説明

コンパートメント間の層を裂開するための押下げ可能な可撓性ドーム部を有する2コンパートメント型容器

第1のコンパートメントが、上方層及び下方層を有し、第2のコンパートメントに添加されるべき第1の成分を含む、2コンパートメント型容器。第1のコンパートメントの上方には、上方向へ屈曲する及び可撓性であるドーム部がある。ドーム部を下方向へ押すことによりドーム部を押し下げることによって、第1のコンパートメントの下方層は、上方層を切開する又は裂開することなく裂開され、第2のコンパートメント中に第1の成分を放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ及び容器に関し、詳細には2つのコンパートメントを有し、使用時まで2つのコンパートメントを隔離状態に維持するために使用されてよい容器に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の異なるタイプのパッケージが、使用時まで生成物コンパートメントが隔離状態に維持されることが可能となるように、及びいくつかの場合においては、生成物の使用時まで一方のコンパートメントが無菌状態を維持するのを可能にするように、設計されてきた。1タイプの2コンパートメント型容器において、ストッパ又は他の手段が、2つのコンパートメント間の穴の中に配置される。例えば、Halmの2コンパートメント型容器(米国特許第5,417,321号)は、他方の上に一方が組み合わされ、ストッパを施された開口により連結される、2つのコンパートメントを有する一体形容器を含む。本明細書において参照される全ての特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
他の2コンパートメント型パッケージは、2つの予め隔離された成分が混合するのを可能にするような穿刺ユニットを使用する。例えばGoncalvesの特許を参照されたい(第1のコンパートメントを画成するガラス器を有し、第2のコンパートメントを画成するボトルが上に設置される頸部を備え、穿刺ユニットがガラス器に対して変位される際に突き刺される2つのコンパートメント間の膜を有する、米国特許第5,170,888号、並びに混合用穿孔具の操作の結果として穿孔可能なカバー部により隔離される2つのユニットを有する、米国特許第4,757,916号)。Wiegnerの2部品型容器(米国特許第4,103,772号)は、コンパートメントを区分する被覆アルミニウム・フォイルの脆弱性隔壁と、隔壁の方向へ直交的に向けられる、弾力性部分上に設置された穿孔部材とを有する。Whiteの特許(米国特許第4,637,934号)においては、剛性穿通手段が、ナーシング用の液体がコンパートメントから連絡用の取り付けられたニップルへ流れることを可能にするように、コンパートメント密閉隔膜を穿通するために使用される。
【0004】
また、これまで、パッケージの頂部に装着された開口容器を有し、ねじキャップとシリンダ・ジャケット形状の支持リングとを備える2コンパートメント型パッケージが、開発されてきた。シリンダ・ジャケット形状の支持リングは、開口ディスクを外部で取り囲む固定フランジによってパッケージの頂部に装着され、その内面上に彫り出されたねじ山を備える。リングは、プラスチック製のねじキャップの外部ねじ山を包囲する。カッターが、ねじキャップの自由端部上に一体的に成形され、自由端部を貫通する角度で進む前方切刃を備える。
【0005】
2液エポキシ接着剤などの生成物に関して、Wilkinsonらの特許(米国特許第4,786,279号)におけるもののように、2つのコンパートメントが、生成物が反応しないようにするためにやはり必要とされる。
【0006】
Renaultの供給器(米国特許第5,564,600号)は、座部に対して封止される封止部材によって隔離された2つのコンパートメントを有し、それにより他方に対する一方の容器の移動によって、封止部材が、座部から離れるように移動し、封止部材と座部との間に冠状通路を形成する。
【0007】
米国特許第6,209,718号、米国特許第6,105,760号、米国特許第6,513,650号及び米国特許第6,786,330号が、2コンパートメント型パッケージを開示し、これは、使用時まで液体成分から第1の成分を隔離状態に維持し、それによって、第1の成分は、使用の直前まで湿らされない。2コンポーネント型パッケージは、使用直前まで少なくとも一方の成分を無菌状態に保ち、使用時点で、又は使用前に、2つの成分は容易に混合され得る。したがって、この先行の発明は、消費直前に食品、液体栄養品、医薬品又は飲料製品に添加されるべき乾燥微生物培養菌を隔離包装するための容器と、消費直前まで液体から炭酸化錠剤を隔離包装するための容器と、消費前に飲料、液体栄養品、医薬品又は飲料に添加するまで、ビタミン又は他の不安定成分を分離包装するための容器とに使用されることが可能である。
【0008】
米国特許第6,098,795号は、主要パッケージに選択された成分を添加するための、したがって使用前の選択された時間まで、好ましくは液体である第2の成分から例えば感湿性のものであってよい第1の成分を離しておく2コンパートメント型容器を形成する、容器及び手段を開示する。好ましくは供給パッケージ内の空洞部内部のコンパートメント内に第2の成分を含む供給パッケージが、主要パッケージの外面上に設置可能であってよい。穿刺手段が、例えばコンパートメントから主要パッケージ内に第1の成分を放出するように、主要パッケージへのアクセスを得るように、コンパートメント及び主要パッケージを突き抜けるために提供される。代替として、主要パッケージは、第1の実施例の好ましい使用例においては、エンテラル・バッグ(enteral bag)などのバッグであってよい。同発明の第2の実施例においては、好ましくは、主要パッケージが、液体飲料を収容するためのものであり、供給パッケージが、製造工程中に主要パッケージに取り付けられる。
【0009】
殺菌処理充填されたボトル又はカートンなどを用いるいくつかの場合において、パッケージの製造後に及び/又はパッケージ上の位置に、パッケージに選択された隔離された第1の成分を添加するための手段を提供する必要があり、この成分は、例えば患者の病歴及び診断に応じて、濃度及び/又は成分を変更してよい。第1のコンパートメント及びパッケージが共に製造された後にパッケージに第1のコンパートメントを装着する手段を提供することによって、ユーザが、パッケージに添加すべき特定の第1の成分と、パッケージに第1の成分を添加する時間及び場所とを共に選択することが可能となる。また、飲料が消費される時点で、又は消費される直前に、液体飲料ボトルに、飲料用添加物、特に分解性成分又は感湿性成分又は酸素感受性成分(例えばビタミン)を添加することが可能である必要がある。
【0010】
多数の先行技術の2コンパートメント型容器のために使用される構造のタイプは、複雑なものであり、しばしば漏出しやすい。したがって、使用時まで液体成分から第1の成分を隔離状態に維持し、それによって第1の成分は、使用の直前まで湿らされることがなく、これは、使用の直前まで少なくとも1つの成分を無菌状態に保ち、2つの成分は、使用直前に容易に混合されてよく、これは、成分の混合の前に、及びいったん成分が混合されると、最小限の漏出を有する又は全く漏出がない、2コンパートメント型パッケージを有することへの需要がまだある。例えば、消費直前に食品、液体栄養品、医薬品又は飲料製品に添加されるべき乾燥微生物培養菌を隔離包装するための容器、消費直前まで液体から炭酸化錠剤を隔離包装するための容器、並びに消費前に飲料、液体栄養品、医薬品又は飲料に添加するまで、例えばビタミン、着香料又は着色料、或いは他の不安定成分を分離包装するための容器に対する需要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の1つの目的は、使用前の選択された時間まで、好ましくは液体である第2の成分から例えば感湿性のものであってよい第1の成分を離しておき、次いで成分間の隔離状態が、穿刺用構造物の使用なしに除去され得る、2コンパートメント型容器を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、改善された製造容易性及び低減された漏出性を有する2コンパートメント型容器を提供することである。
【0013】
他の目的及び利点が、以下の開示及び添付の特許請求の範囲より、より完全に明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、本明細書において、2コンパートメント型容器である。第1のコンパートメントが、上方層及び下方層を有し、第2のコンパートメントへ添加されるべき第1の成分を含む。第1のコンパートメントの上方には、上方向へ屈曲する及び可撓性であるドーム部がある。ドーム部を下方向へ押すことによりドーム部を押し下げることによって、ドーム部は、上方層を裂開することなく第1のコンパートメントの下方層を裂開し、第2のコンパートメント内に第1の成分を放出する。
【0015】
本発明の他の目的及び特徴が、以下の開示及び添付の特許請求の範囲より、より完全に明らかになろう。
【実施例】
【0016】
本発明は、コンパートメント間の下方層を裂開することによって、第1のコンパートメントから第2のコンパートメント内に感受性成分を放出するように押下げ可能なドーム部を有し、漏出の可能性が最小限である又は全くない、改善された2コンパートメント型容器を提供する。
【0017】
本明細書において使用される際に、相対方向に関する語句である「上方」、「下方」及び同様のものは、容器が、第2のコンパートメントの開口が上方向へ向けられるように配向されたボトル、カートン又は同様のものである場合の、本発明の部品の相対配向を指定するために使用される。本発明の容器の特定の構造又は使用例において、容器は、本明細書における本発明から逸脱することなく他の態様で配向されてよく、そのような例においては、本発明の部品の実際的な配向が、それに対応して変更されることが理解される。
【0018】
詳細には、本発明は、本明細書において、第1のコンパートメント12及び第2のコンパートメント14を備える容器10である(図1〜図2)。概して、第2のコンパートメント14は、普通は液体である第2の成分C2を含む主要コンパートメントとしての役割を果たし、第1のコンパートメント12は、第2のコンパートメント14に添加されるべき第1の成分C1用の供給パッケージとしての役割を果たすが、本明細書において使用される「主要」パッケージ及び「供給」パッケージという語句の使用によって、いかなる限定もパッケージの絶対寸法又は相対寸法に対して与えられないことが、理解される。これらの語句は、単に機能及び構造的特徴における差異により2つのパッケージを区別するために使用され、主要パッケージは、物質を収容するための先行技術において既知のパッケージを含み、好ましくは、供給パッケージは、主要パッケージに添加されるべき第1の成分を収容するように設計される。本明細書における好ましい実施例において、第2のコンパートメント14は、ねじキャップ式ボトル、又は当技術分野において知られるジュース用カートンなどのカートンである。
【0019】
第1のコンパートメント12は、上方層16及び下方層18を有し、第2のコンパートメント14に添加されるべき第1の成分C1を含む。好ましくは、第1のコンパートメント12の構造は、上述に参照される先行特許において開示されるものと同様であり(例えば、米国特許第6,098,795号、米国特許第6,105,760号、米国特許第6,209,718号及び米国特許第6,786,330号を参照)、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい第1のコンパートメント12は、好ましくはフォイルから製造され、より好ましくは、コンパートメントの外側の1つの面上に、ポリビニル積層されたアルミニウム・フォイルなどのプラスチック層を有し、内側上に、例えばALCAN PACKAGING株式会社(Kreuzlingen、スイス)の材料番号3131781などのOPAラッカーなどのラッカー塗装された面を有するフォイルから製造される。第1のコンパートメント12の上方には、第2のコンパートメント14を覆うキャップ24の一部であり、上方向へ屈曲する及び可撓性であるドーム部20がある。好ましくは、ドーム部20は、当技術分野において知られる、薄い可撓性プラスチック材料から形成される。
【0020】
本明細書における本発明において、キャップ24のねじ山領域38の上方に延在するカラー部36が、第2のコンパートメント14上に懸架されるドーム部20を保持する。したがって、本発明の使用において、ドーム部20を下方向へ押すことによるドーム部20の押下げが、ドーム部20を下げさせ、それによって第1のコンパートメント12の下方層18はドーム部20の圧力によって裂開されるが、上方層16は裂開されず、第2のコンパートメント14内に第1の成分C1を放出する。上方層16は切開されない又は裂開されないため、移動による外部部分からの漏出はない。
【0021】
本発明において、第1のコンパートメント12は、上方向へ屈曲され、好ましくは、上方層16は、厚いプラスチック及び/又はフォイル材料から製造されるような、かなり厚いものである。平坦な下方層18は、薄く、容易に裂開可能なフォイルである。したがって、本実施例においてドーム20が押し下げられると、これは、図2に図示されるように上方層16を下方向に押し、それにより損傷を受けてはいないが下方向に押された上方層16が、上方層16を穿刺又は裂開することなく、図示されるように下方層18に対して押され、最終的には下方層18を裂開する。
【0022】
本発明において、図1に図示されるように、キャップ24の上に外部キャップ34があると好ましく、これは、輸送中及び保管中などの使用前の、ドーム部20の偶発的な押下げを防止する。同キャップ34の形態は、当技術分野において知られている又は有用さに応じた任意のものであってよく、本明細書における本発明の特定の部品ではない。
【0023】
主に、本発明は、主要パッケージ(第2のコンパートメント14)中に配置される液体への、好ましくは第1のコンパートメント12内に配置される選択された感受性の第1の成分C1の添加のために設計される。本明細書において使用される「選択された」第1の成分C1という語句は、例えば補助ビタミン若しくは抗生物質を必要とする人によって使用されるべきボトル又はカートンへの添加などの特定の使用例のために選択された、或いはある特定の容量又は濃度、及び同様のものを有する、第1の成分(又は複数の成分)を含む。第1の成分は、好ましくは第2の成分を含む主要パッケージに添加されるべき、単一の合成物、混合物、溶液、カプセル、錠剤、粉末又は任意の他の収容可能な成分(若しくは複数の成分)であってよい(次いで、これは、第1の成分が添加されて、有効な生成物をもたらし得る、任意の収容可能な成分(若しくは複数の成分)であってよい)。本明細書における第1の実施例において、各種の予め包装された第1の成分から選択することが可能であることにより、購入者は、第1の成分と第2の成分とを別個に購入する及び保管することが可能となり、例えば非腐敗性の第2の成分を室温で保管し、それぞれが任意の数の各種の第1の成分の1つを有する第1の成分を、後の第2の成分への添加のために、適切な、可能であるならば個別の保管状況下で保管することが可能となる。第1の成分C1が微生物細胞を含む場合、第1の成分は、本明細書の親出願において説明される粉末製剤中にあると好ましい。
【0024】
「感受性」という語句は、感湿性である、或いは例えば成分の配合後の経時的な強度又は値の、損失又は変化により、例えば初めの有効である状態から極度に微弱な状態へと配合された成分の有効性を変化させる副生成物を例えば形成することによって、第2の成分と相互作用する、第1の成分を含む。また、「感受性の」第1の成分は、例えば冷蔵、乾燥保存又は加熱など、第2の成分への添加の直前まで特別な保管及び/又は取扱いを必要とし得る成分を含み、第1の成分は、任意の他の理由(又は複数の理由)により、製造時と第2の成分への添加時などの後の時間との間、第2の成分から隔離されることが望ましい。
【0025】
第1の成分は、乾燥時には安定性であり、その親出願において開示される主要パッケージ内の液体中で容易に溶解する又は懸濁する、粉末の形態であることが好ましい。本発明は、飲料、液体エンテラル栄養品又は医薬品などへ、不安定成分及び/又は無菌成分を添加するために、例えばフルーツジュース、ミルク、水及び医薬品へ、ビタミン又はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)などの有益な胃腸内微生物を添加するために、特に有効である。
【0026】
本発明を、特定の実施例を参照して説明してきたが、多数の変形形態、修正形態、及び実施例が可能であり、したがって全てのそのような変形形態、修正形態、及び実施例が、本発明の精神及び範囲内にあるものと見なされるべきであることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】押し下げられていない場合のドーム部を示す、本発明の断面図である。
【図2】押し下げられた場合のドーム部を示す、本発明の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の成分に第1の成分を添加するための2コンパートメント型容器であって、
(a)第1の成分を含む第1のコンパートメントであって、前記第1のコンパートメントは、上方層及び下方層を有し、前記第1のコンパートメントの前記下方層は、裂開可能な材料から製造される第1のコンパートメントと、
(b)可撓性のドーム部を含むキャップを有する、前記第2の成分を含む第2のコンパートメントと
を備え、
前記可撓性のドーム部の押下げによって、前記下方層は裂開されるが、前記上方層は裂開されず、前記容器の外方にいずれのコンパートメントを開くこともなく、前記第2のコンパートメント中に前記第1の成分を放出する、2コンパートメント型容器。
【請求項2】
前記上方層は、前記下方層よりも厚い、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
第2の成分に第1の成分を添加する方法であって、
(a)第1の成分を含む第1のコンパートメントを提供するステップであって、前記第1のコンパートメントは、上方層及び下方層を有し、前記第1のコンパートメントの前記下方層は、裂開可能な材料から製造されるステップと、
(b)可撓性のドーム部を含むキャップを有する、前記第2の成分を含む第2のコンパートメントを提供するステップと、
(c)前記下方層が裂開されるように前記可撓性のドーム部を押し下げ、前記第2のコンパートメント中に前記第1の成分を放出するステップと
を含む方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−513449(P2009−513449A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537645(P2008−537645)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050291
【国際公開番号】WO2007/050026
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(507340120)バイオガイヤ エービー (5)
【Fターム(参考)】