コンバイン
【課題】 穀稈が短稈である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穀稈の搬送姿勢を良好に確保すること。
【解決手段】 刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにした。従って、穀稈が短稈である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができて、フィードチェンに穀稈を確実に受け継ぐことができる。
【解決手段】 刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにした。従って、穀稈が短稈である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができて、フィードチェンに穀稈を確実に受け継ぐことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、刈取部により刈り取った穀稈を脱穀部に搬送し、同脱穀部により脱穀した穀粒を選別部により選別して、選別した清粒を貯留部に貯留する一方、排藁は排藁処理部にて細断処理するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、刈取部では、穀稈引起し装置により穀稈を引起し、掻込み装置により穀稈を掻き込むと共に刈刃装置により刈り取り、上部搬送体により穀稈の穂先部を脱穀部側へ搬送すると共に下部搬送機構と縦搬送機構とにより穀稈の株元部を挟扼して脱穀部側へ搬送し、同脱穀部の側方に配置したフィードチェンに穀稈を受け継ぐようにしている。
【0004】
この際、穀稈の長さは、穀稈の生育状況や稲の種類によって異なるため、縦搬送機構の後部側を昇降位置調節可能として、同縦搬送機構の後部側を昇降位置調節することにより、フィードチェンに受け継ぐ株元部の位置を調節することにより、脱穀部へ挿入される穂先部の位置を調節して、適正な扱深さが確保されるようにしている。
【特許文献1】特開平10−14359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記したコンバインの刈取部では、浅扱きする場合には、縦搬送機構の後部側を下降調節するために、同縦搬送機構の後部側と上部搬送体との間隔が大きく開いて、同上部搬送体から穂先部が外れて穀稈の搬送姿勢が崩れ、穂先部を脱穀部の適正位置に搬送することができないことがある。
【0006】
また、穀稈が短稈である場合にも、同様に穂先部を脱穀部の適正位置に搬送することができないことがあると共に、フィードチェンに確実に受け継がれずに詰まりを生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことを特徴とするコンバインを提供するものである。
【0008】
また、本発明は、穂先部搬送装置より穂先部ガイド体を設けると共に、同穂先部ガイド体は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
(1)請求項1記載の本発明では、刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしている。
【0010】
このようにして、搬送方向に伸延させて形成した短稈ガイド体を、縦搬送機構の上方近傍に配置して、同短稈ガイド体により短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしているため、穀稈が短稈である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができて、フィードチェンに穀稈を確実に受け継ぐことができる。
【0011】
その結果、刈取部からフィードチェンを介して脱穀部へ穀稈を搬送する作業を円滑にかつ確実に行うことができて、脱穀作業効率を向上させることができる。
【0012】
(2)請求項2記載の本発明では、穂先部搬送装置より穂先部ガイド体を設けると共に、同穂先部ガイド体は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしている。
【0013】
このようにして、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成した穂先部ガイド体を、穂先部搬送装置より垂設して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしているため、穀稈が短稈である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穂先部ガイド体により穂先部を確実に搬送ガイドすることができて、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができる。
【0014】
その結果、刈取部からフィードチェンに穀稈を確実に受け継ぐことができて、同フィードチェンにより穀稈の穂先部を脱穀部内にて移送させて、同脱穀部により穂先部を確実に脱穀することができる。従って、この点からも、脱穀作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示すAは、本発明に係る四条刈り用のコンバインであり、同コンバインAは、機体フレーム1の下方に左右一対の走行部2,2を設け、機体フレーム1の前端部に刈取部3を取り付け、機体フレーム1上の左側前部に脱穀部4を配設すると共に、同脱穀部4の下方に選別部5を配設する一方、後方に排藁処理部6を配設し、機体フレーム1上の右側前部に運転部7を配設すると共に、同運転部7の後方に穀粒貯留部8を配設している。
【0016】
図1中、10は、脱穀部4に設けた扱室、11は、同扱室10内に配置した扱胴、12は、上記扱室10内に穀稈の穂先部を挿入した状態にて、同穀稈を前方から後方へ移送させるフィードチェン、13は、選別部5に設けた揺動選別体、14は、同選別部5に設けた唐箕、15は、同選別部5に設けた一番コンベア、16は、同選別部5に設けた二番コンベア、17は、排藁処理部6に設けた排藁搬送機構、18は、同排藁処理部6に設けた排塵ファンである。
【0017】
刈取部3は、図1に示すように、機体フレーム1の左側前端部に立設した左右一対の支柱20,20の上端部間に、刈取フレーム21の基端部を枢支して、同刈取フレーム21を上下方向に回動させて昇降自在となしている。
【0018】
そして、刈取フレーム21には、穀稈を複数条(本実施の形態では四条)に分草する分草体22と、同分草体22により分草された四条の穀稈を引き起こす穀稈引起し装置23と、同穀稈引起し装置23により引き起こされた四条の穀稈の株元部を掻き込む株元部掻込み装置24と、同掻込み装置24により掻き込まれた穀稈の株元部を刈り取る刈刃装置25と、同刈刃装置25により刈り取られた四条の穀稈の下部を脱穀部4側へ搬送する下部搬送装置26と、同穀稈の上部を脱穀部4側へ搬送する上部搬送装置27と、同穀稈の穂先部を脱穀部4側へ搬送する穂先部搬送装置28と、上・下部搬送装置27,26から前記フィードチェン12に穀稈を受け渡す際の補助をする補助搬送装置29とを設けている。
【0019】
また、下部搬送装置26は、前下方に配置した下部搬送機構30と、後上方に配置した縦搬送機構31とから構成しており、同縦搬送機構31は、終端部側(後端部側)を昇降調節可能となして、穀稈の株元部を挟持したまま昇降調節することにより、穀稈の扱き深さを調節することができるようにしている。
【0020】
ここで、縦搬送機構31は、図2及び図3に示すように、チェン搬送機構32と挾扼体33とを対向状態に配置して、両者により穀稈の株元部を挟持した状態にて搬送することができるように構成している。
【0021】
上部搬送装置27は、図2及び図3に示すように、タイン搬送機構34と上部搬送ガイド体(図示せず)とを対向状態に配置して、両者により穀稈の上部を挟持した状態にて搬送することができるように構成している。
【0022】
穂先部搬送装置28は、図2及び図3に示すように、タイン搬送機構35と穂先部搬送ガイド体36とを対向状態に配置して、両者により穀稈の穂先部を係止した状態にて搬送することができるように構成している。
【0023】
そして、穂先部搬送ガイド体36は、タイン搬送機構35のタイン35aよりも上方に配置した上段搬送ガイド棒37と、同タイン35aの下方に配置した中段搬送ガイド棒38と、同中段搬送ガイド棒38よりも下方に配置した下段搬送ガイド棒39とを具備している。
【0024】
上段搬送ガイド棒37は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成し、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の上面後部に前端部を取り付ける一方、後述する上段ステー48の先端部48aに後部37bを取り付けている。
【0025】
中段搬送ガイド棒38は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成し、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の後端部に取付ブラケット41を介して前端部38aを取り付ける一方、後述する中段ステー49の先端部49aに後部38bを取り付けている。
【0026】
下段搬送ガイド棒39は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成して、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の後端部に取付ブラケット41を介して前端部39aを上記中段搬送ガイド棒38と一体的に取り付ける一方、後述する下段ステー50の先端部50aに後部39bを取り付けている。
【0027】
ここで、刈取フレーム21には、図1〜図3に示すように、サイドカバー体42の中途部から後方へ向けて外側中段フレーム形成片43を延設し、同外側中段フレーム形成片43の中途部に、連結ブラケット44を介して背面視門型に形成した門型フレーム45の左側下端部45aを連結する一方、刈取センターフレーム形成片(図示せず)に門型フレーム45の右側下端部を連結している。46は稈長検出センサである。
【0028】
そして、門型フレーム45の左側下端部45aに取付片47を内側方へ向けて突設し、同取付片47に上段ステー48と中段ステー49と下段ステー50と最下段ステー51とを、それぞれ各ステー48,49,50,51の先端部48a,49a,50a,51a間に、上下方向に高低差をもたせて取り付けており、上段ステー48の基端部48bと最下段ステー51の基端部51bは、取付片47を間にして第1取付ボルト52により着脱自在に共締めする一方、中段ステー49と下段ステー50は基端部53を一体成形して、同基端部53を取付片47に第2取付ボルト54により着脱自在にかつ一体的に取り付けている。
【0029】
このようにして、中段搬送ガイド棒38と下段搬送ガイド棒39は、取付ブラケット41と一体的に形成した中・下段ステー49,50とを介して一体的に着脱することができるようにして、取付作業の簡易化を図っている。
【0030】
補助搬送装置29は、図2及び図3に示すように、チェン搬送機構55と押圧弾性付勢体56とを対向状態に配置して構成しており、押圧弾性付勢体56は、支持片57に左右方向に伸延する前後一対の支持棒58,58を左右方向に摺動自在に取り付けると共に、チェン搬送機構55側にスプリング等の弾性手段(図示せず)により弾性付勢し、両支持棒58,58間にチェン搬送機構55の搬送方向に沿って伸延する押圧棒59を架設している。
【0031】
上記のような構成において、本発明の要旨は、縦搬送機構31の上方近傍に短稈ガイド体60を配置すると共に、同短稈ガイド体60は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成して、短稈K1の中途部を搬送ガイドするようにしている。
【0032】
すなわち、短稈ガイド体60は、前後方向に伸延する棒状に形成して、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の下面後端部に突設した連結用突片61に前端部60aを連結する一方、前記最下段ステー51の先端部51aに後部60bを取り付けている。
【0033】
ここで、短稈ガイド体60は、縦搬送機構31の上方位置でかつ補助搬送装置29の下方位置に配置して、図3に示すように、短稈K1の穂先部が下段搬送ガイド棒39の内側位置にて搬送ガイドされ、かつ、上部が補助搬送装置29に挟持され、かつ、株元部が縦搬送機構31に挟持されるようにしている。
【0034】
しかも、短稈ガイド体60の後部60bは、補助搬送装置29の押圧棒59の前部59aの直下方位置にて交差状となるように配置して、短稈ガイド体60の内方位置にて搬送ガイドされる短稈K1の中途部が、同短稈ガイド体60の後部60bから押圧棒59の前部59aに確実に受け渡されると共に、同押圧棒59の前部59aとチェン搬送機構55とに確実に挟持されて補助搬送されるようにしている。
【0035】
そして、長稈K2は、図3に示すように、穂先部が穂先部搬送装置28に係止され、かつ、中途部が補助搬送装置29に挟持され、かつ、株元部が縦搬送機構31に挟持されるようにしている。
【0036】
また、極短稈K3は、図3に示すように、穂先部が短稈ガイド体60の内側位置にて搬送ガイドされ、かつ、株元部が縦搬送機構31に挟持されるようにしている。
【0037】
このようにして、搬送方向に伸延させて形成した短稈ガイド体60を、縦搬送機構31の上方近傍に配置して、同短稈ガイド体60により極短稈K3の穂先部を搬送ガイドするようにしているため、穀稈が極短稈K3である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができて、フィードチェン12に穀稈を確実に受け継ぐことができる。
【0038】
その結果、刈取部3からフィードチェン12を介して脱穀部4へ穀稈を搬送する作業を円滑にかつ確実に行うことができて、脱穀作業効率を向上させることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、穂先搬送装置28を構成するタイン搬送機構35のタイン搬送ケース62の外側縁部より穂先部ガイド体63を垂設すると共に、同穂先部ガイド体63は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈K1の穂先部を前記短稈ガイド体60と協働して搬送ガイドするようにしている。
【0040】
このようにして、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成した穂先部ガイド体63を、タイン搬送ケース62より垂設して、短稈K1の穂先部を前記短稈ガイド体60と協働して搬送ガイドするようにしているため、穀稈が短稈K1である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穂先部ガイド体63により穂先部を確実に搬送ガイドすることができて、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができる。
【0041】
その結果、刈取部3からフィードチェン12に穀稈を確実に受け継ぐことができて、同フィードチェン12により穀稈の穂先部を脱穀部4内にて移送させて、同脱穀部4により穂先部を確実に脱穀することができる。従って、この点からも、脱穀作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るコンバインの側面図。
【図2】同コンバインに設けた短稈ガイド体の側面図。
【図3】同短稈ガイド体の斜視図。
【符号の説明】
【0043】
24 株元部掻込み装置
25 刈刃装置
26 下部搬送装置
27 上部搬送装置
28 穂先部搬送装置
29 補助搬送装置
30 下部搬送機構
31 縦搬送機構
37 上段搬送ガイド棒
38 中段搬送ガイド棒
39 下段搬送ガイド棒
60 短稈ガイド体
63 穂先部ガイド体
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、刈取部により刈り取った穀稈を脱穀部に搬送し、同脱穀部により脱穀した穀粒を選別部により選別して、選別した清粒を貯留部に貯留する一方、排藁は排藁処理部にて細断処理するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、刈取部では、穀稈引起し装置により穀稈を引起し、掻込み装置により穀稈を掻き込むと共に刈刃装置により刈り取り、上部搬送体により穀稈の穂先部を脱穀部側へ搬送すると共に下部搬送機構と縦搬送機構とにより穀稈の株元部を挟扼して脱穀部側へ搬送し、同脱穀部の側方に配置したフィードチェンに穀稈を受け継ぐようにしている。
【0004】
この際、穀稈の長さは、穀稈の生育状況や稲の種類によって異なるため、縦搬送機構の後部側を昇降位置調節可能として、同縦搬送機構の後部側を昇降位置調節することにより、フィードチェンに受け継ぐ株元部の位置を調節することにより、脱穀部へ挿入される穂先部の位置を調節して、適正な扱深さが確保されるようにしている。
【特許文献1】特開平10−14359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記したコンバインの刈取部では、浅扱きする場合には、縦搬送機構の後部側を下降調節するために、同縦搬送機構の後部側と上部搬送体との間隔が大きく開いて、同上部搬送体から穂先部が外れて穀稈の搬送姿勢が崩れ、穂先部を脱穀部の適正位置に搬送することができないことがある。
【0006】
また、穀稈が短稈である場合にも、同様に穂先部を脱穀部の適正位置に搬送することができないことがあると共に、フィードチェンに確実に受け継がれずに詰まりを生じることがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことを特徴とするコンバインを提供するものである。
【0008】
また、本発明は、穂先部搬送装置より穂先部ガイド体を設けると共に、同穂先部ガイド体は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
(1)請求項1記載の本発明では、刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしている。
【0010】
このようにして、搬送方向に伸延させて形成した短稈ガイド体を、縦搬送機構の上方近傍に配置して、同短稈ガイド体により短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしているため、穀稈が短稈である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができて、フィードチェンに穀稈を確実に受け継ぐことができる。
【0011】
その結果、刈取部からフィードチェンを介して脱穀部へ穀稈を搬送する作業を円滑にかつ確実に行うことができて、脱穀作業効率を向上させることができる。
【0012】
(2)請求項2記載の本発明では、穂先部搬送装置より穂先部ガイド体を設けると共に、同穂先部ガイド体は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしている。
【0013】
このようにして、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成した穂先部ガイド体を、穂先部搬送装置より垂設して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしているため、穀稈が短稈である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穂先部ガイド体により穂先部を確実に搬送ガイドすることができて、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができる。
【0014】
その結果、刈取部からフィードチェンに穀稈を確実に受け継ぐことができて、同フィードチェンにより穀稈の穂先部を脱穀部内にて移送させて、同脱穀部により穂先部を確実に脱穀することができる。従って、この点からも、脱穀作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に示すAは、本発明に係る四条刈り用のコンバインであり、同コンバインAは、機体フレーム1の下方に左右一対の走行部2,2を設け、機体フレーム1の前端部に刈取部3を取り付け、機体フレーム1上の左側前部に脱穀部4を配設すると共に、同脱穀部4の下方に選別部5を配設する一方、後方に排藁処理部6を配設し、機体フレーム1上の右側前部に運転部7を配設すると共に、同運転部7の後方に穀粒貯留部8を配設している。
【0016】
図1中、10は、脱穀部4に設けた扱室、11は、同扱室10内に配置した扱胴、12は、上記扱室10内に穀稈の穂先部を挿入した状態にて、同穀稈を前方から後方へ移送させるフィードチェン、13は、選別部5に設けた揺動選別体、14は、同選別部5に設けた唐箕、15は、同選別部5に設けた一番コンベア、16は、同選別部5に設けた二番コンベア、17は、排藁処理部6に設けた排藁搬送機構、18は、同排藁処理部6に設けた排塵ファンである。
【0017】
刈取部3は、図1に示すように、機体フレーム1の左側前端部に立設した左右一対の支柱20,20の上端部間に、刈取フレーム21の基端部を枢支して、同刈取フレーム21を上下方向に回動させて昇降自在となしている。
【0018】
そして、刈取フレーム21には、穀稈を複数条(本実施の形態では四条)に分草する分草体22と、同分草体22により分草された四条の穀稈を引き起こす穀稈引起し装置23と、同穀稈引起し装置23により引き起こされた四条の穀稈の株元部を掻き込む株元部掻込み装置24と、同掻込み装置24により掻き込まれた穀稈の株元部を刈り取る刈刃装置25と、同刈刃装置25により刈り取られた四条の穀稈の下部を脱穀部4側へ搬送する下部搬送装置26と、同穀稈の上部を脱穀部4側へ搬送する上部搬送装置27と、同穀稈の穂先部を脱穀部4側へ搬送する穂先部搬送装置28と、上・下部搬送装置27,26から前記フィードチェン12に穀稈を受け渡す際の補助をする補助搬送装置29とを設けている。
【0019】
また、下部搬送装置26は、前下方に配置した下部搬送機構30と、後上方に配置した縦搬送機構31とから構成しており、同縦搬送機構31は、終端部側(後端部側)を昇降調節可能となして、穀稈の株元部を挟持したまま昇降調節することにより、穀稈の扱き深さを調節することができるようにしている。
【0020】
ここで、縦搬送機構31は、図2及び図3に示すように、チェン搬送機構32と挾扼体33とを対向状態に配置して、両者により穀稈の株元部を挟持した状態にて搬送することができるように構成している。
【0021】
上部搬送装置27は、図2及び図3に示すように、タイン搬送機構34と上部搬送ガイド体(図示せず)とを対向状態に配置して、両者により穀稈の上部を挟持した状態にて搬送することができるように構成している。
【0022】
穂先部搬送装置28は、図2及び図3に示すように、タイン搬送機構35と穂先部搬送ガイド体36とを対向状態に配置して、両者により穀稈の穂先部を係止した状態にて搬送することができるように構成している。
【0023】
そして、穂先部搬送ガイド体36は、タイン搬送機構35のタイン35aよりも上方に配置した上段搬送ガイド棒37と、同タイン35aの下方に配置した中段搬送ガイド棒38と、同中段搬送ガイド棒38よりも下方に配置した下段搬送ガイド棒39とを具備している。
【0024】
上段搬送ガイド棒37は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成し、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の上面後部に前端部を取り付ける一方、後述する上段ステー48の先端部48aに後部37bを取り付けている。
【0025】
中段搬送ガイド棒38は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成し、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の後端部に取付ブラケット41を介して前端部38aを取り付ける一方、後述する中段ステー49の先端部49aに後部38bを取り付けている。
【0026】
下段搬送ガイド棒39は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成して、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の後端部に取付ブラケット41を介して前端部39aを上記中段搬送ガイド棒38と一体的に取り付ける一方、後述する下段ステー50の先端部50aに後部39bを取り付けている。
【0027】
ここで、刈取フレーム21には、図1〜図3に示すように、サイドカバー体42の中途部から後方へ向けて外側中段フレーム形成片43を延設し、同外側中段フレーム形成片43の中途部に、連結ブラケット44を介して背面視門型に形成した門型フレーム45の左側下端部45aを連結する一方、刈取センターフレーム形成片(図示せず)に門型フレーム45の右側下端部を連結している。46は稈長検出センサである。
【0028】
そして、門型フレーム45の左側下端部45aに取付片47を内側方へ向けて突設し、同取付片47に上段ステー48と中段ステー49と下段ステー50と最下段ステー51とを、それぞれ各ステー48,49,50,51の先端部48a,49a,50a,51a間に、上下方向に高低差をもたせて取り付けており、上段ステー48の基端部48bと最下段ステー51の基端部51bは、取付片47を間にして第1取付ボルト52により着脱自在に共締めする一方、中段ステー49と下段ステー50は基端部53を一体成形して、同基端部53を取付片47に第2取付ボルト54により着脱自在にかつ一体的に取り付けている。
【0029】
このようにして、中段搬送ガイド棒38と下段搬送ガイド棒39は、取付ブラケット41と一体的に形成した中・下段ステー49,50とを介して一体的に着脱することができるようにして、取付作業の簡易化を図っている。
【0030】
補助搬送装置29は、図2及び図3に示すように、チェン搬送機構55と押圧弾性付勢体56とを対向状態に配置して構成しており、押圧弾性付勢体56は、支持片57に左右方向に伸延する前後一対の支持棒58,58を左右方向に摺動自在に取り付けると共に、チェン搬送機構55側にスプリング等の弾性手段(図示せず)により弾性付勢し、両支持棒58,58間にチェン搬送機構55の搬送方向に沿って伸延する押圧棒59を架設している。
【0031】
上記のような構成において、本発明の要旨は、縦搬送機構31の上方近傍に短稈ガイド体60を配置すると共に、同短稈ガイド体60は、穀稈の搬送方向(前後方向)に伸延させて形成して、短稈K1の中途部を搬送ガイドするようにしている。
【0032】
すなわち、短稈ガイド体60は、前後方向に伸延する棒状に形成して、上部搬送装置27のタイン搬送機構34の下面後端部に突設した連結用突片61に前端部60aを連結する一方、前記最下段ステー51の先端部51aに後部60bを取り付けている。
【0033】
ここで、短稈ガイド体60は、縦搬送機構31の上方位置でかつ補助搬送装置29の下方位置に配置して、図3に示すように、短稈K1の穂先部が下段搬送ガイド棒39の内側位置にて搬送ガイドされ、かつ、上部が補助搬送装置29に挟持され、かつ、株元部が縦搬送機構31に挟持されるようにしている。
【0034】
しかも、短稈ガイド体60の後部60bは、補助搬送装置29の押圧棒59の前部59aの直下方位置にて交差状となるように配置して、短稈ガイド体60の内方位置にて搬送ガイドされる短稈K1の中途部が、同短稈ガイド体60の後部60bから押圧棒59の前部59aに確実に受け渡されると共に、同押圧棒59の前部59aとチェン搬送機構55とに確実に挟持されて補助搬送されるようにしている。
【0035】
そして、長稈K2は、図3に示すように、穂先部が穂先部搬送装置28に係止され、かつ、中途部が補助搬送装置29に挟持され、かつ、株元部が縦搬送機構31に挟持されるようにしている。
【0036】
また、極短稈K3は、図3に示すように、穂先部が短稈ガイド体60の内側位置にて搬送ガイドされ、かつ、株元部が縦搬送機構31に挟持されるようにしている。
【0037】
このようにして、搬送方向に伸延させて形成した短稈ガイド体60を、縦搬送機構31の上方近傍に配置して、同短稈ガイド体60により極短稈K3の穂先部を搬送ガイドするようにしているため、穀稈が極短稈K3である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができて、フィードチェン12に穀稈を確実に受け継ぐことができる。
【0038】
その結果、刈取部3からフィードチェン12を介して脱穀部4へ穀稈を搬送する作業を円滑にかつ確実に行うことができて、脱穀作業効率を向上させることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、穂先搬送装置28を構成するタイン搬送機構35のタイン搬送ケース62の外側縁部より穂先部ガイド体63を垂設すると共に、同穂先部ガイド体63は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈K1の穂先部を前記短稈ガイド体60と協働して搬送ガイドするようにしている。
【0040】
このようにして、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成した穂先部ガイド体63を、タイン搬送ケース62より垂設して、短稈K1の穂先部を前記短稈ガイド体60と協働して搬送ガイドするようにしているため、穀稈が短稈K1である場合でも、また、穂先部の扱深さが浅扱きの場合でも、穂先部ガイド体63により穂先部を確実に搬送ガイドすることができて、穀稈の搬送姿勢を良好に確保することができる。
【0041】
その結果、刈取部3からフィードチェン12に穀稈を確実に受け継ぐことができて、同フィードチェン12により穀稈の穂先部を脱穀部4内にて移送させて、同脱穀部4により穂先部を確実に脱穀することができる。従って、この点からも、脱穀作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るコンバインの側面図。
【図2】同コンバインに設けた短稈ガイド体の側面図。
【図3】同短稈ガイド体の斜視図。
【符号の説明】
【0043】
24 株元部掻込み装置
25 刈刃装置
26 下部搬送装置
27 上部搬送装置
28 穂先部搬送装置
29 補助搬送装置
30 下部搬送機構
31 縦搬送機構
37 上段搬送ガイド棒
38 中段搬送ガイド棒
39 下段搬送ガイド棒
60 短稈ガイド体
63 穂先部ガイド体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、
縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
穂先部搬送装置より穂先部ガイド体を設けると共に、同穂先部ガイド体は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
刈り取られた穀稈の穂先部を係止して搬送する穂先部搬送装置と、同穀稈の株元部を挟持して搬送する縦搬送機構とにより、穀稈をフィードチェンに受け渡すようにしたコンバインにおいて、
縦搬送機構の上方近傍に短稈ガイド体を配置すると共に、同短稈ガイド体は、搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
穂先部搬送装置より穂先部ガイド体を設けると共に、同穂先部ガイド体は、薄肉板状体を搬送方向に伸延させて形成して、短稈である穀稈の穂先部を搬送ガイドするようにしたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2007−75037(P2007−75037A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268843(P2005−268843)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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