コンバインの防塵装置
【課題】防塵網の目詰まりを防ぎ、エンジンのオーバーヒートを防止して、作業能率を高める。
【解決手段】エンジン(1)を内装したエンジンルーム(2)の外側部に、枠体(3)に防塵網(4)を張設した防塵カバー(5)を設け、この防塵カバー(5)とエンジン(1)との間には、吸気ファン(6)とラジエーター(7)とを配置し、枠体(3)の内側に設けた支持部材(8)に、少なくとも2つの回転輪(9,9)を連動して回転するように上下に軸支し、各回転輪(9,9)には、防塵網(4)の内側面に近接した状態又は密着した状態を保って回転する遮風板(10,10)を取り付ける。また、各遮風板(10,10)を回転輪(9,9)の直径よりも長く形成し、2つの遮風板(10,10)を相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置する。
【解決手段】エンジン(1)を内装したエンジンルーム(2)の外側部に、枠体(3)に防塵網(4)を張設した防塵カバー(5)を設け、この防塵カバー(5)とエンジン(1)との間には、吸気ファン(6)とラジエーター(7)とを配置し、枠体(3)の内側に設けた支持部材(8)に、少なくとも2つの回転輪(9,9)を連動して回転するように上下に軸支し、各回転輪(9,9)には、防塵網(4)の内側面に近接した状態又は密着した状態を保って回転する遮風板(10,10)を取り付ける。また、各遮風板(10,10)を回転輪(9,9)の直径よりも長く形成し、2つの遮風板(10,10)を相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインのエンジンルームにおいて、外気取り入れ側に装備している防塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願は、農作業の中でも塵埃発生が多いとされているコンバイン作業に関し、エンジンルームの防塵カバーに装置した防塵装置に関する発明である。この種の防塵装置は、例えば、特開平10−286018号公開特許公報(特許文献1参照)、更に、特開2002−59748号公開特許公報(特許文献2参照)に具体的な技術構成が開示されている。
【0003】
まず、前者の公報には、エンジン室61の防塵網を、除塵通気構造のロータリースクリーン66に構成し、外側に集塵ダクト74、更に、吸塵ダクト75を連通して排塵し、除塵済み空気をエンジン21に圧送する構成が記載されている。そして、該公報には、「箱体60内部の温度上昇と塵の浸入を防止し、エンジン21の防音、防塵並びに冷却効率の向上を図る。」と記載されている。
【0004】
そして、後者の公報には、「エンジン7のラジエーター6の外側に設けたエンジンカバー9の外気を吸入する吸入口10に張設した防塵網11に付着した付着物を回転駆動する遮蔽装置12で除去すると共に、この遮蔽装置12は、風車29で回転駆動し、又、この回転速度は回転規制装置で規制する構成」と記載され、「エンジン7のラジエーター6の外側に設けたエンジンカバー9の外気を吸入する吸入口に張設した防塵網11に付着する付着物を自動で除去することができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−286018号公開特許公報
【特許文献2】特開2002−59748号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のこの種の装置、例えば、上記特許文献2に開示されている発明の遮蔽装置12は、防塵用網11の中央位置内側に、塞部27bを取り付けた回転体から構成されている。そして、該遮蔽装置12は、風車29から動力を取って防塵用網11の内面に沿って回転しながらその網の外側に吸着している塵埃等の付着物を、回転にともなう吸引風圧の変化によって回転方向前側に集めながら回動する構成になっている。しかしながら、上記の従来型は、単体構成であって、上側の遮蔽装置12が持ち回りながら集めた付着物(藁屑、草屑、塵埃等)を下側にあるつぎの遮蔽装置12に受け継がせながら順次下方へ、下方へと送って、地上に排塵する作用ができないために、吸引風圧が続く限り、防塵用網11の表面に順次堆積しながら持ち回る状態が続き、排塵効果が半減して、エンジンルーム内の温度上昇と塵の浸入が続き、エンジン7の防音、防塵並びに冷却効率が低下する課題があった。
【0007】
それに対して、本願発明は、少なくとも2つの回転輪(9,9)に、防塵網(4)の内側面に近接した状態、又は密着した状態を保って移動する遮風板(10,10)を取り付けて構成しているから、防塵網(4)の大部分を占めるように、2基以上の遮風板(10,10)を配置した構成となって、受継ぎながら地上に排塵できるものとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この出願の発明は、上述の課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、エンジン(1)を内装したエンジンルーム(2)の外側部に、枠体(3)に防塵網(4)を張設した防塵カバー(5)を設け、該防塵カバー(5)と前記エンジン(1)との間には、吸気ファン(6)とラジエーター(7)とを配置し、前記枠体(3)の内側に設けた支持部材(8)に、少なくとも2つの回転輪(9,9)を連動して回転するように上下に軸支し、該各回転輪(9,9)には、前記防塵網(4)の内側面に近接した状態又は密着した状態を保って回転する遮風板(10,10)を取り付けたことを特徴とするコンバインの防塵装置としたものである。
【0009】
この構成により、遮風板(10,10)を迂回しながら該遮風板(10,10)の縁部を通過して吸入される外気の流速が高まり、防塵網(4)の外側面上の塵埃は、この遮風板(10)の縁部に引き付けられ、この遮風板(10)の回転と共に防塵網(4)の外側面上を移動する。そして、この塵埃は、下側の遮風板(10)の回転に引き継がれ、防塵網(4)の外側面上を更に下方へ移動し、吸入流速の低い防塵網(4)のコーナー部に集積され、圃場面へ落下する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記各遮風板(10,10)を回転輪(9,9)の直径よりも長く形成し、該2つの遮風板(10,10)を相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0011】
この構成により、上側の遮風板(10)の回転にともなって防塵網(4)の外側面上を移動してきた塵埃が、2つの遮風板(10,10)の回転軌跡が重合する部分(A)において下側の遮風板(10)へ引き継がれる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)に、前記防塵網(4)を上下から取り付けて支持する枠体(3)を配置したことを特徴とする請求項2記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0013】
この構成により、防塵網(4)の表面に吸着されたまま、上側の遮風板(10)の縁部に引き付けられて該上下の遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)まで移動してきた塵埃が、枠体(3)によって吸入風の作用しなくなるゾーン(無風の範囲)に来ると、吸着作用がなくなることによって防塵網(4)の外側面から離れ、浮遊状態となって落下する。そして、下側の遮風板(10)は、落下しないで残った塵埃を受け継いで下方に向けて回転する。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記遮風板(10,10)の回転軌跡が、防塵網(4)の張設範囲を越えて該防塵網(4)の外周の枠体(3)の部分にまで達する構成としたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0015】
この構成により、遮風板(10)は、請求項3で説明したように、回転前側に集めながら移送する塵埃が、吸引風の作用しないゾーン(外側の枠体(3)の部分)に達すると吸着力を失って網面から離れ、防塵網(4)面上に吸着された塵埃を少なくすることができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記2つの回転輪(9,9)は、夫々の外周縁を歯車(11,11)に形成して相互に噛合わせ、該歯車(11,11)の噛合い部分の両側に噛合い外れ防止用の位置規制ローラ(12,12)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0017】
この構成により、2つの前記遮風板(10,10)の伝動構成は、回転輪(9,9)の外周面に歯車(11,11)を形成して噛合わせた簡単な構成とし、しかも、噛合い部分を両側から位置規制ローラ(12,12)で押圧保持して確実な位置保持をしながら安定した伝動が行なわれる。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記防塵カバー(5)の下端部に、防塵網(4)の表面から内側に退避するように傾斜する後退部分(13)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0019】
この構成により、上方の防塵網(4)を離脱して落下してくる塵埃がひっかかって溜まる部分を無くし、藁屑等の塵埃の排出を円滑にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によると、回転する上下の遮風板(10,10)によって防塵網(4)を広範囲にわたって清掃でき、目詰まりを防止してラジエーター(7)やエンジン(1)の冷却効率を高め、エンジン(1)のオーバーヒートを防止して作業能率を高めることができる。
【0021】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、上側の遮風板(10)の回転にともなって防塵網(4)の外側面上を移動してきた塵埃を、下側の遮風板(10)へ確実に引き継ぐことができ、防塵網(4)の清掃効率が向上し、目詰まりを防止してラジエーター(7)やエンジン(1)の冷却効率を高め、エンジン(1)のオーバーヒートを防止して作業能率を更に高めることができる。
【0022】
請求項3記載の発明によると、上記請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、上側の遮風板(10)の縁部に引き付けられて上下の遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)まで防塵網(4)の外側面上を移動してきた塵埃を、枠体(3)によって吸入風を遮断することで吸着力を失わせて落下させることができ、下側の遮風板(10)に引き継がれる塵埃を少なくして防塵網(4)の下部の目詰まりを防止することができる。
【0023】
請求項4記載の発明によると、上記請求項2又は請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、遮風板(10)が、防塵網(4)の範囲を越えて外側の枠体(3)の裏側にまで達すると、その部分では、吸引風がなくなって吸着力を失った塵埃が網面から離れ、自然に塵埃除去作用が促進される。
【0024】
請求項5記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、前記遮風板(10,10)の伝動構成を、回転輪(9,9)の外周面に歯車(11,11)を形成して噛合わせた簡単な構成とし、しかも、噛合い部分を両側から位置規制ローラ(12,12)で位置規制して噛合い状態を確実に保持しており、構成の簡略化と共に、噛合い位置を安定状態に保ちながら連動することができ、耐久性を向上させることができる。
【0025】
請求項6記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、上方の防塵網(4)から離れて落下してくる塵埃がひっかからないように防塵カバー(5)の下端部に、防塵網(4)の表面から内側に退避するように傾斜する後退部分(13)を設けたから、その防塵カバー(5)の表面に沿いながら落ちる藁屑等の塵埃がひっかかる部位が無くなり、排出が円滑にでき、防塵網(4)の下部の目詰まりを防止してラジエータ(7)及びエンジン(1)の冷却用の外気吸入量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】防塵カバーに遮風板とその関連機構を取り付けた側面図
【図2】防塵カバーの平面図
【図3】防塵カバーの側断面図
【図4】防塵カバーの側面図
【図5】防塵カバーを内側から示す内面図
【図6】エンジンルームの平面図
【図7】回転輪と位置規制ローラとの側面図
【図8】歯車と位置規制ローラとの正面図
【図9】コンバインの側面図
【図10】遮風板の別実施例の平断面図
【図11】遮風板の別実施例の平断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインは、図9に示すように、クローラ15,15を装備した車体16の前部に、刈取搬送装置17を設け、その後方の車体16上には、進行方向の左側に脱穀装置を搭載し、該脱穀装置の右側に、前から運転席18、グレンタンク19の順に搭載して構成している。
【0028】
そして、運転席18は、図9に示すように、前側にメーターパネル等を配置し、前から左横側にかけて設けた操作フレームに主変速レバーやスロットルレバー、更には、刈、脱クラッチ操作レバー等の操作レバー類を集中して配置し、フロアの右側を乗降口にして乗り降りしてコンバインの操縦ができる構成としている。
【0029】
つぎに、エンジンルーム2は、図9に示すように、前記運転席18の下側空間部を利用して形成し、図6に示すように、中央にエンジン1を搭載して構成している。そして、エンジンルーム2は、図面に示すように、進行方向右側を外気取り入れ側として、その部分に、機枠3に防塵網4を張設した防塵カバー5を設け、外気を吸入できる構成としている。そして、実施例の場合、エンジンルーム2は、防塵カバー5と前記エンジン1との間には、吸気ファン6とラジエーター7、更には、ラジエーター7の外側に、HST、ミッション、エアコン等のクーラーを配置して吸気風により空冷する構成としている。
【0030】
そして、防塵カバー5は、図示は省略しているが、エンジンルーム2内のメンテナンスを行なうために、後部側に縦軸の回動支点を設け、前部側を外側に開放自由の構成とし、上側にある前記運転席18も前方側に倒してエンジンルーム2の天井部分が開放できる構成となっている。23はロックレバーである。
【0031】
そして、2つの回転輪9,9は、図1、及び図5に示すように、防塵カバー5の内側において、上側の前記機枠3と下側の前記機枠3との間に架渡して上下に設けられた支持部材8の上部位置と下部位置とにそれぞれ回転自由に軸架して設けている。そして、この2つの回転輪9,9は、図面に示すように、その外周縁を全周に渡って歯車11,11に形成し、相互に噛合わせて伝動可能に構成している。そして、この2つの歯車11,11は、図1、図7、図8にそれぞれ示すように、噛合い部分を、左右両側から位置規制ローラ12,12で押圧保持する構成としている。なお、前記回転輪9,9は、上側と下側との両回転部分も、図面に示すように、それぞれ位置規制ローラ12で保持して位置決めし、振動や変位を阻止する構成としている。
【0032】
そして、電動モータ20は、図面に示すように、支持部材8の上部に取付金具21によって取り付け、図示しない減速機構を介して伝動ギヤ22を駆動する構成としている。そして、該伝動ギヤ22は、図1に示すように、上部側に軸架している回転輪9の歯車11に噛合わせて伝動する構成としている。
【0033】
このようにして、2つの回転輪9,9は、電動モータ20によって駆動される伝動ギヤ22から伝動されて上側から順に回転力が伝わり共に回転する構成としている。この場合、実施例の回転輪9,9は、前述した電動モータ20とこれに接続した減速機構によって大きく減速し、低速で回転する構成となっている。
【0034】
つぎに、遮風板10,10は、図面に示すように、短冊形に形成し、前記回転輪9,9の直径より長くして中心部分を前記回転輪9,9の回転中心に合わせて一体に回転可能に固着した構成としている。そして、遮風板10,10は、実施例の場合、前記防塵網4の内側において、網面に密着した状態を保って回転できるように取り付けて構成している。
【0035】
なお、遮風板10,10は、その表面、特に、防塵網4の網面に密着状態で回動する面に、例えば、弗素樹脂材等の滑りのよい素材をコーティングするか、又は、その素材の薄板(薄膜)を接着して滑り易く構成すると、円滑な回転が期待できる。
【0036】
更に、遮風板10,10は、他の実施例として、図10に示すように、表面に滑り易い膜25を張り付け、側縁の全周に渡りスポンジ材26を充填して山高形状にして内部を中空状にして、防塵網4に押し付けて密着させて回転させる構成としている。
【0037】
つぎに、図11に示した実施例の遮風板10は、回転輪9との取付部位にスプリング27を介装して、常時、防塵網4側にばね圧で押圧して密着させる構成としている。
このような2つの実施例は、いずれも遮風板10,10を防塵網4の内側面に密着させて、吸気ファン6の吸気圧を0にする手段であって、この構成によって、遮風板10の回転前側の吸気圧との差を大きくして塵埃の吸着力を高めて、藁屑等の収集作用を効果的に行なうための手段である。
【0038】
そして、遮風板10,10は、図1に示すように、支持部材8の上部位置と下部位置とにそれぞれ回転自由に軸架した2つの回転輪9,9に取り付け、その回転輪9の直径より長くし、相互に噛合った回転輪9,9と一体に上、下で逆転する構成であるが、図面から解るように、互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように接近させて配置した構成としている。このように、上記遮風板10,10は、前記回転輪9,9の直径より長く形成して相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置しているから、上側の遮風板10が回転にともなって集めながら持ち回ってきた塵埃を、逆方向から回転してくる下側の遮風板10が重合する部分(A)で受継いで持ち回りながら、順次下方の地面側に送り排塵することができる。尚、遮風板10,10の縁部を迂回して吸入される外気の流速は、防塵網4の他の部位を通過する外気の流速よりも高くなり、この遮風板10,10の縁部に臨む防塵網4の外側面部に藁屑等の塵埃が吸着される。この塵埃は、遮風板10,10の回転によって該遮風板10,10と共に防塵網4の外側面上を移動する。
【0039】
そして、実施例は、図1、及び図2に示すように、上下2つの遮風板10,10が相互に逆回転してその軌跡が重合する部分(A)に、前記防塵網4を上下から取り付けて支持する横向きの中間部にある機枠3を配置して、無風の範囲を構成している。
【0040】
このように構成した実施例は、防塵網4の表面に吸着状態のまま、回転する上側の遮風板10の回転前縁側に集められて相互の回転軌跡が重合する部分(A)まで持ち回られると、集められて来た塵埃が、機枠3によって形成されている無風のゾーンに入り、急に吸引風の作用がなくなるから、吸着力を失い網面から離れて落下する。そして、実施例の場合、重合する部分(A)の防塵網4の表面に残っている塵埃は、下側の遮風板10に受継がれて、更に、下方に向けて回転し防塵網(4)の下方に達して排塵される。このような作用の繰り返しによって、上側の遮風板10は、すぐ前側の防塵網4の網目に溜まっていた塵埃が取り除かれた状態となって、網目を塞ぐことがほとんどなくなり、通気面積が確保されるからエンジンルーム2の各機器、ラジエーター7、エンジン1の冷却効率を損なうことはない。
【0041】
つぎに、遮風板10,10は、その回転軌跡が、前記防塵網4の張設範囲を越えて、外側の機枠3の部分にまで達するように構成にした場合にも、上述の作用と同様な作用の繰り返しによって、回転方向の前側に溜まった塵埃を落下させることができる。
【0042】
そして、前記防塵カバー5は、その下端縁に沿わせて、防塵網4の表面から内側(エンジンルーム2側)に屈曲させて後退部分13を構成すると、その防塵カバー5の表面に沿いながら落ちる藁屑等の塵埃がひっかかる部位が無くなり、排出が円滑にすることができる。
【0043】
この実施例の場合、後退部分13は、図1、及び図3に示すように、防塵網4を取り付けた構成にして、外気吸入口に構成すると、塵埃の少ない外気の吸引口ができる。
【符号の説明】
【0044】
1 エンジン
2 エンジンルーム
3 機枠
4 防塵網
5 防塵カバー
6 吸気ファン
7 ラジエーター
8 支持部材
9 回転輪
10 遮風板
11 歯車
12 位置規制ローラ
13 後退部分
A 回転軌跡の重合部分
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインのエンジンルームにおいて、外気取り入れ側に装備している防塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願は、農作業の中でも塵埃発生が多いとされているコンバイン作業に関し、エンジンルームの防塵カバーに装置した防塵装置に関する発明である。この種の防塵装置は、例えば、特開平10−286018号公開特許公報(特許文献1参照)、更に、特開2002−59748号公開特許公報(特許文献2参照)に具体的な技術構成が開示されている。
【0003】
まず、前者の公報には、エンジン室61の防塵網を、除塵通気構造のロータリースクリーン66に構成し、外側に集塵ダクト74、更に、吸塵ダクト75を連通して排塵し、除塵済み空気をエンジン21に圧送する構成が記載されている。そして、該公報には、「箱体60内部の温度上昇と塵の浸入を防止し、エンジン21の防音、防塵並びに冷却効率の向上を図る。」と記載されている。
【0004】
そして、後者の公報には、「エンジン7のラジエーター6の外側に設けたエンジンカバー9の外気を吸入する吸入口10に張設した防塵網11に付着した付着物を回転駆動する遮蔽装置12で除去すると共に、この遮蔽装置12は、風車29で回転駆動し、又、この回転速度は回転規制装置で規制する構成」と記載され、「エンジン7のラジエーター6の外側に設けたエンジンカバー9の外気を吸入する吸入口に張設した防塵網11に付着する付着物を自動で除去することができる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−286018号公開特許公報
【特許文献2】特開2002−59748号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のこの種の装置、例えば、上記特許文献2に開示されている発明の遮蔽装置12は、防塵用網11の中央位置内側に、塞部27bを取り付けた回転体から構成されている。そして、該遮蔽装置12は、風車29から動力を取って防塵用網11の内面に沿って回転しながらその網の外側に吸着している塵埃等の付着物を、回転にともなう吸引風圧の変化によって回転方向前側に集めながら回動する構成になっている。しかしながら、上記の従来型は、単体構成であって、上側の遮蔽装置12が持ち回りながら集めた付着物(藁屑、草屑、塵埃等)を下側にあるつぎの遮蔽装置12に受け継がせながら順次下方へ、下方へと送って、地上に排塵する作用ができないために、吸引風圧が続く限り、防塵用網11の表面に順次堆積しながら持ち回る状態が続き、排塵効果が半減して、エンジンルーム内の温度上昇と塵の浸入が続き、エンジン7の防音、防塵並びに冷却効率が低下する課題があった。
【0007】
それに対して、本願発明は、少なくとも2つの回転輪(9,9)に、防塵網(4)の内側面に近接した状態、又は密着した状態を保って移動する遮風板(10,10)を取り付けて構成しているから、防塵網(4)の大部分を占めるように、2基以上の遮風板(10,10)を配置した構成となって、受継ぎながら地上に排塵できるものとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この出願の発明は、上述の課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、エンジン(1)を内装したエンジンルーム(2)の外側部に、枠体(3)に防塵網(4)を張設した防塵カバー(5)を設け、該防塵カバー(5)と前記エンジン(1)との間には、吸気ファン(6)とラジエーター(7)とを配置し、前記枠体(3)の内側に設けた支持部材(8)に、少なくとも2つの回転輪(9,9)を連動して回転するように上下に軸支し、該各回転輪(9,9)には、前記防塵網(4)の内側面に近接した状態又は密着した状態を保って回転する遮風板(10,10)を取り付けたことを特徴とするコンバインの防塵装置としたものである。
【0009】
この構成により、遮風板(10,10)を迂回しながら該遮風板(10,10)の縁部を通過して吸入される外気の流速が高まり、防塵網(4)の外側面上の塵埃は、この遮風板(10)の縁部に引き付けられ、この遮風板(10)の回転と共に防塵網(4)の外側面上を移動する。そして、この塵埃は、下側の遮風板(10)の回転に引き継がれ、防塵網(4)の外側面上を更に下方へ移動し、吸入流速の低い防塵網(4)のコーナー部に集積され、圃場面へ落下する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記各遮風板(10,10)を回転輪(9,9)の直径よりも長く形成し、該2つの遮風板(10,10)を相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0011】
この構成により、上側の遮風板(10)の回転にともなって防塵網(4)の外側面上を移動してきた塵埃が、2つの遮風板(10,10)の回転軌跡が重合する部分(A)において下側の遮風板(10)へ引き継がれる。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)に、前記防塵網(4)を上下から取り付けて支持する枠体(3)を配置したことを特徴とする請求項2記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0013】
この構成により、防塵網(4)の表面に吸着されたまま、上側の遮風板(10)の縁部に引き付けられて該上下の遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)まで移動してきた塵埃が、枠体(3)によって吸入風の作用しなくなるゾーン(無風の範囲)に来ると、吸着作用がなくなることによって防塵網(4)の外側面から離れ、浮遊状態となって落下する。そして、下側の遮風板(10)は、落下しないで残った塵埃を受け継いで下方に向けて回転する。
【0014】
請求項4記載の発明は、前記遮風板(10,10)の回転軌跡が、防塵網(4)の張設範囲を越えて該防塵網(4)の外周の枠体(3)の部分にまで達する構成としたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0015】
この構成により、遮風板(10)は、請求項3で説明したように、回転前側に集めながら移送する塵埃が、吸引風の作用しないゾーン(外側の枠体(3)の部分)に達すると吸着力を失って網面から離れ、防塵網(4)面上に吸着された塵埃を少なくすることができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記2つの回転輪(9,9)は、夫々の外周縁を歯車(11,11)に形成して相互に噛合わせ、該歯車(11,11)の噛合い部分の両側に噛合い外れ防止用の位置規制ローラ(12,12)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0017】
この構成により、2つの前記遮風板(10,10)の伝動構成は、回転輪(9,9)の外周面に歯車(11,11)を形成して噛合わせた簡単な構成とし、しかも、噛合い部分を両側から位置規制ローラ(12,12)で押圧保持して確実な位置保持をしながら安定した伝動が行なわれる。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記防塵カバー(5)の下端部に、防塵網(4)の表面から内側に退避するように傾斜する後退部分(13)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置としたものである。
【0019】
この構成により、上方の防塵網(4)を離脱して落下してくる塵埃がひっかかって溜まる部分を無くし、藁屑等の塵埃の排出を円滑にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明によると、回転する上下の遮風板(10,10)によって防塵網(4)を広範囲にわたって清掃でき、目詰まりを防止してラジエーター(7)やエンジン(1)の冷却効率を高め、エンジン(1)のオーバーヒートを防止して作業能率を高めることができる。
【0021】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、上側の遮風板(10)の回転にともなって防塵網(4)の外側面上を移動してきた塵埃を、下側の遮風板(10)へ確実に引き継ぐことができ、防塵網(4)の清掃効率が向上し、目詰まりを防止してラジエーター(7)やエンジン(1)の冷却効率を高め、エンジン(1)のオーバーヒートを防止して作業能率を更に高めることができる。
【0022】
請求項3記載の発明によると、上記請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、上側の遮風板(10)の縁部に引き付けられて上下の遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)まで防塵網(4)の外側面上を移動してきた塵埃を、枠体(3)によって吸入風を遮断することで吸着力を失わせて落下させることができ、下側の遮風板(10)に引き継がれる塵埃を少なくして防塵網(4)の下部の目詰まりを防止することができる。
【0023】
請求項4記載の発明によると、上記請求項2又は請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、遮風板(10)が、防塵網(4)の範囲を越えて外側の枠体(3)の裏側にまで達すると、その部分では、吸引風がなくなって吸着力を失った塵埃が網面から離れ、自然に塵埃除去作用が促進される。
【0024】
請求項5記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、前記遮風板(10,10)の伝動構成を、回転輪(9,9)の外周面に歯車(11,11)を形成して噛合わせた簡単な構成とし、しかも、噛合い部分を両側から位置規制ローラ(12,12)で位置規制して噛合い状態を確実に保持しており、構成の簡略化と共に、噛合い位置を安定状態に保ちながら連動することができ、耐久性を向上させることができる。
【0025】
請求項6記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、上方の防塵網(4)から離れて落下してくる塵埃がひっかからないように防塵カバー(5)の下端部に、防塵網(4)の表面から内側に退避するように傾斜する後退部分(13)を設けたから、その防塵カバー(5)の表面に沿いながら落ちる藁屑等の塵埃がひっかかる部位が無くなり、排出が円滑にでき、防塵網(4)の下部の目詰まりを防止してラジエータ(7)及びエンジン(1)の冷却用の外気吸入量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】防塵カバーに遮風板とその関連機構を取り付けた側面図
【図2】防塵カバーの平面図
【図3】防塵カバーの側断面図
【図4】防塵カバーの側面図
【図5】防塵カバーを内側から示す内面図
【図6】エンジンルームの平面図
【図7】回転輪と位置規制ローラとの側面図
【図8】歯車と位置規制ローラとの正面図
【図9】コンバインの側面図
【図10】遮風板の別実施例の平断面図
【図11】遮風板の別実施例の平断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、コンバインは、図9に示すように、クローラ15,15を装備した車体16の前部に、刈取搬送装置17を設け、その後方の車体16上には、進行方向の左側に脱穀装置を搭載し、該脱穀装置の右側に、前から運転席18、グレンタンク19の順に搭載して構成している。
【0028】
そして、運転席18は、図9に示すように、前側にメーターパネル等を配置し、前から左横側にかけて設けた操作フレームに主変速レバーやスロットルレバー、更には、刈、脱クラッチ操作レバー等の操作レバー類を集中して配置し、フロアの右側を乗降口にして乗り降りしてコンバインの操縦ができる構成としている。
【0029】
つぎに、エンジンルーム2は、図9に示すように、前記運転席18の下側空間部を利用して形成し、図6に示すように、中央にエンジン1を搭載して構成している。そして、エンジンルーム2は、図面に示すように、進行方向右側を外気取り入れ側として、その部分に、機枠3に防塵網4を張設した防塵カバー5を設け、外気を吸入できる構成としている。そして、実施例の場合、エンジンルーム2は、防塵カバー5と前記エンジン1との間には、吸気ファン6とラジエーター7、更には、ラジエーター7の外側に、HST、ミッション、エアコン等のクーラーを配置して吸気風により空冷する構成としている。
【0030】
そして、防塵カバー5は、図示は省略しているが、エンジンルーム2内のメンテナンスを行なうために、後部側に縦軸の回動支点を設け、前部側を外側に開放自由の構成とし、上側にある前記運転席18も前方側に倒してエンジンルーム2の天井部分が開放できる構成となっている。23はロックレバーである。
【0031】
そして、2つの回転輪9,9は、図1、及び図5に示すように、防塵カバー5の内側において、上側の前記機枠3と下側の前記機枠3との間に架渡して上下に設けられた支持部材8の上部位置と下部位置とにそれぞれ回転自由に軸架して設けている。そして、この2つの回転輪9,9は、図面に示すように、その外周縁を全周に渡って歯車11,11に形成し、相互に噛合わせて伝動可能に構成している。そして、この2つの歯車11,11は、図1、図7、図8にそれぞれ示すように、噛合い部分を、左右両側から位置規制ローラ12,12で押圧保持する構成としている。なお、前記回転輪9,9は、上側と下側との両回転部分も、図面に示すように、それぞれ位置規制ローラ12で保持して位置決めし、振動や変位を阻止する構成としている。
【0032】
そして、電動モータ20は、図面に示すように、支持部材8の上部に取付金具21によって取り付け、図示しない減速機構を介して伝動ギヤ22を駆動する構成としている。そして、該伝動ギヤ22は、図1に示すように、上部側に軸架している回転輪9の歯車11に噛合わせて伝動する構成としている。
【0033】
このようにして、2つの回転輪9,9は、電動モータ20によって駆動される伝動ギヤ22から伝動されて上側から順に回転力が伝わり共に回転する構成としている。この場合、実施例の回転輪9,9は、前述した電動モータ20とこれに接続した減速機構によって大きく減速し、低速で回転する構成となっている。
【0034】
つぎに、遮風板10,10は、図面に示すように、短冊形に形成し、前記回転輪9,9の直径より長くして中心部分を前記回転輪9,9の回転中心に合わせて一体に回転可能に固着した構成としている。そして、遮風板10,10は、実施例の場合、前記防塵網4の内側において、網面に密着した状態を保って回転できるように取り付けて構成している。
【0035】
なお、遮風板10,10は、その表面、特に、防塵網4の網面に密着状態で回動する面に、例えば、弗素樹脂材等の滑りのよい素材をコーティングするか、又は、その素材の薄板(薄膜)を接着して滑り易く構成すると、円滑な回転が期待できる。
【0036】
更に、遮風板10,10は、他の実施例として、図10に示すように、表面に滑り易い膜25を張り付け、側縁の全周に渡りスポンジ材26を充填して山高形状にして内部を中空状にして、防塵網4に押し付けて密着させて回転させる構成としている。
【0037】
つぎに、図11に示した実施例の遮風板10は、回転輪9との取付部位にスプリング27を介装して、常時、防塵網4側にばね圧で押圧して密着させる構成としている。
このような2つの実施例は、いずれも遮風板10,10を防塵網4の内側面に密着させて、吸気ファン6の吸気圧を0にする手段であって、この構成によって、遮風板10の回転前側の吸気圧との差を大きくして塵埃の吸着力を高めて、藁屑等の収集作用を効果的に行なうための手段である。
【0038】
そして、遮風板10,10は、図1に示すように、支持部材8の上部位置と下部位置とにそれぞれ回転自由に軸架した2つの回転輪9,9に取り付け、その回転輪9の直径より長くし、相互に噛合った回転輪9,9と一体に上、下で逆転する構成であるが、図面から解るように、互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように接近させて配置した構成としている。このように、上記遮風板10,10は、前記回転輪9,9の直径より長く形成して相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置しているから、上側の遮風板10が回転にともなって集めながら持ち回ってきた塵埃を、逆方向から回転してくる下側の遮風板10が重合する部分(A)で受継いで持ち回りながら、順次下方の地面側に送り排塵することができる。尚、遮風板10,10の縁部を迂回して吸入される外気の流速は、防塵網4の他の部位を通過する外気の流速よりも高くなり、この遮風板10,10の縁部に臨む防塵網4の外側面部に藁屑等の塵埃が吸着される。この塵埃は、遮風板10,10の回転によって該遮風板10,10と共に防塵網4の外側面上を移動する。
【0039】
そして、実施例は、図1、及び図2に示すように、上下2つの遮風板10,10が相互に逆回転してその軌跡が重合する部分(A)に、前記防塵網4を上下から取り付けて支持する横向きの中間部にある機枠3を配置して、無風の範囲を構成している。
【0040】
このように構成した実施例は、防塵網4の表面に吸着状態のまま、回転する上側の遮風板10の回転前縁側に集められて相互の回転軌跡が重合する部分(A)まで持ち回られると、集められて来た塵埃が、機枠3によって形成されている無風のゾーンに入り、急に吸引風の作用がなくなるから、吸着力を失い網面から離れて落下する。そして、実施例の場合、重合する部分(A)の防塵網4の表面に残っている塵埃は、下側の遮風板10に受継がれて、更に、下方に向けて回転し防塵網(4)の下方に達して排塵される。このような作用の繰り返しによって、上側の遮風板10は、すぐ前側の防塵網4の網目に溜まっていた塵埃が取り除かれた状態となって、網目を塞ぐことがほとんどなくなり、通気面積が確保されるからエンジンルーム2の各機器、ラジエーター7、エンジン1の冷却効率を損なうことはない。
【0041】
つぎに、遮風板10,10は、その回転軌跡が、前記防塵網4の張設範囲を越えて、外側の機枠3の部分にまで達するように構成にした場合にも、上述の作用と同様な作用の繰り返しによって、回転方向の前側に溜まった塵埃を落下させることができる。
【0042】
そして、前記防塵カバー5は、その下端縁に沿わせて、防塵網4の表面から内側(エンジンルーム2側)に屈曲させて後退部分13を構成すると、その防塵カバー5の表面に沿いながら落ちる藁屑等の塵埃がひっかかる部位が無くなり、排出が円滑にすることができる。
【0043】
この実施例の場合、後退部分13は、図1、及び図3に示すように、防塵網4を取り付けた構成にして、外気吸入口に構成すると、塵埃の少ない外気の吸引口ができる。
【符号の説明】
【0044】
1 エンジン
2 エンジンルーム
3 機枠
4 防塵網
5 防塵カバー
6 吸気ファン
7 ラジエーター
8 支持部材
9 回転輪
10 遮風板
11 歯車
12 位置規制ローラ
13 後退部分
A 回転軌跡の重合部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)を内装したエンジンルーム(2)の外側部に、枠体(3)に防塵網(4)を張設した防塵カバー(5)を設け、該防塵カバー(5)と前記エンジン(1)との間には、吸気ファン(6)とラジエーター(7)とを配置し、前記枠体(3)の内側に設けた支持部材(8)に、少なくとも2つの回転輪(9,9)を連動して回転するように上下に軸支し、該各回転輪(9,9)には、前記防塵網(4)の内側面に近接した状態又は密着した状態を保って回転する遮風板(10,10)を取り付けたことを特徴とするコンバインの防塵装置。
【請求項2】
前記各遮風板(10,10)を回転輪(9,9)の直径よりも長く形成し、該2つの遮風板(10,10)を相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置。
【請求項3】
前記遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)に、前記防塵網(4)を上下から取り付けて支持する枠体(3)を配置したことを特徴とする請求項2記載のコンバインの防塵装置。
【請求項4】
前記遮風板(10,10)の回転軌跡が、防塵網(4)の張設範囲を越えて該防塵網(4)の外周の枠体(3)の部分にまで達する構成としたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のコンバインの防塵装置。
【請求項5】
前記2つの回転輪(9,9)は、夫々の外周縁を歯車(11,11)に形成して相互に噛合わせ、該歯車(11,11)の噛合い部分の両側に噛合い外れ防止用の位置規制ローラ(12,12)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置。
【請求項6】
前記防塵カバー(5)の下端部に、防塵網(4)の表面から内側に退避するように傾斜する後退部分(13)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置。
【請求項1】
エンジン(1)を内装したエンジンルーム(2)の外側部に、枠体(3)に防塵網(4)を張設した防塵カバー(5)を設け、該防塵カバー(5)と前記エンジン(1)との間には、吸気ファン(6)とラジエーター(7)とを配置し、前記枠体(3)の内側に設けた支持部材(8)に、少なくとも2つの回転輪(9,9)を連動して回転するように上下に軸支し、該各回転輪(9,9)には、前記防塵網(4)の内側面に近接した状態又は密着した状態を保って回転する遮風板(10,10)を取り付けたことを特徴とするコンバインの防塵装置。
【請求項2】
前記各遮風板(10,10)を回転輪(9,9)の直径よりも長く形成し、該2つの遮風板(10,10)を相互の回転軌跡が重合する部分(A)ができるように配置したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置。
【請求項3】
前記遮風板(10,10)の相互の回転軌跡が重合する部分(A)に、前記防塵網(4)を上下から取り付けて支持する枠体(3)を配置したことを特徴とする請求項2記載のコンバインの防塵装置。
【請求項4】
前記遮風板(10,10)の回転軌跡が、防塵網(4)の張設範囲を越えて該防塵網(4)の外周の枠体(3)の部分にまで達する構成としたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のコンバインの防塵装置。
【請求項5】
前記2つの回転輪(9,9)は、夫々の外周縁を歯車(11,11)に形成して相互に噛合わせ、該歯車(11,11)の噛合い部分の両側に噛合い外れ防止用の位置規制ローラ(12,12)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置。
【請求項6】
前記防塵カバー(5)の下端部に、防塵網(4)の表面から内側に退避するように傾斜する後退部分(13)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの防塵装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−92030(P2011−92030A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246679(P2009−246679)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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