コンバイン
【課題】回転操作式のハンドルを備えながらも、操縦席から刈取装置の分草体による未刈穀稈の刈取位置を容易に監視できるものとする。
【解決手段】機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状として備え、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設ける。また、機体の走行速度を変速操作する変速レバー(4)の上端部に握り部(4a)を備え、該握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設ける。また、握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)を設ける。
【解決手段】機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状として備え、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設ける。また、機体の走行速度を変速操作する変速レバー(4)の上端部に握り部(4a)を備え、該握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設ける。また、握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
円形ハンドルを有する作業車において、従来では、作業部を昇降作用させる操作は、進行方向の舵取りを行うパワステレバーの前後傾動作用を利用して行われているものが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−275432号公報
【特許文献2】特開平10−127144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、円形ハンドルを有する作業車において、従来では、作業部を昇降作用させる操作は、進行方向の舵取りを行うパワステレバーの前後傾動作用を利用して行われているものが一般的であった。
【0005】
しかし、このようなパワステレバーに代え円形ハンドルによって操縦を行うものでは、ハンドルから離れた位置において作業部の昇降操作のみを独立して行うことになるため、オペレータの操縦姿勢が昇降操作の都度変速的な動きとなり大変面倒なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状として備え、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設けたことを特徴とするコンバインしたものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、機体の走行速度を変速操作する変速レバー(4)の上端部に握り部(4a)を備え、該握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)を設けたことを特徴とする請求項2記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状とすることで、刈取装置(5)の分草体による未刈穀稈の分草位置を操縦席から容易に監視することができ、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設けたので、このハンドル(1)を操作するオペレータの操縦姿勢が、刈取装置(5)の昇降操作の都度屈み込むような動きとなることが少なくなる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、変速レバー(4)の上端部に備えた握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けることで、頻繁に操作が必要となるこれらの操作ボタン類を操作することができるから、一方の手でハンドル(1)を握り他方の手で変速レバー(4)を握って、車速の調節と刈取装置(5)の昇降調節を容易に行うことができる。
【0011】
請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、変速レバー(4)の上端部に備えた握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)と、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けることで、頻繁に操作が必要となるこれらの操作ボタン類を操作することができるから、一方の手でハンドル(1)を握り他方の手で変速レバー(4)を握って、車速の調節と刈取装置(5)の昇降調節を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ハンドルの駐車ブレーキボタンによるブレーキペダルのロックを示す側面図。
【図2】ハンドルの駐車ブレーキボタンによるブレーキペダルのロックを示す正面図。
【図3】(a)円形ハンドルの前側部を切り欠ぐと共に右側握りの状態を示す平面図、(b)円形ハンドルの前側部を切り欠ぐと共に右側握りの状態を示す側面図。
【図4】前側部を切り欠いだ円形ハンドルによる刈取位置の監視状態を示す側面図。
【図5】(a)操作台の右端側に走行用の主変速レバーを配置した状態を示す平面図、(b)主変速レバーの握り部に刈取昇降ボタンを配置した状態を示す正面図。
【図6】操作席の右側位置に上方回動可能とする肘掛けを配置した状態を示す平面図。
【図7】操作席右側位置の肘掛け前端部に主変速レバーを配置した状態を示す側面図。
【図8】走行装置のピッチング制御及びローリング制御の作動機構関係を示す側面図。
【図9】従来における走行装置のローリング制御の作動機構関係を示す側面図。
【図10】車体の水平制御の誤作動を未然に防止する自動回路を示すブロック図。
【図11】傾斜地において安全な駐車ブレーキ制動を行う自動回路を示すブロック図。
【図12】(a)脱穀室入口部に取り付けたサイドミラーの位置変更状態を示す平面図、(b)脱穀室入口部に取り付けたサイドミラーの位置変更状態を示す側面図。
【図13】サイドミラーの詳細を示す構造図とミラーの位置変更機構を示す拡大斜視図。
【図14】コンバインの全体構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明の実施例を作業車等としてのコンバインについて図面に基づき説明する。
図14はコンバインの全体構成を示すもので、走行フレーム9の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ10を有する走行装置11を配設して構成させている。
【0014】
該走行フレーム9上に、フィードチェン12に挟持搬送して供給される穀稈を脱穀し、この脱穀された穀粒を選別回収して一時貯留するグレンタンク13と、このタンク13に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ14とを備えた脱穀装置15を載置すると共に、この脱穀装置15の後端部に、脱穀済み排藁を排出処理する排藁処理装置16を装架して構成させている。
【0015】
該脱穀装置15の前方に、前側から未刈穀稈を分草する分草体17と、分草した穀稈を引き起こす引起部18と、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部19と、この刈り取った穀稈を掻き込むと共に扱深さを調節して該フィードチェン12へ供給する調節搬送部20等を有する作業部5としての刈取装置を、油圧駆動による伸縮シリンダ21により土壌面に対し昇降自在に該走行フレーム9の前端部へ懸架構成している。
【0016】
該刈取装置5の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置22と、この操作のための操作席23を設け、この操作席23の後方側に前記グレンタンク13を配置すると共に下方側にエンジン24を搭載し、該操作装置22と操作席23を覆うキャビン25を配設する。これらの走行装置11,脱穀装置15,刈取装置5,操作装置22,エンジン24,キャビン25等によってコンバインの車体26を構成している。
【0017】
図1及び図2に示す如く、該キャビン25内における操作装置22の前端位置に、メーターパネルを上面部に有する操作台27を配置し、この操作台27の適宜位置にハンドル支軸28を回動可能に後傾立設し、このハンドル支軸28の上端部に円形ハンドル(ハンドル)1を固定して設けると共に、この円形ハンドル1の中心部上面位置に、駐車時において制動作用状態でロックさせる駐車ブレーキボタン3を突設して構成させる。
【0018】
該操作台27の下端部から後方にステップ29を延設し、このステップ29上に操作台27と相対して操作席23を配置させると共に、コンバインの走行状態を制動作用させる略L字状のブレーキペダル2の足踏プレート2aをステップ29上方に位置させ、その支点部2bをステップ29下面側の走行フレーム9に軸承して構成させる。
【0019】
該ブレーキペダル2の支点部2bより更に延長した後端部に、ブレーキワイヤ30の一端部を連結すると共に、このワイヤ30の他端部を、走行用ミッションケース31に内装した操向クラッチ及び走行ブレーキを作用させる左右の作用アーム32を左右同時に作動可能に連結して構成させる。
【0020】
該ハンドル支軸28の中心部に駐車ブレーキロッド33を摺動可能に遊嵌貫通し、このロッド33の上端部は駐車ブレーキボタン3に係合させると共に、その下端部に、中間部を走行フレーム9にピン支承した駐車ロックアーム34の一端部をピン連結させ、このロックアーム34の他端部側にラック状の多数の切欠ぎ部34aを設け、この切欠ぎ部34aに嵌入させる駐車ロックプレート2cをブレーキペダル2の対応位置に突出固定して構成させる。
【0021】
該ハンドル支軸28の下端部に、円形ハンドル1の回動により、進行方向の舵取りを行う操向電磁弁等を作用させるポテンショメータ等による舵取りセンサ35を取り付けて構成させる。なお、36及び37は、ブレーキペダル2及び駐車ロックアーム34を復帰させるリターンスプリングである。
【0022】
このような構成により、コンバインの走行時に、円形ハンドル1の回動により舵取りセンサ35によって操向電磁弁を作用させ進行方向の舵取りを行わせると共に、走行を停止させるときはブレーキペダル2を踏み込んで走行ブレーキ(操向クラッチ)を作用させる。
【0023】
この走行ブレーキの作用時に、更に、駐車ブレーキ制動を行う必要があるときは、ブレーキペダル2を踏み込んだ状態で、駐車ブレーキボタン(駐車ブレーキ操作具)3の押し込み操作により駐車ブレーキロッド33を介して駐車ロックアーム34を作用させ、この駐車ロックアーム34の切欠ぎ部34aを該ペダル2の駐車ロックプレート2cに嵌入させることによって、ブレーキペダル2がロックされ駐車ブレーキ制動を行わせることができる。
【0024】
このように、駐車ブレーキ制動の操作を行う駐車ブレーキボタン3を、円形ハンドル1の中心部上面位置に配置することにより、操作が容易になると共に、ハンドル支軸28の中心部に駐車ブレーキロッド33を貫通させたリンク機構により、操作機構をコンパクトに構成することができる。
【0025】
また、前記の如き円形ハンドル1を有するものにおいて、この円形ハンドル1を進行方向が直進状態の中立位置のときに、図3a及び図3bに示す如く、該ハンドル1の前側部を部分的に切り欠ぐと共に、該ハンドル1の中心部より右側の適宜位置に突起状の握り38を設けて構成させる。
【0026】
このような構成により、図4に示す如く、作業時にオペレータが前記分草体17による未刈穀稈の刈取り位置を容易に監視することができると共に、握り38を設けることにより、該ハンドル1が欠円となっていても連続して且つ片手で操作することができる。なお、握り38に、刈取装置5の昇降スイッチ38aを設け、従来のパワステ感覚で操作が行えるようにしてもよい。
【0027】
また、前記の如き円形ハンドル1を有するものにおいて、図5aに示す如く、前記操作台27の右端側位置に、油圧式無段変速装置により前・後進の切り替え及び主変速を行わせる主変速レバー(変速レバー)4を配設して構成させる。
【0028】
図5bに示す如く、該主変速レバー4の長柄上端部に設けた握り部4aの左側面(オペレータ側)に、上側から刈取装置5の上昇・下降の微調整を行う上下微調整ボタン(上下調節スイッチ)6と、最上げ位置まで上昇させる上げボタン7と、下げ設定位置まで下降させる下げボタン8とを順次配置し、その右側面に下げ位置の設定を行う下げ位置設定ボタン39を配置して構成させる。
【0029】
このような構成により、円形ハンドル1を左手で握って操縦を行い、右手で主変速レバー4を握って車速の調節を行うと共に、頻繁に操作が必要となる刈取装置5の昇降調節を行う各調節ボタン6,7,8を親指で操作することができるから、オペレータは円形ハンドル1を握った操縦姿勢において、刈取装置5を昇降させるための屈み込むような変則的な動きを軽減することができる。
【0030】
また、前記の如き円形ハンドル1を有するものにおいて、図6及び図7に示す如く、前記操作席23の右側部に配設した肘掛け40を、後端部の支軸40aにより上方へ回動可能とし、その前端部に前・後進の切り替え及び主変速を行わせる主変速レバー4を配置して構成させる。
【0031】
該主変速レバー4上端部の握り部4aに刈取装置5を昇降調節させる調節ボタン類を設け、肘掛け40の内部に主変速レバー4から油圧式無段変速装置へ連結する操作ケーブル40bを配索して構成させる。
【0032】
このような構成により、肘掛け40を上方回動させることにより、乗降スペースが広くなりオペレータは楽に乗降できると共に、作業時は肘掛け40を通常位置に戻すことにより、主変速レバー4による走行操作及び調節ボタン類による刈取装置5の昇降操作を容易に行うことができる。
【0033】
また、前記図6及び図7に示す如く、該円形ハンドル1と、操作席23に上方回動可能な肘掛け40を設けているものにおいて、肘掛け40を上方回動させたときに、この回動作用によって駐車ブレーキによる制動が可能となるよう連結構成させることにより、オペレータが操作席23から降りるときは必ず肘掛け40を上方回動させる必要があるから、この回動操作に連動して駐車ブレーキが作用し、車体26の動きをロックすることができ安全性が高い。
【0034】
また、前記図6及び図7に示す如く、該円形ハンドル1と、操作席23に上方回動可能な肘掛け40を設けているものにおいて、肘掛け40を上方回動させたときに、この回動作用によって刈取装置5の昇降作用を停止させる昇降停止スイッチ41を適宜位置に設けて接続構成させることにより、オペレータが操作席23から降りるときは必ず肘掛け40を上方回動させる必要があるから、この回動操作に連動して昇降停止スイッチ41が作用し、刈取装置5を停止することができ安全性が高い。
【0035】
また、前記走行装置11について、平面視において左右側は同一形状であるから片側についてのみ説明を行う。図8に示す如く、走行フレーム9の平面視縦方向中央寄り左右位置に左右の縦主フレーム42を配置接合し、この縦主フレーム42の前側下部に支持枠43を設け、この支軸枠43に前部ローリングメタル44を固定して構成させる。
【0036】
該ローリングメタル44に、く字状の前部ローリングアーム45を中間部位置から上下部分に分割して前部ローリング軸46により軸支すると共に、前部ローリングアーム45の下端部位置と、該縦主フレーム42の外側下方に平行して位置する転輪フレーム47の前部側位置とを、回動可能にピン45a連結して構成させる。
【0037】
該縦主フレーム42の後側下部に固定したピッチングメタル48にピッチング軸49を軸承し、このピッチング軸49にピッチングアーム50の一端部を軸止すると共に、その他端部と平面視H字状の連結アーム51の一端部とを回動可能にピン51a連結して構成させる。
【0038】
該連結アーム51の他端部に、く字状の後部ローリングアーム52を中間部位置から上下部分に分割して後部ローリング軸53により軸支すると共に、後部ローリングアーム52の下端部位置と、該転輪フレーム47の後部側位置とを回動可能にピン52a連結して構成させる。
【0039】
該一方のピッチングアーム50他端部側で連結アーム51の連結部より少し延長した突起部50aに、該一方の縦主フレーム42から立ち上げたシリンダ取付アーム54に固定側を取り付けた略鉛直姿勢のピッチングシリンダ55のピストン先端部を連結して構成させる。
【0040】
前記前部ローリングアーム45の上端部位置と後部ローリングアーム52の上部中間位置とを、4点平行リンクを形成可能に連結杆56によって回動可能にピン45b,52b連結すると共に、後部ローリングアーム52をピン52b連結位置より更に上方側へ延長し、その上端部にローリングシリンダ57のピストン先端部を連結して構成させる。
【0041】
該ローリングシリンダ57の固定側と、該ピッチングアーム50の突起部50aの一部とに帯状の保持板58により両側から挟む状態で回動可能に各々ピン連結し、該固定側の連結部をリンク59を介して揺動可能に該縦主フレーム42に取り付けて構成させる。なお、60は、前記転輪フレーム47に適宜間隔にて軸支した接地転輪である。
【0042】
このような構成により、ピッチングシリンダ55を作用させたときは、連結アーム51を介した後部ローリングアーム52の上下により転輪フレーム47を後傾斜させるピッチング制御を行うことができると共に、ローリングシリンダ57を作用させたときは、前部ローリングアーム45と連結アーム51を介した後部ローリングアーム52及び連結杆56による平行リンク作用により、転輪フレーム47を平行上下させるローリング制御を行わせることができる。
【0043】
しかし、ローリング制御のみを行うものでは、ピッチングメタル48,ピッチング軸49,ピッチングアーム50,シリンダ取付アーム54,ピッチングシリンダ55,保持板58等(図の斜線部分)が不要となり、代わりに連結アーム51の一端部を支承するアーム支持メタル61とローリングシリンダ57を支承するシリンダ支持メタル62とを(図の網掛け部分)、各々該縦主フレーム42に取り付けてローリング専用仕様とすることができる。
【0044】
このように、ピッチング制御とローリング制御の仕様変更が容易であり共用化が可能になると共に、図9に示す従来機の如く、前部ローリングメタル44の支持枠43と同様に後部ローリングメタル44aとその支持枠43aを設ける必要がないから、ローリングの後方支点部に大きな側面形状(図の斜線部分)を有することがなく、左右方向への泥抜けが良好となり旋回性が向上すると共に、洗車も容易である。
【0045】
また、図10に示す如く、CPUを主体的に配してピッチング及びローリング機能を制御するコントローラ63を設け、このコントローラ63の入力側に、車速を検出する車速センサ64と、パワステレバーの左右傾動操作による車体26の旋回作用をON・OFFする旋回スイッチ65と、パワステレバーの前後傾動操作による刈取装置5の昇降作用をON・OFFする昇降スイッチ66とを各々接続して構成させる。
【0046】
該コントローラ63の出力側に、前記ピッチングシリンダ55を作動させるピッチング電磁弁67と、左右のローリングシリンダ57を作動させる左右のローリング電磁弁68とを各々接続して構成させる。
【0047】
このような構成により、一定速度以上で旋回を行ったときは、その後一定時間は左右のローリング機能を自動的に停止させる制御と、一定時間内に所定以上の車速差が生じたときは、その後一定時間はピッチング機能を自動的に停止させる制御と、前記伸縮シリンダ21の調節が一定時間内に所定以上の調節変位を生じたときは、その後一定時間はピッチング機能を自動的に停止させる制御とを行わせる。
【0048】
これらの制御を行うことにより、車体26の水平制御が誤作動を起こす要因の発生を自動的に認知し、一時的に水平制御機能を停止させることにより誤作動を未然に防止することができる。
【0049】
また、図11に示す如く、CPUを主体的に配して車体26の前後傾斜時に左右の走行ブレーキ制動手段69aを内蔵したコントローラ69を設け、このコントローラ69の入力側に、駐車ブレーキの作用状態を検出する駐車ブレーキスイッチ70と、車体26の前後傾斜を検出する前後傾斜位置センサ71とを各々接続して構成させる。
【0050】
該コントローラ69の出力側に、前記走行用ミッションケース31に内装している左右の操向クラッチを入・切する左右の操向クラッチ電磁弁72と、左右の走行ブレーキを制動する左右の走行ブレーキ減圧弁73とを各々接続して構成させる。
【0051】
このような構成により、車体26が自然降下するような傾斜地において、駐車ブレーキの制動時に駐車ブレーキスイッチ70がONすることにより、電気的に素早く走行ブレーキを制動させることができるから、従来の如く、駐車ブレーキを素早く操作できないときは、左右の操向クラッチは切り状態にあるため走行ブレーキが制動される前に車体26が自然に降下するという不具合を解消して、傾斜地においても安全性の高い駐車ブレーキ制動を行うことができる。
【0052】
また、図12a及び図12bに示す如く、前記脱穀装置15の扱胴74aを内装する脱穀室74の入口部にサイドミラー75を取り付け、コンバインの脱穀作業時の監視を行うものにおいて、従来では、このミラー75は手扱ぎ作業時に邪魔にならないよう通常作業位置aから後方の手扱ぎ作業位置bへ回動させるものが一般的であるが、作業終了後はこのミラー75が車体26から外方へ突出しているため、運搬時や格納時に邪魔になると共に破損する恐れがあった。
【0053】
このため、図13に示す如く、該サイドミラー75を回動可能に支持するミラー支持筒75aを、脱穀装置15の挟持杆カバー74bの前端部に固定したコ字状の取付アーム75bに固着し、ミラー支持筒75aの上端部円周上に多数の分割溝75cを設け、この分割溝75cに嵌入する位置決めピン75dをミラー本体75eを支持するクランク状のミラー支持軸75fに貫通固定すると共に、このミラー支持軸75fを軸方向に張圧するスプリング75gを軸端部に設けて構成させる。
【0054】
このような構成により、サイドミラー75の回動位置を、通常のコンバイン作業時には通常作業位置aにロックし、手扱ぎ作業時にはミラー支持軸75fをスプリング75gに抗して引き上げて位置決めピン75dを分割溝75cにより移動させ手扱ぎ作業位置bへロックする。次に、作業終了に伴いコンバインを運搬及び格納する際には、該ミラー75を車体26幅内に収納する収納位置cへロックさせることができる。
【0055】
このように、サイドミラー75の回動位置を、そのときの状態に応じて簡単に最適位置へロックすることができるから、作業時に邪魔になったり、格納時に余分なスペースを必要としたり、トラックに乗せた運搬時等において樹木に引っ掛けたりする障害を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 円形ハンドル(ハンドル)
4 主変速レバー(変速レバー)
4a 握り部
5 刈取装置
6 上下調節スイッチ
7 上げボタン
8 下げボタン
38a 昇降スイッチ
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
円形ハンドルを有する作業車において、従来では、作業部を昇降作用させる操作は、進行方向の舵取りを行うパワステレバーの前後傾動作用を利用して行われているものが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−275432号公報
【特許文献2】特開平10−127144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、円形ハンドルを有する作業車において、従来では、作業部を昇降作用させる操作は、進行方向の舵取りを行うパワステレバーの前後傾動作用を利用して行われているものが一般的であった。
【0005】
しかし、このようなパワステレバーに代え円形ハンドルによって操縦を行うものでは、ハンドルから離れた位置において作業部の昇降操作のみを独立して行うことになるため、オペレータの操縦姿勢が昇降操作の都度変速的な動きとなり大変面倒なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状として備え、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設けたことを特徴とするコンバインしたものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、機体の走行速度を変速操作する変速レバー(4)の上端部に握り部(4a)を備え、該握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバインとしたものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)を設けたことを特徴とする請求項2記載のコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によると、機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状とすることで、刈取装置(5)の分草体による未刈穀稈の分草位置を操縦席から容易に監視することができ、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設けたので、このハンドル(1)を操作するオペレータの操縦姿勢が、刈取装置(5)の昇降操作の都度屈み込むような動きとなることが少なくなる。
【0010】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、変速レバー(4)の上端部に備えた握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けることで、頻繁に操作が必要となるこれらの操作ボタン類を操作することができるから、一方の手でハンドル(1)を握り他方の手で変速レバー(4)を握って、車速の調節と刈取装置(5)の昇降調節を容易に行うことができる。
【0011】
請求項3記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、変速レバー(4)の上端部に備えた握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)と、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けることで、頻繁に操作が必要となるこれらの操作ボタン類を操作することができるから、一方の手でハンドル(1)を握り他方の手で変速レバー(4)を握って、車速の調節と刈取装置(5)の昇降調節を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ハンドルの駐車ブレーキボタンによるブレーキペダルのロックを示す側面図。
【図2】ハンドルの駐車ブレーキボタンによるブレーキペダルのロックを示す正面図。
【図3】(a)円形ハンドルの前側部を切り欠ぐと共に右側握りの状態を示す平面図、(b)円形ハンドルの前側部を切り欠ぐと共に右側握りの状態を示す側面図。
【図4】前側部を切り欠いだ円形ハンドルによる刈取位置の監視状態を示す側面図。
【図5】(a)操作台の右端側に走行用の主変速レバーを配置した状態を示す平面図、(b)主変速レバーの握り部に刈取昇降ボタンを配置した状態を示す正面図。
【図6】操作席の右側位置に上方回動可能とする肘掛けを配置した状態を示す平面図。
【図7】操作席右側位置の肘掛け前端部に主変速レバーを配置した状態を示す側面図。
【図8】走行装置のピッチング制御及びローリング制御の作動機構関係を示す側面図。
【図9】従来における走行装置のローリング制御の作動機構関係を示す側面図。
【図10】車体の水平制御の誤作動を未然に防止する自動回路を示すブロック図。
【図11】傾斜地において安全な駐車ブレーキ制動を行う自動回路を示すブロック図。
【図12】(a)脱穀室入口部に取り付けたサイドミラーの位置変更状態を示す平面図、(b)脱穀室入口部に取り付けたサイドミラーの位置変更状態を示す側面図。
【図13】サイドミラーの詳細を示す構造図とミラーの位置変更機構を示す拡大斜視図。
【図14】コンバインの全体構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明の実施例を作業車等としてのコンバインについて図面に基づき説明する。
図14はコンバインの全体構成を示すもので、走行フレーム9の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ10を有する走行装置11を配設して構成させている。
【0014】
該走行フレーム9上に、フィードチェン12に挟持搬送して供給される穀稈を脱穀し、この脱穀された穀粒を選別回収して一時貯留するグレンタンク13と、このタンク13に貯留された穀粒を機外へ排出する排穀オーガ14とを備えた脱穀装置15を載置すると共に、この脱穀装置15の後端部に、脱穀済み排藁を排出処理する排藁処理装置16を装架して構成させている。
【0015】
該脱穀装置15の前方に、前側から未刈穀稈を分草する分草体17と、分草した穀稈を引き起こす引起部18と、引き起こした穀稈を刈り取る刈刃部19と、この刈り取った穀稈を掻き込むと共に扱深さを調節して該フィードチェン12へ供給する調節搬送部20等を有する作業部5としての刈取装置を、油圧駆動による伸縮シリンダ21により土壌面に対し昇降自在に該走行フレーム9の前端部へ懸架構成している。
【0016】
該刈取装置5の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置22と、この操作のための操作席23を設け、この操作席23の後方側に前記グレンタンク13を配置すると共に下方側にエンジン24を搭載し、該操作装置22と操作席23を覆うキャビン25を配設する。これらの走行装置11,脱穀装置15,刈取装置5,操作装置22,エンジン24,キャビン25等によってコンバインの車体26を構成している。
【0017】
図1及び図2に示す如く、該キャビン25内における操作装置22の前端位置に、メーターパネルを上面部に有する操作台27を配置し、この操作台27の適宜位置にハンドル支軸28を回動可能に後傾立設し、このハンドル支軸28の上端部に円形ハンドル(ハンドル)1を固定して設けると共に、この円形ハンドル1の中心部上面位置に、駐車時において制動作用状態でロックさせる駐車ブレーキボタン3を突設して構成させる。
【0018】
該操作台27の下端部から後方にステップ29を延設し、このステップ29上に操作台27と相対して操作席23を配置させると共に、コンバインの走行状態を制動作用させる略L字状のブレーキペダル2の足踏プレート2aをステップ29上方に位置させ、その支点部2bをステップ29下面側の走行フレーム9に軸承して構成させる。
【0019】
該ブレーキペダル2の支点部2bより更に延長した後端部に、ブレーキワイヤ30の一端部を連結すると共に、このワイヤ30の他端部を、走行用ミッションケース31に内装した操向クラッチ及び走行ブレーキを作用させる左右の作用アーム32を左右同時に作動可能に連結して構成させる。
【0020】
該ハンドル支軸28の中心部に駐車ブレーキロッド33を摺動可能に遊嵌貫通し、このロッド33の上端部は駐車ブレーキボタン3に係合させると共に、その下端部に、中間部を走行フレーム9にピン支承した駐車ロックアーム34の一端部をピン連結させ、このロックアーム34の他端部側にラック状の多数の切欠ぎ部34aを設け、この切欠ぎ部34aに嵌入させる駐車ロックプレート2cをブレーキペダル2の対応位置に突出固定して構成させる。
【0021】
該ハンドル支軸28の下端部に、円形ハンドル1の回動により、進行方向の舵取りを行う操向電磁弁等を作用させるポテンショメータ等による舵取りセンサ35を取り付けて構成させる。なお、36及び37は、ブレーキペダル2及び駐車ロックアーム34を復帰させるリターンスプリングである。
【0022】
このような構成により、コンバインの走行時に、円形ハンドル1の回動により舵取りセンサ35によって操向電磁弁を作用させ進行方向の舵取りを行わせると共に、走行を停止させるときはブレーキペダル2を踏み込んで走行ブレーキ(操向クラッチ)を作用させる。
【0023】
この走行ブレーキの作用時に、更に、駐車ブレーキ制動を行う必要があるときは、ブレーキペダル2を踏み込んだ状態で、駐車ブレーキボタン(駐車ブレーキ操作具)3の押し込み操作により駐車ブレーキロッド33を介して駐車ロックアーム34を作用させ、この駐車ロックアーム34の切欠ぎ部34aを該ペダル2の駐車ロックプレート2cに嵌入させることによって、ブレーキペダル2がロックされ駐車ブレーキ制動を行わせることができる。
【0024】
このように、駐車ブレーキ制動の操作を行う駐車ブレーキボタン3を、円形ハンドル1の中心部上面位置に配置することにより、操作が容易になると共に、ハンドル支軸28の中心部に駐車ブレーキロッド33を貫通させたリンク機構により、操作機構をコンパクトに構成することができる。
【0025】
また、前記の如き円形ハンドル1を有するものにおいて、この円形ハンドル1を進行方向が直進状態の中立位置のときに、図3a及び図3bに示す如く、該ハンドル1の前側部を部分的に切り欠ぐと共に、該ハンドル1の中心部より右側の適宜位置に突起状の握り38を設けて構成させる。
【0026】
このような構成により、図4に示す如く、作業時にオペレータが前記分草体17による未刈穀稈の刈取り位置を容易に監視することができると共に、握り38を設けることにより、該ハンドル1が欠円となっていても連続して且つ片手で操作することができる。なお、握り38に、刈取装置5の昇降スイッチ38aを設け、従来のパワステ感覚で操作が行えるようにしてもよい。
【0027】
また、前記の如き円形ハンドル1を有するものにおいて、図5aに示す如く、前記操作台27の右端側位置に、油圧式無段変速装置により前・後進の切り替え及び主変速を行わせる主変速レバー(変速レバー)4を配設して構成させる。
【0028】
図5bに示す如く、該主変速レバー4の長柄上端部に設けた握り部4aの左側面(オペレータ側)に、上側から刈取装置5の上昇・下降の微調整を行う上下微調整ボタン(上下調節スイッチ)6と、最上げ位置まで上昇させる上げボタン7と、下げ設定位置まで下降させる下げボタン8とを順次配置し、その右側面に下げ位置の設定を行う下げ位置設定ボタン39を配置して構成させる。
【0029】
このような構成により、円形ハンドル1を左手で握って操縦を行い、右手で主変速レバー4を握って車速の調節を行うと共に、頻繁に操作が必要となる刈取装置5の昇降調節を行う各調節ボタン6,7,8を親指で操作することができるから、オペレータは円形ハンドル1を握った操縦姿勢において、刈取装置5を昇降させるための屈み込むような変則的な動きを軽減することができる。
【0030】
また、前記の如き円形ハンドル1を有するものにおいて、図6及び図7に示す如く、前記操作席23の右側部に配設した肘掛け40を、後端部の支軸40aにより上方へ回動可能とし、その前端部に前・後進の切り替え及び主変速を行わせる主変速レバー4を配置して構成させる。
【0031】
該主変速レバー4上端部の握り部4aに刈取装置5を昇降調節させる調節ボタン類を設け、肘掛け40の内部に主変速レバー4から油圧式無段変速装置へ連結する操作ケーブル40bを配索して構成させる。
【0032】
このような構成により、肘掛け40を上方回動させることにより、乗降スペースが広くなりオペレータは楽に乗降できると共に、作業時は肘掛け40を通常位置に戻すことにより、主変速レバー4による走行操作及び調節ボタン類による刈取装置5の昇降操作を容易に行うことができる。
【0033】
また、前記図6及び図7に示す如く、該円形ハンドル1と、操作席23に上方回動可能な肘掛け40を設けているものにおいて、肘掛け40を上方回動させたときに、この回動作用によって駐車ブレーキによる制動が可能となるよう連結構成させることにより、オペレータが操作席23から降りるときは必ず肘掛け40を上方回動させる必要があるから、この回動操作に連動して駐車ブレーキが作用し、車体26の動きをロックすることができ安全性が高い。
【0034】
また、前記図6及び図7に示す如く、該円形ハンドル1と、操作席23に上方回動可能な肘掛け40を設けているものにおいて、肘掛け40を上方回動させたときに、この回動作用によって刈取装置5の昇降作用を停止させる昇降停止スイッチ41を適宜位置に設けて接続構成させることにより、オペレータが操作席23から降りるときは必ず肘掛け40を上方回動させる必要があるから、この回動操作に連動して昇降停止スイッチ41が作用し、刈取装置5を停止することができ安全性が高い。
【0035】
また、前記走行装置11について、平面視において左右側は同一形状であるから片側についてのみ説明を行う。図8に示す如く、走行フレーム9の平面視縦方向中央寄り左右位置に左右の縦主フレーム42を配置接合し、この縦主フレーム42の前側下部に支持枠43を設け、この支軸枠43に前部ローリングメタル44を固定して構成させる。
【0036】
該ローリングメタル44に、く字状の前部ローリングアーム45を中間部位置から上下部分に分割して前部ローリング軸46により軸支すると共に、前部ローリングアーム45の下端部位置と、該縦主フレーム42の外側下方に平行して位置する転輪フレーム47の前部側位置とを、回動可能にピン45a連結して構成させる。
【0037】
該縦主フレーム42の後側下部に固定したピッチングメタル48にピッチング軸49を軸承し、このピッチング軸49にピッチングアーム50の一端部を軸止すると共に、その他端部と平面視H字状の連結アーム51の一端部とを回動可能にピン51a連結して構成させる。
【0038】
該連結アーム51の他端部に、く字状の後部ローリングアーム52を中間部位置から上下部分に分割して後部ローリング軸53により軸支すると共に、後部ローリングアーム52の下端部位置と、該転輪フレーム47の後部側位置とを回動可能にピン52a連結して構成させる。
【0039】
該一方のピッチングアーム50他端部側で連結アーム51の連結部より少し延長した突起部50aに、該一方の縦主フレーム42から立ち上げたシリンダ取付アーム54に固定側を取り付けた略鉛直姿勢のピッチングシリンダ55のピストン先端部を連結して構成させる。
【0040】
前記前部ローリングアーム45の上端部位置と後部ローリングアーム52の上部中間位置とを、4点平行リンクを形成可能に連結杆56によって回動可能にピン45b,52b連結すると共に、後部ローリングアーム52をピン52b連結位置より更に上方側へ延長し、その上端部にローリングシリンダ57のピストン先端部を連結して構成させる。
【0041】
該ローリングシリンダ57の固定側と、該ピッチングアーム50の突起部50aの一部とに帯状の保持板58により両側から挟む状態で回動可能に各々ピン連結し、該固定側の連結部をリンク59を介して揺動可能に該縦主フレーム42に取り付けて構成させる。なお、60は、前記転輪フレーム47に適宜間隔にて軸支した接地転輪である。
【0042】
このような構成により、ピッチングシリンダ55を作用させたときは、連結アーム51を介した後部ローリングアーム52の上下により転輪フレーム47を後傾斜させるピッチング制御を行うことができると共に、ローリングシリンダ57を作用させたときは、前部ローリングアーム45と連結アーム51を介した後部ローリングアーム52及び連結杆56による平行リンク作用により、転輪フレーム47を平行上下させるローリング制御を行わせることができる。
【0043】
しかし、ローリング制御のみを行うものでは、ピッチングメタル48,ピッチング軸49,ピッチングアーム50,シリンダ取付アーム54,ピッチングシリンダ55,保持板58等(図の斜線部分)が不要となり、代わりに連結アーム51の一端部を支承するアーム支持メタル61とローリングシリンダ57を支承するシリンダ支持メタル62とを(図の網掛け部分)、各々該縦主フレーム42に取り付けてローリング専用仕様とすることができる。
【0044】
このように、ピッチング制御とローリング制御の仕様変更が容易であり共用化が可能になると共に、図9に示す従来機の如く、前部ローリングメタル44の支持枠43と同様に後部ローリングメタル44aとその支持枠43aを設ける必要がないから、ローリングの後方支点部に大きな側面形状(図の斜線部分)を有することがなく、左右方向への泥抜けが良好となり旋回性が向上すると共に、洗車も容易である。
【0045】
また、図10に示す如く、CPUを主体的に配してピッチング及びローリング機能を制御するコントローラ63を設け、このコントローラ63の入力側に、車速を検出する車速センサ64と、パワステレバーの左右傾動操作による車体26の旋回作用をON・OFFする旋回スイッチ65と、パワステレバーの前後傾動操作による刈取装置5の昇降作用をON・OFFする昇降スイッチ66とを各々接続して構成させる。
【0046】
該コントローラ63の出力側に、前記ピッチングシリンダ55を作動させるピッチング電磁弁67と、左右のローリングシリンダ57を作動させる左右のローリング電磁弁68とを各々接続して構成させる。
【0047】
このような構成により、一定速度以上で旋回を行ったときは、その後一定時間は左右のローリング機能を自動的に停止させる制御と、一定時間内に所定以上の車速差が生じたときは、その後一定時間はピッチング機能を自動的に停止させる制御と、前記伸縮シリンダ21の調節が一定時間内に所定以上の調節変位を生じたときは、その後一定時間はピッチング機能を自動的に停止させる制御とを行わせる。
【0048】
これらの制御を行うことにより、車体26の水平制御が誤作動を起こす要因の発生を自動的に認知し、一時的に水平制御機能を停止させることにより誤作動を未然に防止することができる。
【0049】
また、図11に示す如く、CPUを主体的に配して車体26の前後傾斜時に左右の走行ブレーキ制動手段69aを内蔵したコントローラ69を設け、このコントローラ69の入力側に、駐車ブレーキの作用状態を検出する駐車ブレーキスイッチ70と、車体26の前後傾斜を検出する前後傾斜位置センサ71とを各々接続して構成させる。
【0050】
該コントローラ69の出力側に、前記走行用ミッションケース31に内装している左右の操向クラッチを入・切する左右の操向クラッチ電磁弁72と、左右の走行ブレーキを制動する左右の走行ブレーキ減圧弁73とを各々接続して構成させる。
【0051】
このような構成により、車体26が自然降下するような傾斜地において、駐車ブレーキの制動時に駐車ブレーキスイッチ70がONすることにより、電気的に素早く走行ブレーキを制動させることができるから、従来の如く、駐車ブレーキを素早く操作できないときは、左右の操向クラッチは切り状態にあるため走行ブレーキが制動される前に車体26が自然に降下するという不具合を解消して、傾斜地においても安全性の高い駐車ブレーキ制動を行うことができる。
【0052】
また、図12a及び図12bに示す如く、前記脱穀装置15の扱胴74aを内装する脱穀室74の入口部にサイドミラー75を取り付け、コンバインの脱穀作業時の監視を行うものにおいて、従来では、このミラー75は手扱ぎ作業時に邪魔にならないよう通常作業位置aから後方の手扱ぎ作業位置bへ回動させるものが一般的であるが、作業終了後はこのミラー75が車体26から外方へ突出しているため、運搬時や格納時に邪魔になると共に破損する恐れがあった。
【0053】
このため、図13に示す如く、該サイドミラー75を回動可能に支持するミラー支持筒75aを、脱穀装置15の挟持杆カバー74bの前端部に固定したコ字状の取付アーム75bに固着し、ミラー支持筒75aの上端部円周上に多数の分割溝75cを設け、この分割溝75cに嵌入する位置決めピン75dをミラー本体75eを支持するクランク状のミラー支持軸75fに貫通固定すると共に、このミラー支持軸75fを軸方向に張圧するスプリング75gを軸端部に設けて構成させる。
【0054】
このような構成により、サイドミラー75の回動位置を、通常のコンバイン作業時には通常作業位置aにロックし、手扱ぎ作業時にはミラー支持軸75fをスプリング75gに抗して引き上げて位置決めピン75dを分割溝75cにより移動させ手扱ぎ作業位置bへロックする。次に、作業終了に伴いコンバインを運搬及び格納する際には、該ミラー75を車体26幅内に収納する収納位置cへロックさせることができる。
【0055】
このように、サイドミラー75の回動位置を、そのときの状態に応じて簡単に最適位置へロックすることができるから、作業時に邪魔になったり、格納時に余分なスペースを必要としたり、トラックに乗せた運搬時等において樹木に引っ掛けたりする障害を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 円形ハンドル(ハンドル)
4 主変速レバー(変速レバー)
4a 握り部
5 刈取装置
6 上下調節スイッチ
7 上げボタン
8 下げボタン
38a 昇降スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状として備え、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
機体の走行速度を変速操作する変速レバー(4)の上端部に握り部(4a)を備え、該握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)を設けたことを特徴とする請求項2記載のコンバイン。
【請求項1】
機体の走行方向を変更操作する回転操作式のハンドル(1)を、円形ハンドルの機体走行方向前方側の部位を切り欠いた形状として備え、このハンドル(1)の中心部よりも右側の部位に刈取装置(5)を昇降操作する昇降スイッチ(38a)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
機体の走行速度を変速操作する変速レバー(4)の上端部に握り部(4a)を備え、該握り部(4a)に、刈取装置(5)の設定位置までの下げを行う下げボタン(8)及び上げを行う上げボタン(7)を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記握り部(4a)に、刈取装置(5)を任意に上下調節する上下調節スイッチ(6)を設けたことを特徴とする請求項2記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−139716(P2011−139716A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95215(P2011−95215)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【分割の表示】特願2009−94042(P2009−94042)の分割
【原出願日】平成12年8月25日(2000.8.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【分割の表示】特願2009−94042(P2009−94042)の分割
【原出願日】平成12年8月25日(2000.8.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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