説明

コンピュータ化されたエレクトロポレーション

コンピュータ化されたエレクトロポレーションの技術を提供する。エレクトロポレーション装置は、事前に保存された複数のユーザ定義処理プロトコルのうちの1つに従って制御することができる。処理プロトコルに関連する処理ログを生成することができ、処理ログは、患者情報または標本固有情報を含んでよい。処理ログまたは処理ログの概要はユーザにエクスポートすることができる。対話的な指示をユーザに提供することができる。このような指示は、処理プロトコルの1つまたは複数の段階に対応するものであってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、概してエレクトロポレーションおよびフローエレクトロポレーションに関する。より詳細には、本発明は、エレクトロポレーションのソフトウェアおよびその他のコンピュータに関する局面に関する。なお、本出願は、2004年11月30日に出願された米国特許仮出願第60/631,751号に対する優先権を主張し、かつ米国特許仮出願第60/631,751号を参照により本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0002】
2. 関連技術の説明
エレクトロポレーションプロセスは一般に、電界を印加することによって細胞膜または任意の小胞に孔を形成する段階を含む。穿孔プロセス中に、細胞を液体媒質内で懸濁させ、次に電界パルスに供することができる。媒質は、電解液、非電解液、または電解液および非電解液の混合物であってよい。懸濁液に印加される電界の強度およびパルスの長さ(電界が細胞懸濁液に印加される時間)は通常、細胞の種類に応じて変化する。
【0003】
当技術分野で開示されている多くのエレクトロポレーション法は、大量の標本の処理には適しておらず、高い電荷または反復的な電荷の使用にも適していない。さらに、該方法は、フローエレクトロポレーションチャンバでの使用にも適していない。多くのエレクトロポレーションチャンバは、静的な使用に限定して設計されている。
【0004】
フローエレクトロポレーション機器またはその他のエレクトロポレーション機器など、検討されるエレクトロポレーション機器の種類にかかわらず、当技術分野では、エレクトロポレーション機器および様々なエレクトロポレーションプロセスの制御において高度なコンピュータ化技術が利用されていない。ポンプ、電極および信号発生装置、弁などの機器の制御、ならびにデータ分析は通常、完全にまたは主として、従来の試行錯誤プロセスを通じて手作業で行われている。任意の特定のエレクトロポレーションプロセスでは通常、訓練を受けた1人または複数の技術者が主として過去の試行錯誤を通じて得られた専門的な(および場合によっては排他的な)知識に従っていくつかの異なる機器のいくつかのパラメータを手作業で調整または設定する必要がある。患者のデータを効果的にかつ有意義にエレクトロポレーションプロトコルおよびルーチンに組み入れるという点では不十分である。
【0005】
従来の技術に依存することで適切な結果がもたらされるが、このような技術は理想的なものではなく、改善の余地がある。たとえば、従来の技術は、たとえば、基本的なエレクトロポレーション機器の詳細に関する専門知識がほとんどまたはまったくない技術者でも効率的に、反復的に、および正確に実行することのできるいくつかの異なるエレクトロポレーションプロトコルをユーザが実施することを可能にする技術を提供することによって著しく改善することができる。患者データをエレクトロポレーションプロトコルおよびルーチンでより効果的に使用できれば、顕著な改善が実現される。
【0006】
上述で参照した従来の方法の欠点は、網羅的なものではなく、むしろエレクトロポレーションに関する既知の技術の効果を損なう傾向のあるいくつかの欠点に含まれるものである。他の注目すべき問題も存在し得るが、上述の問題は、当技術分野で見られる方法が完全に満足行くものではなく、本明細書で説明し請求する技術に対する顕著なニーズが存在することを示すのに十分なものである。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本明細書に開示する技術によって、先行技術の特定の欠点が軽減または解消される。これらの技術は、エレクトロポレーションを含む任意の用途を含むがそれに限定されない多数の用途に適用可能である。このような技術は、ハードウェア(たとえば、少なくともエレクトロポレーション装置および適切に構成されたコンピュータを含むシステム)で、ソフトウェア(当技術分野で公知の多数の媒体のいずれか上で実現される)で、方法として、または当業者によって理解される他のやり方で実施することができる。以下の概要は、たとえばソフトウェアのような他の類似の実施態様が考えられることを理解したうえで、システムまたは方法において実施される本発明の技術に焦点を当てたものである。
【0008】
一観点では、本発明は、エレクトロポレーション装置および特定の構成を有するコンピュータを含むシステムを含む。エレクトロポレーション装置は、エレクトロポレーションを行うのに十分な電気エネルギーを標本に加えるように構成される。コンピュータは、エレクトロポレーション装置に結合され、事前に保存された複数のユーザ定義処理プロトコルの1つに従ってエレクトロポレーション装置を制御するように構成される。
【0009】
他の観点では、コンピュータはさらに、処理プロトコルに関連し、患者情報を含む処理ログを生成するように構成することができる。コンピュータはさらに、処理ログまたは処理ログの概要をユーザにエクスポートするように構成することができる。処理ログまたは概要は、テキスト、ワード処理ファイル、ポータブルドキュメントフォーマットファイル、eメール、またはファクシミリとしてエクスポートすることができる。処理ログまたは概要は、暗号化フォーマットでエクスポートすることができる。処理ログは、ファイル、データ、機器ID、使用回数、プロトコルの名称、プロトコルの説明、プロトコル使用状況、作成されたプロトコル、最後に修正されたプロトコル、処理チャンバ、アクセスレベル、電子情報、エレクトロポレーション機器情報、標本固有情報、および患者情報からなる群より選択される複数のフィールドを含んでよい。コンピュータはさらに、セキュリティレベルに応じて処理ログへのアクセスを制御するように構成することができる。
【0010】
また他の観点では、コンピュータはさらに、処理プロトコルの1つまたは複数の段階に対応する対話的な指示をユーザに与えるように構成することができる。対話的な指示は、エレクトロポレーション装置のハードウェアステータスを点検する指示を含んでよい。対話的な指示は、エレクトロポレーション装置の1つまたは複数の構成要素を組み立てるかまたは作動させる指示を含んでよい。対話的な指示は、エレクトロポレーション装置に導入する標本を取り扱うための指示を含んでよい。対話的な指示は、ユーザにデータフィールドを入力させる指示を含んでよい。データフィールドは、標本に対応するロット番号またはシリアル番号を含んでよい。事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルは、以前の実験の処理プロトコルに対応するものであってよい。
【0011】
他の観点では、本発明は、エレクトロポレーション装置および特定の構成を有するコンピュータを含むシステムを含む。エレクトロポレーション装置は、エレクトロポレーションを行うのに十分な電気エネルギーを標本に加えるように構成される。コンピュータは、エレクトロポレーション装置に結合され、標本に割り当てられた情報を処理プロトコルに自動的に関連付け、プロトコルを実行して標本にエレクトロポレーションを行うように構成される。
【0012】
他の観点では、処理プロトコルは、事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルを含んでよい。情報は、患者情報を含んでよい。この患者情報は、患者IDまたは患者の状態を含んでよい。情報は、電子走査用に構成された形式の情報を含んでよい。この形式はバーコードを含んでよい。情報は、事前に保存された処理プロトコルに対応するプロトコル名を含んでよい。この情報は、新規の処理プロトコルに対応するプロトコル名を含んでよい。
【0013】
他の観点では、システムは、エレクトロポレーション装置および特定の構成を有するコンピュータを含むシステムを含む。エレクトロポレーション装置は、エレクトロポレーションを行うのに十分な電気エネルギーを標本に加えるように構成される。コンピュータは、エレクトロポレーション装置に結合され、(i)標本を走査して標本に割り当てられた情報を識別し、(ii)該情報を入力し、(iii)該情報を既存の処理プロトコルと関連付け、(iv)プロトコルを実行して標本にエレクトロポレーションを行うように構成される。
【0014】
他の観点では、本発明は、コンピュータによって、事前に保存された複数のユーザ定義処理プロトコルの1つに従ってエレクトロポレーション装置を制御する方法を含む。標本は、事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルに従ってエレクトロポレーションを行うのに十分な電気エネルギーに供される。エレクトロポレーション装置はフローエレクトロポレーション装置であってよく、標本はフローエレクトロポレーション装置内を流動する間に電気エネルギーを受けることができる。前記方法はまた、処理プロトコルに関連し、患者情報または標本固有情報を含む処理ログを生成する段階を含んでもよい。前記方法はまた、処理ログまたは処理ログの概要を暗号化フォーマットでエクスポートする段階を含んでもよい。処理ログは、ファイル、データ、機器ID、使用回数、プロトコルの名称、プロトコルの説明、プロトコル使用状況、作成されたプロトコル、最後に修正されたプロトコル、処理チャンバ、アクセスレベル、電子情報、エレクトロポレーション機器情報、標本固有情報、および患者情報からなる群より選択される複数のフィールドを含んでよい。前記方法はまた、セキュリティレベルに応じて処理ログへのアクセスを制御する段階を含んでもよい。前記方法はまた、セキュリティレベルに応じてエレクトロポレーション装置へのアクセスを制御する段階、および許可されたユーザの1つまたは複数の活動を記憶する監査証跡を生成する段階を含んでもよい。前記方法はまた、処理プロトコルの1つまたは複数の段階に対応する対話的な指示をユーザに与える段階を含んでもよい。対話的な指示は、(i)フローエレクトロポレーション装置のハードウェアステータスを点検する指示、または(ii)フローエレクトロポレーション装置の1つもしくは複数の構成要素を組み立てる、もしくは作動させる指示を含んでよい。事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルは、以前の実験の処理プロトコルに対応するものであってよい。該方法はまた、1つまたは材料のエレクトロポレーション装置での使用が妥当であるかどうかを判定し、1つまたは複数の材料の妥当性が確認されない場合に使用を禁止する段階を含んでもよい。
【0015】
他の観点では、本発明は、標本に割り当てられた情報をエレクトロポレーション処理プロトコルと自動的に関連付ける方法を含む。プロトコルが実行され、標本にエレクトロポレーションが行われる。処理プロトコルは、事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルを含んでよい。情報は、患者情報または標本固有情報を含んでよい。情報は、電子走査用に構成された形式の情報を含んでよい。この形式はバーコードを含んでよい。情報は、事前に保存された処理プロトコルに対応するプロトコル名を含んでよい。この情報は、新規の処理プロトコルに対応するプロトコル名を含んでよい。
【0016】
他の観点では、本発明は、標本を走査して、標本に割り当てられた情報を識別する方法を含む。該情報は入力される。該情報は既存のエレクトロポレーション処理プロトコルと関連付けられ、プロトコルが実行され、標本にエレクトロポレーションが行われる。走査は、無線自動識別(RFID)タグおよびリーダの使用を含んでよい。
【0017】
他の観点では、本発明は、上述および本明細書で説明する方法を実行するコンピュータ実行可能指示を含むコンピュータ読み取り可能媒体を含む。
【0018】
本明細書で用いられる「フロー」エレクトロポレーションとは、流動する標本を取り扱うエレクトロポレーションシステム内のエレクトロポレーションチャンバの電極によって連続的または間欠的に(たとえばサイクル単位で間欠的にまたは反復的に)流動する標本に関連するエレクトロポレーションを指す。したがって、「フロー」エレクトロポレーションは、流動する標本を取り扱わないシステム内で標本を静的にバッチごとに処理する従来の静的エレクトロポレーションシステムとは区別される。様々なエレクトロポレーション技術および「フロー」エレクトロポレーション技術が、たとえば米国特許出願第11/127,557号;米国特許出願第10/225,446号;米国特許第5,612,207号;米国特許第5,720,921号;米国特許第6,074,605号;米国特許第6,090,617号;米国特許第6,485,961号;米国特許第6,617,154号;および/または米国特許第6,773,669号(各特許出願および特許は参照により本明細書に組み入れられる)に論じられている。同様に、「流動する」標本は、標本の連続的または間欠的な(たとえばサイクル単位で間欠的なまたは反復的な)流動を指す。
【0019】
本明細書では用いられるエレクトロポレーション「装置」またはフローエレクトロポレーション「装置」とは、エレクトロポレーションを行うときに直接的または間接的に使用される任意の機器を指す。したがって、エレクトロポレーション「装置」またはフローエレクトロポレーション「装置」は、1つまたは複数のエレクトロポレーションチャンバ、ポンプ、弁、容器、入口、出口、および/または関連する要素を包含する。エレクトロポレーション「装置」またはフローエレクトロポレーション「装置」はまた、検出器、電気信号発生装置、温度センサ、圧力センサ、フローセンサ、体積センサ、化学センサ、発熱体、および/または冷却要素のような、エレクトロポレーションプロセスに直接的または間接的に使用される電子機器およびコンピュータ機器も包含する。
【0020】
好ましい態様では、本開示の技術は、フローエレクトロポレーションおよびフローエレクトロポレーション装置を用いる使用に適合している。しかし、本技術は、任意の種類のエレクトロポレーションに同様に適用可能であり、したがって、態様は一般的にエレクトロポレーションに関して記載されている。当業者は、エレクトロポレーションまたはフローエレクトロポレーションへの適用が1つの選択肢であることを理解すると思われる。
【0021】
本明細書で用いられる「処理プロトコル」とは、エレクトロポレーション用の標本をどのように処理するかについて記載した一連の規則を指す。該規則は、コンピュータ読み取り可能な一連の命令またはパラメータとして実施することができる。たとえば、スクリプトファイルまたは構成ファイルを使用してプロトコルを実施することができる。例示的なスクリプトファイルまたは構成ファイルは、機器の設定に対応する命令(たとえば、一連の命令は電圧設定値を含んでよく、一方、他の命令は電気パルスのタイミングに関するものであってよい)を含んでよい。
【0022】
本明細書で用いられる「処理ログ」とは、1つまたは複数のエレクトロポレーションセッションに関するまたは由来する記録された情報を意味する。処理プロトコルに「関連する」処理ログとは、ログが、特定の処理プロトコルを実行したために得られたデータを含むことを意味するに過ぎない。代表的な態様では、処理ログは、エレクトロポレーション機器情報、処理プロトコル情報、エレクトロポレーション電気パラメータ、および/または患者情報を含む。
【0023】
本明細書で用いられる、エレクトロポレーション装置に対する「制御」または「制御する」とは、エレクトロポレーションプロセスを積極的に制御するための、装置の1つまたは複数の構成要素の積極的な作動または規制を意味する。複数の構成要素が関与するときには制御を連携させることが好ましい。エレクトロポレーション装置の制御は、好ましい態様では、エレクトロポレーションが実行されるように、より詳細には、事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルなどの処理プロトコルに従って実行されるように個別に調整される。たとえば、プロトコルは、電気パルスの形状、パターン、電圧、電流、極性、タイミング、持続時間、間隔など(これらの要素の各々または組み合わせ)を指定することができる。プロトコルは、たとえば弁またはマニフォルドの作動または規制を指定することができる。プロトコルは、たとえば検出器、電気信号発生装置、温度センサ、圧力センサ、フローセンサ、体積センサ、化学センサ、発熱体、および/または冷却素子の作動または規制を指定することができる。これらのすべてまたは他の構成要素の作動または規制は、個別に行うか、または任意の組み合わせで連携させることができる。たとえば、パルス条件は弁条件と連携させて制御することができ、弁条件はセンサと連携させて制御することができ、他についても同様である。
【0024】
他の特徴および関連する利点は、特定の例示的な態様についての以下の詳細な説明を添付の図面と合わせて参照することで明らかになると思われる。
【0025】
例示的な態様の説明
本開示のコンピュータ化されたエレクトロポレーション技術を任意のエレクトロポレーションシステムに適用して、基本的なエレクトロポレーション機器の詳細に関する専門知識をほとんどまたはまったく有さない技術者がいくつかの異なるエレクトロポレーションプロトコルを効率的に、反復的に、および正確に実行することが可能となる。本技術によりまた、患者データまたは標本固有情報をエレクトロポレーションプロトコルにおいてより効果的に使用できる。患者データは、エレクトロポレーション、フローエレクトロポレーションまたはその他のエレクトロポレーションなどのエレクトロポレーションを使用して患者からの標本を検査および/または処理するときに重要である場合がある。前述のように、フローエレクトロポレーションまたはその他の種類のエレクトロポレーションにこの技術を適用することができる。患者に関する技術は、ヒトの患者または任意の他の生物学的対象に適用することができる。本開示の技術は、たとえば、適切なラインクリアランスおよび変化制御プロシージャ、製造プロセス制御、一連の識別情報および受け渡し記録の管理(chain of custody)の維持、標本の前方追跡可能性および後方追跡可能性、試薬、エレクトロポレーションプロセス関連データの処理アセンブリ、ならびに監査証跡を含む、製造環境における規制要件に適合することができる。
【0026】
図1は、本開示の実施形態によるエレクトロポレーションシステム100の概略図である。図1は、接続106を介してコンピュータ102に結合されたエレクトロポレーション装置104を示している。エレクトロポレーション装置104は、一態様では、フローエレクトロポレーション装置であってよい。他の態様では、エレクトロポレーション装置は、非フロー装置であってよい。
【0027】
エレクトロポレーション装置104は、本開示のコンピュータ化技術を適用することのできる任意のエレクトロポレーション装置を示すものである。エレクトロポレーション装置104は、少なくとも米国特許出願第11/127,557号;米国特許出願第10/225,446号;米国特許第5,612,207号;米国特許第5,720,921号;米国特許第6,074,605号;米国特許第6,090,617号;米国特許第6,485,961号;米国特許第6,617,154号;および/または米国特許第6,773,669号(各特許出願および特許は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているエレクトロポレーション装置などであるがそれらに限定されない任意のエレクトロポレーション機器またはフローエレクトロポレーション機器を含んでよい。エレクトロポレーション装置104は、当技術分野で公知であるかまたは利用可能な任意の他のエレクトロポレーション装置を包含してもよい。当業者は、このようなエレクトロポレーション装置が、改変および/または最適化できるものであり、かつ本開示の技術を実施するのに適したものであってよいことを理解すると思われる。
【0028】
たとえば、一態様では、エレクトロポレーション装置104は、金属および/または非金属導体を含む材料で作られた電極を使用することができる。たとえば、いくつかの態様では、金、白金、タンタル、または炭素(黒鉛、ダイヤモンド)を使用することができる。
【0029】
接続106は、コンピュータ102がエレクトロポレーション装置104と通信することを可能にするのに適した任意の接続を示すものである。一態様では、接続106は有線接続である。他の態様では、接続106は無線である。無線態様では、接続106は、インターネットなどのネットワーク上のネットワーク接続であってよい。このような態様は、インターネットに接続された世界中の実質的にあらゆるコンピュータからエレクトロポレーション装置104を遠隔制御することを可能にする。一態様では、コンピュータ102およびエレクトロポレーション装置104は一体である。このような態様では、接続106は内部接続であってよい。
【0030】
コンピュータ102は、エレクトロポレーション装置104の1つまたは複数の局面を制御する命令を実行することができる任意のコンピューティング装置を示すものである。一態様では、コンピュータ102はパーソナルコンピュータである(たとえば、エレクトロポレーション装置104のユーザによって操作される典型的なデスクトップコンピュータまたはラップトップコンピュータ)。このようなコンピュータは、エレクトロポレーション装置104とのインタフェースとなる1つまたは複数の適切なボードを含んでよい。他の態様では、コンピュータ102はパーソナルデジタルアシスタント(PDA)または他のハンドヘルドコンピューティング装置であってよい。他の態様では、コンピュータ102およびエレクトロポレーション装置104は一体であってよく、このような態様では、コンピュータ102は単に、電子基板および電子機器のうちの1つまたは複数のボード(たとえば、プロセッサを含むマザーボード)を構成することができる。
【0031】
コンピュータ102は、ネットワーク化された装置であってよく、有線または無線でリモートサーバからソフトウェアを実行する端末を構成することができる。ユーザからの入力は、キーボードおよび/またはマウスのような1つまたは複数の公知の技術によって収集することができる。出力は、必要に応じて、出力ファイル、プリンタ、ファクシミリ、eメール、ウェブポスティングのような1つまたは複数の公知の技術によって行うことができる。記憶装置は、内部および/または外部に実現することができ、たとえば、ハードドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、テープドライブ、フロッピードライブ、ネットワークドライブ、フラッシュなどを含んでよい。コンピュータ102は、当技術分野で公知の任意の種類のモニタまたは画面を使用してよい。たとえば、陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)を使用することができる。1つまたは複数のディスプレイパネルによってディスプレイを構成することもできる。他の態様では、従来のディスプレイは必要とされず、コンピュータ102は適切な音声および/またはボタンコマンドを通じて動作することができる。
【0032】
コンピュータ102に関連するセキュリティは、当技術分野で公知の任意の技術を含んでよい。コンピュータ102は、許可された職員だけに機器の操作を許可する1つまたは複数のバイオメトリックリーダに関連するものであってよい。他の態様では、ユーザアカウントおよびパスワードを使用することができる。さらに他の態様では、セキュリティ機能を無効にすることができるか、またはセキュリティ機能を設けないことができる。
【0033】
図2は、本開示の態様によるコンピュータ化されたエレクトロポレーション法200の段階を示すフローチャートである。図1のコンピュータ102は、図2の段階を実施するように構成されている。一般に、方法200の態様は、ユーザが特に、事前に保存された直感的なユーザ定義処理プロトコルを使用して容易に、繰り返して、かつ効果的にエレクトロポレーション装置104を操作することを可能にする。たとえば、専門知識に基づいて標本ごとに実行シーケンスをプログラムするかわりに、技術者は、訓練された専門家の専門知識のすべてがすでに「内蔵された」事前に保存された処理プロトコルに従って標本を簡便に処理することができる。これにより、経験がほとんどまたはまったくない者でもエレクトロポレーションプロセスを実行することができる。
【0034】
段階202では、コンピュータ102は、1つまたは複数の処理プロトコルに従ってエレクトロポレーション装置104を制御する。一態様では、処理プロトコルを構成する一連の規則にコンピュータ102がアクセスする。一連の規則は当技術分野で公知の任意のコンピュータ読み取り可能フォーマットで実施することができる。一態様では、これらの規則はスクリプトファイルまたは構成ファイルを構成する。コンピュータ102がこれらの規則に従い、エレクトロポレーションの1つまたは複数の局面を制御する。たとえば、これらの規則に従って以下のようなタスクが実行されるが、これらに限定されない。
−特定の電気的パラメータおよびタイミングパラメータに従って電極を駆動するタスク;
−1つまたは複数のポンプを駆動して標本を移送するタスク;
−1つまたは複数のポンプを駆動して洗浄液またはその他の材料を移送するタスク;
−弁を開閉するタスク;
−診断(動作前確認および動作後確認);
−データ分析;
−1つまたは複数のセンサにアクセスするタスク;および/または
−エレクトロポレーションまたは関連するプロセス(たとえば、冷却、加熱、混合、通気、センサデータの分析、アラームの作動、および標本の取り扱い)を駆動することのできるデジタル出力またはアナログ出力を生成することによって1つまたは複数のセンサの読み取り値に反応するタスク。
【0035】
一態様では、処理プロトコルがユーザによって定義される。したがって、ユーザは、プロトコルの1つまたは複数の設定を指定することができる。たとえば、処理プロトコルがスクリプトファイルまたは構成ファイルで実施されると仮定すると、そのスクリプトファイルまたは構成ファイルはユーザにより必要に応じて設定(たとえば、エレクトロポレーション規則)を変更するように編集され得る。一態様では、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を使用して処理プロトコルを直感的様式で編集または修正することができる。たとえば、ユーザはマウスを使用してパラメータを選択し、所望の値または設定を入力することができる。プルダウンメニュー、テキストフィールドまたは数値フィールド、トグルボタン、または当技術分野で公知の任意の他のデータ入力/リビジョン技術をこの目的に使用することができる。たとえば、ユーザは、マウスを使用して「パルスオプション」フィールドを選択し、プルダウンメニューを使用して特定の実験に適したパルスパラメータを選択することができる。たとえば、ユーザはパルスの形状、パターン、電圧、電流、極性、タイミング、持続時間、間隔などを指定することができる。
【0036】
一態様では、処理プロトコルを保存することができる。プロトコルに名前を付け、後で使用することができる。新規のプロトコルを作成すると、そのプロトコルを自動的に保存することができる。自動的な保存は、定義された命名機構に従って行うことができる。たとえば、プロトコルには、プロトコルの作成日に対応するファイル名を付けることができる。数多くある中の、他の考えられる命名プロトコルの1つとして、順次大きくなる数値をファイル名に割り当てることができ、最初に保存されたプロトコルをたとえばProt_00001.txtとし、一方第2のプロトコルをProt_00002.txtとし、他のプロトコルについても同様に命名することができる。一態様では、ユーザは、以前の実験の処理プロトコルを実施することを選択するか、または単に以前の実験の1つまたは複数の設定を修正することができる。このような機能は、ユーザ自身があるエレクトロポレーションの実行から次のエレクトロポレーションの実行に移るときに数パラメータしか変更していない(あるいはまったく変更していない)ことを認識した場合に特に有用であることがある。
【0037】
一態様では、処理プロトコルを遠隔位置からインストールすることができる。たとえば、プロトコルを「オフサイト」で生成し、遠隔装置に送信して最終的に実行することができる。このような態様は、たとえば、実験または処理を実行する1つまたは複数のエレクトロポレーション装置から研究者が離れた位置にいる場合に顕著な利点をもたらすことができる。
【0038】
段階204で、処理プロトコルに関連する処理ログが生成される。代表的な態様では、エレクトロポレーションセッションが完了したときに処理ログが生成される。しかし、他の態様では、処理ログの少なくとも一部を事前に生成することができる(たとえば、処理ログは、セッションが完了する前に患者情報または標本固有情報およびその他のフィールドを含んでよい)。要素212は、処理ログが患者情報を含んでよいことを示している。処理ログは、たとえば標本固有情報を含んでもよい。例示的な患者情報は、患者の名前または他の識別子、年齢、性別、体重、人種、保険情報、処置中の状態、患者の処置回数、患者の過去の処置、患者から得られた標本の種類などのうちの1つまたは複数を含んでよいがそれらに限定されるわけではない。一態様では、患者識別子は、各患者の保証された固有の識別名(たとえば、識別番号または英数字列)に相当するものであってよい。一態様では、保証された固有の識別名は、地球の人口と同数またはそれ以上の値である、N個の異なる固有の値を生成するコードおよび1つまたは複数の関連するアルゴリズムに関連し得る。患者情報は、当技術分野に存在する1つまたは複数の規則に従うように調整することができる。たとえば、患者情報は、食品医薬品局(FDA)、および/または関連する法律(たとえば、患者および医療記録に関する守秘義務法)の要件に従って維持、構成、表示、または形式化することができる。
【0039】
処理ログの他の例示的なフィールドには、ファイル名、データ、機器ID、使用回数、プロトコルの名称、プロトコルの説明、プロトコル使用状況、作成されたプロトコル、最後に修正されたプロトコル、処理チャンバ、アクセスレベル、エレクトロポレーション機器情報、および電子情報が含まれるが、それらに限定されるわけでない。データには、エレクトロポレーション装置104からの任意のデータを含めてよい。たとえば、圧力、温度、電気、汚染物質、またはその他の読み取り値を記録することができる。機器IDは、特定のエレクトロポレーション装置104を名前またはその他の識別子によって識別することができる。使用回数は、特定のエレクトロポレーション装置104および/または処理プロトコルが使用された回数を示してもよい。プロトコルの名称は特定の処理プロトコルを識別することができる。プロトコルの説明は、特定の処理プロトコルの規則の概要を示すことができる。プロトコル使用状況は、特定の処理プロトコルが何度使用されたかを数えてもよい。作成されたプロトコルは、特定の処理プロトコルが作成された(たとえば、ファイルに保存された)日付を記録する。最後に修正されたプロトコルは、特定の処理プロトコルが最後に変更された(たとえば、編集され、次いでファイルに保存された)のはいつかを示すことができる。処理チャンバは、特定のエレクトロポレーション装置104内で使用される特定のチャンバを識別することができる。アクセス情報は、特定のエレクトロポレーション装置104、特定の処理プロトコル、特定のプロセスログ、またはそれらの組み合わせに関連するセキュリティレベルを示すことができる。最後に、電子情報は、エレクトロポレーションセッションに関連する電子データに関するものであってよい。たとえば、電圧情報および電流情報を記録することができる。パルス形状、パターン、極性、タイミング、持続時間、間隔などを記録することができる。
【0040】
段階206は、処理ログをエクスポートできることを示している。処理ログは、当技術分野で公知の任意のフォーマットで保存することができる。同様に、処理ログは、当技術分野で公知の任意の方法でエクスポートすることができる。要素214は、処理ログをテキスト、ワード処理ファイル、eメール、ファックス、またはポータブルドキュメントフォーマット(PDF)ファイルとしてエクスポートすることができることを示している。これらはもちろん例に過ぎない。たとえば、処理ログは、スプレッドシートあるいは1つまたは複数のグラフまたはチャートを生成することのできる他のプログラムにエクスポートすることができる。あるいは、処理ログ自体が、情報をより効果的に示すグラフ、チャート、レポート、またはその他の画像を自動的に生成することができる。一般的な態様では、処理ログは、当技術分野で公知の、任意の形式の英数字コンテンツ、視覚的コンテンツ(たとえば、写真、グラフ、図面)、および/またはコード化したコンテンツを包含してよい。任意の出力がユーザ定義かつカスタマイズ可能であってよい。たとえば、情報のレイアウト、スタイル、および配置の任意のまたはすべての局面をユーザは指定することができる。
【0041】
処理ログは完全形式または概要形式でエクスポートすることができる。エクスポートされた概要は、単に特定のプロセスのスナップショットを必要とするユーザに有用である場合がある。ユーザは、必要または所望に応じて概要にどのフィールドを含めるかを定義することができる。概要のフォーマットはユーザによって指定することができる。たとえば、処理ログの概要をユーザにとってより使いやすいものにするように、フォント、フォントサイズ、情報の配置、情報の色、チャートの種類などをユーザが定義しカスタマイズすることができる。
【0042】
セキュリティまたはその他の理由で、処理ログ(完全版または概要)は、暗号化するか、または許可されていないアクセスもしくは読み取りからその他の方法で保護することができる。暗号化またはその他の形式の保護は、当技術分野で公知の技術に従って実施することができる。セキュリティおよびアクセス制御に関するその他の情報は、図2の段階210に関する以下の説明に示されている。
【0043】
段階208は、コンピュータ102がユーザに対話的な指示を提供することができることを示している。対話的な指示の提供は、エレクトロポレーションの経験がほとんどまたはまったくない技術者を特定の処理プロトコルに関して効果的に誘導するうえで特に有用である。対話的な指示はまた、たとえば、実験を行うたびに重要な安全対策を確実に施す場合にも有用である。
【0044】
一態様では、対話的な指示は特定の処理プロトコルの1つまたは複数の段階に相当する。一態様では、対話的な指示は、エレクトロポレーション装置104のハードウェアステータスを点検する指示を含んでよい。たとえば、ユーザは、特定のステータスライトが特定の色であるか、または特定の計器が特定の範囲内の読み取り値を示しているかを点検するよう促される。一態様では、対話的な指示は、エレクトロポレーション装置104の1つまたは複数の構成要素を組み立てるかまたは作動させる指示を含んでよい。たとえば、ユーザは、どのように標本を装填すればよいかまたはエレクトロポレーション装置104をオンにすればよいかについて指示を受けることができる。あるいは、ユーザは、どのように1つまたは複数のポンプまたは弁を組み立てればよいかまたはその他の方法で作動させればよいかについて指示を受けることができる。ユーザは、適切に動作していない機器に対しどのように対処すればよいかについて指示を受けることができ、このような指示は、問題が生じつつあるかまたは問題が生じたことを1つまたは複数のセンサ読み取り値が示した場合に自動的に作動することができる。一態様では、対話的な指示は、エレクトロポレーション装置104に導入される標本を取り扱うための指示を含んでよい。たとえば、ユーザは、標本をどのようにエレクトロポレーション装置104に挿入したらよいか、標本をどのように取り出したらよいか、または全般的に標本を適切に処理するにはどうしたらよいかについて指示を受けることができる。あるいは、ユーザは、どのように患者から標本を得るかについて指示を受けることができる。一態様では、対話的な指示は、ユーザが、特定の標本に対応するロット番号またはシリアル番号などであるがそれらに限定されるわけではないデータフィールドを入力するための指示を含んでよい。
【0045】
段階210は、処理ログへのアクセスをコンピュータ102によって制御できることを示している。たとえば、上述のように、暗号を使用することができる。他の態様では、処理ログは、パスワードで保護するか、特定のバイオメトリック署名を有する(たとえば、指紋の整合)人だけがアクセスできるようにするか、または当技術分野で公知の任意の他のアクセス制御方法によって制御することができる。この機能は、患者情報が処理ログに含まれる場合に患者情報を保護するうえで特に有用である。処理ログへのアクセス制御は、州法、国家法、および/または医療患者のプライバシーに関する規則に従って実施することができる。
【0046】
図3は、本開示の態様によるコンピュータ化されたエレクトロポレーション法300の段階を示す他のフローチャートである。一般に、方法300の一態様は、ユーザが特に、不適切な処理が行われる危険性を低減させながら適切な処理プロトコルを自動的または半自動的に容易に選択することを可能にする。この機能は、特定の標本に割り当てられた情報と関連付けられる特定のプロファイルにアクセスしそれを実施することによって実現することができる。たとえば、処理プロトコル「A」を受けるべきである標本は、プロトコル「A」のバーコードコード化でラベル付けすることができる。このバーコードを走査すると、処理プロトコル「A」に関連する規則がアクセスされ、続いて処理プロトコル「A」がエレクトロポレーション装置104によって実行される。ユーザ入力エラーは軽減するかまたは無くなる。ユーザは、なぜ特定の標本が特定の処理プロトコルに供されるべきであるのかを理解する必要も、処理プロトコルを手作業でロードする必要もない。
【0047】
段階302において、エレクトロポレーション標本を走査する。走査は、コンピュータ102またはコンピュータ102と通信する適切な機器によって行うことができる。一態様では、段階302は、図3の要素310によって示されるように、標本に関連するバーコードを走査する段階を含んでよい。他の態様では、この段階は、コンピュータ102と通信する適切なリーダによって読み取られる標本に関連する無線自動識別(RFID)装置を使用する段階を含んでよい。
【0048】
段階304において、段階302からの情報をコンピュータ102に入力する。情報の入力は自動的に行うことができ、標本の走査によって、情報を識別して自動的にコンピュータ102に入力することができる。入力される情報は、要素312によって示されるように患者情報を含んでよい。情報は、たとえば標本固有情報を含んでもよい。患者情報は、患者IDまたは患者の状態を含んでよい。他の態様では、情報は、事前に保存された処理プロトコルまたは新規の処理プロトコルに対応するプロトコル名を含んでよい。
【0049】
段階306において、段階304で入力された情報は、処理プロトコルと関連付けられる。一態様では、コンピュータ102によってアクセス可能な参照テーブルを関連付けるプロシージャに使用することができる。たとえば、「B」のバーコード読み取りは、「B」を処理プロトコル「X」と関連付ける参照テーブルエントリを有してよい。したがって、「B」としてコード化されたあらゆる標本は、処理プロトコル「X」に従ってエレクトロポレーション設定および他のパラメータを受ける。一態様では、処理プロトコル「X」は、それぞれ同一のまたは同様の病気を有する「B」でコード化された患者用の特定の治療に対応するものであってよい。要素314で示されているように、段階304で入力された情報は、保存されたまたは新規の処理プロトコルと関連付けることができる。保存された処理プロトコルとの関連付けは、本明細書で説明するように参照テーブルまたはその他の公知の技術によって行うことができる。
【0050】
新規の処理プロトコルとの関連付けは、同一のまたは変更された技術を使用することができる。一態様では、入力情報は、新規の処理プロトコルを作成すべきであることをコンピュータ102に伝えることができる。たとえば、標本が「NEW」としてコード化されている場合、コンピュータ102は、新規の処理プロトコルを開始してその標本に対応するようにプログラムすることができる。段階304で入力されるさらなる情報は、新規の処理プロトコルに適用する必要な設定またはパラメータを指定することができる。たとえば、標本が「NEW-02 03 07」としてコード化されている場合、「NEW」という表示は、新規の処理プロトコルを生成するようコンピュータ102に信号を送り、一方、その後の数字(「02 03 07」)は、どのような設定またはパラメータをこの新規の処理プロトコルと共に読み込むべきかコンピュータ102に知らせる。たとえば、第1の数字または英数字特定子はパルスパラメータを伝えることができ、第2の数字または英数字特定子はポンプ速度を伝えることができ、第3の数字または英数字特定子は温度設定を伝えることができ、他の数字または英数字特定子についても同様である。このような特定子は、バーコードにコード化するか、あるいはRFID装置または当技術分野で公知の任意の他の手段によってコード化することができる。このように、標本に割り当てられた情報を使用して、事前に保存されていないカスタム化された処理プロトコルを生成することができる。したがって、この場合も、技術者は、新規の処理プロトコルをどのように生成したらよいかを理解する必要がなく、標本に新規の設定またはパラメータが必要であってもその標本を処理することができる。
【0051】
段階308において、段階304および306で得られた入力情報と関連付けられる処理プロトコルを実行する。エレクトロポレーション装置104およびコンピュータ102は、協働して、処理プロトコルによって必要とされるエレクトロポレーションプロセスを実施する。
【0052】
セキュリティ、監査、受け渡し記録の管理
上述のように、本開示のコンピュータ化されたエレクトロポレーション技術に関連して様々なセキュリティ機構を実施することができる。一態様では、エレクトロポレーション機器の使用を登録されたユーザに制限することができる。このようなユーザはパスワードを有することが必要になることがある。たとえば、エレクトロポレーション装置を使用するために、パスワードの入力が必要になる場合がある。パスワードの他にまたはパスワードの代わりに、1つまたは複数のバイオメトリック識別子を使用しセキュリティを向上させることができ、かつバイオメトリックスによって識別子の入力が不要になるので、エレクトロポレーション機器の使用の容易性を向上させ得る。この場合も、これらの手段は、使用を事前に承認された一群の人に制限し、および/またはこれらの人の活動を記録するように機能することができる。
【0053】
ソフトウェアは、使用に関する制限を実施することができる。このようなソフトウェアは、各登録済みユーザのログインおよび/または活動を記録するように構成することができる。言い換えれば、監査証跡を作成することができる。一態様では、記憶されている監査証跡を暗号化するかまたはこの監査証跡に不正防止対策を講じることができる。一態様ではユーザID、プロシージャの実行、および時間を記憶することができる。他の態様は、ユーザの活動に関するその他の情報または異なる情報を記憶することができる。一態様では、ユーザのあらゆるキー入力または活動が記録され、タイムスタンプが付加される。
【0054】
一態様では、監査証跡は、記憶サイトにデータを送信することができる。このような送信は自動的な送信であってよく、複数のサイトに行うことができる。データの変更は可能であるが、一態様では、変更は、事前に許可された職員のみが実施することができる。データの変更自体は、異なる監査証跡または同一の監査証跡に記憶することができる。
【0055】
一態様では、エレクトロポレーション機器または結合された装置から「レシート」を印刷して、たとえば、何のプロシージャを実行したか、プロシージャの日付、エレクトロポレーション機器の設定、ユーザID、患者情報、患者の状態、標本固有情報、またはエレクトロポレーション装置もしくは関連するコンピュータによって管理または記憶される任意の他の情報を示すことができる。このレシートは、そこに印刷された情報を確認するかまたはレシートが公式の記録であることを示すためにユーザまたは他の人によって署名することができる。レシートは、患者の請求書処理の一部を形成することができる。レシートは、医療機関への精算のために提出することができる。レシートは、受け渡し記録の管理における別の要素となることもある。
【0056】
様々な態様において、承認されたプロトコルまたは材料のみをエレクトロポレーション機器で使用するようにすることが有益であり得る。一態様では、このような妥当性の確認をバーコード付きまたはRFIDタグ付き材料を使用して行うことができる。エレクトロポレーション機器を制御するコンピュータは、材料を読み取り、エレクトロポレーション機器を使用する前に、材料がエレクトロポレーション機器での使用を事前に承認されていることを確認することができる。妥当性を確認する可能性のある材料には、患者からの細胞、エレクトロポレーション装置に装填するDNA、緩衝液または緩衝ロット、およびエレクトロポレーションチャンバ自体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。妥当性を確認された材料および/または適合する材料の組み合わせしかエレクトロポレーションの実行に使用されないようにコンピュータをプログラムすることができる。
【0057】
一態様では、コンピュータは、適格であるかまたは妥当性を確認された材料しか使用されないように機能する、承認された材料の「選択リスト」にアクセスすることができる。ユーザがこのリストを見ることは許可しても許可しなくてもよい。バーコードまたはRFID署名を、承認された材料と関連付けて定期的に(自動的にまたは手作業で)更新することができるように参照ファイルまたはその他の記憶機構にリストを作成することができる。エントリ同士などを互いに関連付ける材料リスト、署名リスト、参照テーブルを修正することを1人または複数のユーザに許可することができる。ファイル内またはその他の場所に記憶された各材料記録または署名記録は、記録の検索またはソートを助ける省略キーを有してよい。一態様では、ある材料のバーコードまたはRFID情報を、承認された材料のリストからその材料の有効期限に自動的に削除することができる。これによって、妥当性を確認されていない材料または有効期限を過ぎた材料の使用を防止することができる。一態様では、このような種類の妥当性確認制御を、事前に許可されたユーザによって無効化することができる。たとえば、高レベルの「許可」を有するユーザは、材料を、その材料が事前に承認されておらず、かつリストに掲載されていない場合でも、使用することができる。
【0058】
本明細書で論じるセキュリティおよび妥当性確認技術は、受け渡し記録の管理の維持を助けることができる。ユーザの活動を記憶することができるため、特定の標本または材料に何が起こったかを確実に監視することができる。さらに、エレクトロポレーション機器の使用を妥当性が確認された材料のみに限定することができるので、特定の実験またはエレクトロポレーションの実行に関するさらなる情報を推定することができる。したがって、これらまたは同様の技術は、材料(患者固有の材料および製造された材料の両方)の追跡、システムオペレータの追跡、および実施されたプロセスの追跡を向上させることができる。この追跡によって、各活動に関連する時間を識別することができる。これらの技術を使用することで、記録のセキュリティがさらに強化される。
【0059】
図4は、本開示の態様による、外部メモリまたは関連する装置を含むエレクトロポレーションシステムの他の概略図である。図4には、記憶装置402およびPDA 404と共に図1に関して説明したシステム100が示されている。図4は単に、本明細書で説明する技術が、コンピュータ102またはPDA 404(あるいは任意の他のコンピューティング装置)などのコンピューティング装置に存在するかまたは関連するソフトウェアまたはファームウェアにおいて実施できることを示すために含まれている。ソフトウェアは、当技術分野で公知の任意のコンピュータ読み取り可能媒体上で実施することができる。たとえば、ソフトウェアは、所内部または外部において、ハードドライブ、ASIC、CDドライブ、DVDドライブ、テープドライブ、フロッピードライブ、ネットワークドライブ、フラッシュなど上で実施することができる。この関連で、記憶装置402は、たとえば、外部CDドライブまたはフラッシュ装置を表すことができる。PDA 404は、装置自体が本開示の技術を駆動するか、あるいは異なるコンピュータ(コンピュータ102など)と通信してエレクトロポレーションプロセスを実施することのできるハンドヘルド装置などにソフトウェアを収納できることを示すために含められている。
【0060】
本明細書に開示された段階を実施するソフトウェアは、当技術分野で公知の任意の技術に従って書くことができる。たとえば、ソフトウェアは、たとえば図2および3の段階を実施する命令を与えるように適合した任意の1つまたは複数のコンピュータ言語(たとえば、ASSEMBLY、PASCAL、FORTRAN、BASIC、C、C++、C#、JAVAなど)によって書くことができる。
【0061】
一態様では、ソフトウェアは、ソフトウェアの実行時に技術者に、より直感的な感覚を提供することのできるGUIの一部である。マウスおよび/またはキーボードによって様々なフィールドにアクセス可能である。アラーム、キューなどは、ポップアップウィンドウ、可聴アラート、または当技術分野で公知の任意の他の技術を介して実行することができる。
【0062】
一態様では、ソフトウェアの一部を企業内に保持し、一方、他の部分を顧客に所有させることができる。
【0063】
以下の実施例は、本開示の特定の態様を実証するために含められている。当業者には、以下の例で開示される技術が、本発明者によって、本発明を実施するうえでうまく機能することが判明した技術を表しており、したがって、特定の実施態様を構成すると考えられることを理解されたい。しかし、当業者は、本開示を鑑みて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の態様に多数の変更を施すことができ、かつ同等または同様の結果を得ることができることを理解されたい。
【0064】
実施例
図5〜7は、本開示の態様による、特にフローエレクトロポレーション技術に適したコンピュータ化されたエレクトロポレーション技術を示す例示的な画面写真である。
【0065】
図5は、立ち上げユーザインタフェースの画面写真である。左上に「以前の実験(Previous Experiment)」および「新規の実験(New Experiment)」のタブがある。図5では、「以前の実験」タブが選択されており、(左側のウィンドウの、タブの下方に)異なる処理プロトコルに対応する様々な実験を示している。しかし、一態様では、様々な実験を同一の処理ログと関連付けることができ、たとえば、2つの実験は、異なる名前を有することができるが、同一の基本処理プロトコルを「呼び出す」ことができる。
【0066】
図5では、「CLIPA Study 040817 0945」という名称の「以前の実験」が強調表示されている。ソフトウェアは、右側のウィンドウに、この実験に関する情報を表示している。このウィンドウは、処理ログディスプレイに類似しており、実験に関する少なくともいくつかの処理情報を示している。図示されているように、ウィンドウは、上から下に以下のフィールドを示している。
−実験の名称;
−時間(Time)(最後の実行の時間または他の関連する時間値としてプログラムすることができる);
−機器ID(Instrument ID)(実験を実行した特定のフローエレクトロポレーション装置の識別子);
−使用回数(Use #)(装置について実験が示す使用回数を示す);
−プロトコルの名称(Protocol Title)(処理プロトコルの名称を示す);
−プロトコルID(Protocol ID)(処理プロトコルの識別子を示す);
−処理チャンバ(Processing Chamber)(実験用のチャンバを示す);
−患者ID(Patient ID) 1〜3(患者情報を挿入するフィールドを示す);
−処理チャンバのロット番号(Processing Chamber Lot #)およびシリアル番号(Processing Chamber Serial #)(実験用のチャンバに関連するロット番号およびシリアル番号を示す);
−プロセスステータス(Process Status)(実験のステータスを示す);
−注意(Notes)(その他の患者情報および/または技術者への注意事項のような、多岐にわたる用途のためのフィールドを示す)。
【0067】
図5の2つのメインウィンドウの下方に、機器ID、その機器の総使用回数、その機器の最終使用日を識別する追加的なウィンドウがある。さらに、図5の下方のウィンドウは、上方のウィンドウに示されるか、概略的に示されるか、関連付けられるか、または参照される処理ログをエクスポートするための2つのエクスポートオプションをユーザに提供する。一方のエクスポートオプションは、処理ログの概要をMS WORDフォーマットにエクスポートするオプションである。他方のエクスポートオプションは、ある当事者(ここでは、MaxCyte)にプロセスログをeメールで送信するオプションである。このエクスポートオプションは、ユーザがプロセスログを組織内でまたは第三者にeメールで送信できるようにし、技術的サポートまたはその他の理由で組織内でまたは第三者が情報を再検討できるようにするうえで有用である。たとえば、技術者は、プロセスの特定の局面に関して質問することができ、処理ログをeメールで迅速にサポートセンターに送信し、サポートセンターがeメールを開き、あらゆる問題に関して技術者と話すことができる。
【0068】
図6は、処理プロトコルを実行する動作画面の画面写真である。この図では、プロトコル名「Baylor CLL-B」の処理プロトコルが実行されている。ウィンドウの上部にステータス表示領域があり、該ステータス表示領域は、処理チャンバが取り付けられており、機器の電源がオンになっていることを示している。
【0069】
図6の「情報パネル」は、機器を操作するユーザに対話的な指示を提供する。図示のように、処理プロトコルに対応する段階的な指示が表示されている。これらの指示は、ユーザによってチェックが入れられるか、または指示に従ったときに自動的にチェックが入れられてもよい。以下に完了した指示を示す。
−ステータスを点検し、機器の電源がオンになっていることを確認(Check status window. “Instrument Power On” should be indicated in green.);
−処理チャンバを接続し、ステータスを確認(Plug in processing chamber. “Processing Chamber Attached” should be indicated in green.);および
−処理チャンバのロット番号およびシリアル番号を入力(Enter processing chamber Lot and Serial Numbers.)。
【0070】
以下の3つの指示はまだ完了していない。
−開始ボタンを押して処理を開始(Press Start to begin processing.);
−標本を処理(Processing…);および
−後の処理のために処理チャンバを取り外す(Pulses delivered, remove processing chambers for post processing.)。
【0071】
当然ながら、任意の1つまたは複数の処理プロトコルについて追加のまたは異なる指示を提供することができる。提供される指示の詳細なレベルは、異なる処理プロトコル自体またはその他の方法によって指定することができる。たとえば、一態様では、第1のプロトコルおよび第2のプロトコルは、処理プロトコル自体内またはコンピュータ102によって実行されるソフトウェアモジュール内のプログラミングを介してGUIに与えられる指示の量および/または種類のみが異なるものであってよい。プロセスのための一連の指示は、より経験に富んだユーザ用の指示であり、一方、別の一連の指示は、未熟なユーザ用の指示であってよい。一態様では、ユーザは、任意の所与のプロセスについて最大の効率を保証するように指示の数および種類を指定することができる。
【0072】
対話的な指示の実例には、エレクトロポレーション装置104のハードウェアステータスを点検する指示、エレクトロポレーション装置104の1つもしくは複数の構成要素を組み立てるかもしくは作動させる指示、エレクトロポレーション装置104に導入される標本を取り扱うための指示、またはデータフィールドのユーザ入力(たとえば、標本に対応するロット番号またはシリアル番号)に関する指示が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0073】
図7は、図5と同様の立ち上げユーザインタフェースの画面写真を示している。図7では、「新規の実験」タブが選択されている。該タブは、(左側のウィンドウの、タブの下方に)異なる新規の処理プロトコルに対応する様々な新規の実験を示している。図7では、「Baylor CLL-B」という名称の新規の実験が強調表示されている。右側のウィンドウに、ソフトウェアは、該新規の実験に関する情報を表示している。このウィンドウは、処理ログディスプレイに類似しており、実験に関する処理情報を示している。図示されているように、ウィンドウは上から下に以下のフィールドを示している。
−実験の名称;
−プロセスプロトコルのID(ID)および説明(Description);ならびに
−使用情報。
【0074】
図7の2つのメインウィンドウの下方に、機器ID、その機器の総使用回数、およびその機器の最終使用日を識別する追加的なウィンドウが示されている。
【0075】
図8〜9は、本開示の態様による例示的なプロセスログの出力である。図8には、処理ログの概要が示されている。図9には、電子情報ならびに処理プロトコル、患者、およびその他の情報に関する情報を含む処理ログが示されている。図9の下部において、処理ログは、標本番号、電圧、および電流に関する数値情報を含むことができる。このような情報は、必要に応じて、プロットするか、スプレッドシートにインポートするか、またはその他の方法で分析することができる。電圧情報などの情報は、平均値として表すことができる。処理ログ内の情報の分解能は、必要または所望に応じて変更することができる。一態様では、たとえば、異なる電圧値間の間隔は約6マイクロ秒であってよい。
【0076】
本開示および特許請求の範囲は、上述の特定の好ましい態様またはその他の態様に限定すべきではない。たとえば、好ましい態様も、説明される1つまたは複数の技術を読者に明確にすることを助けるための一例に過ぎない。本開示の恩典によって、当業者は、本明細書で請求し上記に説明した技術を改変し多数の他の異なる用途に適用して、同一のまたは同様の結果を得られることを理解すると思われる。添付の特許請求の範囲は、本開示の精神および範囲内のそのような改変すべてを包含するものである。
【0077】
参考文献
以下の各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
米国特許出願第11/127,557号
米国特許出願第10/225,446号
米国特許第5,612,207号
米国特許第5,720,921号
米国特許第6,074,605号
米国特許第6,090,617号
米国特許第6,485,961号
米国特許第6,617,154号
米国特許第6,773,669号
【図面の簡単な説明】
【0078】
以下の図面形態部分は本明細書の一部をなし、本発明のある局面をさらに示すために含まれている。本発明は、これらの図面のうちの1つまたは複数を本明細書に示されている例示的な態様の詳細な説明と組み合わせて参照することによってよりよく理解することができる。図面は例示的なものに過ぎない。図面は特許請求の範囲を限定しない。
【0079】
(図1)本開示の態様によるエレクトロポレーションシステムの概略図である。好ましい態様では、図1のシステムはフローエレクトロポレーションシステムである。
(図2)本開示の態様によるコンピュータ化されたエレクトロポレーション法の段階を示すフローチャートである。好ましい態様では、図2のコンピュータ化されたエレクトロポレーション法はフローエレクトロポレーションに適用される。
(図3)本開示の態様によるコンピュータ化されたエレクトロポレーション法の段階を示す他のフローチャートである。好ましい態様では、図3のコンピュータ化されたエレクトロポレーション法はフローエレクトロポレーションに適用される。
(図4)本開示の態様による、外部メモリまたは関連する装置を含むエレクトロポレーションシステムの他の概略図である。好ましい態様では、図4のシステムはフローエレクトロポレーションシステムである。
(図5〜図7)本開示の態様による、コンピュータ化されたエレクトロポレーション技術、特にフローエレクトロポレーションに適用されるコンピュータ化されたエレクトロポレーション技術を示す例示的な画面写真である。
(図8〜図9)本開示の態様による例示的なプロセスログの出力である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む方法:
(a)事前に保存された複数のユーザ定義処理プロトコルのうちの1つに従ってコンピュータによってエレクトロポレーション装置を制御する段階;および
(b)事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルに従ってエレクトロポレーションを行うのに十分な電気エネルギーを標本に加える段階。
【請求項2】
エレクトロポレーション装置がフローエレクトロポレーション装置を含み、標本がフローエレクトロポレーション装置内を流れる間に電気エネルギーを受ける、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(c)処理プロトコルに関連し、患者情報または標本固有情報を含む処理ログを生成する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
(d)処理ログまたは処理ログの概要を暗号化フォーマットでエクスポートする段階をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
処理ログが、ファイル、データ、機器ID、使用回数、プロトコルの名称、プロトコルの説明、プロトコル使用状況、作成されたプロトコル、最後に修正されたプロトコル、処理チャンバ、アクセスレベル、電子情報、エレクトロポレーション機器情報、標本固有情報、および患者情報からなる群より選択される複数のフィールドを含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
(d)セキュリティレベルに応じて処理ログへのアクセスを制御する段階をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項7】
以下の段階をさらに含む、請求項1記載の方法:
(c)セキュリティレベルに応じてエレクトロポレーション装置へのアクセスを制御する段階;および
(d)許可されたユーザの1つまたは複数の活動を記憶する監査証跡を生成する段階。
【請求項8】
(c)処理プロトコルの1つまたは複数の段階に対応する対話的な指示をユーザに提供する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
対話的な指示が、(i)フローエレクトロポレーション装置のハードウェアステータスを点検する指示、または(ii)フローエレクトロポレーション装置の1つもしくは複数の構成要素を組み立てるかもしくは作動させる指示を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルが、以前の実験の処理プロトコルに対応する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
1つまたは材料のエレクトロポレーション装置での使用が妥当であるかどうかを判定し、1つまたは複数の材料の妥当性が確認されない場合に使用を禁止する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
以下の段階を含む方法:
(a)標本に割り当てられた情報をエレクトロポレーション処理プロトコルと自動的に関連付ける段階;および
(b)プロトコルを実行して標本にエレクトロポレーションを行う段階。
【請求項13】
処理プロトコルが、事前に保存されたユーザ定義処理プロトコルを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記情報が、患者情報または標本固有情報を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記情報が、電子走査用に構成された形式の情報を含む、請求項12記載の方法。
【請求項16】
前記形式がバーコードを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記情報が、事前に保存された処理プロトコルに対応するプロトコル名を含む、請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記情報が、新規の処理プロトコルに対応するプロトコル名を含む、請求項12記載の方法。
【請求項19】
以下の段階を含む方法:
(a)標本を走査して、該標本に割り当てられた情報を識別する段階;
(b)情報を入力する段階;
(c)該情報を既存のエレクトロポレーション処理プロトコルと関連付ける段階;および
(d)プロトコルを実行して標本にエレクトロポレーションを行う段階。
【請求項20】
走査が、無線自動識別(RFID)タグおよびリーダの使用を含む、請求項19記載の方法。

【公表番号】特表2008−521437(P2008−521437A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544438(P2007−544438)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/043159
【国際公開番号】WO2006/060409
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.JAVA
【出願人】(507178442)マックスサイト インコーポレーティッド (1)
【Fターム(参考)】