説明

コンバインの脱穀制御装置

【課題】本発明では、コンバインの刈取速度を速くして穀稈の処理量が増加しても扱室内の脱穀負荷の増大を防ぎ、脱穀処理能力を維持することを課題とする。
【解決手段】扱室25内の上側に扱胴軸27の軸芯方向に対する交差角αを変更可能に送塵板1を設けると共に該送塵板1に作用する穀稈の送り反力を検出するセンサ2を設け、穀稈の送り反力に対して送塵板1の交差角αを変更して送り反力を一定の中立範囲内に維持すべく制御するコンバインの脱穀制御装置の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脱穀処理能力を自動的に制御するコンバインの脱穀制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの脱穀装置は、刈り取った穀稈をフィードチェンで横送りしながら扱胴の回転によって扱刃で穀粒を脱穀する。この脱穀時の穀稈送り速度は扱室内の上側に設ける送塵板の傾斜角度で変更され、穀稈送り速度が速いと脱穀が不充分で遅いと良く脱穀されるが千切れた藁屑で詰りが発生し易く選別部へ藁屑が多く混入して選別率が悪くなる。
【0003】
例えば、特開平4−271723号公報には、コンバインの走行速度に同調してフィードチェンの送り速度を増減速し、フィードチェンの送り速度が速くなると送塵板の傾斜角度を大きくして扱室内を送られる穀稈の送り速度を低下させて脱穀時間を長くして脱穀率を良くしようとする技術が開示されている。
【0004】
また、特開平4−179406号公報には、同じく、フィードチェンの送り速度によって送塵板の傾斜角度を自動的に変更する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平4−271723号公報
【特許文献2】特開平4−179406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の脱穀率向上技術は、穀稈の送り速度が速くなれば送塵板の送り方向に対する傾斜角度を大きくして扱室内の穀稈穂先側の送り速度を低下させて脱穀作用を充分に働かせようとするものであるが、コンバインの刈取速度をあまり速くすると、脱穀負荷が増大して詰まりの発生や扱胴回転数の低下による脱穀力の低下が生じていた。
【0006】
そこで、本発明では、コンバインの刈取速度を速くして穀稈の処理量が増加しても扱室内の脱穀負荷の増大を防ぎ、脱穀処理能力を維持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1に記載の発明では、扱室(25)内の上側に、扱胴軸(27)の軸芯方向に対する交差角(α)を変更可能な送塵板(1)を設け、該送塵板(1)に作用する被処理物の移送反力を検出するセンサ(2)を設け、該センサ(2)の検出結果が設定された中立範囲内になるように、前記扱胴軸(27)の軸芯方向に対する送塵板(1)の交差角(α)を自動的に調節する構成としたことを特徴とするコンバインの脱穀制御装置とした。
【0008】
この構成で、穀稈が扱室25内に多く供給されて扱室25内の被処理物が増加し、この被処理物によって送塵板1に作用する反力が増加すると、扱胴軸27の軸芯方向に対する送塵板1の交差角αが小さくなって扱室25内での穀稈送り速度が速まり、脱穀負荷の急増が少なくなる。
【0009】
請求項2記載の発明では、中立範囲を任意に変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの脱穀制御装置とした。
この構成で、コンバインの脱穀処理効率と脱穀率の調整が、センサ2の検出結果の中立範囲を変更することで簡単に行われる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によると、扱室25内へ供給される穀稈が多くなると送塵板1の扱胴軸27の軸芯方向に対する交差角αを小さくし、移送抵抗を少なくして穀稈が扱室25内で滞留しにくくし、逆に扱室25内へ供給される穀稈が少なくなると送塵板1の扱胴軸27の軸芯方向に対する交差角αを大きくし、移送抵抗を大きくして穀稈が扱室25内で滞留して充分脱穀処理されるようになる。これによって、脱穀能力を維持しながら脱穀穀稈量の増加による脱穀負荷の増大を防ぎ、扱室25内での詰まりや脱穀選別不良の発生を防ぎ、高速刈取作業を可能としてコンバインの作業能率を向上させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明においては、脱穀選別制御の中立範囲を高くすることで穀粒の脱粒率を向上させることができる。また、オペレータの収穫作業習熟度に応じた調整が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
コンバインの全体は、図1に示す如く構成され、クローラ走行装置11を有する機体10の前方には、刈取装置12が設けられている。この刈取装置12が刈り取った穀稈は供給搬送装置13で上方へ搬送され、フィードチェン14に引き継がれ、穂先を脱穀装置15へ供給して脱穀され、脱穀後の穀稈が機体10の最後部に設けたカッター16で細かく切断され圃場へ放出される。
【0013】
機体10の上方には、脱穀装置15の右側方にこの脱穀装置15で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク19と、該グレンタンク19の前方に位置していて作業者が搭乗してコンバインの操縦等の各種操作を行う操縦操作部17が構成されている。
【0014】
グレンタンク5の後側に揚穀筒18が立設され、該揚穀筒18の上端に穀粒排出オーガ20が旋回可能に連結されている。グレンタンク19内の穀粒量が満杯となると、この揚穀筒18と穀粒排出オーガ20から穀粒をグレンタンク19から外部へと排出する。揚穀筒18は旋回モータ60にて旋回可能に構成され、また、穀粒排出オーガ20は油圧シリンダ(図示省略)にてその先端側が昇降可能に構成されている。また、この穀粒排出オーガ20は内部の搬送ラセンと外筒が伸縮可能にされ伸縮油圧シリンダ23で伸縮可能にされている。さらに、穀粒排出オーガ20の先端には下方に向かって排出口22を形成した放出筒21を設けている。
【0015】
この放出筒21の先端に安全灯72を設けている。この安全灯72を夜間の収穫作業時に点灯させると照明として利用でき、回動時に点滅させて注意を惹き、伸縮や穀粒排出等に応じて点滅パターンを変えて作業状態を表示するようにしても良い。
【0016】
図10乃至図13は、安全灯72の取り付け実施例で、図10では一個の安全灯72を放出筒21前上端に設け、図11では一個の安全灯72を放出筒21の前下側に設け、図12では例えば赤と青の二色の安全灯73,74を放出筒21の上側前後に設け、図13では例えば赤と青の二色の安全灯75,76を放出筒21の上側左右に設けてそれぞれの点灯タイミングを作業状態で変えることで夜間作業時の作業状態を表示している。
【0017】
なお、穀粒排出オーガ20を機体10上に収納する位置を収穫作業中に置く作業中収納位置と路上移動時や納屋格納時に置く作業終了収納位置の二箇所設けて、作業終了収納位置に置くと、収納スイッチを押して脱穀クラッチを入にしてもフィードチェン14が駆動されないようにすれば、安全を図れる。
【0018】
図8は、揚穀筒18の旋回駆動部分を示している。揚穀筒18が支持筒68上に回動可能に支持され、支持筒68から横へ張り出したブラケット67に取り付けたブレーキ内蔵の旋回モータ60の出力軸に固着した小プーリ64と揚穀筒18に固着の大プーリ65にベルト66を巻き掛けて旋回駆動するようにしている。さらに、大プーリ65の下側に固着のギア61は旋回位置センサ63のギア62と噛み合わせている。この構造で、揚穀筒18が慣性力で回りすぎてもベルト66の滑りで旋回モータ60の破損を防ぎ、旋回位置センサ63が正確な回動角度を検出する。
【0019】
図9は、揚穀筒18の旋回駆動部分の別実施例を示している。上記実施例との違いは、旋回モータ60をブラケット67に吊り下げて押しロッド69と押しばね70で旋回モータ60の出力軸に固着のギア71を揚穀筒18に固着のギア61に押し付けて駆動するようにしている。このようにすることで、揚穀筒18が慣性力で回る場合に旋回モータ60が逃げて破損を防止する。
【0020】
図2乃至図5は、コンバインの脱穀処理部を示している。
脱穀装置15は、左側部から底部にかけて扱網24を設けた扱室25内に扱胴26を扱胴軸27で軸架し、該扱室25の扱網24の外側には、扱室25の後部からの処理物を受け入れて処理する排塵処理胴28を排塵処理胴軸で軸架した排塵処理室29を設けている。そして、扱室25と排塵処理室29の下方には揺動選別棚30を設けている。
【0021】
扱室25内に横架した扱胴26には扱歯26aを立設し、フィードチェン14にて株元を挟持されて後方へ送られる穀稈の穂先側を扱ぎ作用して穀粒を脱粒させて脱穀するのであるが、この扱室25内上側に機枠38から内部に向かって四枚の送塵板1を枢軸5で立設している。各送塵板1は連結杆4で連結して扱胴軸27の軸芯方向に対する傾斜角(交差角)αを同時に変更出来、最前側の枢軸5に連結した電動モータ3でこの傾斜角αを変更するようにしている。また、送塵板1には送り圧センサ(センサ)2を設けて、穀稈の脱穀時に受ける送塵板1の送り圧力を検出するようにしている。
【0022】
送塵板1は、穀稈の脱穀時にフィードチェン14による送り作用を受けて穀稈の穂先側送りに抵抗を与えて送り速度を遅らせて脱穀作用が充分に働くようにするが、傾斜角αを小さくすると送り抵抗が弱くなって穀稈穂先側が速く送られ、傾斜角αを大きくすると送り抵抗が強くなってなって穀稈穂先側がゆっくりと送られる関係になり、この傾斜角αを後述する自動制御によって変更し、脱穀処理能率を制御している。
【0023】
排塵処理胴28の前方には、二番処理胴31と二番処理胴受樋34からなる二番処理室32を構成している。二番処理胴31は、扱室25の右側であって、排塵処理胴28の前方にこの排塵処理胴28と一体的に構成されている。この二番処理胴31は基本的には二番物を処理するものである。この二番処理胴31は二番処理胴軸33にて支持されている構成であるので、前記排塵処理胴28と二番処理胴31とは一体的に排塵処理胴軸と二番処理胴軸33とで支持されている構成である。
【0024】
さらに、図3は図2にて示すA−A断面図であるが、扱網24から漏れた被処理物は二番処理室32内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴31は二番物の他に、扱室25内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱室25の扱網24と二番処理室32の二番処理胴受樋34と排塵処理室29の排塵処理網35は、それぞれ扱胴26と二番処理胴31と排塵処理胴28の下方に設けられている。
【0025】
排塵処理胴28の排塵処理歯28aは、扱室25の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯28aは、排塵処理胴28の外周面に巻き付けたラセン形状となっている。
【0026】
扱胴26と二番処理胴31と排塵処理胴28は、共に脱穀装置15の正面視において、時計回りで回転する構成である。従って、二番処理胴31の処理歯31aの向きは、穀稈送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0027】
即ち、該処理歯31aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯31aはラセンの一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋34との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴31の搬送終端部に設けられている羽根31bは、被処理物を揺動選別棚30上に強制的に送り出すものである。
【0028】
二番処理室32に軸架する二番処理胴31には、攪拌搬送体36を設けているが、この攪拌搬送体36は、板体を螺旋状に立設したもので、所定間隔で切り欠いている。
この二番処理胴31の上部には、攪拌搬送体36で飛ばされる籾を受ける移送抵抗板37を機枠38の内壁に所定間隔で複数個(本実施例では3個)立設している。
【0029】
前記扱室25と二番処理室32と排塵処理室29の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚30が設置されていて、該揺動選別棚30は選別棚調整装置56(図示省略)でシーブを開閉調整可能で、その下方には、選別風送り方向始端側に唐箕変速装置55(図示省略)で送風量を変更する唐箕39を設け、該唐箕39から送風される選別風の送り方向下手側には、風路40と風路41が設けられていて、この風路40と風路41の下手側に一番ラセン42を設け、該一番ラセン42の選別風送り方向下手側には二番ラセン43を設けている。この二番ラセン43にて収集された二番物を前記二番処理室32へ揚穀するための二番揚穀筒44が設けられている。
【0030】
前記刈取装置12から供給搬送装置13で搬送されてきた穀稈は、脱穀装置15のフィードチェン14の始端部に引き継がれ、後方に搬送されながら、扱室25内で扱胴26の回転により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚30上に落下して、該揺動選別棚30の揺動作用と唐箕39からの風選作用により選別され、一番ラセン42内へと取り込まれていき、該一番ラセン42に取り込まれた穀粒は、グレンタンク19内に一時貯溜される構成である。
【0031】
脱穀後の排稈はフィードチェン14の終端部から、排稈チェン45の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター13に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0032】
扱室25の残りの脱穀物は、排塵処理室29へ搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室32内に取り込まれていく。該二番処理室32内に取り込まれた脱穀物は、前述の如く脱穀されて、下方の揺動選別棚30上に落下していく。
【0033】
排塵処理室29では、排塵処理網35の目合いが荒い格子状なので、一部の短い藁屑は揺動選別棚30上に落下し、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室29の終端部まで搬送されて、排塵処理胴31の終端部の羽根31bにて排出口からストローラック46上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室29内にて搬送される間に、排塵処理胴28とこの排塵処理胴28の設けられている排塵処理歯28aと排塵処理網との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物は解されて中に混在している穀粒いわゆるササリ粒が取り出されて下方の揺動選別棚30上に落下し、さらに、二番ラセン43内へと回収されていく構成である。
【0034】
前述のように、扱室25内の脱穀物で揺動選別棚30上に落下せず、二番処理室32内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室25の終端部まで搬送されていく。この扱室25の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室29内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。また、扱室25の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、排塵処理室29内に取り込まれなかった脱穀物は下方の揺動選別棚30上に落下していく構成である。
【0035】
扱室25内の終端部から排塵処理室4内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室25から排塵処理室29への引継ぎ部分においても、排塵処理胴28の外周にラセン形状の排塵処理歯28aを設けていて、該排塵処理歯28aの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0036】
揺動選別棚30の揺動作用と唐箕39からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン42内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン43内へと取り込まれていく。該二番ラセン43内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒44にて前記二番処理室32の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室25からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋34との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根31bにより下方の揺動選別棚30上に強制的に落下していく構成である。
【0037】
図6は、マイコンからなるコントローラ47の制御信号の入出力ブロック図である。操縦操作部17に設ける効率重視モードスイッチ48をオンすると穀稈送り圧の制御設定圧を低めに設定して穀稈が扱室25内を速く送られるようにして刈取走行速度を早くしても扱室25に詰りが生じない。また、選別重視モードスイッチ49をオンすると穀稈送り圧の制御設定圧を高めに設定して穀稈が扱室25内をゆっくりと送られるようにして脱穀率を高める。
【0038】
送り圧センサ2からは、送塵板1に作用する穀稈の送り圧力がコントローラ47に入力し、車速センサ57から機体10の走行速度がコントローラ47に入力し、エンジン回転センサ58からエンジン回転数がコントローラ47に入力する。さらに、送り圧設定スイッチ59からは、送塵板1が受ける送り圧を手動で設定する設定値がコントローラ47に入力する。
【0039】
供給調整シリンダ50は、コントローラ47の指示により、供給搬送装置13のフィードチェン14に対する穀稈の受け継ぎ位置を調整して穀稈の穂先側を深く扱室25内へ挿入するいわゆる深扱ぎにしたり、穀稈の穂先側を浅く扱室25内へ挿入するいわゆる浅扱ぎにしたりする。
【0040】
電動モータ3は、コントローラ47の指示により送塵板1の傾斜角αを変更し、ブザー51は、コントローラ47の指示により警報を鳴らし、エンジン52には、コントローラ47から回転数の増減指示が出力される。
【0041】
操縦操作部17に設ける脱穀負荷表示器53に前記圧力センサ2で検出する送り圧から判断した脱穀負荷率が、高・中・低の三段階で表示され、車速指示器54へ車速を増減するように指示する表示がなされる。
【0042】
唐箕変速装置55へは唐箕39の回転速度を増減速する指示がコントローラ47から出力され、選別棚調整装置56へは揺動選別棚30のシープ間隔を変更する指示がコントローラ47から出力される。
【0043】
図7は、送塵板1に加わる送り圧力で脱穀負荷を制御する脱穀制御のフローチャートである。
まず、ステップS1で、効率重視モードスイッチ48のオン・オフ信号と選別重視モードスイッチ49のオン・オフ信号と送り圧設定スイッチ59の設定圧を読み込む。
【0044】
次に、ステップS2でコンバインを走行させて刈取り作業を開始し、ステップS3で送り圧センサ2から送塵板1に加わる穀稈の送り圧力を検出し、ステップS4で送り圧が設定圧より小さいかを判定する。ここで、設定圧は、送り圧設定スイッチ59によって設定した圧力で、効率重視モードスイッチ48を押すと設定圧が低くなり、選別重視モードスイッチ49を押すと設定圧が高くなる。
【0045】
ステップS4の判定がYESならば、ステップS5で送塵板1の傾斜角αを大きい方へ回動して送り圧を高め、ステップS4の判定がNOならば、ステップS6の判定に移る。
ステップS6で送り圧が設定圧より大きいかを判定する。このステップS6の判定がYESならば、ステップS7で送塵板1の傾斜角αを小さい方へ回動して送り圧を低下させ、ステップS6の判定がNOならば、リターンする。
【0046】
なお、この送り圧制御で、送塵板1の傾斜角αを小さくしても送り圧が設定圧まで低下しない場合(高負荷状態)には、車速指示器54に走行速度を遅くするように表示し警告する。或いは、この場合には、エンジン52に回転数を上昇させるよう指示するようにしても良い。また、この場合には、供給調整シリンダ50に穀稈の扱室25への差し込み深さを浅くするすなわち浅扱ぎ状態になるように制御指示を出すようにしても良い。
【0047】
効率重視モードスイッチ48がオンで高負荷状態になると、エンジン回転数を上げ、扱ぎ深さを浅くし、さらに、唐箕変速装置55で選別風を強くし、選別棚調整装置56でシーブを閉じるように制御する。
【0048】
選別重視モードスイッチ49がオンで高負荷状態になると、走行速度を遅くするように車速指示器54へ表示する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】コンバインの全体側面図。
【図2】コンバイン脱穀部の平断面図。
【図3】図2のAA断面図。
【図4】コンバイン脱穀部の側断面図。
【図5】コンバイン脱穀部の上部を示す平面図。
【図6】制御ブロック図。
【図7】制御フローチャート図。
【図8】一部の拡大側面図。
【図9】別実施例の拡大側面図。
【図10】一部の拡大斜視図。
【図11】別実施例の一部拡大斜視図。
【図12】別実施例の一部拡大斜視図。
【図13】別実施例の一部拡大斜視図。
【符号の説明】
【0050】
1 送塵板
2 送り圧センサ(センサ)
25 扱室
27 扱胴軸
α 傾斜角(交差角)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱室(25)内の上側に、扱胴軸(27)の軸芯方向に対する交差角(α)を変更可能な送塵板(1)を設け、該送塵板(1)に作用する被処理物の移送反力を検出するセンサ(2)を設け、該センサ(2)の検出結果が設定された中立範囲内になるように、前記扱胴軸(27)の軸芯方向に対する送塵板(1)の交差角(α)を自動的に調節する構成としたことを特徴とするコンバインの脱穀制御装置。
【請求項2】
前記中立範囲を任意に変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインの脱穀制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−55808(P2009−55808A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224373(P2007−224373)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】