説明

コンパニオン動物の糞臭の低減方法

ネコまたはイヌなどのコンパニオン動物の糞臭を低減するための方法を提供する。該方法は、該動物に、糞臭を低減するのに有効な量の亜鉛イオン源、例えば酢酸亜鉛を含む組成物を摂取させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年11月26日提出の米国仮特許出願第60/525306号の優先権を主張するものであり、これをその全体として本明細書中で参考として援用する。
【0002】
本発明は、コンパニオン動物における糞臭の低減方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コンパニオン動物における糞臭は、ペットとの生活の不快な実態である。室内で生活する動物、特に、リターボックス(litter box)を使用するか犬小屋もしくは他の小さな空間から出ないようにされているネコおよびイヌの飼い主にとって、この問題はとりわけ不快である。脱臭剤を含有するネコ用リター(cat litter)が開発されているが、これにより問題が完全に解決されているわけではない。動物における糞臭は、不適切な細菌の活動、炎症および不十分な消化または運動性により引き起こされる消化不良および微生物発酵に部分的に起因する。
【0004】
Giffard et al.(2001年)Journal of the American Veterinary Medical Association 218(6),892〜896頁は、イヌにおける鼓腸に対する酢酸亜鉛の効果について記載している。報告によると、酢酸亜鉛により、ガスの全産生量、鼓腸の発現回数、およびガスの臭気が低減した。
【0005】
国際特許公開WO01/17364号には、ペットフード用の機能性添加物であって、ユッカ抽出物、木炭、および酢酸亜鉛のような亜鉛塩の組合わせを包含し、ペット動物における鼓腸の臭気を低減すると述べられているものが開示されている。
【0006】
Suarez et al.(1998年)Gut 43,100〜104頁は、ヒトの鼓腸から硫黄ガス含量を低減するための酢酸亜鉛の使用について記載している。
【0007】
米国特許第5405836号には、呼気をさっぱりさせるペット用ビスケットであって、該ビスケットに局部的に施用された亜鉛塩を含むものが開示されている。報告によると、亜鉛は、口内に見いだされる揮発性硫黄化合物に結合して、不揮発性の本質(entity)を作り出す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、動物における糞臭を低減するための方法を対象とする。そのような方法は、ヒトおよび非ヒト動物、より詳細にはネコおよびイヌなどのコンパニオン動物での使用に適していることができると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コンパニオン動物における糞臭を低減するための方法であって、該方法が動物に糞臭を低減するのに有効な量の亜鉛イオン源を含む組成物を摂取させることを含む前記方法を、部分的に対象とする。該組成物は、例えば、食品、サプリメント、トリート(treat)、スナックまたは玩具であることができる。
【0010】
該組成物はさらに、亜鉛イオン源以外に1種以上の臭気低減剤(odor reducing agent)、例えば以下に開示するようなものを含んでいてもよい。本発明の特定の態様によると、コンパニオン動物に与えられる組成物における亜鉛イオン源と1種以上の追加的な臭気低減剤との組合わせは、糞臭の低減に対し優れた効果を有することができる。
【0011】
本発明の利点および利益は、本明細書を読むことにより当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書では“糞”という用語を、便をさすために総称的に用いる。
【0013】
“亜鉛イオン源”という用語は、動物により摂取されると亜鉛イオンを提供する、すなわち亜鉛イオンを放出する、あらゆる亜鉛化合物をさす。亜鉛イオン源は、動物用食品中に包含させるのに許容しうる形、すなわち、本明細書中で意図する量で動物に経口投与するのに許容しうる形にあるように選択すべきであり、前記量は、例えば、動物の健康に有毒または有害であるべきではない。亜鉛イオン源としては、亜鉛塩、酸化亜鉛および亜鉛−ポリマー錯体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本明細書において有用な亜鉛塩としては、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、硫酸亜鉛、およびクエン酸亜鉛ナトリウム(sodium zinc citrate)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で酢酸亜鉛が具体的に指示されている場合、酢酸亜鉛以外の亜鉛塩を含むあらゆる胃腸的に許容しうる亜鉛イオン源で所望により置き換えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0015】
本発明によると、亜鉛イオン源は、動物の餌に入れると、該動物における糞臭を低減するのに思いのほか有効であることができることが、見いだされた。特定の理論にとらわれるものではないが、亜鉛イオンは、便中に存在する複素環、チオール、硫化物、インドール類、アルデヒドおよびフェノール類など臭気を産生する化合物のレベルを低下させ、このようにして糞臭を低減すると考えられる。
【0016】
さらに、本発明によると、追加的な臭気低減剤(1以上)は、亜鉛イオン源と組み合わせて用いる場合、ネコおよびイヌなどのコンパニオン動物における糞臭を低減するのに有用であることができると考えられる。さまざまな態様において、そのような追加的な臭気低減剤(1以上)は、繊維、ミネラル、薬草および香辛料、薬草および香辛料の抽出物、プロバイオティクス(probiotics)、酵素、ならびにタンパク質からなる群より選択される。
【0017】
例として、亜鉛イオン源と一緒に用いることができる薬草および香辛料には、ローズマリー、ニンニク、キャラウェー、ハトムギ(dove wheat)、ハコベ、バナナ、マヨラナ、カミツレ、ニクズク、オールスパイス、クミン、タラゴン、タイム、甘草、バジル、セロリ種子、レモンバーム、ラベンダー、ウイキョウ、アニス、イラクサ、エキナセア、およびユッカ、例えばMohaveユッカ(Yucca schidigera)がある。例として、亜鉛イオン源と一緒に用いることができる薬草および香辛料の抽出物としては、精油、例えば、レモン、ハッカ、タイム、バニラ、柑橘類、桂皮、ユーカリ、ラベンダー、チョウジおよびオレガノの油からなる群より選択される精油が挙げられる。本発明に従って用いることができる追加的な植物抽出物は、米国特許第5401502号に挙げられており、これを全体として本明細書中で参考として援用する。
【0018】
特定の理論にとらわれるものではないが、臭気を結合する化合物、臭気を遮蔽する化合物、微生物的調節(microbial modulation)、抗炎症的手段または酵素的調節(enzymatic modulation)により臭気を低減する化合物、ならびに、窒素代謝の変性(modification)またはアンモニアの結合により臭気を低減する化合物は、亜鉛イオン源と組み合わせて用いると、場合によっては糞臭の低減に対し相加的、相補的または相乗的効果を有することができると考えられる。
【0019】
本発明の方法は、ヒトおよび非ヒト動物を含むさまざまな動物に有用であることができると考えられ、ここにおいて、非ヒト動物は、非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジーなど)、コンパニオン動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマなど)、家畜(例えば、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシなど)、実験動物(例えば、マウス、ラットなど)、鳥類(例えば、カナリヤ、オウムなどの飼い慣らされた鳥およびニワトリ、アヒル、シチメンチョウなどの商業的鳥)、げっ歯類(例えば、ハムスター、モルモット、アレチネズミ、ウサギ、ハリネズミ、シロイタチ、チンチラなど)、ならびに野生動物、外来動物および動物園の動物(例えば、オオカミ、クマ、シカなど)などである。
【0020】
本発明のいくつかの態様において、動物はネコである。
【0021】
本発明の他の態様において、動物はイヌである。
【0022】
本発明は、単独または上記のものを含む他の臭気低減剤との組合わせで亜鉛イオン源を含有するさまざまな組成物を意図している。意図する組成物としては、例えば、食品、サプリメント、トリート、スナック、玩具(典型的には噛むことができ消費可能な玩具)、飲料、および高水分ゲルが挙げられる。あるいは、亜鉛イオン源を含む組成物は、丸剤、錠剤、ゲル、またはカプセル剤などの経口単位剤形で投与することができる。
【0023】
一般に、本発明は、乾燥物質基準で0〜約50重量%の炭水化物;約5重量%〜約70重量%のタンパク質;約2重量%〜約50重量%の脂肪;および0〜約15重量%の栄養調整剤(nutritional balancing agent)を含む食品組成物に有用であることが見いだされるであろう。
【0024】
亜鉛イオン源は、本方法に従って該組成物を用いるときに糞臭を低減するのに有効な量で該組成物中に存在すべきである。例えば、本発明の組成物中の亜鉛イオン源、例えば酢酸亜鉛または他の亜鉛塩の量は、約75〜約3000ppmの亜鉛イオンを提供する量であることができる。当業者なら、本明細書中の開示内容に基づく常用試験により、上記範囲にある酢酸亜鉛の量と有効性において同等の特定の亜鉛イオン源の量を、容易に立証するであろう。
【0025】
本明細書において“酢酸亜鉛当量”は、酢酸亜鉛の形にある上記量の亜鉛イオンと糞臭を低減する効果において同等である特定の亜鉛イオン源の量である。
【0026】
本発明の一態様において、該組成物は、亜鉛イオン源と繊維を含む動物用食品である。繊維は、保水力、身体的バルキング(physical bulking)、腸内細菌のための燃料、粘度における変化などのさまざまな機序により腸の運動性を調節するのを助ける、重要な食品成分である。繊維の例としては、セルロース、ヘミセルロース、柑橘パルプ、オオムギ、ふすま、バナナ、オートムギ繊維、マンナン−オリゴ糖、ペクチン、キシロオリゴ糖、ゴボウ、ビートパルプ、イヌリン、アラビノガラクタン、ゴムからのオリゴ糖、ガラクトース、他のキシラン、フルクタン、デキストラン、耐性デンプンなどが挙げられるが、これらに限定されない。繊維は一般に、該組成物の約0.1重量%〜約20重量%、例えば約1重量%〜約11重量%のレベルで存在すべきである。
【0027】
さまざまな態様において、繊維の組成物は、非発酵性繊維100%、中程度に発酵性の繊維100%、または高度に発酵性の繊維100%であることができる。
【0028】
他の態様において、繊維の組成物は、繊維組成物全体の少なくとも約0.1重量%、例えば少なくとも約10%、少なくとも約20%、または少なくとも約60%を、非発酵性繊維の形で包含することができる。特定の態様において、繊維は、繊維組成物全体の約10重量%〜約80重量%、例えば約40重量%〜約60重量%を発酵性繊維の形で含み、残りは非発酵性繊維である。
【0029】
特定の態様において、繊維の組成物は、繊維組成物全体の約5重量%〜約50重量%、例えば約10重量%〜約15重量%を中程度に発酵性の繊維として包含する。
【0030】
特定の態様において、繊維の組成物は、繊維組成物全体の0重量%〜約20重量%、例えば約10重量%〜約15重量%を高度に発酵性の繊維の形で包含する。
【0031】
非発酵性繊維としては、セルロース、オートムギ繊維、ヘミセルロースおよび落花生の殻が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
中程度に発酵性の繊維としては、ビートパルプ、柑橘パルプ、耐性デンプン、一部のゴム、ガラクトオリゴ糖、マンナン−オリゴ糖、ゴボウ、米ぬか、大豆繊維、オートムギグルカン(oat glucan)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
高度に発酵性の繊維としては、ゴム、ペクチンおよびキシロオリゴ糖などの特定のオリゴ糖が挙げられるが、これらに限定されない。ゴムは、微生物により産生されるゴム、例えば、限定されるものではないが、ゲランガムおよびキサンタンガム、ならびに、アカシアなどの植物により産生されるゴム(アラビアゴム)を包含することができる。
【0034】
繊維組成物は、約0%〜約80%の有機物消失すなわち発酵性を有するべきであるが、個々の繊維構成要素または個別に用いられる繊維は、0%〜100%の範囲の発酵性を有することができる。“有機物消失”は、繊維組成物を動物またはヒトからの糞便と12〜24時間にわたり生理学的体温またはその付近においてin vitroでインキュベートしたときに発酵により失われる有機物のパーセンテージであり、
{1−[(有機物残分−有機物ブランク)/初期有機物]}×100
として算出される。
【0035】
典型的には、該組成物の亜鉛イオン源および他の所望による臭気低減剤(1以上)は、動物が該組成物を消費に許容できないものであると悟るか、あるいは該組成物を摂取することを拒むか、拒絶するか、抑制するような芳香または風味を付与しない濃度で存在する。しかしながら、そのような濃度を超えた場合であっても、望ましい芳香および風味を、例えば亜鉛イオン源の芳香または風味を遮蔽するための芳香または風味向上剤を用いて達成することができる。
【0036】
該組成物の亜鉛イオン源および他の所望による臭気低減剤(1以上)は、動物の健康に有害でない濃度で存在すべきである。したがって、例えば、酢酸亜鉛は、消化に対する望ましくない効果、詳細には、数日間以上持続する長期効果を引き起こさない濃度で存在すべきである。消化に対する望ましくない効果としては、例えば、便秘または下痢を挙げることができる。
【0037】
一態様において、該組成物は、単独または1種以上の追加的な臭気低減剤との組合わせで亜鉛イオン源を含む食品サプリメントである。サプリメントとしては、例えば、飼料またはペットフードであって、全体の栄養的なバランスまたは性能を改善するために他の飼料またはペットフードと一緒に用いられるものが挙げられる。意図しているサプリメントとしては、他の飼料またはペットフードへのサプリメントとして希釈せずに与えられ、別個に入手可能な動物の糧食の他の部分に関しては自由な選択が提供される組成物か、希釈されて動物の通常の飼料またはペットフードと混ぜ合わされて完全な飼料またはペットフードをもたらす組成物が挙げられる。例えばAAFCOは、American Feed Control Officials,Inc.Official Publication,220頁(2003年)にサプリメントに関する論考を提供している。サプリメントは、例えば、粉末、液体、シロップ、丸剤、封入された組成物などを含むさまざまな形にあることができる。
【0038】
他の態様において、該組成物は、単独または1種以上の追加的な臭気低減剤との組合わせで亜鉛イオン源を含むトリートである。トリートとしては、例えば、動物に与えると該動物が食事時間外に食べるようにそそのかされる組成物が挙げられる。犬用に意図しているトリートとしては、例えば、イヌの骨の形をしたイヌ用ビスケットが挙げられる。トリートは栄養的なものであることができ、ここにおいて、該組成物は、1種以上の栄養素を含み、例えば食品に関して先に記載したような組成を有することができる。栄養的でないトリートは、非毒性である他のあらゆるトリートを包含する。亜鉛イオン源は、例えば、トリート上にコーティングするか、トリート中に組み込むか、またはその両方であることができる。
【0039】
他の態様において、該組成物は、単独または1種以上の追加的な臭気低減剤との組合わせで亜鉛イオン源を含む玩具である。玩具としては、例えば、噛むことができる玩具が挙げられる。イヌ用に意図している玩具としては、例えば、人工骨が挙げられる。亜鉛イオン源は、玩具の表面上または玩具の部品の表面上のコーティング中に存在することができ、あるいは、玩具の全体にわたり部分的にもしくは完全にまたはその両方で組み込むことができる。意図している態様において、亜鉛イオン源は、対象とする使用者により経口的に利用しやすいものである。
【0040】
本発明に従った改良に適した例示的玩具は、以下に個別に挙げる特許に開示されており、これらを本明細書中で参考として援用する。
【0041】
米国特許第5339771号およびその中に開示されている参考文献。
【0042】
米国特許第5419283号およびその中に開示されている参考文献。
【0043】
本発明は、部分的に消費可能な玩具(例えば、プラスチック部品を含む玩具)および完全に消費可能な玩具(例えば、生皮およびさまざまな人工骨)の両方を意図していることを、認識すべきである。さらに、本発明は、ヒトおよび非ヒトの両方での使用、詳細にはコンパニオン動物、家畜および動物園の動物での使用、詳細にはイヌまたはネコでの使用のための玩具を意図していることを、認識すべきである。
【0044】
“トリート”および“玩具”という用語は、本明細書の目的に関して互換性があると考えることができる。しかしながら、一般に、トリートは完全に食べることができ、本発明に従った玩具は、食べることができるコーティングを有する。
【0045】
他の態様において、該組成物は水性ペット用飲料である。亜鉛イオン源は、そのような飲料中に典型的には溶解した形で存在する。該飲料は主に水を含み、所望によりさらに肝消化物(liver digest)などの風味向上剤を含む。
【0046】
他の態様において、該組成物は高水分ゲルすなわち“固体水”組成物であり、例えば、実質的に米国特許第6528084号に開示されているようなものであるが、亜鉛イオン源が典型的には溶解した形で添加されたものである。そのような組成物は、Jell−O(登録商標)デザートに類似するゼリーのようなコンシステンシーを有することができる。
【0047】
本発明の組成物の調製では、単独または1種以上の追加的な臭気低減剤との組合わせでの亜鉛イオン源が、該組成物中に所望の濃度、典型的には約75ppm〜約3000ppmの亜鉛イオンを提供する量で存在するように、該組成物の構成要素を調整する。例えば、亜鉛イオン源は、配合工程中、例えば該組成物の他の構成要素の混合中および/または混合後に、該組成物中に組み込むことができる。該組成物中へのこれら構成要素の分配は、標準的混合手順を含む任意の従来法により達成することができる。
【0048】
本発明の組成物(詳細には食品)は、ペットフードの従来法を用いて缶詰の形または湿潤した形で調製することができる。栄養的に適切な食品組成物に関する典型的な要件は:
炭水化物、0〜約90重量%、例示的には約5重量%〜約45重量%;
タンパク質、約5重量%〜約70重量%、例示的には約10重量%〜約60重量%;
脂肪、約2重量%〜約50重量%、例示的には約5重量%〜約40重量%;
食物繊維全体、約0.1重量%〜約20重量%、例示的には約1重量%〜約11重量%;および
ビタミンおよびミネラルなどの栄養調整剤、0〜約15重量%、例示的には約2重量%〜約8重量%
である。本発明に従って、これらの成分に、1種以上の糞臭低減剤、例えば酢酸亜鉛を添加する。
【0049】
ビタミンおよびミネラルは、欠乏を避け健康を維持するために必要な量で包含されるべきである。例えば、National Research Councilは、家畜に関する勧告を、National Academy Press,ワシントンDCにより出版されているNutrient Requirements of Swine、第10改訂版(1998年);Nutrient Requirements of Poultry、第9改訂版(1994年);Nutrient Requirements of Horses、第5改訂版(1989年)などに与えている。AAFCOは、イヌおよびネコに関する勧告を、American Feed Control Officials,Inc.Official Publication(2003年)の126〜240頁に提供している。
【0050】
意図している一態様では、地上に棲む動物(ground animal)(例えば、ほ乳類、家禽および/または魚類)のタンパク性組織を、例えば動物性脂肪および植物油、穀物、他の栄養調整成分、特殊な目的のための添加物(例えば、ビタミンとミネラルの混合物、無機塩、セルロースおよびビートパルプ、充填剤など)を含む他の成分と混合し;加工に十分な水も加える。これらの成分を、典型的には、加熱に適した容器内で該構成要素をブレンドしつつ混合する。混合物の加熱は、あらゆる適切な方法、例えば、直接的蒸気噴射によるか熱交換器を取り付けた容器を用いることなどにより、達成することができる。最後の成分の添加後、混合物を約10℃〜約100℃の温度に加熱する。この範囲外の温度は、許容可能であるが、他の加工助剤を使用しなければ商業的に実用的でない可能性がある。適切な温度に加熱すると、該材料は典型的には濃い液体の形になる。この濃い液体を適切な容器、例えば缶、広口瓶、パウチなどに詰める。蓋をし、容器を気密封止する。その後、封止した容器を、内容物を滅菌するように設計された従来の装置に入れる。これは通常、適切な時間にわたり少なくとも約110℃の温度に加熱することにより成し遂げられ、この時間は、例えば用いる温度および組成に依存する。製品は、内容物を商業的滅菌まで加熱した後で滅菌済み容器に詰める無菌法により調製することもできる。
【0051】
本発明の組成物(とりわけ食品)は、従来法を用いて乾燥した形で調製することができる。意図している一態様では、乾燥成分、例えば動物性タンパク源、植物性タンパク源、穀類などを、一緒に粉砕し混合する。その後、脂肪、油、動物性タンパク源、水などの湿潤成分または液体成分を、該乾燥調合物に加えて混合する。その後、混合物をキブル(kibble)または同様の乾燥品に加工する。キブルは、乾燥成分と湿潤成分の混合物を高圧および高温で機械的加工に付し、小さな開口部に押し込んで回転ナイフによりキブルに切断する、押出法を用いて成形することが多い。その後、湿っているキブルを乾燥し、所望により、例えばフレーバー、脂肪、油、粉末などを包含することができる1種以上の局部的コーティングでコーティングする。キブルは、押出ではなくベーキング法(baking process)を用いてドウから作成することもでき、該方法では、乾燥−加熱加工の前にドウを金型に入れる。キブルは、ペレット化を受ける食品マトリックスから作成することもできる。単独または追加的な臭気低減剤との組合わせでの亜鉛イオン源は、亜鉛イオン源を混合物に添加した後で押し出すことによるか、または押し出されたキブルもしくはペレットに局部的コーティングの成分として亜鉛イオン源をコーティングすることにより、食品組成物に組み込むことができることに、留意することが重要である。
【0052】
本発明のトリートは、例えば、乾燥食品に関し上記したものと同様の押出法またはベーキング法により調製することができる。他の方法を用いて、現行のトリート形の外側に単独または1種以上の追加的な臭気低減剤との組合わせで亜鉛イオン源を含むコーティングを施用するか、該亜鉛イオン源を現行のトリート形に射出することもできる。
【0053】
本発明の動物用玩具は典型的に、現行の玩具を、単独または1種以上の追加的な臭気低減剤との組合わせで亜鉛イオン源を含む組成物でコーティングすることにより調製する。
【実施例】
【0054】
以下の実施例は例示に過ぎず、決して本開示を限定するものではない。
実施例1
【0055】
イヌにおける糞臭化合物に対する酢酸亜鉛の効果の特性を決定するために実験を実施した。基準レベルである150ppmの亜鉛を酢酸亜鉛の形で含有するキブルで構成される乾燥食品である対照食品に、酢酸亜鉛の形にある亜鉛をさまざまな量でキブル上のコーティングとして加えた。これは、インラインの化粧がけにより他のすべての局部的成分を添加した後、2段階コーティング法で回転ドラム内でキブル上に酢酸亜鉛微粉を手でコーティングする(hand coating)(振りかける)ことにより行った。10匹のイヌに亜鉛を添加していない対照食品を与え、10匹のイヌに亜鉛を400ppm添加した対照食品を与え、10匹のイヌに亜鉛を600ppm添加した対照食品を与え、10匹のイヌに亜鉛を900ppm添加した対照食品を与えた。イヌに3週間にわたりこれらの餌の1種を与えた。3週間終了時に、糞試料を採取し、標準量の糞をガラス容器に入れて、ヘッドスペースにおける固相マイクロ抽出繊維をインキュベートすることにより分析した。繊維に結合している揮発物を、分析のためにガスクロマトグラフ上で溶離した。化合物を、フレームイオン化チャンバーを用いて同定した。
【0056】
結果を以下の表1に示す。数字は、クロマトグラムにおけるピーク下の面積により測定される相対的差異を示す。亜鉛を食品に添加すると、フェノール類、チオールおよび硫化物、ならびにインドール類のレベルが低下した。場合によっては、少量の亜鉛が、糞臭化合物、例えばインドール類のレベルを低下させることができた。その他の場合、亜鉛のレベルが上昇すると、特定の臭気化合物、例えばフェノール類およびチオールのレベルが低下した。
【表1】

実施例2
【0057】
ネコにおける糞臭化合物に対する酢酸亜鉛の効果の特性を決定するために実験を実施した。基準レベルである160ppmの亜鉛を酢酸亜鉛の形で含有するキブルで構成される乾燥食品である対照食品に、さまざまな量の亜鉛を実施例1のように酢酸亜鉛の形で添加した。8匹のネコに亜鉛を添加していない対照食品を与え、8匹のネコに酢酸亜鉛を860ppm添加した対照食品を与え、7匹のネコに酢酸亜鉛を1200ppm添加した対照食品を与え、7匹のネコに酢酸亜鉛を1800ppm添加した対照食品を与えた。ネコに1カ月間にわたりこれらの餌の1種を与えた。1カ月間終了時に、糞試料を採取し、実施例1に記載したように分析した。
【0058】
結果を以下の表2に示す。数字は、クロマトグラムにおけるピーク下の面積により測定される相対的差異を示す。亜鉛を食品に添加すると、複素環、インドール類、アルデヒドおよびフェノール類の糞レベルが低下した。場合によっては、最低レベルの亜鉛が、糞臭化合物、詳細にはインドール類および複素環を減少させることができた。その他の場合、亜鉛のレベルが高いほど、例えばフェノールの場合は大きく減少した。
【表2】

【0059】
上記で引用したすべての特許および出版物を、全体として本出願で参考として援用する。
【0060】
“含む”、“含む(3人称単数)”および“含んでいる”という語は、排他的ではなく包含的に解釈すべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパニオン動物の糞臭を低減するための方法であって、該方法が、該動物に、糞臭を低減するのに有効な量の亜鉛イオン源を含む組成物を摂取させることを含む、前記方法。
【請求項2】
亜鉛イオン源が、少なくとも約75ppmの亜鉛イオンを提供し且つ該動物の消化に対し有害作用をもたらすには不十分な量で、該組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
亜鉛イオン源が、約75ppm〜約3000ppmの亜鉛イオンを提供する量で該組成物中に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
亜鉛イオン源が亜鉛塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
亜鉛塩が、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、硫酸亜鉛、およびクエン酸亜鉛ナトリウムからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
亜鉛塩が酢酸亜鉛である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
酢酸亜鉛が、少なくとも約200ppmの亜鉛イオンを提供する量で該組成物中に存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酢酸亜鉛が、少なくとも約500ppmの亜鉛イオンを提供する量で該組成物中に存在する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
動物がネコである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
動物がイヌである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
組成物が食品の形にある、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物がトリートの形にある、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
組成物がサプリメントの形にある、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
組成物が玩具のコーティングの形にある、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
組成物が飲料の形にある、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
組成物が高水分ゲルの形にある、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
組成物が丸剤、錠剤、ゲル、またはカプセル剤の形にある、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
該組成物がさらに、亜鉛イオン源以外に少なくとも1種の臭気低減剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
亜鉛イオン源以外の少なくとも1種の臭気低減剤が、繊維、ミネラル、薬草および香辛料、薬草および香辛料の抽出物、プロバイオティクス、酵素、ならびにタンパク質からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
亜鉛イオン源以外の少なくとも1種の臭気低減剤が、ローズマリー、ニンニク、ショウガ、キャラウェー、ハトムギ、ハコベ、バナナ、マヨラナ、カミツレ、ニクズク、オールスパイス、クミン、タラゴン、タイム、甘草、バジル、セロリ種子、レモンバーム、ラベンダー、ウイキョウ、アニス、イラクサ、エキナセア、およびユッカからなる群より選択される薬草または香辛料である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
亜鉛イオン源以外の少なくとも1種の臭気低減剤が、レモン、ハッカ、タイム、バニラ、柑橘類、桂皮、ユーカリ、ラベンダー、チョウジ、およびオレガノの油からなる群より選択される精油である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
亜鉛イオン源以外の少なくとも1種の臭気低減剤が少なくとも1種の繊維である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
繊維が、セルロース、ヘミセルロース、柑橘パルプ、オオムギ、ふすま、バナナ、オートムギ繊維、オートムギグルカン、マンナン−オリゴ糖、ペクチン、キシロオリゴ糖、ゴボウ、ビートパルプ、イヌリン、アラビノガラクタン、およびオリゴ糖からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
繊維が該組成物中に約0.1重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
繊維が該組成物中に約1重量%〜約11重量%の量で存在する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
該組成物中に存在する繊維全体のうち少なくとも約20重量%が非発酵性である、請求項22に記載の方法。

【公表番号】特表2007−512022(P2007−512022A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541473(P2006−541473)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039795
【国際公開番号】WO2005/053420
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】