コンバイン
【課題】走行機体の機体フレームの前部側に設けた運転部を備え、機体フレームの後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置と穀粒回収部を備えたコンバインにおいて、脱穀装置や穀粒回収部の走行機体前後方向での長さ如何にかかわらず、走行機体の前後長さや、脱穀装置および穀粒回収部の機体フレームに対する連結または配置を適切にした状態で脱穀装置および穀粒回収部を装備できながら経済面で有利に得られるようにする。
【解決手段】機体フレーム2のうちの脱穀装置5および穀粒回収部6の走行機体前方側部分と運転部3との下方に位置する走行機体前方側部分を形成する前用の分割機体フレーム30と、機体フレーム2のうちの脱穀装置5および穀粒回収部6の走行機体後方側部分5b,6bの下方に位置する走行機体後方側部分を形成する後用の分割機体フレーム40とを、各別に作製した後に連結してある。
【解決手段】機体フレーム2のうちの脱穀装置5および穀粒回収部6の走行機体前方側部分と運転部3との下方に位置する走行機体前方側部分を形成する前用の分割機体フレーム30と、機体フレーム2のうちの脱穀装置5および穀粒回収部6の走行機体後方側部分5b,6bの下方に位置する走行機体後方側部分を形成する後用の分割機体フレーム40とを、各別に作製した後に連結してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の機体フレームの前部側に設けた運転部を備え、前記機体フレームの後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置と穀粒回収部を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1には、自脱型コンバインが記載されている。この自脱型コンバインでは、車体フレーム1の左半部に脱穀装置4を搭載し、車体フレーム1の右後部に穀粒タンク7を搭載し、車体フレーム1の右前部にエンジン9を搭載するとともに搭乗運転部を形成するキャビン10を配備している。
【0003】
【特許文献1】特開2008−72988号公報(段落〔0015〕、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したコンバインでは、刈り取り条数の相違などによって脱穀処理能力が大小異なる脱穀装置や、穀粒貯留量が大小異なる穀粒回収部を備えるよう構成される。
しかし、走行機体前後方向での大きさが異なる脱穀装置や穀粒回収部の場合であっても、機体フレームの走行機体前後方向長さが長過ぎて走行機体の前後長さが過剰に長くなることや、機体フレームの走行機体前後方向長さが短過ぎて脱穀装置や穀粒回収部の機体フレームに対する連結または配置が不適切になることを回避しながら脱穀装置および穀粒回収部を装備できるように、走行機体前後方向での大きさが異なる脱穀装置や穀粒回収部を装備する複数の機種毎に、適切な走行機体前後方向長さを有した機体フレームを、機体フレームの全体にわたる一体部品にして作製すると、機体フレームの製作面からコスト高になる。
【0005】
本発明の目的は、脱穀装置や穀粒回収部の走行機体前後方向での長さ如何にかかわらず、走行機体の前後長さや、脱穀装置および穀粒回収部の機体フレームに対する連結または配置を適切にした状態で脱穀装置および穀粒回収部を装備できるものでありながら経済面で有利に得ることができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、走行機体の機体フレームの前部側に設けた運転部を備え、前記機体フレームの後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置と穀粒回収部を備えたコンバインにおいて、
前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体前方側部分と前記運転部との下方に位置する走行機体前方側部分を形成する前用の分割機体フレームと、前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体後方側部分の下方に位置する走行機体後方側部分を形成する後用の分割機体フレームとを、各別に作製した後に連結してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、走行機体前後方向での長さが異なる脱穀装置や穀粒回収部を備えさせる場合であっても、脱穀装置や穀粒回収部の走行機体前後方向での長さに対応した適切な走行機体前後方向長さを備えさせた後用の分割機体フレームを採用することにより、脱穀装置や穀粒回収部の長さの相違にかかわらず、一定の走行機体前後方向長さを備えた前用の分割機体フレームを採用しても、走行機体フレームには、前用の分割機体フレームの長さと後用の分割連結フレームの長さとの合計長さによって適切な走行機体前後方向長さを備えさせることができる。
【0008】
したがって、脱穀装置や穀粒回収部の脱穀処理能力あるいは穀粒貯留量の大きさ如何にかかわらず、走行機体フレームの走行機体前後方向長さを脱穀装置や穀粒回収部の走行機体前後方向長さに対応した適切な長さにして、走行機体の前後長さを長過ぎない適切な長さにできるものでありながら、かつ脱穀装置および穀粒回収部の走行機体フレームに対する連結あるいは配置を適切にできるものでありながら、前用の分割機体フレームとして一定の走行機体前後方向長さを有した共用の分割機体フレームを採用して安価で済ませることができる。
【0009】
本第2発明では、前記前用の分割機体フレームと前記後用の分割機体フレームとが、走行機体前後向きの連結部材と、この連結部材が係入する走行機体前後向きの連結孔とによって連結されている。
【0010】
本第2発明の構成によると、本第1発明の構成による作用効果を備えるに加え、次の作用効果を備える。
【0011】
本第2発明の構成によると、前用の分割機体フレームと後用の分割機体フレームとが走行機体前後方向に互いに寄り合うように分割機体フレームの移動操作を行うと、これに伴って連結部材が連結孔に係入して前用と後用の両分割機体フレームが連結され、両分割機体フレームの連結箇所での折れ曲がりが発生しにくい強度を機体フレームに備えさせることができる。
【0012】
したがって、前用と後用の分割機体フレームの連結箇所での折れ曲がりが発生しにくい優れた強度を機体フレームに備えさせることができながら、前用と後用の両分割機体フレームを寄せ合わせることによって連結できて能率よく組み立て作業できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1,1が下部に装備された機体フレーム2を有し、かつ前記機体フレーム2の前部側に設けた運転部3を有した走行機体を備え、前記機体フレーム2の前部に連結された刈取り部4を備え、前記機体フレーム2の後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えている。
【0014】
このコンバインは、稲や麦の収穫作業を行う。
つまり、前記走行機体は、前記運転部3に設けた運転キャビン3a、この運転キャビン3aの内部に設けた運転座席3bを備えており、運転キャビン3aの内部に搭乗した作業者によって操縦される。
【0015】
前記走行機体は、前記運転座席3bの下方に設けたエンジン7aを有した原動部7と、前記機体フレーム2の前端部に設けたミッションケース8とを備え、前記エンジン7aによって出力される駆動力を前記ミッションケース8を介して前記左右一対のクローラ走行装置1,1のクローラ駆動輪1aに伝達して左右一対のクローラ走行装置1,1を駆動し、左右一対のクローラ走行装置1,1によって走行する。
【0016】
前記刈取り部4は、刈取り部フレーム4aが昇降シリンダ75(図17参照)によって機体フレーム2に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部4の前端部に走行機体横方向に並べて設けてある分草具4bが田面近くに下降した下降作業状態と、前記分草具4bが田面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降される。刈取り部4を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部4は、前記各分草具4bによって植立穀稈を走行機体横方向に並ぶ引起し装置4cのうちの対応する引起し装置4cに導入し、各引起し装置4cによって引起し処理される植立穀稈を一つのバリカン形の刈り取り装置4dによって刈り取り処理し、刈り取り穀稈を供給装置4eによって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置5に供給する。
【0017】
前記脱穀装置5は、前記供給装置4eからの刈り取り穀稈を脱穀フィードチェーン94(図18参照)によって走行機体後方側に挟持搬送しながら、刈り取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して回動する扱胴82(図18参照)によって脱穀処理する。
【0018】
前記穀粒タンク6は、前記脱穀装置5から排出された脱穀粒が揚穀装置9によって穀粒タンク6の上端部に位置する供給口に揚送して供給されることにより、脱穀装置6からの脱穀粒を回収して貯留する。この穀粒タンク6は、貯留した脱穀粒を、穀粒タンク6の底部内に位置する底スクリュー11を有した搬出装置10によってタンク外に搬出する。
【0019】
前記搬出装置10は、前記底スクリュー11を備える他、前記底スクリュー11の搬送終端部に伝動ケース12を介して搬送始端部が接続された走行機体上下向きの縦スクリューコンベヤ13と、この縦スクリューコンベヤ13の搬送終端部に中継ケース14を介して搬送始端部が連通された横スクリューコンベヤ15とを備えている。
【0020】
前記伝動ケース12は、前記穀粒タンク6の後端側の下部に連結されている。この伝動ケース12は、前記底スクリュー11の駆動力をベベルギヤの利用によって前記縦スクリューコンベヤ13のスクリュー軸に伝達するギヤ伝動機構(図示せず)を収容している。前記中継ケース14は、前記横スクリューコンベヤ15を前記縦スクリューコンベヤ14に対して上下揺動自在に連結している。この中継ケース14は、前記縦スクリューコンベヤ13のスクリュー軸の駆動力をベベルギヤの利用によって前記横スクリューコンベヤ15のスクリュー軸に伝達するギヤ機構を収容している。
【0021】
図4に示すように、前記伝動ケース12の下部に設けた連結軸12aが、前記機体フレーム2の後部側の横端部に設けた円筒形のタンク支持部20に回転自在に支持されており、前記穀粒タンク6は、前記タンク支持部20によって揺動自在に支持されて前記縦スクリューコンベヤ13の軸芯と合致した走行機体上下向き軸芯Pまわりに揺動開閉する。
【0022】
図2に二点鎖線で示す前記穀粒タンク6のように、前記穀粒タンク6を前記走行機体上下向き軸芯Pまわりに走行機体横外側に揺動操作すると、前記穀粒タンク6は、穀粒タンク6の前後向きが走行機体横向きになり、かつ穀粒タンク6の前端部が走行機体の横外側に位置した開き姿勢となり、穀粒タンク6の内側に位置する前記揚穀装置9や脱穀装置部分など、および穀粒タンク6の走行機体横方向での内側部分を点検や修理しやすいように開放する。
【0023】
図3は、前記穀粒タンク6の閉じ姿勢での側面図である。この図に示すように、かつ図2に実線で示す前記穀粒タンク6のように、前記穀粒タンク6を前記走行機体上下向き軸芯Pまわりに走行機体内側に揺動操作すると、前記穀粒タンク6は、これの前後向きが走行機体前後向きになった閉じ姿勢となり、脱穀装置5の走行機体横方向での内側に位置する部位や前記揚穀装置9を閉じる。
【0024】
図5は、図3のV−V断面矢視図である。この図と図3とに示すように、前記穀粒タンク6が閉じ姿勢になると、穀粒タンク6の前端側の下部に設けた前脚部材21の座部21aが、機体フレーム2に設けた前支持板部22の上面側に載って受け止め支持される。
【0025】
図6は、図3のVI−VI断面矢視図である。この図と図3とに示すように、前記穀粒タンク6が閉じ姿勢になると、穀粒タンク6の後端側の下部に設けた後脚部材23の一対の座部23a,23aが、機体フレーム2に設けた後支持板部24の上面側に載って受け止め支持される。
【0026】
つまり、穀粒タンク6を閉じ姿勢にした状態では、穀粒タンク6が穀粒タンク6とタンク内穀粒とによって備える重量は、機体フレーム2の前記前支持板部22と前記後支持板部24とによって支持される。
【0027】
図8は、前記機体フレーム2の平面図である。この図と図3とに示すように、前記機体フレーム2は、前記前支持板部22と前記後支持板部24との間に設けたタンク収容空隙25を備えている。前記タンク収容空隙25は、これの機体フレーム横外側に機体フレーム2の横外側縁2Lから走行機体横方向での内側に入り込んでおり、かつ前記横外側縁2Lに沿って位置するタンク出入り口25aを備えており、前記タンク出入り口25aによって走行機体横外側向きに開口している。
【0028】
図7は、図3のVII−VII断面矢視図である。この図と図3,4とに示すように、前記タンク収容空隙25は、前記穀粒タンク6が揺動開閉される際、穀粒タンク6の底部6a(穀粒タンク6の最低箇所から高さHまでの部分)をタンク収容空隙25に対して前記タンク出入り口25aから出入りさせ、前記穀粒タンク6が閉じ姿勢に支持された状態において穀粒タンク6の前記底部6aをタンク収容空隙25に入り込ませ、機体フレーム2の上面2Sから穀粒タンク6の上端までの高さH1を、穀粒タンク6の全高H2(穀粒タンク6の最低箇所から上端までの高さ)よりも低くしている。
【0029】
図9は、前記機体フレーム2の組み立て前の状態での平面図である。この図と図8とに示すように、前記機体フレーム2は、機体フレーム2の走行機体前方側部分を形成するとともに前記タンク収容空隙25および前記前支持板部22を有した前用の分割機体フレーム30(以下、前分割機体フレーム30と呼称する。)と、機体フレーム2の前記タンク収容空隙25よりも走行機体後方側部分を形成するとともに前記後支持板部24を有した後用の分割機体フレーム40(以下、後分割機体フレーム40と呼称する。)とを備えて構成してある。
つまり、前記機体フレーム2は、前記前分割機体フレーム30と前記後分割機体フレーム40とを各別に作製し、この後、前分割機体フレーム30の後端部と後分割機体フレーム40の前端部とにわたって設けた連結手段50によって前分割機体フレーム30と後分割機体フレーム40とを連結することによって作製してある。
【0030】
前記前分割機体フレーム30は、前記刈取り部4の後部と前記原動部7と前記運転部3との下方に位置する前フレーム部31と、この前フレーム部31よりも機体フレーム後方側に位置して前記脱穀装置5の走行機体前方側部分の下方に位置するとともに脱穀装置5が連結される脱穀フレーム部32と、前記前フレーム部31よりも機体フレーム後方側に前記脱穀フレーム部32と機体フレーム横方向に並んで位置して前記穀粒タンク6の走行機体前方側部分の下方に位置するとともに前記前支持板部22および前記タンク収容空隙25を有したタンクフレーム部33とを備えている。この前分割機体フレーム30は、前記前フレーム部31、前記脱穀フレーム部32、前記タンクフレーム部33が枠組み型になるように組み合わせた鋼管材および板金材によって構成してある。
【0031】
図10,11に示すように、前記前分割機体フレーム30の前記脱穀フレーム部32は、脱穀フレーム部32の後端側に固定された連結座34を備え、この連結座34に脱穀装置5の後部に設けた連結部材5aを連結ボルト35によって締め付け連結されることにより、脱穀装置5の後部側を連結される。
【0032】
前記前分割機体フレーム30は、前記前フレーム部31の前端部に設けた左右一対のステー36,36を備え、この左右一対のステー36,36によって前記ミッションケース8を支持する。前記前分割機体フレーム30は、前記タンクフレーム部33の前記タンク収容空隙25の横側に設けた波板37を備え、電線を波板37の上面側の凹部に入り込ませて支持する。
【0033】
前記後分割機体フレーム40は、前記脱穀装置5の走行機体後方側部分5b(図10参照)の下方に位置するガードフレーム部41と、前記穀粒タンク6の走行機体後方側部分6b(図1参照)の下方に位置するとともに前記タンク支持部20および前記後支持板部24を有したタンクフレーム部42を備えている。この後分割機体フレーム40は、組み合わせ連結した中空棒材と中実棒材と板金材とによって構成してある。
【0034】
前記後分割機体フレーム40は、前記ガードフレーム部41の横端部に設けたタンク載置部43を備え、このタンク載置部43により、エンジン用の燃料タンク44(図8参照)を脱穀装置5の走行機体後方側部分5bの下方に配置して支持する。前記機体フレーム2は、前記後分割機体フレーム40の両横端部に設けたロープ掛け具45を備えており、走行機体を運搬車荷台に固定するロープを前記ロープ掛け具45を利用して機体フレーム2に連結させる。
【0035】
図8,9に示すように、前記連結手段50は、前記前分割機体フレーム30の後端部と前記後分割機体フレーム40の前端部とにわたって走行機体横方向に分散させて設けた第1連結機構51と第2連結機構55を備え、前記第1連結機構51と前記第2連結機構55との間で前分割機体フレーム30と後分割機体フレーム40とを連結する連結ボルトを備えている。
【0036】
図11は、図8のXI−XI断面矢視図である。この図と図8,10とに示すように、前記第1連結手段51は、前記後分割機体フレーム40に設けた走行機体前後向きの筒形の連結部材52と、前記前分割機体フレーム30に前記連結部材52を受け止め支持させるように設けた支持レール53と、前記連結部材52を前分割機体フレーム30を構成する鋼管材に締め付け連結する連結ボルト54とを備えている。前記連結部材52は、後分割機体フレーム40を構成する中空棒材の一部によって構成してある。
【0037】
図12は、図8のXII−XII断面矢視図である。この図と図8,13とに示すように、前記第2連結機構55は、前記後分割機体フレーム40に設けた走行機体前後向きの中実形の連結部材56と、前記前分割機体フレーム30に前記連結部材56が係入するよう設けた連結孔57と、前記連結孔57を形成する部材に前記連結部材56を締め付け連結する連結ボルト58とを備えている。
【0038】
前記穀粒タンク6は、閉じ姿勢にされた場合、図14に示す如く穀粒タンク6の前面側の上部に設けた閉じフック61を有した閉じロック機構60によって閉じ姿勢に固定される。
【0039】
図16は、前記閉じロック機構60の平面図である。この図と図14とに示すように、前記閉じロック機構60は、前記閉じフック61を備える他、閉じフック61に連結されたロックバネ62と、閉じフック61が係脱する固定軸63aとを備えている。
【0040】
前記閉じフック61は、穀粒タンク6に連結された支持板64に支持ピン65を介して揺動自在に支持されている。
【0041】
図15,16に示すように、前記固定軸63aは、脱穀装置5に連結部材66の支持部66aを介して連結された連結軸63の一端部によって構成してある。図15,16に示すように、前記連結軸63の他端側は、機体フレーム2に立設された支柱67の上端側から延出したホルダー軸68の上端部にホルダー69を介して連結されている。前記支柱67は、運転部3の座席支持台に固定された取り付け筒70を回転自在に支持することにより、運転部3を走行機体上下向きの開閉軸芯Xまわりに揺動開閉自在に支持している。前記ホルダー69は、前記取り付け筒70の上端側を回転自在に支持している。
つまり、前記固定軸63aは、前記支柱67の上端側と脱穀装置5とを連結する連結軸63を利用して構成してある。
【0042】
前記閉じロック機構60は、前記閉じフック61がロックバネ62による揺動操作によって固定軸63aに係合することにより、ロック作用状態となって閉じ姿勢の穀粒タンク6の上端側を固定する。
【0043】
前記閉じロック機構60は、前記閉じフック61に操作ロッド71を介して連動された解除レバー72を備えている。前記解除レバー72は、前記前脚部材21に揺動自在に支持されている。
つまり、閉じロック機構60は、前記解除レバー72が前記ロックバネ62に抗して揺動操作されることにより、閉じフック61が固定軸63aから外れてロック解除状態になる。
【0044】
図14に示すように、前記穀粒タンク6は、前記前脚部材21に昇降操作自在に支持されたロックピン73を備えている。このロックピン73は、前記前支持板部22に設けたピン孔に挿入されることにより、閉じ姿勢の穀粒タンク6の下端側をロックする。
【0045】
図8に示すように、前記機体フレーム2は、前記前分割機体フレーム30の前端側の左端部に設けた刈取り支持部38を備えており、前記走行機体は、前記刈取り部4を前記刈り取り支持部38によって走行機体上下向き軸芯まわりに揺動開閉自在に支持する。
【0046】
図8,17に示すように、前記走行機体は、前記機体フレーム2の前端側の左端部に脱穀装置5の下端部よりも走行機体前方側に配置して設けた作動油タンク76とバルブユニット77と伝動ケース78とを備え、前記バルブユニット77の上方に設けたユニットカバー79を備えている。前記作動油タンク76と前記バルブユニット77と前記伝動ケース78とは、バルブユニット77が作動油タンク76よりも走行機体後方側に位置し、伝動ケース78がバルブユニット77よりも走行機体後方側に位置する配置で走行機体前後方向に並んでいる。
【0047】
前記ユニットカバー79は、走行機体横外側ほど低配置レベルに位置する傾斜姿勢を備えており、脱穀フィードチェーン94によって搬送される刈り取り穀稈から落下したワラ屑などの塵埃をバルブユニット77に落下しないように受け止め、受け止めた塵埃を走行機体横外側に滑落させて排出する。
【0048】
前記バルブユニット77は、昇降バルブ(図示せず)およびローリングバルブ装置(図示せず)を備えている。
【0049】
前記昇降バルブは、前記ミッションケース8に設けた油圧ポンプ(図示せず)によって供給された前記作動油タンク76からの作動油を前記昇降シリンダ75に供給したり、この昇降シリンダ75から排油したりすることにより、昇降シリンダ75を伸縮操作して刈取り部4を昇降操作する。
【0050】
前記ローリングバルブ装置は、前記ミッションケース8に設けた油圧ポンプ(図示せず)によって供給された前記作動油タンク76からの作動油を前記左右一対のクローラ走行装置1,1のトラックフレーム(図示せず)に各別に連動された一対のローリングシリダ(図示せず)に供給して一対のローリングシリンダを各別に伸縮操作することにより、左右一対のクローラ走行装置1,1のトラックフレームを各別に機体フレーム2に対して昇降操作して左側のクローラ走行装置1の接地転輪と右側のクローラ走行装置1の接地転輪とを各別に機体フレーム2に対して昇降操作し、これによって走行機体のローリング操作を行う。
【0051】
図18は、前記エンジン7aからの駆動力を前記脱穀装置5に伝達する脱穀伝動装置の線図である。この図に示すように、前記脱穀伝動装置は、前記エンジン7aの出力軸からの出力を前記伝動ケース78が備えるカウンター軸80に入力し、このカウンター軸80にベベルギヤ機構を介して連動させて前記伝動ケース78に設けた出力プーリ81の駆動力を伝動ベルトを介して扱胴82に伝達する。
前記脱穀伝動装置は、前記カウンター軸80の入力側とは反対側の端部に設けた出力プーリ83の駆動力を伝動ベルトを介して唐箕84に伝達し、前記カウンター軸80の端部に設けた出力プーリ85の駆動力を伝動ベルトを介して一番スクリューコンベヤ86に伝達し、一番スクリューコンベヤ86の駆動力を伝動ベルト87を介して分離ドラム88と二番スクリューコンベヤ89と選別伝動プーリ90と排塵伝動プーリ91とに伝達し、選別伝動プーリ90の駆動力を伝動ベルトを介して揺動選別装置92に伝達し、排塵伝動プーリ91の駆動力をギヤ機構を介して排塵ファン93に伝達し、排塵ファン93の駆動力をギヤ機構を介して脱穀フィードチェーン94に伝達する。
【0052】
〔別実施例〕
上記した実施例の如く穀粒タンク6を備えるコンバインに替え、ホッパー型の袋詰めタンク及び袋支持装置を有した袋詰め部を有し、脱穀装置5からの脱穀粒を袋詰めタンクに回収して袋詰めタンクから穀粒袋に詰める構成を備えたコンバインの場合でも本発明を適用できるのであり、穀粒タンク6、袋詰め部を総称して穀粒回収部6と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】穀粒タンクの閉じ姿勢での側面図
【図4】穀粒タンク取り付け構造の側面図
【図5】図3のV−V断面矢視図
【図6】図3のVI−VI断面矢視図
【図7】図3のVII−VII断面矢視図
【図8】機体フレームの平面図
【図9】機体フレームの組み立て前の状態での平面図
【図10】第1連結機構の縦断側面図
【図11】図8のXI−XI断面矢視図
【図12】図8のXII−XII断面矢視図
【図13】第2連結機構の縦断側面図
【図14】閉じロック機構の正面図
【図15】運転部支持構造の後面図
【図16】閉じロック機構の平面図
【図17】走行機体前端部の左側面図
【図18】脱穀伝動装置の線図
【符号の説明】
【0054】
2 機体フレーム
3 運転部
5 脱穀装置
5b 脱穀装置の走行機体後方側部分
6 穀粒回収部
6b 穀粒回収部の走行機体後方側部分
30 前用の分割機体フレーム
40 後用の分割機体フレーム
56 連結部材
57 連結孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の機体フレームの前部側に設けた運転部を備え、前記機体フレームの後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置と穀粒回収部を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記したコンバインとして、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1には、自脱型コンバインが記載されている。この自脱型コンバインでは、車体フレーム1の左半部に脱穀装置4を搭載し、車体フレーム1の右後部に穀粒タンク7を搭載し、車体フレーム1の右前部にエンジン9を搭載するとともに搭乗運転部を形成するキャビン10を配備している。
【0003】
【特許文献1】特開2008−72988号公報(段落〔0015〕、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したコンバインでは、刈り取り条数の相違などによって脱穀処理能力が大小異なる脱穀装置や、穀粒貯留量が大小異なる穀粒回収部を備えるよう構成される。
しかし、走行機体前後方向での大きさが異なる脱穀装置や穀粒回収部の場合であっても、機体フレームの走行機体前後方向長さが長過ぎて走行機体の前後長さが過剰に長くなることや、機体フレームの走行機体前後方向長さが短過ぎて脱穀装置や穀粒回収部の機体フレームに対する連結または配置が不適切になることを回避しながら脱穀装置および穀粒回収部を装備できるように、走行機体前後方向での大きさが異なる脱穀装置や穀粒回収部を装備する複数の機種毎に、適切な走行機体前後方向長さを有した機体フレームを、機体フレームの全体にわたる一体部品にして作製すると、機体フレームの製作面からコスト高になる。
【0005】
本発明の目的は、脱穀装置や穀粒回収部の走行機体前後方向での長さ如何にかかわらず、走行機体の前後長さや、脱穀装置および穀粒回収部の機体フレームに対する連結または配置を適切にした状態で脱穀装置および穀粒回収部を装備できるものでありながら経済面で有利に得ることができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、走行機体の機体フレームの前部側に設けた運転部を備え、前記機体フレームの後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置と穀粒回収部を備えたコンバインにおいて、
前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体前方側部分と前記運転部との下方に位置する走行機体前方側部分を形成する前用の分割機体フレームと、前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体後方側部分の下方に位置する走行機体後方側部分を形成する後用の分割機体フレームとを、各別に作製した後に連結してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、走行機体前後方向での長さが異なる脱穀装置や穀粒回収部を備えさせる場合であっても、脱穀装置や穀粒回収部の走行機体前後方向での長さに対応した適切な走行機体前後方向長さを備えさせた後用の分割機体フレームを採用することにより、脱穀装置や穀粒回収部の長さの相違にかかわらず、一定の走行機体前後方向長さを備えた前用の分割機体フレームを採用しても、走行機体フレームには、前用の分割機体フレームの長さと後用の分割連結フレームの長さとの合計長さによって適切な走行機体前後方向長さを備えさせることができる。
【0008】
したがって、脱穀装置や穀粒回収部の脱穀処理能力あるいは穀粒貯留量の大きさ如何にかかわらず、走行機体フレームの走行機体前後方向長さを脱穀装置や穀粒回収部の走行機体前後方向長さに対応した適切な長さにして、走行機体の前後長さを長過ぎない適切な長さにできるものでありながら、かつ脱穀装置および穀粒回収部の走行機体フレームに対する連結あるいは配置を適切にできるものでありながら、前用の分割機体フレームとして一定の走行機体前後方向長さを有した共用の分割機体フレームを採用して安価で済ませることができる。
【0009】
本第2発明では、前記前用の分割機体フレームと前記後用の分割機体フレームとが、走行機体前後向きの連結部材と、この連結部材が係入する走行機体前後向きの連結孔とによって連結されている。
【0010】
本第2発明の構成によると、本第1発明の構成による作用効果を備えるに加え、次の作用効果を備える。
【0011】
本第2発明の構成によると、前用の分割機体フレームと後用の分割機体フレームとが走行機体前後方向に互いに寄り合うように分割機体フレームの移動操作を行うと、これに伴って連結部材が連結孔に係入して前用と後用の両分割機体フレームが連結され、両分割機体フレームの連結箇所での折れ曲がりが発生しにくい強度を機体フレームに備えさせることができる。
【0012】
したがって、前用と後用の分割機体フレームの連結箇所での折れ曲がりが発生しにくい優れた強度を機体フレームに備えさせることができながら、前用と後用の両分割機体フレームを寄せ合わせることによって連結できて能率よく組み立て作業できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るコンバインの全体側面図である。図2は、本発明の実施例に係るコンバインの全体平面図である。これらの図に示すように、本発明の実施例に係るコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1,1が下部に装備された機体フレーム2を有し、かつ前記機体フレーム2の前部側に設けた運転部3を有した走行機体を備え、前記機体フレーム2の前部に連結された刈取り部4を備え、前記機体フレーム2の後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置5と穀粒タンク6とを備えている。
【0014】
このコンバインは、稲や麦の収穫作業を行う。
つまり、前記走行機体は、前記運転部3に設けた運転キャビン3a、この運転キャビン3aの内部に設けた運転座席3bを備えており、運転キャビン3aの内部に搭乗した作業者によって操縦される。
【0015】
前記走行機体は、前記運転座席3bの下方に設けたエンジン7aを有した原動部7と、前記機体フレーム2の前端部に設けたミッションケース8とを備え、前記エンジン7aによって出力される駆動力を前記ミッションケース8を介して前記左右一対のクローラ走行装置1,1のクローラ駆動輪1aに伝達して左右一対のクローラ走行装置1,1を駆動し、左右一対のクローラ走行装置1,1によって走行する。
【0016】
前記刈取り部4は、刈取り部フレーム4aが昇降シリンダ75(図17参照)によって機体フレーム2に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部4の前端部に走行機体横方向に並べて設けてある分草具4bが田面近くに下降した下降作業状態と、前記分草具4bが田面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降される。刈取り部4を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部4は、前記各分草具4bによって植立穀稈を走行機体横方向に並ぶ引起し装置4cのうちの対応する引起し装置4cに導入し、各引起し装置4cによって引起し処理される植立穀稈を一つのバリカン形の刈り取り装置4dによって刈り取り処理し、刈り取り穀稈を供給装置4eによって走行機体後方向きに搬送して脱穀装置5に供給する。
【0017】
前記脱穀装置5は、前記供給装置4eからの刈り取り穀稈を脱穀フィードチェーン94(図18参照)によって走行機体後方側に挟持搬送しながら、刈り取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給して回動する扱胴82(図18参照)によって脱穀処理する。
【0018】
前記穀粒タンク6は、前記脱穀装置5から排出された脱穀粒が揚穀装置9によって穀粒タンク6の上端部に位置する供給口に揚送して供給されることにより、脱穀装置6からの脱穀粒を回収して貯留する。この穀粒タンク6は、貯留した脱穀粒を、穀粒タンク6の底部内に位置する底スクリュー11を有した搬出装置10によってタンク外に搬出する。
【0019】
前記搬出装置10は、前記底スクリュー11を備える他、前記底スクリュー11の搬送終端部に伝動ケース12を介して搬送始端部が接続された走行機体上下向きの縦スクリューコンベヤ13と、この縦スクリューコンベヤ13の搬送終端部に中継ケース14を介して搬送始端部が連通された横スクリューコンベヤ15とを備えている。
【0020】
前記伝動ケース12は、前記穀粒タンク6の後端側の下部に連結されている。この伝動ケース12は、前記底スクリュー11の駆動力をベベルギヤの利用によって前記縦スクリューコンベヤ13のスクリュー軸に伝達するギヤ伝動機構(図示せず)を収容している。前記中継ケース14は、前記横スクリューコンベヤ15を前記縦スクリューコンベヤ14に対して上下揺動自在に連結している。この中継ケース14は、前記縦スクリューコンベヤ13のスクリュー軸の駆動力をベベルギヤの利用によって前記横スクリューコンベヤ15のスクリュー軸に伝達するギヤ機構を収容している。
【0021】
図4に示すように、前記伝動ケース12の下部に設けた連結軸12aが、前記機体フレーム2の後部側の横端部に設けた円筒形のタンク支持部20に回転自在に支持されており、前記穀粒タンク6は、前記タンク支持部20によって揺動自在に支持されて前記縦スクリューコンベヤ13の軸芯と合致した走行機体上下向き軸芯Pまわりに揺動開閉する。
【0022】
図2に二点鎖線で示す前記穀粒タンク6のように、前記穀粒タンク6を前記走行機体上下向き軸芯Pまわりに走行機体横外側に揺動操作すると、前記穀粒タンク6は、穀粒タンク6の前後向きが走行機体横向きになり、かつ穀粒タンク6の前端部が走行機体の横外側に位置した開き姿勢となり、穀粒タンク6の内側に位置する前記揚穀装置9や脱穀装置部分など、および穀粒タンク6の走行機体横方向での内側部分を点検や修理しやすいように開放する。
【0023】
図3は、前記穀粒タンク6の閉じ姿勢での側面図である。この図に示すように、かつ図2に実線で示す前記穀粒タンク6のように、前記穀粒タンク6を前記走行機体上下向き軸芯Pまわりに走行機体内側に揺動操作すると、前記穀粒タンク6は、これの前後向きが走行機体前後向きになった閉じ姿勢となり、脱穀装置5の走行機体横方向での内側に位置する部位や前記揚穀装置9を閉じる。
【0024】
図5は、図3のV−V断面矢視図である。この図と図3とに示すように、前記穀粒タンク6が閉じ姿勢になると、穀粒タンク6の前端側の下部に設けた前脚部材21の座部21aが、機体フレーム2に設けた前支持板部22の上面側に載って受け止め支持される。
【0025】
図6は、図3のVI−VI断面矢視図である。この図と図3とに示すように、前記穀粒タンク6が閉じ姿勢になると、穀粒タンク6の後端側の下部に設けた後脚部材23の一対の座部23a,23aが、機体フレーム2に設けた後支持板部24の上面側に載って受け止め支持される。
【0026】
つまり、穀粒タンク6を閉じ姿勢にした状態では、穀粒タンク6が穀粒タンク6とタンク内穀粒とによって備える重量は、機体フレーム2の前記前支持板部22と前記後支持板部24とによって支持される。
【0027】
図8は、前記機体フレーム2の平面図である。この図と図3とに示すように、前記機体フレーム2は、前記前支持板部22と前記後支持板部24との間に設けたタンク収容空隙25を備えている。前記タンク収容空隙25は、これの機体フレーム横外側に機体フレーム2の横外側縁2Lから走行機体横方向での内側に入り込んでおり、かつ前記横外側縁2Lに沿って位置するタンク出入り口25aを備えており、前記タンク出入り口25aによって走行機体横外側向きに開口している。
【0028】
図7は、図3のVII−VII断面矢視図である。この図と図3,4とに示すように、前記タンク収容空隙25は、前記穀粒タンク6が揺動開閉される際、穀粒タンク6の底部6a(穀粒タンク6の最低箇所から高さHまでの部分)をタンク収容空隙25に対して前記タンク出入り口25aから出入りさせ、前記穀粒タンク6が閉じ姿勢に支持された状態において穀粒タンク6の前記底部6aをタンク収容空隙25に入り込ませ、機体フレーム2の上面2Sから穀粒タンク6の上端までの高さH1を、穀粒タンク6の全高H2(穀粒タンク6の最低箇所から上端までの高さ)よりも低くしている。
【0029】
図9は、前記機体フレーム2の組み立て前の状態での平面図である。この図と図8とに示すように、前記機体フレーム2は、機体フレーム2の走行機体前方側部分を形成するとともに前記タンク収容空隙25および前記前支持板部22を有した前用の分割機体フレーム30(以下、前分割機体フレーム30と呼称する。)と、機体フレーム2の前記タンク収容空隙25よりも走行機体後方側部分を形成するとともに前記後支持板部24を有した後用の分割機体フレーム40(以下、後分割機体フレーム40と呼称する。)とを備えて構成してある。
つまり、前記機体フレーム2は、前記前分割機体フレーム30と前記後分割機体フレーム40とを各別に作製し、この後、前分割機体フレーム30の後端部と後分割機体フレーム40の前端部とにわたって設けた連結手段50によって前分割機体フレーム30と後分割機体フレーム40とを連結することによって作製してある。
【0030】
前記前分割機体フレーム30は、前記刈取り部4の後部と前記原動部7と前記運転部3との下方に位置する前フレーム部31と、この前フレーム部31よりも機体フレーム後方側に位置して前記脱穀装置5の走行機体前方側部分の下方に位置するとともに脱穀装置5が連結される脱穀フレーム部32と、前記前フレーム部31よりも機体フレーム後方側に前記脱穀フレーム部32と機体フレーム横方向に並んで位置して前記穀粒タンク6の走行機体前方側部分の下方に位置するとともに前記前支持板部22および前記タンク収容空隙25を有したタンクフレーム部33とを備えている。この前分割機体フレーム30は、前記前フレーム部31、前記脱穀フレーム部32、前記タンクフレーム部33が枠組み型になるように組み合わせた鋼管材および板金材によって構成してある。
【0031】
図10,11に示すように、前記前分割機体フレーム30の前記脱穀フレーム部32は、脱穀フレーム部32の後端側に固定された連結座34を備え、この連結座34に脱穀装置5の後部に設けた連結部材5aを連結ボルト35によって締め付け連結されることにより、脱穀装置5の後部側を連結される。
【0032】
前記前分割機体フレーム30は、前記前フレーム部31の前端部に設けた左右一対のステー36,36を備え、この左右一対のステー36,36によって前記ミッションケース8を支持する。前記前分割機体フレーム30は、前記タンクフレーム部33の前記タンク収容空隙25の横側に設けた波板37を備え、電線を波板37の上面側の凹部に入り込ませて支持する。
【0033】
前記後分割機体フレーム40は、前記脱穀装置5の走行機体後方側部分5b(図10参照)の下方に位置するガードフレーム部41と、前記穀粒タンク6の走行機体後方側部分6b(図1参照)の下方に位置するとともに前記タンク支持部20および前記後支持板部24を有したタンクフレーム部42を備えている。この後分割機体フレーム40は、組み合わせ連結した中空棒材と中実棒材と板金材とによって構成してある。
【0034】
前記後分割機体フレーム40は、前記ガードフレーム部41の横端部に設けたタンク載置部43を備え、このタンク載置部43により、エンジン用の燃料タンク44(図8参照)を脱穀装置5の走行機体後方側部分5bの下方に配置して支持する。前記機体フレーム2は、前記後分割機体フレーム40の両横端部に設けたロープ掛け具45を備えており、走行機体を運搬車荷台に固定するロープを前記ロープ掛け具45を利用して機体フレーム2に連結させる。
【0035】
図8,9に示すように、前記連結手段50は、前記前分割機体フレーム30の後端部と前記後分割機体フレーム40の前端部とにわたって走行機体横方向に分散させて設けた第1連結機構51と第2連結機構55を備え、前記第1連結機構51と前記第2連結機構55との間で前分割機体フレーム30と後分割機体フレーム40とを連結する連結ボルトを備えている。
【0036】
図11は、図8のXI−XI断面矢視図である。この図と図8,10とに示すように、前記第1連結手段51は、前記後分割機体フレーム40に設けた走行機体前後向きの筒形の連結部材52と、前記前分割機体フレーム30に前記連結部材52を受け止め支持させるように設けた支持レール53と、前記連結部材52を前分割機体フレーム30を構成する鋼管材に締め付け連結する連結ボルト54とを備えている。前記連結部材52は、後分割機体フレーム40を構成する中空棒材の一部によって構成してある。
【0037】
図12は、図8のXII−XII断面矢視図である。この図と図8,13とに示すように、前記第2連結機構55は、前記後分割機体フレーム40に設けた走行機体前後向きの中実形の連結部材56と、前記前分割機体フレーム30に前記連結部材56が係入するよう設けた連結孔57と、前記連結孔57を形成する部材に前記連結部材56を締め付け連結する連結ボルト58とを備えている。
【0038】
前記穀粒タンク6は、閉じ姿勢にされた場合、図14に示す如く穀粒タンク6の前面側の上部に設けた閉じフック61を有した閉じロック機構60によって閉じ姿勢に固定される。
【0039】
図16は、前記閉じロック機構60の平面図である。この図と図14とに示すように、前記閉じロック機構60は、前記閉じフック61を備える他、閉じフック61に連結されたロックバネ62と、閉じフック61が係脱する固定軸63aとを備えている。
【0040】
前記閉じフック61は、穀粒タンク6に連結された支持板64に支持ピン65を介して揺動自在に支持されている。
【0041】
図15,16に示すように、前記固定軸63aは、脱穀装置5に連結部材66の支持部66aを介して連結された連結軸63の一端部によって構成してある。図15,16に示すように、前記連結軸63の他端側は、機体フレーム2に立設された支柱67の上端側から延出したホルダー軸68の上端部にホルダー69を介して連結されている。前記支柱67は、運転部3の座席支持台に固定された取り付け筒70を回転自在に支持することにより、運転部3を走行機体上下向きの開閉軸芯Xまわりに揺動開閉自在に支持している。前記ホルダー69は、前記取り付け筒70の上端側を回転自在に支持している。
つまり、前記固定軸63aは、前記支柱67の上端側と脱穀装置5とを連結する連結軸63を利用して構成してある。
【0042】
前記閉じロック機構60は、前記閉じフック61がロックバネ62による揺動操作によって固定軸63aに係合することにより、ロック作用状態となって閉じ姿勢の穀粒タンク6の上端側を固定する。
【0043】
前記閉じロック機構60は、前記閉じフック61に操作ロッド71を介して連動された解除レバー72を備えている。前記解除レバー72は、前記前脚部材21に揺動自在に支持されている。
つまり、閉じロック機構60は、前記解除レバー72が前記ロックバネ62に抗して揺動操作されることにより、閉じフック61が固定軸63aから外れてロック解除状態になる。
【0044】
図14に示すように、前記穀粒タンク6は、前記前脚部材21に昇降操作自在に支持されたロックピン73を備えている。このロックピン73は、前記前支持板部22に設けたピン孔に挿入されることにより、閉じ姿勢の穀粒タンク6の下端側をロックする。
【0045】
図8に示すように、前記機体フレーム2は、前記前分割機体フレーム30の前端側の左端部に設けた刈取り支持部38を備えており、前記走行機体は、前記刈取り部4を前記刈り取り支持部38によって走行機体上下向き軸芯まわりに揺動開閉自在に支持する。
【0046】
図8,17に示すように、前記走行機体は、前記機体フレーム2の前端側の左端部に脱穀装置5の下端部よりも走行機体前方側に配置して設けた作動油タンク76とバルブユニット77と伝動ケース78とを備え、前記バルブユニット77の上方に設けたユニットカバー79を備えている。前記作動油タンク76と前記バルブユニット77と前記伝動ケース78とは、バルブユニット77が作動油タンク76よりも走行機体後方側に位置し、伝動ケース78がバルブユニット77よりも走行機体後方側に位置する配置で走行機体前後方向に並んでいる。
【0047】
前記ユニットカバー79は、走行機体横外側ほど低配置レベルに位置する傾斜姿勢を備えており、脱穀フィードチェーン94によって搬送される刈り取り穀稈から落下したワラ屑などの塵埃をバルブユニット77に落下しないように受け止め、受け止めた塵埃を走行機体横外側に滑落させて排出する。
【0048】
前記バルブユニット77は、昇降バルブ(図示せず)およびローリングバルブ装置(図示せず)を備えている。
【0049】
前記昇降バルブは、前記ミッションケース8に設けた油圧ポンプ(図示せず)によって供給された前記作動油タンク76からの作動油を前記昇降シリンダ75に供給したり、この昇降シリンダ75から排油したりすることにより、昇降シリンダ75を伸縮操作して刈取り部4を昇降操作する。
【0050】
前記ローリングバルブ装置は、前記ミッションケース8に設けた油圧ポンプ(図示せず)によって供給された前記作動油タンク76からの作動油を前記左右一対のクローラ走行装置1,1のトラックフレーム(図示せず)に各別に連動された一対のローリングシリダ(図示せず)に供給して一対のローリングシリンダを各別に伸縮操作することにより、左右一対のクローラ走行装置1,1のトラックフレームを各別に機体フレーム2に対して昇降操作して左側のクローラ走行装置1の接地転輪と右側のクローラ走行装置1の接地転輪とを各別に機体フレーム2に対して昇降操作し、これによって走行機体のローリング操作を行う。
【0051】
図18は、前記エンジン7aからの駆動力を前記脱穀装置5に伝達する脱穀伝動装置の線図である。この図に示すように、前記脱穀伝動装置は、前記エンジン7aの出力軸からの出力を前記伝動ケース78が備えるカウンター軸80に入力し、このカウンター軸80にベベルギヤ機構を介して連動させて前記伝動ケース78に設けた出力プーリ81の駆動力を伝動ベルトを介して扱胴82に伝達する。
前記脱穀伝動装置は、前記カウンター軸80の入力側とは反対側の端部に設けた出力プーリ83の駆動力を伝動ベルトを介して唐箕84に伝達し、前記カウンター軸80の端部に設けた出力プーリ85の駆動力を伝動ベルトを介して一番スクリューコンベヤ86に伝達し、一番スクリューコンベヤ86の駆動力を伝動ベルト87を介して分離ドラム88と二番スクリューコンベヤ89と選別伝動プーリ90と排塵伝動プーリ91とに伝達し、選別伝動プーリ90の駆動力を伝動ベルトを介して揺動選別装置92に伝達し、排塵伝動プーリ91の駆動力をギヤ機構を介して排塵ファン93に伝達し、排塵ファン93の駆動力をギヤ機構を介して脱穀フィードチェーン94に伝達する。
【0052】
〔別実施例〕
上記した実施例の如く穀粒タンク6を備えるコンバインに替え、ホッパー型の袋詰めタンク及び袋支持装置を有した袋詰め部を有し、脱穀装置5からの脱穀粒を袋詰めタンクに回収して袋詰めタンクから穀粒袋に詰める構成を備えたコンバインの場合でも本発明を適用できるのであり、穀粒タンク6、袋詰め部を総称して穀粒回収部6と呼称する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】穀粒タンクの閉じ姿勢での側面図
【図4】穀粒タンク取り付け構造の側面図
【図5】図3のV−V断面矢視図
【図6】図3のVI−VI断面矢視図
【図7】図3のVII−VII断面矢視図
【図8】機体フレームの平面図
【図9】機体フレームの組み立て前の状態での平面図
【図10】第1連結機構の縦断側面図
【図11】図8のXI−XI断面矢視図
【図12】図8のXII−XII断面矢視図
【図13】第2連結機構の縦断側面図
【図14】閉じロック機構の正面図
【図15】運転部支持構造の後面図
【図16】閉じロック機構の平面図
【図17】走行機体前端部の左側面図
【図18】脱穀伝動装置の線図
【符号の説明】
【0054】
2 機体フレーム
3 運転部
5 脱穀装置
5b 脱穀装置の走行機体後方側部分
6 穀粒回収部
6b 穀粒回収部の走行機体後方側部分
30 前用の分割機体フレーム
40 後用の分割機体フレーム
56 連結部材
57 連結孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の機体フレームの前部側に設けた運転部を備え、前記機体フレームの後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置と穀粒回収部を備えたコンバインであって、
前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体前方側部分と前記運転部との下方に位置する走行機体前方側部分を形成する前用の分割機体フレームと、前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体後方側部分の下方に位置する走行機体後方側部分を形成する後用の分割機体フレームとを、各別に作製した後に連結してあるコンバイン。
【請求項2】
前記前用の分割機体フレームと前記後用の分割機体フレームとが、走行機体前後向きの連結部材と、この連結部材が係入する走行機体前後向きの連結孔とによって連結されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
走行機体の機体フレームの前部側に設けた運転部を備え、前記機体フレームの後部側に走行機体横方向に並べて設けた脱穀装置と穀粒回収部を備えたコンバインであって、
前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体前方側部分と前記運転部との下方に位置する走行機体前方側部分を形成する前用の分割機体フレームと、前記機体フレームのうちの前記脱穀装置および前記穀粒回収部の走行機体後方側部分の下方に位置する走行機体後方側部分を形成する後用の分割機体フレームとを、各別に作製した後に連結してあるコンバイン。
【請求項2】
前記前用の分割機体フレームと前記後用の分割機体フレームとが、走行機体前後向きの連結部材と、この連結部材が係入する走行機体前後向きの連結孔とによって連結されている請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−98986(P2010−98986A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272273(P2008−272273)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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