説明

コンバイン

【課題】コンバインにおいて、前照灯81による広い照射範囲の確保と、操縦部10にいるオペレータからの分草体38aの視認性確保との両方を達成できるようにする。
【解決手段】本願発明に係るコンバインは、エンジン20を搭載した走行機体1と、穀稈引起装置31及び刈刃装置32並びに穀稈搬送装置33を有する刈取装置3と、刈取装置3の側方を覆うサイドカバー82R,82Lと、前照灯81を内蔵した灯具部材80R,80Lとを備える。サイドカバー82R,82Lの上端側に灯具部材80R,80Lを配置する。穀稈引起装置31は走行機体1の左右幅方向に並ぶ複数の引起ケース42を有する。灯具部材80R,80Lは、側面視で各引起ケース42の前面より前方に膨出すると共に、走行機体1の操縦部10に配置された操縦ハンドル10cの前端と、刈取装置3の前部下端側に配置された分草体38aの前端とを結ぶ仮想線VLより後方に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、刈取装置にて圃場の未刈り穀稈を刈り取りながら、脱穀装置にてその刈取り穀稈を脱穀して穀粒を収穫するコンバインに係り、より詳しくは、夜間の収穫作業時に圃場の未刈り穀稈を照らす前照灯を備えているコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインは、刈取装置の前部にある穀稈引起装置の左右に前照灯を配置し、例えば夜間の収穫作業時等に、前照灯にて圃場の未刈り穀稈を照らしながら、当該未刈り穀稈を刈り取って脱穀するように構成されている(特許文献1及び2参照)。特許文献1及び2のコンバインでは、刈取装置の左右両側方を覆う合成樹脂製のサイドカバーが上部サイドカバーと下部サイドカバーとに分割されていて、上部サイドカバーの上下方向中途部に形成された凹部に前照灯が組み付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−55093号公報
【特許文献2】特開2008−125416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の前照灯は、夜間でも収穫作業をし易いように、十分な光量且つ広い照射範囲で刈取装置の前方を照明できるものが望まれている。照射範囲の確保のためには、例えば前照灯を内蔵する灯具部材の前面部(レンズ部)を前方に膨出させて形成するといったことが考えられる。しかし、前照灯の膨出形状や取付け構造等によっては、コンバインの操縦部に設けられた操縦ハンドルと、刈取装置の前部下端側に設けられた分草体との間に、前照灯が位置することになる。そうすると、前照灯の存在によって、操縦部に座乗したオペレータの視界が妨げられ、分草体による刈取作業状況を確認し難くなることが懸念される。従って、コンバインでは、分草体や操縦ハンドルとの位置関係を踏まえた上で、前照灯の照射範囲をできるだけ広く確保することが求められる。
【0005】
本願発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであり、コンバインにおいて、前照灯による広い照射範囲の確保と、操縦部にいるオペレータからの分草体の視認性確保との両方を達成できるようにすることを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、エンジンを搭載した走行機体と、穀稈引起装置及び刈刃装置並びに穀稈搬送装置を有する刈取装置と、前記刈取装置の側方を覆うサイドカバーと、前照灯を内蔵した灯具部材とを備えており、前記サイドカバーの上端側に前記灯具部材が配置されているコンバインであって、前記穀稈引起装置は前記走行機体の左右幅方向に並ぶ複数の引起ケースを有しており、前記灯具部材は、側面視で前記各引起ケースの前面より前方に膨出していると共に、前記走行機体の操縦部に配置された操縦ハンドルの前端と、前記刈取装置の前部下端側に配置された分草体の前端とを結ぶ仮想線より後方に位置させているというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載したコンバインにおいて、前記灯具部材の前面は、側面視で下端側に近づくに連れて前記仮想線から離れるように湾曲しているというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載したコンバインにおいて、前記サイドカバーによって前記刈取装置の側面下部を覆い、前記灯具部材によって前記刈取装置の側面上部を覆うように構成されており、前記灯具部材の左右内向きの側部を、左右最外側にある前記引起ケースに対峙させているというものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載したコンバインにおいて、前記灯具部材における上部及び左右外向きの側部を覆うライト化粧カバーを備えており、前記ライト化粧カバーが前記灯具部材に一体的に設けられているというものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、エンジンを搭載した走行機体と、穀稈引起装置及び刈刃装置並びに穀稈搬送装置を有する刈取装置と、前記刈取装置の側方を覆うサイドカバーと、前照灯を内蔵した灯具部材とを備えており、前記サイドカバーの上端側に前記灯具部材が配置されているコンバインであって、前記穀稈引起装置は前記走行機体の左右幅方向に並ぶ複数の引起ケースを有しており、前記灯具部材は、側面視で前記各引起ケースの前面より前方に膨出していると共に、前記走行機体の操縦部に配置された操縦ハンドルの前端と、前記刈取装置の前部下端側に配置された分草体の前端とを結ぶ仮想線より後方に位置させているから、前記操縦部に座乗したオペレータから前記分草体を視認するのに、前記灯具部材の存在が邪魔にならない。従って、前記灯具部材の前面側を前向き凸の膨出形状に形成して、前記刈取装置(前記走行機体)前方において広い照射範囲を確保できるものでありながら、前記灯具部材の存在によって、オペレータの視界を狭めたり妨げたりする不都合を招来することがなく、前記分草体による刈取作業状況を容易に確認できるという効果を奏する。
【0011】
請求項2の発明によると、請求項1に記載したコンバインにおいて、前記灯具部材の前面は、側面視で下端側に近づくに連れて前記仮想線から離れるように湾曲しているから、上記した請求項1の効果を確実に達成できるという効果を奏する。すなわち、前記灯具部材による広い照射範囲の確保と、前記操縦部にいるオペレータからの前記分草体の視認性確保との両方を確実に達成できる。
【0012】
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載したコンバインにおいて、前記サイドカバーによって前記刈取装置の側面下部を覆い、前記灯具部材によって前記刈取装置の側面上部を覆うように構成されており、前記灯具部材の左右内向きの側部を、左右最外側にある前記引起ケースに対峙させているから、前記サイドカバーの小型化が可能になる。その結果、前記サイドカバーの着脱操作性向上を図れるという効果を奏する。
【0013】
請求項4の発明によると、請求項3に記載したコンバインにおいて、前記灯具部材における上部及び左右外向きの側部を覆うライト化粧カバーを備えており、前記ライト化粧カバーが前記灯具部材に一体的に設けられているから、前記刈取装置の左右側部においては、前記灯具部材と前記サイドカバーとだけでなく、左右最外側の前記引起ケースまで含めた状態で一体感のある外観にできる。従って、前記刈取装置ひいてはコンバイン全体としての美観を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】4条刈り用のコンバインの右側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】刈取装置の駆動系統図である。
【図4】刈取装置の左側面図である。
【図5】刈取装置の正面図である。
【図6】ライト前面カバーを外した灯具部材の取付け状態を示す左側面図である。
【図7】ライト前面カバーを外した灯具部材の取付け状態を示す正面図である。
【図8】ライト前面カバーを外した灯具部材の取付け状態を示す背面図である。
【図9】灯具部材の分離背面斜視図である。
【図10】コンバインの拡大右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明に係るコンバインを具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0016】
(1).コンバインの全体構造
まず、図1及び図2を参照して、コンバインの全体構造について説明する。図1及び図2に示す如く、実施形態のコンバインは、左右一対の走行クローラ2(走行部)にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈取る4条刈り用の刈取装置3が単動式の昇降用油圧シリンダ(図示省略)によって昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀後の穀粒を貯留するグレンタンク7とが横並び状に搭載されている。なお、脱穀装置5が走行機体1の前進方向に向かって左側に配置され、グレンタンク7が走行機体1の前進方向に向かって右側に配置されている。
【0017】
グレンタンク7の後方から上方にかけて、グレンタンク7内の穀粒を機体外部に排出する排出オーガ8が配設されている。排出オーガ8の縦オーガ8aを中心として、グレンタンク8の前部を機体側方へ回動できるように構成されている。グレンタンク7の前方で走行機体1の右側前部には、操縦部10が設けられている。操縦部10には、オペレータが搭乗するステップ10a、操縦座席10b、操縦ハンドル10cや各種の操作レバーやスイッチ等を備えた操作装置を配置している。操縦座席10bの下方の走行機体1には、動力源としてのエンジン20が配置されている。
【0018】
図1に示す如く、走行機体1の下面側には、左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン20の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持する。
【0019】
図1及び図2に示す如く、刈取装置3には、圃場の未刈り穀稈を引起す4条分の穀稈引起装置31と、圃場の未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置32と、穀稈引起装置31からフィードチェン6の前端部(送り始端側)に刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置33とを備えている。穀稈引起装置31によって圃場の未刈り穀稈が引起され、刈刃装置32によって未刈り穀稈の株元が切断され、穀稈引起装置31によってフィードチェン6の前端部に刈取り穀稈が搬送される。
【0020】
脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴51と、扱胴51の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別機構としての揺動選別盤52と、揺動選別盤52に選別風を供給する唐箕ファン53と、扱胴51の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴54と、揺動選別盤52の後部の排塵を機外に排出する排塵ファン61とを備えている。
【0021】
図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン62が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン62に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後方側に設けた排藁カッタ63にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出される。
【0022】
揺動選別盤52の下方側には、揺動選別盤52にて選別された穀粒(一番選別物)を取出す一番コンベヤ55と、穀粒や藁屑や枝梗付き穀粒等が混合した二番選別物を取出す二番コンベヤ56とが設けられている。なお、走行機体1の進行方向前側から一番コンベヤ55、二番コンベヤ56の順で、側面視において走行クローラ2の後部上方の走行機体1の上面側に横設されている。
【0023】
揺動選別盤52は、扱胴51の下方に落下した脱穀物を、揺動選別(比重選別)するように構成している。揺動選別盤52から落下した穀粒(一番選別物)は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン53からの選別風によって除去され、一番コンベヤ55に落下する。一番コンベヤ55のうち脱穀装置5におけるグレンタンク7寄りの一側壁(実施形態では右側壁)から外向きに突出した終端部には、上下方向に延びる一番揚穀筒57が連通接続されている。一番コンベヤ55から取出された穀粒は、一番揚穀筒57に内設された一番揚穀コンベヤ(図示省略)によってグレンタンク7に搬入され、グレンタンク7の内部に収集される。
【0024】
揺動選別盤52は、揺動選別(比重選別)によって、枝梗付き穀粒等の二番選別物(穀粒と藁屑等が混在した再選別用の還元再処理物)を二番コンベヤ56に落下させるように構成されている。二番コンベヤ56によって取出された二番選別物は、二番還元筒58及び二番処理部59を介して揺動選別盤52の上面側に戻されて再選別される。また、扱胴51からの脱粒物中の藁屑及び粉塵等は、唐箕ファン53からの選別風と排塵ファン61の吸排塵作用とによって、走行機体1の後部から圃場に向けて排出される。
【0025】
(2).刈取装置の構造
次に、主として図3乃至図5を参照しながら、刈取装置3の構造を説明する。図4乃至図5に示す如く、刈取装置3の刈取フレーム30として、刈取回動支点軸である刈取入力フレーム35と、縦伝動フレーム36と、横伝動フレーム37とを備えている。走行機体1の前部に立設された刈取支持体(図示省略)に刈取入力フレーム35が回動可能に支持される。走行機体1の左右方向に向けて刈取入力フレーム35を延長している。刈取入力フレーム35から前方に向けて縦伝動フレーム36を延長している。縦伝動フレーム36の前端側に横伝動フレーム37を連結している。走行機体1の左右方向に向けて横伝動フレーム37を延長している。
【0026】
刈取入力フレーム35には、エンジン20からの動力が伝わる刈取入力軸35a(図3参照)が組み込まれている。刈取入力軸35aは左右方向の軸線を中心に回転する。縦伝動フレーム36と走行機体1との間に、昇降用油圧シリンダが配置される。昇降操作レバー等の制御装置(図示省略)によって昇降用油圧シリンダを作動させることにより、刈取刈取入力フレーム35回りに刈取装置3(縦伝動フレーム36)を回動させる。その結果、刈取装置3(刈刃装置32)を任意の高さに昇降できる。
【0027】
図4及び図5に示す如く、横伝動フレーム37から前方に向けて4条分(刈取り条数分)の分草フレーム38を延長させている。各分草フレーム38の前端側に分草体38aが分草ボルト38cにてそれぞれ締結されている。横伝動フレーム37の左端側に、引起縦パイプとしての1本の引起入力縦ケース39を前方斜め上向きに延びるように立設している。横伝動フレーム37のさらに左端側に、刈刃駆動ユニット49の刈刃駆動軸49cが配置されている。すなわち、横伝動フレーム37の左端部に取付けられた刈刃駆動ユニット49が、引起入力縦ケース39よりも機体外方側寄りに配置されている。
【0028】
図5に示す如く、引起入力縦ケース39の上端側は、左右方向に延長した引起入力横ケース40の左端部に連結している。また、引起入力横ケース40の右端部には、引起縦パイプの一例である丸パイプ状の引起縦フレーム50を立設する。引起縦フレーム50の上端側が引起入力横ケース40の右端部に連結されている。引起入力横ケース40は、引起入力縦ケース39と引起縦フレーム50とによって、後述する引起ケース42の上端より上方側で、刈取装置3の左右方向に向けて略水平に横架されている。
【0029】
図5に示す如く、引起入力縦ケース39の上端側の高位置(引起入力横ケース40の近傍)に引起変速ケース39bが設けられている。引起入力横ケース40には、刈取り条数に合わせた数(本実施形態では4条分の4本)の引起駆動ケース41が、引起入力横ケース40の長手方向(走行機体2の幅方向)に沿って適宜間隔で下向きに並べて設けられている。すなわち、引起ケース42への駆動力入力用のケースとして、刈取フレーム30としての引起入力縦ケース39と、刈取フレーム30としての引起入力横ケース40と、4条分の引起駆動ケース41とが配置されている。
【0030】
図3及び図5に示すように、穀稈引起装置31には、引起機構としての4条分の引起ケース42を備えている。各引起ケース42には、分草体38aによって分草された未刈り穀稈を起立させる複数の引起タイン42aをそれぞれ備えている。1条分の複数の引起タイン42aは、1本のエンドレス状の引起タインチェン42bに略等間隔に配置されている。引起ケース42は分草体38aの後方に配置されている。引起ケース42は上下方向に長く後傾姿勢に設けられている。引起ケース42の上端側は、引起駆動ケース41の下端側に連結されている。分草フレーム38に立設した引起支持フレーム38bに引起ケース42の下端側が連結されている。
【0031】
図3〜図5に示す如く、穀稈搬送装置33は、引起ケース42の後方に配置されている。穀稈搬送装置33は、4条分の引起ケース42から導入された未刈り穀稈の株元側を掻込む4条分のスターホイル43R,43Lと掻込ベルト44R,44Lと、右側2条分の刈取り穀稈の株元側を後方に搬送する右株元搬送チェン45Rと、左側2条分の刈取り穀稈の株元側を右株元搬送チェン45Rの搬送終端側に合流させる左株元搬送チェン45Lとを備えている。また、穀稈搬送装置33は、右株元搬送チェン45Rから4条分の刈取り穀稈の株元側を受継ぐ縦搬送チェン46と、縦搬送チェン46の搬送終端部からフィードチェン6の搬送始端部に4条分の刈取り穀稈の株元側を搬送する補助株元搬送チェン74とを備えている。
【0032】
更に、図3に示す如く、穀稈搬送装置33は、右株元搬送チェン45Rによって搬送される刈取り穀稈の穂先側を搬送する右穂先搬送タイン47Rと、左株元搬送チェン45Lによって搬送される刈取り穀稈の穂先側を搬送する左穂先搬送タイン47Lと、縦搬送チェン46によって搬送される4条分の刈取穀稈の穂先側を搬送する後穂先搬送タイン75とを備えている。刈取装置3で刈取った4条分の刈取穀稈の穂先側が、後穂先搬送タイン75の送り終端側から、扱胴51を内蔵した脱穀装置5の扱室内に搬送される。
【0033】
図3及び図5に示す如く、刈刃装置32は、左右二組のバリカン式の刈刃48R,48Lを備える。分草フレーム38の下方には、刈取装置3の左右幅方向に、横伝動フレーム37に沿って、左右二組のバリカン式の刈刃48R,48Lを設ける。左右二組の刈刃48R,48Lは、4条分のスターホイル43R,43Lと掻込ベルト44R,44Lとによって掻込まれた未刈り穀稈の株元を切断する。
【0034】
図3及び図5に示す如く、刈取装置3には、左右の刈刃48R,48Lをそれぞれ独立して駆動する左右の刈刃駆動ユニット49を備える。左右の刈刃駆動ユニット49は、横伝動フレーム37における左右側端部の上面側にそれぞれ配置されている。各刈刃駆動ユニット49には、横伝動フレーム37の横伝動軸37aに連結させる刈刃駆動軸49cと、横伝動フレーム37の上面側に突出させた刈刃駆動軸49cの上端側に配置させるクランクロッド49aと、クランクロッド49aに刈刃48R,48Lを連結させるクランクアーム体49bとを備える。左右の刈刃48R,48Lに、クランクロッド49a及びクランクアーム体49bを介して、横伝動軸37aが動力伝達可能に連結されている。
【0035】
なお、実施形態では、クランクロッド49aが揺動することによって、左右の刈刃48が左右に往復移動するように構成されている。左右の刈刃駆動ユニット49によって、左側の刈刃48Lと右側の刈刃48Rは左右相反する方向に同期して往復移動させる。その結果、左右の刈刃48の往復移動によって発生する左右の刈刃48の振動(慣性力)を相殺できる(刈刃48の往復移動によって発生する振動を低減できる)。
【0036】
図5に示す如く、刈刃駆動ユニット49及び引起入力縦ケース39は、穀稈搬送装置33の穀稈搬送経路から離れた位置に配置されている。横伝動フレーム37における左右の端部に刈刃駆動軸49c及びクランクロッド49aがそれぞれ配置されている(図3参照)。左側の刈刃駆動軸49c及びクランクロッド49aよりも機体内方側になる横伝動フレーム37の左端部に、引起入力縦ケース39が立設されている。すなわち、刈刃駆動ユニット49よりも機体内方側に引起入力縦ケース39が設置されている。
【0037】
(3).刈取装置の駆動構造
次に、主に図3を参照しながら、刈取装置3の駆動構造を説明する。図3及び図4に示す如く、丸パイプ状の刈取入力フレーム35に刈取入力軸35aを内挿する。丸パイプ状の縦伝動フレーム36に縦伝動軸36aを内挿する。丸パイプ状の横伝動フレーム37に横伝動軸37aを内挿する。刈取入力軸35aに縦伝動軸36aの一端側を動力伝達可能に連結する。縦伝動軸36aの他端側を横伝動軸37aに動力伝達可能に連結する。エンジン20からの駆動力が刈取入力軸35aに伝達され、刈取入力軸35aの回転駆動力は縦伝動軸36aを介して横伝動軸37aに伝達される。
【0038】
図3に示す如く、引起入力縦ケース39内に引起入力縦軸39aを配置させる。横伝動軸37aに引起入力縦軸39aの一端側を動力伝達可能に連結する。引起入力縦ケース39の中間に引起変速ケース39bを設ける。引起入力縦軸39aの中間に変速ギヤ39cを設ける。また、引起入力横ケース40内に引起入力横軸40aを配置する。引起入力縦軸39aの他端側に引起入力横軸40aを動力伝達可能に連結する。4条分の引起駆動ケース41内に引起タイン駆動軸41aをそれぞれ配置する。引起入力横軸40aに引起タイン駆動軸41aを動力伝達可能に連結する。
【0039】
従って、横伝動軸37aの回転力は、引起入力縦軸39a、変速ギヤ39c、引起入力横軸40a及び引起タイン駆動軸41aを介して、引起タインチェン42bに伝達される。複数の引起タイン42aの駆動によって、収穫作業時に圃場の未刈り穀稈を起立させるように構成されている。
【0040】
図3に示す如く、右株元搬送チェン45Rと、右穂先搬送タイン47Rと、右側2条分のスターホイル43Rと掻込ベルト44Rとを駆動する右搬送駆動軸72を備える。右搬送駆動軸72は、縦伝動軸36aに連結する。縦搬送チェン46を駆動する縦搬送伝動軸46aを備える。縦搬送伝動軸46aは、右搬送駆動軸72を介して縦伝動軸36aに連結する。左株元搬送チェン45Lと、左穂先搬送タイン47Lと、左側2条分のスターホイル43Lと掻込ベルト44Lとは、引起入力縦軸39aから分岐した回転駆動力によって駆動される。また、縦伝動軸36aに後搬送駆動軸76を連結する。後搬送駆動軸76によって、補助株元搬送チェン74と後穂先搬送タイン75が駆動される。
【0041】
(4).灯具部材、サイドカバー及び上カバーの構造
次に、図4乃至図10を参照しながら、刈取装置3(走行機体1)前方の照明や方向指示等のための灯具部材80R,80Lと、刈取装置3の左右側方を覆う左右のサイドカバー82R,82Lの構造について説明する。
【0042】
図4及び図5に示す如く、刈取装置3の左右側方は、合成樹脂製成形品である左右のサイドカバー82R,82Lと、左右の灯具部材80R,80Lによって覆われている。左右のサイドカバー82R,82Lの上方に、左右の灯具部材80R,80Lがそれぞれ配置されている。サイドカバー82R,82Lにて刈取装置3における左右側部の下方側が覆われた状態では、サイドカバー82R,82Lの上端縁は、引起入力横ケース40よりも低位置におかれている。灯具部材80R,80Lは刈取装置3における左右側部の上方側を覆っている。
【0043】
詳細には、サイドカバー82R,82Lの上端側に灯具部材80R,80Lの下端側を沿わせて対向配置させている。側面視において、引起入力横ケース40の左右の外側面や引起ケース42の上部等に、灯具部材80R,80Lの配置位置が重なることになる。換言すると、灯具部材80R、80Lの左右内向きの側部を、左右最外側にある引起ケース40や引起入力横ケース40の左右の外側面に対峙させている。このようにして、刈取装置3(穀稈引起装置31)の左右最外側の上部が灯具部材80R,80Lにて覆われているため、サイドカバー82R,82Lの小型化が可能になる。その結果、サイドカバー82R,82Lの着脱操作性向上を図れる。
【0044】
サイドカバー82R,82Lは、側面視でスターホイル43R,43L、掻込ベルト44R,44L、株元搬送チェン45R,45Lの一部、及び引起ケース42の下部等を覆っている。図示は省略するが、右サイドカバー82Rは、引起入力横ケース40の右端部に立設された引起縦フレーム50等に着脱可能に取り付けられている。左サイドカバー82Lは、引起入力横ケース40の左端部に立設された引起入力縦フレーム39等に着脱可能に取り付けられている。なお、サイドカバー82R,82Lの上端縁は、前側が低くなるように前傾させて形成されている。
【0045】
図4及び図5に示す如く、灯具部材80R,80Lの左右外側部は、サイドカバー82R,82Lの左右外側面から突出しないように、灯具部材80R,80Lからサイドカバー82R,82Lに亘って連続する外観に形成されている。灯具部材80R,80Lとサイドカバー82R,82Lとは一体感のある外観に仕上がっており、刈取装置3の美観を向上させている。また、灯具部材80R,80Lは刈取装置3の上端よりも高位置に突出しないように設定されている。すなわち、引起入力横ケース40の前面側や上面側を覆うゲートカバー105と略同じ高さに揃うように、灯具部材80R,80Lの前面側や上面側が形成されている。
【0046】
なお、図10に示す如く、ゲートカバー105の後端側は、引起入力横ケース40に開閉軸(図示省略)を介して回動可能に連結されている。ゲートカバー105を開閉軸回りに回動させる(ゲートカバー105を開閉回動させる)ことによって、引起入力横ケース40及び引起駆動ケース41の上部側を露出させたり隠したりすることが可能になっている。
【0047】
左右の灯具部材80R,80Lは、前面側のライト前面カバー100R,100Lと後面側のリフレクタ体101R,101Lとにより中空状に構成された合成樹脂成形品であり、左右対称形に形成されている。ライト前面カバー100R,100Lはそれぞれ、リフレクタ体101R,101Lの前面側に係脱可能に被せられている。ライト前面カバー100R,100Lは、全体が透光性素材(ポリカーボネート樹脂等)で形成されていて、刈取装置3(走行機体1)前方において広い照射範囲を確保するために、側面視で引起ケース42の前面よりも前方に丸みを帯びて突出するように膨出形成(湾曲形成)されている。その上で、左右の灯具部材80R,80Lは、走行機体1の操縦部10に配置された操縦ハンドル10cの前端と、刈取装置3の前部下端側に配置された分草体38aの前端とを結ぶ仮想線VLより後方に位置させている(図1及び図10参照)。
【0048】
このように構成すると、操縦部10に座乗したオペレータから刈取装置3における前部下端側の分草体38aを視認するに際して、灯具部材80R,80Lの存在が邪魔にならない。従って、灯具部材80R,80Lの前面側(ライト前面カバー100R,100L)を前向き凸の膨出形状に形成して、刈取装置3(走行機体1)前方において広い照射範囲を確保できるものでありながら、灯具部材80R,80Lの存在によって、オペレータの視界を狭めたり妨げたりする不都合を招来することがなく、分草体38aによる刈取作業状況を容易に確認できる。
【0049】
特に、左右のライト前面カバー100R,100Lの上部側は、側面視で前記仮想線VLと略平行状に形成されていて、下端側に近づくに連れて前記仮想線VLから離れるように湾曲した形状になっている。このため、灯具部材80R,80Lによる広い照射範囲の確保と、操縦部10にいるオペレータからの分草体38aの視認性確保との両方を確実に達成できるのである。
【0050】
灯具部材80R,80Lにおける上部及び左右外向きの側部には、L字板状のライト化粧カバー102R,102Lが一体的に設けられている。この場合、ライト化粧カバー102R,102Lは、後方からの複数の溶着ピン103を介して灯具部材80R,80Lに一体溶着(超音波溶着)されている(図8及び図9参照)。図4〜図7に示すように、灯具部材80R,80Lにおいて、ライト前面カバー100R,100Lとリフレクタ体101R,101Lとの突合せ部分のうち上部及び左右外向きの側部側は、ライト化粧カバー102R,102Lにて隠されている。前記突合せ部分のうち下端側は、サイドカバー82R,82Lの上端側にて隠されている。前記突合せ部分のうち左右内向きの側部側は、左右最外側にある引起ケース40やゲートカバー105の左右の外側面にて隠されている。
【0051】
従って、刈取装置3の左右側部においては、灯具部材80R,80Lとサイドカバー82R,82Lとだけでなく、左右最外側の引起ケース42やゲートカバー105まで含めた状態で一体感のある外観に仕上がっており、刈取装置3ひいてはコンバイン全体としての美観を向上させている。
【0052】
図4、図6及び図7に示すように、灯具部材80R,80Lの内部には、前照灯81と、補助灯としての方向指示灯84及び車幅灯85とが配置されている。左右の灯具部材80R,80Lは左右対称形に形成されており、その内部の前照灯81、方向指示灯84及び車幅灯85も左右対称形に配置されている。前照灯81は、刈取装置3(走行機体1)前方の圃場又は走行路面を照明可能なように、灯具部材80R,80L内に前方やや下向きに配置され、方向指示灯84及び車幅灯85は、刈取装置3(走行機体1)前方及び側方から視認可能なように、灯具部材80R,80L内に走行機体1の外側方に向かう斜め前向きに配置されている。実施形態では、方向指示灯84及び車幅灯85はいずれも前照灯81の上方に配置されている。方向指示灯84は車幅灯85より前方に位置している。
【0053】
次に、図6〜図8等を参照しながら、灯具部材80R,80Lの内部構造について説明する。リフレクタ体101R,101Lは、前照灯リフレクタ110(前照灯81用の反射鏡)と、方向指示リフレクタ114(方向指示灯84用の反射鏡)と、車幅灯リフレクタ(車幅灯85用の反射鏡)115とを備えている。前照灯リフレクタ110は、方向指示灯リフレクタ114及び車幅灯リフレクタ115の下方に位置している。車幅灯リフレクタ115は、前照灯リフレクタ110と方向指示灯リフレクタ114との間で、且つ左右外寄りに位置している。これら各リフレクタ110,114,115がリフレクタ体101R,101Lとして一体的に形成されている。
【0054】
灯具部材80R,80L内の上下に、方向指示灯84及び車幅灯85と前照灯81とが組み付けられている。この場合、前照灯リフレクタ110の中央に前照灯81が取り付けられ、方向指示灯リフレクタ114の中央には方向指示灯84が取り付けられ、車幅灯リフレクタ115の中央には車幅灯85が取り付けられている。
【0055】
実施形態では、灯具部材80R,80Lにおけるライト前面カバー100R,100Lの上部側が、方向指示灯84及び車幅灯85の照射方向に対応して、方向指示灯84及び車幅灯85用のレンズとして機能するように加工されている。そして、ライト前面カバー100R,100Lの下部側は、前照灯81の照射方向に対応して前照灯81用のレンズとして機能するように加工されている。すなわち、前照灯81、方向指示灯84及び車幅灯85を覆う灯具部材80R,80Lが、前照灯81、方向指示灯84及び車幅灯85に対するレンズとして利用されている。
【0056】
図4〜図8に示すように、左右の灯具部材80R,80Lは、刈取装置3の左右側部に立設された引起入力縦ケース39又は引起縦フレーム50に、左右の枝フレーム86R,86Lを介して支持させている。実施形態では、引起入力縦ケース39の長手中途部に、上向きに延びる左枝フレーム86Lの下端側が締結されている。左枝フレーム86Lは左サイドカバー82Lよりも機体内側に位置していて、左枝フレーム86Lの長手中途部に設けられた複数の取付けブラケット87Lに、左リフレクタ体101Lの後面側が着脱可能にネジ止めされている。また、引起縦フレーム50の上部側には、コ字状に形成された右枝フレーム86Rが設けられている。右枝フレーム86Rは、右サイドカバー82Rよりも機体内側に位置していて、右枝フレーム86Rに設けられた複数の取付けブラケット87Rに、右リフレクタ体101Rの後面側が着脱可能にネジ止めされている。
【0057】
次に、図4及び図5を参照しながら、穀稈搬送装置33の上方側を覆う上カバー120の構造を説明する。図4及び図5に示す如く、穀稈搬送装置33の上方側には、刈取装置3の前後方向に延長する丸パイプ状の刈取上方フレーム121を備える。刈取入力フレーム35に刈取上方フレーム121の後端側を連結する。引起入力横ケース40に締結ブラケット122を介して刈取上方フレーム121の前端側を連結する。穀稈搬送装置33の上方側で前後方向に刈取上方フレーム121が架設される。合成樹脂成形品にて形成された上カバー120が刈取上方フレーム121に着脱可能に連結される。即ち、刈取装置3の上面側の防塵カバーとして、上カバー120が使用される。上カバー120によって穀稈搬送装置33の上方側を覆い、穀稈搬送装置33から操縦部10の方向に粉塵が飛散するのを防ぐように構成している。
【0058】
図4及び図6に示す如く、左サイドカバー82Lの上端側は、側面視で左灯具部材80Lの後端側より後方に延出している。左サイドカバー82Lの上端延出部と、左灯具部材80Lの後端側(上面及び後側面側の端縁)と、ゲートカバー105の後端側とには、上カバー120の左側前部を沿わせて対向配置させている。すなわち、左サイドカバー82Lの上方側、灯具部材83Lの後方側及びゲートカバー105の後方側が、上カバー120の左側前部にて遮蔽されている。実施形態では、サイドカバー82Lの上方側、灯具部材83Lの後方側、ゲートカバー105の後方側、及び上カバー120の左側前部は、対向部の段差や隙間を目立たせずに連続する外観となるように、互いに重なり合っている。このため、サイドカバー82L、灯具部材83L、ゲートカバー105及び上カバー120は、全体的にまとまって一体感のある外観に仕上がっており、刈取装置3の美観向上に効果を発揮している。
【0059】
図4〜図8に示すように、引起入力縦ケース39側の左枝フレーム86Lは上向きに延びていて、上カバー120を下から上向きに貫通している。左枝フレーム86Lのうち上カバー120より下側の部位に、左リフレクタ体101Lを支持する複数の取付けブラケット87Lが溶接等で固定されている。従って、左枝フレーム86Lのうち上カバー120より下側の部位に、左灯具部材80Lが着脱可能に連結されることになる。上カバー120を貫通した枝フレーム86の上端側に、バックミラー108が向き変更可能で且つ着脱可能に取り付けられている。
【0060】
なお、図1及び図2に示す如く、脱穀装置5の上面側にはオーガスタンド125を立設させている。オーガスタンド125を介して走行機体1における上方の収納位置に排出オーガ8を支持している。排出オーガ8は、オーガスタンド125によって略水平姿勢に支持される。図3に示す如く、走行機体1の右後方の隅部から左前方の隅部に向けて、収納位置の排出オーガ8が延長される。
【0061】
(5).まとめ
上記の記載並びに図1及び図10から明らかなように、エンジン20を搭載した走行機体1と、穀稈引起装置31及び刈刃装置32並びに穀稈搬送装置33を有する刈取装置3と、前記刈取装置3の側方を覆うサイドカバー82R,82Lと、前照灯81を内蔵した灯具部材80R,80Lとを備えており、前記サイドカバー82R,82Lの上端側に前記灯具部材80R,80Lが配置されているコンバインであって、前記穀稈引起装置31は前記走行機体1の左右幅方向に並ぶ複数の引起ケース42を有しており、前記灯具部材80R,80Lは、側面視で前記各引起ケース42の前面より前方に膨出していると共に、前記走行機体1の操縦部10に配置された操縦ハンドル10cの前端と、前記刈取装置3の前部下端側に配置された分草体38aの前端とを結ぶ仮想線VLより後方に位置させているから、前記操縦部10に座乗したオペレータから前記分草体38aを視認するのに、前記灯具部材80R,80Lの存在が邪魔にならない。従って、前記灯具部材80R,80Lの前面側を前向き凸の膨出形状に形成して、前記刈取装置3(前記走行機体1)前方において広い照射範囲を確保できるものでありながら、前記灯具部材80R,80Lの存在によって、オペレータの視界を狭めたり妨げたりする不都合を招来することがなく、前記分草体38aによる刈取作業状況を容易に確認できるという効果を奏する。
【0062】
上記の記載並びに図1及び図10から明らかなように、前記灯具部材80R,80Lの前面は、側面視で下端側に近づくに連れて前記仮想線VLから離れるように湾曲しているから、上記した効果を確実に達成できるという効果を奏する。すなわち、前記灯具部材80R,80Lによる広い照射範囲の確保と、前記操縦部10にいるオペレータからの前記分草体38aの視認性確保との両方を確実に達成できるのである。
【0063】
上記の記載並びに図4及び図5から明らかなように、前記サイドカバー82R,82Lによって前記刈取装置3の側面下部を覆い、前記灯具部材80R,80Lによって前記刈取装置3の側面上部を覆うように構成されており、前記灯具部材80R,80Lの左右内向きの側部を、左右最外側にある前記引起ケース42に対峙させているから、前記サイドカバー82R,82Lの小型化が可能になる。その結果、前記サイドカバー82R,82Lの着脱操作性向上を図れるという効果を奏する。
【0064】
上記の記載並びに図4〜図9から明らかなように、前記灯具部材80R,80Lにおける上部及び左右外向きの側部を覆うライト化粧カバー102R,102Lを備えており、前記ライト化粧カバー102R,102Lが前記灯具部材80R,80Lに一体的に設けられているから、前記刈取装置3の左右側部においては、前記灯具部材80R,80Lと前記サイドカバー82R,82Lとだけでなく、左右最外側の前記引起ケース42まで含めた状態で一体感のある外観にできる。従って、前記刈取装置3ひいてはコンバイン全体としての美観を向上できるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0065】
1 走行機体
3 刈取装置
30 刈取フレーム
39 引起入力縦ケース
40 引起入力横ケース(駆動入力ケース)
42 引起ケース
50 引起縦フレーム
80R,80L 灯具部材
81 前照灯
82R,82L サイドカバー
84 方向指示灯
85 車幅灯
100R,100L ライト前面カバー
101R,101L リフレクタ体
102R,102L ライト化粧カバー
105 ゲートカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した走行機体と、穀稈引起装置及び刈刃装置並びに穀稈搬送装置を有する刈取装置と、前記刈取装置の側方を覆うサイドカバーと、前照灯を内蔵した灯具部材とを備えており、前記サイドカバーの上端側に前記灯具部材が配置されているコンバインであって、
前記穀稈引起装置は前記走行機体の左右幅方向に並ぶ複数の引起ケースを有しており、
前記灯具部材は、側面視で前記各引起ケースの前面より前方に膨出していると共に、前記走行機体の操縦部に配置された操縦ハンドルの前端と、前記刈取装置の前部下端側に配置された分草体の前端とを結ぶ仮想線より後方に位置させている、
コンバイン。
【請求項2】
前記灯具部材の前面は、側面視で下端側に近づくに連れて前記仮想線から離れるように湾曲している、
請求項1に記載したコンバイン。
【請求項3】
前記サイドカバーによって前記刈取装置の側面下部を覆い、前記灯具部材によって前記刈取装置の側面上部を覆うように構成されており、前記灯具部材の左右内向きの側部を、左右最外側にある前記引起ケースに対峙させている、
請求項1又は2に記載したコンバイン。
【請求項4】
前記灯具部材における上部及び左右外向きの側部を覆うライト化粧カバーを備えており、前記ライト化粧カバーが前記灯具部材に一体的に設けられている、
請求項3に記載したコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−37(P2012−37A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136762(P2010−136762)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】