コンバイン
【課題】引起しラグによって脱粒された穀粒や穀稈に付着していた泥土が運転席まで飛散し、オペレータに直接降りかかる問題を解消する。
【解決手段】運転席(5)の前側に穀稈を引き起す引起し装置(8)が配置されるコンバインにおいて、該引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー体(15)を設ける。また、このカバー体(15)を、上面カバー(15a)と後面カバー(15b)とから側面視で略への字型に形成する。
【解決手段】運転席(5)の前側に穀稈を引き起す引起し装置(8)が配置されるコンバインにおいて、該引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー体(15)を設ける。また、このカバー体(15)を、上面カバー(15a)と後面カバー(15b)とから側面視で略への字型に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示された従来技術は、運転席の前側に穀稈を引き起す引起し装置が配置されるコンバインにおいて、各引起し装置の上部を左右方向に長いカバー体によって被覆するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−206463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転席の前側に接近して穀稈引起し装置を配置したものでは、特に、引き起す穀稈が長稈の場合には、引起しラグによって脱粒された穀粒や穀稈に付着していた泥土が運転席まで飛散し、オペレータに直接当たる問題があった。
【0005】
本発明の課題は、かかる問題点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、運転席(5)の前側に穀稈を引き起す引起し装置(8)が配置されるコンバインにおいて、該引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー体(15)を設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0007】
分草後の穀稈は、引起し装置(8)の引起しケースから引起し経路(K)内に突出して上昇する引起しラグ(14)が株元側から穂先側にかけて作用することで引き起こされる。この際、特に、この引き起される穀稈が長稈の場合には、引起し時に脱粒された穀粒や穀稈に付着していた泥土が運転席(5)のオペレータにまで飛散することがある。この際には、引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に設けたカバー体(15)を、該上方延長線と交差する方向に姿勢変更する。すると、引起しラグ(14)により飛び散る穀粒や泥土は姿勢変更されたカバー体(15)によって受け止められ、オペレータへの飛散が防止される。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記カバー体(15)を、上面カバー(15a)と後面カバー(15b)とから側面視で略への字型に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
上面カバー(15a)の下面部で穀粒や泥土の上方への飛散を阻止し、後面カバー(15b)の下面部で穀粒や泥土の後方上方への飛散を阻止することができる。従って、運転席(5)への穀粒や泥土の飛散を確実に防止することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記カバー体(15)を、引起し装置(8)の後側で左右方向に架設された支軸(16)を回動支点として上下に揺動することで前後方向の傾斜姿勢を変更自在な構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインとする。
カバー体(15)の傾斜姿勢は、支軸(16)回りの揺動で変更されるため、この傾斜姿勢の変更操作がワンタッチで簡単に行える。そして、カバー体(15)を上方に揺動させた場合には、オペレータ側への穀粒や泥土の飛散が阻止されるものでありながら、引起しケースの前側カバーの着脱が簡単に行え、引起し装置(8)のメンテナンスが容易に行える。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記引起し装置(8)の横側に配置される刈取サイドカバー(18,18)を上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに分割し、上部サイドカバー(18a)の下部を下部サイドカバー(18b)の上部に対して重合させて配置すると共に、該上部サイドカバー(18a)を前記カバー体(15)と一体に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバインとする。
上部サイドカバー(18a)は、カバー体(15)と共に上方へ揺動させることができるので、この上部サイドカバー(18a)の下部に重合した下部サイドカバー(18b)の着脱が簡単に行え、刈取部のメンテナンスが容易に行える。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記引起し装置(8)の引起しケース(12)の上端部前面(12u)を、該引起しケース(12)の下部前面よりも傾斜の緩い後上がり傾斜姿勢となるように屈曲形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載のコンバインとする。
【0013】
オペレータは運転席(5)に着座したままで引起し装置(8)の引起し始端側(下端側)における分草位置を直視でき、分草引起し状況の確認が容易に行える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、引起し時に穀粒や泥土の飛散が多発する場合には、引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に設けたカバー体(15)を、該上方延長線と交差する方向に姿勢変更することで、運転席(5)への穀粒や泥土の飛散を防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、カバー体(15)が側面視で略への字型に形成されているので、上方及び後方上方への穀粒や泥土の飛散を阻止することができ、運転席(5)への飛散を確実に防止することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、カバー体(15)の傾斜姿勢は、支軸(16)回りの揺動で変更されるため、この傾斜姿勢の変更操作がワンタッチで簡単に行え、カバー体(15)を上方に揺動させた場合には、運転席(5)側への穀粒や泥土の飛散を阻止できるものでありながら、引起しケースの前側カバーの着脱が簡単に行え、引起し装置(8)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、上部サイドカバー(18a)は、カバー体(15)と共に上方へ揺動させることができるので、この上部サイドカバー(18a)の下部に重合した下部サイドカバー(18b)の着脱が簡単に行え、刈取部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の効果を奏するうえに、オペレータは運転席(5)に着座したままで引起し装置(8)の引起し始端側(下端側)における分草位置を直視でき、分草引起し状況の確認を容易に行うことができ、刈取作業の能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバイン要部の正面図
【図3】刈取部の要部の側面図
【図4】引起し装置の要部の斜視図
【図5】引起し装置の要部の側面図
【図6】同上要部の側面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】同上要部の側面図
【図9】刈取部の要部の側面図、
【図10】同上要部の平面図
【図11】揚上搬送供給装置の平面図
【図12】同上要部のロック装置の側面図
【図13】同上要部の背面図
【図14】同上一部の背面図
【図15】刈取の要部の平面図
【図16】同上要部の左側面図
【図17】同上要部の穂先案内カバーの正面図
【図18】穂先案内カバーの右側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、コンバインを示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等の運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0021】
刈取部4は、植立する穀稈を左右に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引き起す4条の穀稈引起し装置8,8,8,8と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置9と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置10,掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送しながら姿勢変更して脱穀装置に受け渡し供給する揚上搬送供給装置11等からなり、車体に対し上下に昇降可能に装備している。
【0022】
穀稈引起し装置8は、引起しチェンを内装し前後に分割可能な前後の引起しケース12,13と引起しケースから引起し経路K側に突出して穀稈を引き起す引起しラグ14とからなる。前側引起しケース12は、後側引起しケース13に対し着脱自在に取り付けできる構成としてあり、上方に引き上げると係止ロック状態が解除され前側に取り出しできるようになっている。各前側引起しケース122,12,…の上端側12uは、下端側傾斜よりも更に後方傾斜(垂直面に対して下端側の傾斜角よりも上端側の後傾斜角が大きく)となるよう屈曲形成されていて、着座姿勢での作業における分草位置近傍の視界が良好となり、起立姿勢での作業においては分草位置が良く見えるように構成している。
そして、各引起し装置8の上部は、左右横方向に長く構成されたカバー体15によって被覆される構造になっている。
【0023】
カバー体15は、上面カバー15aと後面カバー15bとからなるように側面視で略への字型に形成され、引起し装置8の引き起し経路Kに沿って上昇する引起しラグ14の上昇軌跡の上方延長線上に配置し、前側引起しケース12の上端側12u前面をカバーする状態と、上昇移行する引起しラグ14における引起し経路Kの上方をカバーする状態とに、前後方向の傾斜姿勢を変更自在に構成されている。そして、このカバー体15の姿勢変更手段として、前後上下のスライド構成とすることもできるが、本実施例では、該カバー体15が引起し装置8の背部側で左右横方向に架設された支軸16を回動支点として上下に揺動開閉するよう揺動開閉自在に構成されている。カバー体15の上方への開側が引起し経路Kの上方をカバーする姿勢変更状態であり、下方への閉側が前側引起しケース12の上端側12u前面をカバーする姿勢変更状態となる。カバー体15の開閉は、回動支点付近に設けた引張スプリング17により、支軸16の支点に対してスプリング張力方向を閉側と開側とに切り替え可能な構成になっていて、ワンタッチで揺動開閉することができる。
【0024】
各引起し装置8の左右両サイドに配置された刈取サイドカバー18,18は、上部サイドカバー18aと下部サイドカバー18bとに分割され、上部サイドカバー18aは、下部サイドカバー18bに対して上側面及び外側面上に重合し、前記カバー体15と一体的に形成され、該カバー体と共に上下に揺動開閉可能に構成されている。
【0025】
カバー体15及び上部サイドカバー18aを上方に開動させないと、前側引起しケース12及び下部サイドカバー18bの取り外しができなく、下方への閉動によってロック機構の役目を果たす構造になっている。
【0026】
図9、図10に示すように、刈取部4を支持する刈取メインフレーム21は、刈取懸架台22に架設された刈取入力軸23を支点として上下に回動する構成であり、刈取昇降シリンダ24の伸縮作動により刈取部4が昇降するようになっている。刈取メインフレーム21の変速ギヤケース26位置よりも下方の中央部と、刈取入力軸23の軸受部との間をL型補強フレーム27で連結して強化し、衝突による捩れ、破損を防止するように構成している。また、補強フレーム27の内側に昇降シリンダ24の取付部及びフローティングスプリング25の設置部を設けておくと、衝突時の捩れ応力によるシリンダ・フローティングスプリングの変形、破損を防止することができる。各操作ワイヤ・ハーネス・ホース等の配策部28を刈取メインフレーム21から補強フレーム27に沿わせることにより、上下回動時の屈曲、各部への干渉を防止することができる。また、前記L型補強フレーム27は、刈取メインフレーム21と側面視で平行とし、そして、この補強フレーム27と刈取メインフレーム21との間には、供給上下モータ29により揚上搬送供給装置11の始端側を上下動させる上下リンク30を介装することで、上下リンクの保護を図るようにしている。
【0027】
図11に示された揚上搬送供給装置11は、引継ぎ部で刈取穀稈が詰まった時、穂先搬送ラグ20付穂先搬送装置19の始端側に対設された供給スターホイル31の支持部32が供給穂先フレーム33に対してワンタッチで脱着できるように構成されたものである。つまり、ロックレバー34を固定位置から支点Pを中心として90°回すと、鍵型プレート35(図12)が段付ピン36(図14)から外れてロック状態が解除され、ホイル支持部32を簡単に取外すことができる。また、ホイル支持部を取り付ける際には、ロックレバー34をロック解除位置から上記とは反対方向に90°回すと、鍵型プレート35が段付ピン36の段部に入り込んでロックされることになる。なお、かかる実施例では、ロックレバー34の支点部にカムピン37によるロック手段を設けることによって、鍵型プレート35によるロック手段と合わせて2箇所でロックする構成としている。ロックレバー支点部でのロックは、ロックレバーを回すとバネ38が収縮し、カムピン37が入ってロックされるようになっている。
【0028】
また、前記揚上搬送供給装置11は、始端側が終端側を支点として上下に揺動変位可能に構成され、穀稈の長短に応じて扱ぎ深さを変更調節するようになっている。
図15に示すように、左右両サイドの引起し装置8L,8Rに対し、中央側に位置する引起し装置8Cl,8Crの背部には、引起し後の左側2条分の穀稈と右側2条分の穀稈の穂先側を凭せかけた状態で後方に案内する案内面40a,40bを有した穂先案内カバー40が設けられている。穂先案内カバー40は、上下に分割されていて、下側案内カバーの右側中央端部には穂先搬送装置19の穂先搬送ラグ20の先端移動軌跡が該案内カバーにごく接近するよう凹状に窪んだ凹陥部40Cを設けた構成としている。これによれば、穂先搬送ラグが穂先案内カバーに接近して移動するため、該案内カバーにより案内されてくる穀稈の穂先側部を確実に捉えて搬送することができ、稈こぼれが全くなくなる。
【符号の説明】
【0029】
5 運転席
8 穀稈引起し装置
12 引起しケース(前側)
12u 前側引起しケースの上端側前面
14 引起しラグ
15 カバー体
15a 上面カバー
15b 後面カバー
16 支軸
18 刈取サイドカバー
18a 上部サイドカバー
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示された従来技術は、運転席の前側に穀稈を引き起す引起し装置が配置されるコンバインにおいて、各引起し装置の上部を左右方向に長いカバー体によって被覆するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−206463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転席の前側に接近して穀稈引起し装置を配置したものでは、特に、引き起す穀稈が長稈の場合には、引起しラグによって脱粒された穀粒や穀稈に付着していた泥土が運転席まで飛散し、オペレータに直接当たる問題があった。
【0005】
本発明の課題は、かかる問題点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、運転席(5)の前側に穀稈を引き起す引起し装置(8)が配置されるコンバインにおいて、該引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー体(15)を設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0007】
分草後の穀稈は、引起し装置(8)の引起しケースから引起し経路(K)内に突出して上昇する引起しラグ(14)が株元側から穂先側にかけて作用することで引き起こされる。この際、特に、この引き起される穀稈が長稈の場合には、引起し時に脱粒された穀粒や穀稈に付着していた泥土が運転席(5)のオペレータにまで飛散することがある。この際には、引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に設けたカバー体(15)を、該上方延長線と交差する方向に姿勢変更する。すると、引起しラグ(14)により飛び散る穀粒や泥土は姿勢変更されたカバー体(15)によって受け止められ、オペレータへの飛散が防止される。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記カバー体(15)を、上面カバー(15a)と後面カバー(15b)とから側面視で略への字型に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバインとする。
【0009】
上面カバー(15a)の下面部で穀粒や泥土の上方への飛散を阻止し、後面カバー(15b)の下面部で穀粒や泥土の後方上方への飛散を阻止することができる。従って、運転席(5)への穀粒や泥土の飛散を確実に防止することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記カバー体(15)を、引起し装置(8)の後側で左右方向に架設された支軸(16)を回動支点として上下に揺動することで前後方向の傾斜姿勢を変更自在な構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインとする。
カバー体(15)の傾斜姿勢は、支軸(16)回りの揺動で変更されるため、この傾斜姿勢の変更操作がワンタッチで簡単に行える。そして、カバー体(15)を上方に揺動させた場合には、オペレータ側への穀粒や泥土の飛散が阻止されるものでありながら、引起しケースの前側カバーの着脱が簡単に行え、引起し装置(8)のメンテナンスが容易に行える。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記引起し装置(8)の横側に配置される刈取サイドカバー(18,18)を上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに分割し、上部サイドカバー(18a)の下部を下部サイドカバー(18b)の上部に対して重合させて配置すると共に、該上部サイドカバー(18a)を前記カバー体(15)と一体に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバインとする。
上部サイドカバー(18a)は、カバー体(15)と共に上方へ揺動させることができるので、この上部サイドカバー(18a)の下部に重合した下部サイドカバー(18b)の着脱が簡単に行え、刈取部のメンテナンスが容易に行える。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記引起し装置(8)の引起しケース(12)の上端部前面(12u)を、該引起しケース(12)の下部前面よりも傾斜の緩い後上がり傾斜姿勢となるように屈曲形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載のコンバインとする。
【0013】
オペレータは運転席(5)に着座したままで引起し装置(8)の引起し始端側(下端側)における分草位置を直視でき、分草引起し状況の確認が容易に行える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、引起し時に穀粒や泥土の飛散が多発する場合には、引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に設けたカバー体(15)を、該上方延長線と交差する方向に姿勢変更することで、運転席(5)への穀粒や泥土の飛散を防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果を奏するうえに、カバー体(15)が側面視で略への字型に形成されているので、上方及び後方上方への穀粒や泥土の飛散を阻止することができ、運転席(5)への飛散を確実に防止することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、カバー体(15)の傾斜姿勢は、支軸(16)回りの揺動で変更されるため、この傾斜姿勢の変更操作がワンタッチで簡単に行え、カバー体(15)を上方に揺動させた場合には、運転席(5)側への穀粒や泥土の飛散を阻止できるものでありながら、引起しケースの前側カバーの着脱が簡単に行え、引起し装置(8)のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、上部サイドカバー(18a)は、カバー体(15)と共に上方へ揺動させることができるので、この上部サイドカバー(18a)の下部に重合した下部サイドカバー(18b)の着脱が簡単に行え、刈取部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の効果を奏するうえに、オペレータは運転席(5)に着座したままで引起し装置(8)の引起し始端側(下端側)における分草位置を直視でき、分草引起し状況の確認を容易に行うことができ、刈取作業の能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバイン要部の正面図
【図3】刈取部の要部の側面図
【図4】引起し装置の要部の斜視図
【図5】引起し装置の要部の側面図
【図6】同上要部の側面図
【図7】同上要部の側面図
【図8】同上要部の側面図
【図9】刈取部の要部の側面図、
【図10】同上要部の平面図
【図11】揚上搬送供給装置の平面図
【図12】同上要部のロック装置の側面図
【図13】同上要部の背面図
【図14】同上一部の背面図
【図15】刈取の要部の平面図
【図16】同上要部の左側面図
【図17】同上要部の穂先案内カバーの正面図
【図18】穂先案内カバーの右側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、コンバインを示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等の運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
【0021】
刈取部4は、植立する穀稈を左右に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引き起す4条の穀稈引起し装置8,8,8,8と、引起し後の穀稈を刈り取る刈取装置9と、刈取後の穀稈を掻込搬送する掻込搬送装置10,掻込搬送後の穀稈を引き継いで揚上搬送しながら姿勢変更して脱穀装置に受け渡し供給する揚上搬送供給装置11等からなり、車体に対し上下に昇降可能に装備している。
【0022】
穀稈引起し装置8は、引起しチェンを内装し前後に分割可能な前後の引起しケース12,13と引起しケースから引起し経路K側に突出して穀稈を引き起す引起しラグ14とからなる。前側引起しケース12は、後側引起しケース13に対し着脱自在に取り付けできる構成としてあり、上方に引き上げると係止ロック状態が解除され前側に取り出しできるようになっている。各前側引起しケース122,12,…の上端側12uは、下端側傾斜よりも更に後方傾斜(垂直面に対して下端側の傾斜角よりも上端側の後傾斜角が大きく)となるよう屈曲形成されていて、着座姿勢での作業における分草位置近傍の視界が良好となり、起立姿勢での作業においては分草位置が良く見えるように構成している。
そして、各引起し装置8の上部は、左右横方向に長く構成されたカバー体15によって被覆される構造になっている。
【0023】
カバー体15は、上面カバー15aと後面カバー15bとからなるように側面視で略への字型に形成され、引起し装置8の引き起し経路Kに沿って上昇する引起しラグ14の上昇軌跡の上方延長線上に配置し、前側引起しケース12の上端側12u前面をカバーする状態と、上昇移行する引起しラグ14における引起し経路Kの上方をカバーする状態とに、前後方向の傾斜姿勢を変更自在に構成されている。そして、このカバー体15の姿勢変更手段として、前後上下のスライド構成とすることもできるが、本実施例では、該カバー体15が引起し装置8の背部側で左右横方向に架設された支軸16を回動支点として上下に揺動開閉するよう揺動開閉自在に構成されている。カバー体15の上方への開側が引起し経路Kの上方をカバーする姿勢変更状態であり、下方への閉側が前側引起しケース12の上端側12u前面をカバーする姿勢変更状態となる。カバー体15の開閉は、回動支点付近に設けた引張スプリング17により、支軸16の支点に対してスプリング張力方向を閉側と開側とに切り替え可能な構成になっていて、ワンタッチで揺動開閉することができる。
【0024】
各引起し装置8の左右両サイドに配置された刈取サイドカバー18,18は、上部サイドカバー18aと下部サイドカバー18bとに分割され、上部サイドカバー18aは、下部サイドカバー18bに対して上側面及び外側面上に重合し、前記カバー体15と一体的に形成され、該カバー体と共に上下に揺動開閉可能に構成されている。
【0025】
カバー体15及び上部サイドカバー18aを上方に開動させないと、前側引起しケース12及び下部サイドカバー18bの取り外しができなく、下方への閉動によってロック機構の役目を果たす構造になっている。
【0026】
図9、図10に示すように、刈取部4を支持する刈取メインフレーム21は、刈取懸架台22に架設された刈取入力軸23を支点として上下に回動する構成であり、刈取昇降シリンダ24の伸縮作動により刈取部4が昇降するようになっている。刈取メインフレーム21の変速ギヤケース26位置よりも下方の中央部と、刈取入力軸23の軸受部との間をL型補強フレーム27で連結して強化し、衝突による捩れ、破損を防止するように構成している。また、補強フレーム27の内側に昇降シリンダ24の取付部及びフローティングスプリング25の設置部を設けておくと、衝突時の捩れ応力によるシリンダ・フローティングスプリングの変形、破損を防止することができる。各操作ワイヤ・ハーネス・ホース等の配策部28を刈取メインフレーム21から補強フレーム27に沿わせることにより、上下回動時の屈曲、各部への干渉を防止することができる。また、前記L型補強フレーム27は、刈取メインフレーム21と側面視で平行とし、そして、この補強フレーム27と刈取メインフレーム21との間には、供給上下モータ29により揚上搬送供給装置11の始端側を上下動させる上下リンク30を介装することで、上下リンクの保護を図るようにしている。
【0027】
図11に示された揚上搬送供給装置11は、引継ぎ部で刈取穀稈が詰まった時、穂先搬送ラグ20付穂先搬送装置19の始端側に対設された供給スターホイル31の支持部32が供給穂先フレーム33に対してワンタッチで脱着できるように構成されたものである。つまり、ロックレバー34を固定位置から支点Pを中心として90°回すと、鍵型プレート35(図12)が段付ピン36(図14)から外れてロック状態が解除され、ホイル支持部32を簡単に取外すことができる。また、ホイル支持部を取り付ける際には、ロックレバー34をロック解除位置から上記とは反対方向に90°回すと、鍵型プレート35が段付ピン36の段部に入り込んでロックされることになる。なお、かかる実施例では、ロックレバー34の支点部にカムピン37によるロック手段を設けることによって、鍵型プレート35によるロック手段と合わせて2箇所でロックする構成としている。ロックレバー支点部でのロックは、ロックレバーを回すとバネ38が収縮し、カムピン37が入ってロックされるようになっている。
【0028】
また、前記揚上搬送供給装置11は、始端側が終端側を支点として上下に揺動変位可能に構成され、穀稈の長短に応じて扱ぎ深さを変更調節するようになっている。
図15に示すように、左右両サイドの引起し装置8L,8Rに対し、中央側に位置する引起し装置8Cl,8Crの背部には、引起し後の左側2条分の穀稈と右側2条分の穀稈の穂先側を凭せかけた状態で後方に案内する案内面40a,40bを有した穂先案内カバー40が設けられている。穂先案内カバー40は、上下に分割されていて、下側案内カバーの右側中央端部には穂先搬送装置19の穂先搬送ラグ20の先端移動軌跡が該案内カバーにごく接近するよう凹状に窪んだ凹陥部40Cを設けた構成としている。これによれば、穂先搬送ラグが穂先案内カバーに接近して移動するため、該案内カバーにより案内されてくる穀稈の穂先側部を確実に捉えて搬送することができ、稈こぼれが全くなくなる。
【符号の説明】
【0029】
5 運転席
8 穀稈引起し装置
12 引起しケース(前側)
12u 前側引起しケースの上端側前面
14 引起しラグ
15 カバー体
15a 上面カバー
15b 後面カバー
16 支軸
18 刈取サイドカバー
18a 上部サイドカバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席(5)の前側に穀稈を引き起す引起し装置(8)が配置されるコンバインにおいて、該引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー体(15)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記カバー体(15)を、上面カバー(15a)と後面カバー(15b)とから側面視で略への字型に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記カバー体(15)を、引起し装置(8)の後側で左右方向に架設された支軸(16)を回動支点として上下に揺動することで前後方向の傾斜姿勢を変更自在な構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記引起し装置(8)の横側に配置される刈取サイドカバー(18,18)を上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに分割し、上部サイドカバー(18a)の下部を下部サイドカバー(18b)の上部に対して重合させて配置すると共に、該上部サイドカバー(18a)を前記カバー体(15)と一体に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記引起し装置(8)の引起しケース(12)の上端部前面(12u)を、該引起しケース(12)の下部前面よりも傾斜の緩い後上がり傾斜姿勢となるように屈曲形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載のコンバイン。
【請求項1】
運転席(5)の前側に穀稈を引き起す引起し装置(8)が配置されるコンバインにおいて、該引起し装置(8)の引き起し経路(K)に沿って上昇する引起しラグ(14)の上昇軌跡の上方延長線上に、前後方向の傾斜姿勢を変更自在なカバー体(15)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記カバー体(15)を、上面カバー(15a)と後面カバー(15b)とから側面視で略への字型に形成したことを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記カバー体(15)を、引起し装置(8)の後側で左右方向に架設された支軸(16)を回動支点として上下に揺動することで前後方向の傾斜姿勢を変更自在な構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記引起し装置(8)の横側に配置される刈取サイドカバー(18,18)を上部サイドカバー(18a)と下部サイドカバー(18b)とに分割し、上部サイドカバー(18a)の下部を下部サイドカバー(18b)の上部に対して重合させて配置すると共に、該上部サイドカバー(18a)を前記カバー体(15)と一体に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
前記引起し装置(8)の引起しケース(12)の上端部前面(12u)を、該引起しケース(12)の下部前面よりも傾斜の緩い後上がり傾斜姿勢となるように屈曲形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−155847(P2011−155847A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17562(P2010−17562)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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