コンバイン
【課題】運転部に設けた操作具と走行機体に設けた操作対象装置とを連動させるものでありながら、運転部内への塵埃流入を回避しやすいコンバインを提供する。
【解決手段】運転部3に人為操作自在に設けた操作具30と走行機体に設けた操作対象装置64の操作部64aとを連動させる連動機構50に、押し引き連動杆52を備えてある。操作具30の支持部材31を、運転部3の内部と外部とを仕切る仕切り部材90よりも運転部3の内側に配置してある。押し引き連動杆52を、仕切り部材90を貫通するよう配置してある。
【解決手段】運転部3に人為操作自在に設けた操作具30と走行機体に設けた操作対象装置64の操作部64aとを連動させる連動機構50に、押し引き連動杆52を備えてある。操作具30の支持部材31を、運転部3の内部と外部とを仕切る仕切り部材90よりも運転部3の内側に配置してある。押し引き連動杆52を、仕切り部材90を貫通するよう配置してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン、詳しくは走行機体に設けた操作対象装置のための操作具を運転部に人為操作自在に設けたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転部2に設けた伝動切り換えペダル95、ミッションケース14に設けたクラッチバルブ76、前記伝動切り換えペダル95と前記クラッチバルブ76の操作部材76cとを連結する操作ケーブル113および出力アーム111を備えたコンバインが記載されている。
前記伝動切り換えペダル95の回転支軸110は、運転部床94よりも運転部2の外側に配置されている。(各符号は、公報に記載されたものである。)
【0003】
【特許文献1】特開2006−115740号公報(段落〔0055〕、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作具を運転部に設けるのに、上記した従来の技術を採用すると、操作具が運転部の内部と外部とを仕切る仕切り部材(たとえば運転部床)を貫通することにより、そして、操作具が操作具孔で動くことから操作具孔が操作具に比して大きな孔になりがちであることにより、運転部の外部から操作具孔を介して内部に塵埃が入り込む問題、あるいは防塵対策を必要とする問題が発生しがちであった。
【0005】
本発明の目的は、運転部に設けた操作具と走行機体に設けた操作対象装置とを連動させるものでありながら、上記した問題の発生を回避しやすいコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、コンバインにおいて、
運転部に人為操作自在に設けた操作具と走行機体に設けた操作対象装置の操作部とを連動させる連動機構に、押し引き連動杆又は操作ケーブルを備え、
前記操作具の支持部材を、前記運転部の内部と外部とを仕切る仕切り部材よりも前記運転部内側に配置するとともに、前記押し引き連動杆又は前記操作ケーブルを、前記仕切り部材を貫通するよう配置してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、操作具を操作されると、押し引き連動杆にあっては押し引き連動杆そのものがこれの軸芯方向に動いて、操作ケーブルにあってはケーブルがこの軸芯方向に動いて操作対象装置の操作部に操作力を伝達されるから、押し引き連動杆又は操作ケーブルが貫通するよう仕切り部材に設ける連動杆孔又はケーブル孔としては、操作具が仕切り部材を貫通する場合の操作具孔に比して小さくて塵埃流入を回避しやすい孔で済ませることができる。
【0008】
したがって、押し引き連動杆又は操作ケーブルを備えた連動機構によって操作具と操作対象装置とを連結して操作構造を安価に得ることができるものでありながら、運転部内への塵埃流入を回避しやすくて快適に運転できるコンバインを得ることができる。しかも、防塵対策を省略したり小規模なものに済ませたりしてこの面からも安価に得ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記支持部材と前記連動機構の操作具側部材とを収容する収容室を前記仕切り部材の内面側に形成する内壁部材を、前記運転部の内部に設け、前記操作具が前記内壁部材を貫通して支持されている。
【0010】
本第2発明の構成によると、本第1発明の構成による作用、効果を備えるに加え、次の作用、効果を備える。
【0011】
仕切り部材の連動杆孔又はケーブル孔から塵埃が流入しても、内壁部材による遮蔽により、内壁部材よりも運転部内側に流入しにくくなる。また、支持部材や操作具側部材が収容室に収容されて、支持部材や、連動機構の操作具側部材の運転部内への露出を回避できる。
【0012】
したがって、運転部内への塵埃流入をより回避しやすいともに支持部材や連動機構の運転部内への露出が無くてより快適に運転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体平面図である。こられの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ式走行装置1を有し、かつ運転キャビン2が装備された運転部3を有した走行機体と、この走行機体の機体フレーム4の前端部に連結された刈取り部5とを備え、前記機体フレーム4の後端側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置6と穀粒タンク7とを備えている。
【0014】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行う。
すなわち、前記走行機体は、運転部3が備える運転座席8の下方に位置する原動部に設けたエンジン9と、前記機体フレーム4の前端部に設けたミッションケース10とを備え、前記エンジン9の出力を前記ミッションケース10に入力して前進駆動力と後進駆動力とに変換し、この前進駆動力や後進駆動力を前記クローラ式走行装置1に伝達してこのクローラ走行装置1を駆動することによって前進側や後進側に走行する。
【0015】
前記走行機体は、前記エンジン9からの駆動力を前記ミッションケース10を介して前記刈取り部5に伝達してこの刈取り部5を駆動する。
【0016】
前記刈取り部5は、刈取り部フレームと前記機体フレーム4とにわたって設けた昇降シリンダ(図示せず)によって前記刈取り部フレームが機体フレーム4に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部5の前端部に走行機体横方向に並んで位置する分草具11が地面近くに下降した下降作業状態と、前記分草具11が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。刈取り部5を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部5は、前記各分草具11によって植立穀稈を走行機体横方向に並ぶ複数の引起し装置12のうちの対応する引起し装置12に導入し、各引起し装置12が引起し処理する植立穀稈を一つのバリカン形の刈取り装置13によって刈取り処理し、刈取り装置13から刈取り穀稈を供給装置14によって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置6に供給する。
【0017】
前記脱穀装置6は、前記供給装置14からの刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーンによって挟持して脱穀装置後方側に搬送しながら刈取り穀稈の穂先側を扱室に供給して、刈取り穀稈の脱穀処理を行う。前記穀粒タンク7は、脱穀装置6からの脱穀粒を回収して貯留し、貯留した脱穀粒を縦スクリューコンベヤ15と横スクリューコンベヤ16とによって搬出する。
【0018】
図4は、前記運転部3の側面図である。この図と図1とに示すように、前記運転部3は、前記運転キャビン2と前記運転座席8とを備える他、エンジンボンネットに兼用の座席支持台17と、座席支持台17の前側に位置する運転部床18と、運転座席8の走行機体横内側での横側方に位置する横壁19とを備えて構成してある。
【0019】
前記運転キャビン2と前記座席支持台17と前記運転部床18と前記横壁19とは、連結されて一つの構造体になっている。図5は、原動部の後面図である。図6は、運転部の斜視図である。これらの図に示すように、前記座席支持台17は、運転座席8の後側に配置して座席支持台17の天板部に連設された吸気ケース20を備えている。この吸気ケース20は、エンジン用のエヤクリーナ21を収容している。前記横壁19は、これの上端部に連設された横操作盤22を備えている。
【0020】
図2,5に示すように、前記運転部3は、前記吸気ケース20の横端部の後側に配置して運転部フレームに連結した連結筒体23を、前記走行機体の機体フレーム4に立設された支柱24の上端部に回転自在に連結することによって走行機体に回転自在に支持されている。これにより、前記運転部3は、前記支柱24の軸芯であって、運転部3の後端側で、かつ走行機体横方向での内側に位置する走行機体上下向きの開閉軸芯Pまわりに走行機体に対して揺動開閉する。
【0021】
前記支柱24は、エンジン冷却用ラジエータ25を支持させるよう機体フレーム4に立設された原動部フレーム26に連結されている。前記支柱24は、前記連結筒体23の上端部に相対回転自在に連結しているホルダ27と、このホルダ27を支柱24に連結している支持杆28とを介して連結筒体23の上端端側を支持している。
【0022】
図3は、コンバインの運転部開き状態での全体平面図である。図7は、運転部3の開き状態での平面図である。これらの図に示すように、運転部3を前記開閉軸芯Pまわりに走行機体横外側に回動操作し、運転部3の前端側が走行機体の横外側に位置すると、運転部3が開き状態となって原動部の内部と、前記ミッションケース10の横側方とを開放し、エンジン9やラジエータ25、ミッションケース10の点検や修理が行いやすくなる。このとき、前記穀粒タンク7を前記縦スクリューコンベヤ15の軸芯まわりに走行機体の横外側に揺動させ、運転部3のタンク搭載スペースへの入り込みを可能にする。
【0023】
図2は、コンバインの運転部閉じ状態での全体平面図である。この図に示すように、運転部3を前記開閉軸芯Pまわりに走行機体内側に回動操作し、運転部3の前後向きが走行機体の前後向きになると、運転部3が閉じ状態となって原動部の内部を座席支持台17によって覆い、ミッションケース10の横側方を横壁19によって覆う。
【0024】
図4,6に示すように、前記運転部3は、前記横操作盤22の前端側に設けた主変速レバー30を備えている。
【0025】
図10に示すように、前記主変速レバー30は、アシストギヤ41のボス部41aを介して支軸31に回動自在に支持されている。図8,9に示すように、前記主変速レバー30は、この主変速レバー30の基部に一体回転自在に連結された出力アーム51を備えた変速操作用の連動機構50(以下、変速用連動機構50と呼称する。)により、前記ミッションケース10に設けた静油圧式無段変速装置で成る走行主変速装置32の回転軸形の操作部32aに連結されている。
【0026】
前記支軸31は、運転部フレーム33に連結されたモータ取り付けプレート34と、運転部フレーム35に連結された支持プレート36とに支持されている。
【0027】
図8,9,12に示すように、前記変速用連動機構50は、前記出力アーム51を備える他、この出力アーム51に一端側が連結された走行機体上下向きの押し引き連動杆52と、この押し引き連動杆52の下端に延出端部が連結された操作アーム53とを備えて構成してある。
【0028】
前記操作アーム53は、前記走行主変速装置32の前記操作部32aに一体回転自在に連結されている。前記押し引き連動杆52は、これの下端側に設けた防振部54を備え、この防振部54に内装された防振ゴムの作用により、前記操作部32aの回転振動の主変速レバー30への伝達を抑制する。
【0029】
前記主変速レバー30には、前記アシストギヤ41を備えた電動アシスト機構40が連動されている。
【0030】
図9,10,12に示すように、前記電動アシスト機構40は、前記アシストギヤ41を備える他、前記モータ取り付けフレーム34に支持された電動式のアシストモータ42を備え、このアシストモータ42の出力ギヤ42aと前記アシストギヤ41とを連動させる減速伝動ギヤ43を備え、アシストギヤ41のボス部41aに装着した摩擦機構44を備えている。
【0031】
前記減速伝動ギヤ43は、前記出力ギヤ42aに噛み合った大径ギヤ43aと、前記アシストギヤ41に噛み合った小径ギヤ43bとを一体回転自在に備えて構成してあり、アシストモータ42の出力ギヤ42aによる出力を減速してアシストギヤ41に伝達する。図10に示すように、前記摩擦機構44は、前記アシストギヤ41と主変速レバー30の基部30aとを摩擦連動させる。
【0032】
つまり、主変速レバー30を支軸31の走行機体横向き軸芯まわりに、前記横操作盤22に設けたガイド溝37(図6参照)に沿わせて走行機体前後方向に揺動操作する。すると、電動アシスト機構40は、主変速レバー30に設けてあるアシストスイッチ(図示せず)がオンに切り換わってアシストモータ42が駆動され、このアシストモータ42が減速伝動ギヤ43を介してアシストギヤ41を駆動し、このアシストギヤ41が摩擦機構44を介して主変速レバー30を揺動操作することにより、作業者による主変速レバー30の揺動操作を補助する。主変速レバー30が揺動操作されると、前記変速用連動機構50は、主変速レバー30によって揺動操作される出力アーム51によって押し引き連動杆52を押し引き操作し、この押し引き連動杆52によって操作アーム53を揺動操作して操作部32aを回転操作する。したがって、主変速レバー30を揺動操作することにより、走行主変速装置32を中立状態と前進状態と後進状態とに変速操作でき、かつ走行主変速装置32を前進側においても後進側においても無段階に変速操作できる。
【0033】
図8,9に示すように、前記押し引き連動杆52は、前記出力アーム51に連結された分割連動杆52aと、前記防振部54を備えた分割連動杆52bとを2本の連結ボルト54,54によって連結することによって構成してある。
【0034】
前記押し引き連動杆52は、運転部3を開閉する際、前記2本の連結ボルト54,54による連結解除によってレバー側の分割連動杆52aと,変速装置側の分割連動杆52bとに分離されることにより、主変速レバー30を運転部3と共に移動するように走行主変速装置32と分離させる。
【0035】
図4,6に示すように、前記運転部3は、この運転部3の前端側の前記横壁19の近くに設けたブレーキペダル60を備えている。
【0036】
図8,9,11に示すように、前記ブレーキペダル60は、前記横壁19の外側で運転部3に位置する支持部材61に支持された走行機体上下向きのガイドレール62に一端部が摺動自在に支持されたペダル支軸60aと、このペダル支軸60aの他端部にアーム部60bで連結されたペダル本体60cとを備えて構成してある。前記ペダル支軸60aは、ガイドレール62に転動自在に係入した樹脂製のローラ63を介して前記ガイドレール62に支持されている。
【0037】
前記プレーキペダル60は、前記ペダル支軸60aに下端部が回転不能に連結された走行機体上下向きの連動杆71を備えたブレーキ用の連動機構70(以下、ブレーキ用連動機構70と呼称する。)により、前記ミッションケース10に設けた走行ブレーキ64の揺動アーム式の操作部64aに連結されている。
【0038】
図8,9,12,16に示すように、前記ブレーキ用連動機構70は、前記連動杆71を備える他、この連動杆71の上端部に入力アーム72aが連結された揺動リンク72と、この揺動リンク72の出力アーム72bにスプリング73を介して一端側が連結された操作ケーブル74とを備えて構成してある。前記揺動リンク72は、前記支持プレート36に支軸75を介して揺動自在に支持されている。前記操作ケーブル74の他端側は、前記走行ブレーキ64の操作部64aに連結されている。
【0039】
前記連動杆71は、ペダル支軸60aのガイドレール62に対する回転を阻止する。これにより、ブレーキペダル60は、横壁19に設けた走行機体上下向きの直線形のペダル孔65(図4,6参照)に沿って、ペダル本体60cが上向きになった取り付け姿勢に連動杆71によって維持された状態で走行機体上下方向にスライド昇降する。
【0040】
つまり、ブレーキペダル60を前記連動リンク72の出力アーム72bに連結されたリターンスプリング76に抗して、前記ガイド孔65に沿わせて踏み込み操作する。すると、ブレーキ用連動機構70は、ブレーキペダル60によって下降操作される連動杆71によって連動リンク72を揺動操作し、この連動リンク72の出力アーム72bによってスプリング73を介して操作ケーブル74を引っ張り操作し、この操作ケーブル74によって走行ブレーキ64の操作部64aを揺動操作する。これにより、ブレーキペダル60を踏み込み操作することにより、走行ブレーキ64を入り状態に操作できる。
【0041】
図11に示すように、前記ブレーキ用連動機構70は、前記支持プレート36に揺動自在に支持された駐車ブレーキフック77を備えている。
すなわち、ブレーキ用連動機構70は、前記ブレーキペダル60を踏み込み操作した状態で、前記駐車ブレーキフック77に連設された操作アーム78によって駐車ブレーキフック77を解除スプリング79に抗して前記連動リンク72の方に揺動操作して、駐車ブレーキフック77を前記入力アーム72aに係止させることにより、連動リンク72の前記リターンスプリング76による復帰揺動を駐車ブレーキフック77によって阻止し、これによって走行ブレーキ64を入り状態に維持して駐車ブレーキとして作用させる。
【0042】
図9に示すように、前記ブレーキ用連動機構70は、前記連動リンク72の前記入力アーム72aに設けた操作軸81を有した強制停止機構80を備えている。
【0043】
図13に示すように、前記強制停止機構80は、前記操作軸81を備える他、前記出力アーム51に一端側が連結された一対の引き戻しリンク82,82を備えている。前記各引き戻しリンク82は、前記操作軸81が摺動自在に係入するように構成して引き戻しリンク82の他端側に設けた長孔83を備えている。
【0044】
図13(a)は、前記強制停止機構80の非作用状態での側面図である。この図に示すように、強制停止機構80は、ブレーキペダル60がブレーキ切り位置OFFにあると、非作用状態となり、前記操作軸81を前記入力アーム72aの上昇揺動によって前記支持プレート35に設けたガイド孔84(図9参照)に沿わせて上昇させ、主変速レバー30の揺動操作に伴う一対の引き戻しリンク82,82の操作軸81に対する摺動を許容して主変速レバー30による走行主変速装置32の変速操作を可能にする。図13(a)は、主変速レバー30が前進側に操作された状態を示しているが、主変速レバー30が後進側に操作された場合も同様である。
【0045】
図13(b)は、前記強制停止機構80の作用状態での側面図である。この図に示すように、強制停止機構80は、ブレーキペダル60がブレーキ入り位置ONに踏み込み操作されると、作用状態となり、前記操作軸81を前記入力アーム72aの下降揺動によってガイド孔84に沿わせて下降させ、操作軸81によって一対の引き戻しリンク82,82を引き下げ操作して主変速レバー30を摩擦機構44に抗してアシストギヤ41に対して滑らせながら前進側や後進側から中立位置Nに強制的に戻し操作する。
【0046】
つまり、強制停止機構80は、ブレーキペダル60の踏み込み操作によって走行ブレーキ64を入り状態に切り換え操作されると、走行主変速装置32が前進側や後進側の変速状態にあっても、ブレーキ用連動機構70の連動リンク72の揺動力によって作動して主変速レバー30を中立位置Nに強制的に戻し操作し、走行主変速装置32を中立状態に切り換えて走行ブレーキ64を効果的に効かせる。
【0047】
図7に示すように、前記操作ケーブル74に、前記開閉軸芯Pの付近に位置した屈曲部74aと、この屈曲部74aから運転部3における前記横操作盤22の下方を前記横壁19に沿って、操作ケーブル74とブレーキペダル60とを連結する部材としての前記揺動リンク72に向かった操作具側部分74bと、前記屈曲部74aから機体フレーム4に沿って操作ケーブル74と前記操作部64aとを連結する部材としての連結ピン66に向かった操作部側部分74cとを備えてある。
【0048】
つまり、図7に示す如く運転部3の開放に伴って操作ケーブル74の前記操作具側部分74bが屈曲部74aを揺動中心部にして運転部3に付いて移動し、操作ケーブル74は、ブレーキペダル60と走行ブレーキ64とを連結したままでの運転部3の開閉を可能にする。
【0049】
図14は、前記運転部3の走行機体横方向内側での側面図である。この図と図6,8とに示すように、運転部3の前記横壁19は、前記仕切り部材90を備える他、前記横操作盤22と前記ペダル孔65とを有し、かつ前記仕切り部材90の内側に連結された内壁部材19aとを備えて構成してある。
【0050】
前記仕切り部材90は、前記内壁部材19aに面一に連なる平板壁部90aと、この平板壁部90aから運転部3の横外側に突出し、運転部側面視で前端側が走行機体下方向きに折れ曲がった形を有した突出壁部90bとを備えて構成してある。
【0051】
前記仕切り部材90の上端側は、運転キャビン2の横壁の下端側に連結され、前記仕切り部材90の下端側は、前記運転部床18に連結されており、前記仕切り部材90は、運転部3の内部と外部とを仕切る。前記仕切り部材90は、前記突出壁部90aの前端側に位置する下向き面部90cに設けた連動杆孔91と、前記突出壁部90aの後端部に位置する後向き面部90dに設けたケーブル孔92とを備えている。
【0052】
前記内壁部材19aは、前記仕切り部材90における前記突出壁部90bの内面側に収容室Rを運転部3の内部に位置させて形成している。
【0053】
前記支軸31と前記ガイドレール62と前記電動アシスト機構40とは、前記収容室Rに収容されており、前記仕切り部材90よりも運転部3の内側に位置しており、かつ運転部3の内部に露出しないように前記内壁部材19aによってカバーされている。
【0054】
前記変速用連動機構50は、これの操作具側部材としての出力アーム51が前記収容室Rに収容されて運転部3の内部に露出しないように前記内壁部材19aによってカバーさされ、かつ前記押し引き連動杆52が前記仕切り部材90の前記連動杆孔91を挿通した配置状態で主変速レバー30と走行主変速装置32とを連動させている。
【0055】
前記ブレーキ用連動機構70は、これの操作具側部材としての前記連動リンク72が前記収容室Rに収容されて運転部3の内部に露出しないように前記内壁部材19aによってカバーされ、かつ前記操作ケーブル74が前記仕切り部材90の前記ケーブル孔92を挿通した配置状態でブレーキペダル60と走行ブレーキ64とを連動させている。
【0056】
図14に示すように、前記仕切り部材90は、前記連動孔91からの塵埃流入を防止するように連動杆孔91に装着された蛇腹筒93と、前記ケーブル孔92からの塵埃流入を防止するようにケーブル孔92に装着された栓部材94とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの運転部閉じ状態で全体平面図
【図3】コンバインの運転部開き状態での全体平面図
【図4】運転部の側面図
【図5】原動部の後面図
【図6】運転部の斜視図
【図7】運転部の開き状態での平面図である。
【図8】変速用の連動機構とブレーキ用の連動機構の正面図
【図9】電動アシスト機構と、変速用の連動機構と、ブレーキ用の連動機構の側面図
【図10】主変速レバーの支持構造の断面図
【図11】ブレーキ用の連動機構の正面図
【図12】電動アシスト機構と、変速用の連動機構と、ブレーキ用の連動機構の平面図
【図13】(a)は、強制停止機構の非作用状態での側面図、(b)は、強制停止機構の作用状態での側面図
【図14】運転部の走行機体横方向内側での側面図
【符号の説明】
【0058】
3 運転部
19a 内壁部材
30,60 操作具
31,62 支持部材
32,64 操作対象装置
32a,64a 操作対象装置の操作部
50,70 連動機構
71,72 連動機構の操作具側部材
52 押し引き連動杆
74 操作ケーブル
90 仕切り部材
R 収容室
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン、詳しくは走行機体に設けた操作対象装置のための操作具を運転部に人為操作自在に設けたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転部2に設けた伝動切り換えペダル95、ミッションケース14に設けたクラッチバルブ76、前記伝動切り換えペダル95と前記クラッチバルブ76の操作部材76cとを連結する操作ケーブル113および出力アーム111を備えたコンバインが記載されている。
前記伝動切り換えペダル95の回転支軸110は、運転部床94よりも運転部2の外側に配置されている。(各符号は、公報に記載されたものである。)
【0003】
【特許文献1】特開2006−115740号公報(段落〔0055〕、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作具を運転部に設けるのに、上記した従来の技術を採用すると、操作具が運転部の内部と外部とを仕切る仕切り部材(たとえば運転部床)を貫通することにより、そして、操作具が操作具孔で動くことから操作具孔が操作具に比して大きな孔になりがちであることにより、運転部の外部から操作具孔を介して内部に塵埃が入り込む問題、あるいは防塵対策を必要とする問題が発生しがちであった。
【0005】
本発明の目的は、運転部に設けた操作具と走行機体に設けた操作対象装置とを連動させるものでありながら、上記した問題の発生を回避しやすいコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、コンバインにおいて、
運転部に人為操作自在に設けた操作具と走行機体に設けた操作対象装置の操作部とを連動させる連動機構に、押し引き連動杆又は操作ケーブルを備え、
前記操作具の支持部材を、前記運転部の内部と外部とを仕切る仕切り部材よりも前記運転部内側に配置するとともに、前記押し引き連動杆又は前記操作ケーブルを、前記仕切り部材を貫通するよう配置してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、操作具を操作されると、押し引き連動杆にあっては押し引き連動杆そのものがこれの軸芯方向に動いて、操作ケーブルにあってはケーブルがこの軸芯方向に動いて操作対象装置の操作部に操作力を伝達されるから、押し引き連動杆又は操作ケーブルが貫通するよう仕切り部材に設ける連動杆孔又はケーブル孔としては、操作具が仕切り部材を貫通する場合の操作具孔に比して小さくて塵埃流入を回避しやすい孔で済ませることができる。
【0008】
したがって、押し引き連動杆又は操作ケーブルを備えた連動機構によって操作具と操作対象装置とを連結して操作構造を安価に得ることができるものでありながら、運転部内への塵埃流入を回避しやすくて快適に運転できるコンバインを得ることができる。しかも、防塵対策を省略したり小規模なものに済ませたりしてこの面からも安価に得ることができる。
【0009】
本第2発明では、前記支持部材と前記連動機構の操作具側部材とを収容する収容室を前記仕切り部材の内面側に形成する内壁部材を、前記運転部の内部に設け、前記操作具が前記内壁部材を貫通して支持されている。
【0010】
本第2発明の構成によると、本第1発明の構成による作用、効果を備えるに加え、次の作用、効果を備える。
【0011】
仕切り部材の連動杆孔又はケーブル孔から塵埃が流入しても、内壁部材による遮蔽により、内壁部材よりも運転部内側に流入しにくくなる。また、支持部材や操作具側部材が収容室に収容されて、支持部材や、連動機構の操作具側部材の運転部内への露出を回避できる。
【0012】
したがって、運転部内への塵埃流入をより回避しやすいともに支持部材や連動機構の運転部内への露出が無くてより快適に運転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体平面図である。こられの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、クローラ式走行装置1を有し、かつ運転キャビン2が装備された運転部3を有した走行機体と、この走行機体の機体フレーム4の前端部に連結された刈取り部5とを備え、前記機体フレーム4の後端側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置6と穀粒タンク7とを備えている。
【0014】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行う。
すなわち、前記走行機体は、運転部3が備える運転座席8の下方に位置する原動部に設けたエンジン9と、前記機体フレーム4の前端部に設けたミッションケース10とを備え、前記エンジン9の出力を前記ミッションケース10に入力して前進駆動力と後進駆動力とに変換し、この前進駆動力や後進駆動力を前記クローラ式走行装置1に伝達してこのクローラ走行装置1を駆動することによって前進側や後進側に走行する。
【0015】
前記走行機体は、前記エンジン9からの駆動力を前記ミッションケース10を介して前記刈取り部5に伝達してこの刈取り部5を駆動する。
【0016】
前記刈取り部5は、刈取り部フレームと前記機体フレーム4とにわたって設けた昇降シリンダ(図示せず)によって前記刈取り部フレームが機体フレーム4に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部5の前端部に走行機体横方向に並んで位置する分草具11が地面近くに下降した下降作業状態と、前記分草具11が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。刈取り部5を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部5は、前記各分草具11によって植立穀稈を走行機体横方向に並ぶ複数の引起し装置12のうちの対応する引起し装置12に導入し、各引起し装置12が引起し処理する植立穀稈を一つのバリカン形の刈取り装置13によって刈取り処理し、刈取り装置13から刈取り穀稈を供給装置14によって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置6に供給する。
【0017】
前記脱穀装置6は、前記供給装置14からの刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーンによって挟持して脱穀装置後方側に搬送しながら刈取り穀稈の穂先側を扱室に供給して、刈取り穀稈の脱穀処理を行う。前記穀粒タンク7は、脱穀装置6からの脱穀粒を回収して貯留し、貯留した脱穀粒を縦スクリューコンベヤ15と横スクリューコンベヤ16とによって搬出する。
【0018】
図4は、前記運転部3の側面図である。この図と図1とに示すように、前記運転部3は、前記運転キャビン2と前記運転座席8とを備える他、エンジンボンネットに兼用の座席支持台17と、座席支持台17の前側に位置する運転部床18と、運転座席8の走行機体横内側での横側方に位置する横壁19とを備えて構成してある。
【0019】
前記運転キャビン2と前記座席支持台17と前記運転部床18と前記横壁19とは、連結されて一つの構造体になっている。図5は、原動部の後面図である。図6は、運転部の斜視図である。これらの図に示すように、前記座席支持台17は、運転座席8の後側に配置して座席支持台17の天板部に連設された吸気ケース20を備えている。この吸気ケース20は、エンジン用のエヤクリーナ21を収容している。前記横壁19は、これの上端部に連設された横操作盤22を備えている。
【0020】
図2,5に示すように、前記運転部3は、前記吸気ケース20の横端部の後側に配置して運転部フレームに連結した連結筒体23を、前記走行機体の機体フレーム4に立設された支柱24の上端部に回転自在に連結することによって走行機体に回転自在に支持されている。これにより、前記運転部3は、前記支柱24の軸芯であって、運転部3の後端側で、かつ走行機体横方向での内側に位置する走行機体上下向きの開閉軸芯Pまわりに走行機体に対して揺動開閉する。
【0021】
前記支柱24は、エンジン冷却用ラジエータ25を支持させるよう機体フレーム4に立設された原動部フレーム26に連結されている。前記支柱24は、前記連結筒体23の上端部に相対回転自在に連結しているホルダ27と、このホルダ27を支柱24に連結している支持杆28とを介して連結筒体23の上端端側を支持している。
【0022】
図3は、コンバインの運転部開き状態での全体平面図である。図7は、運転部3の開き状態での平面図である。これらの図に示すように、運転部3を前記開閉軸芯Pまわりに走行機体横外側に回動操作し、運転部3の前端側が走行機体の横外側に位置すると、運転部3が開き状態となって原動部の内部と、前記ミッションケース10の横側方とを開放し、エンジン9やラジエータ25、ミッションケース10の点検や修理が行いやすくなる。このとき、前記穀粒タンク7を前記縦スクリューコンベヤ15の軸芯まわりに走行機体の横外側に揺動させ、運転部3のタンク搭載スペースへの入り込みを可能にする。
【0023】
図2は、コンバインの運転部閉じ状態での全体平面図である。この図に示すように、運転部3を前記開閉軸芯Pまわりに走行機体内側に回動操作し、運転部3の前後向きが走行機体の前後向きになると、運転部3が閉じ状態となって原動部の内部を座席支持台17によって覆い、ミッションケース10の横側方を横壁19によって覆う。
【0024】
図4,6に示すように、前記運転部3は、前記横操作盤22の前端側に設けた主変速レバー30を備えている。
【0025】
図10に示すように、前記主変速レバー30は、アシストギヤ41のボス部41aを介して支軸31に回動自在に支持されている。図8,9に示すように、前記主変速レバー30は、この主変速レバー30の基部に一体回転自在に連結された出力アーム51を備えた変速操作用の連動機構50(以下、変速用連動機構50と呼称する。)により、前記ミッションケース10に設けた静油圧式無段変速装置で成る走行主変速装置32の回転軸形の操作部32aに連結されている。
【0026】
前記支軸31は、運転部フレーム33に連結されたモータ取り付けプレート34と、運転部フレーム35に連結された支持プレート36とに支持されている。
【0027】
図8,9,12に示すように、前記変速用連動機構50は、前記出力アーム51を備える他、この出力アーム51に一端側が連結された走行機体上下向きの押し引き連動杆52と、この押し引き連動杆52の下端に延出端部が連結された操作アーム53とを備えて構成してある。
【0028】
前記操作アーム53は、前記走行主変速装置32の前記操作部32aに一体回転自在に連結されている。前記押し引き連動杆52は、これの下端側に設けた防振部54を備え、この防振部54に内装された防振ゴムの作用により、前記操作部32aの回転振動の主変速レバー30への伝達を抑制する。
【0029】
前記主変速レバー30には、前記アシストギヤ41を備えた電動アシスト機構40が連動されている。
【0030】
図9,10,12に示すように、前記電動アシスト機構40は、前記アシストギヤ41を備える他、前記モータ取り付けフレーム34に支持された電動式のアシストモータ42を備え、このアシストモータ42の出力ギヤ42aと前記アシストギヤ41とを連動させる減速伝動ギヤ43を備え、アシストギヤ41のボス部41aに装着した摩擦機構44を備えている。
【0031】
前記減速伝動ギヤ43は、前記出力ギヤ42aに噛み合った大径ギヤ43aと、前記アシストギヤ41に噛み合った小径ギヤ43bとを一体回転自在に備えて構成してあり、アシストモータ42の出力ギヤ42aによる出力を減速してアシストギヤ41に伝達する。図10に示すように、前記摩擦機構44は、前記アシストギヤ41と主変速レバー30の基部30aとを摩擦連動させる。
【0032】
つまり、主変速レバー30を支軸31の走行機体横向き軸芯まわりに、前記横操作盤22に設けたガイド溝37(図6参照)に沿わせて走行機体前後方向に揺動操作する。すると、電動アシスト機構40は、主変速レバー30に設けてあるアシストスイッチ(図示せず)がオンに切り換わってアシストモータ42が駆動され、このアシストモータ42が減速伝動ギヤ43を介してアシストギヤ41を駆動し、このアシストギヤ41が摩擦機構44を介して主変速レバー30を揺動操作することにより、作業者による主変速レバー30の揺動操作を補助する。主変速レバー30が揺動操作されると、前記変速用連動機構50は、主変速レバー30によって揺動操作される出力アーム51によって押し引き連動杆52を押し引き操作し、この押し引き連動杆52によって操作アーム53を揺動操作して操作部32aを回転操作する。したがって、主変速レバー30を揺動操作することにより、走行主変速装置32を中立状態と前進状態と後進状態とに変速操作でき、かつ走行主変速装置32を前進側においても後進側においても無段階に変速操作できる。
【0033】
図8,9に示すように、前記押し引き連動杆52は、前記出力アーム51に連結された分割連動杆52aと、前記防振部54を備えた分割連動杆52bとを2本の連結ボルト54,54によって連結することによって構成してある。
【0034】
前記押し引き連動杆52は、運転部3を開閉する際、前記2本の連結ボルト54,54による連結解除によってレバー側の分割連動杆52aと,変速装置側の分割連動杆52bとに分離されることにより、主変速レバー30を運転部3と共に移動するように走行主変速装置32と分離させる。
【0035】
図4,6に示すように、前記運転部3は、この運転部3の前端側の前記横壁19の近くに設けたブレーキペダル60を備えている。
【0036】
図8,9,11に示すように、前記ブレーキペダル60は、前記横壁19の外側で運転部3に位置する支持部材61に支持された走行機体上下向きのガイドレール62に一端部が摺動自在に支持されたペダル支軸60aと、このペダル支軸60aの他端部にアーム部60bで連結されたペダル本体60cとを備えて構成してある。前記ペダル支軸60aは、ガイドレール62に転動自在に係入した樹脂製のローラ63を介して前記ガイドレール62に支持されている。
【0037】
前記プレーキペダル60は、前記ペダル支軸60aに下端部が回転不能に連結された走行機体上下向きの連動杆71を備えたブレーキ用の連動機構70(以下、ブレーキ用連動機構70と呼称する。)により、前記ミッションケース10に設けた走行ブレーキ64の揺動アーム式の操作部64aに連結されている。
【0038】
図8,9,12,16に示すように、前記ブレーキ用連動機構70は、前記連動杆71を備える他、この連動杆71の上端部に入力アーム72aが連結された揺動リンク72と、この揺動リンク72の出力アーム72bにスプリング73を介して一端側が連結された操作ケーブル74とを備えて構成してある。前記揺動リンク72は、前記支持プレート36に支軸75を介して揺動自在に支持されている。前記操作ケーブル74の他端側は、前記走行ブレーキ64の操作部64aに連結されている。
【0039】
前記連動杆71は、ペダル支軸60aのガイドレール62に対する回転を阻止する。これにより、ブレーキペダル60は、横壁19に設けた走行機体上下向きの直線形のペダル孔65(図4,6参照)に沿って、ペダル本体60cが上向きになった取り付け姿勢に連動杆71によって維持された状態で走行機体上下方向にスライド昇降する。
【0040】
つまり、ブレーキペダル60を前記連動リンク72の出力アーム72bに連結されたリターンスプリング76に抗して、前記ガイド孔65に沿わせて踏み込み操作する。すると、ブレーキ用連動機構70は、ブレーキペダル60によって下降操作される連動杆71によって連動リンク72を揺動操作し、この連動リンク72の出力アーム72bによってスプリング73を介して操作ケーブル74を引っ張り操作し、この操作ケーブル74によって走行ブレーキ64の操作部64aを揺動操作する。これにより、ブレーキペダル60を踏み込み操作することにより、走行ブレーキ64を入り状態に操作できる。
【0041】
図11に示すように、前記ブレーキ用連動機構70は、前記支持プレート36に揺動自在に支持された駐車ブレーキフック77を備えている。
すなわち、ブレーキ用連動機構70は、前記ブレーキペダル60を踏み込み操作した状態で、前記駐車ブレーキフック77に連設された操作アーム78によって駐車ブレーキフック77を解除スプリング79に抗して前記連動リンク72の方に揺動操作して、駐車ブレーキフック77を前記入力アーム72aに係止させることにより、連動リンク72の前記リターンスプリング76による復帰揺動を駐車ブレーキフック77によって阻止し、これによって走行ブレーキ64を入り状態に維持して駐車ブレーキとして作用させる。
【0042】
図9に示すように、前記ブレーキ用連動機構70は、前記連動リンク72の前記入力アーム72aに設けた操作軸81を有した強制停止機構80を備えている。
【0043】
図13に示すように、前記強制停止機構80は、前記操作軸81を備える他、前記出力アーム51に一端側が連結された一対の引き戻しリンク82,82を備えている。前記各引き戻しリンク82は、前記操作軸81が摺動自在に係入するように構成して引き戻しリンク82の他端側に設けた長孔83を備えている。
【0044】
図13(a)は、前記強制停止機構80の非作用状態での側面図である。この図に示すように、強制停止機構80は、ブレーキペダル60がブレーキ切り位置OFFにあると、非作用状態となり、前記操作軸81を前記入力アーム72aの上昇揺動によって前記支持プレート35に設けたガイド孔84(図9参照)に沿わせて上昇させ、主変速レバー30の揺動操作に伴う一対の引き戻しリンク82,82の操作軸81に対する摺動を許容して主変速レバー30による走行主変速装置32の変速操作を可能にする。図13(a)は、主変速レバー30が前進側に操作された状態を示しているが、主変速レバー30が後進側に操作された場合も同様である。
【0045】
図13(b)は、前記強制停止機構80の作用状態での側面図である。この図に示すように、強制停止機構80は、ブレーキペダル60がブレーキ入り位置ONに踏み込み操作されると、作用状態となり、前記操作軸81を前記入力アーム72aの下降揺動によってガイド孔84に沿わせて下降させ、操作軸81によって一対の引き戻しリンク82,82を引き下げ操作して主変速レバー30を摩擦機構44に抗してアシストギヤ41に対して滑らせながら前進側や後進側から中立位置Nに強制的に戻し操作する。
【0046】
つまり、強制停止機構80は、ブレーキペダル60の踏み込み操作によって走行ブレーキ64を入り状態に切り換え操作されると、走行主変速装置32が前進側や後進側の変速状態にあっても、ブレーキ用連動機構70の連動リンク72の揺動力によって作動して主変速レバー30を中立位置Nに強制的に戻し操作し、走行主変速装置32を中立状態に切り換えて走行ブレーキ64を効果的に効かせる。
【0047】
図7に示すように、前記操作ケーブル74に、前記開閉軸芯Pの付近に位置した屈曲部74aと、この屈曲部74aから運転部3における前記横操作盤22の下方を前記横壁19に沿って、操作ケーブル74とブレーキペダル60とを連結する部材としての前記揺動リンク72に向かった操作具側部分74bと、前記屈曲部74aから機体フレーム4に沿って操作ケーブル74と前記操作部64aとを連結する部材としての連結ピン66に向かった操作部側部分74cとを備えてある。
【0048】
つまり、図7に示す如く運転部3の開放に伴って操作ケーブル74の前記操作具側部分74bが屈曲部74aを揺動中心部にして運転部3に付いて移動し、操作ケーブル74は、ブレーキペダル60と走行ブレーキ64とを連結したままでの運転部3の開閉を可能にする。
【0049】
図14は、前記運転部3の走行機体横方向内側での側面図である。この図と図6,8とに示すように、運転部3の前記横壁19は、前記仕切り部材90を備える他、前記横操作盤22と前記ペダル孔65とを有し、かつ前記仕切り部材90の内側に連結された内壁部材19aとを備えて構成してある。
【0050】
前記仕切り部材90は、前記内壁部材19aに面一に連なる平板壁部90aと、この平板壁部90aから運転部3の横外側に突出し、運転部側面視で前端側が走行機体下方向きに折れ曲がった形を有した突出壁部90bとを備えて構成してある。
【0051】
前記仕切り部材90の上端側は、運転キャビン2の横壁の下端側に連結され、前記仕切り部材90の下端側は、前記運転部床18に連結されており、前記仕切り部材90は、運転部3の内部と外部とを仕切る。前記仕切り部材90は、前記突出壁部90aの前端側に位置する下向き面部90cに設けた連動杆孔91と、前記突出壁部90aの後端部に位置する後向き面部90dに設けたケーブル孔92とを備えている。
【0052】
前記内壁部材19aは、前記仕切り部材90における前記突出壁部90bの内面側に収容室Rを運転部3の内部に位置させて形成している。
【0053】
前記支軸31と前記ガイドレール62と前記電動アシスト機構40とは、前記収容室Rに収容されており、前記仕切り部材90よりも運転部3の内側に位置しており、かつ運転部3の内部に露出しないように前記内壁部材19aによってカバーされている。
【0054】
前記変速用連動機構50は、これの操作具側部材としての出力アーム51が前記収容室Rに収容されて運転部3の内部に露出しないように前記内壁部材19aによってカバーさされ、かつ前記押し引き連動杆52が前記仕切り部材90の前記連動杆孔91を挿通した配置状態で主変速レバー30と走行主変速装置32とを連動させている。
【0055】
前記ブレーキ用連動機構70は、これの操作具側部材としての前記連動リンク72が前記収容室Rに収容されて運転部3の内部に露出しないように前記内壁部材19aによってカバーされ、かつ前記操作ケーブル74が前記仕切り部材90の前記ケーブル孔92を挿通した配置状態でブレーキペダル60と走行ブレーキ64とを連動させている。
【0056】
図14に示すように、前記仕切り部材90は、前記連動孔91からの塵埃流入を防止するように連動杆孔91に装着された蛇腹筒93と、前記ケーブル孔92からの塵埃流入を防止するようにケーブル孔92に装着された栓部材94とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの運転部閉じ状態で全体平面図
【図3】コンバインの運転部開き状態での全体平面図
【図4】運転部の側面図
【図5】原動部の後面図
【図6】運転部の斜視図
【図7】運転部の開き状態での平面図である。
【図8】変速用の連動機構とブレーキ用の連動機構の正面図
【図9】電動アシスト機構と、変速用の連動機構と、ブレーキ用の連動機構の側面図
【図10】主変速レバーの支持構造の断面図
【図11】ブレーキ用の連動機構の正面図
【図12】電動アシスト機構と、変速用の連動機構と、ブレーキ用の連動機構の平面図
【図13】(a)は、強制停止機構の非作用状態での側面図、(b)は、強制停止機構の作用状態での側面図
【図14】運転部の走行機体横方向内側での側面図
【符号の説明】
【0058】
3 運転部
19a 内壁部材
30,60 操作具
31,62 支持部材
32,64 操作対象装置
32a,64a 操作対象装置の操作部
50,70 連動機構
71,72 連動機構の操作具側部材
52 押し引き連動杆
74 操作ケーブル
90 仕切り部材
R 収容室
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転部に人為操作自在に設けた操作具と走行機体に設けた操作対象装置の操作部とを連動させる連動機構に、押し引き連動杆又は操作ケーブルを備え、
前記操作具の支持部材を、前記運転部の内部と外部とを仕切る仕切り部材よりも前記運転部の内側に配置するとともに、前記押し引き連動杆又は前記操作ケーブルを、前記仕切り部材を貫通するよう配置してあるコンバイン。
【請求項2】
前記支持部材と前記連動機構の操作具側部材とを収容する収容室を前記仕切り部材の内面側に形成する内壁部材を、前記運転部の内部に設け、
前記操作具が前記内壁部材を貫通して支持されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
運転部に人為操作自在に設けた操作具と走行機体に設けた操作対象装置の操作部とを連動させる連動機構に、押し引き連動杆又は操作ケーブルを備え、
前記操作具の支持部材を、前記運転部の内部と外部とを仕切る仕切り部材よりも前記運転部の内側に配置するとともに、前記押し引き連動杆又は前記操作ケーブルを、前記仕切り部材を貫通するよう配置してあるコンバイン。
【請求項2】
前記支持部材と前記連動機構の操作具側部材とを収容する収容室を前記仕切り部材の内面側に形成する内壁部材を、前記運転部の内部に設け、
前記操作具が前記内壁部材を貫通して支持されている請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−75151(P2010−75151A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249866(P2008−249866)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]