説明

コンバイン

【課題】スムーズな路上走行を可能にするとともに十分な分草性能を有するコンバインを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、走行機体2前方に連結されて穀稈の刈取作業を行う前処理部3を支持する前処理フレーム10を備え、前処理フレーム10下端側から前方に突出形成される前後方向のデバイダ24を左右方向に複数並列配置し、前処理フレーム10の左右の最外端が走行機体2の左右の最外端よりもそれぞれ外側に位置するように走行機体2の左右幅が前処理フレーム10の左右幅より狭いコンバインにおいて、左右両端に配置されたデバイダ24である左右の最外デバイダ24L,24Rの少なくとも一方を、近い側の前処理フレーム10最外端から外側に突出する作業姿勢と、突出しない収容姿勢とに姿勢切換可能に前処理フレーム10側に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デバイダを備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体前方に連結されて穀稈の刈取作業を行う前処理部を支持する前処理フレームを備え、前処理フレーム下端側から前方に突出形成される前後方向のデバイダを左右方向に複数並列配置し、前処理フレームの左右の最外端が走行機体の左右の最外端よりもそれぞれ外側に位置するように走行機体の左右幅が前処理フレームの左右幅より狭い特許文献1及び2に示すコンバインが公知になっている(特に、特許文献1の図4を参照)。
【特許文献1】特開平5−268822号公報
【特許文献2】実開昭55−81534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記文献のコンバインは、前処理フレームが走行機体3の左右幅よりも大きく、左右並列配置された上記複数のデバイダの内、左右両端(両側端)に配置されたデバイダである左右の最外デバイダを前処理フレームから外側に突出する位置に配置した場合、刈取装置全体の左右幅がさらに大きくなり、該最外デバイダがコンバインの路上走行時等の妨げになる一方で、最外デバイダを前処理フレームから外側に突出しないように配置した場合、刈取作業時における十分な分草性能が確保できないことがあるという課題がある。
本発明は、上記課題を解決し、スムーズな路上走行を可能にするとともに十分な分草性能を有するコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため本発明のコンバインの刈取装置は、第1に、走行機体2前方に連結されて穀稈の刈取作業を行う前処理部3を支持する前処理フレーム10を備え、前処理フレーム10下端側から前方に突出形成される前後方向のデバイダ24を左右方向に複数並列配置し、前処理フレーム10の左右の最外端が走行機体2の左右の最外端よりもそれぞれ外側に位置するように走行機体2の左右幅が前処理フレーム10の左右幅より狭いコンバインにおいて、左右両端に配置されたデバイダ24である左右の最外デバイダ24L,24Rの少なくとも一方を、近い側の前処理フレーム10最外端から外側に突出する作業姿勢と、突出しない収容姿勢とに姿勢切換可能に前処理フレーム10側に支持したことを特徴としている。
【0005】
第2に、作業姿勢時における左側の最外デバイダ24Lの先端側が、進行方向に対して略平行になることを特徴としている。
【0006】
第3に、左右の各最外デバイダ24L,24Rを作業姿勢と収容姿勢とに姿勢切換可能に支持し、左側の最外デバイダ24Lと比較して右側の最外デバイダ24Rの前処理フレーム10最外端からの突出量Dが多くなるように左右の最外デバイダ24L,24Rを構成したことを特徴としている。
【0007】
第4に、最外デバイダ24Lを軸回りに回動可能に支持することにより前記姿勢切換が可能になることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成される本発明のコンバインによれば、路上走行時における左右幅をできるだけ小さくできるとともに、圃場で刈取作業を行う際の分草性能を十分に確保することが容易になるという効果がある。
【0009】
また、作業姿勢時の前記デバイダの先端側が、進行方向に対して略平行になることにより、未刈り側を分草する左側の最外デバイダの強度を確保することが容易になるという効果がある。
【0010】
また、左右の各最外デバイダを作業姿勢と収容姿勢とに姿勢切換可能に支持し、左側の最外デバイダと比較して右側の最外デバイダの前処理フレーム最外端からの突出量が多くなるように左右の最外デバイダを構成することにより、既刈り側を分草する右側の最外デバイダに対して、未刈り側である左側の最外デバイダの強度を高くすることが容易になるという効果がある。
【0011】
さらに、最外デバイダを軸回りに回動可能に支持することにより前記姿勢切換を可能にすれば、左側の最外デバイダの強度がより向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至3は、本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図、平面図及び正面図である。本コンバインは、走行部である左右一対のクローラ1L,1Rに支持された走行機体(車体)2と、該走行機体3前方に配置された刈取装置5とを備えている。上記刈取装置5は、条間が所定間隔に定められた圃場の穀稈を8条分一気に刈取る前処理部3と、この前処理部3を支持するフレーム(前処理フレーム,フレーム部)10とから構成されており、走行機体3前端部に昇降駆動可能に連結されている。本コンバインは、走行機体2の進行方向右(右)側に立設されたキャビン4内に乗り込んだオペレータの操作によって、左右のクローラ1L,1Rを駆動して走行機体2を走行させながら刈取装置5を用いて圃場の穀稈の刈取作業を行う。
【0013】
なお、本コンバインは、通常の刈取作業時、左側部を圃場の未刈地側に向けるとともに右側部を圃場の既刈地側に向けた状態で、走行機体2を前進方向(進行方向)に走行させながら、前処理部3によって前方の圃場穀稈を刈取っていく。
【0014】
刈取装置5で刈取られた穀稈は、搬送装置6によって走行機体2上の左部前側に後方搬送された後、走行機体2左部の脱穀部7の扱室に沿って穀稈を後方搬送するフィードチェーン8に渡される。フィードチェーン8に渡された穀稈は、扱室を通過する過程で扱降し処理(脱穀処理)されて排藁となり、排藁搬送体(図示しない)によって走行機体2の後端部まで搬送される。走行機体2の後端部まで搬送された排藁は、そのまま又は走行機体2の後端部のカッター部9で切断処理された後に走行機体3後端部から機外に排出される。
【0015】
一方、扱室で扱降された扱降物は、扱室下方の選別室(図示しない)に漏下し、選別室内で起風される後方斜め上方向の選別風によって藁屑等と穀粒(籾)とに選別された後、藁屑等が走行機体2後端部から機外に排出され、穀粒が走行機体2の右部後側のグレンタンク11内に収容される。そして、グレンタンク11内に収容された穀粒は、走行機体2の後端部右側に水平回動自在且つ上下揺動自在に支持されたオーガ12によって、機外に排出される。
【0016】
なお、本コンバインは、左右一対のサイドミラー13L,13Rを備えており、キャビン4内のオペレータがコンバイン周辺、特に、左右の各側部の状態を目視できるように構成されている。左サイドミラー13Lは上下方向の支持杆14によってフレーム10側に水平回動調整可能に支持され、右サイドミラー13Rは、一端がキャビン4の機体外側(外側)側面に水平回動自在に支持された逆U字状の支持杆16の他端に取付支持されている。
【0017】
上記支持構造によって、左右の各サイドミラー13L,13Rは、左右及び上下方向に広がるように鏡面が後方を向いて該鏡面がキャビン4内のオペレータから目視可能な通常姿勢と、鏡面が前後及び上下方向に広がるように機体内側(内側)を向いてフレーム10の左右の端よりも正面視で内側に収容(収納)される収容姿勢(収納姿勢)とに姿勢切換可能に構成されている。
【0018】
次に、図3乃至7に基づき、刈取装置5の構成について説明する。
図4,5は、刈取装置の側面図及び正面図である。上記刈取装置5は前述したようにフレーム10及び前処理部3から構成されており、該前処理部3は、フレーム10側に支持されて穀稈の刈取作業の際に用いられる各種機器と、フレーム10側に支持されて搬送装置6を構成する各種機器等とを備えている。前処理部3の左右の各側面側がサイドカバー18L,18Rによって覆われ、前処理部3の前面側の一部を構成する複数の引起ケース19前面側がフロントカバー21によってそれぞれ覆われている。くわえて、搬送装置6の上方は、前処理部3上端部側から後方延設された上部前側カバー22と、走行機体3前部の上端部から前方延設された上部後側カバー23とによって覆われ、保護されている。
【0019】
また、刈取装置5には、フレーム10前側下端部から前方に突設されて圃場の穀稈を条単位に分草する前後方向のデバイダ(分草体)24が左右方向に複数(図示する例では9つ)並列配置されるとともに、フレーム10の左右の側部下端側には、分草されて本体17の外側方側に分草された圃場の穀稈を後方斜め外側に案内するナローガイド(ガイド体)26L,26Rがそれぞれ設置されている。
【0020】
前処理部3の前面側は、左右方向に複数(図示する例では4つ)並列配置された引起装置27からなり、この引起装置27は、圃場の2条分の植立穀稈を引起すように構成されている。各引起装置27は、上下方向に延びた板状の前述した引起ケース19を左右一対で備え、この左右の引起ケース19,19の間には、圃場の穀稈を掻込む掻込スペースSが形成されている。すなわち、本コンバインでは、引起ケース19が条毎に設置され、掻込スペースSが2条毎に1つ設けられている。
【0021】
この引起ケース19の上下端縁及び左右側端縁によって形成される外周縁には複数の引起爪28が所定ピッチで設けられている。この各引起爪28は、掻込スペースS側で上方移動するように引起ケース19外周縁を循環移動し、上方移動時には引起ケース19から掻込スペースS側に突出した状態になり、それ以外を移動している際には引起ケース19に収容された状態になる。
【0022】
引起装置27の下端部後方には、左右方向の刈刃(刈取部)29が設置されている。この刈刃29は2つの刃の一方を他方に対して往復作動させるレシプロ式の切断刃である。くわえて、各引起装置27の下部後方には、スターホイール31,31及び掻込ベルト32,32がそれぞれ左右一対で設けられている。
【0023】
一対のスターホイール31は、それぞれ周縁に多数の掻込歯が満遍なく配された円盤状に成形され、前方から後方に圃場の穀稈を掻込むように回転駆動される。一対の掻込ベルト32は、上記一対のスターホイール31の上段に配され、前方に広がる平面視ハの字状に配置されており、掻込爪によって前方から後方に圃場の穀稈を掻込むように駆動される。
【0024】
本コンバインの前進走行に伴って各デバイダ24により条毎に分草された圃場の穀稈は、対応する引起ケース19側の掻込スペースSに案内され、引起爪28によって梳き上げられて引起される。引起された穀稈は、一対のスターホイール31,31及び掻込ベルト32,32によって後方に掻込搬送されつつ刈刃29によって根元側から刈取られる。
【0025】
次に、図4乃至8に基づき、前処理部のフレームについて説明する。図6は、フレームの一部を構成する縦筒、横筒及び縦伝動筒の正面図であり、図7は、フレームの一部を構成する縦伝動筒及び引起横伝動筒の正面図である。前処理部3は、左右方向の支持ケース(支持軸)30(図8参照)により後端部が走行機体2前端部に支持されて走行機体2側から前方斜め下方に延びる縦筒(縦ケース)33によって、走行機体2に対して昇降自在に支持されている。そして、縦筒33と走行機体2の間に設けられた図示しない油圧シリンダー(昇降シリンダー)の伸縮作動によって前処理部3が走行機体2に対して昇降駆動される。
【0026】
上記縦筒33の下端部には、平面視前処理部3の左右幅全体に亘り延びる左右方向の横筒(横ケース)34の中心部分が連結固定され、この横筒34の一方側(図示する例では左側)の端部には上下方向の縦伝動筒(縦伝動ケース)36の下端部が取付固定され、縦伝動筒36の上端部側からは内側(図示する例では右側)に向かって左右方向の引起横伝動筒(引起横伝動ケース)37が延設されている。これらの縦筒33、横筒34、縦伝動筒36及び引起横伝動筒37の内部に設けられた各種伝動軸等により前処理部3の各部に動力を伝動する。くわえて、右サイドカバー18Rの内側には、フレーム10の右端よりも左側に位置した状態で注油用のオイルタンク35が収容支持されている。
【0027】
図8は、前処理部のフレーム及び搬送装置の構成を示す要部平面図である。横筒34の左右の各端部には前方に向かって延びる前後方向のデバイダ主フレーム(デバイダフレーム)38L,38Rの後端部が溶着等により取付固定される。くわえて、横筒34の前方には、左右方向の支持ステー(支持体,支持バー)39が配置されている他、前後方向に延びる棒状の複数(図示する例では7つ)のデバイダ支持フレーム(デバイダフレーム)41が所定間隔(図示する例では略等間隔)で左右方向に並列配置されている。上記支持ステー39は左デバイダ主フレーム38Lの中途部と右デバイダ主フレーム38Rの中途部との間に架設固定されており、各デバイダフレーム41の後端部(基端部)が支持フレーム39に溶着固定(固着)されている。そして、左右の各デバイダ主フレーム38L,38R及び支持ステー39の先端部には、対応するデバイダ24の後端部(基端部)が取付固定されている。
【0028】
以上、支持ケース30、縦筒33、横筒34、縦伝動筒36、引起横伝動筒37、各デバイダフレーム38L,38R,41及び支持ステー39は、前述したフレーム10の主要部分を構成している。そして、フレーム10の左右幅全体に亘り左右方向に延びる横筒34の軸長(左右長)が、前処理部3の左右幅及び左右のサイドカバー18L,18Rを取外した状態の刈取装置5の左右幅と一致している。このため、左右のデバイダ主フレーム38L,38Rが、フレーム10(前処理部3)の左右の側端(最外端)部を構成している。
【0029】
本コンバインは、圃場に植付けられた穀稈である立植穀稈Kを、デバイダ24によって条毎に分草し、隣接するデバイダフレーム38,41間(デバイダフレーム38,38間又はデバイダ主フレーム38L,38Rとデバイダ支持フレーム41との間)に案内する。案内された穀稈は、前述した掻込スペースSに案内され、移動軌跡Xを描く前述した引起爪28によって引起されながら刈刃29によって刈取られる刈取穀稈Kになる。ちなみに、同図に示す例では、前側(同図に示す下側)3列の立植穀稈Kが尺一寸植えになり、後側(同図に示す上側)2列の立植穀稈Kが尺植えになり、条間が30cmと33cmで異なっているが、本コンバインでは、このような場合でも条毎に分草することが可能である。
【0030】
なお、デバイダ24の後方(図示する例では、左端から3つ目のデバイダ支持フレーム41)には、穀稈との接触によって本コンバインの進行方向が条列方向を向いているか否かを検出する方向センサ(方向検出手段)42が設置されている。この方向センサ42によって、穀稈の条列方向に沿って本コンバインを自動的に走行させる制御を行うことが可能になる。
【0031】
次に、図4,5,9及び10に基づき、刈取装置の穀稈搬送機構の構成について説明する。
図9は、搬送装置を構成して刈取られた穀稈の株元側を挟持搬送する各種株元搬送体の構成を示す要部平面図であり、図10は、搬送装置を構成して刈取られた穀稈の穂先側をガイド搬送する各種穂先搬送体の構成を示す要部平面図である。前処理部3前部で刈取られた8条分の穀稈は、前述したように、搬送装置6によって、脱穀部7側に搬送される。
【0032】
前述の搬送装置6は、穀稈の株元側を挟持搬送する株元搬送体として、刈取部29で刈取られた穀稈の内、右端2条分の穀稈の株元側を脱穀部7に向かって後方搬送する第1株元搬送体(株元搬送体,右株元搬送体,右主株元搬送体)43Aと、左端2条分の穀稈の株元側を第1株元搬送体43Aの搬送経路途中(下流側)の株元合流部(合流部)P1に後方搬送する第4株元搬送体(株元搬送体,左株元搬送体,左主株元搬送体)43Dと、右端側から3条目及び4条目の穀稈の株元側を第1株元搬送体43Aに後方搬送する第2株元搬送体(株元搬送体,右副株元搬送体)43Bと、右端側から5条目及び6条目の穀稈の株元側を第4株元搬送体43Dに後方搬送する第3株元搬送体(株元搬送体,左副株元搬送体)43Cと、第1株元搬送体43Aによって搬送された8条分の穀稈の株元側を後方に搬送する扱深搬送装置(株元搬送体)44と、扱深搬送装置44よって搬送された穀稈の株元側を後方のフィードチェーン8まで搬送する後方株元搬送体(株元搬送体)46とを備えている。
【0033】
また、上記搬送装置6は、穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送体として、第1株元搬送体43Aから扱深搬送装置44を介して後方株元搬送体46まで株元側が搬送される穀稈の穂先側を後方搬送する第1穂先搬送体(穂先搬送体,右穂先搬送体,右主穂先搬送体,右下段穂先搬送体)47Aと、第4株元搬送体43Dによって株元側が搬送される穀稈の穂先側を第1穂先搬送体47Aの搬送経路途中の穂先合流部(合流部)P2に後方搬送する第4穂先搬送体(穂先搬送体,左穂先搬送体,左主穂先搬送体,左下段穂先搬送体)47Dと、第2株元搬送体43Bによって株元側が搬送される穀稈の穂先側を第1穂先搬送体47Aに後方搬送する第2穂先搬送体(穂先搬送体,右副穂先搬送体)47Bと、第3株元搬送体43Cによって株元側が搬送される穀稈の穂先側を第4穂先搬送体47Dに後方搬送する第3穂先搬送体(穂先搬送体,左副穂先搬送体)47Cとを備えている。
【0034】
くわえて、第1穂先搬送体47Aにおける搬送上流側の上方には一段高く第1上段穂先搬送体(穂先搬送体,右穂先搬送体,右主穂先搬送体,右上段穂先搬送体)48Aが設置されるとともに、第4穂先搬送体47Dにおける搬送上流側の上方には一段高く第4上段穂先搬送体(穂先搬送体,左穂先搬送体,左主穂先搬送体,左上段穂先搬送体)48Dが設置される。
【0035】
すなわち、刈取部29で刈取られた右端2条分の穀稈の穂先側を後方搬送する右主穂先搬送体が第1穂先搬送体47A及び第1上段穂先搬送体48Aにより上下2段で構成されるとともに、左端2条分の穀稈の穂先側を後方搬送する左主穂先搬送体が第4穂先搬送体47D及び第4上段穂先搬送体48Dにより上下2段で構成される。
【0036】
上記各株元搬送体43A,43B,43C,43D,44,46は、駆動スプロケットと、従動スプロケットに掛け回されたチェーンとを備え、穀稈を搬送する作用部側と穀稈を搬送しない非作用部側を循環移動するチェーンの作用部側で穀稈の株元側を挟持搬送するように構成されている。
【0037】
上記各穂先搬送体47A,47B,47C,47D,48A,48Dは駆動スプロケットと従動スプロケットに掛け回されたチェーンベルトにより構成される。この各チェーンベルトには所定ピッチで搬送爪49が設けられており、この搬送爪49が作用部側で突出するとともにそれ以外の箇所である非作用部側で収容されるように循環移動してガイド体に沿って穀稈の穂先側を搬送するように構成されている。
【0038】
そして、第1株元搬送体43Aは刈取部29の右端から数えて1条目及び2条目部分から内側(左側)に向かって斜め後方に延びて機体左側に配置された扱深搬送装置44に至る搬送経路を形成し、第4株元搬送体43Dは刈取部29の右端から数えて7条目及び8条目部分から内側(右側)に向かって斜め後方に延びて第1株元搬送体43Aにおける平面視縦筒33付近の前述した株元合流部P1に至る搬送経路を形成し、第2株元搬送体43Bは刈取部29の右端から数えて3条目及び4条目部分から略真後ろ方向に延びる搬送経路を形成し、第3株元搬送体43Cは刈取部29の右端から数えて5条目及び6条目部分から略真後ろ方向に延びる搬送経路を形成している。
【0039】
また、扱深搬送装置44は、上記株元合流部P1付近から後方株元搬送体46へ搬送経路を形成し、後方株元搬送体46の搬送最上流側端に対して扱深搬送装置44の搬送最下流側端の上下位置を変更して後方株元搬送体46における穀稈の挟持位置を調整することにより、後方株元搬送体46からフィードチェーン8に穀稈を送り渡す際のフィードチェーン8の穀稈挟持位置を変更できるように構成されている。上記構成により、穀稈の稈長に応じて穀稈の脱穀部7の扱室への挿入量が調整される扱深制御が行われる。ちなみに、穀稈の稈長は、扱深搬送装置44及び後方搬送体46の上方に配置される稈長検出手段である複数の穂先センサ51によって、検出される。
【0040】
さらに、第1穂先搬送体47Aが第1株元搬送体43A、扱深搬送装置44及び後方株元搬送体46の穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成し、第4穂先搬送体47Dが第4株元搬送体43Dの穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成し、第2穂先搬送体47Bが第2株元搬送体43Bの穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成し、第3穂先搬送体47Cが第3株元搬送体43Cの穀稈株元搬送経路に沿ってこの穀稈株元搬送経路の上方に穀稈穂先搬送経路を形成している。
【0041】
次に、図6,7及び11に基づき、前処理部3の動力伝動機構について説明する。
図11は、刈取装置の動力伝動系統図である。エンジン側からHST(油圧式無段階変速装置)52を介して無段階変速された動力は入力プーリ53にベルト伝動される。入力プーリ53の動力は、入力プーリ53と一体回転する入力軸S1、入力軸S1と一体回転するベベルギヤ54及び縦筒33内に回転自在に軸支された前処理部駆動軸S2と一体回転するとともに上記ベベルギヤ54と常時噛合うベベルギヤ56を介して、前処理部駆動軸S2に伝動され、前処理部3を駆動する。
【0042】
前処理部駆動軸S2は、縦筒33下端部及び横筒34中央部に配設されて縦筒33と横筒34を連結する連結ケース57内に支持されたベベルギヤ58を介して、横筒34内に回転自在に軸支された左右方向の伝動軸S3に伝動される。横筒34の左右の各端部には刈刃駆動部59,61が設置されており、伝動軸S3の左右の端部にそれぞれ配置されて伝動軸S3と一体回転するベベルギヤ62,63を介して、伝動軸S3の動力が左右の刈刃駆動部59,61に動力が伝動され、左右の刈刃29を駆動させる。
【0043】
くわえて、伝動軸S3の動力はベベルギヤ64を介して縦伝動筒36内に回転自在に軸支された伝動軸S4に伝動される。伝動軸S4の動力は、縦伝動筒36上端部に設けられた変速ケース66内の変速機構67によって、変速ケース66から内側に延設された左右方向の前述した引起横伝動筒37内に軸回りに回転自在に支持された左右方向の引起駆動軸S5に変速伝動される。
【0044】
引起伝動筒37には5つの引起伝動ケース68が左右方向に並列配置された状態で下方に延設されている。最も外側に配置された引起伝動ケース68である左右の最外引起伝動ケース68の下端部には1つの駆動スプロケット69がそれぞれ回転駆動可能に支持されており、該左右の最外引起伝動ケース68の間に配置された3つの各引起伝動ケース68の下端部には左右一対の駆動スプロケット69,69が回転駆動自在に支持されている。
【0045】
そして、引起駆動軸S5の動力が、引起伝動ケース68毎に設けられ引起駆動軸S5と一体回転するベベルギヤ71によって、各引起伝動ケース68内に入力される。引起伝動ケース68内の入力された動力は、その引起伝動ケース68が支持している前述の駆動スプロケット69に伝動され、駆動スプロケット69に掛け回されて前述の引起爪28が取付けられた引起ベルト72を循環移動作動させる。
【0046】
すなわち、最も左側の引起伝動ケース68の駆動スプロケット69及び左側から2番目の引起伝動ケース68の左側駆動スプロケット69によって最も左側の引起装置27が駆動され、左側から2番目の引起伝動ケース68の右側駆動スプロケット69及び左側から3番目の引起伝動ケース68の左側駆動スプロケット69によって左側から2番目の引起装置27が駆動され、左側から3番目の引起伝動ケース68の右側駆動スプロケット69及び左側から4番目の引起伝動ケース68の左側駆動スプロケット69によって左側から3番目の引起装置27が駆動され、左側から4番目の引起伝動ケース68の右側駆動スプロケット69及び最も右側の引起伝動ケース68の駆動スプロケット69によって最も右側の引起装置27が駆動される。
【0047】
また、伝動軸S4の動力は、縦伝動筒36の下部に固定設置される伝動ケース73内のベベルギヤ74等を介して、この伝動ケース73に回転自在に支持される伝動軸S6に伝動される。伝動軸S6の動力は、この伝動軸S6と一体回転する駆動スプロケット76を介して、第4株元搬送体43Dに伝動される。
【0048】
この第4株元搬送体43Dの動力は、第4株元搬送体43Dの従動スプロケット77を介して、この従動スプロケット77と一体回転する伝動軸S7に伝動される。この伝動軸S7の動力によって、左端の引起装置27の後方に配置される左右一対のスターホイール31及び掻込ベルト32が駆動される。
【0049】
一方、伝動軸S6はユニバーサルジョイント78によって伝動軸S8に連結されており、伝動軸S6の動力は伝動軸S8にも伝動される。この伝動軸S8は左下段穂先搬送体47Dの駆動スプロケット79及び左上段穂先搬送体48Dの駆動スプロケット81と一体回転し、2つの左主穂先搬送体47D,48Dを駆動させる。
【0050】
また、前処理部駆動軸S2の動力は、縦筒33の下端部側に取付固定された伝動ケース82内のベベルギヤ83等を介して、この伝動ケース82に回転自在に支持された左右一対の伝動軸S10,S9に伝動される。
【0051】
左右の伝動軸S10,S9の内、右側の伝動軸S9の動力は、伝動軸S9と一体回転する第2株元搬送体43B用の駆動スプロケット84及び第2穂先搬送体47B用の駆動スプロケット86を介して、第2株元搬送体43B及び第2穂先搬送体47Bを駆動させる。くわえて、第2株元搬送体43Bの従動スプロケット87の動力は、伝動軸S11に伝動され、右端から数えて2つ目の引起装置27の後方に配置されたスターホイール31及び掻込ベルト32を駆動させる。
【0052】
一方、左右の伝動軸S10,S9の内、左側の伝動軸S10の動力は、伝動軸S10と一体回転する第3株元搬送体43C用の駆動スプロケット88及び第3穂先搬送体47C用の駆動スプロケット89を介して、第3株元搬送体43C及び第3穂先搬送体47Cを駆動させる。
【0053】
また、右端から数えて2つ目の引起装置27後方に配置されて前述の伝動軸S11により駆動されるスターホイール31は、右端から数えて3つ目の引起装置27の後方に配置されて伝動軸S12と一体回転するスターホイール31と常時噛合い、右端から数えて3つ目の引起装置27の後方に配置された一対のスターホイール31,31及び掻込ベルト32,32を駆動させる。
【0054】
さらに、前処理部駆動軸S2の動力は、縦筒33の中途部に固設される伝動ケース91内に回転自在に支持される伝動軸S13に伝動され、この伝動軸S13と一体回転する第1株元搬送体43A用の駆動スプロケット92によって、第1株元搬送体43Aを駆動させる。第1株元搬送体43Aの動力は、第1株元搬送体43Aの従動スプロケット93と一体回転する伝動軸S14を介して、右端の引起装置27の後方に配置された一対のスターホイール31,31及び掻込ベルト32,32を駆動させる。なお、上記伝動軸S12の動力は、ベベルギヤ94等を介して、伝動ケース91内に回転自在に支持される伝動軸S15に伝動される。伝動軸S15は扱深搬送装置44用の駆動スプロケット96と一体回転し、扱深搬送装置44を駆動させる。
【0055】
また、前処理部駆動軸S2の動力は、ベベルギヤ97を介して、縦筒33の上端部に固設される伝動ケース98内に回転自在に軸支される伝動軸S16に伝動される。伝動軸S16は、伝動軸S16と一体回転する後方株元搬送体46用の駆動スプロケット99及び第1穂先搬送体47A用の駆動スプロケット101によって、後方株元搬送体46及び第1穂先搬送体47Aを駆動させる。第1穂先搬送体47Aの動力は、第1穂先搬送体47A用の従動スプロケット102と一体回転する第1上段穂先搬送体48A用の駆動スプロケット103を介して、第1上段穂先搬送体48Aを駆動させる。
【0056】
次に、図12及び13に基づき左右のサイドカバー18L,18Rの構成について説明する。
図12は、刈取装置の左側部側の構成を示す要部斜視図である。左サイドカバー18Lの内面側下部にはフック部(係合部)104が設置され、内面側上部にはフック状の図示しないロック部材(係合部)が揺動自在に支持されており、外面側上部には上記ロック部材を揺動操作してロック姿勢とロック解除姿勢の切換を行うロックハンドル106が設けられている。ちなみに、ロック部材はバネ等の弾性部材により常時ロック姿勢に付勢されている。
【0057】
一方、左デバイダ主フレーム38Lに設置された前後一対の支持ブラケット107,108にはU字状の屈曲成形された棒状の係止部109の両端がそれぞれ左右回動可能に支持されている他、フレーム10の左側部の少なくとも一部を構成する縦伝動筒36の上端部側にはL字状に折り曲げ形成された棒状の係止部111が固着されている。
【0058】
そして、左サイドカバー18Lのフック部104を下側の係止部109に引っ掛けて係合させるとともにロック部材を上側の係止部109に係止させてロックすることにより、左サイドカバー18Lがフレーム10側(刈取装置5)に取付けられる一方で、係止部109と係合してロック姿勢状態であるロック部材を、ロックハンドル106によって、ロック解除姿勢に切換操作することにより、ロック部材と係止部111との係合が解除され、左サイドカバー18Lをフレーム10側から取外すことが可能になる。すなわち、左サイドカバー18Lは、係脱自在にフレーム10側に取付固定されている。
【0059】
なお、左サイドカバー18Lをフレーム10側から取外した際には、常に、係止部109をフレーム10側左側部に沿うように内側に上方回動させ、正面視でフレーム10(前処理部3)の左側端(左側最外端)から外側(左側,外側方)に突出した係止部109を内側(右側)に収容(収納)する作業を行う。
【0060】
図13は、刈取装置の右側部側の構成を示す要部斜視図である。右サイドカバー18Rには、前述のフック部104、ロック部材、ロックハンドル106と同一構成のフック部(係合部)112、ロック部材(係合部)、ロックハンドル113が設けられている一方で、前処理部3の右デバイダ主フレーム38Rには、前後一対の支持ブラケット114,116を介して前述の係止部109と略同一構成の係止部117が支持されるとともに、フレーム10の上部の少なくとも一部を構成する引起横伝動筒37の右端部側には前述の係止部111と略同一構成の係止部118が固着されているため、右サイドカバー18Rは係脱自在にフレーム10側に取付けられている。
【0061】
次に、図12及び13に基づき左右のナローガイド26L,26Rの構成について説明する。
左ナローガイド26Lは、棒状のナローガイド本体119と、ナローガイド本体1119をフレーム10側に支持する前後一対の支持杆(支持部材)121,122とから構成されている。前側の支持杆121は左デバイダ主フレーム38Lの先端部に、後側の支持杆122は左デバイダ主フレーム38Lの基端部側にそれぞれ左右回動可能に支持されている。該支持構造によって、左ナローガイド26Lは、正面視でフレーム10(前処理部3)の左側端から外側に突出するガイド姿勢と、フレーム10の左側部に沿い正面視でフレーム10の左側端から内側に収容(収納)される収容姿勢(収納姿勢)とに姿勢切換可能に構成される。ちなみに、ガイド姿勢時、ナローガイド本体111は、前端部から中途部に向かって斜め外側に延びるとともに、中途部から後端部に向かって斜め内側に延びた状態になる。
【0062】
右ナローガイド26Rは、前後方向の棒状部材をU字状に折り曲げ形成することにより成形されており、前後の端部が右デバイダ主フレーム38Rに固定されたデバイダ24の中途部及び右主フレーム38Rの基端部側にそれぞれ左右回動可能に支持されている。右ナローガイド26Rは、正面視でフレーム10(前処理部3)の右側端(左側最外端から外側(右側,外側方)に突出するガイド姿勢と、フレーム10右側部に沿い正面視でフレーム10の右側端から内側(左側)に収容(収納)される収容姿勢(収納姿勢)とに姿勢切換可能に構成される。
【0063】
次に、図12乃至18に基づき最も左外側に配置されたデバイダ24及び最も右外側に配置されたデバイダの構成について説明する。
図14は、左最外デバイダの平面図であり、図15(A),(B)は分草姿勢時の左最外デバイダの平面図及び側面図であり、図16(A),(B)は収容姿勢時の左最外デバイダの平面図及び側面図である。最も左外側(左端)に配置されたデバイダ24である左最外デバイダ(最外デバイダ)24Lは、軸心がずれて進行方向に延びる後端部(基端部)及び前端部(先端部)に対して中途部が基端部と先端部を最短距離で直線状に接続するように取り曲げ形成された丸パイプである支持軸123と、略三角形状に成形された板状の取付ブラケット124を介して支持軸123先端部に姿勢調整可能にボルト固定されて先端部(前端部)が鋭角をなす前後方向の延びるプレート状のデバイダ本体126とを備えている。
【0064】
支持軸123の基端部は、中空丸パイプ状に成形された左デバイダ主フレーム38Lの前端開放側から内周側に軸回りに回動自在に差込み挿入されており、支持軸123の軸回りの回動は、左デバイダ主フレーム38Lの周壁に挿通係合されて左デバイダ主フレーム38L内周側に差込まれた支持軸123の基端部外周面に至るボルト127によって規制(ロック)される。
【0065】
デバイダ本体126には上下斜め方向に延びる前後一対の長孔126a,126aが穿設されており、取付ブラケット124とデバイダ本体126とを重合せた状態で、前後のボルト128,128を、取付ブラケット124及びデバイダ本体126の前後の長孔126a,126aにそれぞれ挿入して締付けることにより、支持軸123の先端部に固着された取付ブラケット124にデバイダ本体126を固定する。この際、ボルト128の対応する長孔126aへの挿通位置を変更することにより、支持軸123に対してデバイダ本体126の姿勢を変更調整することができる。
【0066】
左最外デバイダ24Lは、上記軸回りの回動機構により、デバイダ本体126が前後及び上下に延びて表裏が左右に向いた状態で、支持軸123の基端部に対して先端部が左側に位置して、支持軸123先端部及びデバイダ本体126が正面視でフレーム10の左側端(左デバイダ主フレーム38L)よりも外側に突出した分草姿勢(作業姿勢)と、デバイダ本体126が前後及び左右に延びて表裏が上下に向いた状態で、支持軸123の基端部及び先端部が平面視前後一直線状に位置して、支持軸123の先端部及びデバイダ本体126が正面視でフレーム10の左側端よりも内側に収容(収納)される収容姿勢(収納姿勢)とに姿勢切換可能に構成される。
【0067】
上記構成から、左最外デバイダ24Lの支持軸123の先端部及び基端部は、常時、本コンバインの進行方向に対して平行な姿勢で維持されるとともに、左最外デバイダ24Lのデバイダ本体126(左最外デバイダ24Lの先端側)は、分草姿勢時、本コンバインの進行方向に対して平行な姿勢で維持される。
【0068】
なお、分草姿勢時、左最外デバイダ24L及び左デバイダ主フレーム38L前端部の上方を覆うように尖った前端から後方に向かって上方に湾曲しながら広がる形状に成形されたカバー体129がデバイダ本体126の端縁に取付固定されている。支持軸123を軸回り内側に回動させることにより、左最外デバイダ24Lを分草姿勢から収容姿勢に切換えるため、収容姿勢の際、上記カバー体129は、フレーム10から外側には突出しないように、カバー体129全体がフレーム10の左側端よりも内側に収容される。
【0069】
図17(A)は、作業姿勢時の右最外デバイダの平面図であり、(B)は、収容姿勢時の右最外デバイダの平面図である。最も右外側(右端側)に配置されたデバイダ24である右最外デバイダ(最外デバイダ)24Rは、後端部(基端部)が右デバイダ主フレーム38L先端部に左右揺動自在に支持されて前後方向に延びる支持軸131と、支持軸131先端部に溶着等で取付固定されて前後及び上下方向に延びて表裏が左右を向いた板状の取付ブラケット132と、前述のデバイダ本体126と略同一に構成されて表裏が左右を向いた状態で一対のボルト135,135により上記取付ブラケット132に姿勢調整可能に固定されたデバイダ本体133と、右最外デバイダ24R及び右デバイダ主フレーム38R前端部の上方を覆うように尖った前端から後方に向かって上方に湾曲しながら広がる形状に成形されてデバイダ本体133の上端縁に取付固定されたカバー体134と、支持軸131の基端部に設けられて支持軸131の左右揺動を規制する規制部材136とを備えている。
【0070】
規制部材136は支持軸131と一体揺動するように支持軸131に取付固定され、平面視で右デバイダ主フレーム38R先端部に至る後端部に長孔136aが穿設されている。この長孔136aには、右デバイダ主フレーム38Rに挿入係合されるボルト137が挿通されている。このボルト137を締付けることにより支持軸131が右デバイダ主フレーム38Rに対して固定される一方で、ボルト137を緩めることによりボルト137が長孔136a内を変位する範囲内で支持軸131が左右揺動可能な状態になる。
【0071】
そして、右最外デバイダ24Rは、最右方位置に揺動させることにより、平面視で支持軸131及びデバイダ本体133がフレーム10(右デバイダ主フレーム38R)から前方斜め外側に突出し、支持軸131及びデバイダ本体133が正面視でフレーム10の右側端(右デバイダ主フレーム38R)から外側に突出した分草姿勢(作業姿勢)に切換えられる一方で、最左方位置に揺動させることにより、平面視で支持軸131及びデバイダ本体133がフレーム10から本コンバインの進行方向に一直線状に延びて、正面視でフレーム10の右側端から内側に収容(収納)される収容姿勢(収納姿勢)に切換えられる。
【0072】
なお、収容姿勢時において正面視でカバー体134がフレーム10の右側端に対して内側に位置して外側に突出しないように、カバー体134がデバイダ本体133に取付固定されている。くわえて、右最外デバイダ24Rの分草姿勢時におけるフレーム10右側端から外側への突出量Dは、左最外デバイダ24Lの分草姿勢時におけるフレーム10左側端から外側への突出量Dよりも大きくなるように、左右の最外デバイダ24L,24Rは構成されている(図8参照)。ちなみに、左右の最外デバイダ24L,24Rの間に位置するその他の各デバイダ24にも、前述のカバー体134と略同一に構成され上方を覆うカバー体138が設けられているが、正面視で掻込スペースSに位置しているカバー体138は、その他のカバー体138に比べて左右幅が狭くなっている(図3参照)。
【0073】
図18(A)は圃場作業時の本コンバインの正面図であり、(B)は路上走行時の本コンバインの正面図である。本コンバインは、左右の各サイドミラー13L,13Rが通常姿勢に、左右の各ナローガイド26L,26Rがガイド姿勢に、左右の各最外デバイダ24L,24Rが分草姿勢にそれぞれ姿勢切換えされた状態で、且つ左右の各サイドカバー18L,18Rが刈取装置5に取付固定された状態で、圃場を走行し、刈取作業等を行う。
【0074】
一方、本コンバインは、左右の各サイドミラー13L,13R、左右の各ナローガイド26L,26R及び左右の各最外デバイダ24L,24Rを収容姿勢に姿勢切換えするとともに、左右の各サイドカバー18L,18Rを刈取装置5から取外して重ねた状態で走行機体3の上面に位置決め載置した状態で、路上を走行する。この際、左右の各サイドミラー13L,13R、左右の各ナローガイド26L,26R及び左右の各最外デバイダ24L,24Rが前述したようにフレーム10の左右の側端よりもそれぞれ内側に収納された状態になる。
【0075】
以上のようにして、本コンバインは、圃場作業時における作業性と、路上走行時における利便性を両立させている。
【0076】
次に、図19に基づき本発明の他の実施形態につき前述した実施形態と異なる点を説明する。
図19(A),(B)は、本発明の他の実施形態を示す左最外デバイダの分草姿勢時及び収容姿勢時の平面図である。本コンバインの左最外デバイダ24Lは、後端部(基端部)が左デバイダ主フレーム38L先端部に左右揺動自在に支持されて直線状に延びる後端部及び中途部に対して前端部(先端部)が内側(右側)に屈曲形成された支持軸139と、前述した取付ブラケット124及びデバイダ本体126と、支持軸139基端部に取付固定されて支持軸139の左右揺動を規制する規制部材141とを備えている。
【0077】
規制部材141は支持軸139と一体揺動するように支持軸139基端部に取付固定され、平面視で左デバイダ主フレーム38L先端部に至る後端部に長孔141aが穿設されている。この長孔141aには、左デバイダ主フレーム38Lに挿入係合されるボルト142が挿通されている。このボルト142を締付けることにより支持軸139が左主フレーム38Lに対して固定される一方で、ボルト142を緩めることによりボルト142が長孔141a内を変位する範囲内で支持軸139が左右揺動可能な状態になる。
【0078】
そして、左最外デバイダ24Lは、最左方位置に揺動させることにより、支持軸139の基端部及び中途部が前方斜め外側に延びるとともに支持軸139の先端部及びデバイダ本体126が進行方向に対して平行な状態で前方に延びて、支持軸131及びデバイダ本体126が正面視でフレーム10の左側端から外側に突出した分草姿勢(作業姿勢)に切換えられる一方で、最右方位置に揺動させることにより、支持軸139の基端部及び中途部が進行方向に対して平行に前方に延びるとともに支持軸139の先端部及びデバイダ本体126が前方斜め内側に延びて支持軸131、デバイダ本体126及びカバー体129が正面視でフレーム10の左側端から内側に収容(収納)された収容姿勢(収納姿勢)に切換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図である。
【図2】本発明を適用した自脱式のコンバインの平面図である。
【図3】本発明を適用した自脱式のコンバインの正面図である。
【図4】刈取装置の側面図である。
【図5】刈取装置の正面図である。
【図6】フレームの一部を構成する縦筒、横筒及び縦伝動筒の正面図である。
【図7】フレームの一部を構成する縦伝動筒及び引起横伝動筒の正面図である。
【図8】前処理部のフレーム及び搬送装置の構成を示す要部平面図である。
【図9】搬送装置を構成して刈取られた穀稈の株元側を挟持搬送する各種株元搬送体の構成を示す要部平面図である。
【図10】搬送装置を構成して刈取られた穀稈の穂先側をガイド搬送する各種穂先搬送体の構成を示す要部平面図である。
【図11】刈取装置の動力伝動系統図である。
【図12】刈取装置の左側部側の構成を示す要部斜視図である。
【図13】刈取装置の右側部側の構成を示す要部斜視図である。
【図14】左最外デバイダの平面図である。
【図15】(A),(B)は分草姿勢時の左最外デバイダの平面図及び側面図である。
【図16】(A),(B)は収容姿勢時の左最外デバイダの平面図及び側面図である。
【図17】(A)は、作業姿勢時の右最外デバイダの平面図であり、(B)は、収容姿勢時の右最外デバイダの平面図である。
【図18】(A)は圃場作業時の本コンバインの正面図であり、(B)は路上走行時の本コンバインの正面図である。
【図19】(A),(B)は、本発明の他の実施形態を示す左最外デバイダの分草姿勢時及び収容姿勢時の平面図である。
【符号の説明】
【0080】
2 走行機体(車体)
10 フレーム(前処理フレーム,フレーム部)
24 デバイダ(分草体)
24L 左最外デバイダ(最外デバイダ)
24R 右最外デバイダ(最外デバイダ)
突出量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(2)前方に連結されて穀稈の刈取作業を行う前処理部(3)を支持する前処理フレーム(10)を備え、前処理フレーム(10)下端側から前方に突出形成される前後方向のデバイダ(24)を左右方向に複数並列配置し、前処理フレーム(10)の左右の最外端が走行機体(2)の左右の最外端よりもそれぞれ外側に位置するように走行機体(2)の左右幅が前処理フレーム(10)の左右幅より狭いコンバインにおいて、左右両端に配置されたデバイダ(24)である左右の最外デバイダ(24L),(24R)の少なくとも一方を、近い側の前処理フレーム(10)最外端から外側に突出する作業姿勢と、突出しない収容姿勢とに姿勢切換可能に前処理フレーム(10)側に支持したコンバイン。
【請求項2】
作業姿勢時における左側の最外デバイダ(24L)の先端側が、進行方向に対して略平行になる請求項1のコンバイン。
【請求項3】
左右の各最外デバイダ(24L),(24R)を作業姿勢と収容姿勢とに姿勢切換可能に支持し、左側の最外デバイダ(24L)と比較して右側の最外デバイダ(24R)の前処理フレーム(10)最外端からの突出量(D)が多くなるように左右の最外デバイダ(24L),(24R)を構成した請求項1又は2のコンバイン。
【請求項4】
最外デバイダ(24L)を軸回りに回動可能に支持することにより前記姿勢切換が可能になる請求項1,2又は3のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−94082(P2010−94082A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268144(P2008−268144)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】