コンバイン
【課題】 副変速レバー等の操作位置を示すのみで、そのときの作業状態や走行状態などの総合的な現況認識が非常に困難となる。また、意図しないエンジン停止等の作業障害が起きることがあり、操作性や作業性が低いという課題がある。
【構成】 走行装置2の前方に刈取部4を、上方に脱穀装置3及びグレンタンク5を夫々設け、前記グレンタンク5の前側に操縦部7を設け、該操縦部7の座席10の前側には前側操作部12を、座席10の前方側部には側部操作部13を夫々設け、該側部操作部13の上部のパネル面15には、前後進の走行速度操作を行う主変速レバー16と、エンジン回転に対する走行速度操作を行う副変速レバー18とを設け、該副変速レバー18の副変速シフト用溝19の近傍のパネル面15には、副変速レバー18の操作位置に対応した作業形態を示す作業形態表示22を設けたコンバイン。
【構成】 走行装置2の前方に刈取部4を、上方に脱穀装置3及びグレンタンク5を夫々設け、前記グレンタンク5の前側に操縦部7を設け、該操縦部7の座席10の前側には前側操作部12を、座席10の前方側部には側部操作部13を夫々設け、該側部操作部13の上部のパネル面15には、前後進の走行速度操作を行う主変速レバー16と、エンジン回転に対する走行速度操作を行う副変速レバー18とを設け、該副変速レバー18の副変速シフト用溝19の近傍のパネル面15には、副変速レバー18の操作位置に対応した作業形態を示す作業形態表示22を設けたコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン、特に、操縦部の構成に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの操縦部のパネル面に、「前進」等の副変速レバーの操作位置の表示を設けた構成は、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−33098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、単に、副変速レバー等の操作位置を示すのみであるから、そのときの作業状態や走行状態などの総合的な現況認識が非常に困難となり、意図しないエンジン停止等の作業障害や故障の発見の遅れなどが起きることがあり、操作性や作業性が低いという課題がある。
本願は、側部操作部の構成を工夫し、操作性や作業性を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、走行装置2の前方に刈取部4を、走行装置2の上方に脱穀装置3およびグレンタンク5を、夫々設け、前記グレンタンク5の前側に操縦部7を設け、該操縦部7の座席10の前側には前側操作部12を、座席10の前方側部には側部操作部13を夫々設け、該側部操作部13の上部のパネル面15には、前後進の走行速度操作を行う主変速レバー16と、エンジン回転に対する走行速度操作を行う副変速レバー18とを設け、該副変速レバー18の副変速シフト用溝19の近傍のパネル面15には、副変速レバー18の操作位置に対応した作業形態を示す作業形態表示22を設けたコンバインとしたものであり、パネル面15の操作主体表示20の「副変速」・「主変速」等に基づいて主変速レバー16および副変速レバー18等の操作対象を選択し、パネル面15の操作状態表示21の「走行」・「中立」・「標準」等に基づいて主変速レバー16および副変速レバー18等を操作し、機体を走行させて作業を行う。この主変速レバー16および副変速レバー18等の操作を行うに当たり、作業者は、作業形態表示22の「4条刈、中割、畦ぎわ」の表示から副変速レバー18の操作結果を予測し、現況と比較することで、適切な対処を行える。
即ち、作業形態表示22の表示の操作結果の予測と現況との対比から、現況の不具合を判断して、例えば、主変速レバー16の操作による走行速度によっては、刈取部4の回転が低くなってしまうことがあり、副変速レバー18を低速に操作することで、相対的に車速に対して刈取部4の作業速度を速くすることになり多条刈り等を適切に行えることになる。
本発明は、前記副変速シフト用溝19の近傍のパネル面15には、前記作業形態表示22および/または前記副変速レバー18の操作位置に対応した作業条件を表示する作業条件表示25を並設したコンバインとしたものであり、例えば、作業条件表示25の「倒伏」の表示と、圃場条件を対比することで、副変速レバー18の操作位置を最適位置に選択操作する。
本発明は、前記刈取部4に伝達する回転および前記脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置35の穀稈搬送速度は、前記走行装置2により機体の走行速度と同調して高低に変速するように構成し、前記刈取部4は、前方の分草装置30および分草装置30の後方に引起装置31等を圃場の進行方向の1条の穀稈列の各条に合わうように左右に並設すると共に、通常の刈取数「n条」に対して「n+1条」の刈取可能に構成し、該「n+1条」の最大刈取条数を前記作業形態表示22または作業条件表示25に表示するように構成したコンバインとしたものであり、例えば、通常の刈取数に対して1条余計に刈り取る最大刈取作業中では、と表示することで、穀稈供給搬送装置35の搬送速度を速くする等の操作を喚起して操作懈怠を防止する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項2の発明では、パネル面15の表示によって副変速レバー18等の操作対象の誤選択等の誤操作を防止できて、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項3の発明では、パネル面15の表示によって現況認識を容易にでき、その結果、迅速に対処でき、操作性および作業性を向上させることができる。
【実施例1】
【0006】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5はグレンタンク、6はグレンタンク5内の穀粒を排出する排出オーガ、7は操縦部7である。
前記操縦部7には、作業者が着座する座席10を設け、座席10の前側に作業者が乗降するステップ11を設け、ステップ11の前側には前側操作部12を設け、ステップ11の側部には側部操作部13を設ける。
【0007】
しかして、図6は、側部操作部13の上部のパネル面15を示し、16は主変速レバーであり、主変速レバー16により前進・後進の走行速度を変更する操作を行う。17は主変速レバー16の主変速シフト用溝である。主変速シフト用溝17の左側前方位置のパネル面15には副変速レバー18の副変速シフト用溝19を設ける。
【0008】
パネル面15には、「副変速」・「主変速」等の表示(操作主体表示)20を設ける。操作主体表示20は、主変速レバー16等の近傍に設け、主変速レバー16等の操作対象を選択するのを容易にする。
また、主変速レバー16等の近傍のパネル面15には、「走行」・「中立」・「標準」等の操作状態を示す表示(操作状態表示)21を設ける。
また、表示21は、操作状態に関連して「走行速で刈取作業をしないで下さい」や「トラック輸送時等は、駐車ブレーキをかけた後、主変速レバーを前進位置に操作して下さい。」等の操作の注意事項でもよく、表示21を設けることで、操作を容易にし、不用意な誤操作の発生を抑制し、操作性を向上させる。これらの表示21は、主変速レバー16等の操作部材の近傍のパネル面15に設けると、好適である。
【0009】
また、操作状態表示21の内の一部は作業形態表示22に構成する。作業形態表示22は、操作状態のうち副変速レバー18等の操作による操作結果に対して現況との比較を容易にし、操作性を向上させる。作業形態表示22の表示内容は任意であるが、一例を示すと、「4条刈、中割、畦ぎわ」と表示している。
【0010】
前記主変速レバー16は、図示は省略するが変速装置(HST)を介してエンジンの回転を走行装置2に伝達し、主変速レバー16により変速装置が最高速度のときは、副変速レバー18がどの副変速シフト位置でも刈取部4への伝達回転は同じであるが、副変速レバー18が低速に位置するときは、標準の車速と刈取部4の作業速度との割合に対して、車速に対する刈取部4の作業速度が相対的に速くなり、多条刈り、畦際刈りを行うと、刈取穀稈の搬送中の層厚が薄くなって搬送性能が向上する。
【0011】
そこで、特に、副変速レバー18を複数段階にシフト操作可能にすると共に、副変速シフト用溝19に隣接する位置のパネル面15に作業形態表示22を設け、作業者の副変速レバー18の操作を容易にし、操作性を向上させる。
【0012】
また、実施例の作業形態表示22には、作業形態と共に、作業条件を表示する表示(作業条件表示)25を並設する。実施例の作業条件表示25は「倒伏」と表示している。
即ち、圃場の穀稈が倒伏しているときは、走行速度に対して刈取部4の作業速度を速くすると、倒伏穀稈の「裁き」やキャッチング性能が向上するので、作業者が副変速レバー18を作業条件表示25の位置を選択操作するように、パネル面15に作業条件表示25を設けている。
【0013】
したがって、パネル面15の作業条件表示25を見るだけで、作業者は作業条件にあった操作を的確に選択でき、操作性を向上させ、また、誤操作の発生頻度も減少させることができる。
【0014】
前記作業形態表示22の表示内容のうち、「4条刈」は、前記刈取部4の通常の刈取数(3条)に対して1条足した条数による刈取作業を示すものである。
即ち、刈取部4は前方に分草装置30を左右に並設し、この分草装置30の後方に引起装置31等を設け、分草装置30および引起装置31等は、圃場の進行方向の1条の穀稈列の条に合わせて刈り取るように構成しているため、本来、刈取部4の刈取条数と前記分草装置30間の穀稈通路32の数とは一致するが、本実施例の刈取部4は、通常の刈取数は「n条」(図7のK)に対して「n+1」(図7のM)の刈取可能に構成する。
【0015】
そのため、通常の3条(図7のK)に対して畦際等の場合によっては「4条刈」となるので(図7のM)、作業形態表示22の「4条刈」に副変速レバー18をシフトするのである。
したがって、作業形態表示22には通常の刈取数「n+1」の最大刈取条数を表示するとよく、この「n+1」条の刈取作業中は、刈取作業速度に対して副変速レバー18を低速にして走行速度を遅くし、相対的に、エンジンの負荷を減少させるようにし、作業形態表示22に「n+1」条の刈取作業中の表示することで、過負荷防止する。
【0016】
しかして、前記脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置35の穀稈搬送速度は、前記刈取部4とともに走行速度と同調して高低に変速するように構成し(図8、図9)、前記作業形態表示22および作業条件表示25をパネル面15に設ける。
【0017】
前記のように、通常の刈取数に対して1条余計に刈り取る最大刈取作業中では、穀稈供給搬送装置35の搬送速度を速くしないと、脱穀装置3で藁屑の発生が多くなり、脱穀ロスが増加し、また、「詰まり」の原因ともなるが、作業形態表示22に「n+1」条の刈取作業中の表示することで、副変速レバー18の作業形態表示22への操作を喚起して操作懈怠を防止するものである。
【0018】
前記穀稈供給搬送装置35の穀稈搬送速度を走行速度と同調させる構成は任意であるが、一例を示すと、図8のようであり、36はエンジン、37は変速装置、38はミッションケースであり、ミッションケース38に設けた変速装置37で走行速度と同調した回転を回転伝動軸40から穀稈供給搬送装置35および刈取部4へ伝達し、ミッションケース38内の副変速機構41を作用させて、変速装置37からの回転を変速させて走行装置2へ伝達させている。
【0019】
しかして、前側操作部12には、操向操作具(パワステレバー)42を設け、操向操作具42は前方に傾倒操作すると、刈取部4が下降し、後方に傾倒操作すると、刈取部4が上昇し、左右に傾倒操作して左右旋回を行う。
また、43は穀稈供給搬送装置35に引き継ぐ搬送穀稈の長さを検出する扱深さセンサ43Aにより自動的に扱深さを調節するようにする扱深さ自動スイッチであり、44は手動により扱深さを調節するようにする扱深さ手動調節スイッチである。
【0020】
しかして、前記パネル面15には、エンジンスロットルレバー45のガイド溝46を設け、該ガイド溝46の近傍のパネル面15には操作状態表示21の一部となるエンジン状態表示47を設ける。エンジン状態表示47はエンジンの回転数を表示する。
したがって、エンジンスロットルレバー45の操作位置に対応した回転数をエンジン状態表示47により表示しているので、作業者は、常時、エンジン36の回転を確認でき、穀粒排出時のエンジン停止による穀粒損傷(穀粒排出時は脱穀装置3を駆動させないので、穀粒排出時にエンジン回転が低いとエンストし、高いと損傷粒が発生)や、路上走行時のエンストを回避できる。
【0021】
また、ガイド溝46の近傍のパネル面15にエンジン状態表示47を設ければよいので、安価にエンジン回転数の表示を行える。
【0022】
しかして、主変速レバー16の主変速シフト用溝17は、前側に直線状の前進用溝50を設け、前進用溝50の後側に該前進用溝50に対して左右何れか一方にずらして直線状の後進用溝51を設け、前進用溝50と後進用溝51の間に左右方向の中間溝52を設け、該中間溝52の左右何れか一方側は側方に延長して駐車ブレーキの解除操作用溝53を設ける(図6、図10)。
【0023】
解除操作用溝53は、機体を固定する駐車ブレーキが掛かっているときの解除操作を主変速レバー16により行うものであり、中間溝52から解除操作用溝53に主変速レバー16を傾倒操作すると、固定状態の駐車ブレーキを解除する。
【0024】
この場合、中間溝52の左側に解除操作用溝53を設けるときには、後進用溝51と中間溝52の間に傾斜部を設けると、前進用溝50から後進用溝51への操作が円滑になって好適である(図6)。
【0025】
また、中間溝52の左右に解除操作用溝53を設けると、主変速レバー16が着座者の身体より離れつつ移動するので、前進用溝50から後進用溝51への操作の際に、解除操作用溝53に主変速レバー16が入るのが抑制されて好適である(図10)。
【0026】
したがって、前進用溝50から後進用溝51に主変速レバー16を操作するときに、主変速レバー16が解除操作用溝53に入ることがなく、前後進の操作性を向上させる。
【0027】
また、駐車ブレーキを作動させてロックしたときには、主変速レバー16を前進用溝50または後進用溝51の何れかに傾倒させておくと、不用意な駐車ブレーキ解除操作がされることがなく、誤操作および誤作動を防止する。
前記駐車ブレーキの構成は任意であるが、図11に、一例を示すと、55はミッションケース38内のサイドクラッチを移動させるアーム、56はワイヤ等の駐車ブレーキ解除操作伝達部材、57は駐車ブレーキ操作伝達部材、58はロック機構であり、駐車ブレーキ操作伝達部材57によりアーム55を介して駐車ブレーキを掛けるとロック機構58をロックし、主変速レバー16を解除操作用溝53にシフトすると、駐車ブレーキ解除操作伝達部材56がアーム55を操作して解除するとともに、ロック機構58を開放する。
【0028】
しかして、運転座席10は、側面視において、エンジン36の側部を包囲するエンジンカバー60の上方前側位置に設け、エンジンカバー60の上部後側にはエアクリーナー61を設ける(図2、図12)。
即ち、中型以下のコンバインでは、エンジン36が小さいため、座席10の下方に設けたエンジンカバー60によりエンジン36の側方を包囲すれば十分に吸気面積を確保できるので、エンジンカバー60の上縁前側に座席10を設け、座席10の後側にエアクリーナー61を設け、エアクリーナー61を、容積拡張のため前側上部を前方に張り出したグレンタンク5の上部張出部62と座席10により包囲された空間内に配置する。
【0029】
そのため、エアクリーナー61は、その本体63をエンジンカバー60の上縁より上方に露出させて設けることができ、取付が容易になり、また、エアクリーナー61を包囲するカバーが不要になるので、コストを低くし、軽量になる。
64はエアクリーナー61の吸気口であり、エンジンルーム66内に開口させる。65はエンジン36に接続する接続部である。
【0030】
また、前記エンジンカバー60は、その上方に別途カバーを設けることで、大型のコンバインの下側エンジンカバー60との共用が可能となり、この点でも、コストを低くする。
即ち、大型機用のエンジンカバーを別途製造するのではなく、大型機にも使用できる上下型エンジンカバー67を上下に分割し、そのうちの下側の下側エンジンカバー60を中型以下のコンバインの単体のエンジンカバーとし、一方、下側エンジンカバー60に上側エンジンカバー68を組合せて大型機用のエンジンカバー上下型エンジンカバー67とし、吸気面積を拡大するとともに、大型機と小型機とに共用する。
【0031】
しかして、上下型エンジンカバー67を上下に分割して形成したものにおいて、下側エンジンカバー60と上側エンジンカバー68との連結部分に連通用開口部70を設け(図19)、上側エンジンカバー68から吸った空気が下側エンジンカバー60を通ってエンジンルーム66内に流れるように構成する。
【0032】
即ち、上側エンジンカバー68はエアクリーナー61の側方に設け、上側エンジンカバー68と下側エンジンカバー60とは上下の連結部分の連通用開口部70で連通するようにし、上側エンジンカバー68の外側面から吸気した空気が下側エンジンカバー60を通ってエンジンルーム66内に流入させる。
【0033】
したがって、馬力の大きなエンジン36でも充分な吸気面積とすることができる。
また、上側エンジンカバー68は、吸気面積の相違するものを数種類用意すると、下側エンジンカバー60を共通にして上側エンジンカバー68を変更するだけで、上下型エンジンカバー67として対応可能となる。
また、上側エンジンカバー68の一部は、側面視において、座席10の一部と重なるように構成すると、座席10の存在に関わらず、上側エンジンカバー68の吸気面積を拡大できる(図16)。
【0034】
即ち、上側エンジンカバー68と下側エンジンカバー60を上下で連通する構成にすることで、上側エンジンカバー68の一部を座席10の一部と重なるように配置できるのである。
したがって、機体全長に影響せずに、上側エンジンカバー68の吸気面積を前後に長く拡大できる。
【0035】
しかして、エンジンルーム66への吸気は、下側エンジンカバー60の吸気用開口部71で行い、エアクリーナー61への吸気は上側エンジンカバー68の吸気用開口部72で行うように構成する。
上部のエアクリーナー61の吸気口64を下側エンジンカバー60側から行うには、エアクリーナー61の吸気口64への接続ホースを一旦エンジンルーム66内に入れてから、上側エンジンカバー68の吸気面側へホースを配策する必要があるが、エンジンルーム66への吸気は、下側エンジンカバー60の吸気用開口部71から行い、エアクリーナー61への吸気は接続部材(ホース)73を上側エンジンカバー68の吸気用開口部72に接続して行うので、エアクリーナー61の接続ホース73を直接上側エンジンカバー68に接続することができ、エアクリーナー61の本体63と吸気口64との間の距離を短くできる。
【0036】
なお、下側エンジンカバー60の吸気用開口部71および上側エンジンカバー68の吸気用開口部72の夫々には、防塵スクリーン74を設けている。
図20、図21は、エアクリーナー61の接続部材73の接続に関する実施例であり、前記上側エンジンカバー68(エンジンカバー60)には接続部材73の先端を挿入するゴム膜76を設ける。
したがって、上側エンジンカバー68を閉じたときには、エアクリーナー61の接続部材73がゴム膜76の挿入部77に挿入されて密着し、防塵効果を向上させる。また、上側エンジンカバー68を開けるときには、単に上側エンジンカバー68を開けるだけでよく、また、上側エンジンカバー68を開扉後はゴム膜76の挿入部77が閉塞するので、この点でも、防塵効果が高い。
78は押え板である。
【0037】
図22〜図25は、前記エアクリーナー61の接続部材73の接続に関する実施例であり、接続部材73の先端は、エンジンカバー60の防塵スクリーン74から外れた枠体81と対向するように配置すると、直接防塵スクリーン74から外気を吸引しないので、防塵スクリーン74を通過してしまうダストであっても吸引量を抑制する。
【0038】
即ち、接続部材73の先端は、防塵スクリーン74越しに直接吸引しないようにして、ダストの吸引量を抑制する。
したがって、接続部材73の先端は、正面視において(エンジンカバー60基準)、防塵スクリーン74から外れた枠体81と重なるように配置する。
82は枠体81の内側に設けた内側枠体、83は内側枠体82に設けた挿通孔であり、接続部材73の先端は内側枠体82を貫通して挿通孔83より突き出て枠体81の内面と対向する。
また、吸気口64の位置をエンジンカバー60の後側上方としているので、地面より離れ、更に、機体進行方向の後側となるので、ダストを吸引しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同側面図。
【図3】同平面図。
【図4】同正面図。
【図5】操縦部斜視図。
【図6】側部操作部のパネル面の平面図。
【図7】通常の刈取と「n+1」との関係を示す概略説明図。
【図8】回転伝達経路の概略図。
【図9】回転伝達の回転数の関係を示す概略説明図。
【図10】側部操作部のパネル面の平面図。
【図11】駐車ブレーキの操作機構の概略図。
【図12】エンジンカバー部分の側面図。
【図13】同背面図。
【図14】同平面図。
【図15】エンジンカバーの他の実施例の背面図。
【図16】同側面図。
【図17】同平面図。
【図18】同空気の流れを示す背面図。
【図19】同平面図。
【図20】エアクリーナーの接続に関する実施例の側面図。
【図21】同斜視図。
【図22】エアクリーナーに関する実施例の側面図。
【図23】同側面図。
【図24】同斜視図。
【図25】同断面図。
【符号の説明】
【0040】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部4、5…グレンタンク、6…排出オーガ、7…操縦部、10…座席、11…ステップ、12…前側操作部、13…側部操作部、15…パネル面、16…主変速レバー、17…主変速シフト用溝、18…副変速レバー、19…副変速シフト用溝、20…操作主体表示、21…操作状態表示、22…作業形態表示、25…作業条件表示、30…分草装置、31…引起装置、32…穀稈通路、35…穀稈供給搬送装置、36…エンジン、37…変速装置、38…ミッションケース、40…回転伝動軸、41…副変速機構、45…エンジンスロットルレバー、46…ガイド溝、47…エンジン状態表示、50…前進用溝、51…後進用溝、52…中間溝、53…解除操作用溝、55…アーム、57…駐車ブレーキ操作伝達部材、60…エンジンカバー(下側エンジンカバー)、61…エアクリーナー、63…本体、62…上部張出部、65…接続部、66…エンジンルーム、67…エンジンカバー、68…上側エンジンカバー、70…連通用開口部、71…吸気用開口部、72…吸気用開口部、73…接続部材、74…防塵スクリーン、76…ゴム膜、77…挿入部、78…押え板、81…枠体、82…内側枠体、83…挿通孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン、特に、操縦部の構成に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの操縦部のパネル面に、「前進」等の副変速レバーの操作位置の表示を設けた構成は、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−33098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、単に、副変速レバー等の操作位置を示すのみであるから、そのときの作業状態や走行状態などの総合的な現況認識が非常に困難となり、意図しないエンジン停止等の作業障害や故障の発見の遅れなどが起きることがあり、操作性や作業性が低いという課題がある。
本願は、側部操作部の構成を工夫し、操作性や作業性を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、走行装置2の前方に刈取部4を、走行装置2の上方に脱穀装置3およびグレンタンク5を、夫々設け、前記グレンタンク5の前側に操縦部7を設け、該操縦部7の座席10の前側には前側操作部12を、座席10の前方側部には側部操作部13を夫々設け、該側部操作部13の上部のパネル面15には、前後進の走行速度操作を行う主変速レバー16と、エンジン回転に対する走行速度操作を行う副変速レバー18とを設け、該副変速レバー18の副変速シフト用溝19の近傍のパネル面15には、副変速レバー18の操作位置に対応した作業形態を示す作業形態表示22を設けたコンバインとしたものであり、パネル面15の操作主体表示20の「副変速」・「主変速」等に基づいて主変速レバー16および副変速レバー18等の操作対象を選択し、パネル面15の操作状態表示21の「走行」・「中立」・「標準」等に基づいて主変速レバー16および副変速レバー18等を操作し、機体を走行させて作業を行う。この主変速レバー16および副変速レバー18等の操作を行うに当たり、作業者は、作業形態表示22の「4条刈、中割、畦ぎわ」の表示から副変速レバー18の操作結果を予測し、現況と比較することで、適切な対処を行える。
即ち、作業形態表示22の表示の操作結果の予測と現況との対比から、現況の不具合を判断して、例えば、主変速レバー16の操作による走行速度によっては、刈取部4の回転が低くなってしまうことがあり、副変速レバー18を低速に操作することで、相対的に車速に対して刈取部4の作業速度を速くすることになり多条刈り等を適切に行えることになる。
本発明は、前記副変速シフト用溝19の近傍のパネル面15には、前記作業形態表示22および/または前記副変速レバー18の操作位置に対応した作業条件を表示する作業条件表示25を並設したコンバインとしたものであり、例えば、作業条件表示25の「倒伏」の表示と、圃場条件を対比することで、副変速レバー18の操作位置を最適位置に選択操作する。
本発明は、前記刈取部4に伝達する回転および前記脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置35の穀稈搬送速度は、前記走行装置2により機体の走行速度と同調して高低に変速するように構成し、前記刈取部4は、前方の分草装置30および分草装置30の後方に引起装置31等を圃場の進行方向の1条の穀稈列の各条に合わうように左右に並設すると共に、通常の刈取数「n条」に対して「n+1条」の刈取可能に構成し、該「n+1条」の最大刈取条数を前記作業形態表示22または作業条件表示25に表示するように構成したコンバインとしたものであり、例えば、通常の刈取数に対して1条余計に刈り取る最大刈取作業中では、と表示することで、穀稈供給搬送装置35の搬送速度を速くする等の操作を喚起して操作懈怠を防止する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項2の発明では、パネル面15の表示によって副変速レバー18等の操作対象の誤選択等の誤操作を防止できて、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項3の発明では、パネル面15の表示によって現況認識を容易にでき、その結果、迅速に対処でき、操作性および作業性を向上させることができる。
【実施例1】
【0006】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5はグレンタンク、6はグレンタンク5内の穀粒を排出する排出オーガ、7は操縦部7である。
前記操縦部7には、作業者が着座する座席10を設け、座席10の前側に作業者が乗降するステップ11を設け、ステップ11の前側には前側操作部12を設け、ステップ11の側部には側部操作部13を設ける。
【0007】
しかして、図6は、側部操作部13の上部のパネル面15を示し、16は主変速レバーであり、主変速レバー16により前進・後進の走行速度を変更する操作を行う。17は主変速レバー16の主変速シフト用溝である。主変速シフト用溝17の左側前方位置のパネル面15には副変速レバー18の副変速シフト用溝19を設ける。
【0008】
パネル面15には、「副変速」・「主変速」等の表示(操作主体表示)20を設ける。操作主体表示20は、主変速レバー16等の近傍に設け、主変速レバー16等の操作対象を選択するのを容易にする。
また、主変速レバー16等の近傍のパネル面15には、「走行」・「中立」・「標準」等の操作状態を示す表示(操作状態表示)21を設ける。
また、表示21は、操作状態に関連して「走行速で刈取作業をしないで下さい」や「トラック輸送時等は、駐車ブレーキをかけた後、主変速レバーを前進位置に操作して下さい。」等の操作の注意事項でもよく、表示21を設けることで、操作を容易にし、不用意な誤操作の発生を抑制し、操作性を向上させる。これらの表示21は、主変速レバー16等の操作部材の近傍のパネル面15に設けると、好適である。
【0009】
また、操作状態表示21の内の一部は作業形態表示22に構成する。作業形態表示22は、操作状態のうち副変速レバー18等の操作による操作結果に対して現況との比較を容易にし、操作性を向上させる。作業形態表示22の表示内容は任意であるが、一例を示すと、「4条刈、中割、畦ぎわ」と表示している。
【0010】
前記主変速レバー16は、図示は省略するが変速装置(HST)を介してエンジンの回転を走行装置2に伝達し、主変速レバー16により変速装置が最高速度のときは、副変速レバー18がどの副変速シフト位置でも刈取部4への伝達回転は同じであるが、副変速レバー18が低速に位置するときは、標準の車速と刈取部4の作業速度との割合に対して、車速に対する刈取部4の作業速度が相対的に速くなり、多条刈り、畦際刈りを行うと、刈取穀稈の搬送中の層厚が薄くなって搬送性能が向上する。
【0011】
そこで、特に、副変速レバー18を複数段階にシフト操作可能にすると共に、副変速シフト用溝19に隣接する位置のパネル面15に作業形態表示22を設け、作業者の副変速レバー18の操作を容易にし、操作性を向上させる。
【0012】
また、実施例の作業形態表示22には、作業形態と共に、作業条件を表示する表示(作業条件表示)25を並設する。実施例の作業条件表示25は「倒伏」と表示している。
即ち、圃場の穀稈が倒伏しているときは、走行速度に対して刈取部4の作業速度を速くすると、倒伏穀稈の「裁き」やキャッチング性能が向上するので、作業者が副変速レバー18を作業条件表示25の位置を選択操作するように、パネル面15に作業条件表示25を設けている。
【0013】
したがって、パネル面15の作業条件表示25を見るだけで、作業者は作業条件にあった操作を的確に選択でき、操作性を向上させ、また、誤操作の発生頻度も減少させることができる。
【0014】
前記作業形態表示22の表示内容のうち、「4条刈」は、前記刈取部4の通常の刈取数(3条)に対して1条足した条数による刈取作業を示すものである。
即ち、刈取部4は前方に分草装置30を左右に並設し、この分草装置30の後方に引起装置31等を設け、分草装置30および引起装置31等は、圃場の進行方向の1条の穀稈列の条に合わせて刈り取るように構成しているため、本来、刈取部4の刈取条数と前記分草装置30間の穀稈通路32の数とは一致するが、本実施例の刈取部4は、通常の刈取数は「n条」(図7のK)に対して「n+1」(図7のM)の刈取可能に構成する。
【0015】
そのため、通常の3条(図7のK)に対して畦際等の場合によっては「4条刈」となるので(図7のM)、作業形態表示22の「4条刈」に副変速レバー18をシフトするのである。
したがって、作業形態表示22には通常の刈取数「n+1」の最大刈取条数を表示するとよく、この「n+1」条の刈取作業中は、刈取作業速度に対して副変速レバー18を低速にして走行速度を遅くし、相対的に、エンジンの負荷を減少させるようにし、作業形態表示22に「n+1」条の刈取作業中の表示することで、過負荷防止する。
【0016】
しかして、前記脱穀装置3に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置35の穀稈搬送速度は、前記刈取部4とともに走行速度と同調して高低に変速するように構成し(図8、図9)、前記作業形態表示22および作業条件表示25をパネル面15に設ける。
【0017】
前記のように、通常の刈取数に対して1条余計に刈り取る最大刈取作業中では、穀稈供給搬送装置35の搬送速度を速くしないと、脱穀装置3で藁屑の発生が多くなり、脱穀ロスが増加し、また、「詰まり」の原因ともなるが、作業形態表示22に「n+1」条の刈取作業中の表示することで、副変速レバー18の作業形態表示22への操作を喚起して操作懈怠を防止するものである。
【0018】
前記穀稈供給搬送装置35の穀稈搬送速度を走行速度と同調させる構成は任意であるが、一例を示すと、図8のようであり、36はエンジン、37は変速装置、38はミッションケースであり、ミッションケース38に設けた変速装置37で走行速度と同調した回転を回転伝動軸40から穀稈供給搬送装置35および刈取部4へ伝達し、ミッションケース38内の副変速機構41を作用させて、変速装置37からの回転を変速させて走行装置2へ伝達させている。
【0019】
しかして、前側操作部12には、操向操作具(パワステレバー)42を設け、操向操作具42は前方に傾倒操作すると、刈取部4が下降し、後方に傾倒操作すると、刈取部4が上昇し、左右に傾倒操作して左右旋回を行う。
また、43は穀稈供給搬送装置35に引き継ぐ搬送穀稈の長さを検出する扱深さセンサ43Aにより自動的に扱深さを調節するようにする扱深さ自動スイッチであり、44は手動により扱深さを調節するようにする扱深さ手動調節スイッチである。
【0020】
しかして、前記パネル面15には、エンジンスロットルレバー45のガイド溝46を設け、該ガイド溝46の近傍のパネル面15には操作状態表示21の一部となるエンジン状態表示47を設ける。エンジン状態表示47はエンジンの回転数を表示する。
したがって、エンジンスロットルレバー45の操作位置に対応した回転数をエンジン状態表示47により表示しているので、作業者は、常時、エンジン36の回転を確認でき、穀粒排出時のエンジン停止による穀粒損傷(穀粒排出時は脱穀装置3を駆動させないので、穀粒排出時にエンジン回転が低いとエンストし、高いと損傷粒が発生)や、路上走行時のエンストを回避できる。
【0021】
また、ガイド溝46の近傍のパネル面15にエンジン状態表示47を設ければよいので、安価にエンジン回転数の表示を行える。
【0022】
しかして、主変速レバー16の主変速シフト用溝17は、前側に直線状の前進用溝50を設け、前進用溝50の後側に該前進用溝50に対して左右何れか一方にずらして直線状の後進用溝51を設け、前進用溝50と後進用溝51の間に左右方向の中間溝52を設け、該中間溝52の左右何れか一方側は側方に延長して駐車ブレーキの解除操作用溝53を設ける(図6、図10)。
【0023】
解除操作用溝53は、機体を固定する駐車ブレーキが掛かっているときの解除操作を主変速レバー16により行うものであり、中間溝52から解除操作用溝53に主変速レバー16を傾倒操作すると、固定状態の駐車ブレーキを解除する。
【0024】
この場合、中間溝52の左側に解除操作用溝53を設けるときには、後進用溝51と中間溝52の間に傾斜部を設けると、前進用溝50から後進用溝51への操作が円滑になって好適である(図6)。
【0025】
また、中間溝52の左右に解除操作用溝53を設けると、主変速レバー16が着座者の身体より離れつつ移動するので、前進用溝50から後進用溝51への操作の際に、解除操作用溝53に主変速レバー16が入るのが抑制されて好適である(図10)。
【0026】
したがって、前進用溝50から後進用溝51に主変速レバー16を操作するときに、主変速レバー16が解除操作用溝53に入ることがなく、前後進の操作性を向上させる。
【0027】
また、駐車ブレーキを作動させてロックしたときには、主変速レバー16を前進用溝50または後進用溝51の何れかに傾倒させておくと、不用意な駐車ブレーキ解除操作がされることがなく、誤操作および誤作動を防止する。
前記駐車ブレーキの構成は任意であるが、図11に、一例を示すと、55はミッションケース38内のサイドクラッチを移動させるアーム、56はワイヤ等の駐車ブレーキ解除操作伝達部材、57は駐車ブレーキ操作伝達部材、58はロック機構であり、駐車ブレーキ操作伝達部材57によりアーム55を介して駐車ブレーキを掛けるとロック機構58をロックし、主変速レバー16を解除操作用溝53にシフトすると、駐車ブレーキ解除操作伝達部材56がアーム55を操作して解除するとともに、ロック機構58を開放する。
【0028】
しかして、運転座席10は、側面視において、エンジン36の側部を包囲するエンジンカバー60の上方前側位置に設け、エンジンカバー60の上部後側にはエアクリーナー61を設ける(図2、図12)。
即ち、中型以下のコンバインでは、エンジン36が小さいため、座席10の下方に設けたエンジンカバー60によりエンジン36の側方を包囲すれば十分に吸気面積を確保できるので、エンジンカバー60の上縁前側に座席10を設け、座席10の後側にエアクリーナー61を設け、エアクリーナー61を、容積拡張のため前側上部を前方に張り出したグレンタンク5の上部張出部62と座席10により包囲された空間内に配置する。
【0029】
そのため、エアクリーナー61は、その本体63をエンジンカバー60の上縁より上方に露出させて設けることができ、取付が容易になり、また、エアクリーナー61を包囲するカバーが不要になるので、コストを低くし、軽量になる。
64はエアクリーナー61の吸気口であり、エンジンルーム66内に開口させる。65はエンジン36に接続する接続部である。
【0030】
また、前記エンジンカバー60は、その上方に別途カバーを設けることで、大型のコンバインの下側エンジンカバー60との共用が可能となり、この点でも、コストを低くする。
即ち、大型機用のエンジンカバーを別途製造するのではなく、大型機にも使用できる上下型エンジンカバー67を上下に分割し、そのうちの下側の下側エンジンカバー60を中型以下のコンバインの単体のエンジンカバーとし、一方、下側エンジンカバー60に上側エンジンカバー68を組合せて大型機用のエンジンカバー上下型エンジンカバー67とし、吸気面積を拡大するとともに、大型機と小型機とに共用する。
【0031】
しかして、上下型エンジンカバー67を上下に分割して形成したものにおいて、下側エンジンカバー60と上側エンジンカバー68との連結部分に連通用開口部70を設け(図19)、上側エンジンカバー68から吸った空気が下側エンジンカバー60を通ってエンジンルーム66内に流れるように構成する。
【0032】
即ち、上側エンジンカバー68はエアクリーナー61の側方に設け、上側エンジンカバー68と下側エンジンカバー60とは上下の連結部分の連通用開口部70で連通するようにし、上側エンジンカバー68の外側面から吸気した空気が下側エンジンカバー60を通ってエンジンルーム66内に流入させる。
【0033】
したがって、馬力の大きなエンジン36でも充分な吸気面積とすることができる。
また、上側エンジンカバー68は、吸気面積の相違するものを数種類用意すると、下側エンジンカバー60を共通にして上側エンジンカバー68を変更するだけで、上下型エンジンカバー67として対応可能となる。
また、上側エンジンカバー68の一部は、側面視において、座席10の一部と重なるように構成すると、座席10の存在に関わらず、上側エンジンカバー68の吸気面積を拡大できる(図16)。
【0034】
即ち、上側エンジンカバー68と下側エンジンカバー60を上下で連通する構成にすることで、上側エンジンカバー68の一部を座席10の一部と重なるように配置できるのである。
したがって、機体全長に影響せずに、上側エンジンカバー68の吸気面積を前後に長く拡大できる。
【0035】
しかして、エンジンルーム66への吸気は、下側エンジンカバー60の吸気用開口部71で行い、エアクリーナー61への吸気は上側エンジンカバー68の吸気用開口部72で行うように構成する。
上部のエアクリーナー61の吸気口64を下側エンジンカバー60側から行うには、エアクリーナー61の吸気口64への接続ホースを一旦エンジンルーム66内に入れてから、上側エンジンカバー68の吸気面側へホースを配策する必要があるが、エンジンルーム66への吸気は、下側エンジンカバー60の吸気用開口部71から行い、エアクリーナー61への吸気は接続部材(ホース)73を上側エンジンカバー68の吸気用開口部72に接続して行うので、エアクリーナー61の接続ホース73を直接上側エンジンカバー68に接続することができ、エアクリーナー61の本体63と吸気口64との間の距離を短くできる。
【0036】
なお、下側エンジンカバー60の吸気用開口部71および上側エンジンカバー68の吸気用開口部72の夫々には、防塵スクリーン74を設けている。
図20、図21は、エアクリーナー61の接続部材73の接続に関する実施例であり、前記上側エンジンカバー68(エンジンカバー60)には接続部材73の先端を挿入するゴム膜76を設ける。
したがって、上側エンジンカバー68を閉じたときには、エアクリーナー61の接続部材73がゴム膜76の挿入部77に挿入されて密着し、防塵効果を向上させる。また、上側エンジンカバー68を開けるときには、単に上側エンジンカバー68を開けるだけでよく、また、上側エンジンカバー68を開扉後はゴム膜76の挿入部77が閉塞するので、この点でも、防塵効果が高い。
78は押え板である。
【0037】
図22〜図25は、前記エアクリーナー61の接続部材73の接続に関する実施例であり、接続部材73の先端は、エンジンカバー60の防塵スクリーン74から外れた枠体81と対向するように配置すると、直接防塵スクリーン74から外気を吸引しないので、防塵スクリーン74を通過してしまうダストであっても吸引量を抑制する。
【0038】
即ち、接続部材73の先端は、防塵スクリーン74越しに直接吸引しないようにして、ダストの吸引量を抑制する。
したがって、接続部材73の先端は、正面視において(エンジンカバー60基準)、防塵スクリーン74から外れた枠体81と重なるように配置する。
82は枠体81の内側に設けた内側枠体、83は内側枠体82に設けた挿通孔であり、接続部材73の先端は内側枠体82を貫通して挿通孔83より突き出て枠体81の内面と対向する。
また、吸気口64の位置をエンジンカバー60の後側上方としているので、地面より離れ、更に、機体進行方向の後側となるので、ダストを吸引しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同側面図。
【図3】同平面図。
【図4】同正面図。
【図5】操縦部斜視図。
【図6】側部操作部のパネル面の平面図。
【図7】通常の刈取と「n+1」との関係を示す概略説明図。
【図8】回転伝達経路の概略図。
【図9】回転伝達の回転数の関係を示す概略説明図。
【図10】側部操作部のパネル面の平面図。
【図11】駐車ブレーキの操作機構の概略図。
【図12】エンジンカバー部分の側面図。
【図13】同背面図。
【図14】同平面図。
【図15】エンジンカバーの他の実施例の背面図。
【図16】同側面図。
【図17】同平面図。
【図18】同空気の流れを示す背面図。
【図19】同平面図。
【図20】エアクリーナーの接続に関する実施例の側面図。
【図21】同斜視図。
【図22】エアクリーナーに関する実施例の側面図。
【図23】同側面図。
【図24】同斜視図。
【図25】同断面図。
【符号の説明】
【0040】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部4、5…グレンタンク、6…排出オーガ、7…操縦部、10…座席、11…ステップ、12…前側操作部、13…側部操作部、15…パネル面、16…主変速レバー、17…主変速シフト用溝、18…副変速レバー、19…副変速シフト用溝、20…操作主体表示、21…操作状態表示、22…作業形態表示、25…作業条件表示、30…分草装置、31…引起装置、32…穀稈通路、35…穀稈供給搬送装置、36…エンジン、37…変速装置、38…ミッションケース、40…回転伝動軸、41…副変速機構、45…エンジンスロットルレバー、46…ガイド溝、47…エンジン状態表示、50…前進用溝、51…後進用溝、52…中間溝、53…解除操作用溝、55…アーム、57…駐車ブレーキ操作伝達部材、60…エンジンカバー(下側エンジンカバー)、61…エアクリーナー、63…本体、62…上部張出部、65…接続部、66…エンジンルーム、67…エンジンカバー、68…上側エンジンカバー、70…連通用開口部、71…吸気用開口部、72…吸気用開口部、73…接続部材、74…防塵スクリーン、76…ゴム膜、77…挿入部、78…押え板、81…枠体、82…内側枠体、83…挿通孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取部(4)を、走行装置(2)の上方に脱穀装置(3)およびグレンタンク(5)を、夫々設け、前記グレンタンク(5)の前側に操縦部(7)を設け、該操縦部(7)の座席(10)の前側には前側操作部(12)を、座席(10)の前方側部には側部操作部(13)を夫々設け、該側部操作部(13)の上部のパネル面(15)には、前後進の走行速度操作を行う主変速レバー(16)と、エンジン回転に対する走行速度操作を行う副変速レバー(18)とを設け、該副変速レバー(18)の副変速シフト用溝(19)の近傍のパネル面(15)には、副変速レバー(18)の操作位置に対応した作業形態を示す作業形態表示(22)を設けたコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記副変速シフト用溝(19)の近傍のパネル面(15)には、前記作業形態表示(22)および/または前記副変速レバー(18)の操作位置に対応した作業条件を表示する作業条件表示(25)を並設したコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記刈取部(4)に伝達する回転および前記脱穀装置(3)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置(35)の穀稈搬送速度は、前記走行装置(2)により機体の走行速度と同調して高低に変速するように構成し、前記刈取部(4)は、前方の分草装置(30)および分草装置(30)の後方に引起装置(31)等を圃場の進行方向の1条の穀稈列の各条に合わうように左右に並設すると共に、通常の刈取数「n条」に対して「n+1条」の刈取可能に構成し、該「n+1条」の最大刈取条数を前記作業形態表示(22)または作業条件表示(25)に表示するように構成したコンバイン。
【請求項1】
走行装置(2)の前方に刈取部(4)を、走行装置(2)の上方に脱穀装置(3)およびグレンタンク(5)を、夫々設け、前記グレンタンク(5)の前側に操縦部(7)を設け、該操縦部(7)の座席(10)の前側には前側操作部(12)を、座席(10)の前方側部には側部操作部(13)を夫々設け、該側部操作部(13)の上部のパネル面(15)には、前後進の走行速度操作を行う主変速レバー(16)と、エンジン回転に対する走行速度操作を行う副変速レバー(18)とを設け、該副変速レバー(18)の副変速シフト用溝(19)の近傍のパネル面(15)には、副変速レバー(18)の操作位置に対応した作業形態を示す作業形態表示(22)を設けたコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記副変速シフト用溝(19)の近傍のパネル面(15)には、前記作業形態表示(22)および/または前記副変速レバー(18)の操作位置に対応した作業条件を表示する作業条件表示(25)を並設したコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記刈取部(4)に伝達する回転および前記脱穀装置(3)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置(35)の穀稈搬送速度は、前記走行装置(2)により機体の走行速度と同調して高低に変速するように構成し、前記刈取部(4)は、前方の分草装置(30)および分草装置(30)の後方に引起装置(31)等を圃場の進行方向の1条の穀稈列の各条に合わうように左右に並設すると共に、通常の刈取数「n条」に対して「n+1条」の刈取可能に構成し、該「n+1条」の最大刈取条数を前記作業形態表示(22)または作業条件表示(25)に表示するように構成したコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−53943(P2007−53943A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241912(P2005−241912)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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