説明

コンバーチブル型の頭部被覆部材を包含するレスピレータシステム

ヘッドギア物品は、その中に形成された開口部を有する頭部被覆部材を包含する。パネルが、開口部を覆って配置され、頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられる。ヘッドギア物品を包含するとともにバイザーを更に包含し、内部領域を画定するレスピレータシステムもまた開示される。レスピレータシステムはまた、清浄空気源に接続するように構成された入口と、内部領域内に配置された出口とを有する清浄空気供給システムを包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は一般に、コンバーチブル型の頭部被覆部材を包含するレスピレータシステムに関する。本開示はまた、レスピレータシステムに使用するのに好適な、コンバーチブル型の頭部被覆部材を包含するヘッドギア物品に関する。
【0002】
レスピレータシステムは、多くの場合、粉塵、煙気、蒸気、及び/又は気体を含有する環境の中でユーザーが呼吸するのを助けるために使用される。レスピレータシステムは、空気を濾過するように構成されてもよく、あるいは無汚染空気の供給源を提供してもよい。送気レスピレータシステムにおいて、清浄空気は、給気タンクから、又はエアフィルターを通して周囲空気を推進する動力付き空気源から、内部気体空間内に、通常はホース手段により圧入されてもよい。レスピレータシステムは、一部の例では、ヘルメット、安全帽又は類似の耐衝撃用の頭部被覆装置を包含してもよい。耐衝撃性頭部カバーを包含するレスピレータシステムは、異物から衝撃を受ける可能性のある区域で作業する人々により着用されることが多い。レスピレータシステムには、多くの場合、バイザー又はフェイスシールドが含まれ、これらは、周辺環境の実質的に無制限の適度な視野をユーザーに提供するのに好適ないかなる構成を有してもよい。フェイスシールドを引き下げた状態でレスピレータシステムが使用されるとき、そのシステムは、粒子状及び気体状の両方の汚染物質が、着用者のエアスペース内に通過するのを抑止するはずである。多くのフェイスシールドは、不要時にフェイスシールドを引き上げることができるよう、頭部被覆部材に旋回可能に取り付けられる。一般的なレスピレータシステムは、頭部被覆装置の内部に取り付けられる頭部サスペンションシステム手段により、ユーザーの頭部に装着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、レスピレータシステム、特に頭部被覆装置は、多様な条件で長期間にわたって着心地の良いことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、着用者の必要性に適合するために、作業条件に応じて変更し得る頭部被覆部材を包含するレスピレータシステムの必要性がある。
【0005】
一実施態様では、本開示は、内部領域を画定するヘッドギア物品を包含するレスピレータシステムを目的とする。ヘッドギア物品は、バイザー及び頭部被覆部材を包含する。頭部被覆部材は、その中に形成された第1開口部を有し、この開口部は、内部領域と、ヘッドギア物品の外部環境との間に流体連通を提供する。第1パネルは、第1開口部を覆って配置され、頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられる。レスピレータシステムは、清浄空気源に接続するように構成された入口と、内部領域内に配置された出口とを有する清浄空気供給システムを更に包含する。
【0006】
別の実施態様では、本開示は、内部領域を画定するヘッドギア物品を包含するレスピレータシステムを目的とする。ヘッドギア物品は、バイザー及び頭部被覆部材を包含する。頭部被覆部材は、その中に形成された第1及び第2開口部を有し、これらの開口部は、内部領域と、ヘッドギア物品の外部環境との間に流体連通を提供する。第1パネルは、第1開口部を覆って配置されるとともに、頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられ、第2パネルは、第2開口部を覆って配置されるとともに、頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられる。レスピレータシステムは、第1開口部と第2開口部との間に配置された空気ダクトであって、清浄空気源に接続するように構成された入口と、内部領域内に配置された出口とを有するそのダクトを更に包含する。
【0007】
更に別の実施態様では、本開示は、その中に形成された開口部を有する頭部被覆部材を包含する、ヘッドギア物品を目的とする。外側表面を有するパネルは、外側表面のかなりの部分が開口部を覆って配置されるように配置される。パネルは、開口部の縁部に取外し可能に結合するように構成された少なくとも1つの保持部材を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面とともに以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【0009】
【図1A】本開示によるレスピレータステムの例示的な実施形態の斜視図を、バイザー引き下げ位置において概略的に示す。
【図1B】図1Aに示した例示的なレスピレータシステムの側面図を、バイザー引き上げ位置において概略的に示す。
【図1C】ユーザーの頭部上に配置された、図1Aに示した例示的なレスピレータシステムの断面側面図を概略的に示す。
【図2A】本開示の例示的な実施形態によるヘッドギア物品の平面図を概略的に示す。
【図2B】図2Aに示したヘッドギア物品の底面図を概略的に示す。
【図3A】開口部の縁部に対するパネルの取外し可能な取付例を詳細に例示する、例示的な頭部被覆部材の部分底面図を概略的に示す。
【図3B】開口部の縁部に対するパネルの取外し可能な取付例を詳細に例示する、例示的な頭部被覆部材の部分底面断面図を概略的に示す。
【0010】
図面は、必ずしも縮尺に従うものではない。図面で用いられる同様の番号は、同様の構成要素を示すものとする。ただし、与えられた図の構成要素を示す数字の使用は、同じ数字を付された別の図の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の記述において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、幾つかの特定の実施形態を例として示す。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0012】
本発明で使用する全ての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書でしばしば使用されるある種の用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0013】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状、寸法、量、及び物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それゆえに、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0014】
端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包括される全ての数が含まれ(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)、またその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0016】
本開示の例示的な実施形態は、換気に有用であり得る1つ以上の開口部をヘッドギア物品内に提供する。本開示によると、1つ以上の開口部は、ヘッドギア物品に取外し可能に結合する1枚以上のパネルによって覆われ得る。1枚以上のパネルの取外し易さにより、ヘッドギア物品のユーザーは、パネルを所望の時に自在に取り外す又は取り付けることが可能になる。耐衝撃性材料をパネルに付加することにより、ヘッドギア物品の耐衝撃性が向上してもよい。取外し可能なパネルは、着色された層、パターン、画像、及び/又は反射性材料を備えてもよい。
【0017】
本開示によるレスピレータシステム100の例示的な実施形態が、図1A、1B及び1Cに例示されている。レスピレータシステム100は、バイザー122及び頭部被覆部材124を包含する、ヘッドギア物品120を包含する。好ましくは、バイザー122は、旋回機構123を介して頭部被覆部材124に旋回可能に取り付けられ、それによって、バイザーは、引き下げ位置(図1A)、引き上げ位置(図1B)及び様々な中間位置を有してもよい。いかなる好適な旋回機構も本開示の範囲内である。
【0018】
バイザー122は、プラスチック材料などのあらゆる好適な透明材料で作製され得る透明部材を包含する。例示的な実施形態では、バイザー122は、概ね曲線状のレンズ122a及びレンズ枠122bを包含する。レンズ枠122bは、レンズ122aを支持し、旋回機構123を介してバイザー122の旋回を容易にする。曲線状のレンズ122aは、球形又は楕円形断面を有する円筒形湾曲によって特徴付けられてもよい。バイザー122は、レンズ122a、レンズ枠122b、又は両方に取り付けられたシール125を包含する。シール125は典型的には、バイザー122がその引き下げ位置又は閉鎖位置(図1A)にあるとき、頭部被覆部材124の前面領域と係合する。幾つかの実施形態では、シールは、流体密封性、例えば気密性であってもよい。
【0019】
頭部被覆部材124は典型的には、通常の取扱時にその所望の形状(及びそれにより支持される他の層の形状)を保持するのに十分な構造的一体性を有する、外部シェルを包含する。好ましくは、頭部被覆部材124は、何らかの変形力がなくなった後にその形状を実質的に保持する、保形外部シェルを包含する。少なくとも幾分かの衝撃保護をヘッドギア物品120のユーザーに提供する例示的な実施形態では、頭部被覆部材124は、衝撃に耐えるように構成される。本開示の目的に関して、耐衝撃性は、頭部被覆部材が、他の方法ではユーザーの頭部に到達する衝撃から、少なくとも一定量の機械的エネルギーを吸収する場合に存在する。頭部被覆部材に使用するのに好適な例示的な材料としては、限定されないが、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネート、ABS、スチレンが挙げられる。アルミニウム、繊維強化プラスチック、ラミネート紙製品を使用することもできる。
【0020】
本開示によると、頭部被覆部材124は、その中に形成された、少なくとも1つの開口部130を有する。開口部130は、ヘッドギア物品120及びユーザーの頭部10によって画定される(図1に示した)内部領域102と、ヘッドギア物品の外部環境との間に、流体連通をもたらすように構成される。内部領域102をヘッドギア物品120の外部環境から分離するように、フィルター材料の層が、開口部内に配置されてもよい。フィルター材料の層は典型的には、材料の一層以上の層を包含し、この層(一層又は複層)は、これを通過する空気流から(粒子などの)汚染物質を除去する一方、高温の湿った空気を着用者の頭部上方から外部環境に通過させるという、主な目的に適している。パネル140は、図2A〜3Bに関して下記に詳細に説明されるように、第1開口部を覆って配置され、頭部被覆部材124に取外し可能に取り付けられ得るように構成される。本開示の例示的な実施形態は、2つ以上の開口部、例えば130と、これに取外し可能に取り付けられるように構成されたパネル、例えば140とを包含してもよい。1枚、2枚又はそれ以上の取外し可能なパネルが、耐衝撃性材料を包含してもよい。
【0021】
図1Cを更に参照すると、レスピレータシステム100のヘッドギア物品120はまた、その内部に、内部領域102の小区分としての呼吸領域104を画定してもよい。呼吸領域104は、バイザー122と着用者の顔面との間に位置付けられる。図1Cに示した例示的な実施形態では、呼吸領域104はまた、顔面シール126によって画定される。呼吸領域104を内部領域102の残りの部分から分離するために、呼吸領域シール127が使用されてもよい。例示された実施形態では、内部領域102の残りの部分は、頭部被覆部材124とユーザーの頭頂部との間にある。
【0022】
あらゆる好適な清浄空気源から呼吸領域104に、清浄空気を提供することができる。着用者はこの空気を吸い込んで、それを呼吸領域の中に吐き戻す。この呼気は、呼吸領域内に圧入された余分な清浄空気とともに、開口部を通って、又は他のあらゆる好適な経路を通って、呼吸領域から出てもよい。本開示の目的に関して、「清浄空気」とは、濾過された大気中の周囲空気又は独立の供給源から供給された空気を意味する。「清浄空気源」とは、フィルタリングユニット、圧縮空気源又はタンクなど、呼吸可能な清浄空気の供給源をレスピレータシステムのユーザーに提供することのできる装置を意味する。
【0023】
図1A及び1Cを更に参照すると、ヘッドギア物品120はまた、顔面シール126及びサスペンションシステム128を包含してもよい。サスペンションシステム128は、ヘッドギア物品120をユーザーの頭部に装着及び支持する役割を果たし、調節可能であってもよく、また典型的には、ユーザーの前頭部にわたって配置されるように構成されたヘッドバンド128aを包含する。顔面シール126は典型的には、着用者の顔面に係合し、呼吸領域104を外部環境から分離するのに役立つように構成される。顔面シール126は、ヘッドギア物品120に永久的に又は取外し可能に取り付けられてもよい。例示的な一実施形態では、顔面シール126は、レンズ枠122bに取り付けられ、例えば、取外し可能に取り付けられる。好ましくは、顔面シール126は、ユーザーの皮膚と接触する必要があるため、織布又は不織布材料、例えば布地などの柔軟な材料で作製される。
【0024】
例示的な実施形態では、顔面シール126の外側周辺部126aは、少なくとも部分的にユーザーの顎の下に配置するように構成される。顔面シール126は、ユーザーが話をするときにユーザーの顎とともに動き、伸張された後にユーザーの顔面辺りに確実に適合することができるよう、少なくとも部分的に弾性的であってもよい。典型的な実施形態では、顔面シール126は、顔面シール126の周辺部126aに沿って配置され、かつ、空気が呼吸領域の中に漏れるのを低減する又は最小限にする少なくともある程度の封止効果又は一体性によって特徴付けられる、弾性部材を有する。例えば、顔面シール126は、スパンデックス(Spandex)(商標)又は同種のものなど、あらゆる好適な材料から作製され得る弾性バンド(図示せず)を包含してもよい。あるいは、顔面シール126自体が弾性特性を有してもよい。
【0025】
顔面シール126は、その底部分126bに1つ以上の開口部を包含してもよい。開口部は、頭部被覆部材に供給される呼吸可能な空気が、吐き出す際に出て行けるようにする。別の例示的な実施形態では、1つ以上の開口部の代わりに、底部分126bは、空気を流出させることのできる比較的空気透過性の材料を包含してもよい。空気をレスピレータシステム100の外へ出すためのその他のアプローチを、本開示の例示的な実施形態とともに用いることが可能である。
【0026】
レスピレータシステム100は、清浄空気源158に接続するように構成された入口152と、呼吸領域内部に、好ましくはユーザーの顔面に近接して配置された(図1に示した)出口154とを包含する、清浄空気供給システム150を更に包含する。図1Cに示した例示的な実施形態では、清浄空気供給システム150は、入口152と出口154とを接続するダクト156を包含する。清浄空気供給システムは、出口154内に配置されるとともに、呼吸領域104内への空気流の方向及び/又は量をユーザーが切り換えできるように構成された、切換弁155を更に包含してもよい。切換弁155は、出口155に隣接して配置される可動構造体であり得、これは、出口に対するその構造体の位置に応じて、出口から出る空気の流れの方向を決定する。その結果、出口154は、出口からの空気流が第1方向に誘導される少なくとも第1の出口構成と、出口からの空気流が異なる第2方向に誘導される少なくとも第2の出口構成との間で調節可能であってもよい。
【0027】
呼吸領域シール127は、一方の端部において、例えば、出口154に隣接して、頭部被覆部材124に永久的に又は取外し可能に取り付けられてもよく、また別の端部において、ヘッドバンド128aに永久的に又は取外し可能に取り付けられてもよい。呼吸領域シール127は、顔面シール126と同じタイプの材料から、又は発泡体のような別の好適な材料から作製されてもよい。
【0028】
入口152は、ホース160により清浄空気源170に接続され得る。清浄空気源は、空気交換装置であってもよく、これは、ユーザーの呼吸周期に合わせて空気を交換し得る、ユーザーの頭部辺りに有限的な呼吸領域の体積を提供するための装置である。
【0029】
空気交換装置を用いたレスピレータシステムの一例は、動力式空気浄化レスピレータ(Powered Air Purifying Respirator)(PAPR)であり、これは、周囲空気を空気浄化要素を通して清浄空気供給システム150の入口152に圧送するための、送風機を有する動力式システムである。しかしながら、本開示はこれに限定されず、負圧システムを含むがこれに限定されない任意のその他の好適な空気供給システムを含むことができる。他の例示的な空気供給システムは、自給式呼吸器(SCBA:self contained breathing apparatus)等の任意の好適な送気システム又は圧縮空気システムを非限定的に含むことができる。
【0030】
入口開口部152は、ヘッドギア物品120の後部に位置決めされてもよい。空気入口の流体継手構成(図示せず)は、ホース160に接続可能であってもよく、このホース160が、次に、清浄空気供給源170に接続されてもよい。例示的な実施形態では、入口開口部152を通って進入する空気は、出口154を通って呼吸領域内に進入し、バイザー122とユーザーの顔面との間で循環することができる。
【0031】
図2A及び2Bはそれぞれ、本開示の例示的な実施形態とともに使用するのに好適な、例示的なヘッドギア物品220の平面図及び底面図を示している。ヘッドギア物品は、第1開口部232と、その中に形成された第2開口部234とを備えた外部シェルを有する頭部被覆部材224を包含する。図2Aは頭部被覆部材224の外側表面を示し、一方、図2Bは頭部被覆部材224の内側表面を示す。被覆されていないとき、第1開口部232及び第2開口部234は、ヘッドギア物品220によって画定された内部領域と、ヘッドギア物品の外部環境との間に流体連通を提供するように構成される。開口部232及び234の一方又は両方には、内部領域をヘッドギア物品220の外部環境から分離させるように、フィルター材料の層262a、262bが配置されてもよい。フィルター材料は、いかなる好適な方法で頭部被覆部材224に取り付けられてもよい。
【0032】
第1パネル242は、第1開口部232を覆って配置され、頭部被覆部材224に取外し可能に取り付けられる。第2パネル244は、第2開口部234を覆って配置され、頭部被覆部材224に取外し可能に取り付けられる。図2Aは取外し可能なパネル242及び244の外側表面を示し、一方、図2Bはそれらの内側表面を示す。図2Aはまた、第1開口部232から外された第1パネル242を示し、一方、第2パネル244は、頭部被覆部材224に取り付けられ、第2開口部234を覆うものとして示されている。図2Bは、頭部被覆部材224に取り付けられて第1及び第2開口部232及び234を覆う、第1及び第2パネル242及び242を示す。
【0033】
幾つかの例示的な実施形態では、1枚以上の取外し可能なパネル242及び244が、頭部被覆部材224の外側表面の少なくとも一部分を覆うように構成される。例えば、幾つかの例示的な実施形態では、取外し可能なパネル(例えば、242)が、開口部だけでなく、頭部被覆部材224の外側表面のうちの、開口部の縁部に隣接した領域を少なくとも覆うように構成される。図示した例示的な実施形態では、取外し可能なパネル242は、頭部被覆部材224の外側表面のうちの、開口部232の縁部に隣接するとともに開口部232を包囲する領域233aを少なくとも覆うように構成される。好ましくは、取外し可能なパネル242はまた、頭部被覆部材224の外側表面の追加領域233bを覆うように構成される。しかしながら、本開示の典型的実施形態では、1枚以上の取外し可能なパネルが、少なくともパネルの外側表面のかなりの部分が開口部を覆って配置されるように配置される。
【0034】
図2A及び2Bに示した例示的な実施形態では、清浄空気供給システム250が、頭部被覆部材224に取り付けられる。この例示的な実施形態では、清浄空気供給システムは、清浄空気源に接続するように構成された入口252と、呼吸可能領域内部に配置された出口とを有する空気ダクト256を包含する。好ましくは、ヘッドギア物品220がユーザーの頭部に支持されるとき、出口は、ユーザーの顔面付近に配置される。1つの例示的な構成では、空気ダクト256は、第1開口部232と、第2開口部234との間に配置される。
【0035】
図2Bは、中央開口部254aと、一対の側部開口部254b及び254cとを包含する出口を示す。中央開口部254aは、切換弁255を包含する。ここで、切換弁255は、中央開口部254aにわたって延在するパネルであり、これに隣接して旋回可能に装着される。切換弁255は、中央開口部254aを完全に覆うように寸法設定することができ、この場合、清浄空気の流れは、側部開口部254b及び254cを通って呼吸領域内に供給される。例示的なパネルは、出口に隣接した短壁257内に旋回可能に受容されるとともに、中央開口部254aを側部開口部254b及び254cから分離する、側部突起部を有する。切換弁255は、そこから突出する作動装置259を包含する。作動装置259を動作させることにより、切換弁255の動作が引き起こされる。中央開口部254aに対する切換弁255の位置に応じて、中央開口部254aから出る空気流の方向は、第1方向若しくは異なる第2方向に、又はユーザーによって選択された別の方向に誘導され得るように変更される。
【0036】
図2Bはまた、呼吸領域シールを頭部被覆部材220に取り付けるための例示的な機構を例示している。例示的な機構は、頭部被覆部材220の前面部分に配置されるとともに、その内側表面から突出する隆起部227である。隆起部227は典型的には、ヘッドギア物品の呼吸領域を内部領域の残りの部分から隔離するのに役立つように構成される。例えば、一実施形態では、隆起部227は、呼吸領域と内部領域の残りの部分との間に境界の一部を形成する、頭部被覆部材220の内側表面から突出する壁面として構成される。例示的な隆起部227は、呼吸領域シールの一端を受容及び収容するための、溝227aを包含してもよい。取付けを容易にするために、溝に受容される呼吸領域シールの端部は形状安定性であってもよく、例えば、ゴム引きされるか(rubberized)又は形状安定性高分子材料で作製されてもよい。
【0037】
図3A及び3Bは、開口部332の縁部(例えば、332a、332b)に対するパネル342の取外し可能な取付けを詳細に例示する、例示的な頭部被覆部材324の部分底面図を示している。図3Aは、開口部332の縁部に取外し可能に結合するように構成された、2つの保持部材410及び420を備えたパネル342を示す。取外し可能なパネルの他の例示的な実施形態は、1つのみの保持部材又は2つを超える保持部材を有してもよい。例示された例示的な実施形態では、保持部材410及び420は、細長いラッチ部材である。1つ以上のラッチ部材は、開口部332の縁部とのスナップ嵌めを形成するように構成し得る。
【0038】
ラッチ部材は、力が加えられるときに屈曲し、次に、力が解除されるときにその元の形状に回復することができるよう、弾力材料から形成されてもよい。1つ以上の保持部材(例えば、410、420)が、射出成形などにより、パネル342と一体的に形成され得る。図3Bは、保持部材410、420を介して開口部332の縁部332a、332bに取外し可能に取り付けられたパネル342の断面図を示す。それぞれの例示的な保持部材410、420は、出っ張り414、424を包含する。この例示的な実施形態では、出っ張り414、424は、パネルの対向する周縁部412、422と協働して、それらの間に開口部332の縁部332a、332bを取外し可能に保持する。その結果、少なくとも1つの保持部材410、420は、少なくともその一部(例えば、出っ張り414、424の一部)が、頭部被覆部材324の内側表面と接触するように構成されてもよい。少なくとも1つの保持部材410、420はまた、少なくともその一部(例えば、412、422)が、頭部被覆部材324の外側表面と接触するように構成されてもよい。
【0039】
保持部材の他の種類及び構成が本開示の範囲内である。例えば、他の好適な取外し可能な締着装置としては、フック・ループシステム、留め具、ネジ、及び再配置可能な接着剤のような接着剤が挙げられる。幾つかの例示的な実施形態では、1つ以上の保持部材として、回転可能なラッチが使用されてもよい。回転可能なラッチは典型的には、取外し可能なパネル上又は頭部被覆部材上に回転式に装着可能なアームを用いている。アームは、開口部及び取外し可能なパネルの縁部にわたって延在し、パネルを頭部被覆部材に保持するように旋回し得る。回転可能なラッチが取外し可能なパネル上に装着されるならば、ラッチは、頭部被覆部材の下面の下に延在し、これにより、取外し可能なパネルを頭部被覆部材に保持するように回転されてもよい。取外し可能なパネルは好ましくは、開口部に対する取外し可能なパネルの適切な位置合わせを補助するために、少なくとも1つの位置決め機構を更に包含する。
【0040】
例示的な実施形態では、パネル342は、1つ以上の位置決め隆起部430、440を包含し、これらの位置決め隆起部は、開口部332の周辺部と噛合う形状を有して、保持部材410、420が開口部332の縁部と一方向においてのみ連結し得るようにする。位置決め機構の他の種類及び構成もまた本開示の範囲内であり、別個の突出部又は1つ以上のタブ、スロット、釘及び穴が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
かように、コンバーチブル型の頭部被覆部材を包含するレスピレータシステム(RESPIRATOR SYSTEM INCLUDING CONVERTIBLE HEAD COVERING MEMBER)の実施形態が開示される。本発明は、開示されたもの以外の実施形態でも実施可能であることを当業者は理解するであろう。開示された実施形態は、例証の目的で提示されているのであって、制限するものではなく、本発明は、次に続く請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部領域を画定するとともに、バイザー及び頭部被覆部材を含むヘッドギア物品であって、前記頭部被覆部材が、前記内部領域と前記ヘッドギア物品の外部環境との間に流体連通を提供する、その中に形成された第1開口部を有する、ヘッドギア物品と、
前記第1開口部を覆って配置されるとともに、前記頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられた第1パネルと、
清浄空気源に接続するように構成された入口及び前記内部領域内に配置された出口を含む清浄空気供給システムと、を含む、レスピレータシステム。
【請求項2】
前記第1開口部内に配置されたフィルター材料の層を更に含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項3】
前記頭部被覆部材内に形成された第2開口部と、前記第2開口部を覆って配置されるとともに、前記頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられた第2パネルと、を更に含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項4】
前記バイザーが前記頭部被覆部材に対して旋回可能である、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項5】
清浄空気源を更に含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項6】
顔面シールを更に含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項7】
前記頭部被覆部材が耐衝撃性材料を含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項8】
前記第1パネルが耐衝撃性材料を含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項9】
前記第1パネルが反射性材料、着色された層及びパターン化された層の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項10】
前記清浄空気供給システムが、清浄空気源に接続するように構成された入口と、前記内部領域内に配置された出口とを有する空気ダクトを含む、請求項1に記載のレスピレータシステム。
【請求項11】
内部領域を画定するとともに、バイザー及び頭部被覆部材を含むヘッドギア物品であって、前記頭部被覆部材が、前記内部領域と前記ヘッドギア物品の外部環境との間に流体連通を提供する、その中に形成された第1及び第2開口部を有する、ヘッドギア物品と、
前記第1開口部を覆って配置されるとともに、前記頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられた第1パネルと、
前記第2開口部を覆って配置されるとともに、前記頭部被覆部材に取外し可能に取り付けられた第2パネルと、
前記第1と第2開口部との間に配置された空気ダクトであって、清浄空気源に接続するように構成された入口及び前記内部領域内に配置された出口を有する空気ダクトと、を含む、レスピレータシステム。
【請求項12】
前記第1及び第2開口部の少なくとも一方内に配置されたフィルター材料の層を更に含む、請求項11に記載のレスピレータシステム。
【請求項13】
前記頭部被覆部材が耐衝撃性材料を含む、請求項11に記載のレスピレータシステム。
【請求項14】
前記第1及び第2パネルが耐衝撃性材料を含む、請求項11に記載のレスピレータシステム。
【請求項15】
前記第1及び第2パネルの少なくとも一方が、反射性材料、着色された層及びパターン化された層の少なくとも1つを含む、請求項11に記載のレスピレータシステム。
【請求項16】
その中に形成された開口部を有する頭部被覆部材であって、該開口部が縁部を有する頭部被覆部材と、
外側表面のかなりの部分が前記開口部を覆って配置されるように配置された前記外側表面を有するパネルであって、前記開口部の前記縁部に取外し可能に結合するように構成された少なくとも1つの保持部材を更に含む前記パネルと、を含む、ヘッドギア物品。
【請求項17】
前記頭部被覆部材が外側表面を有し、前記パネルが前記外側表面の少なくとも一部分を覆って配置される、請求項16に記載のヘッドギア物品。
【請求項18】
前記頭部被覆部材が内側表面を有し、前記少なくとも1つの保持部材は、少なくともその一部が前記内側表面と接触するように構成される、請求項17に記載のヘッドギア物品。
【請求項19】
前記パネルが少なくとも2つの細長いラッチ部材を含む、請求項16に記載のヘッドギア物品。
【請求項20】
前記パネルが少なくとも1つの位置決め機構を更に含む、請求項16に記載のヘッドギア物品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2011−516155(P2011−516155A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503006(P2011−503006)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/035629
【国際公開番号】WO2009/123809
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】