説明

コンパクトカメラ用保持具

【課題】 写真撮影時のコンパクトカメラを片手での保持を可能とし、保持安定性と操作性に加え携帯性に優れたコンパクトカメラ用の保持具を提供する。
【解決手段】 コンパクトカメラ8の保持具1として親指と人差し指と中指の三指による片手で把持することのできる把持手段のグリップを矩形厚板状とし、矩形厚板状グリップ2の上部には該コンパクトカメラ8への装着補助手段のダイヤル6を設け、該ダイヤル6の上部には該コンパクトカメラ8の底部に三脚用雌螺子9に螺着する該コンパクトカメラ8への装着手段の雄螺子4を固着し、該雄螺子4に弛緩対策手段のOリング5を嵌入して保持具1を形成する。
当保持具1を使用する時は、コンパクトカメラ8の三脚用雌螺子9に該保持具1の雄螺子4をダイヤル6を右に回して螺着し、左手で該保持具1のグリップを把持し、右手で該コンパクトカメラ8のシャッターを押す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム式の小型カメラやデジタル式の小型カメラに既設の三脚用雌螺子に着脱可能に螺着し、写真撮影時に使用するカメラ用保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム式やデジタル式の小型カメラ(以下、両方式の小型カメラをコンパクトカメラと記す)は、携帯性や簡便性を求める傾向からカメラ本体も小型軽量化しているが、コンパクトカメラでも安定した写真撮影を行うには三脚等に装着して使用する必要があった。
また、コンパクトカメラの一般的な保持の様態は、コンパクトカメラの左底部を左手親指で下部から支持し、左手の人差し指でコンパクトカメラの左上部を親指とで挟持するように支持し、右手の親指はコンパクトカメラの右底部を下部から支持して、右手人差し指でシャッターボタンを押下するという保持様態で使用されていた。
【0003】
三脚に代わる保持具として、中空の円筒形体の上部閉口部にカメラ底部の三脚用のネジ穴に螺合する凸形状のネジ部を設け、下端開口部に着脱自在の蓋部を有するカメラ用グリップの技術が公開されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、カメラ固定軸に対し回転および固定可能な支持部材に握り部材を、カメラ底部から直角方向と平行に伸びる位置で、固定する握り部材固定機構を設けたカメラのグリップの技術が公開されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献1】 実開平3−43641号公報
【特許文献2】 特開2003−330100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これは次のような問題点があった。
近来のデジタル式のコンパクトカメラは、小型軽量化が進み厚さも薄型化により携帯性は向上したが、この小型軽量化や薄型化は従来のように手全体で保持するのと異なり、左手人差し指と親指で掴持し、右手親指で支え、人差し指でシャッターを押すという操作となるが、両手で持った時の保持性や操作性は必ずしもよいものではなかった。
コンパクトカメラによる撮影時の安定性を得るために、小型の三脚を折り畳みコンパクトカメラに装着し、脚部を片手で握り使用することが可能であるが、脚部が長く握り難い等の把持性や安定性に問題があった。
【0006】
特許文献1のカメラ用グリップの技術は、中空円筒形体内部に予備フィルム等の格納を目的とするため外径が太く長さも長くなり、掌全体で握持しなければならないことから、小形軽量のコンパクトカメラのグリップとして適するものではなかった。
【0007】
特許文献2のカメラのグリップの技術は、一眼レフカメラ等の大型のカメラを対象としたもので、カメラの安定した保持や固定に使用される三脚上に取り付ける雲台に近い機能を有するため、構造が複雑となり高価になるという問題があった。
【0008】
デジタル式のコンパクトカメラには動画撮影のできる機能が付加され動画撮影も可能となり、この動画撮影では写真撮影と異なり比較的長時間被写体にカメラを向けていなければならず、写真撮影より安定した把持性や安定性と、さらに機能性が求められていた。
一方で、コンパクトカメラが普及し高齢者にも使用されるようになったが、握力等が衰えてきた高齢者や手に障害のある人への簡便なカメラ用保持具が切望されていた。
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
コンパクトカメラの保持具として、親指と人差し指と中指の三指による片手での把持を可能とする把持手段のグリップを矩形厚板状とし、矩形厚板状グリップの上部には該コンパクトカメラへの装着補助手段のダイヤルを設ける。
ダイヤルの上部にはコンパクトカメラの底部に三脚用雌螺子に螺合させて装着する該コンパクトカメラへの装着手段の雄螺子を固設し、該雄螺子に弛緩対策手段のOリングを嵌入して保持具を形成する。
【発明の効果】
【0010】
近来の小型軽量化されたコンパクトカメラで安定した保持性と撮影時の操作性を向上させることができ、写真撮影と異なり比較的長時間被写体にコンパクトカメラを向けていなければならない動画撮影には、安定した保持と操作が可能となり特に有効である。
本発明は、従来のようにコンパクトカメラに直接触れない状態で保持が可能なため、薬指や小指などが撮影機能を覆い撮影に影響を与える様なことも無く、撮影時のコンパクトカメラの保持の不安定さから発生する手振れや滑落も防止できるようになる。
また、従来右手親指でコンパクトカメラの右下部端を支持しなければならなかったが、コンパクトカメラの保持を左手のみで行うことが可能となるため、撮影のための操作に集中できコンパクトカメラへの操作性と保持安定性が向上する。
特に本発明は、握力等が衰えてきた高齢者や、手に障害のある人が使用するユニバーサルなコンパクトカメラ用の補助具としても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 矩形厚板状のグリップとした本発明の正面図である。
【図2】 図1の本発明の側面図である。
【図3】 保持具をコンパクトカメラに装着した使用実施例の正面図である。
【図4】 矩形厚板状のグリップとした他の実施例の側面図である。
【図5】 円柱状のグリップとした保持具の正面図である。
【図6】 円柱状のグリップとした他の実施例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
コンパクトカメラ8を片手で保持する保持具1において、親指と人差し指と中指の三指による片手での把持を可能とする矩形で厚板状としたグリップの上部に滑り止め構造を設けた円盤状のダイヤル6を具設し、該ダイヤル6には該コンパクトカメラ8の底部に標準として装備される三脚用雌螺子9に螺着される雄螺子4が固設され、該雄螺子4にはOリング5が嵌入され保持具1を形成する。
【実施例1】
【0013】
本発明のグリップを矩形厚板状とした実施例について説明する。
図2に示すようにグリップの側面形状を矩形とし、また図1の正面図に示すように一定の厚さを有する厚板状の矩形厚板状グリップ2として、親指と人差し指と中指の三指による指の関節を折り曲げた感覚で把持を可能とする。
矩形厚板状グリップ2の上部には滑り止め構造を外周に設けた円盤状のダイヤル6が具設され、該ダイヤル6にはコンパクトカメラ8の底部に標準として装備され、図3に点線で示す三脚用雌螺子9に螺着される雄螺子4(1/4−20UNC規格)が固設される。
雄螺子4には軟質で弾性に富む材質のOリング5を嵌入し、該雄螺子4と三脚用雌螺子9との螺合時で発生する螺子間の弛緩を、該Oリング5の弾性反発力で吸収し安定螺合させる。
また、親指と人差し指と中指の三指で安定した把持と保持が得られるように、矩形厚板状グリップ2の側面に、人差し指と中指が挿通可能な貫孔22が設けられる。
【0014】
当実施例の保持具1を使用する時は、コンパクトカメラ8の三脚用雌螺子9に雄螺子4をダイヤル6を右に回して螺着させ、Oリング5が圧縮されて該コンパクトカメラ8と該保持具1との互いの緩みが感じなくなる位置で、手首が自然な状態で該コンパクトカメラ8が被写体に向いた位置に止め、左手の親指と人差し指と中指で矩形厚板状グリップ2を握る。
また、他の使用方法として、貫孔22に左手の人差し指と中指を挿通し、人差し指と中指の二指の第二関節と第三関節との間で、適度の窮屈さを感ずる位置で矩形厚板状グリップ2を支持するようにして、親指で該矩形厚板状グリップ2の正面厚板部またはダイヤル6を軽く押さえ、コンパクトカメラ8を被写体に向け、右手人差し指でシャッターボタンを押して写真撮影する。
このように、当実施例は貫孔22に人差し指と中指を挿通した使用と、該貫孔22に人差し指と中指を挿通せずに矩形厚板状グリップ2を把持する使い方の選択が可能となる。
【0015】
本発明では、コンパクトカメラ8の三脚用雌螺子9に保持具1の雄螺子4を螺着させるが、これにより該雄螺子4に嵌入されたOリング5は圧縮され、この圧縮力が反作用として該三脚用雌螺子9と該雄螺子4に働き、螺合時の互いの螺子間のギャップにより起こる弛緩を該Oリング5の弾性力で緩み難くし、コンパクトカメラ8と保持具1とが弛緩の無い安定した装着を可能とする。
そこで、Oリング5の材質は軟質で伸縮性に富み圧縮率が大きなゴム弾性を有する素材が好ましく、形状はドーナツ状で断面は円形が適する。
【0016】
図3は矩形厚板状グリップ2の保持具1をコンパクトカメラ8に装着した使用状態を示すが、該コンパクトカメラ8の正面が該矩形厚板状グリップ2の正面と直交するように長時間把持すると手首に負担が掛かるため、該コンパクトカメラ8の正面と該矩形厚板状グリップ2の正面とを僅かに角度を付け腕と手の甲が直線となるように把持するようにすると、手首に負担の少ない最も操作し易い自然で無理の無い把持ができ、手首を前後左右に動かすことで該コンパクトカメラを8容易に被写体に向けることができる。
【0017】
図4は矩形厚板状グリップ2側面に貫孔22を設け、更に、厚板部の両側を長手方向に緩やかな湾曲凹面としたもので、手指に馴染み把持し易い形状の矩形厚板状凹面グリップ21として、安定した把持性と保持性が得られるようにしている。
【実施例2】
【0018】
グリップを円柱状とした実施例について説明する。
図5の正面図は、グリップを同一半径とする円柱状としたもので、丸棒を握る自然な感覚で把持することができるようにしたものである。
図6は、図5の円柱状グリップ3の外周面を長手方向に緩やかな湾曲凹面を設け、円柱状凹面グリップ31とした実施例で、保持具1をより自然な状態で把持することが可能となり安定した把持性と保持性が得られるようにしている。
【0019】
また図6は、雄螺子4を円柱状凹面グリップ31の上部に直接固設した状態を示すが、直接グリップ上に該雄螺子4を設けたことでよりコンパクトな保持具1となる。
なお、図6の保持具1をコンパクトカメラ8に装着にする時は、グリップ全体を把持して雄螺子4を三脚用雌螺子9に螺着する。
【0020】
本発明では保持具1のグリップを、矩形厚板状グリップ2では矩形厚板状の周囲および貫孔22の内側を、円柱状グリップ3では円柱周囲全体を軟質弾性材等の樹脂覆設や微細な突起を設けるようにすることで、把持時の指の滑りを軽減し把持性と保持安定性をより向上させることができる。
【0021】
撮影が終わるとコンパクトカメラ8から保持具1のダイヤル6を左に回して離脱させるが、引き続き使用する可能性のある時は、該保持具1を該コンパクトカメラ8に装着した状態にしておいてもよい。
図3にも示すが、グリップの下部底部にストラップ7を別設することで、該ストラップ7を指に絡ませる等で撮影時の万一の滑落に対する安全性に加え、グリップを把持しての携行は滑落等の危険を伴うが、該ストラップ7を使用することで携行が安全に行える。
【0022】
本発明の保持具1のグリップは、親指と人差し指と中指の三指での把持する形態としているが、室外で使用する機会の多い軽量なコンパクトカメラ8では、把持性と携帯性のある三指で把持する使用形態が最良である。
【符号の説明】
【0023】
1 保持具
2 矩形厚板状グリップ
21 矩形厚板状凹面グリップ
22 貫孔
3 円柱状グリップ
31 円柱状凹面グリップ
4 雄螺子
5 Oリング
6 ダイヤル
7 ストラップ
8 コンパクトカメラ
9 三脚用雌螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクトカメラの底部の三脚用雌螺子に螺着する雄螺子で該コンパクトカメラに着脱自在に装着し、親指と人差し指と中指の三指による片手での把持を可能とする保持具において、該保持具のグリップの形状を矩形厚板状とし、矩形厚板状グリップ上部にダイヤルを設け、該ダイヤルの上部に該雄螺子を固設し、該雄螺子にOリングを嵌入したことを特徴とするコンパクトカメラ用保持具。
【請求項2】
上記保持具の矩形厚板状グリップの側面に、人差し指と中指の二指が挿通可能な貫孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンパクトカメラ用保持具。
【請求項3】
上記矩形厚板状グリップの厚板面を長手方向に湾曲凹面としたことを特徴とする請求項1および2に記載のコンパクトカメラ用保持具。
【請求項4】
コンパクトカメラに着脱自在に装着し、片手での把持を可能とする保持具において、該保持具のグリップの形状を円柱状とし、円柱状グリップ上部に雄螺子を固設し、該雄螺子にOリングを嵌入したことを特徴とするコンパクトカメラ用保持具。
【請求項5】
円柱状グリップの外周面を長手方向に湾曲凹面としたことを特徴とする請求項4に記載のコンパクトカメラ用保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98685(P2012−98685A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260566(P2010−260566)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(596024633)
【Fターム(参考)】