上へ位置させて設けたことにより、右根元移送チェン(10a)と、右根元挟持杆(17a)との間の株元の詰りを防止できる。又、穀稈の挟持移送がスムーズである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行装置3の上側に走行車台2を設け、この走行車台2の前方部に立毛穀稈を刈取る刈取機4を設けると共に、上側の一方側にこの刈取機4から刈取り穀稈を引継ぎ脱穀する脱穀機2aと、この脱穀機2aの横側に脱穀済み穀粒を受けて、貯留する穀粒貯留タンク2bとを載置している。刈取機4の前部に刈取る穀稈を分離する複数個の分草体5bと、分離、及び引起しする複数個の引起装置6を設けている。この各引起装置6で引起された穀稈は、穀稈掻込移送装置9の各掻込装置9aで掻込みされながら、刈刃装置5cで刈取りされ、刈取り穀稈は、詳細は後述するが、穀稈の根元側は、穀稈掻込移送装置9の左・右根元移送装置11、10とにより、合流部(リ)へ移送され、この合流部(リ)で合流した穀稈は、穂先移送装置12と、扱深調節用根元移送装置13等により、更に後方上部へ移送され、脱穀機2aへ引継ぎされ、この脱穀機2a内をフィードチェン2cと、挟持杆2dとにより、挟持移送中に脱穀される。脱穀済み穀粒は、穀粒貯留タンク2b内へ供給され、一時貯留される。刈取機4の左・右根元移送装置11、10と、穂先移送装置12と、扱深調節用根元移送装置13等と、右根元移送装置10の右根元移送チェン10aへ設けるテンション装置14等とを主に図示して説明する。
【0016】
前記コンバイン1は、三条列の穀稈を刈取りする。このコンバイン1で説明する。このコンバイン1の走行車台2の下側には、図3で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ3aを張設した走行装置3を配設し、走行車台2の上側面に脱穀機2aを載置した構成である。走行車台2の前方部の刈取機4で立毛穀稈を刈取りして後方上部へ移送し、脱穀機2aのフィードチェン2cと、挟持杆2dとで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済みの穀粒は、脱穀機2aの右横側へ配設した穀粒貯留タンク2b内へ供給され、一時貯留される。
【0017】
前記走行車台2の前方部には、図3で示すように、立毛穀稈を分離するナローガイド5a、及び複数個の分草体5bと、立毛穀稈を引起す複数個の引起装置6と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置9の各掻込装置9aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置5cと、刈取りされた穀稈を挟持移送して、脱穀機2aのフィードチェン2cと挟持杆2dとへ受渡しする穀稈掻込移送装置9の後側に刈取り穀稈を後方上部の合流部(リ)移送する右側に右根元移送装置10と、左側に左根元移送装置11と、合流部(リ)で合流した穀稈を更に後方上部へ移送する扱深調節用根元移送装置13と、穂先移送装置12等とからなる刈取機4を設けている。該刈取機4は、油圧駆動による伸縮シリンダ16により、土壌面に対して、昇降する構成である。
【0018】
前記刈取機4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆16aの上端部に設ける支持パイプ杆16bを走行車台2の上側面に設けた支持装置16cで回動自在に支持させている。伸縮シリンダ16を作動させると支持杆16aと共に、刈取機4が上下回動する構成である。
【0019】
前記刈取機4の穀稈掻込移送装置9によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀機2aへの穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ4aを設けた構成である。
【0020】
前記穀粒貯留タンク2b側の前部には、図3で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置18と、操縦席19とを設け、この操縦席19の下側にエンジン20を載置している。
【0021】
前記走行車台2の前端部に装架した走行用のミッションケース21内の伝動機構21aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ21bを設けている。
【0022】
前記穀粒貯留タンク2b内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク2bの後側には、図3で示すように、縦移送螺旋22aを内装した排出支持筒22を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒22の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋23aを伸縮自在に内装した排出オーガ23を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設した構成である。
【0023】
図1で示すように、左側二条列の穀稈は、左外側と左外側より二番目、及び三番目との分草杆5b、5b、5bにより、穀稈を分離すると共に、右側二条列の穀稈は、右外側と左外側より二番目との分草杆5b、5bにより、穀稈を分離する。
【0024】
前記引起装置6は、図1で示すように、左右両外側部には、左・右外引起装置7a、7bを設けると共に、中央部に中引起装置6aを設けている。これら左外引起装置7aと、中引起装置6aとにより、左側の二条列の穀稈が引起しされる。又、右外引起装置7bにより、右側の一条列の穀稈が引起される。
【0025】
前記中内引起装置6aと、左・右外引起装置7a、7bとは、図1で示すように、個別に設けた引起ケース8a内の上下端部には、上・下スプロケット8b、8cを軸支して設け、これら上・下スプロケット8b、8cには、所定間隔に引起ラグ8eを装着した引起チェン8dを掛け渡している。
【0026】
前記各引起ラグ8eの作用範囲は、引起ケース8aの下端部の略中央部から上端部の略中央部までの間の一方側部が作用範囲であり、この引起ケース8aより、突出した各引起ラグ8eの回転駆動により、穀稈を引起しする。他方側部は、引起ケース8内へ収納状態で回転駆動され、穀稈を引起ししない不作用範囲である。
【0027】
前記左・右外引起装置7a、7b、及び中引起装置6aの後側には、図1で示すように、左側の二条列の穀稈を掻込みする各掻込装置9aを平面視左側に、略V字形状に設けると共に、右側の一条列の穀稈を掻込する掻込装置9aを後方内側へ傾斜させて設ける。
【0028】
前記各掻込装置9aは、掻込ケース9bの下側部に所定間隔で掻込ラグ9cを設けた掻込ベルト9dを張設すると共に、この掻込ベルト9dの下側で、後側の掻込軸9eに掻込スターホイル9fを軸支している。
【0029】
左側の前記掻込装置9aの掻込ベルト9dと、掻込スターホイル9fとの間で、掻込軸9eへ軸支したスプロケット9jと、左テンション装置15とには、図1で示すように、左根元移送チェン11を張設している。又、右側の掻込装置9aの掻込ベルト9dと、掻込スターホイル9fとの間で、掻込軸9eへ軸支したスプロケット9jと、テンション装置14とには、図1で示すように、右根元移送チェン10aを張設している。
【0030】
左側二条列の刈取り穀稈の株元側は、図1で示すように、左根元移送装置11の左根元移送チェン11aと、左根元挟持杆11bとにより、後方上部の合流部(リ)へ移送される。又、右側一条列の刈取り穀稈の株元側は、右根元移送装置10の右根元移送チェン10aと、弾発材で形成した右根元挟持杆17aと、弾発材で形成した右根元補助挟持杆17bとにより、後方上部の合流部(リ)へ移送される。左右両側を合流部(リ)へ移送された穀稈は、更に株元側は、扱深調節用根元移送装置13の扱深調節用根元移送チェン13aで更に、後方上部へ移送され、穂先側は、穂先移送装置12の穂先移送ケース12aへ設けた、穂先移送チェン12bへ複数個装着した穂先移送ラグ12cにより、更に、後方上部へ移送され、これらにより、更に、後方上部へ移送された穀稈は、脱穀機2aへ引継ぎされ、この脱穀機2a内を挟持移送中に脱穀される。
【0031】
前記弾発材で形成した右根元挟持杆17aと、右根元補助挟持杆17bとは、右側の外側から2番目の分草パイプ5dへ設けた外・内取付板5e,5fへボルト、及びナット等により、装着している。
【0032】
前記右根元移送装置10の右根元移送チェン10aの移送終端部には、前後円形状部内には、図1で示すように、テンション装置14を設けている。このテンション装置14のコ字形状の支持具14cの底部を、チェンレール10bへ設けた受板10cへ装着している。
【0033】
前記支持具14cにテンション軸14dを軸支している。このテンション軸14dの先端部にコ字形状の支持板14eを設け、この支持板14eにテンションプーリ14aを軸支した支持ピン14fを挿入して、軸支している。又、支持具14c内でテンション軸14dに圧縮スプリング14bを挿入し、この圧縮スプリング14bの先端部でテンション軸14dに座金14hを挿入すると共に、板止め用のピン14jを設けている。テンションプーリ14aは、圧縮スプリング14bにより、移送終端部へ向けて張設する。右根元移送チェン10aと、右根元挟持杆17aと、右根元補助挟持杆17bとにより、穀稈を挟持移送するときには、穀稈移送の移送始端部側では、右根元移送チェン10が後側へ逃げて、穀稈を挟持する構成である。又、移送終端部側では、弾発材で形成した右根元挟持杆17aが前方へ逃げて、穀稈を挟持状態で後方上部の合流部(リ)へ挟持移送する構成である。
【0034】
右条列側の穀稈を後方上部の合流部(リ)へ移送する右根元移送装置10の右根元移送チェン10aの移送終端部へ設けたテンション装置14のテンションプーリ14aを圧縮スプリング14bにより、右根元移送チェン10aを内側から外側へ押し出して、チェン張りすると共に、穀稈を挟持移送時は、移送始端部側では、該右根元移送チェン10aが後方部へ逃げて、穀稈が挟持状態になる。又、移送終端部側では、弾発材で形成した右根元挟持杆17aが前方部へ逃げて、挟持状態が保持され、移送されることにより、テンション装置14が狭いスペース内へ設置できる。右側の移送穀稈の挟持は、右根元挟持杆17aと、右根元補助挟持杆17bとの二本で挟持させることにより、別のテンションアームが不用となり、コスト低減になる。又、穀稈の挟持移送が確実でスムーズである。
【0035】
前記右根元移送チェン10aを支持して案内するチェンレール10bは、図1で示すように、移送始端部側を左右方向(前後方向)略中間位置より、移送始端部側を後方へ向けて折曲して、このチェンレール10bと、右根元移送チェン10aとの間には、略三角形状の空間部(H1)を設けている。又、移送終端部側では、この右根元移送チェン10aと、チェンレール10bとは、接触状態に設けて、右根元移送チェン10aを支持している。
【0036】
前記右根元移送チェン10aのチェンレール10bは、移送始端部側では、後方へ折曲させて、右根元移送チェン10aと、チェンレール10bとには、略三角形状の空間部(H1)を設け、移送終端部側では、右根元移送チェン10aと、チェンレール10bとは、接触状態に設けたことにより、移送終端部側では、多量の穀稈を挟持するときには、右根元移送チェン10aが逃げて挟持され、この右根元移送チェン10aに挟持時の余裕ができる。又、移送終端部側では、この右根元移送チェン10aへチェンレール10bが接触して、ガイドすることにより、このチェン10aの脱線を防止できる。又、多量の穀稈を挟持移送のときには、移送終端部側では、右根元挟持杆17aが逃げることにより、挟持移送中の穀稈に詰りが発生したり、又、稈切れが発生することなく穀稈はスムーズに挟持移送される。
【0037】
穀稈の株元側を挟持移送する前記右根元移送チェン10aと、右根元挟持杆17aとの、この右根元挟持杆17aの前部と後部との前・後湾曲部17c,17dは、図1で示すように、前腕曲部17cは、穀稈の掻込入口部(ト)の近傍部へ位置させて設けると共に、後湾曲部17dは、左右両側の掻込装置9a,9aの各掻込軸9e,9eを左右に結ぶ線位置(チ)の略上側へ位置させて設けている。
【0038】
前記右根元挟持杆17aの前部の前腕曲部17cは、穀稈の掻込入口部(ト)の近傍部へ位置させて設けると共に、後湾曲部17dは、左右両外側の掻込装置9a,9aの各掻込軸9e,9eを左右に結ぶ線位置(チ)の上側へ位置させて設けたことにより、右根元移送チェン10aと、右根元挟持杆17aとの間へ穀稈の株元がスムーズに入り、穀稈の挟持移送がスムーズである。又、穀稈の株元の詰りを防止できる。
【0039】
図1で示すように、前記右根元移送チェン10aの移送終端部の内側へ設けた、テンション装置14で右根元移送チェン10aを伸縮操作する伸縮方向ライン(ヌ)は、この右下根元移送チェン10d、及び左根元移送チェン11aの穀稈移送作用方向ライン(ル)、(オ)と略同じ方向に設けている。
【0040】
これにより、前記右根元移送チェン10aを支持するチェンレール10bに対して、このチェン10aが逃げることで、穀稈の株元をホールドする方式であることにより、チェンテンションの作動量を大きく取ることができる。又、チェン10a,11aの移送作用ラインと、伸縮方向ラインとを略同じ方向としたことにより、移送終端部での株元の乱れが生じない。更に、このチェン11aの終端部ライン位置と、チェン10aの終端部ライン位置とは変わらないことで、左側株元とのずれが生じない。
【0041】
図2で示すように、前記右根元移送チェン10aの移送終端部内へ設けた、テンション装置14の支持具14cの内側部へテンション軸14dを軸支する支持ボス14mを設けると共に、支持具14cの内側の外壁部に調節ボルト14nと、ロックナット14pを設け、この調節ボルト14nの先端部をテンション軸14dへ螺合させて、この螺合位置により、チェン張りする。又、ロックナット14pにより、所定位置へロックする構成である。
【0042】
これにより、従来の調節ボルトは、下側であり、調節が困難であったが、これを解消することができる。
図2で示すように、右側の前記掻込装置9aと、刈取機4の左右方向略中央部に設けた支持杆16aとを、チェンレール10bで接続すると共に、このチェンレール10bは、支持杆16aより左側部は、右根元移送チェン10aへ接触して支持状態に設けている。又、チェンレール10bは、この右根元移送チェン10aの作用側と、非作用側との略中間部へ位置させて設け、前後両側へ略同じ空間部(H1),(H2)を設けた構成である。
【0043】
これにより、前記右下根元移送チェン10dの作用側、及び不作用側に空間部(H1),(H2)を設けたことにより、藁屑等の溜りを防止できる。又、穀稈の挟持を無理なく行うことができる。
【0044】
前記右外側の掻込装置9aの掻込スターホイル9fの外径(D1)より、右根元移送チェン10aの穀稈移送の非作用側へ設ける非作用側ガイド9hの作用位置を、図2で示すように、外側へ設けると共に、先端部位置も外側へ位置させて設けている。
【0045】
これにより、前記掻込スターホイル9fと、右根元移送チェン10aとの干渉を防止することができる。
図2で示すように、支持杆16aへ設けた取付板16fの上側には、チェンレール10bへ設けた受板10fを重合させて、固定ピン10dを挿入して、回動移動を固定する。又、右根元移送チェン10aと、チェンレール10b等とを、掻込軸9eを回動中心(力)として、後方外側へ回動移動操作するときには、固定ピン10dを抜き取り後に、回動移動操作する構成である。
【0046】
これにより、前記右根元移送装置10を後方外側へ回動移動操作するときには、固定ピン10dを抜き取ることにより、回動移動ができることにより、回動移動が容易である。
前記右外側の分草体5bを、図4、及び図5で示すように、前側の分草パイプ5dと、後側の後分草パイプ5hとにに分割し、これらの接合部にリンク機構33を設け、このリンク機構33で左外側の分草体5bを、右外側へリモコン操作可能な構成である。掻込装置9aの掻込ケース9bの前部に長孔9mを設け、この長孔9mには、前掻込軸9jを軸支し、この前掻込軸9jと、リンク機構33とは、連結杆33aで接続している。
【0047】
前記右外側の分草体5bがリモコン操作により、右外側へ回動移動操作により、これに連動して、右外側の掻込装置9aの前掻込軸9jが前方外側へ回動移動され、掻込ベルト9dの掻込ラグ9cの先端部回転軌跡が、前方外側へ移動する構成である。
【0048】
これにより、右外側の前記掻込装置9aの掻込移送性能が向上する。又、穀稈の株元の揃い向上、穀稈のこぼれ防止、倒伏性能の向上を図ることができる。
四条列の穀稈を刈取りするコンバイン24の操作装置18の前側へフロントカバー25を設けた構成において、このフロントカバー25の前側には、図6〜図9で示すように、略L字形状の防塵カバー26を上下回動自在に設けている。
【0049】
前記防塵カバー26の一方側の側板には、上下に所定間隔で上・下回動リンク27a,27bの一方側の端部を各取付ピン27cで回動自在に設けると共に、他方側の端部を各取付ピン27cで回動自在にフロントカバー25の一方側の側板へ回動自在に設け、又、防塵カバー26上端部には、コ字形状の把持杆28を設けている。穀稈を収穫作業のときには、この把持杆28を持って、防塵カバー26を上方へ移動させて、収穫作業の時に前方より、飛散する穀粒、及び塵埃が操縦席19へ着座する運転作業者への飛散を防止する。
【0050】
これにより、前記コンバイン24を運転操作する運転作業者へ穀粒、及び塵埃等の飛散を防止できて、衛生的な作業ができる。
前記コンバイン24の操縦席19の横側で刈取機4の上部には、図10〜図13で示すように、防塵カバー29へ設けた回動フレーム30を回動受メタル30aで回動自在に軸支すると共に、防塵カバー29の前部に前照灯29aと、方向指示器29b等とを設け、この防塵カバー29は収穫作業時には、刈取機4の上側へ配設し、非作業時には、脱穀機2aの上側へ回動移動操作する構成である。
【0051】
これにより、前記コンバイン24を運転操作する運転作業者へ穀粒、及び塵埃等の飛散を防止できて、衛生的な作業ができる。
図10、図14、及び図15で示すように、穀稈掻込移送装置9の略三角形状の穂先移送装置12の穂先移送ケース12a上側へ穂先カバー12dを設けると共に、この穂先移送装置12の横側には、供給移送装置31を設け、この供給移送装置31の供給ケース31aには、供給スターホイル31b、及び供給ラグ31c等を設けた構成において、合流部(リ)へ移送された穀稈を、穂先移送装置12と、供給移送装置31とで引継ぎ、更に後方上部へ移送する構成である。
【0052】
前記穂先カバー12dの上側には、防塵カバー32を設けている。
これにより、前記コンバイン24を運転操作する運転作業者へ穀粒、及び塵埃等の飛散を防止できて、衛生的な作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】左・右根元移送装置部の拡大平面図
【図2】左・右根元移送装置部の拡大平面図
【図3】コンバインの左側全体側面図
【図4】掻込装置と分草体との標準時の拡大平面図
【図5】掻込装置と分草体との右外側へ移動時の拡大平面図
【図6】コンバインの前部と防塵カバー部との拡大側面図
【図7】コンバインの前部と防塵カバー部との拡大平面図
【図8】防塵カバーの取付正面斜視図
【図9】防塵カバーの調節時の取付正面斜視図
【図10】コンバインの前部と防塵カバー部との拡大平面図
【図11】コンバインと防塵カバー部との拡大正面図
【図12】防塵カバーの作業時の平面図
【図13】防塵カバーの非作業時の平面図
【図14】防塵カバーの拡大正面図
【図15】防塵カバーの拡大平面図
【符号の説明】
【0054】
(2) 走行車台
(2a) 脱穀機
(4) 刈取機
(5c) 刈刃装置
(6) 引起装置
(9a) 掻込装置
(9e) 掻込軸
(9f) 掻込スターホイル
(10) 右根元移送装置
(10a) 右根元移送チェン
(10b) チェンレール
(11) 左根元移送装置
(12) 穂先移送装置
(13) 扱深調節用根元移送装置
(14) テンション装置
(14a) テンションプーリ
(14b) 圧縮スプリング
(17a) 右根元挟持杆
(17c) 前湾曲部
(17d) 後湾曲部
(ト) 掻込入口部
(チ) 結ぶ線位置
(リ) 合流部
(H1) 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車台(2)前方部の穀稈を刈取り後方上部へ移送する刈取機(4)は、一方側の条列の穀稈と、他方側の条列の穀稈とを引起す複数の引起装置(6)と、引起し穀稈を掻込み移送する複数の掻込装置(9a)と、該掻込装置(9a)の後側に刈刃装置(5c)と、該刈刃装置(5c)の後方左右両側に刈取り穀稈を引継ぎ後方上部の合流部へ移送する左根元移送装置(11)と、右根元移送装置(10)と、合流部(リ)へ移送された穀稈を引継いで更に後方上部へ扱深調節用根元移送装置(13)と、穂先移送装置(12)とで移送して、脱穀機(2a)へ供給すべく設けた構成において、前記右根元移送装置(10)の右根元移送チェン(10a)の移送終端部のテンション装置(14)のテンションプーリ(14a)を圧縮スプリング(14b)により、右根元移送チェン(10a)を内側から外側へ押し出して、チェン張りする構成とすると共に、穀稈を挟持移送時に移送始端部側では、該右根元移送チェン(10a)が逃げて挟持状態になり、移送終端部側では、弾発材で形成した右根元挟持杆(17a)が逃げて挟持状態にすべく設けたことを特徴とするコンバインの穀稈移送装置。
【請求項2】
前記右根元移送チェン(10a)のチェンレール(10b)は、移送始端部側では後方へ折曲させ、右根元移送チェン(10a)とチェンレール(10b)とには、略三角形状の空間部(H1)を設け、移送終端部側では右根元移送チェン(10a)とチェンレール(10b)とは、接触状態に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの穀稈移送装置。
【請求項3】
前記右根元挟持杆(17a)の前部の前湾曲部(17c)は、穀稈の掻込入口部(ト)近傍へ位置させて設けると共に、後湾曲部(17d)は、左右両側の掻込装置(9a),(9a)の各掻込スターホイル(9f),(9f)等を軸支する各掻込軸(9e),(9e)を左右に結ぶ線位置(チ)上へ位置させて設けたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のコンバインの穀稈移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−117007(P2007−117007A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314742(P2005−314742)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】