説明

コンバイン

【課題】第1搬送装置に搬送乱れが生じることを防止できるコンバインを提供する。
【解決手段】右端の第1搬送装置74Rを支持するフレーム56を備え、突起付き搬送体83における前側の回転体82の巻回部分から後側の回転体81の巻回部分までの搬送経路157Rの前端部がフレーム56よりも横外側に位置しかつ搬送経路157Rとフレーム56とが平面視で交差するように、右端の第1搬送装置74Rとフレーム56との位置を設定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植立作物を引き起こす引起装置と、当該引起装置によって引き起こされた植立作物を搬送する第1搬送装置と、植立作物を刈り取る刈取装置と、当該刈取装置によって刈り取られた植立穀稈を脱穀装置に搬送する第2搬送装置とを有する刈取部を備え、前記第1搬送装置は、前側の回転体と後側の回転体とそれら回転体に亘って巻回された突起付き搬送体とを備えて、左右方向に複数配置してあるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインとして、例えば、特許文献1には、右端の第1搬送装置を支持するフレームを備え、そのフレームが右端の第1搬送装置の突起付き搬送体における前側の回転体の巻回部分から後側の回転体の巻回部分までの搬送経路に沿っているものが記載されている。
【0003】
通常の刈取作業時において、各第1搬送装置が1条分の植立作物を搬送する。これに対し、中割作業や周囲刈り作業時において、右端以外の第1搬送装置が1条分の植立作物を搬送し、右端の第1搬送装置が2条分の植立作物を搬送することがある。このとき、2条分の植立作物が右端の第1搬送装置の搬送範囲から横外側に外れてしまうことがあり、右端の第1搬送装置に搬送乱れが生じる虞があった。
【0004】
そこで、上記不都合を解消するために、右端の第1搬送装置を前後方向から更に右側に傾斜させて、右端の第1搬送装置の搬送範囲を広げることが考えられる。しかし、単に右端の第1搬送装置を前後方向から更に右側に傾斜させるだけでは、右端の第1搬送装置の突起付き搬送体が植立作物を係止する前に、引起装置から植立作物が離れることがある。このとき、植立作物が右端の第1搬送装置の搬送経路から横外側に外れてしまい、右端の第1搬送装置に搬送乱れが生じる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−095355号公報(図10参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、第1搬送装置に搬送乱れが生じることを防止できるコンバインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンバインは、植立作物を引き起こす引起装置と、当該引起装置によって引き起こされた植立作物を搬送する第1搬送装置と、植立作物を刈り取る刈取装置と、当該刈取装置によって刈り取られた植立穀稈を脱穀装置に搬送する第2搬送装置とを有する刈取部を備え、前記第1搬送装置は、前側の回転体と後側の回転体とそれら回転体に亘って巻回された突起付き搬送体とを備えて、左右方向に複数配置してあるものであって、
その第1特徴構成は、右端または左端の前記第1搬送装置を支持するフレームを備え、前記突起付き搬送体における前側の回転体の巻回部分から後側の回転体の巻回部分までの搬送経路の前端部が前記フレームよりも横外側に位置しかつ前記搬送経路と前記フレームとが平面視で交差するように、前記右端または左端の第1搬送装置と前記フレームとの位置を設定してある点にある。
【0008】
本構成によれば、右端または左端の第1搬送装置の突起付き搬送体が植立作物を係止する前に、引起装置から植立作物が離れて、植立作物が右端または左端の第1搬送装置の搬送経路から横外側に外れようとしても、搬送経路と交差するフレームが植立作物を受け止める。よって、植立作物が右端または左端の第1搬送装置の搬送経路から横外側に外れることを防止でき、右端または左端の第1搬送装置に搬送乱れが生じることを防止でき、植立作物の株揃えが向上する。しかも、右端または左端の第1搬送装置を支持するフレームを利用して植立作物を受け止めるので、植立作物を受け止めるための別部材を不要にして、構成の簡素化を図ることができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記刈取部の後部を支持する横向きフレームを備え、前記横向きフレームから上方に延びる上向きフレームを左右方向に複数備えるとともに、前記横向きフレームから前方に延びかつ前端部にデバイダを有する縦向きフレームを左右方向に複数備え、前記フレームが、右端の前記上向きフレームと右端の前記縦向きフレームとに亘ってまたは左端の前記上向きフレームと左端の前記縦向きフレームとに亘って連結されている点にある。
【0010】
本構成によれば、フレームの前側が右端または左端の縦向きフレームに支持されるとともに、フレームの後側が右端または左端の上向きフレームに支持される。このため、フレームにおける右端または左端の縦向きフレームの連結箇所と右端または左端の上向きフレームの連結箇所との間の部分によって、右端または左端の第1搬送装置が支持されるとともに、植立作物を受け止めることになる。よって、植立作物を受け止める際にフレームに反力が掛かったとしても、右端または左端の第1搬送装置を十分な強度で支持することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記フレームが前記右端または左端の第1搬送装置よりも上側に位置する点にある。
【0012】
本構成によれば、上側に位置するフレームが植立作物を受け止めつつ、下側に位置する右端または左端の第1搬送装置が植立作物を搬送するので、上下2箇所に位置するフレームおよび右端または左端の第1搬送装置によって植立作物を確実に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コンバインを示す側面図である。
【図2】搬送装置を示す概略図である。
【図3】刈取部を示す平面図である。
【図4】カウンタケースおよび引起伝動ケースを示す断面図である。
【図5】搬送装置および連結パイプを示す平面図である。
【図6】刈取部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るコンバインについて説明する。
【0015】
〔全体構成〕
図1に示すように、コンバインは、左右のクローラ走行装置1を備えた走行機体2と、その走行機体2の前部に昇降可能に連結された4条刈り用の刈取部3と、走行機体2の右側前部に設けられた運転部4と、走行機体2の左側後部に搭載された脱穀装置5と、走行機体2の右側後部に搭載された穀粒回収タンク6と、その穀粒回収タンク6の後部に設けられた穀粒排出オーガ7と、脱穀装置5および穀粒排出オーガ7の後部に搭載された排ワラ処理装置8と、を備えている。
【0016】
(刈取部)
図1〜図6に示すように、前記刈取部3は、油圧シリンダCYによって横軸芯X周りに上下揺動可能に構成してあり、刈取軸(図示しない)が内装された横向きの伝動ケース21と、第1伝動軸22が内装されてその伝動ケース21の中央部から前方下方に延びる刈取部フレーム23と、第2伝動軸24が内装されて刈取部フレーム23の下端部から左右方向に延びるカウンタケース25(横向きフレームの一例)と、第3伝動軸26が内装されてカウンタケース25の右端部から上方に延びる右の引起伝動ケース27R(上向きフレームの一例)と、第4伝動軸28が内装されてカウンタケース25の中央部から前方に延びる接続ケース29と、第5伝動軸30が内装されて接続ケース29の先端部から上方に延びる中央の引起伝動ケース27C(上向きフレームの一例)と、第6伝動軸31が内装されてカウンタケース25の左端部から上方に延びる左の引起伝動ケース27L(上向きフレームの一例)と、を備えている。カウンタケース25は刈取部3の後部下部を支持している。
【0017】
具体的には、前記右の引起伝動ケース27Rは、筒状の上部ケース41と前後2分割式の下部ケース42とを備えている。下部ケース42は、前ケース部42Aと、後ケース部42Bと、それら両ケース部42A,42Bのフランジ部の外側を覆う断面形状がコ字状のチャンネル部材43とを備えている。複数のボルト44によって両ケース部42A,42Bのフランジ部とチャンネル部材43の折曲部分とを共締め固定してある。第3伝動軸26は、上下2分割式に構成してあり、上部ケース41には第3伝動軸26の上側部分が内装され、下部ケース42には第3伝動軸26の下側部分が内装されている。下部ケース42の中間には、第3伝動軸26の下側部分の中間部に固定された右の駆動スプロケット45Rを収容する平面視で四角状の箱状の膨出部46が形成されている。膨出部46とチャンネル部材43との間には、前後方向に並ぶ2つの開口部分からなる右の開口47Rが形成されている。
【0018】
前記左の引起伝動ケース27Lは、右の引起伝動ケース27Rと同様の構成であり、筒状の上部ケース41と前後2分割式の下部ケース42とを備えている。下部ケース42は、前ケース部42Aと、後ケース部42Bと、それら両ケース部42A,42Bのフランジ部の外側を覆う断面形状がコ字状のチャンネル部材43とを備えている。複数のボルト44によって両ケース部42A,42Bのフランジ部とチャンネル部材43とを共締め固定してある。第6伝動軸31は、上下2分割式に構成してあり、上部ケース41には第6伝動軸31の上側部分が内装され、下部ケース42には第6伝動軸31の下側部分が内装されている。下部ケース42の途中には、第6伝動軸31の下側部分の中間部に固定された左の駆動スプロケット45Lを収容する平面視で四角状の箱状の膨出部46が形成されている。膨出部46とチャンネル部材43との間には、前後方向に並ぶ2つの開口部分からなる左の開口47Lが形成されている。
【0019】
図1〜図5に示すように、前記カウンタケース25の右端部から平面視で略L字状の第1刈取フレーム51(縦向きフレームの一例)が前方に延びている。カウンタケース25の右寄り箇所から直線状の第2刈取フレーム52(縦向きフレームの一例)が前方に延びている。カウンタケース25の左寄り箇所から直線状の第3刈取フレーム53(縦向きフレームの一例)が前方に延びている。カウンタケース25の左端部から平面視で略L字状の第4刈取フレーム54(縦向きフレームの一例)が前方に延びている。それら刈取フレーム51〜54に亘ってバリカン式の刈取装置13が取り付けられている。
【0020】
前記第1刈取フレーム51の先端部には、デバイダ11Aおよび右側取付フレーム55が固定されている。右側取付フレーム55は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略逆L字状に構成してある。右側取付フレーム55の折曲部分の先端部、および、右の引起伝動ケース27Rにおける上部ケース41の上端部は、右の引起装置12Rの裏側に連結されており、それら右側取付フレーム55および右の引起伝動ケース27Rによって、右の引起装置12Rが支持されている。
【0021】
前記第1刈取フレーム51と右の引起伝動ケース27Rと刈取部フレーム23とに亘って、外周面が断面円形の右側連結パイプ56(フレームの一例)が連結されている。右側連結パイプ56は、右側取付フレーム55の横向きの折曲部分に連結されかつ平面視で該折曲部分への連結箇所から後方内側に直線状に斜めに傾斜するように延出された第1部分56aと、第1部分56aの後端から前後方向に沿うように後方に延出された第2部分56bと、チャンネル部材43に連結されかつ第2部分56bの後端からチャンネル部材43に沿うように下方に延出された第3部分56cと、後述する後側支持ブラケット146に連結されかつ平面視で第3部分56cの下端から後方内側に斜めに傾斜するように延出された第4部分56dとを一体的に備えている。右側連結パイプ56の第1部分56aと第2部分56bとは平面視でく字状に屈曲した形状に形成されている。
【0022】
前記右側連結パイプ56における第1部分56aおよび第2部分56bの左側には、右側支持ブラケット141が固定されている。右側支持ブラケット141の前側部分の下側には、上下向きの右側軸芯部材142が支持され、その右側軸芯部材142には、上から順に駆動プーリ81(後側の回転体の一例)、第2従動スプロケット77、右の掻込回転パッカー75Rが一体で回転可能に支持されている。右側連結パイプ56の第1部分56aの前側部分の右側には、矩形板状の長尺状の右側プーリ支持ブラケット155が、平面視で右側連結パイプ56の第1部分56aに直交する方向に沿って右側に突出する状態で固定されている。右側プーリ支持ブラケット155の長穴155aには、従動プーリ82(前側の回転体の一例)が回転可能に支持されている。尚、従動プーリ82を右側プーリ支持ブラケット155の長穴155aに沿ってスライド移動させることにより、後述する突起付きベルト83の張力を調整可能にしてある。
【0023】
前記第2刈取フレーム52の先端部には、デバイダ11Bおよび植立作物をガイドする複数の搬送ガイド57が固定されている。
【0024】
前記第3刈取フレーム53の先端部には、デバイダ11C、中央取付フレーム58、および植立作物をガイドする複数の搬送ガイド59が固定されている。中央取付フレーム58は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略逆L字状に構成してある。中央取付フレーム58の折曲部分の先端部、および、中央の引起伝動ケース27Cの上端部は、中央の引起装置12Cの裏側に連結されており、それら中央取付フレーム58および中央の引起伝動ケース27Cによって、中央の引起装置12Cが支持されている。
【0025】
前記中央取付フレーム58と中央の引起伝動ケース27Cとに亘って前側支持ブラケット(図示しない)が連結されている。前側支持ブラケットの前側部分の下側には、上下向きの中央軸芯部材143が支持され、その中央軸芯部材143には、上から順に駆動プーリ84(後側の回転体の一例)、中央の掻込回転パッカー75Cが一体で回転可能に支持されている。前側支持ブラケットの先端部には、従動プーリ85(前側の回転体の一例)が回転可能に支持されている。
【0026】
前記第4刈取フレーム54の先端部には、デバイダ11Dおよび左側取付フレーム60が固定されている。左側取付フレーム60は、基端側の取付部分と先端側の折曲部分とを備えて、正面視で略逆L字状に構成してある。左側取付フレーム60の折曲部分の先端部、および、左の引起伝動ケース27Lにおける上部ケース41の上端部は、左の引起装置12Lの裏側に連結されており、それら左側取付フレーム60および左の引起伝動ケース27Lによって、左の引起装置12Lが支持されている。
【0027】
前記第4刈取フレーム54と左の引起伝動ケース27Lとに亘って、外周面が断面円形の左側連結パイプ61が連結されている。左側連結パイプ61は、左側取付フレーム60の取付部分に連結されかつ平面視で該取付部分への連結箇所から後方内側に直線状に斜めに傾斜するように延出された第1部分61aと、第1部分61aの後端から前後方向に沿うように後方に延出された第2部分61bと、チャンネル部材43に連結されかつ第2部分61bの後端からチャンネル部材43に沿うように下方に延出された第3部分61cとを一体的に備えている。左側連結パイプ61の第1部分61aと第2部分61bとは平面視でく字状に屈曲した形状に形成されている。
【0028】
前記左側連結パイプ61の第2部分61bの右側には、左側支持ブラケット144が固定されている。左側連結パイプ61の第3部分61cの途中には、チェーンガイド部80が固定されている。左側支持ブラケット144の前側部分の下側には、上下向きの左側軸芯部材145が支持され、その左側軸芯部材145には、上から順に駆動プーリ87(後側の回転体の一例)、従動スプロケット79、左の掻込回転パッカー75Lが一体で回転可能に支持されている。左側連結パイプ61の第1部分61aの前側部分の右側には、矩形板状の左側プーリ支持ブラケット156が固定されている。右側プーリ支持ブラケット156の長穴156aには、従動プーリ88(前側の回転体の一例)が回転可能に支持されている。尚、従動プーリ88を左側プーリ支持ブラケット156の長穴156aに沿ってスライド移動させることにより、後述する突起付きベルト89の張力を調整可能にしてある。
【0029】
前記刈取部フレーム23の下端部には、後側支持ブラケット146が取り付けられている。後側支持ブラケット146の下側には、上下向きの後側軸芯部材147が支持され、その後側軸芯部材147には、第1従動スプロケット76が回転可能に支持されている。
【0030】
(搬送装置)
図2〜図6に示すように、前記右の駆動スプロケット45Rと、第1従動スプロケット76と、第2従動スプロケット77と、それらスプロケット45R,76,77に亘って巻回された右の株元搬送チェーン78Rとを備えて、右の挟持搬送装置73Rを構成してある。右の挟持搬送装置73R(右の株元搬送チェーン78R)における第2従動スプロケット77の巻回部分(右の搬送始端部)から第1従動スプロケット76の巻回部分(右の搬送終端部)までが、植立作物を挟持して搬送する右の挟持搬送経路を構成する。
【0031】
前記左の駆動スプロケット45Lと、従動スプロケット79と、チェーンガイド部80と、それらスプロケット45L,79およびチェーンガイド部80に亘って巻回された左の株元搬送チェーン78Lとを備えて、左の挟持搬送装置73Lを構成してある。左の株元挟持搬送装置73L(株元搬送チェーン78L)における従動スプロケット79の巻回部分(左の搬送始端部)からチェーンガイド部80の先端部分(左の搬送終端部)までが、植立作物を挟持して搬送する左の挟持搬送経路を構成する。
【0032】
前記駆動プーリ81と従動プーリ82とそれらプーリ81,82に亘って巻回された突起付きベルト83(突起付き搬送体の一例)とを備えて、右の係止搬送装置74R(第1搬送装置の一例)を構成してある。右側連結パイプ56における第1部分56aおよび第2部分56bは、右の係止搬送装置74Rの上側に近接する状態で位置する。右の係止搬送装置74R(突起付きベルト83)における従動プーリ82の巻回部分(右の搬送始端部)から駆動プーリ81の巻回部分(右の搬送終端部)までが、植立作物を係止して搬送する右の係止搬送経路157R(搬送経路の一例)を構成する。
【0033】
前記駆動プーリ84と従動プーリ85とそれらプーリ84,85に亘って巻回された突起付きベルト86(突起付き搬送体の一例)とを備えて、中央の係止搬送装置74C(第1搬送装置の一例)を構成してある。中央の係止搬送装置74C(突起付きベルト86)における従動プーリ85の巻回部分(中央の搬送始端部)から駆動プーリ84の巻回部分(中央の搬送終端部)までが、植立作物を係止して搬送する中央の係止搬送経路157Cを構成する。
【0034】
前記駆動プーリ87と従動プーリ88とそれらプーリ87,88に亘って巻回された突起付きベルト89(突起付き搬送体の一例)とを備えて、左の係止搬送装置74L(第1搬送装置の一例)を構成してある。左側連結パイプ61における第1部分61aおよび第2部分61bは、左の係止搬送装置74Lの上側に近接する状態で位置する。左の係止搬送装置74L(突起付きベルト89)における従動プーリ88の巻回部分(左の搬送始端部)から駆動プーリ87の巻回部分(左の搬送終端部)までが、植立作物を係止して搬送する左の係止搬送経路157Lを構成する。
【0035】
右の係止搬送経路157Rの前端部(従動プーリ82)が右側連結パイプ56の第1部分56aよりも横外側に位置し、かつ右の係止搬送経路157Rと右側連結パイプ56の第1部分56aとが平面視で交差するように、右の係止搬送装置74Rと右側連結パイプ56との位置を設定してある。左の係止搬送経路157Lが左側連結パイプ61の第1部分61aに沿うように、左の係止搬送装置74Lと左側連結パイプ61との位置を設定してある。
【0036】
右の係止搬送装置74Rの長手方向における長さ(右の係止搬送経路157R)は、中央の係止搬送装置74Cの長さ(中央の係止搬送経路157C)や左の係止搬送装置74Lの長さ(左の係止搬送経路157L)よりも長く設定してある。右の係止搬送装置74Rは、中央の係止搬送装置74Cや左の係止搬送装置74Lよりも平面視で前後方向から横外側への傾斜角度が大きい。中央の係止搬送装置74Cの前端部(従動プーリ85)は、左の係止搬送装置74Lの前端部(従動プーリ88)よりも前側に位置し、左の係止搬送装置74Lの前端部(従動プーリ88)は、右の係止搬送装置74Rの前端部(従動プーリ82)よりも前側に位置している。突起付きベルト83の突起の先端部の通過軌跡は刈取装置13の右端部の上方を通過し、突起付きベルト89の突起の先端部の通過軌跡が刈取装置13の左端部の横外側の上方を通過する。
【0037】
これら搬送装置73R,73L,74R,74C,74Lによる搬送動作について以下説明する。
【0038】
エンジン(図示しない)からの動力は、刈取軸、第1伝動軸22、第2伝動軸24、第3伝動軸26を介して右の駆動スプロケット45Rに伝達され、右の駆動スプロケット45Rが図2の紙面反時計方向に回転する。右の駆動スプロケット45Rの回転駆動によって右の株元搬送チェーン78Rが図2の紙面反時計方向に回転し、第2従動スプロケット77が図2の紙面反時計方向に回転する。第2従動スプロケット77の回転に連動して駆動プーリ81および右の掻込回転パッカー75Rが図2の紙面反時計方向に回転する。駆動プーリ81の回転駆動によって突起付きベルト83が図2の紙面反時計方向に回転する。
【0039】
右の掻込回転パッカー75Rと中央の掻込回転パッカー75Cとの噛み合いによって右の掻込回転パッカー75Rの回転に連動して中央の掻込回転パッカー75Cおよび駆動プーリ84が図2の紙面時計方向に回転する。駆動プーリ84の回転駆動によって突起付きベルト86が図2の紙面時計方向に回転する。
【0040】
エンジンからの動力は、刈取軸、第1伝動軸22、第2伝動軸24、第6伝動軸31を介して左の駆動スプロケット45Lに伝達され、左の駆動スプロケット45Lが図2の紙面時計方向に回転する。左の駆動スプロケット45Lの回転駆動によって左の株元搬送チェーン78Lが図2の紙面時計方向に回転し、従動スプロケット79が図2の紙面時計方向に回転する。従動スプロケット79の回転に連動して駆動プーリ87および左の掻込回転パッカー75Lが図2の紙面時計方向に回転する。駆動プーリ87の回転駆動によって突起付きベルト89が図2の紙面時計方向に回転する。
【0041】
植立作物は、引起装置12R,12C,12Lによって引き起こされる。植立作物は、右の係止搬送装置74Rにおける右の係止搬送経路157Rに沿って係止搬送され、中央の係止搬送装置74Cにおける中央の係止搬送経路157Cに沿って係止搬送され、左の係止搬送装置74Lにおける左の係止搬送経路157Lに沿って係止搬送される。
【0042】
通常の刈取作業時において、各係止搬送装置74R,74C,74Lが1条分の植立作物を搬送する。これに対し、中割作業や周囲刈り作業時において、中央および左の係止搬送装置74C,74Lが1条分の植立作物を搬送し、右の係止搬送装置74Rが2条分の植立作物を搬送することがある。このとき、前記2条分の植立作物が右の係止搬送装置74Rにおける右の係止搬送経路157Rの搬送範囲から横外側に外れてしまうことがあり、右の係止搬送装置74Rに搬送乱れが生じる虞がある。
【0043】
そこで、右の係止搬送装置74Rの傾斜角度を中央の係止搬送装置74Cや左の係止搬送装置74Lの傾斜角度よりも大きくし、右の係止搬送装置74Rの長さを中央の係止搬送装置74Cや左の係止搬送装置74Lの長さよりも長くして、右の係止搬送装置74Rにおける右の係止搬送経路157Rの搬送範囲を広げることが考えられる。
【0044】
しかし、右の係止搬送装置74Rは、中央の係止搬送装置74Cや左の係止搬送装置74Lよりも平面視で前後方向から横外側への傾斜角度が大きいため、右の係止搬送装置74Rの先端部と右の引起装置12Rとの隙間が、中央の係止搬送装置74Cの先端部と中央の引起装置12Cとの隙間や左の係止搬送装置74Lの先端部と左の引起装置12Lとの隙間よりも大きくなり、右の係止搬送装置74Rの突起付きベルト83の突起が植立作物を係止する前に、右の引起装置12Rから植立作物が外れて、植立作物が右の係止搬送装置74Rにおける右の係止搬送経路157Rから横外方に外れるようとすることがある。
【0045】
そこで、本願の如く、右の係止搬送経路157Rの前端部を右側連結パイプ56の第1部分56aよりも横外側に位置させ、右の係止搬送経路157Rと右側連結パイプ56の第1部分56aとを平面視で交差させるようにすれば、右の係止搬送経路157Rと交差する右側連結パイプ56の第1部分56aが植立作物を受け止めるので、植立作物が右の係止搬送装置74Rにおける右の係止搬送経路157Rから横方向に外れることを防止できる。
【0046】
右側連結パイプ56における第1部分56aおよび第2部分56bは、横内側に向かって凸状に構成してある。第1部分56aおよび第2部分56bが直線状であると、植立作物を受け止める際に右側連結パイプ56に反力が掛かったときに、第1部分56aおよび第2部分56bに曲げ応力が作用し易く、第1部分56aおよび第2部分56bにたわみが生じ易い。これに対し、第1部分56aおよび第2部分56bが横内側に向かって凸状であると、第1部分56aおよび第2部分56bに圧縮応力が作用し易く、第1部分56aおよび第2部分56bにたわみが生じ難くなる。
【0047】
各係止搬送装置74R,74C,74Lによって搬送され、右の掻込回転パッカー75R,中央の掻込回転パッカー75C,および左の掻込回転パッカー75Lによって掻き込まれる植立作物は、右の株元搬送チェーン78Rにおける右の挟持搬送経路に沿って挟持搬送され、左の株元搬送チェーン78Lにおける左の挟持搬送経路に沿って挟持搬送されて、中央側に合流する。
【0048】
これにより、これら搬送装置73R,73L,74R,74C,74Lは、植立作物を中央側に合流させつつ後方に搬送して後述する第2搬送装置72に受け渡すように構成してある。
【0049】
(第2搬送装置)
図2〜図6に示すように、作物の株元側を挟持して搬送する挟持搬送機構91と、作物の穂先側を係止して搬送する係止搬送機構92を備えて第2搬送装置72を構成してある。挟持搬送機構91は、駆動スプロケット93と第1従動スプロケット94と、第2従動スプロケット95と、それらスプロケット93〜95に亘って巻回された株元搬送チェーン96とを備えている。係止搬送機構92は、駆動スプロケット97と従動スプロケット98とそれらスプロケット97,98とに亘って巻回された突起付きチェーン99とを備えている。
【0050】
エンジンからの動力は、刈取軸、第7伝動軸70を介して駆動スプロケット93に伝達され、駆動スプロケット93が回転する。駆動スプロケット93の回転駆動によって株元搬送チェーン96が回転する。駆動スプロケット93の回転に連動して駆動スプロケット97が回転する。駆動スプロケット97の回転駆動によって突起付きチェーン99が回転する。
【0051】
植立作物の株元が、株元搬送チェーン96における第2従動スプロケット95の巻回部分(搬送始端部)から第1従動スプロケット94の巻回部分(右の搬送終端部)までの搬送経路に沿って搬送され、植立作物の穂先が、突起付きチェーン99によって係止搬送される。これにより、第2搬送装置72は、植立作物を後方上方に搬送して、第2搬送装置72の後方に位置するフィードチェーン101および脱穀装置5に受け渡すように構成してある。
【0052】
〔別実施形態〕
(1)左の係止搬送経路157Lの前端部(従動プーリ88)が左側連結パイプ61の第1部分61aよりも横外側に位置しかつ左の係止搬送経路157Lと左側連結パイプ61の第1部分61aとが平面視で交差するように、左の係止搬送装置74Lと左側連結パイプ61との位置を設定してもよい。
【0053】
(2)左右一対の係止搬送装置74R,74Lを備えて、左の係止搬送装置74Lが1条又は2条分の植立作物を搬送し、右の係止搬送装置74Rが1条又は2条分の植立作物を搬送する場合において、例えば、右側連結パイプ56が、右の引起伝動ケース27Rと第1刈取フレーム51とに亘って連結され、左側連結パイプ61が、左の引起伝動ケース27Lと第1刈取フレーム54とに亘って連結されて、右の係止搬送経路74Rの前端部が右側連結パイプ56よりも横外側に位置しかつ右の係止搬送経路157Rと右側連結パイプ56とが平面視で交差するように、右の係止搬送装置74Rと右側連結パイプ56との位置を設定し、左の係止搬送経路157Lの前端部が左側連結パイプ61よりも横外側に位置しかつ左の係止搬送経路157Lと左側連結パイプ61とが平面視で交差するように、左の係止搬送装置74Lと左側連結パイプ61との位置を設定してもよい。
【0054】
また、左の係止搬送装置74Lが1条分の植立作物を搬送し、右の係止搬送装置74Rが1条又は2条分の植立作物を搬送する場合において、例えば、右側連結パイプ56が、右の引起伝動ケース27Rと第1刈取フレーム51とに亘って連結されて、右の係止搬送経路74Rの前端部が右側連結パイプ56よりも横外側に位置しかつ右の係止搬送経路157Rと右側連結パイプ56とが平面視で交差するように、右の係止搬送装置74Rと右側連結パイプ56との位置を設定してもよい。
【0055】
(3)前項(2)の構成において、挟持搬送装置73R,73Lを省略して、係止搬送装置74R,74Lが植立作物を後方に搬送して第2搬送装置72に受け渡してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、植立作物を引き起こす引起装置と、当該引起装置によって引き起こされた植立作物を搬送する第1搬送装置と、植立作物を刈り取る刈取装置と、当該刈取装置によって刈り取られた植立穀稈を脱穀装置に搬送する第2搬送装置とを有する刈取部を備える各種コンバインに適応可能である。
【符号の説明】
【0057】
3 刈取部
5 脱穀装置
11A,11B,11C,11D デバイダ
12R,12C,12L 引起装置
13 刈取装置
25 横向きフレーム
51,52,53,54 縦向きフレーム
56 フレーム
72 第2搬送装置
74R,74C,74L 第1搬送装置
81,84,87 後側の回転体
82,85,88 前側の回転体
83,86,89 突起付き搬送体
157R 搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立作物を引き起こす引起装置と、当該引起装置によって引き起こされた植立作物を搬送する第1搬送装置と、植立作物を刈り取る刈取装置と、当該刈取装置によって刈り取られた植立穀稈を脱穀装置に搬送する第2搬送装置とを有する刈取部を備え、前記第1搬送装置は、前側の回転体と後側の回転体とそれら回転体に亘って巻回された突起付き搬送体とを備えて、左右方向に複数配置してあるコンバインであって、
右端または左端の前記第1搬送装置を支持するフレームを備え、
前記突起付き搬送体における前側の回転体の巻回部分から後側の回転体の巻回部分までの搬送経路の前端部が前記フレームよりも横外側に位置しかつ前記搬送経路と前記フレームとが平面視で交差するように、前記右端または左端の第1搬送装置と前記フレームとの位置を設定してあるコンバイン。
【請求項2】
前記刈取部の後部を支持する横向きフレームを備え、前記横向きフレームから上方に延びる上向きフレームを左右方向に複数備えるとともに、前記横向きフレームから前方に延びかつ前端部にデバイダを有する縦向きフレームを左右方向に複数備え、
前記フレームが、右端の前記上向きフレームと右端の前記縦向きフレームとに亘ってまたは左端の前記上向きフレームと左端の前記縦向きフレームとに亘って連結されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記フレームが前記右端または左端の第1搬送装置よりも上側に位置する請求項1又は2に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−229486(P2011−229486A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104477(P2010−104477)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】