コンバイン
【課題】 穀粒の性状を測定するに際し、測定センサによる測定値の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させ得るコンバインを提供する。
【解決手段】 収穫作業の際に穀粒の性状を測定する測定センサ35と、該測定センサ35の制御を司る制御装置100とを備えたコンバイン201において、制御装置100は、測定センサ35による穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期t1で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキσに基づき本計測サンプリング周期t2を求め、該本計測サンプリング周期t2で本計測サンプリングを行うように構成されている。
【解決手段】 収穫作業の際に穀粒の性状を測定する測定センサ35と、該測定センサ35の制御を司る制御装置100とを備えたコンバイン201において、制御装置100は、測定センサ35による穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期t1で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキσに基づき本計測サンプリング周期t2を求め、該本計測サンプリング周期t2で本計測サンプリングを行うように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインとして、穀稈を刈取部で刈り取り、該刈り取られた穀稈を脱穀部で脱穀し、該脱穀された後の穀稈(排藁)を排藁処理部で機外に放出すると共に該脱穀された穀粒や排屑などから穀粒を選別部で選別し、該選別された穀粒を揚穀筒を介してグレンタンクに供給し、該供給された穀粒をグレンタンク内に貯留し、さらに該貯留された穀粒を穀物排出装置でグレンタンクから機外に排出するようにして収穫作業を行うものがある。このようなコンバインにおいて、収穫作業の際に収穫される穀粒を測定センサによってサンプリングして穀粒の性状を測定し、該測定された穀粒の性状に基づき収穫した穀粒全体の性状を求めることがある。
【0003】
この場合、サンプリングする穀粒に損傷を与えることなく測定できればよいのであるが、サンプリングする穀粒に損傷を与えることなく測定しようとすると、測定誤差が大きいため、精度の高い測定を行うことが困難である。従って、精度の高い測定値を得ようとすれば、例えば、サンプリングする穀粒を押し潰して性状を測定する必要があり、そうするとサンプリングによる穀粒のロスが生じてしまうことになる。
【0004】
具体的に穀粒の水分量を測定する場合を例にとって説明すると、水分センサを用い、収穫作業の際にグレンタンクに供給される穀粒のうちの一部の穀粒を圧砕して該穀粒の水分量を測定する場合において、水分センサで水分量が測定された後の押し潰された状態の測定後穀粒がサンプリングによる穀粒のロスとなり、この測定後穀粒がグレンタンク内に貯留されたり、機外に排出されたりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、水分センサで水分量が測定された後の押し潰された状態の測定後穀粒(サンプリングによる穀粒のロス)がグレンタンク内に貯留されると、収穫作業で得られる収穫穀物に該測定後穀粒が混入してしまい、好ましくない。また、機外に排出される場合でも、この測定後穀粒が圃場に放置されるので、見た目が良くない。
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、穀粒の性状を測定するに際し、測定センサによる測定値の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させ得るコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、収穫作業の際に穀粒の性状を測定する測定センサと、該測定センサの制御を司る制御装置とを備えたコンバインであって、前記制御装置は、前記測定センサによる穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキに基づき本計測サンプリング周期を求め、該本計測サンプリング周期で本計測サンプリングを行うように構成されていることを特徴とするコンバインを提供する。
【0008】
本発明にいう「バラツキ」として、代表例として、標準偏差又は分散を挙げることができる。
【0009】
本発明に係るコンバインでは、前記測定センサによる穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキに基づき本計測サンプリング周期を求め、該本計測サンプリング周期で本計測サンプリングを行うので、例えば、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが所定の基準バラツキより小さいときには、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期より長くすることで、前記本計測サンプル数を前記本計測サンプリングでサンプリングを行った本計測区間で割った本計測サンプリング率を、前記予備計測サンプル数を前記予備計測区間で割った予備計測サンプリング率より小さくすることができる。
【0010】
このように本発明に係るコンバインによれば、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが小さいときに、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期より長くすることで、前記本計測サンプリング率を前記予備計測サンプリング率より小さくすることができるので、穀粒の性状を測定するに際し、前記測定センサによる測定値の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させることができる。
【0011】
なお、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが前記所定基準バラツキに等しいか又は前記所定基準バラツキより大きいときは、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期と同等にし、前記本計測サンプリング率を前記予備計測サンプリング率と同等にすることができる。
【0012】
本発明に係るコンバインにおいて、前記制御装置は、所定の予備計測区間において前記予備計測サンプリングを行うように構成されている場合を例示できる。この予備計測区間は次のように設定することができる。即ち、
(a)前記予備計測区間がコンバインの収穫作業時間に基づき設定される場合、
(b)前記予備計測区間がコンバインの収穫作業距離に基づき設定される場合、
(c)前記予備計測区間が作業者の手動操作によって設定される場合、
【0013】
また、GPS(Global Positioning System)装置を搭載しておき、該GPS装置からのGPSデータによって収穫作業を行う圃場の面積や形状の情報を取得しておき、前記予備計測区間を収穫作業の際のコンバインの軌跡(例えば、コンバインの収穫開始から圃場の外周を1周したときまでの時間)としてもよい。
【0014】
前記制御装置は、前記本計測サンプリングで得られた本計測サンプル数の測定値に基づき平均測定値を求めるように構成されていてもよいし、前記予備計測サンプリングで得られた予備計測サンプル数の測定値と、前記本計測サンプリングで得られた本計測サンプル数の測定値とに基づき平均測定値を求めるように構成されていてもよい。後者のように前記予備計測サンプリングの測定値と前記本計測サンプリングの測定値とに基づき平均測定値を求める場合において、前記本計測サンプリング率が前記予備計測サンプリング率よりも小さいときには、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように前記予備計測サンプル数を少なくして前記平均測定値を求めてもよい。こうすることで、前記平均測定値の算出処理時間を短縮することができる。
【0015】
前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように前記予備計測サンプル数を少なくする態様としては、例えば、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値をランダムに抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくする態様や、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値を所定のサンプル数毎に抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくする態様を挙げることができる。
【0016】
前記測定センサとしては、穀粒の水分量を測定する水分センサや穀粒のタンパク含有量を測定するセンサ等を例示できる。前記測定センサが水分センサである場合、この水分センサとして、例えば、一対の電極ローラを備え、該電極ローラ間で穀粒を圧砕しつつ該電極ローラ間の電気抵抗値を検出し、当該検出された電気抵抗値を穀粒の水分量に関する情報として出力するものを挙げることができる。
【0017】
なお、前記測定センサが穀粒の水分量を測定する水分センサである場合において、前記所定の基準バラツキとしては、それには限定されないが、水分量の標準偏差として3(%)〜5(%)程度を例示できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明に係るコンバインによると、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが小さいときに、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期より長くすることで、前記本計測サンプリング率を前記予備計測サンプリング率より小さくすることができるので、穀粒の性状を測定するに際し、前記測定センサによる測定値の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1から図4はそれぞれ本発明の一実施形態であるコンバインの左側面図、平面図、右側面図及び正面図である。また、図5は図1から図4に示すコンバイン201におけるグレンタンク13及び排出オーガ15の右側面図である。
【0020】
まず、図1から図5を用いてコンバイン201の全体構成について説明する。このコンバイン201では、クローラ式走行装置1上に機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前方に引起こし・刈取部3が昇降可能に配設されており、該引起こし・刈取部3において、穀稈は前方に突出した分草板4により分草されて、該分草板4の後方に立設された引起こしケース5から突出されたタイン6により引き起こされ、該引起こしケース5の後方に配設された刈刃7にて株元側から刈り取られる。
【0021】
引起こし・刈取部3の後方には扱胴や処理胴を備える脱穀部12が配置され、該引起こし・刈取部3と脱穀部12との間に穀稈の搬送装置8が配設されている。さらに、該搬送装置8の後方であって、脱穀部12の側方にはフィードチェーン9が後方に延設されている。前記引起こし・刈取部3で刈り取られた穀稈は搬送装置からフィードチェーン9に受け継がれ、該フィードチェーン9によって株元側が後方に搬送される。これにより、穀稈の穂先側が脱穀部12内に搬送されて、該脱穀部12にて穀稈の脱穀が行われる。
【0022】
そして、前記フィードチェーン9後端に排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方に排藁カッター装置、拡散コンベアなどを備えた排藁処理部19が配設されている。前記脱穀部12で脱穀された後の穀稈(排藁)は、フィードチェーン9から排藁チェーン18に搬送されて、そのまま圃場に放出、あるいは排藁処理部19にて藁片に切断された後に拡散されながら放出される。
【0023】
また、前記脱穀部12下方には選別部17が配設され、該選別部17にて脱穀部12から流下した穀粒や藁屑などから穀粒が選別される。そして、穀粒や藁屑などのうち、選別後の穀粒が、機体フレーム2上に配置されるグレンタンク13であって、該機体フレーム2に支持されるグレンタンク13に搬送され、藁屑などが機外に排出される。
【0024】
前記グレンタンク13は脱穀部12の側方に配設されており、該グレンタンク13の前方に運転室14が配設される一方、グレンタンク13後方及び上方に穀物排出装置15が配設されている。穀物排出装置15は縦排出オーガ15aと横排出オーガ15bとを備えており、該縦排出オーガ15aがグレンタンク13後方で機体フレーム2上に立設されている。そして、グレンタンク13は縦排出オーガ15aを中心にして側方へ回動可能に構成されるとともに、その後部上に備えられた回動支点により横排出オーガ15bが上下方向に回動可能に構成されている。
【0025】
グレンタンク13の内側下部には、スクリュー式の排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16の一端が穀物排出装置15に連設されている。こうして、グレンタンク13内の穀物排出コンベア16によりグレンタンク13から穀物排出装置15に搬送された後、縦排出オーガ15aを経て横排出オーガ15bの先端部から外部に排出されるようになっている。
【0026】
穀物排出装置15において、横排出オーガ15bの根元側は縦排出オーガ15aの上端に上下回動可能に枢着されている。コンバイン201における昇降用アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ130は油圧制御バルブの切換により伸縮されるように構成されており、一端が縦排出オーガ15a側面より突設されたブラケット131に回動可能に枢着され、他端が横排出オーガ15b側面より突設されたブラケット132に回動可能に枢着されている。こうして、オーガ昇降シリンダ130を伸縮させることによって、横排出オーガ15bが上下方向に回動されるようになっている。なお、コンバイン201における昇降用アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ130は油圧式のシリンダであるが、その他の電気式または油圧式のモータでも良く、限定されない。
【0027】
前記縦排出オーガ15aの中途部にはギア133aが外嵌固定され、該ギア133aに旋回用アクチュエータであるオーガ旋回モータ134の回転軸134aに嵌設されたギア133bが噛合されている。こうして、該オーガ旋回モータ134を作動させることにより、縦排出オーガ15aと横排出オーガ15bとが一体的に旋回されるようになっている。なお、コンバイン201における旋回用アクチュエータであるオーガ旋回モータ134は電気式のモータであるが、油圧式のモータでも、その他の油圧シリンダでも良く、限定されない。
【0028】
図1から図4に示すように、横排出オーガ15bの先端に排出ケース136が設けられている。該排出ケース136内には、図示しない横送りコンベアを軸支するためにボールベアリングなどからなる軸受け部が形成されている。排出ケース136の下面は開口されており、該開口部の縁に沿って筒形状のスリーブ137が取り付けられている。スリーブ137は可撓性の樹脂などで構成され、スリーブ137の下端が穀物排出口138とされている。これにより、排出ケース136の下面から落下した穀物を周囲に飛散させず、穀物排出口138の直下近傍に集中して排出することができる。
【0029】
図6は図1から図4に示すコンバイン201におけるグレンタンク13の概略構成を示す左側面図である。図6に示すように、グレンタンク13には、穀粒供給口13aが形成され、該穀粒供給口13aと前記した選別部17との間には揚穀筒80が介設されて、図中矢印に示すように、収穫作業の際に該揚穀筒80を通して選別部17において選別された精粒が穀粒供給口13aからグレンタンク13内に供給されて貯留されるようになっている。
【0030】
また、グレンタンク13には、後述する水分センサ35(測定センサの一例)を装着できるように左側面上部に水分センサ装着用開口13bが設けられており、該開口13bに水分センサ35が装着された後は、該開口13bは閉塞板13cがビスによって取り付けられることで閉じられる。
【0031】
図7に図6に示すグレンタンク13の水分センサ35部分を拡大した概略拡大図を示す。なお、図7においては閉塞板13cを取り外した状態を示している。この水分センサ35は、収穫作業の際に穀粒の水分量を測定するものであり、図7に示すように、グレンタンク13に供給される穀粒の水分量を測定可能に該グレンタンク13内に配設されている。
【0032】
さらに説明すると、この水分センサ35は、穀粒供給口13aの近傍のグレンタンク13内に配設されている。また水分センサ35は、互いに対向する一対の電極ローラ351を備えており、該一対の電極ローラ351が、該ローラ351間に穀粒供給口13aから供給された穀粒のうちの一部が流入するように(図中矢印参照)設けられている。つまり、ここでのグレンタンク13は、揚穀筒80から穀粒供給口13aを介して供給される穀粒の一部が、図中矢印に示すように、該グレンタンク13の天井板13’から下方に延びるように吊り下げられた案内板13h(後述する図8及び図9も参照)に衝突して該穀粒の方向が水分センサ35側に偏向することで、該偏向された穀粒の一部が水分センサ35の方に導かれるようになっている。
【0033】
このようにしてグレンタンク13内に配設される水分センサ35は、穀粒供給口13aから流入した穀粒を圧砕して、該穀粒の水分量を測定することができる。さらに具体的に言えば、一対の電極ローラ35を穀粒供給口13aから流入した穀粒が該ローラ間に入り込むように回転させ、該回転する電極ローラ351間で穀粒を圧砕しつつ(換言すれば押し潰しつつ)該電極ローラ351間で該潰れた状態の穀粒の電気抵抗値を検出し、該検出された電気抵抗値を穀粒の水分量に関する信号(情報)として出力することができ、後述する制御装置100(図11参照)に電気的に接続されている。これにより、水分センサ35にて検出された穀粒水分に関する信号(情報)を前記制御装置100に送信することができる。
【0034】
また、グレンタンク13には、水分センサ35で水分量が測定された後の測定後穀粒を機外に排出させるための排出口13fと、前記測定後穀粒を排出口13fを介して機外に導く案内部材13gとが設けられている。
【0035】
図8はグレンタンク13の水分センサ35部分を平面から視た概略断面図であり、図9はグレンタンク13の水分センサ35部分を示す概略背面図である。図7から図9に示すように、排出口13fは、グレンタンク13の左側面の水分センサ35が装着される位置より下方に設けられている。案内部材13gは筒状部材131gと受け入れ部材132gからなっている。なお、図9では、受け入れ部材132gは図示を省略してある。
【0036】
筒状部材131gは、本例では可撓性を有するパイプであり、一端131g’が水分センサ35における一対の電極ローラ351の穀粒が投入される側とは反対側(即ち測定後穀粒が排出される側)に接続されている一方、他端131g”が排出口13fを通って機外に向けられている。これにより、水分センサ35で水分量が測定された後の測定後穀粒を排出口13fから機外に案内することができる。受け入れ部材132gは、本例ではホッパーであり、入り口部132g’がパイプ131gの他端131g”を受け入れるように且つ出口部132g”が下方を向くように支持部材133gに支持されている。これにより、ホッパー132gは、パイプ131gにて案内されてきた測定後穀粒を入り口部132g’に導入し、出口部132g”から圃場に排出することができる。なお、本例では、案内部材13gにより、前記測定後穀粒を排出口13fを介して機外に導くようにしたが、前記測定後穀粒について、グレンタンク13内に貯留する貯留動作と、機外へ排出する排出動作とを選択的に切り替える切替手段を案内部材13gのグレンタンク13側途中部分又は案内部材13gと水分センサ35との間に設け、該切替手段にて前記貯留動作及び前記排出動作を切替可能に構成してもよい。
【0037】
コンバイン201は、図1、図2及び図4に示すように、横排出オーガ15bを収納位置に収納するオーガレスト52を有している。このオーガレスト52は、穀物排出装置15を使用しないときに該穀物排出装置15の横排出オーガ15bを受ける受け部材52aと該受け部材52aを支持する支持部材52bとからなり、略Y字状に構成されていて、上部の載置部における凹部には横排出オーガ15bを検出するためのオーガレストセンサ54が配置されている。このセンサ54は前記制御装置100に電気的に接続されている。これにより、該センサ54にて検出された、オーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されているか否かの信号(情報)を前記制御装置100に送信することができる。
【0038】
図10は運転室14における運転操作部を平面から視た図である。図10に示すように、フロントコラム30の操向ハンドル31中央部分には表示装置24が、該表示装置24の近傍には各種スイッチ類25が設けられており、さらに運転席14aの背もたれ部左方には収穫情報スイッチ27が設けられており、いずれも前記制御装置100に電気的に接続されている(図11参照)。これにより、各種スイッチの入力信号(情報)を前記制御装置100に送ることができ、前記制御装置100から表示装置24に出力情報を送信することができる。
【0039】
次に、本実施形態に係るコンバイン201の制御系の構成について図11を参照しながら説明する。
【0040】
図11は本実施形態に係るコンバイン201の制御系の概略構成を示すブロック図である。図11に示すように、コンバイン201は、既述の水分センサ35及びオーガレストセンサ54を含む各種センサや各種スイッチ類25及び収穫情報スイッチ27の他、これらのデバイスの制御を司る制御装置100と、GPS装置200とを備えている。GPS装置200は、GPS衛星からの電波を受信し、収穫作業を行う圃場の面積や形状に関する情報を取得するものである。このGPS装置200は、制御装置100に接続されており、収穫作業を行う圃場の面積や形状に関する情報を制御装置100に送信することができる。
【0041】
制御装置100は、各種センサ、スイッチ等から入力される信号に基づいて演算処理を実行する制御演算手段を含む中央処理装置101(以下、CPUという)、コンバイン201全体を制御するための制御プログラム等を格納したり、後述する演算式やLUT(ルックアップテーブル)に関する所定のデータ等を記憶するROM102、及びCPU101の演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM103により構成される。CPU101は、ROM102に格納された制御プログラムを必要に応じてRAM103にロードして実行し、コンバイン201を動作させるように構成されている。なお、CPU101は時計用のタイマを内蔵している。また、ROM102には、後述する予備計測サンプリング手段P1において使用される所定の予備計測サンプリング周期t1及び所定の予備計測区間T1(例えば、コンバイン201の収穫開始からの一定時間や一定距離等)、本計測サンプリング周期設定手段P3において使用される所定の基準バラツキ並びに平均測定値算出手段P5において使用される所定のサンプル数m’等が予め記録されている。なお、前記の所定基準バラツキは、本実施形態では、水分量の標準偏差(水分量の基準標準偏差)σsとしている。
【0042】
前記制御プログラムは、CPU101を、予備計測サンプリング手段P1、測定値バラツキ算出手段P2、本計測サンプリング周期設定手段P3、本計測サンプリング手段P4、平均測定値算出手段P5及び穀粒水分量表示手段P6を含む手段として機能させるものである。これら手段P1〜P6は、収穫作業の際に収穫される穀粒を測定センサ35によってサンプリングして穀粒の水分量を測定し、該測定された穀粒の水分量に基づき収穫した穀粒全体の平均水分量を求め、これらのデータを表示することができる。
【0043】
即ち、予備計測サンプリング手段P1では、水分センサ35による穀粒の水分量測定に関し、予備計測区間T1(例えば、120(秒))において、予備計測サンプリング周期t1(例えば、20(秒))毎に所定の作動時間t(例えば、5(秒))の間、予備計測サンプリングを行い(図12(A)参照)、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)(但し、mは予備計測サンプル数)を求める。
【0044】
測定値バラツキ算出手段P2では、予備計測サンプリング手段P1で得られた各予備計測サンプリング周期t1毎の穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)の平均値μ(%)を求め、次式(I)を用いて水分量の標準偏差σ(%)を算出する。
【数1】
【0045】
本計測サンプリング周期設定手段P3では、測定値バラツキ算出手段P2で得られた水分量の標準偏差σ(%)が、水分量の基準標準偏差σs(例えば、3(%)〜5(%))より小さいときには、本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1より長く(例えば、40(秒)程度に長く)する(図12(B)参照)。なお、標準偏差σ(%)が基準標準偏差σsに等しいか又は大きいときは、本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1と同等にする(図12(C)参照)。
【0046】
本計測サンプリング手段P4では、本計測サンプリング周期設定手段P3で得られた本計測サンプリング周期t2毎に所定の作動時間t(例えば、600(秒))の間又は一つの収穫作業単位(1枚の圃場又は一定面積)終了まで、本計測サンプリングを行い、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)(但し、nは本計測サンプル数)を求める。
【0047】
平均測定値算出手段P5では、予備計測サンプリング手段P1で得られた予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)と、本計測サンプリング手段P4で得られた本計測サンプル数nの穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)とに基づき平均測定値を求める。例えば、本計測サンプリング率r2が予備計測サンプリング率r1よりも小さいときには、予備計測サンプリング率r1が本計測サンプリング率r2に等しくなるように、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)をランダムに抽出したり、或いは、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)を所定のサンプル数m’毎に抽出することで、予備計測サンプル数mを少なくして前記平均測定値を求めることができる。なお、本計測サンプリング手段P4で得られた本計測サンプル数nの穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)のみに基づき平均水分量を求めてもよい。
【0048】
ここで、予備計測サンプリング率r1は、予備計測サンプル数mを予備計測区間T1で割った値であり、本計測サンプリング率r2は、本計測サンプル数nを本計測サンプリング手段P4でサンプリングを行った本計測区間T2で割った値である。
【0049】
穀粒水分量表示手段P6では、手段P1からP5で得られた穀粒水分量のデータについて、平均値、標準偏差、測定点数等を表示装置24に表示する。
【0050】
以上説明した制御装置100では、コンバイン201の動作がなされるにあたって、前記制御プログラムが実行されており、CPU101が前記各手段P1〜P6として機能している。
【0051】
収穫作業中において、オーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されると、オーガレストセンサ54にてオーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されていることが検出されており、この状態で、収穫情報スイッチ27が押下されて該スイッチ27がON状態にあると、水分センサ35にて穀粒水分量が計測される。
【0052】
コンバイン201において、収穫作業中に穀粒水分量を測定し、得られた測定値に基づき平均水分量を求める場合について図13を参照しながら以下に説明する。図13は収穫作業中に穀粒水分量を測定する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
穀粒水分量が計測されるにあたり、まず、表示装置24に次の選択画面の表示がなされ、予備計測区間T1の設定条件が選択される(ステップS1)。
(a)コンバインの収穫作業時間
(b)コンバインの収穫作業距離
(c)手動操作
(d)GPSデータ
【0054】
ここで、(a)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、ROM102に予め記録しておいた収穫開始からの一定時間とされ、(b)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、ROM102に予め記録しておいた収穫開始からの一定距離とされる。また、(c)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、各種スイッチ類25のうち所定のスイッチのON操作からOFF操作までの時間とされる。さらに、(d)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、GPS装置200からのGPSデータによって取得された圃場の面積や形状の情報に基づき収穫作業の際のコンバイン201の軌跡(例えば、コンバイン201の収穫開始から圃場の外周を1周したときまでの時間)とされる。なお、予備計測区間T1の設定条件は、これらに限定されるものではなく、収穫作業時間に対して一定の相関関係が得られる設定条件であれば、いずれのものを採用してもよい。ここでは、(a)の収穫作業時間が選択された場合について説明する。
【0055】
手段P1において、水分センサ35による穀粒の水分量測定に関し、表示装置24の選択画面表示で選択された予備計測区間T1においてROM102に予め記録しておいた予備計測サンプリング周期t1毎に所定の作動時間tの間、予備計測サンプリングが行われ(ステップS2)、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)が計測される(ステップS3)。
【0056】
次いで、手段P2において、手段P1で得られた各予備計測サンプリング周期t1毎の穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)の平均値μ(%)が求められ(ステップS4)、前記式(I)を用いて水分量の標準偏差σ(%)が算出される(ステップS5)。
【0057】
手段P3において、手段P2で得られた水分量の標準偏差σ(%)が、水分量の基準標準偏差σsより小さいと(ステップS6)、図12(B)及び図14(A)に示すように、本計測サンプリング周期t2が予備計測サンプリング周期t1より長くされ(ステップS7)、基準標準偏差σsと同等か又は大きいと(ステップS6)、図12(C)及び図14(B)に示すように、本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1と同等にされる(ステップS8)。
【0058】
さらに、手段P4において、手段P3で得られた本計測サンプリング周期t2(例えば、σ<σsのときt2>t1)毎に所定の作動時間tの間、本計測サンプリングが行われ(ステップS9)、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)が計測される(ステップS10)。
【0059】
そして、手段P5において、手段P1で得られた予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)と、手段P4で得られた本計測サンプル数nの穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)とに基づき平均測定値が求められる(ステップS11〜S13)。即ち、本計測サンプリング率r2が予備計測サンプリング率r1よりも小さいと、予備計測サンプリング率r1が本計測サンプリング率r2に等しくなるように、例えば、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)がランダムに抽出されたり、或いは、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)がROM102に予め記録しておいたサンプル数m’毎に抽出されることで、予備計測サンプル数mが少なくされ(ステップS12)、前記平均測定値が算出される(ステップS13)。手段P1からP5で得られた穀粒水分量のデータについて、手段P6において、平均測定値、標準偏差、計測サンプル数等が表示装置24に表示される(ステップS14)。
【0060】
以上説明したコンバイン201によれば、測定値バラツキ算出手段P2で得られた穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)の標準偏差σ(%)が小さいときに、本計測サンプリング周期設定手段P3で本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1より長くすることで、本計測サンプリング率r2を予備計測サンプリング率r1より小さくすることができるので、穀粒の水分量を測定するに際し、水分センサ35による測定値Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させることができる。
【0061】
また、本計測サンプリング率r2が予備計測サンプリング率r1よりも小さいときには、予備計測サンプリング率r1が本計測サンプリング率r2に等しくなるように予備計測サンプル数mを少なくして前記平均水分量を求めるので、該平均水分量の算出処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるコンバインの左側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態であるコンバインの平面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態であるコンバインの右側面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態であるコンバインの正面図である。
【図5】図5は、図1から図4に示すコンバインにおけるグレンタンク及び排出オーガの右側面図である。
【図6】図6は、図1から図4に示すコンバインにおけるグレンタンクの概略構成を示す左側面図である。
【図7】図7は、図6に示すグレンタンクの水分センサ部分を拡大した概略拡大図である。
【図8】図8は、コンバインにおけるグレンタンクの水分センサ部分を平面から視た概略断面図である。
【図9】図9は、コンバインにおけるグレンタンクの水分センサ部分を示す概略背面図である。
【図10】図10は、運転室における運転操作部を平面から視た図である。
【図11】図11は、本実施形態に係るコンバインの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、穀粒水分量をサンプリングする際の水分センサのタイミングチャートを示す図であり、図12(A)は、予備計測区間において行われる予備計測サンプリングの際のタイミングチャートを示しており、図12(B)は、本計測区間において水分量の標準偏差が基準標準偏差より小さいときに行われる本計測サンプリングの際のタイミングチャートを示しており、図12(C)は、本計測区間において水分量の標準偏差が基準標準偏差に等しいか又は大きいときに行われる本計測サンプリングの際のタイミングチャートを示している。
【図13】図13は、収穫作業中に穀粒水分量を測定する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図14は、圃場において予備計測サンプリング及び本計測サンプリングを行ったサンプリング状態を示す模式図であり、図14(A)は、水分量のバラツキが小さい圃場でのサンプリング状態を示しており、図14(B)は、水分量のバラツキが大きい圃場でのサンプリング状態を示している。
【符号の説明】
【0063】
35…測定センサ 201…コンバイン 351…一対の電極ローラ
100…制御装置 T1…予備計測区間 t1…予備計測サンプリング周期
t2…本計測サンプリング周期 σ…測定値のバラツキ
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインとして、穀稈を刈取部で刈り取り、該刈り取られた穀稈を脱穀部で脱穀し、該脱穀された後の穀稈(排藁)を排藁処理部で機外に放出すると共に該脱穀された穀粒や排屑などから穀粒を選別部で選別し、該選別された穀粒を揚穀筒を介してグレンタンクに供給し、該供給された穀粒をグレンタンク内に貯留し、さらに該貯留された穀粒を穀物排出装置でグレンタンクから機外に排出するようにして収穫作業を行うものがある。このようなコンバインにおいて、収穫作業の際に収穫される穀粒を測定センサによってサンプリングして穀粒の性状を測定し、該測定された穀粒の性状に基づき収穫した穀粒全体の性状を求めることがある。
【0003】
この場合、サンプリングする穀粒に損傷を与えることなく測定できればよいのであるが、サンプリングする穀粒に損傷を与えることなく測定しようとすると、測定誤差が大きいため、精度の高い測定を行うことが困難である。従って、精度の高い測定値を得ようとすれば、例えば、サンプリングする穀粒を押し潰して性状を測定する必要があり、そうするとサンプリングによる穀粒のロスが生じてしまうことになる。
【0004】
具体的に穀粒の水分量を測定する場合を例にとって説明すると、水分センサを用い、収穫作業の際にグレンタンクに供給される穀粒のうちの一部の穀粒を圧砕して該穀粒の水分量を測定する場合において、水分センサで水分量が測定された後の押し潰された状態の測定後穀粒がサンプリングによる穀粒のロスとなり、この測定後穀粒がグレンタンク内に貯留されたり、機外に排出されたりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、水分センサで水分量が測定された後の押し潰された状態の測定後穀粒(サンプリングによる穀粒のロス)がグレンタンク内に貯留されると、収穫作業で得られる収穫穀物に該測定後穀粒が混入してしまい、好ましくない。また、機外に排出される場合でも、この測定後穀粒が圃場に放置されるので、見た目が良くない。
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、穀粒の性状を測定するに際し、測定センサによる測定値の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させ得るコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、収穫作業の際に穀粒の性状を測定する測定センサと、該測定センサの制御を司る制御装置とを備えたコンバインであって、前記制御装置は、前記測定センサによる穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキに基づき本計測サンプリング周期を求め、該本計測サンプリング周期で本計測サンプリングを行うように構成されていることを特徴とするコンバインを提供する。
【0008】
本発明にいう「バラツキ」として、代表例として、標準偏差又は分散を挙げることができる。
【0009】
本発明に係るコンバインでは、前記測定センサによる穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキに基づき本計測サンプリング周期を求め、該本計測サンプリング周期で本計測サンプリングを行うので、例えば、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが所定の基準バラツキより小さいときには、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期より長くすることで、前記本計測サンプル数を前記本計測サンプリングでサンプリングを行った本計測区間で割った本計測サンプリング率を、前記予備計測サンプル数を前記予備計測区間で割った予備計測サンプリング率より小さくすることができる。
【0010】
このように本発明に係るコンバインによれば、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが小さいときに、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期より長くすることで、前記本計測サンプリング率を前記予備計測サンプリング率より小さくすることができるので、穀粒の性状を測定するに際し、前記測定センサによる測定値の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させることができる。
【0011】
なお、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが前記所定基準バラツキに等しいか又は前記所定基準バラツキより大きいときは、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期と同等にし、前記本計測サンプリング率を前記予備計測サンプリング率と同等にすることができる。
【0012】
本発明に係るコンバインにおいて、前記制御装置は、所定の予備計測区間において前記予備計測サンプリングを行うように構成されている場合を例示できる。この予備計測区間は次のように設定することができる。即ち、
(a)前記予備計測区間がコンバインの収穫作業時間に基づき設定される場合、
(b)前記予備計測区間がコンバインの収穫作業距離に基づき設定される場合、
(c)前記予備計測区間が作業者の手動操作によって設定される場合、
【0013】
また、GPS(Global Positioning System)装置を搭載しておき、該GPS装置からのGPSデータによって収穫作業を行う圃場の面積や形状の情報を取得しておき、前記予備計測区間を収穫作業の際のコンバインの軌跡(例えば、コンバインの収穫開始から圃場の外周を1周したときまでの時間)としてもよい。
【0014】
前記制御装置は、前記本計測サンプリングで得られた本計測サンプル数の測定値に基づき平均測定値を求めるように構成されていてもよいし、前記予備計測サンプリングで得られた予備計測サンプル数の測定値と、前記本計測サンプリングで得られた本計測サンプル数の測定値とに基づき平均測定値を求めるように構成されていてもよい。後者のように前記予備計測サンプリングの測定値と前記本計測サンプリングの測定値とに基づき平均測定値を求める場合において、前記本計測サンプリング率が前記予備計測サンプリング率よりも小さいときには、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように前記予備計測サンプル数を少なくして前記平均測定値を求めてもよい。こうすることで、前記平均測定値の算出処理時間を短縮することができる。
【0015】
前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように前記予備計測サンプル数を少なくする態様としては、例えば、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値をランダムに抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくする態様や、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値を所定のサンプル数毎に抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくする態様を挙げることができる。
【0016】
前記測定センサとしては、穀粒の水分量を測定する水分センサや穀粒のタンパク含有量を測定するセンサ等を例示できる。前記測定センサが水分センサである場合、この水分センサとして、例えば、一対の電極ローラを備え、該電極ローラ間で穀粒を圧砕しつつ該電極ローラ間の電気抵抗値を検出し、当該検出された電気抵抗値を穀粒の水分量に関する情報として出力するものを挙げることができる。
【0017】
なお、前記測定センサが穀粒の水分量を測定する水分センサである場合において、前記所定の基準バラツキとしては、それには限定されないが、水分量の標準偏差として3(%)〜5(%)程度を例示できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明に係るコンバインによると、前記予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキが小さいときに、前記本計測サンプリング周期を前記予備計測サンプリング周期より長くすることで、前記本計測サンプリング率を前記予備計測サンプリング率より小さくすることができるので、穀粒の性状を測定するに際し、前記測定センサによる測定値の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図1から図4はそれぞれ本発明の一実施形態であるコンバインの左側面図、平面図、右側面図及び正面図である。また、図5は図1から図4に示すコンバイン201におけるグレンタンク13及び排出オーガ15の右側面図である。
【0020】
まず、図1から図5を用いてコンバイン201の全体構成について説明する。このコンバイン201では、クローラ式走行装置1上に機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前方に引起こし・刈取部3が昇降可能に配設されており、該引起こし・刈取部3において、穀稈は前方に突出した分草板4により分草されて、該分草板4の後方に立設された引起こしケース5から突出されたタイン6により引き起こされ、該引起こしケース5の後方に配設された刈刃7にて株元側から刈り取られる。
【0021】
引起こし・刈取部3の後方には扱胴や処理胴を備える脱穀部12が配置され、該引起こし・刈取部3と脱穀部12との間に穀稈の搬送装置8が配設されている。さらに、該搬送装置8の後方であって、脱穀部12の側方にはフィードチェーン9が後方に延設されている。前記引起こし・刈取部3で刈り取られた穀稈は搬送装置からフィードチェーン9に受け継がれ、該フィードチェーン9によって株元側が後方に搬送される。これにより、穀稈の穂先側が脱穀部12内に搬送されて、該脱穀部12にて穀稈の脱穀が行われる。
【0022】
そして、前記フィードチェーン9後端に排藁チェーン18が配設され、該排藁チェーン18後部下方に排藁カッター装置、拡散コンベアなどを備えた排藁処理部19が配設されている。前記脱穀部12で脱穀された後の穀稈(排藁)は、フィードチェーン9から排藁チェーン18に搬送されて、そのまま圃場に放出、あるいは排藁処理部19にて藁片に切断された後に拡散されながら放出される。
【0023】
また、前記脱穀部12下方には選別部17が配設され、該選別部17にて脱穀部12から流下した穀粒や藁屑などから穀粒が選別される。そして、穀粒や藁屑などのうち、選別後の穀粒が、機体フレーム2上に配置されるグレンタンク13であって、該機体フレーム2に支持されるグレンタンク13に搬送され、藁屑などが機外に排出される。
【0024】
前記グレンタンク13は脱穀部12の側方に配設されており、該グレンタンク13の前方に運転室14が配設される一方、グレンタンク13後方及び上方に穀物排出装置15が配設されている。穀物排出装置15は縦排出オーガ15aと横排出オーガ15bとを備えており、該縦排出オーガ15aがグレンタンク13後方で機体フレーム2上に立設されている。そして、グレンタンク13は縦排出オーガ15aを中心にして側方へ回動可能に構成されるとともに、その後部上に備えられた回動支点により横排出オーガ15bが上下方向に回動可能に構成されている。
【0025】
グレンタンク13の内側下部には、スクリュー式の排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16の一端が穀物排出装置15に連設されている。こうして、グレンタンク13内の穀物排出コンベア16によりグレンタンク13から穀物排出装置15に搬送された後、縦排出オーガ15aを経て横排出オーガ15bの先端部から外部に排出されるようになっている。
【0026】
穀物排出装置15において、横排出オーガ15bの根元側は縦排出オーガ15aの上端に上下回動可能に枢着されている。コンバイン201における昇降用アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ130は油圧制御バルブの切換により伸縮されるように構成されており、一端が縦排出オーガ15a側面より突設されたブラケット131に回動可能に枢着され、他端が横排出オーガ15b側面より突設されたブラケット132に回動可能に枢着されている。こうして、オーガ昇降シリンダ130を伸縮させることによって、横排出オーガ15bが上下方向に回動されるようになっている。なお、コンバイン201における昇降用アクチュエータであるオーガ昇降シリンダ130は油圧式のシリンダであるが、その他の電気式または油圧式のモータでも良く、限定されない。
【0027】
前記縦排出オーガ15aの中途部にはギア133aが外嵌固定され、該ギア133aに旋回用アクチュエータであるオーガ旋回モータ134の回転軸134aに嵌設されたギア133bが噛合されている。こうして、該オーガ旋回モータ134を作動させることにより、縦排出オーガ15aと横排出オーガ15bとが一体的に旋回されるようになっている。なお、コンバイン201における旋回用アクチュエータであるオーガ旋回モータ134は電気式のモータであるが、油圧式のモータでも、その他の油圧シリンダでも良く、限定されない。
【0028】
図1から図4に示すように、横排出オーガ15bの先端に排出ケース136が設けられている。該排出ケース136内には、図示しない横送りコンベアを軸支するためにボールベアリングなどからなる軸受け部が形成されている。排出ケース136の下面は開口されており、該開口部の縁に沿って筒形状のスリーブ137が取り付けられている。スリーブ137は可撓性の樹脂などで構成され、スリーブ137の下端が穀物排出口138とされている。これにより、排出ケース136の下面から落下した穀物を周囲に飛散させず、穀物排出口138の直下近傍に集中して排出することができる。
【0029】
図6は図1から図4に示すコンバイン201におけるグレンタンク13の概略構成を示す左側面図である。図6に示すように、グレンタンク13には、穀粒供給口13aが形成され、該穀粒供給口13aと前記した選別部17との間には揚穀筒80が介設されて、図中矢印に示すように、収穫作業の際に該揚穀筒80を通して選別部17において選別された精粒が穀粒供給口13aからグレンタンク13内に供給されて貯留されるようになっている。
【0030】
また、グレンタンク13には、後述する水分センサ35(測定センサの一例)を装着できるように左側面上部に水分センサ装着用開口13bが設けられており、該開口13bに水分センサ35が装着された後は、該開口13bは閉塞板13cがビスによって取り付けられることで閉じられる。
【0031】
図7に図6に示すグレンタンク13の水分センサ35部分を拡大した概略拡大図を示す。なお、図7においては閉塞板13cを取り外した状態を示している。この水分センサ35は、収穫作業の際に穀粒の水分量を測定するものであり、図7に示すように、グレンタンク13に供給される穀粒の水分量を測定可能に該グレンタンク13内に配設されている。
【0032】
さらに説明すると、この水分センサ35は、穀粒供給口13aの近傍のグレンタンク13内に配設されている。また水分センサ35は、互いに対向する一対の電極ローラ351を備えており、該一対の電極ローラ351が、該ローラ351間に穀粒供給口13aから供給された穀粒のうちの一部が流入するように(図中矢印参照)設けられている。つまり、ここでのグレンタンク13は、揚穀筒80から穀粒供給口13aを介して供給される穀粒の一部が、図中矢印に示すように、該グレンタンク13の天井板13’から下方に延びるように吊り下げられた案内板13h(後述する図8及び図9も参照)に衝突して該穀粒の方向が水分センサ35側に偏向することで、該偏向された穀粒の一部が水分センサ35の方に導かれるようになっている。
【0033】
このようにしてグレンタンク13内に配設される水分センサ35は、穀粒供給口13aから流入した穀粒を圧砕して、該穀粒の水分量を測定することができる。さらに具体的に言えば、一対の電極ローラ35を穀粒供給口13aから流入した穀粒が該ローラ間に入り込むように回転させ、該回転する電極ローラ351間で穀粒を圧砕しつつ(換言すれば押し潰しつつ)該電極ローラ351間で該潰れた状態の穀粒の電気抵抗値を検出し、該検出された電気抵抗値を穀粒の水分量に関する信号(情報)として出力することができ、後述する制御装置100(図11参照)に電気的に接続されている。これにより、水分センサ35にて検出された穀粒水分に関する信号(情報)を前記制御装置100に送信することができる。
【0034】
また、グレンタンク13には、水分センサ35で水分量が測定された後の測定後穀粒を機外に排出させるための排出口13fと、前記測定後穀粒を排出口13fを介して機外に導く案内部材13gとが設けられている。
【0035】
図8はグレンタンク13の水分センサ35部分を平面から視た概略断面図であり、図9はグレンタンク13の水分センサ35部分を示す概略背面図である。図7から図9に示すように、排出口13fは、グレンタンク13の左側面の水分センサ35が装着される位置より下方に設けられている。案内部材13gは筒状部材131gと受け入れ部材132gからなっている。なお、図9では、受け入れ部材132gは図示を省略してある。
【0036】
筒状部材131gは、本例では可撓性を有するパイプであり、一端131g’が水分センサ35における一対の電極ローラ351の穀粒が投入される側とは反対側(即ち測定後穀粒が排出される側)に接続されている一方、他端131g”が排出口13fを通って機外に向けられている。これにより、水分センサ35で水分量が測定された後の測定後穀粒を排出口13fから機外に案内することができる。受け入れ部材132gは、本例ではホッパーであり、入り口部132g’がパイプ131gの他端131g”を受け入れるように且つ出口部132g”が下方を向くように支持部材133gに支持されている。これにより、ホッパー132gは、パイプ131gにて案内されてきた測定後穀粒を入り口部132g’に導入し、出口部132g”から圃場に排出することができる。なお、本例では、案内部材13gにより、前記測定後穀粒を排出口13fを介して機外に導くようにしたが、前記測定後穀粒について、グレンタンク13内に貯留する貯留動作と、機外へ排出する排出動作とを選択的に切り替える切替手段を案内部材13gのグレンタンク13側途中部分又は案内部材13gと水分センサ35との間に設け、該切替手段にて前記貯留動作及び前記排出動作を切替可能に構成してもよい。
【0037】
コンバイン201は、図1、図2及び図4に示すように、横排出オーガ15bを収納位置に収納するオーガレスト52を有している。このオーガレスト52は、穀物排出装置15を使用しないときに該穀物排出装置15の横排出オーガ15bを受ける受け部材52aと該受け部材52aを支持する支持部材52bとからなり、略Y字状に構成されていて、上部の載置部における凹部には横排出オーガ15bを検出するためのオーガレストセンサ54が配置されている。このセンサ54は前記制御装置100に電気的に接続されている。これにより、該センサ54にて検出された、オーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されているか否かの信号(情報)を前記制御装置100に送信することができる。
【0038】
図10は運転室14における運転操作部を平面から視た図である。図10に示すように、フロントコラム30の操向ハンドル31中央部分には表示装置24が、該表示装置24の近傍には各種スイッチ類25が設けられており、さらに運転席14aの背もたれ部左方には収穫情報スイッチ27が設けられており、いずれも前記制御装置100に電気的に接続されている(図11参照)。これにより、各種スイッチの入力信号(情報)を前記制御装置100に送ることができ、前記制御装置100から表示装置24に出力情報を送信することができる。
【0039】
次に、本実施形態に係るコンバイン201の制御系の構成について図11を参照しながら説明する。
【0040】
図11は本実施形態に係るコンバイン201の制御系の概略構成を示すブロック図である。図11に示すように、コンバイン201は、既述の水分センサ35及びオーガレストセンサ54を含む各種センサや各種スイッチ類25及び収穫情報スイッチ27の他、これらのデバイスの制御を司る制御装置100と、GPS装置200とを備えている。GPS装置200は、GPS衛星からの電波を受信し、収穫作業を行う圃場の面積や形状に関する情報を取得するものである。このGPS装置200は、制御装置100に接続されており、収穫作業を行う圃場の面積や形状に関する情報を制御装置100に送信することができる。
【0041】
制御装置100は、各種センサ、スイッチ等から入力される信号に基づいて演算処理を実行する制御演算手段を含む中央処理装置101(以下、CPUという)、コンバイン201全体を制御するための制御プログラム等を格納したり、後述する演算式やLUT(ルックアップテーブル)に関する所定のデータ等を記憶するROM102、及びCPU101の演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM103により構成される。CPU101は、ROM102に格納された制御プログラムを必要に応じてRAM103にロードして実行し、コンバイン201を動作させるように構成されている。なお、CPU101は時計用のタイマを内蔵している。また、ROM102には、後述する予備計測サンプリング手段P1において使用される所定の予備計測サンプリング周期t1及び所定の予備計測区間T1(例えば、コンバイン201の収穫開始からの一定時間や一定距離等)、本計測サンプリング周期設定手段P3において使用される所定の基準バラツキ並びに平均測定値算出手段P5において使用される所定のサンプル数m’等が予め記録されている。なお、前記の所定基準バラツキは、本実施形態では、水分量の標準偏差(水分量の基準標準偏差)σsとしている。
【0042】
前記制御プログラムは、CPU101を、予備計測サンプリング手段P1、測定値バラツキ算出手段P2、本計測サンプリング周期設定手段P3、本計測サンプリング手段P4、平均測定値算出手段P5及び穀粒水分量表示手段P6を含む手段として機能させるものである。これら手段P1〜P6は、収穫作業の際に収穫される穀粒を測定センサ35によってサンプリングして穀粒の水分量を測定し、該測定された穀粒の水分量に基づき収穫した穀粒全体の平均水分量を求め、これらのデータを表示することができる。
【0043】
即ち、予備計測サンプリング手段P1では、水分センサ35による穀粒の水分量測定に関し、予備計測区間T1(例えば、120(秒))において、予備計測サンプリング周期t1(例えば、20(秒))毎に所定の作動時間t(例えば、5(秒))の間、予備計測サンプリングを行い(図12(A)参照)、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)(但し、mは予備計測サンプル数)を求める。
【0044】
測定値バラツキ算出手段P2では、予備計測サンプリング手段P1で得られた各予備計測サンプリング周期t1毎の穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)の平均値μ(%)を求め、次式(I)を用いて水分量の標準偏差σ(%)を算出する。
【数1】
【0045】
本計測サンプリング周期設定手段P3では、測定値バラツキ算出手段P2で得られた水分量の標準偏差σ(%)が、水分量の基準標準偏差σs(例えば、3(%)〜5(%))より小さいときには、本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1より長く(例えば、40(秒)程度に長く)する(図12(B)参照)。なお、標準偏差σ(%)が基準標準偏差σsに等しいか又は大きいときは、本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1と同等にする(図12(C)参照)。
【0046】
本計測サンプリング手段P4では、本計測サンプリング周期設定手段P3で得られた本計測サンプリング周期t2毎に所定の作動時間t(例えば、600(秒))の間又は一つの収穫作業単位(1枚の圃場又は一定面積)終了まで、本計測サンプリングを行い、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)(但し、nは本計測サンプル数)を求める。
【0047】
平均測定値算出手段P5では、予備計測サンプリング手段P1で得られた予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)と、本計測サンプリング手段P4で得られた本計測サンプル数nの穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)とに基づき平均測定値を求める。例えば、本計測サンプリング率r2が予備計測サンプリング率r1よりも小さいときには、予備計測サンプリング率r1が本計測サンプリング率r2に等しくなるように、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)をランダムに抽出したり、或いは、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)を所定のサンプル数m’毎に抽出することで、予備計測サンプル数mを少なくして前記平均測定値を求めることができる。なお、本計測サンプリング手段P4で得られた本計測サンプル数nの穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)のみに基づき平均水分量を求めてもよい。
【0048】
ここで、予備計測サンプリング率r1は、予備計測サンプル数mを予備計測区間T1で割った値であり、本計測サンプリング率r2は、本計測サンプル数nを本計測サンプリング手段P4でサンプリングを行った本計測区間T2で割った値である。
【0049】
穀粒水分量表示手段P6では、手段P1からP5で得られた穀粒水分量のデータについて、平均値、標準偏差、測定点数等を表示装置24に表示する。
【0050】
以上説明した制御装置100では、コンバイン201の動作がなされるにあたって、前記制御プログラムが実行されており、CPU101が前記各手段P1〜P6として機能している。
【0051】
収穫作業中において、オーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されると、オーガレストセンサ54にてオーガレスト52の載置部上に横排出オーガ15bが載置されていることが検出されており、この状態で、収穫情報スイッチ27が押下されて該スイッチ27がON状態にあると、水分センサ35にて穀粒水分量が計測される。
【0052】
コンバイン201において、収穫作業中に穀粒水分量を測定し、得られた測定値に基づき平均水分量を求める場合について図13を参照しながら以下に説明する。図13は収穫作業中に穀粒水分量を測定する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
穀粒水分量が計測されるにあたり、まず、表示装置24に次の選択画面の表示がなされ、予備計測区間T1の設定条件が選択される(ステップS1)。
(a)コンバインの収穫作業時間
(b)コンバインの収穫作業距離
(c)手動操作
(d)GPSデータ
【0054】
ここで、(a)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、ROM102に予め記録しておいた収穫開始からの一定時間とされ、(b)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、ROM102に予め記録しておいた収穫開始からの一定距離とされる。また、(c)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、各種スイッチ類25のうち所定のスイッチのON操作からOFF操作までの時間とされる。さらに、(d)の設定条件が選択されると、予備計測区間T1が、GPS装置200からのGPSデータによって取得された圃場の面積や形状の情報に基づき収穫作業の際のコンバイン201の軌跡(例えば、コンバイン201の収穫開始から圃場の外周を1周したときまでの時間)とされる。なお、予備計測区間T1の設定条件は、これらに限定されるものではなく、収穫作業時間に対して一定の相関関係が得られる設定条件であれば、いずれのものを採用してもよい。ここでは、(a)の収穫作業時間が選択された場合について説明する。
【0055】
手段P1において、水分センサ35による穀粒の水分量測定に関し、表示装置24の選択画面表示で選択された予備計測区間T1においてROM102に予め記録しておいた予備計測サンプリング周期t1毎に所定の作動時間tの間、予備計測サンプリングが行われ(ステップS2)、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)が計測される(ステップS3)。
【0056】
次いで、手段P2において、手段P1で得られた各予備計測サンプリング周期t1毎の穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)の平均値μ(%)が求められ(ステップS4)、前記式(I)を用いて水分量の標準偏差σ(%)が算出される(ステップS5)。
【0057】
手段P3において、手段P2で得られた水分量の標準偏差σ(%)が、水分量の基準標準偏差σsより小さいと(ステップS6)、図12(B)及び図14(A)に示すように、本計測サンプリング周期t2が予備計測サンプリング周期t1より長くされ(ステップS7)、基準標準偏差σsと同等か又は大きいと(ステップS6)、図12(C)及び図14(B)に示すように、本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1と同等にされる(ステップS8)。
【0058】
さらに、手段P4において、手段P3で得られた本計測サンプリング周期t2(例えば、σ<σsのときt2>t1)毎に所定の作動時間tの間、本計測サンプリングが行われ(ステップS9)、該水分センサ35で測定した穀粒水分量に関する情報に基づいて穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)が計測される(ステップS10)。
【0059】
そして、手段P5において、手段P1で得られた予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)と、手段P4で得られた本計測サンプル数nの穀粒水分量Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)とに基づき平均測定値が求められる(ステップS11〜S13)。即ち、本計測サンプリング率r2が予備計測サンプリング率r1よりも小さいと、予備計測サンプリング率r1が本計測サンプリング率r2に等しくなるように、例えば、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)がランダムに抽出されたり、或いは、予備計測サンプル数mの穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)がROM102に予め記録しておいたサンプル数m’毎に抽出されることで、予備計測サンプル数mが少なくされ(ステップS12)、前記平均測定値が算出される(ステップS13)。手段P1からP5で得られた穀粒水分量のデータについて、手段P6において、平均測定値、標準偏差、計測サンプル数等が表示装置24に表示される(ステップS14)。
【0060】
以上説明したコンバイン201によれば、測定値バラツキ算出手段P2で得られた穀粒水分量X1(%),X2(%),…,Xm(%)の標準偏差σ(%)が小さいときに、本計測サンプリング周期設定手段P3で本計測サンプリング周期t2を予備計測サンプリング周期t1より長くすることで、本計測サンプリング率r2を予備計測サンプリング率r1より小さくすることができるので、穀粒の水分量を測定するに際し、水分センサ35による測定値Y1(%),Y2(%),…,Yn(%)の信頼度を確保しつつサンプリングによる穀粒のロスの発生を可及的に減少させることができる。
【0061】
また、本計測サンプリング率r2が予備計測サンプリング率r1よりも小さいときには、予備計測サンプリング率r1が本計測サンプリング率r2に等しくなるように予備計測サンプル数mを少なくして前記平均水分量を求めるので、該平均水分量の算出処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるコンバインの左側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態であるコンバインの平面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態であるコンバインの右側面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態であるコンバインの正面図である。
【図5】図5は、図1から図4に示すコンバインにおけるグレンタンク及び排出オーガの右側面図である。
【図6】図6は、図1から図4に示すコンバインにおけるグレンタンクの概略構成を示す左側面図である。
【図7】図7は、図6に示すグレンタンクの水分センサ部分を拡大した概略拡大図である。
【図8】図8は、コンバインにおけるグレンタンクの水分センサ部分を平面から視た概略断面図である。
【図9】図9は、コンバインにおけるグレンタンクの水分センサ部分を示す概略背面図である。
【図10】図10は、運転室における運転操作部を平面から視た図である。
【図11】図11は、本実施形態に係るコンバインの制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、穀粒水分量をサンプリングする際の水分センサのタイミングチャートを示す図であり、図12(A)は、予備計測区間において行われる予備計測サンプリングの際のタイミングチャートを示しており、図12(B)は、本計測区間において水分量の標準偏差が基準標準偏差より小さいときに行われる本計測サンプリングの際のタイミングチャートを示しており、図12(C)は、本計測区間において水分量の標準偏差が基準標準偏差に等しいか又は大きいときに行われる本計測サンプリングの際のタイミングチャートを示している。
【図13】図13は、収穫作業中に穀粒水分量を測定する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図14は、圃場において予備計測サンプリング及び本計測サンプリングを行ったサンプリング状態を示す模式図であり、図14(A)は、水分量のバラツキが小さい圃場でのサンプリング状態を示しており、図14(B)は、水分量のバラツキが大きい圃場でのサンプリング状態を示している。
【符号の説明】
【0063】
35…測定センサ 201…コンバイン 351…一対の電極ローラ
100…制御装置 T1…予備計測区間 t1…予備計測サンプリング周期
t2…本計測サンプリング周期 σ…測定値のバラツキ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫作業の際に穀粒の性状を測定する測定センサと、該測定センサの制御を司る制御装置とを備えたコンバインであって、
前記制御装置は、前記測定センサによる穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキに基づき本計測サンプリング周期を求め、該本計測サンプリング周期で本計測サンプリングを行うように構成されていることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記制御装置は、所定の予備計測区間において前記予備計測サンプリングを行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記予備計測区間がコンバインの収穫作業時間に基づき設定されることを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記予備計測区間がコンバインの収穫作業距離に基づき設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記予備計測区間が作業者の手動操作によって設定されることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載のコンバイン。
【請求項6】
前記制御装置は、前記予備計測サンプリングで得られた予備計測サンプル数の測定値と、前記本計測サンプリングで得られた本計測サンプル数の測定値とに基づき平均測定値を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のコンバイン。
【請求項7】
前記本計測サンプル数を前記本計測サンプリングでサンプリングを行った本計測区間で割った本計測サンプリング率が、前記予備計測サンプル数を前記予備計測区間で割った予備計測サンプリング率よりも小さいときに、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように前記予備計測サンプル数を少なくして前記平均測定値を求めることを特徴とする請求項6に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値をランダムに抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくすることを特徴とする請求項7に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値を所定のサンプル数毎に抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくすることを特徴とする請求項7に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記測定センサは、一対の電極ローラを備え、該電極ローラ間で穀粒を圧砕しつつ該電極ローラ間の電気抵抗値を検出し、当該検出された電気抵抗値を穀粒の水分量に関する情報として出力する水分センサであることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のコンバイン。
【請求項1】
収穫作業の際に穀粒の性状を測定する測定センサと、該測定センサの制御を司る制御装置とを備えたコンバインであって、
前記制御装置は、前記測定センサによる穀粒の性状測定に関し、所定の予備計測サンプリング周期で予備計測サンプリングを行い、該予備計測サンプリングで得られた測定値のバラツキに基づき本計測サンプリング周期を求め、該本計測サンプリング周期で本計測サンプリングを行うように構成されていることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記制御装置は、所定の予備計測区間において前記予備計測サンプリングを行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記予備計測区間がコンバインの収穫作業時間に基づき設定されることを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記予備計測区間がコンバインの収穫作業距離に基づき設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記予備計測区間が作業者の手動操作によって設定されることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載のコンバイン。
【請求項6】
前記制御装置は、前記予備計測サンプリングで得られた予備計測サンプル数の測定値と、前記本計測サンプリングで得られた本計測サンプル数の測定値とに基づき平均測定値を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のコンバイン。
【請求項7】
前記本計測サンプル数を前記本計測サンプリングでサンプリングを行った本計測区間で割った本計測サンプリング率が、前記予備計測サンプル数を前記予備計測区間で割った予備計測サンプリング率よりも小さいときに、前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように前記予備計測サンプル数を少なくして前記平均測定値を求めることを特徴とする請求項6に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値をランダムに抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくすることを特徴とする請求項7に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記予備計測サンプリング率が前記本計測サンプリング率に等しくなるように、前記予備計測サンプル数の測定値を所定のサンプル数毎に抽出することで前記予備計測サンプル数を少なくすることを特徴とする請求項7に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記測定センサは、一対の電極ローラを備え、該電極ローラ間で穀粒を圧砕しつつ該電極ローラ間の電気抵抗値を検出し、当該検出された電気抵抗値を穀粒の水分量に関する情報として出力する水分センサであることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−246831(P2006−246831A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70510(P2005−70510)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]