説明

コンバイン

【課題】搬送先の切替え作業の容易化
【解決手段】グレンタンク20の底部の漏斗部32の下方に燃料タンク35を設け、グレンタンク20の前側にエンジン26を設ける。エンジン26の出力プーリー37は機体内側に配置する。出力プーリー37とカウンタプーリー38とにベルト39を掛け回す。ベルト39は脱穀装置3と燃料タンク35の内側との間に配置し、カウンタケース41は前記燃料タンク35の後方に設け、前記カウンタケース41の後方に前記排出装置21の入力プーリ27に回転出力する中間出力軸50を軸装するベベルギヤボックス43を設け、該ベベルギヤボックス43の中間プーリー45は前記カウンタ軸40の外側端部に設けた中間プーリー46から回転伝動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀装置の側方にグレンタンクを設け、該グレンタンク内の穀粒を排出する排出装置への伝動機構を、出力プーリーは機体内側に配置するが、グレンタンクの前側の下方にカウンタケースを設け、グレンタンクの後側に入力軸を設け、入力軸はグレンタンクの幅方向にほぼ一杯に設けた構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−180148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例では、カウンタケースと入力プーリの入力軸とを、プーリーにベルトを掛け回す関係で、長さ方向において全く重ねて配置できず。その分、脱穀装置とグレンタンクとの間の空間が有効利用されていない課題がある。
そのため、公知例のコンバインの機体幅が大きくなるという課題もある。
本願は、グレンタンクと燃料タンクとの配置を工夫することにより、エンジンからタンク排出装置への伝動機構の配置を効率化し、空間を有効利用したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、下方に走行装置2を設けた機体フレーム1の上方に脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の側方にグレンタンク20を設け、該グレンタンク20内にはグレンタンク20内の穀粒を排出する排出装置21を設け、該排出装置21の終端には接続部材22を介して排出用縦揚穀装置28の下部を接続し、該排出用縦揚穀装置28の上部に排出オーガ30の基部を接続し、前記グレンタンク20の底部に形成した漏斗部32の下方に燃料タンク35を設け、前記走行装置2と前記脱穀装置3等の作業部を駆動するエンジン26はグレンタンク20の前側に設け、該エンジン26の出力プーリー37は機体内側に配置し、該出力プーリー37とカウンタケース41に軸装したカウンタ軸40に回転伝達するカウンタプーリー38とにベルト39を掛け回し、ベルト39は脱穀装置3と前記燃料タンク35の内側との間に配置し、前記カウンタケース41は前記燃料タンク35の後方に設け、前記カウンタケース41の後方に前記排出装置21の入力プーリ27に回転出力する中間出力軸50を軸装するベベルギヤボックス43を設け、該ベベルギヤボックス43の中間プーリー45は前記カウンタ軸40の外側端部に設けた中間プーリー46から回転伝動する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、エンジン26の回転は、出力プーリー37からカウンタ軸40に伝達され、カウンタ軸40の回転がベベルギヤボックス43と中間出力軸50を介して入力プーリ27に入力され、タンク排出装置21駆動して穀粒を排出する。
この場合、エンジン26はグレンタンク20の前側に設け、機体内側に配置した出力プーリー37の回転を、カウンタ軸40によりベベルギヤボックス43の機体外側の中間プーリー45に伝達し、次に、ベベルギヤボックス43の機体内側の中間出力軸50から機体外側の入力プーリ27に伝達するので、カウンタ軸40と横中間軸44とは長さ方向において重ねて配置される。
請求項2記載の発明は、前記中間出力軸50の軸心方向を前記タンク排出装置21の軸心方向と同じ前後方向とし、前記中間出力軸50の中間出力プーリー52と前記入力プーリ27との間にベルト53を掛け回し、ベルト53に当接するクラッチプーリー54により排出クラッチTを構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、ベベルギヤボックス43に伝達された回転は中間出力軸50から出力され、中間出力軸50の回転は中間出力プーリー52とベルト53により入力プーリ27に入力され、タンク排出装置21を駆動して穀粒を排出する。
請求項3記載の発明は、前記カウンタケース41と前記ベベルギヤボックス43との間の回転伝達は、ベルト47によるベルト伝動としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、通常カウンタ軸40の回転がベルト47によりベベルギヤボックス43に伝達されるが、排出用縦揚穀装置28または横排出オーガに負荷が掛かるとベルト47が滑り、排出用縦揚穀装置28または横排出オーガの破損を防止する。
請求項4記載の発明は、前記機体フレーム1は、前記脱穀装置3および前記グレンタンク20を設けたメイン機体フレーム65に対して着脱自在のサブ機体フレーム66とに分割形成し、前記メイン機体フレーム65にカウンタケース41を設け、前記サブ機体フレーム66にベベルギヤボックス43と接続メタル22とを設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、サブ機体フレーム66にベベルギヤボックス43と接続メタル22を予め組み付けた状態でメイン機体フレーム65に取付ける。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、燃料タンク35の後方にカウンタケース41を設けているので、燃料タンク35の設置スペースを小さくでき、燃料タンク35の後方の空間を有効利用してカウンタケース41を設けることができ、しかも、カウンタ軸40と横中間軸44とを長さ方向において重ねて配置することができるので、幅方向の空間の有効利用もできる。
請求項2記載の発明では、上記効果に加えて、タンク排出装置21への伝動を入切する排出クラッチ排出クラッチTを、機体フレーム1の後部に設けることができ、メンテナンスが容易となる。
請求項3記載の発明では、上記効果に加えて、排出用縦揚穀装置28または/および横排出オーガ30の破損を防止することができる。
請求項4記載の発明では、上記効果に加えて、組立てを容易にでき、組立工数の削減となって、コストダウンできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】同一部平面図。
【図3】伝動機構概略図。
【図4】コンバインの一部背面図。
【図5】コンバインの一部側面図。
【図6】燃料タンク付近の平背面図。
【図7】カウンタケース付近の平面図。
【図8】同側面図。
【図9】同背面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は刈り取った圃場の穀稈を投入して脱穀する所謂汎用コンバインの機体フレームであり、機体フレーム1の下方には走行装置2を設け、機体フレーム1の上方には脱穀装置3を設け、操縦部4の前方には刈取装置5を設けている。
刈取装置5は、左右側壁と後述するオーガー8の下方に位置する底板と左右の側壁と底板とを連結するように設けた後板により構成したオーガーフレーム11に、リール12と、刈刃13と前記オーガー8を設けて構成し、オーガーフレーム11には搬送エレベーター14の先端を取付け、搬送エレベーター14の基部は脱穀装置3の脱穀室に接続する。前記オーガー8は前記操縦部4のすぐ前方に位置させ、前記搬送エレベーター14は前記操縦部4の側部に位置させる。
刈取装置5は、搬送エレベーター14と共に、搬送エレベーター14の基部を回動中心にして上下するように構成している。
前記脱穀装置3の側方には、該脱穀装置3で脱穀された穀粒を揚穀装置15により供給して一時貯留するグレンタンク20を設ける。グレンタンク20内には、グレンタンク20内の穀粒を排出する螺旋搬送式のタンク排出装置21を設ける(図2)。該タンク排出装置21の終端は、前記機体フレーム1に設けた接続メタル22内に臨ませる。
【0009】
前記引継ぎ螺旋23の螺旋回転軸25の後端は接続メタル22の後部より後方に突出させ、螺旋回転軸25の後部にはエンジン26からの回転が入力される入力プーリ27を設ける。図示は省略するが、入力プーリ27より入力された回転は排出用縦揚穀装置28の揚穀螺旋29に伝達される。
なお、エンジン26は、図示は省略するが、操縦部4の運転座席の下方であって、グレンタンク20の前側に配置している。
排出用縦揚穀装置28の上部には横排出オーガ30の基部を取付ける。横排出オーガ30の先端は、公知の構成によって排出用縦揚穀装置28に対して旋回および上下回動自在になっている。
前記グレンタンク20は、前記接続メタル22に設けた回動支点Sを中心にして回動自在に構成し、タンク排出装置21の終端は引継ぎ螺旋23の接続部31に所謂カップリング接合により着脱自在に係合させる。
【0010】
グレンタンク20の下部は、上部に比し下方部分の左右幅が細くなる漏斗部32に形成し、漏斗部32の内側傾斜面33の下方に燃料タンク35を位置させる(図2,図4)。なお、図2では理解を容易にするため大凡の燃料タンク35の部分に斜線を付しているが、これにより構成は限定されない。
しかして、前記エンジン26は、グレンタンク20の前側に設け、エンジン26の出力プーリー37は機体内側に配置し、出力プーリー37にはカウンタプーリー38との間にベルト39を掛け回す。ベルト39は脱穀装置3とグレンタンク20との間に設ける。カウンタプーリー38は左右方向のカウンタ軸40に固定し、カウンタ軸40はカウンタケース41に軸装する。カウンタケース41は前記燃料タンク35の後方の機体フレーム1に設ける。
カウンタケース41の後方にはベベルギヤボックス43を設け、ベベルギヤボックス43に設けた左右方向の横中間軸44の内側端の中間プーリー45と前記カウンタ軸40に設けた中間プーリー46との間にベルト47を掛け回す。48はベルト47に当接するテンションプーリーである。
【0011】
なお、実施例では、カウンタプーリー38はカウンタケース41に軸装した第一カウンタ軸40Aに固定し、中間プーリー46はカウンタケース41に軸装した第二カウンタ軸40Bに固定し、第一カウンタ軸40Aの回転を中間プーリー38Aと中間プーリー38Bとベルト38Cにより第二カウンタ軸40Bに伝達している。以下、理解を容易にするため、このカウンタプーリー38から中間プーリー46への伝動の説明は省略する。
ベベルギヤボックス43内の横中間軸44にはベベルギヤ49を固定し、ベベルギヤ49には前後方向の中間出力軸50に設けたベベルギヤ51を噛み合わせる。中間出力軸50は軸心方向を前後方向とし、中間出力軸50の後端には中間出力プーリー52を設け、中間出力プーリー52と前記入力プーリ27との間にベルト53を掛け回す。54はベルト53の緊張を入切させて伝動を入切するクラッチプーリー54である。
【0012】
したがって、燃料タンク35をグレンタンク20の漏斗部32の下方に設けて、グレンタンク20の下方空間を有効利用し、この燃料タンク35の後方にカウンタケース41とベベルギヤボックス43を設けて、燃料タンク35の後方にできる空間を更に有効利用して配置している。
なお、燃料タンク35の燃料供油口は所定位置に設ければよく、設置箇所は任意であり、背面視で排出用縦揚穀装置28の左側近傍で、前記ベルト53よりも上側に位置させると、給油作業が容易になって、好適である。
また、カウンタケース41とベベルギヤボックス43とは、ベルト47によるベルト伝動としているので、排出用縦揚穀装置28または横排出オーガ30が詰まったような場合、ベルト47が滑って安全クラッチとなる。
そのため、排出用縦揚穀装置28および横排出オーガ30の破損を防止する。
【0013】
即ち、エンジン26から排出用縦揚穀装置28および横排出オーガ30の間の伝動経路中に、ベルト47を設けるに当たって、出力プーリー37とカウンタ軸40と横中間軸44の軸心方向の夫々が平行となるので、設置スペースを必要とするが、燃料タンク35の後方にカウンタケース41とベベルギヤボックス43を設けることで、設置スペースを小さくしつつ、排出用縦揚穀装置28および横排出オーガ30の破損を防止するベルト47を設けられ、合理的な配置となる。
前記テンションプーリー48は、アーム60の先端に設け、アーム60の基部は前記カウンタケース41のカウンタ軸40(40B)と同心状に回動自在に取付け、テンションプーリー48をベルト47に当接させるように付勢するバネ62もカウンタケース41に取付ける。
そのため、アーム60およびバネ62の取付部材としてカウンタケース41を兼用でき、構成を簡素にできて、安価にできる。
【0014】
しかして、機体フレーム1は、前記脱穀装置3およびグレンタンク20を設けたメイン機体フレーム65に対してサブ機体フレーム66とに分割形成し、前記メイン機体フレーム65にカウンタケース41を設け、前記サブ機体フレーム66にベベルギヤボックス43と接続メタル22を設ける。
サブ機体フレーム66は左右一対のサブ前後枠67をサブ横杆68により連結して構成し、サブ機体フレーム66にベベルギヤボックス43と接続メタル22(排出用縦揚穀装置28および横排出オーガ30)を予め組み付け、サブ機体フレーム66のサブ前後枠67を、メイン機体フレーム65の挿入用前後枠90に挿入して固定して取付ける。
そのため、サブ機体フレーム66にベベルギヤボックス43と接続メタル22を予め組み付けた状態でメイン機体フレーム65に取付けるので、組立工数の削減となる。
【0015】
サブ機体フレーム66の連結方法は任意であるが、一例を示すと、サブ前後枠67の前後中間部にステイ91を設け、サブ機体フレーム66のサブ前後枠67をメイン機体フレーム65の挿入用前後枠90に挿入し、ステイ91をメイン機体フレーム65の後側横枠93に当接させて、ボルト(図示省略)により着脱自在に固定する。
また、メイン機体フレーム65の挿入用前後枠90は横枠92により連結固定している。
また、前記ベベルギヤボックス43の上部にバッテリー(図示省略)を搭載するバッテリー受70を前記ベベルギヤボックス43に対して着脱自在に設ける(図7,図8)。
そのため、ベベルギヤボックス43の上方空間を有効利用できると共に、バッテリーを外してバッテリー受70を外すと、ベベルギヤボックス43のメンテナンスも容易になる。
【0016】
また、前記中間出力プーリー52と前記入力プーリ27との間に掛け回したベルト53に当接するクラッチプーリー54は、タンク排出装置21および排出用縦揚穀装置28ならびに横排出オーガ30の間の伝動を入切する排出クラッチTを構成する(図7)。
そのため、タンク排出装置21および排出用縦揚穀装置28ならびに横排出オーガ30の間の伝動を入切する排出クラッチ排出クラッチTを、機体フレーム1の後部に設けているので、メンテナンスが容易となる。
前記クラッチプーリー54はアーム75の先端に設け、アーム75の基部は前記中間出力軸50の後部軸受部材76に軸77により回動自在に取付ける。
そのため、アーム75の支持構成を後部軸受部材76を兼用でき、構成を簡素にできて、安価にできる。
アーム75にはロッド78下部をバネ79を介して取付け、ロッド78の上部は正逆転モータ80の出力軸に設けたアーム81に連結する。
【0017】
正逆転モータ80の正逆転によりクラッチプーリー54をベルト53に接離させ、排出クラッチTを入切する。
そのため、ロッド78により排出クラッチTを入切するので、ワイヤーによる排出クラッチTの入切作動に比し作動が確実であり、また、構成を簡素にできて、安価にできる。
正逆転モータ80は、機体フレーム1側から立ち上げた支持部材82の上部側に取付けている。
前記中間出力軸50は、ベベルギヤボックス43とカップリング結合により着脱自在に構成する(図7)。
即ち、ベベルギヤボックス43のベベルギヤ51の取付軸85とカップリング86により中間出力軸50を着脱自在に係合させ、中間出力軸50は後部軸受部材76毎ベベルギヤボックス43から取り外せる。
そのため、ベベルギヤボックス43のメンテナンスが容易となる。
【0018】
中間出力プーリー52に掛け回されているベルト53の外れ防止体87を後部軸受部材76に設ける(図7)。
また、入力プーリ27に掛け回されているベルト53の外れ防止体88を接続メタル22に設ける。89は入力プーリ27の円周方向のベルト53の外れを防止する外れ防止体である(図9)。
そのため、構成を簡素にできて、安価にできる。
前記外れ防止体87と前記外れ防止体88は中間出力プーリー52および入力プーリ27の円周方向のベルト53の外れのみならず軸心方向の外れも防止するため、中間出力プーリー52および入力プーリ27の夫々の後側に配置し、この外れ防止体87と外れ防止体88にカバー90を取付ける(図9)。
そのため、外れ防止体87と外れ防止体88はベルト53の外れを防止するだけでなく、カバー90の支持構成としても兼用でき、構成を簡素にできて、安価にできる。
【0019】
(実施例の作用)
エンジン26を駆動して走行装置2により機体を走行させると、リール12が回転し、未刈稈を掻き込み、掻込んだ穀稈を刈刃13で刈取り、刈取った穀稈および穀粒を回転するオーガー8により集めて搬送エレベーター14内へ供給され、搬送エレベーター14により脱穀装置3へ供給されて脱穀される。
脱穀された穀粒は、グレンタンク20に一時貯留され、一定量貯留されると、グレンタンク20内のタンク排出装置21を作動させ、タンク排出装置21により搬送された穀粒は排出用縦揚穀装置28の揚穀螺旋29により揚穀され、揚穀された穀粒は排出オーガにより軽トラック等の所定のタンクに排出される。
【0020】
エンジン26の回転は、出力プーリー37からベルト39によりカウンタケース41のカウンタ軸40のカウンタプーリー38に伝達され、カウンタ軸40の回転が中間プーリー46とベルト47によりベベルギヤボックス43の中間プーリー45に伝達され、ベベルギヤボックス43に伝達された回転は中間出力軸50から中間出力プーリー52とベルト53を介して入力プーリ27に入力され、タンク排出装置21と排出用縦揚穀装置28と横排出オーガ30を駆動して穀粒を排出される。
この場合、エンジン26はグレンタンク20の前側に設け、エンジン26の出力プーリー出力プーリー37は機体内側に配置し、出力プーリー37にはカウンタケース41のカウンタ軸40のカウンタプーリーカウンタプーリー38との間でベルト39を掛け回し、ベルト39は脱穀装置3とグレンタンク20との間に配置され、カウンタケース41はグレンタンク20の漏斗部32の下方に設けた燃料タンク35の後方にベベルギヤボックス43を設けて、燃料タンク35の後方にできる空間を有効利用して配置している。
【0021】
また、カウンタケース41とベベルギヤボックス43との間の回転伝達は、ベルト47によるベルト伝動としているので、排出用縦揚穀装置28または横排出オーガ30が詰まったような場合、ベルト47が滑って安全クラッチとなる。
そのため、排出用縦揚穀装置28および横排出オーガ30の破損を防止する。
エンジン26から排出用縦揚穀装置28および横排出オーガ30の間の伝動経路中にベルト47を設ける場合、出力プーリー37とカウンタ軸40と横中間軸44の夫々の軸心方向が平行となるので、配置如何によって設置スペースを大きく必要とするが、本願では、カウンタ軸40と横中間軸44とを軸方向において一部重ねて配置し、長さ方向の設置スペースを小さくし、更に、グレンタンク20の下方に設けた燃料タンク35と脱穀装置3との間にベルト39を通し、燃料タンク35の後方にカウンタケース41とベベルギヤボックス43を設けることで、脱穀装置3とグレンタンク20との間および燃料タンク35の後方空間を有効利用して設置スペースを小さくしつつ、排出用縦揚穀装置28および横排出オーガ30の破損を防止するベルト47を設けることができ、合理的な配置となる。
【0022】
また、ベルト47のテンションプーリー48は、アームアーム60の先端に設け、アーム60の基部は前記カウンタケース41に軸61により回動自在に取付け、テンションプーリー48をベルト47に当接させるように付勢するバネ62もカウンタケース41に取付けているので、アーム60およびバネ62の取付部材としてカウンタケース41を兼用でき、構成を簡素にできて、安価にできる。
しかして、機体フレーム1は、脱穀装置3およびグレンタンク20を設けたメイン機体フレーム65に対してサブ機体フレーム66とに分割形成し、メイン機体フレーム65にカウンタケース41を設け、サブ機体フレーム66にベベルギヤボックス43と接続メタル22とを設けるので、サブ機体フレーム66にベベルギヤボックス43と接続メタル22を予め組み付けた状態でメイン機体フレーム65に取付けられ、組立工数の削減となる。
【0023】
サブ機体フレーム66は左右一対のサブ前後枠67を横杆サブ横杆68により連結して構成し、サブ機体フレーム66のサブ前後枠67を、メイン機体フレーム65に挿入して固定して取付ける構成であるから、サブ機体フレーム66のメイン機体フレーム65に対する着脱は容易になる。
ベベルギヤボックス43の上部にはバッテリーを搭載するバッテリー受70をベベルギヤボックス43に対して着脱自在に設けているので、ベベルギヤボックス43の上方空間を有効利用できると共に、ベベルギヤボックス43のメンテナンスも容易になる。
中間出力プーリー52と入力プーリ27との間に掛け回したベルト53に当接するクラッチプーリー54は、タンク排出装置21および排出用縦揚穀装置28ならびに横排出オーガ30の間の伝動を入切する排出クラッチTを構成しているので、機体フレーム1の後方から排出クラッチTのメンテナンスを行え、容易になる。
【0024】
クラッチプーリー54はアーム75の先端に設け、アーム75の基部は前記中間出力軸50の後部軸受部材76に軸77により回動自在に取付けているので、アーム75の支持構成を後部軸受部材76を兼用でき、構成を簡素にできて、安価にできる。
アーム75にはロッドロッド78の下部をバネバネ79を介して取付け、ロッド78の上部は正逆転モータ80の主力軸に設けたアーム81に連結しているので、正逆転モータ80の正逆転によりクラッチプーリー54をベルト53に接離させ、排出クラッチTを入切する。
そのため、ロッド78により排出クラッチTを入切するので、ワイヤーによる排出クラッチTの入切作動に比し作動が確実であり、また、構成を簡素にできて、安価にできる。
中間出力軸50は、ベベルギヤボックス43とカップリング86のカップリング結合により着脱自在に構成しているので、中間出力軸50は後部軸受部材76毎ベベルギヤボックス43から取り外せる。
【0025】
そのため、ベベルギヤボックス43のメンテナンスが容易となる。
中間出力プーリー52に掛け回されているベルト53の外れ防止体外れ防止体87を後部軸受部材76に設け、入力プーリ27に掛け回されているベルト53の外れ防止体外れ防止体88を接続メタル22に設けているので、構成を簡素にできて、安価にできる。
外れ防止体87と外れ防止体88は中間出力プーリー52および入力プーリ27の円周方向のベルト53の外れのみならず軸心方向の外れも防止するため、中間出力プーリー52および入力プーリ27の夫々の後側に配置し、この外れ防止体87と外れ防止体88にカバー90を取付ける。
そのため、外れ防止体87と外れ防止体88はベルト53の外れを防止するだけでなく、カバー90の支持構成としても兼用でき、構成を簡素にできて、安価にできる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0026】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…操縦部、5…刈取装置、8…オーガー8、11…オーガーフレーム、12…リール、13…刈刃、14…搬送エレベーター、20…グレンタンク、21…タンク排出装置、22…接続メタル、25…螺旋回転軸、26…エンジン、27…入力プーリ、28…排出用縦揚穀装置、29…揚穀螺旋、30…横排出オーガ、32…漏斗部、33…内側傾斜面、35…燃料タンク、37…出力プーリー、38…カウンタプーリー、39…ベルト、40(40A、40B)…カウンタ軸、41…カウンタケース、43…ベベルギヤボックス、44…横中間軸、45…中間プーリー、46…中間プーリー、47…ベルト、48…テンションプーリー、49…ベベルギヤ、50…中間出力軸、51…ベベルギヤ、52…中間出力プーリー、53…ベルト、54…クラッチプーリー、60…アーム、61…軸、62…バネ、65…メイン機体フレーム、66…サブ機体フレーム、67…サブ前後枠、68…サブ横杆、70…バッテリー受、75…アーム、76…後部軸受部材、77…軸、78…ロッド、79…バネ、80…正逆転モータ、81…アーム、85…取付軸、86…カップリング、87…外れ防止体、88…外れ防止体、90…カバー、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に走行装置(2)を設けた機体フレーム(1)の上方に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の側方にグレンタンク(20)を設け、該グレンタンク(20)内にはグレンタンク(20)内の穀粒を排出する排出装置(21)を設け、該排出装置(21)の終端には接続部材(22)を介して排出用縦揚穀装置(28)の下部を接続し、該排出用縦揚穀装置(28)の上部に排出オーガ(30)の基部を接続し、前記グレンタンク(20)の底部に形成した漏斗部(32)の下方に燃料タンク(35)を設け、前記走行装置(2)と前記脱穀装置(3)等の作業部を駆動するエンジン(26)はグレンタンク(20)の前側に設け、該エンジン(26)の出力プーリー(37)は機体内側に配置し、該出力プーリー(37)とカウンタケース(41)に軸装したカウンタ軸(40)に回転伝達するカウンタプーリー(38)とにベルト(39)を掛け回し、ベルト(39)は脱穀装置(3)と前記燃料タンク(35)の内側との間に配置し、前記カウンタケース(41)は前記燃料タンク(35)の後方に設け、前記カウンタケース(41)の後方に前記排出装置(21)の入力プーリ(27)に回転出力する中間出力軸(50)を軸装するベベルギヤボックス(43)を設け、該ベベルギヤボックス(43)の中間プーリー(45)は前記カウンタ軸(40)の外側端部に設けた中間プーリー(46)から回転伝動する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記中間出力軸(50)の軸心方向を前記タンク排出装置(21)の軸心方向と同じ前後方向とし、前記中間出力軸(50)の中間出力プーリー(52)と前記入力プーリ(27)との間にベルト(53)を掛け回し、ベルト(53)に当接するクラッチプーリー(54)により排出クラッチ(T)を構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記カウンタケース(41)と前記ベベルギヤボックス(43)との間の回転伝達は、ベルト(47)によるベルト伝動としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記機体フレーム(1)は、前記脱穀装置(3)および前記グレンタンク(20)を設けたメイン機体フレーム(65)に対して着脱自在のサブ機体フレーム(66)とに分割形成し、前記メイン機体フレーム(65)にカウンタケース(41)を設け、前記サブ機体フレーム(66)にベベルギヤボックス(43)と接続メタル(22)とを設けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−130707(P2011−130707A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292787(P2009−292787)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】