コンベア型食器洗浄機のコンベア装置
【課題】本発明は、ラックを可能な限り連続的に搬送させるようにしたコンベア型食器洗浄機のコンベア装置を提供する。
【解決手段】コンベア型食器洗浄機1において、洗浄室S内でラック4を搬送するためのコンベア装置20は、搬送方向に延在する左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第1のコンベアレール21と、左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第2のコンベアレール22と、第1のコンベアレール21の移動方向と第2のコンベアレール22の移動方向とが相反するように第1及び第2のコンベアレール21,22を往復動させる駆動手段23と、を備えている。そして、各コンベアレール21,22には、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する送り爪24,27が設けられている。
【解決手段】コンベア型食器洗浄機1において、洗浄室S内でラック4を搬送するためのコンベア装置20は、搬送方向に延在する左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第1のコンベアレール21と、左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第2のコンベアレール22と、第1のコンベアレール21の移動方向と第2のコンベアレール22の移動方向とが相反するように第1及び第2のコンベアレール21,22を往復動させる駆動手段23と、を備えている。そして、各コンベアレール21,22には、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する送り爪24,27が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器を収容するためのラックを搬送しながら洗浄を行う食器洗浄機のコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2001−112690号公報がある。この公報に記載されたコンベア型食器洗浄機のコンベア装置は、ラックを搬送するロッドと、このロッドを揺動自在に保持するロッドガイドと、からなり、ロッドは揺動装置にて揺動可能であって、ロッドガイドは、ラックレールに対して傾斜装置にて傾斜可能になっている。そして、このロッドは、枠状に形成された枠部材と、この枠部材の下部に設けられ、ロッドガイドに対して転動するローラと、ロッドの上部に設けられ、略三角形をなす一対の第一、第二、第三、第四爪と、からなる。また、ラック搬入側から2箇所の第一及び第二爪は、ラック搬入用として用いられ、ラック搬出側から3個所の第二乃至第四爪はラック搬出用として用いられている。従って、ロッドをラックの搬入及び搬出方向に揺動させると、搬入側へ移動した時に、爪は搬出側に倒れ、ラックの下面へすべり込み、搬出側へ移動した時に、爪は回動規制板に当たって、それ以上の回動が規制されてロックされるため、ラックの下面に爪の頂部が引っ掛かって、ラックを搬出方向へ運ぶことができる。このように、単一のコンベア装置によって、ラックの搬入と搬出の両方行うことができ、更には、ラックが搬出されなければ次のラックが搬入される事が無いため、被洗浄物としての食器を確実に洗浄できると共に、洗浄済み被洗浄物を次の洗浄動作時の洗浄水で汚してしまうことがない。また、ロッドを揺動させる揺動装置は、図示しない電動モータの回転速度を減速する減速機を備え、この減速機の回転運動はクランク機構にて直線運動に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−112690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置は、ラックを間欠的に搬送する構成になっているので、ラックが停止している時に食器に洗浄水が当たる場合と、ラックが動いている時に食器に洗浄水が当たる場合とで、食器の汚れ落ちに差が発生する。そして、ラックが停止している場合には、洗浄水が当たらない食器がどうしても発生してしまう。更に、ラックは、ある距離を進んだ後に所定時間停止するような間欠送りになっているので、ラックの搬送が効率的に行われないといった問題点もあった。
【0005】
本発明は、ラックを可能な限り連続的に搬送させるようにしたコンベア型食器洗浄機のコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、往復運動するコンベア部材に設けられた送り爪によって、ラックを洗浄室内でラックレールに沿って搬送させながら、噴射ノズルの噴射水によって食器の洗浄を行うコンベア型食器洗浄機において、
コンベア部材は複数のコンベア部からなり、各コンベア部の送り爪は、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入し、それぞれのコンベア部は、駆動手段により、ずれたタイミングで往復動させられることを特徴とする。
【0007】
同一のタイミングでコンベア部が駆動している従来のコンベア装置では、ラックを間欠的にしか搬送することができなかったが、本発明に係るコンベア装置では、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する送り爪をもった複数のコンベア部がずれたタイミングで往復動するので、ラックを切れ目無く効率良く搬送させることが可能になる。従って、コンベア部をずれたタイミングで往復動させるといった技術的思想によって、ラックを可能な限り連続的に搬送させることができるようになる。
【0008】
また、コンベア部材は、ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第1の送り爪を有する第1のコンベア部と、ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第2の送り爪を有する第2のコンベア部と、を備え、駆動手段は、第1のコンベア部と第2のコンベア部とをずれたタイミングで往復動させるにあたって、ラックレールに沿った第1のコンベア部の移動方向と第2のコンベア部の移動方向とが相反するように第1及び第2のコンベア部を往復動させる。
この場合、コンベア部材は、相反する方向に往復運動する第1のコンベア部と第2のコンベア部を備えている。そして、第1及び第2のコンベア部には、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する送り爪が設けられている。このような構成により、例えば、第1のコンベア部がラックの搬出側に前進している時、第2のコンベア部はラックの搬入側に後退し、第1のコンベア部がラックの搬入側に後退している時、第2のコンベア部はラックの搬出側に前進している。そして、各コンベア部材の送り爪は、前進時にラックの下側に引っ掛かってラックを前進させると共に、後退時にラックの下側に引っ掛からないように没入する。従って、第1のコンベア部が前進しているとき、ラックが搬出側に送られ続け、第1のコンベア部の前進が終了すると、後方で待機している第2のコンベア部でラックを搬出側に送り、第2のコンベア部でラックの前進が終了すると、後方で待機している第1のコンベア部でラックを搬出側に送る。このように、ラックの前進に寄与しない側のコンベア部材を後方で待機させているので、ラックの前進を、第1のコンベア部から第2のコンベア部に引き継ぐ時に僅かながらのタイムラグがあったとしても、ラックは可能な限り連続的に搬送されることになる。そして、従来のように間欠的にラックを送る場合に比べて、ラックの搬送効率が良く、その結果、洗浄室内でのラックの搬送時間の短縮を可能にする。また、ラックの搬送時間の短縮を図らない場合にあっては、ラックを洗浄室内でゆっくりと移動させることができるので、洗浄水を食器に均一に且つしっかりと当てることができ、洗浄効率を格段にアップさせることができる。しかも、従来と同じ洗浄力を維持するのであれば、洗浄時間の短縮やラック搬送距離の短縮による製品外形寸法の小型化も可能になる。
【0009】
また、第1のコンベア部内に第2のコンベア部が挿入され、第2の送り爪が第1のコンベア部の上部から露出させられている。
このような構成を採用すると、第1のコンベア部の内側に第2のコンベア部を配置させるようなコンベア部材の二重構造を可能にするので、スペース効率を高めることができ、従来からあるコンベア部材のスペースに第1及び第2のコンベア部を一括して配置させることができる。
【0010】
また、左右一対で平行に延在する第1のコンベア部は、第1の連結フレームによって連結され、左右一対で平行に延在する第2のコンベア部は、第2の連結フレームによって連結され、外側に位置する第1のコンベア部には、第2の連結フレームを露出させるスリットが形成されている。
このような構成を採用することで、コンベア部材の二重構造と、コンベア部材の左右配置と、を同時に達成させることができる。
【0011】
また、第2のコンベア部には、第2のコンベア部の側面から突出して第1のコンベア部の内壁面に当接する規制ローラが設けられている。
このような構成を採用すると、第1のコンベア部内で第2のコンベア部を往復運動させるにあたって、第1のコンベア部に第2のコンベア部が接触することがなくなるので、コンベア部材の偏摩耗を防止して耐久性を高めることができ、しかも、互いのコンベア部材をスムーズに往復運動させることができる。
【0012】
また、駆動手段は、第1のコンベア部に連結されて、第1のコンベア部を進退させる第1のクランク部と、第1のクランク部に対して180度の位相差をもって第2のコンベア部に連結されて、第2のコンベア部を進退させる第2のクランク部と、を備える。
このように、第1のコンベア部を進退させるための第1のクランク部と、第2のコンベア部を進退させるための第2のクランク部とに、180度の位相差をもたせることで、クランク機構を利用して、第1のコンベア部と第2のコンベア部とを相反する方向に進退させることができる。
【0013】
また、第1のクランク部には、左右一対の第1のコンベア部を連結する第1の連結フレームに沿って摺動する第1のスライダが回転自在に取り付けられ、第2のクランク部には、左右一対の第2のコンベア部を連結する第2の連結フレームに沿って摺動する第2のスライダが回転自在に取り付けられている。
このような構成を採用すると、クランク部の回転力をコンベア部材に効率良く伝達させることができる。
【0014】
また、第1のクランク部と第2のクランク部は、個別のモータにより回転させられる。
このような構成を採用すると、万一、一方のモータが故障したとしても、他方のモータにより、ラックを搬送することができるので、応急的な対応を可能にしている。
【0015】
また、第1のクランク部と第2のクランク部は、モータに連結された一本の回転軸に上下で一体化され、回転軸は、180度以内の回転角度をもって正逆回転するか又は一方向に回転する。
このような構成を採用すると、一個のモータで第1及び第2のクランク部を安定して回転を安定させることができ、コンベア部材の往復運動を確実に且つスムーズに行わせることができる。
【0016】
また、第1及び第2のクランク部を回転させるモータの回転速度が、第1及び第2の送り爪によるラックの押し始め時期とラックの押し終わり時期で大きくなるようにモータをインバータ制御して、第1及び第2のコンベア部の往復速度を一定にする。
クランク機構を利用すると、ラックの搬送速度は、第1及び第2の送り爪によるラックの押し始め時期とラックの押し終わり時期で小さくなってしまうので、モータをインバータ制御することで、ラックの搬送速度の一定化を図り、これによって、洗浄水を食器に均一に当てることができ、洗浄力の均一化を図ることができる。
【0017】
また、駆動手段は、第1のコンベア部に連結されて第1のコンベア部を進退させる第1のコンベア往復運動機構と、第2のコンベア部に連結されて、第2のコンベア部を第1のコンベア部に対して相反する方向に進退させる第2のコンベア往復運動機構と、を備え、第1及び第2のコンベア往復運動機構は、モータにより回転する欠歯車と、コンベア部材に連結されると共に、欠歯車を挟むように配置された二重ラックと、からなる。
クランク機構を採用した場合、コンベア部材に作用する力点が左右に移動し、しかもインバータによってモータを制御しなければ、ラックの搬送速度を一定にすることができないが、二重ラックと欠歯車との協働による往復運動機構は、ラックの搬送速度の一定化が容易で、コンベア部材の力点が左右に移動することなく、均一な力をコンベア部材に作用させ易く、クランク機構に比べて省スペース化を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ラックを可能な限り連続的に搬送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るコンベア装置を適用した食器洗浄機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】第1のラックレールを示す斜視図である。
【図4】第2のラックレールを示す斜視図である。
【図5】第1のラックレール内に第2のラックレールが挿入された状態を示す斜視図である。
【図6】図5の横断面図である。
【図7】図5の他の横断面図である。
【図8】第1及び第2の連結フレームを示す断面図である。
【図9】クランク機構を示す断面図である。
【図10】クランク機構を示す正面図である。
【図11】第1のスライダと第2のスライダが左右に並んだ状態を示す平面図である。
【図12】第1のスライダと第2のスライダが前後に並んだ状態を示す平面図である。
【図13】クランク機構の変形例を示す正面図である。
【図14】本発明に係るコンベア装置に適用される駆動手段の他の変形例を示す概略図である。
【図15】本発明に係るコンベア装置に適用される駆動手段の更に他の変形例を示す断面図である。
【図16】欠歯車と二重ラックによる往復運動機構を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るコンベア型食器洗浄機のコンベア装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、下記の「前」「後」「左右」は、ラックの搬送方向を基準にしている。
【0021】
図1に示されるように、作業者側から見てコンベア型食器洗浄機1の左側には、汚れた被洗浄物としての食器(例えば皿)3を収容したラック4を載せるためのソイルドテーブル5が設置され、右側には、洗浄後の食器3を収容したラック4を載せるためのクリーンテーブル6が設置されている。
【0022】
なお、コンベア型食器洗浄機1は、ステンレール製の筐体7の下端に設けられた4本の脚8によって支持され、コンベア型食器洗浄機1には、洗浄室Sの開閉に寄与する開閉扉9が設けられている。そして、筐体7は、洗浄室Sを有する上部筐体7aと、洗浄タンク10を有する下部筐体7bとの2段構造となっている。
【0023】
図2に示されるように、コンベア型食器洗浄機1の筐体7内に設けられた洗浄室S内には、ソイルドテーブル5とクリーンテーブル6との間を架け渡すように左右一対のラックレール2が延在し、各ラックレール2は、下部筐体7bに固定されている。そして、ラックレール2上にラック4の底面4aを当接させるように載置されたラック4は、コンベア装置20によって洗浄室S内で一方向に搬送される。
【0024】
洗浄室Sは、カーテン11で仕切られて、入口側が洗浄領域S1となり、出口側が濯ぎ領域S2になっている。更に、コンベア型食器洗浄機1の入口Cを塞ぐようにカーテン12の上端が筐体7に固定され、コンベア型食器洗浄機1の出口Dを塞ぐようにカーテン13の上端が筐体7に固定されている。そして、カーテン11,12,13は、短冊状の切り込みが形成されて、ラック4の通過を可能にしている。
【0025】
洗浄領域S1内には、上方から洗浄水を噴水する上側洗浄ノズル(上側噴射ノズル)14と下方から洗浄水を噴水する下側洗浄ノズル(下側噴射ノズル)15とが配置されている。上側洗浄ノズル14は、給水パイプ16を介して洗浄ポンプP1に接続され、下側洗浄ノズル15は、給水パイプ17を介して洗浄ポンプP2に接続されている。各洗浄ポンプP1,P2の吸込み口は洗浄タンク10内に連通し、この洗浄タンク10内には洗浄後及び濯ぎ後の水が貯留され、洗浄タンク10内の余剰な洗浄水は、オーバフローパイプ18によって外部に排出される。なお、符号19は、洗剤供給装置である。
【0026】
また、濯ぎ領域S2内には、上方から濯ぎ水を噴水する上側濯ぎノズル(上側噴射ノズル)81と下方から濯ぎ水を噴水する下側濯ぎノズル(下側噴射ノズル)82とが配置されている。上側濯ぎノズル81及び下側濯ぎノズル82は、給水パイプ83を介して濯ぎポンプP3に接続されている。この濯ぎポンプP3の吸込み口は濯ぎタンク84と接続され、濯ぎタンク84内には、ガスブースタ又は電気ブースタなどで濯ぎに適した温度まで加熱された清浄な水が貯留されている。なお、符号85は、リンス剤供給装置である。
【0027】
図3〜図5に示されるように、洗浄室S内でラック4を搬送するためのコンベア装置20は、搬送方向に延在する左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第1のコンベアレール(第1のコンベア部)21と、左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第2のコンベアレール(第2のコンベア部)22と、第1のコンベアレール21と第2のコンベアレール22とをずれたタイミングで往復動させるにあたって、第1のコンベアレール21の移動方向と第2のコンベアレール22の移動方向とが相反するように第1及び第2のコンベアレール21,22を往復動させる駆動手段23(図10参照)と、を備えている。なお、第1のコンベア部21と第2のコンベア部22とでコンベア部材Eが構成される(図5参照)。
【0028】
図3に示されるように、各第1のコンベアレール21の前後と中央には、上部から出没可能な第1の送り爪24が設けられている。各第1の送り爪24は、第1のコンベアレール21の側壁に固定された軸部24aによって揺動自在になっている。また、各第1の送り爪24の先端は、斜め前方に向けて突き出され、送り爪24に形成されたピン24bが、第1のコンベアレール21の側面に形成された円弧溝25aの上下端に当たることで、送り爪24の回り止めが達成されている。そして、各第1の送り爪24は、その下端側が重くなっているので、自重により突出状態に自動的に復帰させることができる。
【0029】
従って、駆動手段23によってラック4が前進させられる際には、ラック4の底側の桟に第1の送り爪24の先端を引っ掛けた状態でラック4が前進させられる。また、駆動手段23によって第1のコンベアレール21が後退させられる際には、ラック4の桟に第1の送り爪24が引っ掛かることなく、第1の送り爪24は第1のコンベアレール21内に沈み込みながら後退する。また、左右の第1のコンベアレール21は、後端側に位置する第1の連結フレーム26によって連結させられている。そして、この第1の連結フレーム26は、第1のコンベアレール21の底部で搬送方向に対して直交するように延在する。
【0030】
図4に示されるように、各第2のコンベアレール22の前後には、上部から出没可能な第2の送り爪27が設けられている。各第2の送り爪27は、第2のコンベアレール22の側壁に固定された軸部27aによって揺動自在になっている。また、各第2の送り爪27の先端は、斜め前方に向けて突き出され、送り爪27に形成されたピン27bが、第2のコンベアレール22の側面に形成された円弧溝25bの上下端に当たることで、送り爪27の回り止めが達成されている。そして、各第2の送り爪27は、その下端側が重くなっているので、自重により突出状態に自動的に復帰させることができる。なお、第2のコンベアレール22の上面には、前後に位置する第2の送り爪27の間にスリット22aが形成され、このスリット22aから第1の送り爪24を上方に露出させている。
【0031】
従って、駆動手段23によってラック4が前進させられる際には、ラック4の底側の桟に第2の送り爪27の先端を引っ掛けた状態でラック4が前進させられる。また、駆動手段23によって第2のコンベアレール22が後退させられる際には、ラック4の桟に第2の送り爪27が引っ掛かることなく、第2の送り爪27は第2のコンベアレール22内に沈み込みながら後退する。また、左右の第2のコンベアレール22は、後端側に位置する第2の連結フレーム28によって連結させられている。そして、この第2の連結フレーム28は、第2のコンベアレール22と同一の平面上に配置されている。
【0032】
この第2の連結フレーム28は、第1の連結フレーム26の上方に位置すると共に、第2の連結フレーム28の両端部は、L字状のアーム部28Aによって第2のコンベアレール22の後端に連結されている。このようなアーム部28Aを採用することで、第1の連結フレーム26と第2の連結フレーム28とを上下に並設させることができる。
【0033】
図5に示されるように、断面長方形状の第1のコンベアレール21内に断面長方形状の第2のコンベアレール22が挿入され、第2のコンベアレール22の第2の送り爪27は、第1のコンベアレール21の上面に形成されたスリット21bから外部に露出させられている。これにより、第1の送り爪24と第2の送り爪27とを搬送方向に一直線上に整列させることができる。更に、第1のコンベアレール21の内側の側面には、第2の連結フレーム28のL字状のアーム部28Aを露出させるためのスリット21cが形成され、スリット21c内でアーム部28Aは移動することができる。
【0034】
このような構成を採用すると、第1のコンベアレール21の内側に第2のコンベアレール22を配置させるような二重構造を可能にするので、スペース効率を高めることができ、従来からあるコンベアレールのスペースに第1及び第2のコンベアレール21,22を一括して配置させることができる。
【0035】
図5及び図6に示されるように、第2のコンベアレール22の底部から立設する軸部29aには規制ローラ29が軸支され、この規制ローラ29は、第2のコンベアレール22の両側面に形成された露出窓22bから突出して、第1のコンベアレール21の内壁面に当接する。このような構成を採用すると、第1のコンベアレール21内で第2のコンベアレール22を往復運動させる際に、第1のコンベアレール21に第2のコンベアレール22が接触することがなくなるので、コンベアレール21,22の偏摩耗を防止して耐久性を高めることができ、しかも、互いのコンベアレール21,22をスムーズに往復運動させることができる。
【0036】
更に、図4及び図6に示されるように、第2のコンベアレール22には、この外側面から突出するガイドローラ30が設けられている。このガイドローラ30は、第1のコンベアレール22の外側面に形成されたスリット22dを貫通するシャフト30aに回転自在に取り付けられ、ガイドローラ30は、ラックレール2の底面に当接させられる。このガイドローラ30によって第2のコンベアレール22を第1のコンベアレール21内でラックレール2に沿ってスムーズに進退させることができる。
【0037】
図3及び図7に示されるように、第1のコンベアレール21には、この外側面から突出するガイドローラ31が設けられ、このガイドローラ31の軸部は、第1の送り爪24のために利用される軸部24aと共有化が図られている。ガイドローラ31は、ラックレール2の底面に当接させられている。このガイドローラ31によって第1のコンベアレール21をラックレール2に沿ってスムーズに進退させることができる。
【0038】
図6に示されるように、ラックレール2の底面に立設させられた軸部32aには、規制ローラ32が軸支され、この規制ローラ32は、ラックレール2の底面の内端2aから突出して第1のコンベアレール21の外側面に当接する。このような構成を採用すると、第1のコンベアレール21がラックレール2に接触することがないので、第1のコンベアレール21をラックレール2に沿ってスムーズに往復運動させることができる。
【0039】
図5、図8及び図9に示されるように、上方に第2の連結フレーム28が配置され、下方に第1の連結フレーム26が配置され、第1及び第2の連結フレーム26,28は、何れも下方が開放された断面コ字状に形成されている。そして、第1及び第2の連結フレーム26,28の内部には、樹脂からなる直方体の第1及び第2のスライダ46,47がそれぞれ収容され、第1及び第2のスライダ46,47は、第1及び第2の連結フレーム26,28の長手方向に沿って摺動する。
【0040】
図8〜図10に示されるように、駆動手段23は、第1のコンベアレール21の第1の連結フレーム26に連結されて、第1のコンベアレール21をラックレール2に沿って進退させる第1のクランク部41と、第1のクランク部41に対して180度の位相差をもって第2のコンベアレール22の第2の連結フレーム28に連結されて、第2のコンベアレール22を第1のコンベアレール21に沿って進退させる第2のクランク部42と、第1及び第2のクランク部41,42を回転させるギアドモータM(図2参照)と、を備えている。
【0041】
下側に位置する第1のクランク部41は、ギアドモータMによって回転する回転軸40の上端に固定された第1の連結アーム41Aと、第1の連結アーム41Aの遊端に立設されて、第1の連結フレーム26の上面に形成されたスリット26c内に挿入される第1のクランクピン41Bと、からなる。上側に位置する第2のクランク部42は、第1の連結アーム41Aに対して平行に延在すると共に、一端が第1のクランクピン41Bに固定された第2の連結アーム42Aと、第2の連結アーム42Aの他端に立設された第2のクランクピン42Bと、からなる。なお、回転軸40は、洗浄タンク10に固定された取付けブラケット33によって回転自在に支持されている。
【0042】
また、第2の連結アーム42Aの中央には、回転軸40の軸線L上に位置する軸部43が設けられ、この軸部43は、洗浄タンク10の側面にネジ止めされるステー44に対して回転自在に取り付けられている。この軸部43を境にして、第2の連結アーム42Aは、第1のクランクピン41Bが設けられた第1のアーム片42aと、第2のクランクピン42Bが設けられた第2のアーム片42bと、からなる。従って、ステー44によって回転自在に保持された軸部43を中心にして、第1のアーム片42aと第2のアーム片42bは一体的に回転する。
【0043】
更に、第1のクランク部41の第1のクランクピン41Bには、下側に位置する第1の連結フレーム26に沿って摺動する第1のスライダ46が回転自在に取り付けられている。同様に、第2のクランク部42の第2のクランクピン42Bには、上側に位置する第2の連結フレーム28に沿って摺動する第2のスライダ47が回転自在に取り付けられている。このようなスライダ46,47を採用することで、クランク部41,42の回転力を第1及び第2のコンベアレール21,22に効率良く伝達することができる。
【0044】
そして、下側に位置する第1のスライダ46は、断面コ字状の第1の連結フレーム26の前壁26aと後壁26bとで挟まれて、前壁26aと後壁26bとの間で摺動する。同様に、上側に位置する第2のスライダ47は、断面コ字状の第2の連結フレーム28の前壁28aと後壁28bとで挟まれて、前壁28aと後壁28bとの間で摺動する。このようなスライダ46,47の採用により、クランク部41,42の回転運動をコンベアレール21,22の直線的な進退運動に適切に変換させることができる。
【0045】
前述した駆動手段23にあっては、ギアドモータMによって回転軸40が回転すると、第1及び第2のクランク部41,42によって、第1及び第2のスライダ46,47が第1及び第2の連結フレーム26,28内で左右方向に往復運動する。
【0046】
図11に示されるように、回転軸40の軸線Lを中心に第1及び第2のクランクピン41B,42Bが矢印A方向に回転すると、第1のスライダ46により第1の連結フレーム26の後壁26bを矢印B方向に押し、第2のスライダ47により第2の連結フレーム28の前壁28aを矢印Bと相反する矢印C方向に押し続ける。そして、第1及び第2のスライダ46,47が図12の位置にきた時点で、矢印A方向に回転軸40が回転し続けると、第1のスライダ46により第1の連結フレーム26の前壁26aを矢印D方向に押し、第2のスライダ47により第2の連結フレーム28の後壁28bを矢印Dと相反する矢印D方向に押し続ける。
【0047】
このように、第1のコンベアレール21を進退させるための第1のクランク部41と、第2のコンベアレール22を進退させるための第2のクランク部42とに、180度の位相差をもたせることで、クランク機構を利用して、第1のコンベアレール21と第2のコンベアレール22とを相反する方向に進退させることができる。
【0048】
このようなコンベア装置20でクランク機構の駆動手段23を利用すると、例えば、第1のコンベアレール21がラック4の搬出側に前進している時、第2のコンベアレール22はラック4の搬入側に後退し、第1のコンベアレール21がラック4の搬入側に後退している時、第2のコンベアレール22はラック4の搬出側に前進する。そして、各コンベアレール21,22の第1及び第2の送り爪24,27は、前進時にラック4の下側の桟に引っ掛かってラック4を前進させると共に、後退時にラック4の下側の桟に引っ掛からないように没入する。
【0049】
従って、第1のコンベアレール21が前進しているとき、ラック4が搬出側に送られ続け、第1のコンベアレール21の前進が終了すると、後方で待機している第2のコンベアレール22でラック4を搬出側に送り、第2のコンベアレール22でラック4の前進が終了すると、後方で待機している第1のコンベアレール21でラック4を搬出側に送る。このように、ラック4の前進に寄与しない側のコンベアレール21,22を後方で待機させているので、ラック4の前進を、第1のコンベアレール21から第2のコンベアレール22又は第2のコンベアレール22から第1のコンベアレール21に引き継ぐ時に僅かながらのタイムラグがあったとしても、ラック4は可能な限り連続的に搬送されることになる。
【0050】
そして、従来のように間欠的にラック4を送る場合に比べて、ラック4の搬送効率が良く、その結果、洗浄室S内でのラック4の搬送時間の短縮を可能にする。また、ラック4の搬送時間の短縮を図らない場合にあっては、ラック4を洗浄室S内でゆっくりと移動させることができるので、洗浄水を食器に均一に且つしっかりと当てることができ、洗浄効率を格段にアップさせることができる。しかも、従来と同じ洗浄力を維持するのであれば、洗浄時間の短縮やラック搬送距離の短縮による製品外形寸法の小型化も可能になる。
【0051】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0052】
図13に示されるように、他のクランク機構にあっては、上下方向に延びる1本の回転軸50に、第1のクランク部51と第2のクランク部52が上下で並置されるように一体化されている。なお、第1及び第2のクランク部51,52は、回転軸50に固定された第1及び第2のクランクアーム51a,52aと、各クランクアーム51a,52aの遊端に設けられた第1及び第2のクランクピン51b,52bと、からなる。このような構成を採用すると、第1及び第2のクランク部51,52の回転を安定させることができ、コンベアレール21,22の往復運動をスムーズに行わせることができる。この場合、回転軸50は、180度以内の回転角度をもって正逆回転しても、一方向に360度回転してもよい。
【0053】
図14に示されるように、他の駆動手段60としては、第1のコンベアレール21を往復運動させるための第1のクランク部61と、第2のコンベアレール22を往復運動させるための第2のクランク部62と、同軸上に配置させることなく、左右に並設させてもよい。この場合、第1のクランク部61と第2のクランク部62とは、個別のギアドモータM1,M2により回転させられる。このような構成を採用すると、万一、ギアドモータM1,M2のうちの一方が故障したとしても、他方のモータにより、ラック4を搬送することができるので、応急的な対応を可能にしている。
【0054】
前述した種々のクランク機構を利用すると、ラック4の搬送速度は、第1及び第2の送り爪24,27によるラック4の押し始め時期とラック4の押し終わり時期で小さくなってしまう。そこで、第1及び第2のクランク部41,42,51,52,61,62を回転させるギアドモータM,M1,M2の回転速度が、第1及び第2の送り爪24,27によるラック4の押し始め時期とラック4の押し終わり時期で大きくなるようにギアドモータM,M1,M2をインバータ制御して、第1及び第2のコンベアレール21,22の往復速度を一定にする。このように、ラック4の搬送速度の一定化を図ることによって、洗浄水を食器3に均一に当てることができ、洗浄力の均一化を図ることができる。
【0055】
図15及び図16に示されるように、駆動手段70は、第1のコンベアレール21に連結されて第1のコンベアレール21を進退させる第1のコンベア往復運動機構71と、第2のコンベアレール22に連結されて、第2のコンベアレール22を第1のコンベアレール21に対して相反する方向に進退させる第2のコンベア往復運動機構72と、を備えている。
【0056】
そして、第1及び第2のコンベア往復運動機構71,72は、ギアドモータMに連結された回転軸73を中心に回転する第1及び第2の欠歯車74,75と、第1及び第2のコンベアレール21,22の第1及び第2の連結フレーム26,28に固定されると共に、欠歯車74,75を挟むように配置された第1及び第2の二重ラック76,77と、からなる。そして、第1の欠歯車74と第1の二重ラック76との噛合位置と、第2の欠歯車75と第2の二重ラック77との噛合位置は、図16に示されるように、常に左右逆の関係になっている。従って、コンベアレール21,22のうちの一方が前進しているとき、他方を後退させることができる。
【0057】
クランク機構を採用した場合、コンベアレール21,22に作用する力点が左右に移動し、しかもインバータによってギアドモータMを制御しなければ、ラック4の搬送速度を一定にすることができないが、二重ラック76,77と欠歯車74,75との組み合わせによるコンベア往復運動機構71,72は、ラック4の搬送速度の一定化が容易で、コンベアレール21,22の力点が左右に移動することなく、均一な力をコンベアレール21,22に作用させ易く、クランク機構に比べて省スペース化を実現することができる。
【0058】
本発明に係るコンベア装置は、相反する方向に移動可能な少なくとも2個のコンベアレールを備えていればよい。
【0059】
第1のコンベアレール21と第2のコンベアレール22は、水平方向で並置されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…コンベア型食器洗浄機、2…ラックレール、3…食器、4…ラック、14,15,81,82…噴射ノズル、20…コンベア装置、21c…スリット、21…第1のコンベアレール(第1のコンベア部)、22…第2のコンベアレール(第2のコンベア部)、24…第1の送り爪、26…第1の連結フレーム、27…第2の送り爪、28…第2の連結フレーム、29…規制ローラ、40…回転軸、41…第1のクランプ部、42…第2のクランク部、46…第1のスライダ、47…第2のスライダ、71…第1のコンベア往復運動機構、72…第2のコンベア往復運動機構、74,75…欠歯車、76,77…二重ラック、S…洗浄室、M,M1,M2…モータ、E…コンベア部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器を収容するためのラックを搬送しながら洗浄を行う食器洗浄機のコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2001−112690号公報がある。この公報に記載されたコンベア型食器洗浄機のコンベア装置は、ラックを搬送するロッドと、このロッドを揺動自在に保持するロッドガイドと、からなり、ロッドは揺動装置にて揺動可能であって、ロッドガイドは、ラックレールに対して傾斜装置にて傾斜可能になっている。そして、このロッドは、枠状に形成された枠部材と、この枠部材の下部に設けられ、ロッドガイドに対して転動するローラと、ロッドの上部に設けられ、略三角形をなす一対の第一、第二、第三、第四爪と、からなる。また、ラック搬入側から2箇所の第一及び第二爪は、ラック搬入用として用いられ、ラック搬出側から3個所の第二乃至第四爪はラック搬出用として用いられている。従って、ロッドをラックの搬入及び搬出方向に揺動させると、搬入側へ移動した時に、爪は搬出側に倒れ、ラックの下面へすべり込み、搬出側へ移動した時に、爪は回動規制板に当たって、それ以上の回動が規制されてロックされるため、ラックの下面に爪の頂部が引っ掛かって、ラックを搬出方向へ運ぶことができる。このように、単一のコンベア装置によって、ラックの搬入と搬出の両方行うことができ、更には、ラックが搬出されなければ次のラックが搬入される事が無いため、被洗浄物としての食器を確実に洗浄できると共に、洗浄済み被洗浄物を次の洗浄動作時の洗浄水で汚してしまうことがない。また、ロッドを揺動させる揺動装置は、図示しない電動モータの回転速度を減速する減速機を備え、この減速機の回転運動はクランク機構にて直線運動に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−112690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置は、ラックを間欠的に搬送する構成になっているので、ラックが停止している時に食器に洗浄水が当たる場合と、ラックが動いている時に食器に洗浄水が当たる場合とで、食器の汚れ落ちに差が発生する。そして、ラックが停止している場合には、洗浄水が当たらない食器がどうしても発生してしまう。更に、ラックは、ある距離を進んだ後に所定時間停止するような間欠送りになっているので、ラックの搬送が効率的に行われないといった問題点もあった。
【0005】
本発明は、ラックを可能な限り連続的に搬送させるようにしたコンベア型食器洗浄機のコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、往復運動するコンベア部材に設けられた送り爪によって、ラックを洗浄室内でラックレールに沿って搬送させながら、噴射ノズルの噴射水によって食器の洗浄を行うコンベア型食器洗浄機において、
コンベア部材は複数のコンベア部からなり、各コンベア部の送り爪は、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入し、それぞれのコンベア部は、駆動手段により、ずれたタイミングで往復動させられることを特徴とする。
【0007】
同一のタイミングでコンベア部が駆動している従来のコンベア装置では、ラックを間欠的にしか搬送することができなかったが、本発明に係るコンベア装置では、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する送り爪をもった複数のコンベア部がずれたタイミングで往復動するので、ラックを切れ目無く効率良く搬送させることが可能になる。従って、コンベア部をずれたタイミングで往復動させるといった技術的思想によって、ラックを可能な限り連続的に搬送させることができるようになる。
【0008】
また、コンベア部材は、ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第1の送り爪を有する第1のコンベア部と、ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第2の送り爪を有する第2のコンベア部と、を備え、駆動手段は、第1のコンベア部と第2のコンベア部とをずれたタイミングで往復動させるにあたって、ラックレールに沿った第1のコンベア部の移動方向と第2のコンベア部の移動方向とが相反するように第1及び第2のコンベア部を往復動させる。
この場合、コンベア部材は、相反する方向に往復運動する第1のコンベア部と第2のコンベア部を備えている。そして、第1及び第2のコンベア部には、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する送り爪が設けられている。このような構成により、例えば、第1のコンベア部がラックの搬出側に前進している時、第2のコンベア部はラックの搬入側に後退し、第1のコンベア部がラックの搬入側に後退している時、第2のコンベア部はラックの搬出側に前進している。そして、各コンベア部材の送り爪は、前進時にラックの下側に引っ掛かってラックを前進させると共に、後退時にラックの下側に引っ掛からないように没入する。従って、第1のコンベア部が前進しているとき、ラックが搬出側に送られ続け、第1のコンベア部の前進が終了すると、後方で待機している第2のコンベア部でラックを搬出側に送り、第2のコンベア部でラックの前進が終了すると、後方で待機している第1のコンベア部でラックを搬出側に送る。このように、ラックの前進に寄与しない側のコンベア部材を後方で待機させているので、ラックの前進を、第1のコンベア部から第2のコンベア部に引き継ぐ時に僅かながらのタイムラグがあったとしても、ラックは可能な限り連続的に搬送されることになる。そして、従来のように間欠的にラックを送る場合に比べて、ラックの搬送効率が良く、その結果、洗浄室内でのラックの搬送時間の短縮を可能にする。また、ラックの搬送時間の短縮を図らない場合にあっては、ラックを洗浄室内でゆっくりと移動させることができるので、洗浄水を食器に均一に且つしっかりと当てることができ、洗浄効率を格段にアップさせることができる。しかも、従来と同じ洗浄力を維持するのであれば、洗浄時間の短縮やラック搬送距離の短縮による製品外形寸法の小型化も可能になる。
【0009】
また、第1のコンベア部内に第2のコンベア部が挿入され、第2の送り爪が第1のコンベア部の上部から露出させられている。
このような構成を採用すると、第1のコンベア部の内側に第2のコンベア部を配置させるようなコンベア部材の二重構造を可能にするので、スペース効率を高めることができ、従来からあるコンベア部材のスペースに第1及び第2のコンベア部を一括して配置させることができる。
【0010】
また、左右一対で平行に延在する第1のコンベア部は、第1の連結フレームによって連結され、左右一対で平行に延在する第2のコンベア部は、第2の連結フレームによって連結され、外側に位置する第1のコンベア部には、第2の連結フレームを露出させるスリットが形成されている。
このような構成を採用することで、コンベア部材の二重構造と、コンベア部材の左右配置と、を同時に達成させることができる。
【0011】
また、第2のコンベア部には、第2のコンベア部の側面から突出して第1のコンベア部の内壁面に当接する規制ローラが設けられている。
このような構成を採用すると、第1のコンベア部内で第2のコンベア部を往復運動させるにあたって、第1のコンベア部に第2のコンベア部が接触することがなくなるので、コンベア部材の偏摩耗を防止して耐久性を高めることができ、しかも、互いのコンベア部材をスムーズに往復運動させることができる。
【0012】
また、駆動手段は、第1のコンベア部に連結されて、第1のコンベア部を進退させる第1のクランク部と、第1のクランク部に対して180度の位相差をもって第2のコンベア部に連結されて、第2のコンベア部を進退させる第2のクランク部と、を備える。
このように、第1のコンベア部を進退させるための第1のクランク部と、第2のコンベア部を進退させるための第2のクランク部とに、180度の位相差をもたせることで、クランク機構を利用して、第1のコンベア部と第2のコンベア部とを相反する方向に進退させることができる。
【0013】
また、第1のクランク部には、左右一対の第1のコンベア部を連結する第1の連結フレームに沿って摺動する第1のスライダが回転自在に取り付けられ、第2のクランク部には、左右一対の第2のコンベア部を連結する第2の連結フレームに沿って摺動する第2のスライダが回転自在に取り付けられている。
このような構成を採用すると、クランク部の回転力をコンベア部材に効率良く伝達させることができる。
【0014】
また、第1のクランク部と第2のクランク部は、個別のモータにより回転させられる。
このような構成を採用すると、万一、一方のモータが故障したとしても、他方のモータにより、ラックを搬送することができるので、応急的な対応を可能にしている。
【0015】
また、第1のクランク部と第2のクランク部は、モータに連結された一本の回転軸に上下で一体化され、回転軸は、180度以内の回転角度をもって正逆回転するか又は一方向に回転する。
このような構成を採用すると、一個のモータで第1及び第2のクランク部を安定して回転を安定させることができ、コンベア部材の往復運動を確実に且つスムーズに行わせることができる。
【0016】
また、第1及び第2のクランク部を回転させるモータの回転速度が、第1及び第2の送り爪によるラックの押し始め時期とラックの押し終わり時期で大きくなるようにモータをインバータ制御して、第1及び第2のコンベア部の往復速度を一定にする。
クランク機構を利用すると、ラックの搬送速度は、第1及び第2の送り爪によるラックの押し始め時期とラックの押し終わり時期で小さくなってしまうので、モータをインバータ制御することで、ラックの搬送速度の一定化を図り、これによって、洗浄水を食器に均一に当てることができ、洗浄力の均一化を図ることができる。
【0017】
また、駆動手段は、第1のコンベア部に連結されて第1のコンベア部を進退させる第1のコンベア往復運動機構と、第2のコンベア部に連結されて、第2のコンベア部を第1のコンベア部に対して相反する方向に進退させる第2のコンベア往復運動機構と、を備え、第1及び第2のコンベア往復運動機構は、モータにより回転する欠歯車と、コンベア部材に連結されると共に、欠歯車を挟むように配置された二重ラックと、からなる。
クランク機構を採用した場合、コンベア部材に作用する力点が左右に移動し、しかもインバータによってモータを制御しなければ、ラックの搬送速度を一定にすることができないが、二重ラックと欠歯車との協働による往復運動機構は、ラックの搬送速度の一定化が容易で、コンベア部材の力点が左右に移動することなく、均一な力をコンベア部材に作用させ易く、クランク機構に比べて省スペース化を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ラックを可能な限り連続的に搬送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るコンベア装置を適用した食器洗浄機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】第1のラックレールを示す斜視図である。
【図4】第2のラックレールを示す斜視図である。
【図5】第1のラックレール内に第2のラックレールが挿入された状態を示す斜視図である。
【図6】図5の横断面図である。
【図7】図5の他の横断面図である。
【図8】第1及び第2の連結フレームを示す断面図である。
【図9】クランク機構を示す断面図である。
【図10】クランク機構を示す正面図である。
【図11】第1のスライダと第2のスライダが左右に並んだ状態を示す平面図である。
【図12】第1のスライダと第2のスライダが前後に並んだ状態を示す平面図である。
【図13】クランク機構の変形例を示す正面図である。
【図14】本発明に係るコンベア装置に適用される駆動手段の他の変形例を示す概略図である。
【図15】本発明に係るコンベア装置に適用される駆動手段の更に他の変形例を示す断面図である。
【図16】欠歯車と二重ラックによる往復運動機構を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るコンベア型食器洗浄機のコンベア装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、下記の「前」「後」「左右」は、ラックの搬送方向を基準にしている。
【0021】
図1に示されるように、作業者側から見てコンベア型食器洗浄機1の左側には、汚れた被洗浄物としての食器(例えば皿)3を収容したラック4を載せるためのソイルドテーブル5が設置され、右側には、洗浄後の食器3を収容したラック4を載せるためのクリーンテーブル6が設置されている。
【0022】
なお、コンベア型食器洗浄機1は、ステンレール製の筐体7の下端に設けられた4本の脚8によって支持され、コンベア型食器洗浄機1には、洗浄室Sの開閉に寄与する開閉扉9が設けられている。そして、筐体7は、洗浄室Sを有する上部筐体7aと、洗浄タンク10を有する下部筐体7bとの2段構造となっている。
【0023】
図2に示されるように、コンベア型食器洗浄機1の筐体7内に設けられた洗浄室S内には、ソイルドテーブル5とクリーンテーブル6との間を架け渡すように左右一対のラックレール2が延在し、各ラックレール2は、下部筐体7bに固定されている。そして、ラックレール2上にラック4の底面4aを当接させるように載置されたラック4は、コンベア装置20によって洗浄室S内で一方向に搬送される。
【0024】
洗浄室Sは、カーテン11で仕切られて、入口側が洗浄領域S1となり、出口側が濯ぎ領域S2になっている。更に、コンベア型食器洗浄機1の入口Cを塞ぐようにカーテン12の上端が筐体7に固定され、コンベア型食器洗浄機1の出口Dを塞ぐようにカーテン13の上端が筐体7に固定されている。そして、カーテン11,12,13は、短冊状の切り込みが形成されて、ラック4の通過を可能にしている。
【0025】
洗浄領域S1内には、上方から洗浄水を噴水する上側洗浄ノズル(上側噴射ノズル)14と下方から洗浄水を噴水する下側洗浄ノズル(下側噴射ノズル)15とが配置されている。上側洗浄ノズル14は、給水パイプ16を介して洗浄ポンプP1に接続され、下側洗浄ノズル15は、給水パイプ17を介して洗浄ポンプP2に接続されている。各洗浄ポンプP1,P2の吸込み口は洗浄タンク10内に連通し、この洗浄タンク10内には洗浄後及び濯ぎ後の水が貯留され、洗浄タンク10内の余剰な洗浄水は、オーバフローパイプ18によって外部に排出される。なお、符号19は、洗剤供給装置である。
【0026】
また、濯ぎ領域S2内には、上方から濯ぎ水を噴水する上側濯ぎノズル(上側噴射ノズル)81と下方から濯ぎ水を噴水する下側濯ぎノズル(下側噴射ノズル)82とが配置されている。上側濯ぎノズル81及び下側濯ぎノズル82は、給水パイプ83を介して濯ぎポンプP3に接続されている。この濯ぎポンプP3の吸込み口は濯ぎタンク84と接続され、濯ぎタンク84内には、ガスブースタ又は電気ブースタなどで濯ぎに適した温度まで加熱された清浄な水が貯留されている。なお、符号85は、リンス剤供給装置である。
【0027】
図3〜図5に示されるように、洗浄室S内でラック4を搬送するためのコンベア装置20は、搬送方向に延在する左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第1のコンベアレール(第1のコンベア部)21と、左右一対のラックレール2に沿って延在する左右一対の第2のコンベアレール(第2のコンベア部)22と、第1のコンベアレール21と第2のコンベアレール22とをずれたタイミングで往復動させるにあたって、第1のコンベアレール21の移動方向と第2のコンベアレール22の移動方向とが相反するように第1及び第2のコンベアレール21,22を往復動させる駆動手段23(図10参照)と、を備えている。なお、第1のコンベア部21と第2のコンベア部22とでコンベア部材Eが構成される(図5参照)。
【0028】
図3に示されるように、各第1のコンベアレール21の前後と中央には、上部から出没可能な第1の送り爪24が設けられている。各第1の送り爪24は、第1のコンベアレール21の側壁に固定された軸部24aによって揺動自在になっている。また、各第1の送り爪24の先端は、斜め前方に向けて突き出され、送り爪24に形成されたピン24bが、第1のコンベアレール21の側面に形成された円弧溝25aの上下端に当たることで、送り爪24の回り止めが達成されている。そして、各第1の送り爪24は、その下端側が重くなっているので、自重により突出状態に自動的に復帰させることができる。
【0029】
従って、駆動手段23によってラック4が前進させられる際には、ラック4の底側の桟に第1の送り爪24の先端を引っ掛けた状態でラック4が前進させられる。また、駆動手段23によって第1のコンベアレール21が後退させられる際には、ラック4の桟に第1の送り爪24が引っ掛かることなく、第1の送り爪24は第1のコンベアレール21内に沈み込みながら後退する。また、左右の第1のコンベアレール21は、後端側に位置する第1の連結フレーム26によって連結させられている。そして、この第1の連結フレーム26は、第1のコンベアレール21の底部で搬送方向に対して直交するように延在する。
【0030】
図4に示されるように、各第2のコンベアレール22の前後には、上部から出没可能な第2の送り爪27が設けられている。各第2の送り爪27は、第2のコンベアレール22の側壁に固定された軸部27aによって揺動自在になっている。また、各第2の送り爪27の先端は、斜め前方に向けて突き出され、送り爪27に形成されたピン27bが、第2のコンベアレール22の側面に形成された円弧溝25bの上下端に当たることで、送り爪27の回り止めが達成されている。そして、各第2の送り爪27は、その下端側が重くなっているので、自重により突出状態に自動的に復帰させることができる。なお、第2のコンベアレール22の上面には、前後に位置する第2の送り爪27の間にスリット22aが形成され、このスリット22aから第1の送り爪24を上方に露出させている。
【0031】
従って、駆動手段23によってラック4が前進させられる際には、ラック4の底側の桟に第2の送り爪27の先端を引っ掛けた状態でラック4が前進させられる。また、駆動手段23によって第2のコンベアレール22が後退させられる際には、ラック4の桟に第2の送り爪27が引っ掛かることなく、第2の送り爪27は第2のコンベアレール22内に沈み込みながら後退する。また、左右の第2のコンベアレール22は、後端側に位置する第2の連結フレーム28によって連結させられている。そして、この第2の連結フレーム28は、第2のコンベアレール22と同一の平面上に配置されている。
【0032】
この第2の連結フレーム28は、第1の連結フレーム26の上方に位置すると共に、第2の連結フレーム28の両端部は、L字状のアーム部28Aによって第2のコンベアレール22の後端に連結されている。このようなアーム部28Aを採用することで、第1の連結フレーム26と第2の連結フレーム28とを上下に並設させることができる。
【0033】
図5に示されるように、断面長方形状の第1のコンベアレール21内に断面長方形状の第2のコンベアレール22が挿入され、第2のコンベアレール22の第2の送り爪27は、第1のコンベアレール21の上面に形成されたスリット21bから外部に露出させられている。これにより、第1の送り爪24と第2の送り爪27とを搬送方向に一直線上に整列させることができる。更に、第1のコンベアレール21の内側の側面には、第2の連結フレーム28のL字状のアーム部28Aを露出させるためのスリット21cが形成され、スリット21c内でアーム部28Aは移動することができる。
【0034】
このような構成を採用すると、第1のコンベアレール21の内側に第2のコンベアレール22を配置させるような二重構造を可能にするので、スペース効率を高めることができ、従来からあるコンベアレールのスペースに第1及び第2のコンベアレール21,22を一括して配置させることができる。
【0035】
図5及び図6に示されるように、第2のコンベアレール22の底部から立設する軸部29aには規制ローラ29が軸支され、この規制ローラ29は、第2のコンベアレール22の両側面に形成された露出窓22bから突出して、第1のコンベアレール21の内壁面に当接する。このような構成を採用すると、第1のコンベアレール21内で第2のコンベアレール22を往復運動させる際に、第1のコンベアレール21に第2のコンベアレール22が接触することがなくなるので、コンベアレール21,22の偏摩耗を防止して耐久性を高めることができ、しかも、互いのコンベアレール21,22をスムーズに往復運動させることができる。
【0036】
更に、図4及び図6に示されるように、第2のコンベアレール22には、この外側面から突出するガイドローラ30が設けられている。このガイドローラ30は、第1のコンベアレール22の外側面に形成されたスリット22dを貫通するシャフト30aに回転自在に取り付けられ、ガイドローラ30は、ラックレール2の底面に当接させられる。このガイドローラ30によって第2のコンベアレール22を第1のコンベアレール21内でラックレール2に沿ってスムーズに進退させることができる。
【0037】
図3及び図7に示されるように、第1のコンベアレール21には、この外側面から突出するガイドローラ31が設けられ、このガイドローラ31の軸部は、第1の送り爪24のために利用される軸部24aと共有化が図られている。ガイドローラ31は、ラックレール2の底面に当接させられている。このガイドローラ31によって第1のコンベアレール21をラックレール2に沿ってスムーズに進退させることができる。
【0038】
図6に示されるように、ラックレール2の底面に立設させられた軸部32aには、規制ローラ32が軸支され、この規制ローラ32は、ラックレール2の底面の内端2aから突出して第1のコンベアレール21の外側面に当接する。このような構成を採用すると、第1のコンベアレール21がラックレール2に接触することがないので、第1のコンベアレール21をラックレール2に沿ってスムーズに往復運動させることができる。
【0039】
図5、図8及び図9に示されるように、上方に第2の連結フレーム28が配置され、下方に第1の連結フレーム26が配置され、第1及び第2の連結フレーム26,28は、何れも下方が開放された断面コ字状に形成されている。そして、第1及び第2の連結フレーム26,28の内部には、樹脂からなる直方体の第1及び第2のスライダ46,47がそれぞれ収容され、第1及び第2のスライダ46,47は、第1及び第2の連結フレーム26,28の長手方向に沿って摺動する。
【0040】
図8〜図10に示されるように、駆動手段23は、第1のコンベアレール21の第1の連結フレーム26に連結されて、第1のコンベアレール21をラックレール2に沿って進退させる第1のクランク部41と、第1のクランク部41に対して180度の位相差をもって第2のコンベアレール22の第2の連結フレーム28に連結されて、第2のコンベアレール22を第1のコンベアレール21に沿って進退させる第2のクランク部42と、第1及び第2のクランク部41,42を回転させるギアドモータM(図2参照)と、を備えている。
【0041】
下側に位置する第1のクランク部41は、ギアドモータMによって回転する回転軸40の上端に固定された第1の連結アーム41Aと、第1の連結アーム41Aの遊端に立設されて、第1の連結フレーム26の上面に形成されたスリット26c内に挿入される第1のクランクピン41Bと、からなる。上側に位置する第2のクランク部42は、第1の連結アーム41Aに対して平行に延在すると共に、一端が第1のクランクピン41Bに固定された第2の連結アーム42Aと、第2の連結アーム42Aの他端に立設された第2のクランクピン42Bと、からなる。なお、回転軸40は、洗浄タンク10に固定された取付けブラケット33によって回転自在に支持されている。
【0042】
また、第2の連結アーム42Aの中央には、回転軸40の軸線L上に位置する軸部43が設けられ、この軸部43は、洗浄タンク10の側面にネジ止めされるステー44に対して回転自在に取り付けられている。この軸部43を境にして、第2の連結アーム42Aは、第1のクランクピン41Bが設けられた第1のアーム片42aと、第2のクランクピン42Bが設けられた第2のアーム片42bと、からなる。従って、ステー44によって回転自在に保持された軸部43を中心にして、第1のアーム片42aと第2のアーム片42bは一体的に回転する。
【0043】
更に、第1のクランク部41の第1のクランクピン41Bには、下側に位置する第1の連結フレーム26に沿って摺動する第1のスライダ46が回転自在に取り付けられている。同様に、第2のクランク部42の第2のクランクピン42Bには、上側に位置する第2の連結フレーム28に沿って摺動する第2のスライダ47が回転自在に取り付けられている。このようなスライダ46,47を採用することで、クランク部41,42の回転力を第1及び第2のコンベアレール21,22に効率良く伝達することができる。
【0044】
そして、下側に位置する第1のスライダ46は、断面コ字状の第1の連結フレーム26の前壁26aと後壁26bとで挟まれて、前壁26aと後壁26bとの間で摺動する。同様に、上側に位置する第2のスライダ47は、断面コ字状の第2の連結フレーム28の前壁28aと後壁28bとで挟まれて、前壁28aと後壁28bとの間で摺動する。このようなスライダ46,47の採用により、クランク部41,42の回転運動をコンベアレール21,22の直線的な進退運動に適切に変換させることができる。
【0045】
前述した駆動手段23にあっては、ギアドモータMによって回転軸40が回転すると、第1及び第2のクランク部41,42によって、第1及び第2のスライダ46,47が第1及び第2の連結フレーム26,28内で左右方向に往復運動する。
【0046】
図11に示されるように、回転軸40の軸線Lを中心に第1及び第2のクランクピン41B,42Bが矢印A方向に回転すると、第1のスライダ46により第1の連結フレーム26の後壁26bを矢印B方向に押し、第2のスライダ47により第2の連結フレーム28の前壁28aを矢印Bと相反する矢印C方向に押し続ける。そして、第1及び第2のスライダ46,47が図12の位置にきた時点で、矢印A方向に回転軸40が回転し続けると、第1のスライダ46により第1の連結フレーム26の前壁26aを矢印D方向に押し、第2のスライダ47により第2の連結フレーム28の後壁28bを矢印Dと相反する矢印D方向に押し続ける。
【0047】
このように、第1のコンベアレール21を進退させるための第1のクランク部41と、第2のコンベアレール22を進退させるための第2のクランク部42とに、180度の位相差をもたせることで、クランク機構を利用して、第1のコンベアレール21と第2のコンベアレール22とを相反する方向に進退させることができる。
【0048】
このようなコンベア装置20でクランク機構の駆動手段23を利用すると、例えば、第1のコンベアレール21がラック4の搬出側に前進している時、第2のコンベアレール22はラック4の搬入側に後退し、第1のコンベアレール21がラック4の搬入側に後退している時、第2のコンベアレール22はラック4の搬出側に前進する。そして、各コンベアレール21,22の第1及び第2の送り爪24,27は、前進時にラック4の下側の桟に引っ掛かってラック4を前進させると共に、後退時にラック4の下側の桟に引っ掛からないように没入する。
【0049】
従って、第1のコンベアレール21が前進しているとき、ラック4が搬出側に送られ続け、第1のコンベアレール21の前進が終了すると、後方で待機している第2のコンベアレール22でラック4を搬出側に送り、第2のコンベアレール22でラック4の前進が終了すると、後方で待機している第1のコンベアレール21でラック4を搬出側に送る。このように、ラック4の前進に寄与しない側のコンベアレール21,22を後方で待機させているので、ラック4の前進を、第1のコンベアレール21から第2のコンベアレール22又は第2のコンベアレール22から第1のコンベアレール21に引き継ぐ時に僅かながらのタイムラグがあったとしても、ラック4は可能な限り連続的に搬送されることになる。
【0050】
そして、従来のように間欠的にラック4を送る場合に比べて、ラック4の搬送効率が良く、その結果、洗浄室S内でのラック4の搬送時間の短縮を可能にする。また、ラック4の搬送時間の短縮を図らない場合にあっては、ラック4を洗浄室S内でゆっくりと移動させることができるので、洗浄水を食器に均一に且つしっかりと当てることができ、洗浄効率を格段にアップさせることができる。しかも、従来と同じ洗浄力を維持するのであれば、洗浄時間の短縮やラック搬送距離の短縮による製品外形寸法の小型化も可能になる。
【0051】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0052】
図13に示されるように、他のクランク機構にあっては、上下方向に延びる1本の回転軸50に、第1のクランク部51と第2のクランク部52が上下で並置されるように一体化されている。なお、第1及び第2のクランク部51,52は、回転軸50に固定された第1及び第2のクランクアーム51a,52aと、各クランクアーム51a,52aの遊端に設けられた第1及び第2のクランクピン51b,52bと、からなる。このような構成を採用すると、第1及び第2のクランク部51,52の回転を安定させることができ、コンベアレール21,22の往復運動をスムーズに行わせることができる。この場合、回転軸50は、180度以内の回転角度をもって正逆回転しても、一方向に360度回転してもよい。
【0053】
図14に示されるように、他の駆動手段60としては、第1のコンベアレール21を往復運動させるための第1のクランク部61と、第2のコンベアレール22を往復運動させるための第2のクランク部62と、同軸上に配置させることなく、左右に並設させてもよい。この場合、第1のクランク部61と第2のクランク部62とは、個別のギアドモータM1,M2により回転させられる。このような構成を採用すると、万一、ギアドモータM1,M2のうちの一方が故障したとしても、他方のモータにより、ラック4を搬送することができるので、応急的な対応を可能にしている。
【0054】
前述した種々のクランク機構を利用すると、ラック4の搬送速度は、第1及び第2の送り爪24,27によるラック4の押し始め時期とラック4の押し終わり時期で小さくなってしまう。そこで、第1及び第2のクランク部41,42,51,52,61,62を回転させるギアドモータM,M1,M2の回転速度が、第1及び第2の送り爪24,27によるラック4の押し始め時期とラック4の押し終わり時期で大きくなるようにギアドモータM,M1,M2をインバータ制御して、第1及び第2のコンベアレール21,22の往復速度を一定にする。このように、ラック4の搬送速度の一定化を図ることによって、洗浄水を食器3に均一に当てることができ、洗浄力の均一化を図ることができる。
【0055】
図15及び図16に示されるように、駆動手段70は、第1のコンベアレール21に連結されて第1のコンベアレール21を進退させる第1のコンベア往復運動機構71と、第2のコンベアレール22に連結されて、第2のコンベアレール22を第1のコンベアレール21に対して相反する方向に進退させる第2のコンベア往復運動機構72と、を備えている。
【0056】
そして、第1及び第2のコンベア往復運動機構71,72は、ギアドモータMに連結された回転軸73を中心に回転する第1及び第2の欠歯車74,75と、第1及び第2のコンベアレール21,22の第1及び第2の連結フレーム26,28に固定されると共に、欠歯車74,75を挟むように配置された第1及び第2の二重ラック76,77と、からなる。そして、第1の欠歯車74と第1の二重ラック76との噛合位置と、第2の欠歯車75と第2の二重ラック77との噛合位置は、図16に示されるように、常に左右逆の関係になっている。従って、コンベアレール21,22のうちの一方が前進しているとき、他方を後退させることができる。
【0057】
クランク機構を採用した場合、コンベアレール21,22に作用する力点が左右に移動し、しかもインバータによってギアドモータMを制御しなければ、ラック4の搬送速度を一定にすることができないが、二重ラック76,77と欠歯車74,75との組み合わせによるコンベア往復運動機構71,72は、ラック4の搬送速度の一定化が容易で、コンベアレール21,22の力点が左右に移動することなく、均一な力をコンベアレール21,22に作用させ易く、クランク機構に比べて省スペース化を実現することができる。
【0058】
本発明に係るコンベア装置は、相反する方向に移動可能な少なくとも2個のコンベアレールを備えていればよい。
【0059】
第1のコンベアレール21と第2のコンベアレール22は、水平方向で並置されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…コンベア型食器洗浄機、2…ラックレール、3…食器、4…ラック、14,15,81,82…噴射ノズル、20…コンベア装置、21c…スリット、21…第1のコンベアレール(第1のコンベア部)、22…第2のコンベアレール(第2のコンベア部)、24…第1の送り爪、26…第1の連結フレーム、27…第2の送り爪、28…第2の連結フレーム、29…規制ローラ、40…回転軸、41…第1のクランプ部、42…第2のクランク部、46…第1のスライダ、47…第2のスライダ、71…第1のコンベア往復運動機構、72…第2のコンベア往復運動機構、74,75…欠歯車、76,77…二重ラック、S…洗浄室、M,M1,M2…モータ、E…コンベア部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復運動するコンベア部材に設けられた送り爪によって、ラックを洗浄室内でラックレールに沿って搬送させながら、噴射ノズルの噴射水によって前記食器の洗浄を行うコンベア型食器洗浄機において、
前記コンベア部材は複数のコンベア部からなり、前記各コンベア部の前記送り爪は、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入し、それぞれの前記コンベア部は、駆動手段により、ずれたタイミングで往復動させられることを特徴とするコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項2】
前記コンベア部材は、
前記ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第1の送り爪を有する第1のコンベア部と、
前記ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第2の送り爪を有する第2のコンベア部と、を備え、
前記駆動手段は、前記第1のコンベア部と前記第2のコンベア部とをずれたタイミングで往復動させるにあたって、前記ラックレールに沿った前記第1のコンベア部の移動方向と前記第2のコンベア部の移動方向とが相反するように前記第1及び第2のコンベア部を往復動させることを特徴とする請求項1記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項3】
前記第1のコンベア部内に前記第2のコンベア部が挿入され、前記第2の送り爪が前記第1のコンベア部の上部から露出させられていることを特徴とする請求項2記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項4】
左右一対で平行に延在する前記第1のコンベア部は、第1の連結フレームによって連結され、
左右一対で平行に延在する前記第2のコンベア部は、第2の連結フレームによって連結され、
外側に位置する前記第1のコンベア部には、前記第2の連結フレームを露出させるスリットが形成されていることを特徴とする請求項3記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項5】
前記第2のコンベア部には、前記第2のコンベア部の側面から突出して前記第1のコンベア部の内壁面に当接する規制ローラが設けられていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、
前記第1のコンベア部に連結されて、前記第1のコンベア部を進退させる第1のクランク部と、
前記第1のクランク部に対して180度の位相差をもって前記第2のコンベア部に連結されて、前記第2のコンベア部を進退させる第2のクランク部と、を備えたことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項7】
前記第1のクランク部には、左右一対の前記第1のコンベア部を連結する第1の連結フレームに沿って摺動する第1のスライダが回転自在に取り付けられ、
前記第2のクランク部には、左右一対の前記第2のコンベア部を連結する第2の連結フレームに沿って摺動する第2のスライダが回転自在に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項8】
前記第1のクランク部と前記第2のクランク部は、個別のモータにより回転させられることを特徴とする請求項6又は7に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項9】
前記第1のクランク部と前記第2のクランク部は、モータに連結された一本の回転軸に上下で一体化され、前記回転軸は、180度以内の回転角度をもって正逆回転するか又は一方向に回転することを特徴とする請求項6又は7に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項10】
前記第1及び前記第2のクランク部を回転させる前記モータの回転速度が、前記第1及び第2の送り爪による前記ラックの押し始め時期と前記ラックの押し終わり時期で大きくなるように前記モータをインバータ制御して、前記第1及び第2のコンベア部の往復速度を一定にすることを特徴とする請求項8又は9に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項11】
前記駆動手段は、
前記第1のコンベア部に連結されて前記第1のコンベア部を進退させる第1のコンベア往復運動機構と、
前記第2のコンベア部に連結されて、前記第2のコンベア部を前記第1のコンベア部に対して相反する方向に進退させる第2のコンベア往復運動機構と、を備え、
前記第1及び第2のコンベア往復運動機構は、モータにより回転する欠歯車と、前記コンベア部材に連結されると共に、前記欠歯車を挟むように配置された二重ラックと、からなることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項1】
往復運動するコンベア部材に設けられた送り爪によって、ラックを洗浄室内でラックレールに沿って搬送させながら、噴射ノズルの噴射水によって前記食器の洗浄を行うコンベア型食器洗浄機において、
前記コンベア部材は複数のコンベア部からなり、前記各コンベア部の前記送り爪は、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入し、それぞれの前記コンベア部は、駆動手段により、ずれたタイミングで往復動させられることを特徴とするコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項2】
前記コンベア部材は、
前記ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第1の送り爪を有する第1のコンベア部と、
前記ラックレールに沿って延在すると共に、前進時に上部から突出し且つ後退時に没入する第2の送り爪を有する第2のコンベア部と、を備え、
前記駆動手段は、前記第1のコンベア部と前記第2のコンベア部とをずれたタイミングで往復動させるにあたって、前記ラックレールに沿った前記第1のコンベア部の移動方向と前記第2のコンベア部の移動方向とが相反するように前記第1及び第2のコンベア部を往復動させることを特徴とする請求項1記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項3】
前記第1のコンベア部内に前記第2のコンベア部が挿入され、前記第2の送り爪が前記第1のコンベア部の上部から露出させられていることを特徴とする請求項2記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項4】
左右一対で平行に延在する前記第1のコンベア部は、第1の連結フレームによって連結され、
左右一対で平行に延在する前記第2のコンベア部は、第2の連結フレームによって連結され、
外側に位置する前記第1のコンベア部には、前記第2の連結フレームを露出させるスリットが形成されていることを特徴とする請求項3記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項5】
前記第2のコンベア部には、前記第2のコンベア部の側面から突出して前記第1のコンベア部の内壁面に当接する規制ローラが設けられていることを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、
前記第1のコンベア部に連結されて、前記第1のコンベア部を進退させる第1のクランク部と、
前記第1のクランク部に対して180度の位相差をもって前記第2のコンベア部に連結されて、前記第2のコンベア部を進退させる第2のクランク部と、を備えたことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項7】
前記第1のクランク部には、左右一対の前記第1のコンベア部を連結する第1の連結フレームに沿って摺動する第1のスライダが回転自在に取り付けられ、
前記第2のクランク部には、左右一対の前記第2のコンベア部を連結する第2の連結フレームに沿って摺動する第2のスライダが回転自在に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項8】
前記第1のクランク部と前記第2のクランク部は、個別のモータにより回転させられることを特徴とする請求項6又は7に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項9】
前記第1のクランク部と前記第2のクランク部は、モータに連結された一本の回転軸に上下で一体化され、前記回転軸は、180度以内の回転角度をもって正逆回転するか又は一方向に回転することを特徴とする請求項6又は7に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項10】
前記第1及び前記第2のクランク部を回転させる前記モータの回転速度が、前記第1及び第2の送り爪による前記ラックの押し始め時期と前記ラックの押し終わり時期で大きくなるように前記モータをインバータ制御して、前記第1及び第2のコンベア部の往復速度を一定にすることを特徴とする請求項8又は9に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【請求項11】
前記駆動手段は、
前記第1のコンベア部に連結されて前記第1のコンベア部を進退させる第1のコンベア往復運動機構と、
前記第2のコンベア部に連結されて、前記第2のコンベア部を前記第1のコンベア部に対して相反する方向に進退させる第2のコンベア往復運動機構と、を備え、
前記第1及び第2のコンベア往復運動機構は、モータにより回転する欠歯車と、前記コンベア部材に連結されると共に、前記欠歯車を挟むように配置された二重ラックと、からなることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載のコンベア型食器洗浄機のコンベア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−23342(P2013−23342A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160014(P2011−160014)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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