説明

コンバイン後付用穀粒収納容器

オーガが装備されていない小型コンバインにおいても、オーガ式排出装置と同等の機能を付加する穀粒収納容器及び穀粒搬送方法の提供を目的とする。オーガが装備されていなく、グレンタンクに穀粒排出口を備え、この排出口に収納袋を装着する方式が採用されているコンバインにおいて、上記収納袋の容量に対して3〜10倍の容量を有する穀粒収納容器であって、上記グレンタンク穀粒排出口に後付け可能にしたコンバイン後付用穀粒収納容器とした。この収納容器に螺旋状スプリング式コンベアの一端を連結し、他端を搬送車に搭載されている穀粒タンクに臨ませて穀粒を搬出することにより、乾燥機等の後工程に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、コンバインの穀粒排出口に取り付けられる後付用の穀粒収納容器及びそれを用いた穀粒搬送方法に関する。
【背景技術】
収穫物を刈取って、そのまま連続的に脱穀するコンバインとしては、穀粒をグレンタンク等の一時貯留タンクに留めた後にオーガにて排出するオーガ式コンバインがある。
しかし、このようなオーガ式コンバインは、このオーガ式穀粒排出装置をコンバインに装着する分だけ大型設備となり高価である。
従って、作付面積を少量しか所有していない農家においては、より安価なコンバインでないと採算が合わないとか、耕作面積の小さい田畑を有する農家においては、小回りのきく小型のコンバインでなければならないとか、また、田畑と搬送用道路との間に大きな落差があるとかの理由により、例えば図3に示すようなオーガを有しないコンバインが使用されている。
図3に示すようなオーガを有しないコンバイン1においては、刈取り装置2にて刈取りされた収穫物(稲、麦、豆類等)は脱穀装置3にて脱穀され、その穀粒はグレンタンク4の穀粒排出口41、42に取り付けられた収納袋51、52に収納される。
ここで、一般にグレンタンク4の穀粒排出口41、42が二連式になっているのは、収納容量を多くするだけでなく、例えば51の収納袋がいっぱいになった場合の予備として52の収納袋を取り付けることにより、穀粒排出装置内部につまり不具合が生じるのを防止することも目的としている。
このような収納袋に穀粒を収納する方式では一般に、収納袋の容量が20〜30kgである。
しかし、この20〜30kgもある収納袋を運搬するのは重労働であり、特に就農者の高齢化に伴い、運搬作業そのものが困難になりつつある。
【発明の開示】
本発明は、上記背景に鑑みて、オーガが装備されていない小型コンバインにおいても、オーガ式排出装置と同等の機能を付加する穀粒収納容器及び穀粒搬送方法の提供を目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、オーガが装備されていなく、グレンタンクに穀粒排出口を備え、この排出口に収納袋を装着する方式が採用されているコンバインにおいて、上記収納袋の容量に対して3〜10倍の容量を有する穀粒収納容器であって、上記グレンタンク穀粒排出口に後付け可能にしたコンバイン後付用穀粒収納容器とした。
このコンバイン後付用穀粒収納容器は、コンバインの既設の収納袋受け部に載置可能であれば材質及び構造は問わない。
なお、穀粒収納容器は、その運搬及びコンバインへの装着あるいは、取り外しを考慮すると組立式、折りたたみ式等のものが考えられる。
コンバインのグレンタンク排出口の下部に装着される穀粒収納容器の底部あるいは側部等に穀粒搬出口が備えられていて、これに螺旋状スプリング式コンベアの一端を連結し、他端を搬送車に搭載されている穀粒タンクに臨ませて穀粒を搬出し、その後に乾燥機等の後工程に搬送するようにした。
ここで、螺旋状スプリング式コンベアとは、ある程度、曲げ変形可能な円筒状ケース内にコイル状のスプリングを回転自在に取り付けたもので、スプリングが回転することで穀粒を送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に係る穀粒収納容器をコンバインに取り付けた状態の模式図を示す。
図2は、本発明に係る穀粒搬送方法例を示す。
図3は、オーガが装備されていない方式のコンバイン例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
図1に本発明に係る穀粒収納容器5をコンバイン1に装着した状態の模式図を示す。
コンバイン1の脱穀装置3から排出された穀粒は、グレンタンク4の排出口41、42から穀粒収納容器5に排出収納される。
穀粒収納容器5は、金属製又は樹脂製の骨組を用いて、組立て式あるいは折りたたみ式になっている。
骨組の周囲は、鉄板、布、樹脂等のシート材、袋あるいは箱等にて穀粒が外にこぼれないように覆われている。
穀粒収納容器5の容量は、オーガ式タイプのコンバイン相当に設定される。
通常は従来の20〜30kg入り収納袋3〜10袋分に設定されるが、必要に応じてコンバインに搭載可能な範囲にて自由に選定される。
穀粒収納容器5の穀粒がいっぱいになると、図2に示すように螺旋状スプリング式コンベア6の一端を連結する。
コンベアの排出側は、トラック等の運搬車8に搭載又は積載した穀粒タンク7の投入口に臨ませている。
螺旋式コンベアは図示を省略したが、運搬車8等に搭載した発電機等の電源にて駆動される。
本発明においては、穀粒収納容器をコンバインに後付けするだけでオーガ式コンバインと同等の機能が容易に付加される。
また、螺旋状スプリング式コンベアを採用したことにより、コンバインと搬送車との高さ方向及び横方向の位置ずれが多少あっても、容易に搬出できる。
オーガ式搬送装置を装備されていないコンバインに後付け可能になり、全体として安価であり、収納袋の運搬という重労働から開放される。
【産業上の利用可能性】
オーガを有しない小型のコンバインに本発明に係る穀粒収納容器を後付けすることにより、オーガ式のコンバインと同等の穀粒運搬・排出機能が得られるだけでなく、小型コンバインとしての小回りがきき安価である。
従って、小型農機具の穀粒の収納、運搬、排出の機能向上に利用できる。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーガが装備されていなく、グレンタンクに穀粒排出口を備え、この排出口に収納袋を装着する方式が採用されているコンバインにおいて、上記収納袋の容量に対して、3〜10倍の容量を有する穀粒収納容器であって、上記グレンタンク穀粒排出口に後付け可能にしたことを特徴とするコンバイン後付用穀粒収納容器。
【請求項2】
請求の範囲1記載のコンバイン後付用穀粒収納容器に備えられた穀粒搬出口に、螺旋状スプリング式コンベアの一端を連結し、他端を搬送車に搭載されている穀粒タンクに臨ませて穀粒を搬出することにより、乾燥機等の後工程に搬送することを特徴とする穀粒搬送方法。

【国際公開番号】WO2004/040960
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【発行日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549592(P2004−549592)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013969
【国際出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【出願人】(301056812)
【出願人】(301056801)
【Fターム(参考)】